(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101647
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】雌端子
(51)【国際特許分類】
H01R 13/115 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01R13/115 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005667
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】平郡 克吉
(57)【要約】
【課題】本発明は、雄端子に対する電気的接続信頼性の向上を図った雌端子を提供することを目的とする。
【解決手段】
雌端子1は、雄端子100のタブ部101が挿入される筒状部21と、該筒状部21の軸方向Yに延びて形成された3本のバネ片22R、23、22Lと、を備え、3本のバネ片は、基端が筒状部の一つの壁24に連続し、折り返されて自由端が一つの壁の内面に対向して延びる片持ち梁状に形成されているとともに、幅方向Xに並んで設けられ、3本のバネ片のうち中央に位置する主バネ片23にのみ、タブ部101に当接可能な凸のインデント232が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子のタブ部が挿入される筒状部と、
該筒状部の軸方向に延びて形成された3本のバネ片と、を備えた雌端子であって、
前記3本のバネ片は、基端が前記筒状部の一つの壁に連続し、折り返されて自由端が前記一つの壁の内面に対向して延びる片持ち梁状に形成されているとともに、幅方向に並んで設けられ、
前記3本のバネ片のうち中央に位置する主バネ片にのみ、前記タブ部に当接可能な凸のインデントが設けられていることを特徴とする雌端子。
【請求項2】
前記3本のバネ片は、前記主バネ片の両側に位置する一対の副バネ片を有し、
前記主バネ片の幅寸法は、前記各副バネ片の幅寸法より大きいことを特徴とする請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記筒状部には、前記一つの壁から突出し、前記主バネ片が変位した際に、前記主バネ片に当接可能な過大変位防止片が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記筒状部は、前記一つの壁から立設するとともに互いに対向する一対の対向壁を有し、
前記一対の対向壁のうち、一方の対向壁には、他方の対向壁に向けて前記タブ部を付勢する横バネが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の雌端子。
【請求項5】
前記一対の対向壁のうち、前記他方の対向壁には、前記一方の対向壁に向けて突出して設けられて前記タブ部に当接可能な横突起が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雌端子に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続される。
【0003】
このようなコネクタを構成する端子として、特許文献1には、雌型の端子金具(以下、雌端子と記す)が開示されている。特許文献1に開示された雌端子は、雄端子のタブが挿入される角筒状の接続部と、該接続部の内部に折り返されるとともに、雄端子のタブに弾性的に接触する弾性接触片と、が設けられている。この弾性接触片は、先端縁を切り欠いて形成された2本のスリットが形成されていることによって、3本の弾性接触片が幅方向に並んで形成されている。これらの弾性接触片は、折り返された部分を中心として先端にある自由端が上下するように独立して弾性変位可能となっている。また各弾性接触片には、突起状の接点部が設けられ、雄端子のタブは3個の接点部によっていわゆる3点支持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、走行中におけるエンジンや路面からの振動により、雄端子のタブ部が雌端子の接触部の内部でがたつく場合があった。即ち、振動に対して雌雄の端子が相対的に変位して、雄端子に対する電気的接続信頼性の低下を招いてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、雄端子に対する電気的接続信頼性の向上を図った雌端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、雄端子のタブ部が挿入される筒状部と、該筒状部の軸方向に延びて形成された3本のバネ片と、を備えた雌端子であって、前記3本のバネ片は、基端が前記筒状部の一つの壁に連続し、折り返されて自由端が前記一つの壁の内面に対向して延びる片持ち梁状に形成されているとともに、幅方向に並んで設けられ、前記3本のバネ片のうち中央に位置する主バネ片にのみ、前記タブ部に当接可能な凸のインデントが設けられていることを特徴とする雌端子である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、振動に対して雌雄の端子が相対的に変位されることが抑制されることとなり、雄端子に対する電気的接続信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る雌端子を示す斜視図である。
【
図2】前記雌端子を含む雌コネクタと雄端子を含む雄コネクタが嵌合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を
図1~6に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る雌端子1を示す斜視図である。
図2は、前記雌端子1を含む雌コネクタ1Fと雄端子100を含む雄コネクタ1Mが嵌合した状態を示す断面図である。
【0011】
雌端子1は、導電性部材から構成され、
図1、2に示すように、雄端子100(
図2に示す)のタブ部101が挿入される角筒状の電気接触部2と、電線12が接続される電線接続部3と、電気接触部2と電線接続部3とに連続する連続部4と、を備える。
【0012】
この雌端子1は、
図2に示すように、雌コネクタ1Fの一部である。雌コネクタ1Fは、一対の雌端子1、1と、該一対の雌端子1、1をそれぞれ収容する一対の端子収容室10、10を有する雌ハウジング11Fと、を備える。
【0013】
雄端子100は、
図2に示すように、雄コネクタ1Mの一部である。雄コネクタ1Mは、一対の雄端子100と、該一対の雄端子100を支持する雄ハウジング10Mと、を備える。各雄端子100は、雌端子1の電気接触部2に挿入される平板状のタブ部101を有して構成されている。雌コネクタ1Fおよび雄コネクタ1Mが嵌合した状態で、雌端子1の電気接触部2に、雄端子100のタブ部101が挿入されることにより、これらの雌端子1および雄端子100は電気的かつ機械的に接続される。
【0014】
本実施形態では、電気接触部2の軸方向をY方向とし、Y方向に直交する2方向をそれぞれX方向及びZ方向とする。Y方向を「長手方向」と記し、長手方向のうち一方を「前方Y1」と記し、他方を「後方Y2」と記す場合がある。また、X方向を「幅方向」と記し、Z方向を「上下方向Z」と記し、上下方向Zのうち一方を「上方Z1」と記し、他方を「下方Z2」と記す場合がある。
【0015】
電気接触部2は、
図1に示すように、雌箱部21(筒状部)と、該雌箱部21の内部に設けられた3本(複数)のバネ片22R、23、22Lと、を備える。
【0016】
雌箱部21は、
図1、3に示すように、Y方向を延在方向(長手方向)とする四角筒状に形成されている。この雌箱部21は、
図3に示すように、底壁24(一つの壁)と、該底壁24の上方Z1に対向する上壁25と、幅方向Xに対向する一対の側壁26R、26L(一対の対向壁)と、側壁212Rに連続して上壁25に重なる重なり部27と、を備える。
【0017】
底壁24は、
図4、5に示すように、矩形板状に形成された底壁本体240と、過大変位防止片241(
図5に示す)と、一対の設置片242、242と、を備える。底壁24の前端24fは、
図5、6に示すように、一対の側壁26R、26Lの前端26fより後方X2に位置している。
【0018】
過大変位防止片241は、
図5に示すように、底壁本体240がコ字状に切り欠かれ、上方Z1に折り起されて形成されたものである。過大変位防止片241は、底壁24の長手方向Yの後端側に位置している。また、
図5に示すように、過大変位防止片241の上縁241uは、底壁本体240より上方Z1に位置しているとともに、(後述する)主バネ片23が弾性変形した際に当接可能に設けられている。また過大変位防止片241は、(後述する)一対の副バネ片22R、22Lと干渉しない位置に設けられている。このような過大変位防止片241が設けられていることにより、主バネ片23に過大な外力が加わったとしても、主バネ片23が過大変位防止片241に当接することにより、主バネ片23の弾性変形限界を超える変形が阻止されるようになっている。
【0019】
一対の設置片242、242は、
図4、5に示すように、底壁本体240がコ字状に切り欠かれて形成されたものであり、
図3に示すように、幅方向Xに並んで設けられている。また、
図3に示すように、各設置片242の下縁242dは、底壁本体240より下方Z2に位置している。
【0020】
上壁25は、
図3、5に示すように、矩形板状に形成された上壁本体250と、打ち出しにより成形された一対の接触リブ251、251と、を備える。一対の接触リブ251、251は、幅方向Xに間隔をあけて並んで設けられている。各接触リブ251は、
図5に示すように、底壁24に向けて凸となるように形成されているとともに、長手方向Yに延在して設けられている。一対の接触リブ251、251は、
図3に示すように、幅方向Xにおける各副バネ片22R、22Lの主バネ片23側の端縁22uの上方Z1に位置している。
【0021】
一対の側壁26R、26Lのうち一方の側壁26R(一方の対向壁)は、
図4、6に示すように、右側壁本体260Rと、横バネ261と、を備える。
【0022】
横バネ261は、右側壁本体260Rがコ字状に切り欠かれて形成されているとともに、
図6に示すように、基端が右側壁本体260Rの後方Y2側に位置し、自由端が前方Y1に向けて延びる片持ち梁状に形成されている。この横バネ261は、
図3に示すように、上下方向Zにおいて、上壁25の各接触リブ251と(自然状態の)主バネ片23との間を含む位置に設けられている。
【0023】
一対の側壁26R、26Lのうち他方の側壁26L(他方の対向壁)は、
図3、6に示すように、左側壁本体260Lと、打ち出しにより成形された横突起262と、を備える。
【0024】
横突起262は、
図6に示すように、一方の側壁26Rに向けて凸となるように形成されているとともに、長手方向Yに延在して設けられている。この横突起262は、一方の側壁26Rに設けられた横バネ261と対向する位置に設けられている。即ち、横バネ261および横突起262は、
図3に示すように、同じ高さ位置に設けられている。
【0025】
このような横バネ261および横突起262の離間寸法は、タブ部101の幅寸法より若干小さい寸法となるように形成されていて、雄端子100のタブ部101が雌端子1の電気接触部2の内部に挿入された際に、タブ部101の両側面は横バネ261および横突起262に常に当接するように構成されている。
【0026】
これによれば電気接触部2の内部に挿入された雄端子100のタブ部101は、横バネ261および横突起262に挟まれて、幅方向Xの適正位置に位置付けられる。また、雌雄の端子1、100の何れか一方に幅方向Xの力が加わったとしても、タブ部101の横バネ261および横突起262への当接状態が強固に維持され、雌雄の端子1、100同士の横擦れがし難くなり、摩耗粉による電気的接続信頼性の低下が抑制される。
【0027】
3本のバネ片22R、23、22Lは、
図1に示すように、それぞれ、雌箱部21における底壁24の前端24fに連続し、折返し部R1で湾曲状に折り返されて形成されている。各バネ片22R、23、22Lの折返し部R1は、
図5に示すように、前後方向Yにおいて、一対の側壁26R、26Lの前端26fと略同じ位置に設けられていている。
【0028】
また3本のバネ片22R、23、22Lは、
図1に示すように、基端が底壁24に連続し、折返し部R1で折り返されて自由端が底壁24(一つの壁)の内面に対向して後方Y2に延びる片持ち梁状に形成されている。このような各バネ片22R、23、22Lに外力が加わった場合に、各バネ片22R、23、22Lは、折返し部R1を支点とするように独立して弾性変形するようになっている。
【0029】
これらの3本のバネ片22R、23、22Lは、
図6に示すように、幅方向Xに並んで設けられている。以下では、3本のバネ片22R、23、22Lのうち、幅方向Xの中央に位置するバネ片を「主バネ片23」と記し、主バネ片23の幅方向Xの両側のバネ片を「副バネ片22R(22L)」と記す。
図6に示すように、主バネ片23の幅方向Xの寸法L1は、副バネ片22R(22L)の幅方向Xの寸法L2より大きい寸法となるように形成されている。
【0030】
主バネ片23は、
図5に示すように、折返し部R1から後方Y2に向かうにしたがって斜め上方Z1に延びる主バネ片本体230と、該主バネ片本体230に連続するとともに底壁24と対向するように延在する主バネ延在部231と、打ち出しにより成形されたインデント232と、を備える。
【0031】
インデント232は、
図5に示すように、上壁25に向けて凸になるように形成されている。このインデント232は、主バネ片本体230の折返し部R1より後方Y2側を前端232fとし、主バネ片本体230と主バネ延在部231との境界位置233を越える位置を後端232bとするように、長手方向Yに延在して設けられている。
【0032】
副バネ片22R(22L)は、
図6に示すように、折返し部R1から後方Y2に向かうにしたがって斜め上方Z1に延びる側バネ片本体220と、該側バネ片本体220に連続する側バネ延在部221と、を備え、側バネ片本体220と側バネ延在部221との境界部222(以下、頂部222と記す場合がある)で折れ曲がって構成されている。側バネ延在部221は、側バネ片本体220に連続するとともに頂部222で折れ曲がって斜め下方Z2に延びて形成されている。副バネ片22R(22L)には、インデントは形成されていない。
【0033】
即ち、3本のバネ片22R、23、22Lのうち、主バネ片23のみにインデント232が設けられ、副バネ片22R(22L)にはインデントが設けられていない。主バネ片23にインデント232が設けられていることにより、主バネ片23と雄端子100のタブ部101との接触面積を小さくすることができ、これにより主バネ片23のタブ部101への面圧が高くなって、導通性を良好にすることができる。
【0034】
また、一対の副バネ片22R、22Lにインデントが設けられていないことにより、インデントが設けられた場合に比して、インデントを乗り越える際の挿入荷重を低減しつつ、各副バネ片22R(22L)のタブ部101に対する接触荷重を上げることができる。これにより、3本のバネ片22R、23、22Lについて、主バネ片23は導通の役割を担い、一対の副バネ片22R、22Lは、振動抑制の役割を担っていることとなる。
【0035】
電線接続部3は、
図1、2に示すように、連続部4の後方Y2に連続する芯線加締め部31と、該芯線加締め部31の後方Y2に連続する被覆加締め部32と、を備える。
【0036】
芯線加締め部31は、
図1、2に示すように、一対の芯線加締め片311、311を有して構成されている。一対の芯線加締め片311、311により、電線12の被覆部が皮剥ぎされて露出した芯線が加締められることにより、電線12の芯線が一対の芯線加締め片311、311に電気的に接続されるようになっている。
【0037】
被覆加締め部32は、
図1に示すように、一対の被覆加締め片321、321を有して構成されている。一対の被覆加締め片321、321により、電線12の被覆部が加締められることにより、電線12が一対の被覆加締め片321、321に機械的に接続されるようになっている。
【0038】
このような雄端子100と雌端子1とを電気的に接続する際には、
図2に示すように、一対の雄端子100、100が雄ハウジング10Mに支持され、一対の雌端子1、1それぞれが雌ハウジング11Fの雌端子収容室10に収容された状態で、雌ハウジング11Fを雄ハウジング10Mに近付ける。これにより、雄端子100のタブ部101の先端が、雌端子1の電気接触部2の前端2fに近付いて、タブ部101が電気接触部2の内部に挿入される。
【0039】
挿入が進むに伴って、タブ部101が電気接触部2の各接触リブ26に接触し、インデント232に接触し、一対の副バネ片22R、22Lに接触する。また、タブ部101は、横バネ261および横突起262に接触し、横バネ261および横突起262に挟まれて、幅方向Xの適正位置に位置付けられる。
【0040】
さらに挿入が進んで、タブ部101は、インデント232を乗り越えて、主バネ片23および副バネ片22R(22L)を押圧する。これにより、主バネ片23および一対の副バネ片22R、22Lは、タブ部101により押圧されて弾性変形する。この際、副バネ片22R(22L)にインデントが設けられていないことにより、インデントを乗り越える際の挿入荷重が低減される。主バネ片23および副バネ片22R(22L)が弾性変形することによる反力により、タブ部101は、電気接触部2の上壁25側に押し付けられる。このようにして雄端子100と雌端子1とが電気的に接続される。
【0041】
上述した本実施形態では、3本のバネ片22R、23、22Lのうち、主バネ片23のみにインデント232が設けられ、副バネ片22R(22L)にはインデントが設けられていない。主バネ片23にインデント232が設けられていることにより、主バネ片23と雄端子100のタブ部101との接触面積を小さくすることができ、これにより主バネ片23のタブ部101に対する面圧が高くなって、導通性が良好となる。また、副バネ片22R(22L)にインデントが設けられていないことにより、インデントを乗り越える際の挿入荷重を低減しつつ、副バネ片22R(22L)のタブ部101に対する接触荷重を上げることができる。これによれば、主バネ片23は導通の役割を担い、一対の副バネ片22R、22Lは、振動抑制の役割を担うことができる。従って、走行中におけるエンジンや路面からの振動を受けたとしても、振動に対して雌雄の端子1、100が相対的に変位することが抑制されることとなり、雌端子1の雄端子100に対する電気的接続信頼性の向上を図ることができる。
【0042】
また、主バネ片23の幅寸法L1は、副バネ片22R(22L)の幅寸法L2より大きくなるように形成されている(主バネ片23の幅寸法L1>副バネ片22R(22L)の幅寸法L2)。これにより、主バネ片23の強度は、副バネ片22R(22L)の強度より大きい強度(主バネ片23の強度>副バネ片22R(22L)の強度)となり、主バネ片23が塑性変形を起こすことを抑制できる。
【0043】
また、雌箱部21(箱状部)には、底壁24(一つの壁)から突出し、主バネ片23が変位した際に、主バネ片23に当接可能な過大変位防止片241が設けられている。これにより、主バネ片23に過大な外力が加わったとしても、主バネ片23が過大変位防止片241に当接することにより、主バネ片23におけるそれ以上の変位が阻止されて、主バネ片23が塑性変形を起こすことを抑制できる。これにより、主バネ片23のバネ性が失われることを抑制できる。
【0044】
また、雌箱部21(箱状部)は、底壁24(一つの壁)から立設するとともに互いに対向する一対の側壁26R、26L(一対の対向壁)を有し、一対の側壁26R、26Lのうち一方の側壁26R(一方の対向壁)には、他方の側壁26L(他方の対向壁)に向けてタブ部101を付勢する横バネ261が設けられている。これによれば、横バネ261によりタブ部101が付勢され、タブ部101が他方の側壁26L側に押し付けられることにより、雌雄の端子1、100の何れか一方に幅方向Xの力が加わったとしても、雌雄の端子1、100が相対的に変位することを抑制できる。
【0045】
一対の側壁26R、26L(一対の対向壁)のうち、他方の側壁26L(他方の対向壁)は、一方の側壁26R(一方の対向壁)に向けて突出して設けられてタブ部101に当接可能な横突起262が設けられている。横突起262が設けられていることにより、タブ部101の横バネ261および横突起262への当接状態が強固に維持され、雌雄の端子1、100の何れか一方に幅方向Xの力が加わったとしても、より一層、雌雄の端子1、100が相対的に変位することを抑制できる。
【0046】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 雌端子
100 雄端子
101 タブ部
21 雌箱部(筒状部)
22R(22L) 副バネ片
23 主バネ片
232 インデント
24 底壁(筒状部の一つの壁)
241 過大変位防止片
26R、26L 一対の側壁(一対の対向壁)
261 横バネ
262 横突起
L1 主バネ片の幅寸法
L2 副バネ片の幅寸法
X 幅方向
Y 長手方向(筒状部の軸方向)