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特開2024-101666サーバ装置、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101666
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】サーバ装置、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005688
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】直島 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】塚本 純也
(72)【発明者】
【氏名】シン ゼン
(72)【発明者】
【氏名】岩根 結以
(72)【発明者】
【氏名】別府 重憲
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶太
(72)【発明者】
【氏名】藤野 孝政
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 晋
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】個別避難計画の作成に関わる作業負担を軽減するサーバ装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置は、決定手段と、制御手段と、を備える。決定手段は、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する。制御手段は、要支援者の前記個別避難計画の作成に関する制御を行う。制御手段は、個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する、決定手段と、
前記要支援者の前記個別避難計画の作成に関する制御を行う、制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
自治体の職員による選択に基づいて前記個別避難計画に記載する項目を定める、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記協力者が前記要支援者から聞き取りした情報と、前記要支援者の情報が含まれる要支援者リストから得られる情報と、を用いて前記個別避難計画を作成する、請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記項別避難計画に関する管理を行う、管理手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記協力者が、前記個別避難計画に記載する情報のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を完了すると、前記必要な情報の入力が完了した個別避難計画のステータスを承認待ちに設定し、
前記管理手段は、
前記自治体の職員が、前記承認待ちに設定された個別避難計画を承認すると、前記承認された個別避難計画のステータスを完了に設定する、請求項3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記管理手段は、
前記自治体の職員が前記承認待ちに設定された個別避難計画を承認しないと、前記承認されない個別避難計画のステータスを差し戻しに設定すると共に、前記差し戻しに設定された個別避難計画の再作成に関する依頼を前記協力者に行う、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記要支援者を支援する支援者を管理する、支援者管理手段をさらに備え、
前記支援者管理手段は、前記支援者の情報を取得し、
前記制御手段は、前記協力者の要求に応じて、前記支援者の情報を前記協力者に提供する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記支援者管理手段は、前記支援者として登録された住民に関する情報を前記自治体の職員に提供する、請求項6に記載のサーバ装置。
【請求項8】
LGWAN(Local Government Wide Area Network)とインターネットからアクセス可能なネットワークドメインに設置された、請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
サーバ装置において、
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定し、
前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置の制御方法。
【請求項10】
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する処理と、
前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
風水害や地震等によって大規模災害の発生が予測されると、住民は避難所に避難することになる。住民の避難等に適用可能な種々の技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、災害時および防災活動における避難計画を高精度に策定する技術を提供する、と記載されている。避難計画策定装置は、データ保持部と、割付設定部と、人員配置設定部と、反映部と、避難挙動シミュレーション部と、を備える。データ保持部は、人員の避難ルートが存在するエリアの空間モデルを保持する。割付設定部は、エリアの内部に滞在する可能性を持つ複数の人員の各々の識別子に避難行動モデルを割り付ける。人員配置設定部は、災害の発生時にエリアに滞在する人員の配置を設定する。反映部は、災害シナリオを空間モデルに反映させる。避難挙動シミュレーション部は、空間モデルの状態、他の識別子の位置データ、及び避難行動モデルに基づいて、人員の避難挙動をシミュレーションする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-126365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害発生時等に自力での避難が困難な要支援者の避難行動を支援するため、各自治体は、個別避難計画を作成する。個別避難計画は、自治体の職員等が主体となって作成される。具体的には、各地域に存在する避難支援関係者(例えば、民生委員や町内会会長)が紙媒体に要支援者の情報を記載し、当該紙媒体を自治体に送付する。自治体の職員等が、紙媒体から必要な情報を読み出し、当該読み出した情報をサーバに入力することで個別避難計画を作成する。しかし、個別避難計画を作成する要支援者の数が多く、自治体の職員等の大きな負担となっている。
【0006】
なお、特許文献1に開示された技術を適用しても、個別避難計画の作成に関する自治体職員等の作業は軽減されない。特許文献1では、コンピュータシミュレーションを用いて災害発生時の避難行動の予測をするに過ぎないためである。
【0007】
本発明は、個別避難計画の作成に関わる作業負担を軽減することに寄与する、サーバ装置、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する、決定手段と、前記要支援者の前記個別避難計画の作成に関する制御を行う、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、サーバ装置において、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定し、前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置の制御方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の視点によれば、サーバ装置に搭載されたコンピュータに、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する処理と、前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する処理と、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の各視点によれば、個別避難計画の作成に関わる作業負担を軽減することに寄与する、サーバ装置、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態の概要を説明するための図である。
図2図2は、一実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る自治体のネットワーク構成を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る要支援者リストの一例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る個別避難計画管理データベースの一例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る協力者端末の表示の一例を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る協力者端末の表示の一例を示す図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図15図15は、第1の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図16図16は、第1の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図17図17は、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図18図18は、第1の実施形態の変形例に係る協力者端末の表示の一例を示す図である。
図19図19は、第1の実施形態の変形例に係る協力者端末の表示の一例を示す図である。
図20図20は、第2の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図21図21は、第2の実施形態に係る支援者管理データベースの一例を示す図である。
図22図22は、第2の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図23図23は、第2の実施形態に係る自治体端末の表示の一例を示す図である。
図24図24は、第2の実施形態に係る協力者端末の表示の一例を示す図である。
図25図25は、本願開示に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0014】
一実施形態に係るサーバ装置100は、決定手段101と、制御手段102と、を備える(図1参照)。決定手段101は、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する(図2のステップS1)。制御手段102は、要支援者の前記個別避難計画の作成に関する制御を行う(ステップS2)。制御手段102は、個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する。
【0015】
サーバ装置100は、自治体が作成する個別避難計画に記載する項目のうち、要支援者本人から聞き取りが必要な項目に関しては、協力者(例えば、民生委員や町内会会長)に当該項目の入力(例えば、入力サイトへの情報入力)を依頼する。その結果、自治体の職員が、紙媒体に記載された項目をサーバ装置100に入力する必要がなくなる。従って、個別避難計画の作成に関わる自治体職員等の作業負担が軽減される。
【0016】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0018】
[システムの構成]
図3は、第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。図3に示すように、情報処理システムには、自治体と、行政事務サービス提供事業者と、が含まれる。
【0019】
自治体は、住民に対して行政サービスを提供する。自治体は、台風、大雨、地震等の災害が発生した際、避難所を開設する等の行政サービスを住民に提供する。
【0020】
行政事務サービス提供事業者は、自治体に各種の行政事務サービスを提供する。行政事務サービス提供事業者は、統合行政ネットワーク(LGWAN;Local Government Wide Area Network)を介して、ASP(Application Service Provider)として行政事務サービスを自治体等に提供する。以降の説明において、行政事務サービス提供事業者を「LGWAN-ASP」と表記する。
【0021】
例えば、LGWAN-ASPは、自治体によって作成される「個別避難計画」に関する支援等を行う。個別避難計画の詳細は後述する。
【0022】
LGWAN-ASPは、サーバ装置10を備える。サーバ装置10は、LGWAN-ASPが提供及び管理するネットワークドメインに設置されている。サーバ装置10は、自治体側(行政側)からLGWANを介してアクセス可能であり、一般の住民や企業等がインターネットからアクセス可能なネットワークドメインに設置されている。
【0023】
当該ドメインには、UTM(Unified Threat Management)やファイヤーウォール等のセキュリティ装置(図示せず)が設置されており、高度なセキュリティが確保されている。
【0024】
サーバ装置10がLGWAN-ASPの主たる機能を実現する。サーバ装置10は、LGWAN-ASPの建物に設置されていてもよいし、ネットワーク上(クラウド上)に設置されていてもよい。
【0025】
自治体は、自治体端末20を備える。自治体の職員等は、自治体端末20を用いて住民に行政サービスを提供したり、当該自治体端末20を介してサーバ装置10にアクセスしたりする。
【0026】
ここで、自治体のネットワークは、図4のように構成されている。自治体には、マイナンバー利用事務系ネットワーク、LGWAN接続系ネットワーク及びインターネット接続系ネットワークといった3種類のネットワークが構築されている。
【0027】
マイナンバー利用事務系ネットワークは、住基ネットワークのような専用ネットワークにアクセス可能なネットワークである。LGWAN接続系ネットワークは、LGWAN-ASPにアクセス可能なネットワークである。インターネット接続系ネットワークは、インターネットに接続可能なネットワークである。
【0028】
あるネットワークに属する自治体端末20は、他のネットワークにアクスできない。例えば、マイナンバー利用事務系ネットワークに属する自治体端末20は、LGWANやインターネットに接続できない。同様に、LGWAN接続系ネットワークに属する自治体端末20は、専用ネットワークやインターネットに接続できない。
【0029】
図3に示すように、情報処理システムには、協力者が所持する協力者端末30が含まれる。協力者は、要支援者に関する個別避難計画の作成に協力する。協力者のより詳細な役割等の説明は後述する。協力者端末30は、有線又は無線の通信手段を用いてサーバ装置10にアクセスする。
【0030】
図3に示す情報処理システムの構成は例示であって、その構成を限定する趣旨ではない。例えば、LGWAN-ASPには複数のサーバ装置10が含まれていてもよい。また、自治体のネットワークは、上記3つのネットワークに分離されていなくてもよい。
【0031】
[概略動作]
続いて、第1の実施形態に係る情報処理システムの概略動作について説明する。
【0032】
自治体は、管理する地区等に住む住民のうち災害発生時に他者の支援が必要な住民(避難行動要支援者;以下、単に「要支援者」と表記する)に関する「個別避難計画」を作成する。自治体は、災害発生時等に自力での避難が困難な要支援者の避難行動を支援するため個別避難計画を作成する。
【0033】
個別避難計画には、災害が発生した際、誰が要支援者を支援するか、要支援者をどこに避難させるか、要支援者が避難する際にどのような配慮が必要かといった情報が記載される。
【0034】
住民のなかから「要支援者」に該当する住民が抽出され、当該抽出された要支援者のリスト(要支援者リスト)が作成される。当該要支援者リストの作成は、マイナンバー利用事務系ネットワークに属する自治体端末20において行われる。なお、要支援者リストの作成は、マイナンバー利用事務系ネットワーク以外のネットワークに属する自治体端末20において行われてもよい。
【0035】
住民の氏名、性別、年齢、住所等が格納された住民基本台帳データベース、要介護レベル等の情報が格納された要介護情報データベース等を用いて要支援者リストが生成される。自治体の職員は、マイナンバー利用事務系ネットワークに属する自治体端末20を操作し、専用ネットワーク上の住民基本台帳データベースや要介護情報データベースにアクセスする。
【0036】
要支援者は、これらのデータベースに格納された情報(例えば、年齢、要介護レベル等)に基づいて抽出される。自治体の職員は、抽出された住民の一覧を要支援者リストとして作成する。要支援者リストには、要支援者に該当する住民に関する基本的な情報(例えば、要支援者の氏名、性別、年齢、住所、要介護レベル)が含まれる。
【0037】
自治体の職員は、作成した要支援者リストをLGWAN接続系ネットワークに属する自治体端末20(LGWAN接続系ネットワークに属する自治体端末20)に移す。例えば、自治体の職員は、要支援者リストが記憶されたUSB(Universal Serial Bus)メモリ等を用いて、要支援者リストを移動する。あるいは、自治体の職員は、要支援者リストをセキュアなクラウドストレージ等を用いて移動してもよい。
【0038】
自治体の職員は、自治体端末20を操作して、LGWAN-ASPのサーバ装置10にアクセスする。より具体的には、自治体の職員は、サーバ装置10が提供するサイトであって、個別支援計画に関する管理等を行う管理サイトにログインする。なお、自治体の職員のアカウント作成や管理サイトへのログインに関する詳細な説明を省略する。
【0039】
自治体の職員は、上記作成した要支援者リストを管理サイト(サーバ装置10)に登録する(図5参照)。さらに、自治体の職員は、当該管理サイトにおいて、個別避難計画に記載する項目(情報)を決定する。
【0040】
例えば、サーバ装置10は、個別避難計画に記載可能な項目の一覧を自治体の職員に提示する。自治体の職員は、表示された項目のうち管轄する地域の特徴や事情を考慮して、個別避難計画に記載する項目を選択する。即ち、自治体の職員は、サーバ装置10から提示される一覧表示された項目のなかから必要な項目を選択することで、個別避難計画の記載内容をカスタマイズできる。例えば、自治体の職員は、要支援者に個別な配慮事項を個別避難計画に記載するか否か等を勘案し、必要な項目を選択する。
【0041】
要支援者リスト及び個別避難計画の記載事項を取得すると、サーバ装置10は、これらの情報に基づいて個別避難計画(電子的な個別避難計画)の作成に関する制御、処理を行う。具体的には、サーバ装置10は、個別避難計画を管理するためのデータベース(個別避難計画管理データベース)を作成する。当該データベースの各エントリに記載された情報が要支援者の個別避難計画に相当する。また、サーバ装置10は、自治体の職員が入力した個別避難計画の記載事項に基づいて、個別避難計画管理データベースに記載する項目を決定する。
【0042】
個別避難計画管理データベースを作成すると、サーバ装置10は、各要支援者の具体的な個別避難計画の作成に関する制御を実行する。具体的には、サーバ装置10は、個別避難計画に記載する項目のうち要支援者から直接、取得することが必要な項目の聞き取りを「協力者」に依頼する。
【0043】
例えば、サーバ装置10は、要支援者と同じ地区に住む民生委員や要支援者が属する町内会の会長等に対し、要支援者の個別避難計画の作成に必要な事項の取得を依頼する。
【0044】
具体的には、サーバ装置10は、各協力者(例えば、民生委員、町内会会長)が所持する協力者端末30に対して「個別避難計画作成協力依頼」を送信する。当該個別避難計画作成協力依頼には、要支援者の氏名や住所等の情報が含まれる。
【0045】
協力者は、個別避難計画作成協力依頼に含まれる情報に基づいて、要支援者の自宅を訪れる。要支援者の自宅を訪れると、協力者は、個別避難計画を作成することについての同意(要支援者本人の同意又は要支援者の家族の同意)を取得する。
【0046】
同意が得られると、協力者は、要支援者を支援する支援者の情報(例えば、氏名、要支援者との間の続柄、住所等)や避難先(例えば、親族の家、避難所等)の聞き取りを行う(図6参照)。
【0047】
協力者は、要支援者から聞き取りした情報をサーバ装置10に入力する。例えば、協力者は、協力者端末30を操作して、サーバ装置10により提供される個別避難計画の入力サイトにログインする。なお、協力者のアカウント作成や入力サイトへのログインに関する詳細な説明を省略する。
【0048】
協力者は、当該入力サイトにおいて、要支援者から聞き取りした情報(例えば、支援者の氏名、避難先)をサーバ装置10に入力する。
【0049】
サーバ装置10は、協力者が入力した情報に不足等がないことを確認する。サーバ装置10は、必要な情報の不足等がなければ、協力者から取得した情報を個別避難計画管理データベースに記憶する。サーバ装置10は、当該要支援者の個別避難計画作成に関するステータスを「承認待ち」に設定する。
【0050】
自治体の職員は、自治体端末20を操作して、定期的又は所定のタイミングでサーバ装置10にアクセスする。具体的には、自治体の職員は、自治体端末20を操作して、管理サイトにアクセスする。自治体の職員は、管理サイトにおいて、個別避難計画管理データベースに記憶された各個別避難計画の内容や個別避難計画の進捗状況を確認する。
【0051】
例えば、自治体の職員は、個別避難計画の作成ステータスが「承認待ち」に設定されている個別避難計画の記載内容を検証する。自治体の職員は、承認待ちの個別避難計画の記載内容に問題を発見しなければ、当該個別避難計画のステータスを「完了」に設定する。
【0052】
自治体の職員は、承認待ちの個別避難計画に問題を発見した場合、当該個別避難計画のステータスを「差し戻し」に設定する。なお、「差し戻し」に係るステータスの文言は例示であって、当該ステータスは「修正依頼」や「更新依頼」と表現することもできる。
【0053】
サーバ装置10は、差し戻しの判定を受けた個別避難計画に関し、協力者に個別避難計画の作成に関する再協力を依頼(指示)する。例えば、サーバ装置10は、修正が必要な項目等を明示して、要支援者からの聞き取りを要請する。具体的には、サーバ装置10は、個別避難計画が差し戻された要支援者に割り当てられた協力者の協力者端末30に「個別避難計画作成再協力依頼」を送信する。
【0054】
続いて、第1の実施形態に係る情報処理システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0055】
[サーバ装置]
図7は、第1の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図7を参照すると、サーバ装置10は、通信制御部201と、登録制御部202と、作成制御部203と、管理部204と、記憶部205と、を備える。
【0056】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、自治体端末20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、自治体端末20に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。通信制御部201は、他の装置からデータを受信する受信部としての機能と、他の装置に向けてデータを送信する送信部としての機能と、を備える。
【0057】
登録制御部202は、個別避難計画の登録に関する制御を行う手段である。登録制御部202は、自治体の職員(自治体端末20)から要支援者リストを取得する(図8参照)。要支援者リストには、要支援者の氏名、性別、年齢(生年月日)、住所、所属する町内会、要介護レベルといった基本的な情報(自治体のような行政機関が把握可能な情報)が含まれる。
【0058】
また、登録制御部202は、個別避難計画に記載する項目を取得する。具体的には、登録制御部202は、図9に示すようなGUI(Graphical User Interface)を自治体端末20に表示することで、自治体の職員による項目選択を可能にする。なお、登録制御部202は、国や自治体が定めるフォーマット(個別避難計画に記載する項目一覧が記載されたフォーマット)を自治体端末20に表示しつつ、入力が必須(又は強く推奨)とされる項目については予め選択された状態としてもよい。即ち、登録制御部202は、自治体の職員による項目選択を支援するGUI等を自治体端末20に表示してもよい。
【0059】
例えば、登録制御部202は、GUIを使って、要支援者の氏名、フリガナ、個別避難計画の外部提供に関する同意、性別、生年月日(年齢)、住所、電話番号、世帯状況(家族構成)、町内会に関する情報等の項目についてその要否を取得する。
【0060】
要支援者リスト及び個別避難計画に記載する項目を取得すると、登録制御部202は、個別避難計画を管理するための個別避難計画管理データベースを生成する。その際、登録制御部202は、自治体の職員が選択した項目に対応するフィールドを有する個別避難計画管理データベースを生成する(図10参照)。
【0061】
例えば、自治体の職員が、要支援者の氏名、性別、生年月日、住所、所属町内会、要介護レベル、支援者氏名、避難先、要配慮項目等を個別避難計画の記載項目として選択した場合を考える。この場合、登録制御部202は、これらの項目に対応するフィールドを持つ個別避難計画管理データベースを作成する。
【0062】
なお、図10に示す個別避難計画管理データベースは例示であって、記憶する項目等を限定する趣旨ではない。例えば、要支援者リストに住民の生体情報(例えば、顔画像)が含まれていれば、当該生体情報が個別避難計画管理データベースに登録されていてもよい。
【0063】
登録制御部202は、要支援者リストに含まれる各要支援者に対してID(要支援者ID)を付与する。なお、要支援者IDは、要支援者を一意に識別できる情報であればどのような情報であってもよい。
【0064】
登録制御部202は、要支援者リストに記載された各要支援者に対応するエントリを個別避難計画管理データベースに作成する。登録制御部202は、個別避難計画管理データベースの各フィールドのうち要支援者リストから得られる情報に基づいて設定が行える項目を設定する。例えば、登録制御部202は、要支援者リストに記載された氏名、性別等を各エントリに設定する。
【0065】
なお、登録制御部202は、個別避難計画管理データベースの項目のうち協力者による聞き取りが必要な項目については何も設定しない。また、ステータスフィールドの初期値は「作成前」であり、協力者IDフィールドの初期値は「ブランク(未設定)」である。なお、協力者IDは、各支援者の個別避難計画の作成に協力する協力者のIDである。
【0066】
要支援者リストから得られる情報を個別避難計画管理データベースに設定すると、登録制御部202は、個別避難計画のテンプレートが完成した旨を作成制御部203に通知する。
【0067】
このように、登録制御部202は、災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を定める、決定部(決定手段)としての機能を備える。具体的には、登録制御部202(決定部)は、自治体の職員による選択に基づいて個別避難計画に記載する項目を定める。
【0068】
作成制御部203は、要支援者の個別避難計画の作成に関する制御を行う手段である。作成制御部203は、個別避難計画に記載する項目のうち要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力(入力サイトへの情報入力)を協力者に依頼する。
【0069】
具体的には、作成制御部203は、個別避難計画管理データベースの各エントリ(要支援者)について個別避難計画の作成に協力する協力者を割り当てる。
【0070】
作成制御部203は、例えば、要支援者の住居がある地域を担当する民生委員を協力者として選択する。あるいは、作成制御部203は、要支援者が属する町内会の会長や担当者等を協力者として選択する。
【0071】
作成制御部203は、協力者IDと協力者の情報(例えば、氏名、住所、メールアドレス、電話番号、担当地区、町内会名等)を対応付けて記憶するテーブル情報を参照し、要支援者に割り当てる協力者を選択する。
【0072】
作成制御部203は、選択した協力者の協力者IDを個別避難計画管理データベースの対応するエントリの協力者IDフィールドに設定する。また、作成制御部203は、個別避難計画管理データベースの対応するエントリのステータスフィールドに「作成中」を設定する。
【0073】
作成制御部203は、選択された協力者(割り当てられた民生委員、町内会会長等)が所持する協力者端末30に対し、「個別避難計画作成協力依頼」を送信する。当該個別避難計画作成協力依頼には、要支援者の要支援者ID、氏名、住所等の情報が含まれる。
【0074】
作成制御部203は、入力サイトにログインした協力者から個別避難計画に記載する項目のうち要支援者から聞き取りが必要な項目(情報)を取得する。
【0075】
具体的には、作成制御部203は、協力者から要支援者を特定するための情報(例えば、要支援者ID、要支援者の氏名等)を取得する。作成制御部203は、当該取得した情報をキーとして個別避難計画管理データベースを検索し、対応するエントリを特定する。
【0076】
作成制御部203は、特定したエントリの同意取得フィールドに「同意済」が設定されていなければ、要支援者から個別避難計画の作成に関する同意(個人情報等を外部提供することの同意)を取得するように、協力者に指示する。例えば、作成制御部203は、図11に示すようなGUIにより要支援者の同意状況を協力者から取得する。なお、図11に示すGUIは例示であって、作成制御部203は、要支援者の直筆による同意を取得できるインターフェイス(GUI)を協力者端末30に表示してもよい。
【0077】
作成制御部203は、要支援者の同意に関する情報(個別避難計画の作成に同意、拒否)を個別避難計画管理データベースの同意フィールドに反映する。
【0078】
また、要支援者の同意が得られると、作成制御部203は、個別避難計画管理データベースのエントリのうち聞き取りが必要な項目の取得を協力者に要請する。具体的には、個別避難計画管理データベースのフィールドのうち設定値が記載されていないフィールドの事項(例えば、支援者の情報や避難先の情報)の聞き取りを協力者に依頼する。また、要支援者の同意を取るプロセスをトリガにして、作成制御部203は、協力者端末30に要支援者を特定できる情報(例えば、要支援者の氏名、性別、住所、要介護レベル等)を開示することができる。
【0079】
例えば、作成制御部203は、図12に示すようなGUIを協力者端末30に表示する。作成制御部203は、要支援者の情報(例えば、氏名、年齢、性別、家族構成等)を協力者端末30に表示することで、協力者による個別避難計画の作成を支援する。協力者は、GUIに従って要支援者(又はその家族)から聞き取りを行い、当該聞き取りを行った情報を協力者端末30に入力する。
【0080】
なお、作成制御部203は、個別避難計画の作成に同意していない要支援者に関しては、災害発生時等を除き原則として、協力者も含めいかなる第三者に対して当該要支援者の情報を開示することはない。
【0081】
作成制御部203は、協力者が聞き取り項目の入力を完了すると、協力者が入力した項目の検証を行う。例えば、作成制御部203は、必要な項目が未入力の場合、その旨を協力者に通知し、当該未入力な項目の聞き取り(入力)を指示する。
【0082】
検証に成功すると(未入力な項目等がなければ)、作成制御部203は、対応するエントリ(協力者が聞き取りを行った要支援者)のステータスフィールドに「承認待ち」を設定する。
【0083】
作成制御部203は、個別避難計画作成再協力依頼に従って、協力者が個別避難計画の入力を試みる場合には、既に当該協力者が入力済の項目を表示しつつ、協力者が入力項目を容易に認識できるよう、修正が必要な項目を強調して表示してもよい。
【0084】
このように、作成制御部203は、協力者が要支援者から聞き取りした情報と、要支援者の情報が含まれる要支援者リストから得られる情報と、を用いて個別避難計画を作成する。即ち、作成制御部203は、要支援者から直接聞き取りをしなければ得られない情報に限り協力者に聞き取りを依頼し、要支援者リストから得られる情報(例えば、年齢、住所等)については聞き取りを依頼しない。
【0085】
さらに、作成制御部203は、協力者が、個別避難計画に記載する情報のうち要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を完了すると、当該必要な情報の入力が完了した個別避難計画のステータスを承認待ちに設定する。あるいは、作成制御部203は、協力者が情報入力を完了した旨をシステムに入力するためのボタン(例えば、完了ボタン)を協力者端末30に表示してもよい。作成制御部203は、当該完了ボタンが押下されたタイミングで、個別避難計画のステータスを承認待ちに設定してもよい。なお、後述するように、作成制御部203は、個別避難計画の入力を一時中断するためのボタン(一時保存ボタン)を協力者端末30に表示してもよい。
【0086】
管理部204は、個別避難計画に関する制御、管理を行う手段である。管理部204は、管理サイトにログインした自治体の職員の指示(操作)に応じた情報提供等を行う。例えば、自治体の職員が、「個別避難計画の状況確認」を希望した場合、管理部204は、個別避難計画管理データベースの各エントリのステータスフィールドを含む全部又は一部の項目を自治体端末20に表示する。
【0087】
例えば、管理部204は、図13に示すようなGUIを表示する。また、図13に示すGUIにおいて自治体の職員が要支援者を選択(クリック)すると、管理部204は、当該選択された要支援者のより詳細な情報を自治体の職員に提供する。例えば、管理部204は、選択された要支援者のエントリ(個別避難計画管理データベースのエントリ)を参照し、図14に示すようなGUIを自治体端末20に表示する。
【0088】
なお、管理部204は、図13に示すような情報提供をする際、個別避難計画作成の優先度が高い要支援者(例えば、要介護レベルが高い要支援者)であって、個別避難計画が未作成な要支援者を強調表示したり、リストの上位に表示したりしてもよい。あるいは、サーバ装置10は、上記のような個別避難計画作成の優先度が高い要支援者の個別避難計画の作成を促す通知を対応する協力者の協力者端末30に送信してもよい。
【0089】
なお、図14は例示であって、管理部204が自治体端末20に表示する項目等を限定する趣旨ではない。管理部204は、要支援者の住所(住所の座標情報)、世帯状況(家族構成)、所属する町内会の情報、かかりつけの医療機関の名称等を自治体端末20に表示してもよい。
【0090】
ここで、管理部204は、詳細表示された要支援者のステータスに応じて自治体端末20に表示するGUIの内容を変更する。具体的には、要支援者のステータス(個別避難計画の状況)が「承認待ち」であれば、図14に示すように「承認」ボタンと「差し戻し」ボタンを表示する。
【0091】
自治体の職員は、自治体端末20を用いて、選択した要支援者の情報(個別避難計画)を確認する。例えば、自治体の職員は、要配慮事項等を考慮して要支援者が選択した支援者や避難先の妥当性を検証する。
【0092】
自治体の職員は、要支援者の個別避難計画に問題を発見しない場合、「承認」ボタンを押下する。管理部204は、当該承認ボタンの押下に応じて、自治体の職員が選択した要支援者の個別避難計画に関するステータスを「完了」に設定する。
【0093】
自治体の職員は、要支援者の個別避難計画に問題があり修正が必要と判断した場合、「差し戻し」ボタンを押下する。管理部204は、当該差し戻しボタンの押下に応じて、自治体の職員が選択した要支援者の個別避難計画に関するステータスを「差し戻し」に設定する。
【0094】
また、個別避難計画が差し戻された場合、管理部204は、差し戻しの理由や新たな確認事項(協力者に確認をお願いする項目)等を自治体の職員が入力可能とするGUIを自治体端末20に表示する。
【0095】
管理部204は、自治体の職員が「差し戻し」した要支援者について、協力者に個別避難計画の作成に関する再協力を依頼する。具体的には、管理部204は、個別避難計画が差し戻された要支援者に割り当てられた協力者の協力者端末30に「個別避難計画作成再協力依頼」を送信する。
【0096】
当該個別避難計画作成再協力依頼には、要支援者の情報や自治体の職員から取得した差し戻し理由や新たな確認事項等のメッセージ等が含まれる。
【0097】
このように、管理部204は、自治体の職員が、承認待ちに設定された個別避難計画を承認すると、当該承認された個別避難計画のステータスを完了に設定する。また、管理部204は、自治体の職員が承認待ちに設定された個別避難計画を承認しないと、当該承認されない個別避難計画のステータスを差し戻しに設定する。管理部204は、当該差し戻しに設定された個別避難計画の再作成に関する依頼を協力者に行う。
【0098】
ステータスが「作成中」、「作成前」、「差し戻し」のいずれかであれば、管理部204は、図15に示すようなGUIを表示する。この場合、管理部204は、選択された要支援者の各項目の設定値を表示し、承認ボタンや差し戻しボタンを表示しない。
【0099】
ステータスが「完了」の場合、管理部204は、図16に示すようなGUIを表示する。この場合、管理部204は、選択された要支援者の各項目の設定値を表示すると共に、設定値を修正可能とする「修正」ボタンを表示する。修正ボタンが押下されると、管理部204は、当該要支援者の個別避難計画の記載事項を自治体の職員が変更するためのインターフェイスを提供する。例えば、自治体の職員は、必要に応じて、要支援者が所属する町内会の情報等を修正する。
【0100】
記憶部205は、サーバ装置10の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0101】
<自治体端末>
自治体端末20には、スマートフォン、携帯電話機、ゲーム機、タブレット等の携帯端末装置やコンピュータ(パーソナルコンピュータ、ノートパソコン)等が例示される。自治体端末20は、自治体職員の操作を受け付け、サーバ装置10等と通信可能であれば任意の機器、デバイスとすることができる。また、自治体端末20の構成等は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明を省略する。
【0102】
<協力者端末>
協力者端末30には、スマートフォン、携帯電話機、ゲーム機、タブレット等の携帯端末装置が例示される。協力者端末30は、協力者の操作を受け付け、サーバ装置10等と通信可能であれば任意の機器、デバイスとすることができる。また、協力者端末30の構成等は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明を省略する。
【0103】
[システムの動作]
続いて、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明する。図17は、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0104】
サーバ装置10は、個別避難計画管理データベースを作成すると、各要支援者に割り当てた協力者に対して、個別避難計画の作成協力依頼を行う。具体的には、サーバ装置10は、協力者が所持する協力者端末30に対して「個別避難計画作成協力依頼」を送信する(ステップS01)。
【0105】
協力者端末30は、当該依頼を受信すると、協力者に対して個別避難計画の作成が依頼されたこと及び要支援者の情報(例えば、氏名、住所)を通知する。協力者は、当該依頼に応じて要支援者の下を訪問し個別避難計画に記載する項目の聞き取りを行う。
【0106】
協力者端末30は、協力者の操作に応じて、聞き取りをした項目をサーバ装置10に入力する(聞き取り項目の入力;ステップS02)。
【0107】
サーバ装置10は、未入力項目等の検証を行った後、協力者から取得した情報を個別避難計画管理データベースに登録する(取得情報を登録;ステップS03)。
【0108】
自治体の職員は、サーバ装置10が提供する管理サイトにログインし、個別避難計画の作成状況等を確認する。その際、自治体の職員は、自治体端末20を操作して、ステータスが「承認待ち」に設定されている要支援者(個別避難計画)の詳細を確認し、個別避難計画の承認作業を行う(ステップS04)。
【0109】
サーバ装置10は、自治体の職員により差し戻しの決定がされた個別避難計画が存在すれば、対応する協力者に対して個別避難計画の再作成を依頼する。
【0110】
<第1の実施形態に係る変形例1>
サーバ装置10(作成制御部203)は、協力者が個別避難計画を作成する際、当該協力者の作成作業をサポートするGUI等を表示してもよい。例えば、サーバ装置10は、協力者が個別避難計画を作成する際、次に入力する項目を明示(提示)するようなガイド機能(サジェスト機能)を備えていてもよい(図18参照)。あるいは、サーバ装置10は、協力者が要支援者から聞き取るべき項目を容易に把握できるように、聞き取りが必要な項目を強調表示してもよい。
【0111】
あるいは、サーバ装置10は、要支援者の住所に基づいて、当該要支援者の住宅を中心としたハザードマップを表示してもよい。例えば、サーバ装置10は、協力者による所定の動作(例えば、ハザードマップ表示ボタンの押下)を検出すると、図19に示すような表示を協力者端末30に行ってもよい。図19に示すような表示に接した協力者は、要支援者の自宅や避難所が危険区域内に含まれるか否か等を的確に判断できる。なお、図19において薄い灰色の領域は浸水領域を示す。
【0112】
あるいは、サーバ装置10は、必要な項目の自動設定や協力者が入力した項目の修正機能を備えていてもよい。例えば、協力者が避難先(避難先の名称や住所)を入力すると、サーバ装置10は、要支援者の自宅から避難先までの避難経路(最短経路)を自動生成してもよい。あるいは、サーバ装置10は、上記生成された避難経路を協力者等が修正できる機能を備えていてもよい。例えば、サーバ装置10は、最短経路を協力者端末30に表示し、協力者が要支援者の事情(例えば、車椅子等での移動が必要な要支援者)を考慮して表示された最短経路を修正可能にしてもよい。
【0113】
あるいは、サーバ装置10は、協力者が個別避難計画を作成する際(要支援者からヒアリングした情報をサーバ装置10に入力する際)、入力についてのアドバイスや入力画面で用いられている用語や色彩等の説明を行ってもよい。
【0114】
<第1の実施形態に係る変形例2>
協力者による個別避難計画の作成は複数回に分けて行われてもよい。この場合、サーバ装置10(作成制御部203)は、個別避難計画作成の一時中断を可能とするボタン等を協力者端末30に表示すればよい。
【0115】
また、複数の協力者が同じ要支援者の個別避難計画を作成してもよい。この場合にも一時中断ボタンが活用される。具体的には、最初の協力者が個別避難計画の記載事項(聞き取り事項)をサーバ装置10に入力し、作成作業(編集作業)の一時中断を行う。次の協力者は、一時中断された要支援者を指定し、当該要支援者の個別避難計画を作成する。
【0116】
このように、個別避難計画の入力は、複数回に分けて行われてもよい。あるいは、複数の協力者が同じ要支援者の避難計画を手分けして入力してもよい。
【0117】
<第1の実施形態に係る変形例3>
個別避難計画の作成のために用意された情報や作成された個別避難計画は、自治体内の複数の部局等で共有されてもよい。
【0118】
例えば、自治体の福祉課が、要支援者リストや協力者リストを作成する。福祉課の職員が、LGWAN-ASPのサーバ装置10にこれらのリストを入力する。危機管理課が、上記入力された要支援者リストや協力者リストを用いて、個別避難計画の作成(状況、進捗)を管理する。
【0119】
災害が発生すると、市民課が、LGWAN-ASPのサーバ装置10に記憶されている個別避難計画を参照し、必要に応じた対応を行う。例えば、市民課の職員は、身寄りのない要支援者の救護等を行う。
【0120】
また、民生委員や自主防災組織は、インターネット側からLGWAN-ASPのサーバ装置10にアクセスし、要支援者の個別避難計画を生成(入力)する。また、民生委員や自主防災組織は、要支援者の安否確認や避難支援の結果をサーバ装置に入力する。
【0121】
あるいは、消防団や病院は、サーバ装置10に登録された安否確認の結果や避難支援の結果を参照し、避難が遅れている要支援者を把握してもよい。消防団や病院は、当該避難が遅れている要支援者の救助、救護等を行う。
【0122】
サーバ装置10は、上記のような各主体の動作、行動を実現するためのインターフェイスやモジュールを備えていればよい。
【0123】
<第1の実施形態に係る変形例4>
上記実施形態では、協力者が要支援者を訪ねた際に個別避難計画の作成に関する同意が取得されることを説明した。しかし、当該同意は、協力者が要支援者を訪ねる前に取得されてもよい。
【0124】
例えば、要支援者リストの作成後、自治体の職員が当該要支援者リストに記載された各要支援者から個別避難計画の作成に関する同意を取得してもよい。例えば、自治体の職員は、電話連絡等を行い要支援者から個別避難計画の作成に関する同意を取得してもよい。
【0125】
この場合、各要支援者の同意状況は、各要支援者に協力者が割り当てられる前に個別避難計画管理データベースに反映される。サーバ装置10の作成制御部203は、個別避難計画の作成に同意している要支援者に対して協力者を割り当て、当該協力者に個別避難計画の作成を依頼すればよい。
【0126】
以上のように、第1の実施形態に係る情報処理システムでは、自治体(行政)により要支援者が抽出され、当該抽出された要支援者のリストがサーバ装置10に登録される。サーバ装置10は、個別避難計画に記載する項目のうち要支援者から聞き取りが必要な項目についてサーバ装置10に入力するよう協力者に依頼する。その結果、自治体の職員が、紙媒体に記載された情報をサーバ装置10に再入力する必要がなくなる。従って、個別避難計画の作成に関わる自治体職員等の作業負担が軽減される。このように、個別避難計画に記載する情報のうち一部を行政が入力し、一部を民生委員等が入力することで、行政と民間が協力して個別避難計画を作成する。
【0127】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0128】
第1の実施形態では、要支援者が支援者(例えば、親族、友人等)を指定することを前提として説明を行った。第2の実施形態では、要支援者が支援者を指定できない場合(要支援者に親族等が存在しない場合)について説明する。
【0129】
なお、第2の実施形態に係る情報処理システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図3に相当する説明を省略する。
【0130】
以下、第1の実施形態と第2の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0131】
図20は、第2の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図20を参照すると、第1の実施形態に係るサーバ装置10の構成に支援者管理部206が追加されている。
【0132】
支援者管理部206は、要支援者を支援する支援者に関する制御、管理を行う手段である。
【0133】
支援者管理部206は、支援者の情報を取得する。具体的には、支援者管理部206は、支援者をシステム登録するためのインターフェイスを備える。例えば、自治体の職員が自治体端末20を操作して管理サイトにアクセスし、所定の動作(例えば、支援者登録ボタンの押下)を行うと、支援者管理部206は、支援者の情報を入力するためのGUI等を自治体端末20に表示する。
【0134】
支援者管理部206は、GUIを使って、支援者の氏名、年齢、性別、住所、立場(民生委員、町内会会長)、所属する町内会、メールアドレス、電話番号、資格情報(能力情報)、支援希望情報等を取得する。
【0135】
資格情報(能力情報)には、支援者が持つ資格(普通自動車の免許、医師資格等)等が記載される。
【0136】
支援希望情報には、当該支援者が支援する(支援できる)要支援者に関する情報が記載される。例えば、「親族の支援希望」、「男性の支援希望」、「自力で歩行できる要支援者の支援を希望」、「普通車による支援を希望」といった情報が支援希望情報に該当する。
【0137】
支援者管理部206は、支援者の情報(属性情報、資格情報、支援希望情報等)を取得すると、支援者を識別するためのID(支援者IDと表記する)を生成する。支援者管理部206は、生成した支援者ID、支援者の情報を支援者管理データベースに記憶する(図21参照)。
【0138】
なお、図21に示す支援者管理情報データベースは例示であって、記憶する項目等を限定する趣旨ではない。例えば、生体情報として「顔画像」が支援者管理データベースに登録されていてもよい。
【0139】
また、支援者管理部206は、自治体の職員からの要求に応じた情報提供が可能である。支援者管理部206は、支援者として登録された住民に関する情報を自治体の職員に提供する。例えば、自治体の職員が支援者の一覧表示を希望すると、支援者管理部206は、支援者管理データベースに記憶された全部又は一部の情報を用いて図22に示すような支援者の一覧を自治体端末20に表示する。
【0140】
あるいは、自治体の職員が、町内会ごとの支援者数に関する情報提供を希望すると、支援者管理部206は、図23に示すような表示を行う。支援者管理部206は、町内会ごとの支援者数に関する集計情報を自治体の職員に提供する。
【0141】
第2の実施形態に係るサーバ装置10の作成制御部203は、要支援者を支援する支援者の選択に関する制御を行う。例えば、作成制御部203は、協力者の要求に応じて、支援者の情報を協力者に提供する。具体的には、作成制御部203は、協力者による所定の動作(例えば、支援者情報提供ボタンの押下)に応じて、要支援者を支援する支援者の候補を協力者端末30に表示する。
【0142】
例えば、作成制御部203は、図24に示すようなGUIを伴ったポップアップを協力者端末30に表示する。協力者は、一覧表示された各支援者の情報を参考にしつつ、要支援者に適した支援者を選択する。なお、作成制御部203は、協力者が表示された支援者を選択(支援者をクリック)すると、当該選択された支援者に関する詳細な情報を協力者端末30に表示してもよい。
【0143】
例えば、協力者は、自力での歩行が困難な要支援者に「普通車による要支援者の支援を希望」している支援者を割り当てる。作成制御部203は、GUIを介して取得した支援者の情報を個別避難計画管理データベースに記憶する。
【0144】
以上のように、第2の実施形態では、サーバ装置10は、要支援者を指定できない要支援者に割り当てる支援者の管理を行う。サーバ装置10は、要支援者から聞き取りを行っている協力者の要求に応じて、支援者の候補を協力者に提供する。協力者は、提供された支援者候補のなかから適切な支援者を選択する。このような構成により、実効性のある有用な個別避難計画が作成される。
【0145】
続いて、情報処理システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図25は、サーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0146】
サーバ装置10は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図25に例示する構成を備える。例えば、サーバ装置10は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0147】
但し、図25に示す構成は、サーバ装置10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。サーバ装置10は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、サーバ装置10に含まれるプロセッサ311等の数も図25の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311がサーバ装置10に含まれていてもよい。
【0148】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0149】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0150】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0151】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
【0152】
サーバ装置10の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0153】
なお、自治体端末20、協力者端末30もサーバ装置10と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成はサーバ装置10と相違する点はないので説明を省略する。
【0154】
情報処理装置であるサーバ装置10は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることでサーバ装置10の機能が実現できる。また、サーバ装置10は、当該プログラムによりサーバ装置10の制御方法を実行する。
【0155】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した情報処理システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0156】
上記実施形態では、個別避難計画に記載する項目を自治体の職員等が選択する場合について説明した。しかし、個別避難計画に記載する項目は予め定められていてもよい。あるいは、サーバ装置10は、自治体の職員が個別避難計画に記載する項目を選択する際、各項目の属性(入力が必須、入力は任意)を選択可能としてもよい。例えば、自治体の職員は、要支援者氏名の「フリガナ」を必須項目としたり任意項目としたりすることができる。
【0157】
サーバ装置10は、協力者が必須の項目について入力を完了していない場合に、当該協力者の情報入力に不備があると判定してもよい。
【0158】
上記実施形態では、行政が作成した要支援者リストに基づいて新たな個別避難計画管理データベースが作成される場合について説明した。しかし、サーバ装置10は、既に作成された個別避難計画管理データベースに要支援者(要支援者リスト)を追加するインターフェイスを備えていてもよい。要支援者の抽出は、要介護レベル等に基づいて行われるのが基本である。しかしながら、住民からの要請に基づいて要支援者が追加される場合もある。サーバ装置10は、要支援者の追加に対応したインターフェイスを自治体の職員(自治体端末20)に提供してもよい。例えば、自治体の職員は、要支援者を追加する個別避難計画管理データベースを選択する。自治体の職員は、自治体端末20を操作して、新たに追加する要支援者リストをサーバ装置10にアップロードする。サーバ装置10は、選択された個別避難計画管理データベースに、要支援者リストに含まれる要支援者に対応するエントリを追加する。サーバ装置10は、当該追加された要支援者の個別避難計画に関する作成を協力者に依頼する。
【0159】
サーバ装置10(管理部204)は、自治体の職員の操作に応じて、個別避難計画のステータスに承認待ちが設定されているエントリ(個別避難計画管理データベースのエントリ)の一覧を自治体端末20に表示してもよい。サーバ装置10は、当該一覧表示により自治体職員の承認業務を支援してもよい。
【0160】
上記実施形態では、要支援者に対して、サーバ装置10が個別避難計画の作成に協力する協力者を自動的に割り当てる場合について説明した。しかし、当該協力者の割り当ては自治体の職員等により行われてもよい。この場合、サーバ装置10は、各支援者に割り当てる協力者(1人又は複数の協力者)を選択可能とするGUI等を自治体端末20に表示すればよい。あるいは、サーバ装置10は、要支援者リストに記載された複数の要支援者のうち一部の要支援者について、自治体の職員が協力者を割り当てることを可能とするGUIを自治体端末20に表示してもよい。サーバ装置10は、自治体の職員により割り当てられた協力者に対しても自動的に割り当てられた協力者と同様に、個別避難計画の作成協力依頼を行えばよい。
【0161】
上記実施形態では、サーバ装置10の内部に個別避難計画管理データベースや支援者管理データベースが構成される場合について説明したが、これらのデータベースは外部のデータベースサーバ等に構築されてもよい。即ち、サーバ装置10の一部の機能は別のサーバに実装されていてもよい。より具体的には、上記説明した「登録制御部(登録制御手段)」、「作成制御部(作成制御手段)」等がシステムに含まれるいずれかの装置に実装されていればよい。
【0162】
各装置(サーバ装置10、自治体端末20、協力者端末30)間のデータ送受信の形態は特に限定されないが、これら装置間で送受信されるデータは暗号化されていてもよい。これらの装置間では、住民の個人情報等が送受信され、これらの情報を適切に保護するためには、暗号化されたデータが送受信されることが望ましい。
【0163】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0164】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0165】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、住民の個別避難計画を作成する情報処理システムなどに好適に適用可能である。
【0166】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する、決定手段と、
前記要支援者の前記個別避難計画の作成に関する制御を行う、制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置。
[付記2]
前記決定手段は、
自治体の職員による選択に基づいて前記個別避難計画に記載する項目を定める、付記1に記載のサーバ装置。
[付記3]
前記制御手段は、
前記協力者が前記要支援者から聞き取りした情報と、前記要支援者の情報が含まれる要支援者リストから得られる情報と、を用いて前記個別避難計画を作成する、付記2に記載のサーバ装置。
[付記4]
前記項別避難計画に関する管理を行う、管理手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記協力者が、前記個別避難計画に記載する情報のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を完了すると、前記必要な情報の入力が完了した個別避難計画のステータスを承認待ちに設定し、
前記管理手段は、
前記自治体の職員が、前記承認待ちに設定された個別避難計画を承認すると、前記承認された個別避難計画のステータスを完了に設定する、付記3に記載のサーバ装置。
[付記5]
前記管理手段は、
前記自治体の職員が前記承認待ちに設定された個別避難計画を承認しないと、前記承認されない個別避難計画のステータスを差し戻しに設定すると共に、前記差し戻しに設定された個別避難計画の再作成に関する依頼を前記協力者に行う、付記4に記載のサーバ装置。
[付記6]
前記要支援者を支援する支援者を管理する、支援者管理手段をさらに備え、
前記支援者管理手段は、前記支援者の情報を取得し、
前記制御手段は、前記協力者の要求に応じて、前記支援者の情報を前記協力者に提供する、付記2乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
[付記7]
前記支援者管理手段は、前記支援者として登録された住民に関する情報を前記自治体の職員に提供する、付記6に記載のサーバ装置。
[付記8]
LGWAN(Local Government Wide Area Network)とインターネットからアクセス可能なネットワークドメインに設置された、付記7に記載のサーバ装置。
[付記9]
サーバ装置において、
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定し、
前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する、サーバ装置の制御方法。
[付記10]
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
災害発生時に他者の支援を要する要支援者の避難支援のための個別避難計画に記載する項目を決定する処理と、
前記個別避難計画に記載する項目のうち前記要支援者から聞き取りが必要な項目に関する情報の入力を協力者に依頼する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【0167】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0168】
10 サーバ装置
20 自治体端末
30 協力者端末
100 サーバ装置
101 決定手段
102 制御手段
201 通信制御部
202 登録制御部
203 作成制御部
204 管理部
205 記憶部
206 支援者管理部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
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