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  • 特開-救急車用パドルスイッチ 図1
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  • 特開-救急車用パドルスイッチ 図3
  • 特開-救急車用パドルスイッチ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101677
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】救急車用パドルスイッチ
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240723BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B62D1/04
G05G1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005715
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】597033133
【氏名又は名称】株式会社赤尾
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 隆
(72)【発明者】
【氏名】内尾 公治
【テーマコード(参考)】
3D030
3J070
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
3J070AA03
3J070BA32
3J070BA41
3J070DA02
(57)【要約】
【課題】パドルスイッチを利用し、ステアリングホイールを握ったままで、ウー音の吹鳴等の操作を行うことができるようにして、救急車の緊急走行時の安全性を高める。
【解決手段】ステアリングホイール1の内側に位置して、ステアリングホイール1を握ったまま手前に引く操作をするパドルスイッチにおいて、一方のパドルスイッチ11aは、緊急走行用警告音であるピーポー音の吹鳴中に手前に一度引くと、サイレンのウー音が吹鳴し、その状態でもう一度手前に引くと、ウー音の吹鳴が停止するものとする。緊急走行時の迅速かつ高度な安全確認が必要とされる状況下で、運転者が視線と手指を移動させる必要がなくなり、事故発生の危険性を低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール(1)の内側に位置して、ステアリングホイール(1)を握ったまま手前に引く操作をするパドルスイッチにおいて、
前記パドルスイッチ(11a)は、緊急走行用警告音であるピーポー音の吹鳴中に手前に一度引くと、サイレンのウー音が吹鳴し、その状態でもう一度手前に引くと、ウー音の吹鳴が停止することを特徴とする救急車用パドルスイッチ。
【請求項2】
ステアリングホイール(1)の両側のいずれか一方に位置するパドルスイッチ(11a)が請求項1に記載の機能を有し、他方に位置するパドルスイッチ(11b)は、手前に引くとメッセージを発することを特徴とする救急車用パドルスイッチ。
【請求項3】
前記他方のパドルスイッチ(11b)を手前に引くことにより発するメッセージは、救急車の進路が道路を通行する車両で塞がれているとき、進路を譲ることを要請するものであることを特徴とする請求項2に記載の救急車用パドルスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、救急車に装備して緊急走行時にウー音の吹鳴等の操作を行うスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
救急車の緊急走行用警告音であるピーポー音は、警察車両と救急車を判別し易くすると共に、ウー音と呼ばれる従来のサイレン音と比較して、威嚇性の低い音で、搬送中の怪我人や病人の精神的な負担を和らげる効果があるとされている。
【0003】
ところが、交通量の多い道路や交差点を救急車が通過する際、ピーポー音だけでは渋滞している道路を通行する車両が救急車に進路を譲る動きを見せず、救急車の走行が妨げられる場合がある。
【0004】
このような状況を防ぐための対策として、救急車には、ピーポー音に加えてウー音を吹鳴させる装置が搭載されており、そのスイッチは、通常、救急車のインストルメントパネルに設けられている。また、ステアリングホイールのセンターパッドとリムとを繋ぐ幅広のスポーク部分に、他の多数のスイッチと共に設けられることもある。
【0005】
一方、近年、ステアリングホイールの内側に位置して、ステアリングホイールを握ったまま操作するパドルスイッチを装備した車両が増加しており、このパドルスイッチは、車両のエンジン側と車輪側の回転数の比率を段階的に変速するシフターとして機能するものとされている(下記特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-166832号公報
【特許文献2】特開2014-84111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のように、救急車において、ウー音を吹鳴させるためのスイッチがインストルメントパネルやステアリングホイールのスポーク部分に設けられている場合には、赤信号の交差点に緊急走行で進入する際など、迅速かつ高度な安全確認が必要とされる状況下で、運転者が視線と手指を移動させなければならず、また、ステアリングホイールを回して車両の旋回操作をしている状況では操作ができず、もしくは誤押してしまうことがあるため、事故発生または誘発の危険性が高まるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、車両の旋回操作中等の状況に係わらず、ステアリングホイールを握ったままで、ウー音の吹鳴等の警告操作を行うことができるパドルスイッチを設けて、救急車の緊急走行時の安全性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、ステアリングホイールの内側に位置して、ステアリングホイールを握ったまま手前に引く操作をするパドルスイッチにおいて、
前記パドルスイッチは、緊急走行用警告音であるピーポー音の吹鳴中に手前に引くと、サイレンのウー音が吹鳴し、その状態でもう一度手前に引くと、ウー音の吹鳴が停止するものとしたのである。
【0010】
また、ステアリングホイールの両側のいずれか一方に位置するパドルスイッチが上述の機能を有し、他方に位置するパドルスイッチは、手前に引くとメッセージを発するものとしたのである。
【0011】
さらに、前記他方のパドルスイッチを手前に引くことにより発するメッセージは、救急車の進路が道路を通行する車両で塞がれているとき、進路を譲ることを要請するものとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、救急車のステアリングホイールのステアリングコラム寄りの内側に取り付けたパドルスイッチを、ピーポー音に重ねてサイレンのウー音の吹鳴及び吹鳴停止のスイッチとして利用したので、緊急走行時の迅速かつ高度な安全確認が必要とされる状況下で、運転者が視線と手指を移動させる必要がなくなり、ステアリングホイールを回して車両の旋回操作をしている際にも、ウー音の吹鳴及び吹鳴停止操作を行うことができるので、事故発生または誘発の危険性を低減することができる。
【0013】
また、ステアリングホイールの両側に位置するパドルスイッチのうち、一方を上述の機能を有するものとし、他方をメッセージ発出用のものとすると、進路を譲ることを要請するメッセージ等を発する際の安全性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明に係るパドルスイッチを装備した救急車の運転席前方を示す斜視図
図2】同上のステアリングホイールへの取付部を示す側面図
図3】同上のステアリングホイールを回した状態を示す正面図
図4】同上のインストルメントパネルのスイッチ配置を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、この救急車の運転席前方には、ステアリングホイール1のステアリングコラム2寄りの内側に位置するように、一対のパドルスイッチ11a,11bが追加して取り付けられている。パドルスイッチ11a,11bは、一般にシフターとして設けられているものと同様のものである。ステアリングホイール1が直進方向へ向いた状態では、一方のパドルスイッチ11aが右側に位置し、他方のパドルスイッチ11bが左側に位置する。
【0017】
図3に示すように、パドルスイッチ11a,11bは、操舵に伴いステアリングホイール1と共に回転し、図1及び図3に示すように、ステアリングホイール1を握ったまま手前に引くことによって、操作するものとされている。なお、図3に鎖線で示す従来例のように、ステアリングホイール1のスポーク部分に設けられたスイッチ15は、ステアリングホイール1を回した状態で目視し、各機能を選択しながらの操作が困難である。
【0018】
図4に示すように、この救急車のインストルメントパネルには、運転席側と助手席側の中間部に、緊急走行用警告音の吹鳴や各種メッセージの車外拡声を司るサイレンアンプ10が設置されている。サイレンアンプ10には、乗員の肉声を車外に拡声するマイク12も接続されている。
【0019】
また、メーター部3の右側にメッセージ発出用の押釦スイッチ13,14が設けられている。さらに、ステアリングコラム2から右側へ延びるウィンカーレバー4もメッセージ発出用のスイッチとして機能する。
【0020】
上記のような装置を備えた救急車では、図1においてステアリングホイール1の右側に位置するパドルスイッチ11aを、ピーポー音の吹鳴中に手前に引くと、ピーポー音に重ねてサイレンのウー音が吹鳴する。
【0021】
そして、ウー音はパドルスイッチ11aをもう一度手前に引くまで吹鳴し続ける。この状態でパドルスイッチ11aをもう一度手前に引くと、ウー音の吹鳴が停止するので、視線を移動させて停止用のスイッチを探すことなく、迅速にサイレンのウー音を停止させることができる。
【0022】
また、ステアリングホイール1の左側に位置するパドルスイッチ11bを手前に1度引くと、救急車が交通量の多い道路を通過するとき、進路を譲ることを要請するメッセージを1回だけ発する。具体的なメッセージ内容は、「ドクターカー(救急車)が通ります。進路を譲ってください。」といったものである。
【0023】
このように、ステアリングホイール1の両側に位置するパドルスイッチ11a,11bのうち、一方をウー音の吹鳴に係る機能を有するものとし、他方をメッセージ発出用のものとすると、交通量の多い道路や交差点を救急車が通過する際、視線と手指を移動させてスイッチを探す必要がなくなり、安全性が向上する。
【0024】
また、従来からの一般的な装備であるが、ウィンカーレバー4を右折方向へ倒す操作をすると、「右へ走行します。ご注意下さい。」とのメッセージが流れ、左折方向へ倒す操作をすると、「左へ走行します。ご注意下さい。」とのメッセージが流れる。これらのメッセージは、ウィンカーレバー4の復帰に伴い停止する。
【0025】
また、同様に、従来からの一般的な装備であるが、インストルメントパネルの押釦スイッチ13を押すと、「ドクターカーが交差点に進入します。ご注意ください。」とのメッセージが流れる。インストルメントパネルの押釦スイッチ14を押すと、「緊急走行にご協力ありがとうございます。」とのメッセージが一度流れる。
【0026】
なお、従来と同様、サイレンのウー音の吹鳴や、進路を譲ることを要請するメッセージの発出、交差点に進入する際に注意を促すメッセージの発出等の操作は、マイク12に設けられたスイッチで助手席側から操作することもできる。
【0027】
上述のように、ステアリングホイール1の両側に位置するパドルスイッチ11a,11bと、ウィンカーレバー4と、インストルメントパネルの押釦スイッチ13,14などの操作に伴う機能を割り当てると、救急車の運転者が視線と手指の移動を極力抑制しつつ運転に集中することができ、事故発生の危険性を低減することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングコラム
3 メーター部
4 ウィンカーレバー
10 サイレンアンプ
11a,11b パドルスイッチ
12 マイク
13,14 押釦スイッチ
図1
図2
図3
図4