(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101652
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】慣性センサー、および慣性計測装置
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20240723BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20240723BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20240723BHJP
【FI】
G01P15/08 101A
G01P15/125 Z
G01P15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005673
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】木暮 翔太
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 照夫
(57)【要約】
【課題】応力の影響を抑制して信頼性の高い慣性センサーを提供すること。
【解決手段】マウント部22が設けられた基部2と、マウント部22に接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線71と、を備え、センサー素子3は、マウント部22に接合部j1を介して接合された支持部511の第1部分511aと、第1可動電極指561aを有する懸架部512と、支持部511の第1部分511aと懸架部512との間に設けられ、懸架部512よりも幅広の支持部511の第2部分511cと、を有し、支持部511の第2部分511cは、貫通孔としてのスリットs1を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウント部が設けられた基板と、
前記マウント部に接合されたセンサー素子と、
前記センサー素子に電気的に接続された配線と、を備え、
前記センサー素子は、
前記マウント部に接合部を介して接合された第1連結部と、
電極指を有する第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第3連結部と、を有し、
前記第3連結部は、貫通孔を有する、
慣性センサー。
【請求項2】
前記第3連結部は、前記貫通孔を複数有する、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項3】
前記貫通孔は、平面視で、前記マウント部と重なっていない、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項4】
前記第3連結部は、平面視で、前記マウント部と重なっており、
前記第3連結部は、平面視で、前記接合部と重なっていない、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項5】
第1マウント部と第2マウント部を有する基板と、
前記第1マウント部および前記第2マウント部に接合されたセンサー素子と、
前記センサー素子に電気的に接続された配線と、を備え、
前記センサー素子は、
前記第1マウント部に第1接合部を介して接合された第1連結部と、
電極指を有する第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第3連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第4連結部と、を有し、
前記第3連結部は、第1貫通孔を有し、
前記第4連結部は、第2貫通孔を有する、
慣性センサー。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の慣性センサーを備えた慣性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサー、および、当該慣性センサーを備えた慣性計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して揺動可能に設けられた可動部と、基板に接合され、可動部を支持する支持部と、可動部と支持部との間に設けられた張り出し部と、を備え、張り出し部によって、支持部と基板との接合により生じる接合応力を緩和する慣性センサーが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の慣性センサーでも、応力を十分に緩和することは難しく、応力の緩和について、さらなる改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る慣性センサーは、マウント部が設けられた基板と、前記マウント部に接合されたセンサー素子と、前記センサー素子に電気的に接続された配線と、を備え、前記センサー素子は、前記マウント部に接合部を介して接合された第1連結部と、電極指を有する第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第3連結部と、を有し、前記第3連結部は、貫通孔を有する。
【0006】
本願の一態様に係る慣性センサーは、第1マウント部と第2マウント部を有する基板と、前記第1マウント部および前記第2マウント部に接合されたセンサー素子と、前記センサー素子に電気的に接続された配線と、を備え、前記センサー素子は、前記第1マウント部に第1接合部を介して接合された第1連結部と、電極指を有する第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第3連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部との間に設けられ、前記第2連結部よりも幅広の第4連結部と、を有し、前記第3連結部は、第1貫通孔を有し、前記第4連結部は、第2貫通孔を有する。
【0007】
本願の一態様に係る慣性計測装置は、上記に記載の慣性センサーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のA-A線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図9】
図8のD-D線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図10】
図8のE-E線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図19】慣性計測装置の概略構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印方向先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、以下では、Z軸方向に見ることを「平面視」とも言い、Z軸を含む断面に対してY軸方向から見ることを「断面視」とも言う。
【0010】
さらに、以下の説明において、例えば基部に対して、「基部上に」との記載は、基部の上に接して配置される場合、基部の上に他の構造物を介して配置される場合、または基部の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、ある構成の上面との記載は、当該構成のZ軸方向プラス側の面、例えば「基部の上面」は基部のZ軸方向プラス側の面、を示すものとする。また、ある構成の下面との記載は、当該構成のZ軸方向マイナス側の面、例えば「蓋部の下面」は蓋部のZ軸方向マイナス側の面、を示すものとする。
【0011】
1. 実施形態1
図1は、実施形態1に係る慣性センサーを示す平面図である。なお、
図1では、説明の便宜上、蓋部8を透明化している。
図2は、
図1中のA-A線断面図である。
図3は、
図1に示す慣性センサーの部分拡大平面図である。
図4および
図5は、
図1に示す慣性センサーの部分拡大断面図である。
【0012】
図1に示す慣性センサー1は、X軸方向の加速度Axを検出することのできる加速度センサーである。このような慣性センサー1は、基部2と、基部2上に配置されたセンサー素子3と、センサー素子3を覆うように基部2に接合された蓋部8と、を有している。
【0013】
以下、実施形態1の慣性センサー1の詳細を、次の項目に分けて説明する。
1.1. 基部
1.2. 蓋部
1.3. センサー素子
1. 可動電極部
2. 固定電極部
3. スリット
1.4. 変形例
【0014】
1.1. 基部
図1に示すように、基部2は、平面視で、矩形の形状を有する。また、基部2は、上面側に開放する凹部21を有している。また、平面視で、凹部21は、センサー素子3を内側に内包するように、センサー素子3よりも大きく形成されている。この凹部21は、センサー素子3と基部2との接触を防止するための逃げ部として機能する。
【0015】
また、
図2に示すように、基部2は、凹部21の底面に設けられた突起状のマウント部22を有している。そして、このマウント部22にセンサー素子3が接合されている。
また、
図1に示すように、基部2は、上面側に開放する溝部25a,25b,25cを有している。また、溝部25a,25b,25cの一端部は、それぞれ、蓋部8の外側に位置し、他端部は、それぞれ、凹部21に接続されている。
【0016】
基部2には、例えば、可動イオンであるアルカリ金属イオンを含むガラス材料、例えば、パイテックス(登録商標)ガラスのような硼珪酸ガラスで構成されたガラス基板を用いることができる。これにより、基部2と蓋部8とを陽極接合により接合することができ、これらを強固に接合することができる。また、ガラス基板からなる基部2は、光透過性を有するため、慣性センサー1の外側から、基部2を介してセンサー素子3の状態を視認することができる。
【0017】
基部2は、ガラス基板に限定されない。基部2には、例えば、シリコン基板やセラミックス基板を用いてもよい。なお、シリコン基板を用いる場合は、短絡を防止する観点から、高抵抗のシリコン基板を用いるか、表面に熱酸化等によって、絶縁性酸化物であるシリコン酸化膜を形成したシリコン基板を用いることが好ましい。
【0018】
また、
図1に示すように、溝部25a,25b,25cには配線71,72,73が設けられている。また、溝部25a内の配線71の一端部は、それぞれ、蓋部8の外側に露出しており、外部装置との電気的な接続を行う端子として機能する。
また、
図2に示すように、配線71,72,73の他端部は、それぞれ、凹部21を介してマウント部22まで引き回されている。そして、配線71,72,73は、それぞれ、マウント部22上のコンタクト部c1,c2,c3において、センサー素子3と電気的に接続されている。
【0019】
配線71,72,73の構成材料は、特に限定されない。例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、Ti(チタン)、タングステン(W)等の金属材料、これら金属材料を含む合金、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)、IGZO等の酸化物系の透明導電性材料が挙げられる。また、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて、例えば2層以上の積層体とすることができる。
【0020】
1.2. 蓋部
図1に示すように、蓋部8は、平面視で、矩形の形状を有する。また、
図2に示すように、蓋部8は、下面側に凹部81を有している。そして、蓋部8は、凹部81内にセンサー素子3を収納するようにして、基部2に接合されている。そして、蓋部8および基部2によって、センサー素子3を収納する収納空間Sが形成されている。
【0021】
また、
図2に示すように、蓋部8は、収納空間Sの内外を連通する連通孔82を有しており、この連通孔82を介して収納空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、連通孔82内には封止部材83が配置され、封止部材83によって連通孔82が封止されている。
【0022】
封止部材83としては、連通孔82を封止できれば、特に限定されず、例えば、金(Au)/錫(Sn)系合金、金(Au)/ゲルマニウム(Ge)系合金、金(Au)/アルミニウム(Al)系合金等の各種合金、低融点ガラス等のガラス材料等を用いることができる。
【0023】
収納空間Sは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されて、使用温度(-40℃~80℃程度)で、ほぼ大気圧となっていることが好ましい。収納空間Sを大気圧とすることで、粘性抵抗が増してダンピング効果が発揮され、センサー素子3が有する可動部52の振動を速やかに収束ないし停止させることができる。そのため、加速度センサーとしての慣性センサー1の加速度の検出精度が向上する。
【0024】
このような蓋部8は、本実施形態では、シリコン基板で構成されている。なお、蓋部8は、シリコン基板に限定されない。蓋部8には、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。
また、基部2と蓋部8との接合方法は、特に限定されない。基部2と蓋部8との接合方法は、基部2や蓋部8の材料によって適宜選択すればよく、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基部2の上面および蓋部8の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等が挙げられる。
【0025】
本実施形態では、
図2に示すように、接合材の一例である低融点ガラスからなるガラスフリットgfを介して基部2と蓋部8とが接合されている。基部2と蓋部8とを重ね合わせた状態では、溝部25a、25b、25cを介して収納空間Sの内外が連通してしまうが、ガラスフリットgfを用いることで、基部2と蓋部8とを接合すると共に、溝部25a、25b、25cを封止することができ、より容易に、収納空間Sを気密封止することができる。
なお、基部2と蓋部8とを陽極接合等の溝部25a、25b、25cを封止できない接合方法で接合した場合には、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたCVD法等で形成されたSiO
2膜によって溝部25a、25b、25cを塞ぐことができる。
【0026】
1.3. センサー素子
図1に示すように、センサー素子3は、基部2に固定されている固定電極部4と、基部2に固定されている可動電極部5を有している。
【0027】
センサー素子3は、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされたシリコン基板をパターニングすることで形成することができる。
また、センサー素子3は、陽極接合によって基部2のマウント部22に接合されている。ただし、センサー素子3の材料や、センサー素子3の基部2への接合方法は、特に限定されない。
【0028】
なお、センサー素子3の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、20μm以上50μm以下である。これにより、センサー素子3の機械的強度を十分に維持しつつ、センサー素子3を薄くすることができる。そのため、慣性センサー1の小型化ないし低背化を図ることができる。
【0029】
1.3.1. 可動電極部
可動電極部5は、可動部支持部51と、可動部52と、バネ部53、およびバネ部54と、を有する。これら可動部支持部51、可動部52、バネ部53、およびバネ部54は、一体に形成され、電気的にも接続されている。
【0030】
可動部支持部51は、マウント部22に固定された支持部511と、支持部511に接続された懸架部512と、を有している。
可動部52は、可動部支持部51に対してX軸方向に変位可能に設けられる。また、可動部52は、可動電極部56を有する。
可動電極部56は、第1可動電極部561および第2可動電極部562を有している。第1可動電極部561は、第1可動電極指561a、561bを有している。第2可動電極部562は、第2可動電極指562a,562bを有している。
バネ部53とバネ部54とは、可動部支持部51と可動部52とを連結する。
【0031】
1.3.1.1. 可動部支持部
図1に示すように、可動部支持部51は、支持部511と懸架部512とを有し、第1固定電極部41と第2固定電極部42との間に設けられている。
【0032】
支持部511は、第1部分511aを有する。
第1部分511aは、
図2に示すように、支持部511において、接合部j1を介してマウント部22に接合された部分である。接合部j1は、第1部分511aとマウント部22とが陽極接合した部分を示す。本実施形態において、第1部分511aは、第1連結部に対応する。
また、支持部511は、コンタクト部c1を介して配線71と電気的に接続されている。
【0033】
懸架部512は、支持部511のX軸方向プラス側に位置し、X軸方向に延在する細長い板状の形状をなしている。そして、懸架部512のX軸方向マイナス側の端部が支持部511に接続されている。
また、懸架部512の幅、すなわち、Y軸方向の長さは、支持部511の幅、すなわち、Y軸方向の長さよりも小さい。これにより、懸架部512の小型化を図ることができ、懸架部512の周囲に位置する可動部52の大型化を伴うことなく、可動部52の質量を大きくすることができる。そのため、センサー素子3の大型化を抑えつつ、より精度よく物理量を検出することができる。なお、以下では、平面視で、懸架部512をY軸方向に二等分する仮想軸を中心軸Lとする。本実施形態において、懸架部512は、第2連結部に対応する。
【0034】
1.3.1.2. 可動部
図1に示すように、可動部52は、平面視で、枠状をなしており、可動部支持部51、バネ部53,54、第1固定電極部41、および第2固定電極部42を囲んでいる。このように、可動部52を枠状とすることで、可動部52のサイズを抑えつつ、可動部52の質量をより大きくすることができる。そのため、センサー素子3の大型化を抑えつつ、より精度よく物理量を検出することができる。
【0035】
また、可動部52は、Y軸方向に並んで配置された第1開口部528および第2開口部529を有している。そして、第1開口部528内に第1固定電極部41および第1可動電極部561が配置されており、第2開口部529内に第2固定電極部42および第2可動電極部562が配置されている。
【0036】
第1可動電極部561は、懸架部411のY軸方向両側に位置し、Y軸方向に延在する複数の第1可動電極指561a、561bを有している。
第1可動電極指561aは、懸架部411のY軸方向プラス側に位置する。
第1可動電極指561bは、懸架部411のY軸方向マイナス側に位置する。また、第1可動電極指561a、561bは、それぞれ、X軸方向に沿って互いに離間して複数設けられている。
【0037】
第1可動電極指561a,561bは、対応する第1固定電極指412に対してX軸方向プラス側に位置し、この第1固定電極指412とギャップを介して対向している。
【0038】
複数の第1可動電極指561aの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸減している。一方、複数の第1可動電極指561bの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸増している。
【0039】
第2可動電極部562は、懸架部421のY軸方向両側に位置し、Y軸方向に延在する複数の第2可動電極指562a,562bを有している。
第2可動電極指562aは、懸架部421のY軸方向プラス側に位置する。
第2可動電極指562bは、懸架部421のY軸方向マイナス側に位置する。また、第2可動電極指562a、562bは、それぞれ、X軸方向に沿って互いに離間して複数設けられている。
【0040】
また、各第2可動電極指562a,562bは、対応する第2固定電極指422に対してX軸方向マイナス側に位置し、この第2固定電極指422とギャップを介して対向している。
【0041】
また、複数の第2可動電極指562aの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸増している。一方、複数の第2可動電極指562bの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸減している。
【0042】
可動部52は、枠部521、第1Y軸延在部522、第1X軸延在部523、第2Y軸延在部524、および第2X軸延在部525を有している。
【0043】
枠部521は、第1固定電極部41および第2固定電極部42を囲むように設けられる。
第1Y軸延在部522は、第1開口部528のX軸方向プラス側に位置し、枠部521からY軸方向マイナス側へ延出する。
第1X軸延在部523は、第1Y軸延在部522の先端部からX軸方向マイナス側へ延出する。
第2Y軸延在部524は、第2開口部529のX軸方向プラス側に位置し、枠部521からY軸方向プラス側へ延出する。
第2X軸延在部525は、第2Y軸延在部524の先端部からX軸方向マイナス側へ延出する。
【0044】
第1Y軸延在部522および第2Y軸延在部524は、それぞれ、バネ部53の近くに、バネ部53に沿って配置されており、第1X軸延在部523および第2X軸延在部525は、それぞれ、可動部支持部51の近くに位置し、可動部支持部51に沿って配置されている。
【0045】
また、可動部52は、第1開口部528の余ったスペースを埋めるように、枠部521から第1開口部528内へ突出する第1突出部526と、第2開口部529の余ったスペースを埋めるように、枠部521から第2開口部529内へ突出する第2突出部527と、を有している。
このように、第1突出部526および第2突出部527を設けることで、可動部52の大型化を招くことなく、可動部52の質量をより大きくすることができる。そのため、より感度の高い慣性センサー1となる。
【0046】
1.3.1.3. バネ部
バネ部53は、
図1に示すように、可動部52のX軸方向プラス側の端部と可動部支持部51のX軸方向プラス側の端部とを連結する。
バネ部54は、可動部52のX軸方向マイナス側の端部と可動部支持部51のX軸方向マイナス側の端部とを連結する。
バネ部53およびバネ部54は、可動部52をX軸方向の両側で支持する。したがって、可動部52の姿勢および挙動が安定して、より高い精度で、加速度を検出することができる。
【0047】
1.3.2. 固定電極部
固定電極部4は、第1固定電極部41および第2固定電極部42を有している。
第1固定電極部41は、第1開口部528内に位置し、第2固定電極部42は、第2開口部529内に位置する。また、第1固定電極部41と第2固定電極部42とは、中心軸Lを対称の軸として線対称に設けられている。
【0048】
第1固定電極部41は、マウント部22に固定された支持部413と、支持部413に支持された懸架部411と、懸架部411からY軸方向両側に延出した複数の第1固定電極指412と、を有している。なお、支持部413、懸架部411および各第1固定電極指412は、一体形成されている。
図2に示すように、支持部413は、第1部分413aを有する。第1部分413aは、支持部413において、接合部j2を介してマウント部22に接続された部分である。接合部j2は、第1部分413aとマウント部22とが陽極接合した部分を示す。本実施形態において、第1部分413aは、第1連結部に対応する。
また、支持部413は、コンタクト部c2を介して配線72と電気的に接続されている。
【0049】
図1に示すように、懸架部411は、細長い棒状の形状をなし、その一端が支持部413に接続されている。また、懸架部411の幅、すなわち、Y軸方向の長さは、支持部413の幅、すなわち、Y軸方向の長さよりも小さい。本実施形態において、懸架部411は、第2連結部に対応する。
【0050】
また、懸架部411は、平面視で、X軸およびY軸のそれぞれに対して傾斜した方向に延在している。より具体的には、懸架部411は、その先端側に向けて中心軸Lとの離間距離が大きくなるように傾斜している。このような配置とすることで、支持部413を支持部511の近くに配置し易くなる。なお、X軸に対する懸架部411の傾きとしては、特に限定されないが、10°以上、45°以下であること好ましく、10°以上、30°以下であることがより好ましい。これにより、第1固定電極部41のY軸方向への広がりを抑制することができ、センサー素子3の小型化を図ることができる。
【0051】
第1固定電極指412は、懸架部411からY軸方向両側に延出している。すなわち、第1固定電極指412は、懸架部411のY軸方向プラス側に位置する第1固定電極指412aと、Y軸方向マイナス側に位置する第1固定電極指412bと、を有している。また、第1固定電極指412a,412bは、それぞれ、X軸方向に沿って互いに離間して複数設けられている。
【0052】
複数の第1固定電極指412aの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸減している。一方、複数の第1固定電極指412bの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸増している。
【0053】
第2固定電極部42は、マウント部22に固定された支持部423と、支持部423に支持された懸架部421と、懸架部421からY軸方向両側に延出した複数の第2固定電極指422と、を有している。なお、支持部423、懸架部421および各第2固定電極指422は、一体形成されている。
図2に示すように、支持部423は、第1部分423aを有する。第1部分423aは、支持部423において、接合部j3を介してマウント部22に接続された部分である。接合部j3は、第1部分423aとマウント部22とが陽極接合した部分を示す。本実施形態において、第1部分423aは、第1連結部に対応する。
また、支持部423は、コンタクト部c3を介して配線73と電気的に接続されている。
【0054】
また、懸架部421は、棒状の長手形状をなし、その一端が支持部423に接続されている。また、懸架部421の幅、すなわち、Y軸方向の長さは、支持部423の幅、すなわち、Y軸方向の長さよりも小さい。本実施形態において、懸架部421は、第2連結部に対応する。
【0055】
また、懸架部421は、平面視で、X軸およびY軸のそれぞれに対して傾斜した方向に延在している。より具体的には、懸架部421は、その先端側に向けて中心軸Lとの離間距離が大きくなるように傾斜している。このような配置とすることで、支持部423を支持部511の近くに配置し易くなる。なお、X軸に対する懸架部421の傾きとしては、特に限定されないが、10°以上、45°以下であること好ましく、10°以上、30°以下であることがより好ましい。これにより、第2固定電極部42のY軸方向への広がりを抑制することができ、センサー素子3の小型化を図ることができる。
【0056】
また、第2固定電極指422は、懸架部421からY軸方向両側に延出している。すなわち、第2固定電極指422は、懸架部421のY軸方向プラス側に位置する第2固定電極指422aと、Y軸方向マイナス側に位置する第2固定電極指422bと、を有している。また、第2固定電極指422a、422bは、それぞれ、X軸方向に沿って互いに離間して複数設けられている。
【0057】
また、複数の第2固定電極指422aの長さ。すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸増している。一方、複数の第2固定電極指422bの長さ、すなわち、Y軸方向の長さは、X軸方向プラス側に向けて漸減している。
【0058】
このようなセンサー素子3にX軸方向の加速度が加わると、その加速度の大きさに基づいて、可動部52がバネ部53,54を弾性変形させながらX軸方向に変位する。
このような変位に伴って、第1可動電極指561a,561bと第1固定電極指412とのギャップおよび第2可動電極指562a,562bと第2固定電極指422とのギャップがそれぞれ変化する。この変位に伴って、第1可動電極指561a,561bと第1固定電極指412との間の静電容量および第2可動電極指562a,562bと第2固定電極指422との間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。そして、これら静電容量の変化に基づいて、X軸方向の加速度Axを検出することができる。
【0059】
1.3.3. スリット
図4および
図5に示すように、スリットs1,s2,s3は、それぞれセンサー素子3を貫通する貫通孔である。スリットs1,s2,s3は、外部応力や接合応力など応力による影響を緩和するために設けられる。
【0060】
図3に示すように、スリットs1は、支持部511の第2部分511cに設けられる。
第2部分511cは、支持部511において、平面視で、接合部j1と重ならない部分である。換言すると、第2部分511cは、支持部511において、マウント部22に接合されていない部分である。本実施形態において、第2部分511cは、第3連結部に対応する。すなわち、スリットs1は、支持部511の第3連結部に設けられる。スリットs1は、平面視で、マウント部22と重ならない位置に配置される。なお、スリットs1は、平面視で、マウント部22と重なってもよい。
【0061】
スリットs2は、支持部413の第2部分413cに設けられる。
第2部分413cは、支持部413において、平面視で、接合部j2と重ならない部分である。換言すると、第2部分413cは、支持部413において、マウント部22に接合されていない部分である。本実施形態において、第2部分413cは、第3連結部に対応する。すなわち、スリットs2は、支持部413の第3連結部に設けられる。スリットs2は、平面視で、マウント部22と重ならない位置に配置される。なお、スリットs2は、平面視で、マウント部22と重なってもよい。
【0062】
スリットs3は、支持部423の第2部分423cに設けられる。
第2部分423cは、支持部423において、平面視で、接合部j3と重ならない部分である。換言すると、第2部分423cは、支持部423において、マウント部22に接合されていない部分である。本実施形態において、第2部分423cは、第3連結部に対応する。すなわち、スリットs3は、支持部423の第3連結部に設けられる。スリットs3は、平面視で、マウント部22と重ならない位置に配置される。なお、スリットs3は、平面視で、マウント部22と重なってもよい。
【0063】
支持部511の第2部分511cは、第1部分511aと懸架部512との間に位置する。本実施形態において、第2部分511cは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22から張り出している。第2部分511cを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0064】
第2部分511cにスリットs1を設けることで、接合部j1および第1部分511aを介して可動部52に伝達される外部応力や接合応力などの応力を緩和することできる。したがって、外部応力や接合応力など応力によって、測定精度が低下することを抑制することができ、より精度よく、加速度Axを検出することができる。
【0065】
支持部413の第2部分413cは、第1部分413aと懸架部411との間に位置する。本実施形態において、第2部分413cは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22から張り出している。第2部分413cを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0066】
第2部分413cにスリットs2を設けることで、接合部j2および第1部分413aを介して第1固定電極部41に伝達される外部応力や接合応力などの応力を緩和することできる。したがって、外部応力や接合応力など応力によって、測定精度が低下することを抑制することができ、より精度よく、加速度Axを検出することができる。
【0067】
支持部423の第2部分423cは、第1部分423aと懸架部421との間に位置する。本実施形態において、第2部分423cは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22から張り出している。第2部分423cを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0068】
第2部分423cにスリットs3を設けることで、接合部j3および第1部分423aを介して第2固定電極部42に伝達される外部応力や接合応力などの応力を緩和することできる。したがって、外部応力や接合応力など応力によって、測定精度が低下することを抑制することができ、より精度よく、加速度Axを検出することができる。
【0069】
このように、センサー素子3は、スリットs1,s2,s3を有するため、マウント部22を介して伝達される外部応力や接合応力などの応力に起因した第1可動電極指561a,561bと第1固定電極指412との相対位置の変化および第2可動電極指562a,562bと第2固定電極指422との相対位置の変化を抑制することができる。
そのため、自然状態における第1可動電極指561a,561bと第1固定電極指412の間の静電容量および第2可動電極指562a,562bと第2固定電極指422との間の静電容量の変化を抑制することができる。これにより、慣性センサー1は、より精度よく、加速度Axを検出することができる。
【0070】
1.4. 変形例
前述した実施形態は多様に変形され得る。以下に、具体的な変形の態様を例示する。
図6は、本実施形態の変形例に係る慣性センサーを示す断面図である。
図7は、
図6に示す慣性センサーの部分拡大平面図である。
【0071】
変形例に係る慣性センサー1は、主にスリットs1,s2,s3、マウント部22、および第1部分511a,413a,423aの構成が、実施形態1の慣性センサー1と異なる。なお、以下の説明では、実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
図6に示すように、基部2は、凹部21に設けられた3つのマウント部22a,22b,22cを有している。これらマウント部22a,22b,22cは、前述した実施形態のマウント部22をY軸方向に3つに分割したものと言える。
【0073】
マウント部22aには、配線71が引き回されている。また、マウント部22bには、配線72が引き回されている。また、マウント部22cには、配線73が引き回されている。
マウント部22aは、接合部j1を介して、支持部511に接合されている。また、マウント部22bは、接合部j2を介して、支持部413に接合されている。また、マウント部22cは、接合部j3を介して、支持部423に接合されている。
【0074】
図7に示すように、支持部511の第2部分511cは、複数のスリットs1を有する。変形例において、スリットs1は、略円柱形状の貫通孔である。なお、スリットs1の形状は、楕円柱、三角柱、四角柱などであってもよい。また、スリットs1の数は、特に限定されない。また、スリットs1は、X軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
【0075】
同様に、支持部413の第2部分413cは、複数のスリットs2を有する。変形例において、スリットs2は、略円柱形状の貫通孔である。なお、スリットs2の形状は、楕円柱、三角柱、四角柱などであってもよい。また、スリットs2の数は、特に限定されない。また、スリットs2は、X軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
【0076】
同様に、支持部423の第2部分423cは、複数のスリットs3を有する。変形例において、スリットs3は、略円柱形状の貫通孔である。なお、スリットs3の形状は、楕円柱、三角柱、四角柱などであってもよい。また、スリットs3の数は、特に限定されない。また、スリットs3は、X軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
なお、スリットs1,s2,s3は、好適には、センサー素子3を貫通する貫通孔であるが、外部応力や接合応力などの応力の抑制機能を有する場合は、有底の溝としてもよい。
【0077】
上述した慣性センサー1は、X軸方向の加速度Axを検出することのできる加速度センサーであるが、本実施形態の慣性センサー1は、Y軸方向の加速度を検出することのできる加速度センサーに適用することもできる。また、本実施形態の慣性センサー1は、Z軸方向の加速度を検出することのできる加速度センサーに適用することもできる。また、本実施形態の慣性センサー1は、角速度を検出する角速度センサーに適用することもできる。
【0078】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22が設けられた基板としての基部2と、マウント部22に接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線71と、を備え、センサー素子3は、マウント部22に接合部j1を介して接合された第1連結部としての支持部511の第1部分511aと、電極指としての第1可動電極指561aを有する第2連結部としての懸架部512と、支持部511の第1部分511aと懸架部512との間に設けられ、懸架部512よりも幅広の第3連結部としての支持部511の第2部分511cと、を有し、支持部511の第2部分511cは、貫通孔としてのスリットs1を有する。
【0079】
このように、懸架部512よりも幅広の支持部511の第2部分511cにスリットs1を有するため、接合部j1を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0080】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22が設けられた基板としての基部2と、マウント部22に接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線72または配線73と、を備え、センサー素子3は、マウント部22に接合部j2または接合部j3を介して接合された第1連結部としての支持部413の第1部分413aまたは支持部423の第1部分423aと、電極指としての第1固定電極指412または第2固定電極指422を有する第2連結部としての懸架部411または懸架部421と、支持部413の第1部分413aと懸架部411との間または支持部423の第1部分423aと懸架部421との間に設けられ、懸架部411または懸架部421よりも幅広の第3連結部としての支持部413の第2部分413cまたは支持部423の第2部分423cと、を有し、支持部413の第2部分413cまたは支持部423の第2部分423cは、貫通孔としてのスリットs2またはスリットs3を有する。
【0081】
このように、懸架部411よりも幅広の支持部413の第2部分413cにスリットs2を有するため、接合部j2を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。または、懸架部421よりも幅広の支持部423の第2部分423cにスリットs3を有するため、接合部j3を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0082】
また、本実施形態の慣性センサー1は、さらに、第3連結部としての支持部511の第2部分511cは、貫通孔としてのスリットs1を複数有する。
このようにスリットs1を複数有するため、接合部j1を介して伝達される応力の影響を複数のスリットs1で分散して緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態の慣性センサー1は、さらに、第3連結部としての支持部413の第2部分413cは、貫通孔としてのスリットs2を複数有する。または、第3連結部としての支持部423の第2部分423cは、貫通孔としてのスリットs3を複数有する。
このようにスリットs2またはスリットs3を複数有するため、接合部j2または接合部j3を介して伝達される応力の影響を複数のスリットs2または複数のスリットs3で分散して緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0084】
また、本実施形態の慣性センサー1は、さらに、貫通孔としてのスリットs1は、平面視で、マウント部22と接合していない。
このようにスリットs1は、平面視で、マウント部22と接合していない。換言すると、スリットs1を有する支持部511の第2部分511cは、マウント部22と接合していない。よって、接合部j1を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0085】
また、本実施形態の慣性センサー1は、さらに、貫通孔としてのスリットs2またはスリットs3は、平面視で、マウント部22と接合していない。
このようにスリットs2またはスリットs3は、平面視で、マウント部22と接合していない。換言すると、スリットs2を有する支持部413の第2部分413cまたはスリットs3を有する支持部423の第2部分423cは、マウント部22と接合していない。よって、接合部j2または接合部j3を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0086】
2. 実施形態2
図8は、実施形態2に係る慣性センサーを示す平面図である。なお、
図8では、説明の便宜上、蓋部8を透明化している。
図9は、
図8中のD-D線断面図である。
図10は、
図8中のE-E線断面図である。
図11、
図12A、および
図12Bは、
図8に示す慣性センサーの部分拡大平面図である。なお、実施形態2において、実施形態1と同じ構成には、同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。
【0087】
図8に示す慣性センサー1は、Y軸方向の加速度Ayを検出することのできる加速度センサーである。このような慣性センサー1は、基部2と、基部2上に配置されたセンサー素子3と、センサー素子3を覆うように基部2に接合された蓋部8と、を有している。
【0088】
以下、実施形態2の慣性センサー1の詳細を、次の項目に分けて説明する。
2.1. 基部
2.2. 蓋部
2.3. センサー素子
1. 可動電極部
2. 固定電極部
3. スリット
2.4. 変形例
1. 変形例1
2. 変形例2
3. 変形例3
【0089】
2.1. 基部
図8に示すように、基部2は、平面視で、矩形の形状を有する。また、基部2は、上面側に開放する凹部21を有している。また、平面視で、凹部21は、センサー素子3を内側に内包するように、センサー素子3よりも大きく形成されている。この凹部21は、センサー素子3と基部2との接触を防止するための逃げ部として機能する。
【0090】
また、
図10に示すように、基部2は、Y軸方向に沿って、凹部21の底面に設けられた突起状のマウント部22d,22e,22fを有している。そして、このマウント部22d,22e,22fにセンサー素子3が接合されている。
また、基部2の周辺の上面には、図示しない絶縁層を介して、半導体層3sが設けられる。半導体層3sは、基部2に絶縁層を介して貼り合わせられたシリコン基板の一部である。シリコン基板には、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされる。半導体層3sとセンサー素子3とは、当該シリコン基板をパターニングすることで形成される。シリコン基板は、絶縁層を介して基部2に貼り合わせられ、SOI(Silicon On Insulator)基板を構成する。
【0091】
図8に示すように、マウント部22eは、Y軸方向の中央において、X軸方向に沿って延在するように設けられており、マウント部22eの上面にセンサー素子3の導電部61と導電部91aと導電部91bとが接合されている。
マウント部22dは、マウント部22eのY軸方向プラス側において、X軸方向の中央に設けられており、マウント部22dの上面にセンサー素子3の支持部63aと支持部93aと支持部93bとが接合されている。
マウント部22fは、マウント部22eのY軸方向マイナス側において、X軸方向の中央に設けられており、マウント部22eの上面にセンサー素子3の支持部63bと支持部93cと支持部93dとが接合されている。
【0092】
本実施形態において、基部2には、シリコン基板を用いる。なお、基部2は、ガラス基板やセラミックス基板であってもよい。
【0093】
2.2. 蓋部
図8に示すように、蓋部8は、平面視で、矩形の形状を有する。
図9に示すように、蓋部8は、半導体層3sに接合されている。蓋部8は、下面側に開放する凹部81を有する。蓋部8の凹部81、半導体層3s、および基部2の凹部21によって囲まれた収納空間Sには、センサー素子3の可動電極部6および固定電極部9が収容されている。
【0094】
本実施形態では、蓋部8は、ガラス基板を用いる。なお、蓋部8は、シリコン基板やセラミックス基板であってもよい。
また、蓋部8と半導体層3sとの接合方法は、特に限定されない。基部2と半導体層3sとの接合方法は、蓋部8の材料によって適宜選択すればよい。なお、本実施形態では、接合材の一例である低融点ガラスからなるガラスフリットを介して基部2と半導体層3sとを接合する。
【0095】
蓋部8の上面には、外部接続用の端子75、端子76、および端子77が設けられる。また、蓋部8の下面には、配線75w、配線76w、および配線77wが設けられる。
端子75は、蓋部8を貫通する導電部材85を介して、配線75wに電気的に接続されている。
端子76は、蓋部8を貫通する導電部材86を介して、配線76wに電気的に接続されている。
端子77は、蓋部8を貫通する導電部材87を介して、配線77wに電気的に接続されている。
【0096】
配線75wは、センサー素子3の導電部61に接触して、導電部61に電気的に接続されている。
配線76wは、センサー素子3の導電部91aに接触して、導電部91aに電気的に接続されている。
配線77wは、センサー素子3の導電部91bに接触して、導電部91bに電気的に接続されている。
【0097】
なお、本実施形態では、センサー素子3の導電部61の厚みを厚くして、蓋部8側に突出させることで、配線75wに接触させる構成としたが、これに限らず、蓋部8に導電部61側に突出する凸部を設けて、凸部の下面に配線75wを引き回して、配線75wと導電部61とを接触させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、センサー素子3の導電部91aの厚みを厚くして、蓋部8側に突出させることで、配線76wに接触させる構成としたが、これに限らず、蓋部8に導電部91a側に突出する凸部を設けて、凸部の下面に配線76wを引き回して、配線76wと導電部91aとを接触させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、センサー素子3の導電部91bの厚みを厚くして、蓋部8側に突出させることで、配線77wに接触させる構成としたが、これに限らず、蓋部8に導電部91b側に突出する凸部を設けて、凸部の下面に配線77wを引き回して、配線77wと導電部91bとを接触させる構成としてもよい。
【0098】
2.3. センサー素子
図8に示すように、センサー素子3は、基部2に固定されている可動電極部6と、基部2に固定されている固定電極部9とを有している。
【0099】
センサー素子3は、陽極接合によって基部2のマウント部22d,22e,22fに接合されている。ただし、センサー素子3の材料や、センサー素子3の基部2への接合方法は、特に限定されない。
【0100】
2.3.1. 可動電極部
可動電極部6は、導電部61、配線部62a,62b、支持部63a,63b、バネ部64a,64b、可動部65、および可動電極66を有する。可動電極66は、可動電極66a,66b,66c,66dを有し、可動電極66a,66b,66c,66dは、それぞれ櫛歯状の電極指661を有する。これら導電部61、配線部62a,62b、支持部63a,63b、バネ部64a,64b、可動部65、および可動電極66a,66b,66c,66dは、一体に形成され、電気的にも接続されている。
【0101】
2.3.1.1. 導電部
図9に示すように、導電部61は、シリコン基板をパターニングする際に、可動電極部6の他の構成よりも厚く形成され、導電部61の上面側が、蓋部8側に突出した構造を有する。
導電部61の上面側は、蓋部8の配線75wに接触して、端子75に電気的に接続される。導電部61の下面側は、接合部j61を介して、基部2のマウント部22eに接合される。接合部j61は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
【0102】
図11に示すように、導電部61は、平面視で、接合部j61と重なる第1部分611と、接合部j61と重ならない第2部分612とを有する。換言すると、第1部分611は、マウント部22eに直接接合されている部分であり、第2部分612は、マウント部22eに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、第1部分611は第1連結部に対応し、第2部分612は第3連結部に対応する。
【0103】
2.3.1.2. 支持部
支持部63aは、
図10に示すように、接合部j62を介して、基部2のマウント部22dに接合される。接合部j62は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
図12Aに示すように、支持部63aは、平面視で、接合部j62と重なる第1部分631aと、接合部j62と重ならない第2部分632aとを有する。換言すると、支持部63aの第1部分631aは、マウント部22dに直接接合されている部分であり、支持部63aの第2部分632aは、マウント部22dに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部63aの第2部分632aは、第3連結部に対応する。
【0104】
支持部63bは、
図10に示すように、接合部j63を介して、基部2のマウント部22fに接合される。接合部j63は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
図12Bに示すように、支持部63bは、平面視で、接合部j63と重なる第1部分631bと、接合部j63と重ならない第2部分632bとを有する。換言すると、支持部63bの第1部分631bは、マウント部22fに直接接合されている部分であり、支持部63bの第2部分632bは、マウント部22fに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部63bの第2部分632bは、第3連結部に対応する。
【0105】
2.3.1.3. 配線部
配線部62aは、
図8に示すように、導電部61と支持部63aとの間に設けられる。配線部62aの幅は、導電部61の第2部分612または支持部63aの第2部分632aの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部62aの小型化を図ることができる。また、配線部62aは、バネ部としての機能を有する。
【0106】
配線部62bは、導電部61と支持部63bとの間に設けられる。配線部62bの幅は、導電部61の第2部分612または支持部63bの第2部分632bの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部62bの小型化を図ることができる。また、配線部62bは、バネ部としての機能を有する。
【0107】
2.3.1.4. 可動部
可動部65は、
図8に示すように、平面視で、枠状をなしており、Y軸延在部65a、X軸延在部65b、Y軸延在部65c、およびX軸延在部65dを有する。
可動部65は、Y軸延在部65aと支持部63aとの間に設けられたバネ部64aと、Y軸延在部65cと支持部63bとの間に設けられたバネ部64bとによって、Y軸方向に揺動可能に設けられている。なお、バネ部64a,64bの幅は、配線部62a,62bと同程度か、それ以下の幅に形成される。
【0108】
可動部65のX軸延在部65bには、可動電極66bと可動電極66dとが設けられる。可動電極66bと可動電極66dとは、それぞれ複数設けられる。可動電極66b,66dは、それぞれ櫛歯状の電極指661を有する。
可動部65のX軸延在部65dには、可動電極66aと可動電極66cとが設けられる。可動電極66aと可動電極66cとは、それぞれ複数設けられる。可動電極66a,66cは、それぞれ櫛歯状の電極指661を有する。
【0109】
可動電極66a、可動電極66b、可動電極66c、および可動電極66dには、それぞれ電極指661が設けられる。なお、可動電極66a、可動電極66b、可動電極66c、および可動電極66dの幅は、配線部62a,62bと同程度か、それ以下の幅に形成される。
【0110】
2.3.2. 固定電極部
固定電極部9は、
図8に示すように、導電部61のX軸方向マイナス側に設けられた第1固定電極部9aと、導電部61のX軸方向プラス側に設けられた第2固定電極部9bと、を有する。
【0111】
2.3.2.1 第1固定電極部
第1固定電極部9aは、導電部91a、配線部92a,92c、支持部93a,93c、および固定電極96を有する。固定電極96は、固定電極96a,96cを有し、固定電極96a,96cは、それぞれ櫛歯状の電極指961を有する。これら導電部91a、配線部92a,92c、支持部93a,93c、および固定電極96a,96cは、一体に形成され、電気的にも接続されている。
【0112】
2.3.2.1.1. 導電部
図9に示すように、導電部91aは、半導体層3sを含むシリコン基板をパターニングする際に、第1固定電極部9aの他の構成よりも厚く形成され、導電部91aの上面側が、蓋部8側に突出した構造を有する。
導電部91aの上面側は、蓋部8の配線76wに接触して、端子76に電気的に接続される。導電部91aの下面側は、接合部j91を介して、基部2のマウント部22eに接合される。接合部j91は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
図11に示すように、導電部91aは、平面視で、接合部j91と重なる第1部分911aと、接合部j91と重ならない第2部分912aとを有する。換言すると、第1部分911aは、マウント部22eに直接接合されている部分であり、第2部分912aは、マウント部22eに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、第1部分911aは、第1連結部に対応し、第2部分912aは、第3連結部に対応する。
【0113】
2.3.2.1.2. 支持部
支持部93aは、
図10に示すように、接合部j92を介して、基部2のマウント部22dに接合される。接合部j92は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
図12Aに示すように、支持部93aは、平面視で、接合部j92と重なる第1部分931aと、接合部j92と重ならない第2部分932aとを有する。換言すると、支持部93aの第1部分931aは、マウント部22dに直接接合されている部分であり、支持部93aの第2部分932aは、マウント部22dに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部93aの第2部分932aは、第3連結部に対応する。
【0114】
支持部93aの第2部分932aは、第1部分931aと固定電極96aとの間に位置する。また、支持部93aの第2部分932aは、第1部分931aと配線部92aとの間に位置する。本実施形態において、第2部分932aは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22dから張り出している。第2部分932aを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0115】
支持部93cは、
図10に示すように、接合部j93を介して、基部2のマウント部22fに接合される。接合部j93は、センサー素子3と基部2と陽極接合した部分を示す。
図12Bに示すように、支持部93cは、平面視で、接合部j93と重なる第1部分931cと、接合部j93と重ならない第2部分932cとを有する。換言すると、支持部93cの第1部分931cは、マウント部22fに直接接合されている部分であり、支持部93cの第2部分932cは、マウント部22fに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部93cの第2部分932cは、第3連結部に対応する。
【0116】
支持部93cの第2部分932cは、第1部分931cと固定電極96cとの間に位置する。また、支持部93cの第2部分932cは、第1部分931cと配線部92cとの間に位置する。本実施形態において、第2部分932cは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22fから張り出している。第2部分932cを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0117】
2.3.2.1.3. 固定電極
固定電極96aは、
図8に示すように、支持部93aからX軸方向マイナス側に延在している。固定電極96aは、櫛歯状の電極指961を有し、可動電極66aの電極指661と対向するように設けられる。なお、固定電極96aの幅は、可動電極66aの幅と同程度に形成される。
【0118】
固定電極96cは、支持部93cからX軸方向マイナス側に延在している。固定電極96cは、櫛歯状の電極指961を有し、可動電極66cの電極指661と対向するように設けられる。なお、固定電極96cの幅は、可動電極66cの幅と同程度に形成される。
【0119】
2.3.2.1.4. 配線部
配線部92aは、
図8に示すように、導電部91aと支持部93aとの間に設けられる。配線部92aの幅は、導電部91aの第2部分912aまたは支持部93aの第2部分932aの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部92aの小型化を図ることができる。また、配線部92aは、バネ部としての機能を有する。
【0120】
配線部92cは、導電部91aと支持部93cとの間に設けられる。配線部92cの幅は、導電部91aの第2部分912aまたは支持部93cの第2部分932cの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部92cの小型化を図ることができる。また、配線部92cは、バネ部としての機能を有する。
【0121】
2.3.2.2 第2固定電極部
第2固定電極部9bは、導電部91b、配線部92b,92d、支持部93b,93d、および固定電極96を有する。固定電極96は、固定電極96b,96dを有し、固定電極96b,96dは、それぞれ櫛歯状の電極指961を有する。これら導電部91b、配線部92b,92d、支持部93b,93d、および固定電極96b,96dは、一体に形成され、電気的にも接続されている。
【0122】
2.3.2.2.1. 導電部
図9に示すように、導電部91bは、半導体層3sを含むシリコン基板をパターニングする際に、第2固定電極部9bの他の構成よりも厚く形成され、導電部91bの上面側が、蓋部8側に突出した構造を有する。
導電部91bの上面側は、蓋部8の配線77wに接触して、端子77に電気的に接続される。導電部91bの下面側は、接合部j91を介して、基部2のマウント部22eに接合される。
図11に示すように、導電部91bは、平面視で、接合部j91と重なる第1部分911bと、接合部j91と重ならない第2部分912bとを有する。換言すると、第1部分911bは、マウント部22eに直接接合されている部分であり、第2部分912bは、マウント部22eに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、第1部分911bは、第1連結部に対応し、第2部分912bは、第3連結部に対応する。
【0123】
2.3.2.2.2. 支持部
支持部93bは、接合部j92を介して、基部2のマウント部22dに接合される。
図12Aに示すように、支持部93bは、平面視で、接合部j92と重なる第1部分931bと、接合部j92と重ならない第2部分932bとを有する。換言すると、支持部93bの第1部分931bは、マウント部22dに直接接合されている部分であり、支持部93bの第2部分932bは、マウント部22dに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部93bの第2部分932bは、第3連結部に対応する。
【0124】
支持部93bの第2部分932bは、第1部分931bと固定電極96bとの間に位置する。また、支持部93bの第2部分932bは、第1部分931bと配線部92bとの間に位置する。本実施形態において、第2部分932bは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22dから張り出している。第2部分932bを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0125】
支持部93dは、接合部j93を介して、基部2のマウント部22fに接合される。
図12Bに示すように、支持部93dは、平面視で、接合部j93と重なる第1部分931dと、接合部j93と重ならない第2部分932dとを有する。換言すると、支持部93dの第1部分931dは、マウント部22fに直接接合されている部分であり、支持部93dの第2部分932dは、マウント部22fに直接接合されていない部分である。なお、本実施形態において、支持部93dの第2部分932dは、第3連結部に対応する。
【0126】
支持部93dの第2部分932dは、第1部分931dと固定電極96dとの間に位置する。支持部93dの第2部分932dは、第1部分931dと配線部92dとの間に位置する。本実施形態において、第2部分932dは、基部2と離間しており、平面視で、マウント部22fから張り出している。第2部分932dを張り出し部と呼ぶこともできる。
【0127】
2.3.2.2.3. 固定電極
固定電極96bは、
図8に示すように、支持部93bからX軸方向プラス側に延在している。固定電極96bは、櫛歯状の電極指961を有し、可動電極66bの電極指661と対向するように設けられる。なお、固定電極96bの幅は、可動電極66bの幅と同程度に形成される。
【0128】
固定電極96dは、支持部93dからX軸方向プラス側に延在している。固定電極96dは、櫛歯状の電極指961を有し、可動電極66dの電極指661と対向するように設けられる。なお、固定電極96dの幅は、可動電極66dの幅と同程度に形成される。
【0129】
2.3.2.2.4. 配線部
配線部92bは、
図8に示すように、導電部91bと支持部93bとの間に設けられる。配線部92bの幅は、導電部91bの第2部分912bまたは支持部93bの第2部分932bの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部92bの小型化を図ることができる。また、配線部92bは、バネ部としての機能を有する。
【0130】
配線部92dは、導電部91bと支持部93dとの間に設けられる。配線部92dの幅は、導電部91bの第2部分912bまたは支持部93dの第2部分932dの幅、すなわち、X軸方向の長さよりも小さい。これにより、配線部92dの小型化を図ることができる。また、配線部92dは、バネ部としての機能を有する。
【0131】
このようなセンサー素子3にY軸方向の加速度が加わると、その加速度の大きさに基づいて、可動部65がバネ部64a,64bを弾性変形させながらY軸方向に変位する。
このような変位に伴って、可動電極66aと固定電極96a、可動電極66bと固定電極96b、可動電極66cと固定電極96c、および可動電極66dと固定電極96dとのギャップがそれぞれ変化する。この変位に伴って、可動電極66aと固定電極96a、可動電極66bと固定電極96b、可動電極66cと固定電極96c、および可動電極66dと固定電極96dとの間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。そして、これら静電容量の変化に基づいて、Y軸方向の加速度Ayを検出することができる。
【0132】
2.3.3. スリット
スリットs4,s5は、
図10に示すように、それぞれセンサー素子3を貫通する貫通孔である。スリットs4,s5は、外部応力や接合応力など応力による影響を緩和するために設けられる。
【0133】
スリットs4は、
図12Aに示すように、支持部63aの第2部分632aに設けられる。換言すると、スリットs4は、支持部63aにおいて、マウント部22dに接合されていない部分に設けられる。
スリットs4を設けることで、接合部j61、接合部j62、または蓋部8および導電部材85を介して可動部65に伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0134】
スリットs5は、
図12Bに示すように、支持部63bの第2部分632bに設けられる。換言すると、スリットs5は、支持部63bにおいて、マウント部22fに接合されていない部分に設けられる。
スリットs5を設けることで、接合部j61、接合部j63、または蓋部8および導電部材85を介して可動部65に伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0135】
このように、センサー素子3は、スリットs4,s5を有するため、マウント部22e,マウント部22d、マウント部22f、または蓋部8および導電部材85を介して伝達される外部応力や接合応力などの応力に起因した可動電極66aと固定電極96a、可動電極66bと固定電極96b、可動電極66cと固定電極96c、および可動電極66dと固定電極96dとの相対位置の変化を抑制することができる。
そのため、自然状態における可動電極66aと固定電極96a、可動電極66bと固定電極96b、可動電極66cと固定電極96c、および可動電極66dと固定電極96dとの間の静電容量の変化を抑制することができる。これにより、慣性センサー1は、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0136】
2.4. 変形例
前述した実施形態は多様に変形され得る。以下に、具体的な変形の態様を例示する。
図13は、本実施形態の変形例1に係る慣性センサーを示す平面図である。
図14は、
図13のF-F線に沿う慣性センサーの断面図である。
図15は、本実施形態の変形例2に係る慣性センサーを示す平面図である。
図16は、
図15のG-G線に沿う慣性センサーの断面図である。
図17は、本実施形態の変形例3に係る慣性センサーを示す平面図である。
図18は、
図17のH-H線に沿う慣性センサーの断面図である。なお、以下の説明では、実施形態2との相違点を中心に説明し、実施形態2と同様の構成については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0137】
2.4.1. 変形例1
図13に示すように、変形例1に係る慣性センサー1は、導電部61にスリットs6,s7を備える点で、実施形態2の慣性センサー1と異なる。
図14に示すように、スリットs6,s7は、それぞれセンサー素子3を貫通する貫通孔である。スリットs6,s7は、外部応力や接合応力など応力による影響を緩和するために設けられる。
【0138】
図13に示すように、スリットs6は、導電部61において、配線部62aと第1部分611との間の第2部分612に設けられる。換言すると、スリットs6は、導電部61において、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs6を設けることで、接合部j61または蓋部8および導電部材85を介して可動部65に伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0139】
スリットs7は、導電部61において、配線部62bと第1部分611との間の第2部分612に設けられる。換言すると、スリットs7は、導電部61において、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs7を設けることで、接合部j61または蓋部8および導電部材85を介して可動部65に伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0140】
前述した変形例1は、スリットs4,s5,s6,s7を備えるが、スリットs6とスリットs7のみを備える構成に変形してもよい。
また、スリットs4,s5,s6,s7の形状は、四角柱以外であってもよい。例えば、円柱、三角柱であってもよい。また、各スリットs4,s5,s6,s7の数は、複数であってもよく、また、Y軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
また、スリットs4,s5,s6,s7は、好適には、センサー素子3を貫通する貫通孔であるが、外部応力や接合応力などの応力の抑制機能を有する場合は、有底の溝としてもよい。
【0141】
2.4.2. 変形例2
図15に示すように、変形例2に係る慣性センサー1は、導電部91aにスリットs10,s11、導電部91bにスリットs20,s21、支持部93aにスリットs12、支持部93bにスリットs22、支持部93cにスリットs13、および支持部93dにスリットs23を備える点で、実施形態2の慣性センサー1と異なる。
図16に示すように、スリットs10,s11,s12,s13は、それぞれセンサー素子3を貫通する貫通孔である。図示しないが、スリットs20,s21,s22,s23も同様にセンサー素子3を貫通する貫通孔である。スリットs10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23は、外部応力や接合応力など応力による影響を緩和するために設けられる。
【0142】
図15に示すように、スリットs10は、導電部91aにおいて、配線部92aと第1部分911aとの間の第2部分912aに設けられる。換言すると、スリットs10は、導電部91aにおいて、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs10を設けることで、接合部j91または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96aに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0143】
スリットs11は、導電部91aにおいて、配線部92cと第1部分911aとの間の第2部分912aに設けられる。換言すると、スリットs11は、導電部91aにおいて、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs11を設けることで、接合部j91または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96cに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0144】
スリットs12は、支持部93aにおいて、配線部92aと第1部分931aとの間の第2部分932aに設けられる。換言すると、スリットs12は、支持部93aにおいて、マウント部22dに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs12は、支持部93aにおいて、マウント部22dから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs12を設けることで、接合部j92、接合部j91、または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96aに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0145】
スリットs13は、支持部93cにおいて、配線部92cと第1部分931cとの間の第2部分932cに設けられる。換言すると、スリットs13は、支持部93cにおいて、マウント部22fに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs13は、支持部93cにおいて、マウント部22fから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs13を設けることで、接合部j93、接合部j91、または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96cに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0146】
スリットs20は、導電部91bにおいて、配線部92bと第1部分911bとの間の第2部分912bに設けられる。換言すると、スリットs20は、導電部91bにおいて、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs20を設けることで、接合部j91または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96bに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0147】
スリットs21は、導電部91bにおいて、配線部92dと第1部分911bとの間の第2部分912bに設けられる。換言すると、スリットs21は、導電部91bにおいて、マウント部22eに接合されていない部分に設けられる。
スリットs21を設けることで、接合部j91または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96dに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0148】
スリットs22は、支持部93bにおいて、配線部92bと第1部分931bとの間の第2部分932bに設けられる。換言すると、スリットs22は、支持部93bにおいて、マウント部22dに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs22は、支持部93bにおいて、マウント部22dから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs22を設けることで、接合部j92、接合部j91、または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96bに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0149】
スリットs23は、支持部93dにおいて、配線部92dと第1部分931dとの間の第2部分932dに設けられる。換言すると、スリットs23は、支持部93dにおいて、マウント部22fに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs23は、支持部93dにおいて、マウント部22fから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs23を設けることで、接合部j93、接合部j91、または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96dに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0150】
前述した変形例2は、スリットs10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23を備えるが、スリットs10,s11,s20,s21のみを備える構成に変形してもよい。また、スリットs12,s13,s22,s23のみを備える構成に変形してもよい。また、変形例2は、実施形態2または変形例1と組み合わせた構成に変形してもよい。
また、スリットs10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23の形状は、四角柱以外であってもよい。例えば、円柱、三角柱であってもよい。また、各スリットs10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23の数は、複数であってもよく、また、Y軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
また、スリットs10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23は、好適には、センサー素子3を貫通する貫通孔であるが、外部応力や接合応力などの応力の抑制機能を有する場合は、有底の溝としてもよい。
【0151】
2.4.3. 変形例3
図17に示すように、変形例3に係る慣性センサー1は、支持部93aにスリットs30、支持部93cにスリットs31、支持部93bにスリットs32、および支持部93dにスリットs33を備える点で、実施形態2の慣性センサー1と異なる。
図18に示すように、スリットs30,s31は、それぞれセンサー素子3を貫通する貫通孔である。図示しないが、スリットs32,s33も同様にセンサー素子3を貫通する貫通孔である。スリットs30,s31,s32,s33は、外部応力や接合応力など応力による影響を緩和するために設けられる。
【0152】
図17に示すように、スリットs30は、支持部93aにおいて、固定電極96aと第1部分931aとの間の第2部分932aに設けられる。換言すると、スリットs30は、支持部93aにおいて、マウント部22dに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs30は、支持部93aにおいて、マウント部22dから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs30を設けることで、接合部j92、接合部j91、または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96aに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0153】
スリットs31は、支持部93cにおいて、固定電極96cと第1部分931cとの間の第2部分932cに設けられる。換言すると、スリットs31は、支持部93cにおいて、マウント部22fに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs31は、支持部93cにおいて、マウント部22fから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs31を設けることで、接合部j93、接合部j91、または蓋部8および導電部材86を介して固定電極96cに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0154】
スリットs32は、支持部93bにおいて、固定電極96bと第1部分931bとの間の第2部分932bに設けられる。換言すると、スリットs32は、支持部93bにおいて、マウント部22dに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs32は、支持部93bにおいて、マウント部22dから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs32を設けることで、接合部j92、接合部j91、または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96bに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0155】
スリットs33は、支持部93dにおいて、固定電極96dと第1部分931dとの間の第2部分932dに設けられる。換言すると、スリットs33は、支持部93dにおいて、マウント部22fに接合されていない部分に設けられる。また、スリットs33は、支持部93dにおいて、マウント部22fから張り出した部分に設けられている、と言うことができる。
スリットs33を設けることで、接合部j93、接合部j91、または蓋部8および導電部材87を介して固定電極96dに伝達される外部応力または接合応力などの応力を緩和することができ、より精度よく、加速度Ayを検出することができる。
【0156】
前述した変形例3は、実施形態2、変形例1、または変形例2と組み合わせた構成に変形してよい。
また、スリットs30,s31,s32,s33の形状は、四角柱以外であってもよい。例えば、円柱、三角柱であってもよい。また、各スリットs30,s31,s32,s33の数は、複数であってもよく、また、X軸方向に沿って複数列に設けてもよい。
また、スリットs30,s31,s32,s33は、好適には、センサー素子3を貫通する貫通孔であるが、外部応力や接合応力などの応力の抑制機能を有する場合は、有底の溝としてもよい。
【0157】
上述した慣性センサー1は、Y軸方向の加速度Ayを検出することのできる加速度センサーであるが、本実施形態の慣性センサー1は、X軸方向の加速度を検出することのできる加速度センサーに適用することもできる。また、本実施形態の慣性センサー1は、Z軸方向の加速度を検出することのできる加速度センサーに適用することもできる。また、本実施形態の慣性センサー1は、角速度を検出する角速度センサーに適用することもできる。
【0158】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー1によれば、上記実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線75wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j61を介して接合された第1連結部としての導電部61の第1部分611と、電極指661を有する第2連結部としての可動電極66aと、導電部61の第1部分611と可動電極66aとの間に設けられ、可動電極66aよりも幅広の第3連結部としての支持部63aの第2部分632aと、を有し、支持部63aの第2部分632aは、貫通孔としてのスリットs4を有する。
【0159】
このように、可動電極66aよりも幅広の支持部63aの第2部分632aにスリットs4を有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0160】
本実施形態の慣性センサー1において、第3連結部としての支持部63aの第2部分632aは、貫通孔としてのスリットs4を複数有する。
このようにスリットs4を複数有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を複数のスリットs4で分散して緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0161】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線75wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j61を介して接合された第1連結部としての導電部61の第1部分611と、電極指661を有する第2連結部としての可動電極66aと、導電部61の第1部分611と可動電極66aとの間に設けられ、可動電極66aよりも幅広の第3連結部としての支持部63bの第2部分632bと、を有し、支持部63bの第2部分632bは、貫通孔としてのスリットs5を有する。
【0162】
このように、可動電極66aよりも幅広の支持部63bの第2部分632bにスリットs5を有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0163】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線75wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j61を介して接合された第1連結部としての導電部61の第1部分611と、電極指661を有する第2連結部としての配線部62aと、導電部61の第1部分611と配線部62aとの間に設けられ、配線部62aよりも幅広の第3連結部としての導電部61の第2部分612と、を有し、導電部61の第2部分612は、貫通孔としてのスリットs6を有する。
【0164】
このように、配線部62aよりも幅広の導電部61の第2部分612にスリットs6を有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0165】
また、本実施形態の慣性センサー1において、第3連結部としての導電部61の第2部分612は、貫通孔としてのスリットs6を複数有する。
このようにスリットs6を複数有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を複数のスリットs6で分散して緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0166】
また、本実施形態の慣性センサー1において、第3連結部としての導電部61の第2部分612は、平面視で、マウント部22eと重なっており、導電部61の第2部分612は、平面視で、接合部j61と重なっていない。
このように導電部61の第2部分612は、平面視で、マウント部22eと接合していない。換言すると、導電部61の第2部分612に設けられたスリットs6は、マウント部22eと接合していない。よって、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0167】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線75wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j61を介して接合された第1連結部としての導電部61の第1部分611と、電極指661を有する第2連結部としての配線部62bと、導電部61の第1部分611と配線部62bとの間に設けられ、配線部62bよりも幅広の第3連結部としての導電部61の第2部分612と、を有し、導電部61の第2部分612は、貫通孔としてのスリットs7を有する。
【0168】
このように、配線部62bよりも幅広の導電部61の第2部分612にスリットs7を有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0169】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線76wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j91を介して接合された第1連結部としての導電部91aの第1部分911aと、電極指961を有する第2連結部としての固定電極96と、導電部91aの第1部分911aと固定電極96との間に設けられ、固定電極96よりも幅広の第3連結部としての支持部93aの第2部分932aと、を有し、支持部93aの第2部分932aは、貫通孔としてのスリットs12を有する。
【0170】
このように、固定電極96よりも幅広の支持部93aの第2部分932aにスリットs12を有するため、接合部j91を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0171】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22eが設けられた基板としての基部2と、マウント部22eに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線76wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに接合部j91を介して接合された第1連結部としての導電部91aの第1部分911aと、電極指961を有する第2連結部としての配線部92aと、導電部91aの第1部分911aと配線部92aとの間に設けられ、配線部92aよりも幅広の第3連結部としての導電部91aの第2部分912aと、を有し、導電部91aの第2部分912aは、貫通孔としてのスリットs10を有する。
【0172】
このように、配線部92aよりも幅広の導電部91aの第2部分912aにスリットs10を有するため、接合部j91を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0173】
また、本実施形態の慣性センサー1は、マウント部22dが設けられた基板としての基部2と、マウント部22dに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線76wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22dに接合部j92を介して接合された第1連結部としての支持部93aの第1部分931aと、電極指961を有する第2連結部としての固定電極96と、支持部93aの第1部分931aと固定電極96との間に設けられ、配線部92aよりも幅広の第3連結部としての支持部93aの第2部分932aと、を有し、支持部93aの第2部分932aは、貫通孔としてのスリットs30を有する。
【0174】
このように、固定電極96よりも幅広の支持部93aの第2部分932aにスリットs30を有するため、接合部j92を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0175】
また、本実施形態の慣性センサー1は、第1マウント部としてのマウント部22eと第2マウント部としてのマウント部22dを有する基板としての基部2と、マウント部22eおよびマウント部22dに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線75wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに第1接合部としての接合部j61を介して接合された第1連結部としての導電部61の第1部分611と、電極指661を有する第2連結部としての可動電極66aと、導電部61の第1部分611と可動電極66aとの間に設けられ、可動電極66aよりも幅広の第3連結部としての支持部63aの第2部分632aと、導電部61の第1部分611と可動電極66aとの間に設けられ、可動電極66aよりも幅広の第4連結部としての導電部61の第2部分612と、を有し、支持部63aの第2部分632aは、第1貫通孔としてのスリットs4を有し、導電部61の第2部分612は、第2貫通孔としてのスリットs6を有する。
【0176】
このように、可動電極66aよりも幅広の支持部63aの第2部分632aにスリットs4を有し、可動電極66aよりも幅広の導電部61の第2部分612にスリットs6を有するため、接合部j61を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0177】
また、本実施形態の慣性センサー1は、第1マウント部としてのマウント部22eと第2マウント部としてのマウント部22dを有する基板としての基部2と、マウント部22eおよびマウント部22dに接合されたセンサー素子3と、センサー素子3に電気的に接続された配線76wと、を備え、センサー素子3は、マウント部22eに第1接合部としての接合部j91を介して接合された第1連結部としての導電部91aの第1部分911aと、電極指961を有する第2連結部としての固定電極96と、導電部91aの第1部分911aと固定電極96との間に設けられ、固定電極96よりも幅広の第3連結部としての支持部93aの第2部分932aと、導電部91aの第1部分911aと固定電極96との間に設けられ、固定電極96よりも幅広の第4連結部としての導電部91aの第2部分912aと、を有し、支持部93aの第2部分932aは、第1貫通孔としてのスリットs12を有し、導電部91aの第2部分912aは、第2貫通孔としてのスリットs10を有する。
【0178】
このように、固定電極96よりも幅広の支持部93aの第2部分932aにスリットs12を有し、固定電極96よりも幅広の導電部91aの第2部分912aにスリットs10を有するため、接合部j91を介して伝達される応力の影響を緩和することができ、検出精度の劣化が少ない高品質な慣性センサー1を実現することができる。
【0179】
3.実施形態3
3.1.慣性計測装置の概要
次に、
図19および
図20を参照して、慣性センサー1を備えた慣性計測装置2000について、説明する。
図19は、本実施形態に係る慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)の概略構成を示す分解斜視図である。
図20は、慣性計測装置に搭載され、慣性センサーが実装された基板の斜視図である。
【0180】
慣性計測装置2000は、自動車、ロボット、スマートホン、携帯型の活動量計などの被装着装置に搭載され、被装着装置の姿勢や、挙動などを検出する装置として用いられる。
【0181】
図19に示すように、慣性計測装置2000は、アウターケース301、接合部材310、センサーモジュール325を含み、アウターケース301の内部に、接合部材310を介在させて、センサーモジュール325を篏合または挿入した構成となっている。
【0182】
アウターケース301は、外形が直方体で蓋のない箱状の容器であり、その内部は、壁に囲まれた内部空間となっている。アウターケース301の材質は、例えば、アルミニウムである。なお、亜鉛やステンレスなど他の金属や、樹脂、または、金属と樹脂の複合材などを用いても良い。
【0183】
アウターケース301の上面の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍には、それぞれ通し孔302が形成されている。通し孔302は、被装着装置に、慣性計測装置2000を取り付ける際に用いる。
センサーモジュール325は、インナーケース320と、回路基板315とから構成されている。
【0184】
インナーケース320は、回路基板315を支持する部材であり、アウターケース301の内部に収まる形状となっている。インナーケース320の材質には、アウターケース301と同様の材質を用いることができる。
インナーケース320の下面には、回路基板315との接触を防止するための凹部331やコネクター316を露出させるための開口321が形成されている。
【0185】
図20を参照して、慣性センサー1が実装された回路基板315の構成について説明する。
図20に示すように、回路基板315は、複数のスルーホールが形成された多層基板であり、ガラスエポキシ基板を用いている。なお、ガラスエポキシ基板に限定するものではなく、例えば、コンポジット基板やセラミック基板などのリジット基板を用いても良い。
【0186】
回路基板315の上面および側面には、コネクター316、加速度検出ユニット100、および角速度センサー317x,317y,317zなどが実装されている。
加速度検出ユニット100は、慣性センサー1を搭載し、Z軸方向の加速度を測定するための加速度センサーである。
コネクター316は、プラグ型のコネクターであり、X軸方向に等ピッチで配置された二列の接続端子を備えている。本実施形態では、一列10ピンで二列の合計20ピンの接続端子を備えるが、接続端子の数は、設計仕様に応じて適宜変更しても良い。
【0187】
角速度センサー317zは、Z軸方向における1軸の角速度を検出するジャイロセンサーである。好適例として、水晶を振動子として用い、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する振動ジャイロセンサーを用いている。なお、振動ジャイロセンサーに限定するものではなく、振動子としてセラミックや、シリコンを用いたセンサーを用いても良い。
【0188】
また、回路基板315のX軸方向の側面には、実装面がX軸と直交するように、X軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー317xが実装されている。同様に、回路基板315のY軸方向の側面には、実装面がY軸と直交するように、Y軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー317yが実装されている。
【0189】
なお、角速度センサー317x,317y,317zは、X軸、Y軸、Z軸の軸ごとの三つの角速度センサーを用いる構成に限定するものではなく、3軸の角速度が検出可能なセンサーであれば良く、例えば、一つのデバイスまたはパッケージで3軸の角速度が検出可能なセンサーデバイスを用いても良い。
【0190】
加速度検出ユニット100は、Z軸方向の加速度を測定するための加速度センサーであるが、X軸方向またはY軸方向を測定するものであってもよい。また、複数の慣性センサー1を搭載して、二軸方向、例えばZ軸方向とY軸方向、Z軸方向とX軸方向など、あるいは、三軸方向、すなわち、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の加速度を検出するものとしてもよい。
【0191】
回路基板315の下面には、制御部としての制御IC319が実装されている。
制御IC319は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、回路基板315には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
【0192】
このような慣性計測装置2000によれば、慣性センサー1を含む加速度検出ユニット100を用いているため、耐衝撃性に優れ、信頼性を向上させた慣性計測装置2000を提供することができる。
【0193】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー1を備えた慣性計測装置2000によれば、実施形態1,2の効果に加え、応力の影響を抑制して信頼性の高い慣性計測装置を提供することができる。
【0194】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、上述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0195】
1…慣性センサー、2…基部、3…センサー素子、3s…半導体層、4…固定電極部、5…可動電極部、6…可動電極部、8…蓋部、9…固定電極部、9a…第1固定電極部、9b…第2固定電極部、21…凹部、22,22a,22b,22c,22d,22e,22f…マウント部、25a,25b,25c…溝部、41…第1固定電極部、42…第2固定電極部、51…可動部支持部、52…可動部、53,54…バネ部、56…可動電極部、61…導電部、611…第1部分、612…第2部分、62a,62b…配線部、63a,63b…支持部、631a…第1部分、632a…第2部分、631b…第1部分、632b…第2部分、64a,64b…バネ部、65…可動部、65a…Y軸延在部、65b…X軸延在部、65c…Y軸延在部、65d…X軸延在部、66,66a,66b,66c,66d…可動電極、71,72,73,75w,76w,77w…配線、75,76,77…端子、81…凹部、82…連通孔、83…封止部材、85,86,87…導電部材、91a,91b…導電部、911a…第1部分、912a…第2部分、911b…第1部分、912b…第2部分、92a,92b,92c,92d…配線部、93a,93b,93c,93d…支持部、931a…第1部分、932a…第2部分、931b…第1部分、932b…第2部分、931c…第1部分、932c…第2部分、931d…第1部分、932d…第2部分、96,96a,96b,96c,96d…固定電極、100…加速度検出ユニット、301…アウターケース、302…通し孔、310…接合部材、315…回路基板、316…コネクター、317x,317y,317z…角速度センサー、319…制御IC、320…インナーケース、321…開口、325…センサーモジュール、331…凹部、411…懸架部、412,412a,412b…第1固定電極指、413…支持部、413a…第1部分、413c…第2部分、421…懸架部、422,422a,422b…第2固定電極指、423…支持部、423a…第1部分、423c…第2部分、511…支持部、511a…第1部分、511c…第2部分、512…懸架部、521…枠部、522…第1Y軸延在部、523…第1X軸延在部、524…第2Y軸延在部、525…第2X軸延在部、526…第1突出部、527…第2突出部、528…第1開口部、529…第2開口部、561…第1可動電極部、561a,561b…第1可動電極指、562…第2可動電極部、562a,562b…第2可動電極指、661…電極指、961…電極指、2000…慣性計測装置、j1,j2,j3,j61,j62,j63,j91,j92,j93…接合部、s1,s2,s3,s4,s5,s6,s7,s10,s11,s12,s13,s20,s21,s22,s23,s30,s31,s32,s33…スリット。