IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日阪製作所の特許一覧

<>
  • 特開-電解合成装置 図1
  • 特開-電解合成装置 図2
  • 特開-電解合成装置 図3
  • 特開-電解合成装置 図4
  • 特開-電解合成装置 図5
  • 特開-電解合成装置 図6
  • 特開-電解合成装置 図7
  • 特開-電解合成装置 図8
  • 特開-電解合成装置 図9
  • 特開-電解合成装置 図10
  • 特開-電解合成装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101685
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電解合成装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20240723BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240723BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B9/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005736
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】夏 允幸
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021CA12
4K021CA15
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC11
(57)【要約】
【課題】コンパクトな電解合成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、第一流体を電気分解して所定の気体を生成する電解部と、第二流体と所定の気体との化学反応を促進する触媒を含む触媒層であって所定の気体が通過可能な触媒層を有する合成部と、を備え、電解部と合成部とは、該電解部における所定の気体が生成される部位と触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように隣り合う、ことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一流体を電気分解して所定の気体を生成する電解部と、
前記所定の気体と第二流体との化学反応を促進する触媒を含む触媒層であって前記所定の気体が通過可能な触媒層を有する合成部と、を備え、
前記電解部と前記合成部とは、該電解部における前記所定の気体が生成される部位と前記触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように、隣り合う、電解合成装置。
【請求項2】
前記電解部は、
それぞれが前記電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向に重ね合わされる第一プレート及び第二プレートと、
固体高分子交換膜を含むと共に、前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートと前記第二プレートとの間に配置される交換膜プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記第二プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記第二プレートと重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記交換膜プレートとの間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記第二プレートは、導電性を有し且つ前記触媒を担持する多孔質プレート部を含み、前記電解部の電極板を構成すると共に前記合成部の前記触媒層を構成し、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記第二プレートとの間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成する、請求項1に記載の電解合成装置。
【請求項3】
前記並び方向において前記第一プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第四プレートと、
前記並び方向において前記第三プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第五プレートと、を備え、
前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第四プレートは、前記並び方向における前記第一プレートとの間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第五プレートは、前記並び方向における前記第三プレートとの間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成する、請求項2に記載の電解合成装置。
【請求項4】
前記第一温調流路と前記第二温調流路とを直列に接続する接続流路を備え、
前記第三流体と前記第四流体とが共通の流体である、請求項3に記載の電解合成装置。
【請求項5】
前記電解部は、一対の電極板を有し、
前記第一プレートは、導電性を有し、
前記第一プレート及び前記第二プレートは、前記一対の電極板を構成する、請求項2に記載の電解合成装置。
【請求項6】
前記第二流体の流れ方向における前記第二流路の一方の端部と他方の端部とに接続されて該第二流体の循環経路を構成する循環用系統を備える、請求項2に記載の電解合成装置。
【請求項7】
前記第一プレート、前記交換膜プレート、前記第二プレート、及び前記第三プレートのそれぞれは、取り外し可能に配置されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の電解合成装置。
【請求項8】
前記第一プレート及び前記第三プレートの少なくとも一方のプレートは、前記第一流路又は前記第二流路を画定する面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有する、請求項2又は3に記載の電解合成装置。
【請求項9】
前記並び方向に重ね合わされる前記第一プレートから前記第三プレートまでの各プレートを含むプレートセットを複数備え、
前記複数のプレートセットは、それぞれ取り外し可能に前記並び方向に一列に配置されている、請求項2に記載の電解合成装置。
【請求項10】
各プレートセットは、前記並び方向に隣り合うプレートセット同士のプレートの並び順が逆になるようにそれぞれ配置され、
前記各プレートセットの前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第一プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第一プレート間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第三プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第三プレート間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成する、請求項9に記載の電解合成装置。
【請求項11】
前記電解部は、
該電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がる第一プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がる膜電極接合体を含み且つ前記並び方向に前記第一プレートと重ね合わされる隔壁プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記触媒層と、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記触媒層と重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記膜電極接合体との間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記膜電極接合体は、それぞれが前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートから前記第三プレートに向けて順に配置される陽極と高分子交換膜と陰極とを含み、
前記触媒層は、前記膜電極接合体と隣接し又は前記膜電極接合体の陰極に前記触媒が担持されることによって構成され、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記触媒層との間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成する、請求項1に記載の電解合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水素キャリアを製造するシステムとして、水素製造装置と、水素キャリア製造装置と、を備えた水素キャリア製造システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この水素キャリア製造システムでは、水素製造装置は、例えば、電気分解法等により水素を製造する装置であり、キャリア製造装置は、水素キャリアとしてのアンモニアや有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン)などを製造する装置である。この水素キャリア製造装置は、水素キャリアとしての有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン:MCH)を製造する場合、例えば、炭化水素化合物(例えば、トルエン)に水素を添加して製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-157170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の水素キャリア製造システムでは、水素を製造する装置(水素製造装置)と、製造された水素を用いれ水素キャリアを製造する装置(水素キャリア製造装置)とが、個別の装置であり、これら各装置が配管等によって接続されて製造システムが構成されているため、製造システム全体が大型化する。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトな電解合成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電解合成装置は、
第一流体を電気分解して所定の気体を生成する電解部と、
前記所定の気体と第二流体との化学反応を促進する触媒を含む触媒層であって前記所定の気体が通過可能な触媒層を有する合成部と、を備え、
前記電解部と前記合成部とは、該電解部における前記所定の気体が生成される部位と前記触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように、隣り合う。
【0008】
このように、所定の気体が生成される部位と触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように電解部と合成部とが隣り合うことで、コンパクトな電解合成装置が得られる。
【0009】
例えば、前記電解合成装置において、
前記電解部は、
それぞれが前記電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向に重ね合わされる第一プレート及び第二プレートと、
固体高分子交換膜を含むと共に、前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートと前記第二プレートとの間に配置される交換膜プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記第二プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記第二プレートと重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記交換膜プレートとの間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記第二プレートは、導電性を有し且つ前記触媒を担持する多孔質プレート部を含み、前記電解部の電極板を構成すると共に前記合成部の前記触媒層を構成し、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記第二プレートとの間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成してもよい。
【0010】
かかる構成によれば、第一流路に第一流体を流通させると共に第二流路に第二流体を流通させることで、所望の物質(即ち、第一流体の電気分解によって生成された所定の気体と第二流体とが化学反応した物質(流体))が得られる。しかも、導電性を有し且つ触媒を担持する多孔質プレート部を第二プレートが含む構成とし、該第二プレートを電解部と合成部とによって共有する構成とすることで、電解合成装置のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
また、前記電解合成装置では、
前記並び方向において前記第一プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第四プレートと、
前記並び方向において前記第三プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第五プレートと、を備え、
前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第四プレートは、前記並び方向における前記第一プレートとの間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第五プレートは、前記並び方向における前記第三プレートとの間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成してもよい。
【0012】
このように、第一プレートと第三プレートとが金属製であることで、第一流体と第三流体とが熱交換可能となり、且つ、第二流体と第四流体とが熱交換可能となる。このため、上記構成によれば、第一温調流路に供給される第三流体と第二温調流路に供給される第四流体との温度制御をそれぞれ行うことで、電解部での第一流体の温度と合成部での第二流体の温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。
【0013】
また、前記電解合成装置は、
前記第一温調流路と前記第二温調流路とを直列に接続する接続流路を備えてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、第三流体と第四流体とを共通の流体(温調用流体)とし、第二温調流路側から接続流路を介して第一温調流路に流れるように該温調用流体を供給することで、合成部において化学反応を促進させる触媒反応で発生した熱(触媒反応熱)を第二流体から徐熱する(冷却する)と共に、この合成部での徐熱によって供給流体が得た熱によって、電解部において第一流体を昇温させて(加熱して)電気分解の効率を向上さることができる。
【0015】
また、前記電解合成装置では、
前記電解部は、一対の電極板を有し、
前記第一プレートは、導電性を有し、
前記第一プレート及び前記第二プレートは、前記一対の電極板を構成してもよい。
【0016】
このように、第一流体や第二流体が流通する流路を形成するプレートと、第一流体を電気分解するための電極板とを兼用することで、部品点数を減らすことができる。
【0017】
また、前記電解合成装置では、
前記第二流体の流れ方向における前記第二流路の一方の端部と他方の端部とに接続されて該第二流体の循環経路を構成する循環用系統を備えてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、第二流体を循環させることで、第二流体の全てを電解部によって生成された所定の気体と化学反応させることができる。
【0019】
また、前記電解合成装置では、
前記第一プレート、前記交換膜プレート、前記第二プレート、及び前記第三プレートのそれぞれは、取り外し可能に配置されてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、各プレートが取り外し可能に配置されているため、損傷したプレートの交換やプレートの洗浄等のメンテナンスが容易になる。
【0021】
また、前記電解合成装置では、
前記第一プレート及び前記第三プレートの少なくとも一方のプレートは、前記第一流路又は前記第二流路を画定する面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有してもよい。
【0022】
かかる構成によれば、第一流路及び第二流路の少なくとも一方を流れる流体に乱流等の乱れが生じるため、第一流体の固体高分子交換膜との接触や第二流体の触媒層との接触が増え、これにより、該電解合成装置の処理効率が向上する。
【0023】
また、前記電解合成装置では、
前記並び方向に重ね合わされる前記第一プレートから前記第三プレートまでの各プレートを含むプレートセットを複数備え、
前記複数のプレートセットは、それぞれ取り外し可能に前記並び方向に一列に配置されてもよい。
【0024】
かかる構成によれば、処理量に応じてプレートセットの増減を行うことができる。
【0025】
この場合、
各プレートセットは、前記並び方向に隣り合うプレートセット同士のプレートの並び順が逆になるようにそれぞれ配置され、
前記各プレートセットの前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第一プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第一プレート間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第三プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第三プレート間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成してもよい。
【0026】
かかる構成によれば、第一温調流路に供給される第三流体と第二温調流路に供給される第四流体との温度制御をそれぞれ行うことで、各プレートセットにおける電解部での第一流体の温度と合成部での第二流体の温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。しかも、前記並び方向に隣り合うプレートセット同士のプレートの並び順が逆になるように各プレートセットがそれぞれ配置されることで隣り合うプレートセット間に第一温調流路又は第二温調流路が形成されるため、第一流体及び第二流体の温度調整(制御)を可能としつつも装置全体でのプレートの数を抑えることができる。
【0027】
また、例えば、前記電解合成装置では、
前記電解部は、
該電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がる第一プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がる膜電極接合体を含み且つ前記並び方向に前記第一プレートと重ね合わされる隔壁プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記触媒層と、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記触媒層と重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記膜電極接合体との間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記膜電極接合体は、それぞれが前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートから前記第三プレートに向けて順に配置される陽極と高分子交換膜と陰極とを含み、
前記触媒層は、前記膜電極接合体と隣接し又は前記膜電極接合体の陰極に前記触媒が担持されることによって構成され、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記触媒層との間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成してもよい。
【0028】
かかる構成によっても、第一流路に第一流体を流通させると共に第二流路に第二流体を流通させることで、所望の流体(即ち、第一流体の電気分解によって生成された所定の気体と第二流体とが化学反応した流体)が得られる。しかも、膜電極接合体と触媒層とを隣接させ、又は、膜電極接合体の陰極によって触媒層が構成される構成とすることで、電解合成装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上より、本発明によれば、コンパクトな電解合成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、第一実施形態に係る電解合成装置の斜視図である。
図2図2は、前記電解合成装置の分解斜視図である。
図3図3は、一対の挟持部と、前記一対の挟持部に挟み込まれるプレート群との分解斜視図である。
図4図4は、前記電解合成装置に各系統が接続された状態を説明するための図である。
図5図5は、第二実施形態に係る電解合成装置の斜視図である。
図6図6は、一対の挟持部と、前記一対の挟持部に挟み込まれる複数のプレートセット及びセット間ガスケットと、の分解斜視図である。
図7図7は、前記プレートセットの分解斜視図である。
図8図8は、隣り合うプレートセットにおけるプレートの並び順を説明するための分解斜視図である。
図9図9は、他実施形態に係る電解合成装置の流路構成を説明するための模式図である。
図10図10は、他実施形態に係る電解合成装置の構成を説明するための模式図である。
図11図11は、前記電解合成装置が備える膜電極合成体の構成を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(1)本発明の一実施形態に係る電解合成装置は、
第一流体を電気分解して所定の気体を生成する電解部と、
前記所定の気体と第二流体との化学反応を促進する触媒を含む触媒層であって前記所定の気体が通過可能な触媒層を有する合成部と、を備え、
前記電解部と前記合成部とは、該電解部における前記所定の気体が生成される部位と前記触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように、隣り合う。
【0032】
本発明の一実施形態にかかる電解合成装置では、所定の気体が生成される部位と触媒層とが隣接し又は同じ領域に位置するように電解部と合成部とが隣り合うことで、コンパクトな電解合成装置が得られる。
【0033】
(2)上記(1)に記載の電解合成装置において、
前記電解部は、
それぞれが前記電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向に重ね合わされる第一プレート及び第二プレートと、
固体高分子交換膜を含むと共に、前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートと前記第二プレートとの間に配置される交換膜プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記第二プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記第二プレートと重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記交換膜プレートとの間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記第二プレートは、導電性を有し且つ前記触媒を担持する多孔質プレート部を含み、前記電解部の電極板を構成すると共に前記合成部の前記触媒層を構成し、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記第二プレートとの間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成してもよい。
【0034】
上記(2)に記載の電解合成装置では、第一流路に第一流体を流通させると共に第二流路に第二流体を流通させることで、所望の物質(即ち、第一流体の電気分解によって生成された所定の気体と第二流体とが化学反応した物質(流体))が得られる。しかも、この電解合成装置では、導電性を有し且つ触媒を担持する多孔質プレート部を第二プレートが含む構成とし、該第二プレートを電解部と合成部とによって共有する構成とすることで、電解合成装置のコンパクト化を図ることができる。
【0035】
(3)上記(1)又は(2)に記載の電解合成装置において、
前記並び方向において前記第一プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第四プレートと、
前記並び方向において前記第三プレートに対して前記第二プレートの側と反対側から重ね合わされる第五プレートと、を備え、
前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第四プレートは、前記並び方向における前記第一プレートとの間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第五プレートは、前記並び方向における前記第三プレートとの間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成してもよい。
【0036】
上記(3)に記載の電解合成装置では、第一プレートと第三プレートとが金属製であることで、第一流体と第三流体とが熱交換可能となり、且つ、第二流体と第四流体とが熱交換可能となる。このため、この電解合成装置によれば、第一温調流路に供給される第三流体と第二温調流路に供給される第四流体との温度制御をそれぞれ行うことで、電解部での第一流体の温度と合成部での第二流体の温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。
【0037】
(4)上記(3)に記載の電解合成装置は、
前記第一温調流路と前記第二温調流路とを直列に接続する接続流路を備えてもよい。
【0038】
上記(4)に記載の電解合成装置では、第三流体と第四流体とを共通の流体(温調流体)とし、第二温調流路側から接続流路を介して第一温調流路に流れるように該温調流体を供給することで、合成部において化学反応を促進させる触媒反応で発生した熱(触媒反応熱)を第二流体から徐熱する(冷却する)と共に、この合成部での徐熱によって温調流体が得た熱によって、電解部において第一流体を昇温させて(加熱して)電気分解の効率を向上さることができる。
【0039】
(5)上記(2)~(4)の何れかに記載の電解合成装置では、
前記電解部は、一対の電極板を有し、
前記第一プレートは、導電性を有し、
前記第一プレート及び前記第二プレートは、前記一対の電極板を構成してもよい。
【0040】
上記(5)に記載の電解合成装置では、第一流体や第二流体が流通する流路を形成するプレートと、第一流体を電気分解するための電極板とを兼用することで、部品点数を減らすことができる。
【0041】
(6)上記(2)~(5)の何れかに記載の電解合成装置では、
前記第二流体の流れ方向における前記第二流路の一方の端部と他方の端部とに接続されて該第二流体の循環経路を構成する循環用系統を備えてもよい
【0042】
上記(6)に記載の電解合成装置では、第二流体を循環させることで、第二流体の全てを電解部によって生成された所定の気体と化学反応させることができる。
【0043】
(7)上記(2)~(6)の何れかに記載の電解合成装置では、
前記第一プレート、前記交換膜プレート、前記第二プレート、及び前記第三プレートのそれぞれは、取り外し可能に配置されてもよい。
【0044】
上記(7)に記載の電解合成装置では、各プレートが取り外し可能に配置されているため、損傷したプレートの交換やプレートの洗浄等のメンテナンスが容易になる。
【0045】
(8)上記(2)~(7)の何れかに記載の電解合成装置では、
前記第一プレート及び前記第三プレートの少なくとも一方のプレートは、前記第一流路又は前記第二流路を画定する面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有してもよい。
【0046】
上記(8)に記載の電解合成装置では、第一流路及び第二流路の少なくとも一方を流れる流体に乱流等の乱れが生じるため、第一流体の固体高分子交換膜との接触や第二流体の触媒層との接触が増え、これにより、該電解合成装置の処理効率が向上する。
【0047】
(9)上記(2)~(8)の何れかに記載の電解合成装置では、
前記並び方向に重ね合わされる前記第一プレートから前記第三プレートまでの各プレートを含むプレートセットを複数備え、
前記複数のプレートセットは、それぞれ取り外し可能に前記並び方向に一列に配置されてもよい。
【0048】
上記(9)に記載の電解合成装置では、処理量に応じてプレートセットの増減を行うことができる。
【0049】
(10)上記(9)に記載の電解合成装置では、
各プレートセットは、前記並び方向に隣り合うプレートセット同士のプレートの並び順が逆になるようにそれぞれ配置され、
前記各プレートセットの前記第一プレートと前記第三プレートとは、それぞれ金属製であり、
前記第一プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第一プレート間に温度調整用の第三流体が流通可能な第一温調流路を形成し、
前記第三プレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットは、該第三プレート間に温度調整用の第四流体が流通可能な第二温調流路を形成してもよい。
【0050】
上記(10)に記載の電解合成装置では、第一温調流路に供給される第三流体と第二温調流路に供給される第四流体との温度制御をそれぞれ行うことで、各プレートセットにおける電解部での第一流体の温度と合成部での第二流体の温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。しかも、前記並び方向に隣り合うプレートセット同士のプレートの並び順が逆になるように各プレートセットがそれぞれ配置されることで隣り合うプレートセット間に第一温調流路又は第二温調流路が形成されるため、第一流体及び第二流体の温度調整(制御)を可能としつつも装置全体でのプレートの数を抑えることができる。
【0051】
(11)上記(1)に記載の電解合成装置では、
前記電解部は、
該電解部と前記合成部との並び方向と直交する面方向に広がる第一プレートと、
前記並び方向と直交する面方向に広がる膜電極接合体を含み且つ前記並び方向に前記第一プレートと重ね合わされる隔壁プレートと、を有し、
前記合成部は、
前記触媒層と、
前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記並び方向における前記第一プレートと反対側において前記触媒層と重ね合わされる第三プレートと、を有し、
前記第一プレートは、前記並び方向における前記膜電極接合体との間に前記第一流体が流通可能な第一流路を形成し、
前記膜電極接合体は、それぞれが前記並び方向と直交する面方向に広がり且つ前記第一プレートから前記第三プレートに向けて順に配置される陽極と高分子交換膜と陰極とを含み、
前記触媒層は、前記膜電極接合体と隣接し又は前記膜電極接合体の陰極に前記触媒が担持されることによって構成され、
前記第三プレートは、前記並び方向における前記触媒層との間に前記第二流体が流通可能な第二流路を形成してもよい。
【0052】
上記(11)に記載の電解合成装置によっても、第一流路に第一流体を流通させると共に第二流路に第二流体を流通させることで、所望の物質(即ち、第一流体の電気分解によって生成された所定の気体と第二流体とが化学反応した物質(流体))が得られる。しかも、膜電極接合体と触媒層とを隣接させ、又は、膜電極接合体の陰極によって触媒層が構成される構成とすることで、電解合成装置のコンパクト化を図ることができる。
【0053】
以下、本発明の第一実施形態について、図1図4を参照しつつ説明する。
【0054】
本実施形態の電解合成装置は、水(第一流体)とトルエン(第二流体)から水素キャリアの一つであるメチルシクロヘキサン(MCH)を製造する。詳しくは、電解合成装置は、水を電気分解して水素(所定の気体)を生成し、触媒を利用して水素とトルエンとを化学反応させてMCHを合成(製造)する。
【0055】
この電解合成装置1は、図1図3に示すように、水が電気分解されて水素が生成される電解部Aと、水素とトルエンとの化学反応によってMCHが合成される合成部Bと、を備える。この合成部Bは、水素とトルエンとの化学反応を促進する触媒を含み且つ水素が通過可能な触媒層CLを有する。
【0056】
この電解合成装置1において、電解部Aにおける水素が生成される部位と合成部Bの触媒層CLとが隣接し又は同じ領域に位置するように、電解部Aと合成部Bとが隣り合っている。
【0057】
本実施形態の電解合成装置1では、電解部Aと合成部Bとは、複数のプレート20が重ね合わされることによって構成されており、複数のプレート20に含まれる一つのプレート24を共用している。これら複数のプレート20のそれぞれは、上下方向に長尺な矩形状であり、係合部20Eを上端部と下端部とに有する(図2参照)。本実施形態の係合部20Eは、プレート20の内側に向けて凹む切欠きであり、後述する保持部3と係合する部位である。
【0058】
以下では、電解部Aと合成部Bとの並び方向を直交座標系におけるX軸方向とし、プレート20の幅方向を直交座標系におけるY軸方向とし、上下方向を直交座標系におけるZ軸方向とする。
【0059】
具体的に、電解合成装置1は、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート20を有するプレート群2と、プレート群2を保持する保持部3と、を備える。
【0060】
プレート群2は、それぞれがX軸方向と直交する面方向に広がり且つX軸方向に重ね合わされる複数のプレート20と、各プレート20間に挟み込まれる複数のガスケット5と、を有する。これら複数のプレート20は、それぞれ取り外し可能に重ね合わされている。また、ガスケット5もそれぞれ取り外し可能に各プレート20間に挟み込まれている。
【0061】
複数のプレート20のそれぞれは、X軸方向から見て同じ輪郭のプレートである。具体的に、複数のプレート20のそれぞれは、Z軸方向に長尺な矩形状のプレートであり、上端部と下端部とのそれぞれに複数(電解合成装置1に供給される流体の数(種類)に対応する数であり、本実施形態の例では、四つ)の貫通孔20a~20dを有する。これら複数の貫通孔20a~20dは、Y軸方向に間隔をあけて並んでいる。
【0062】
本実施形態の複数のプレート20は、第一のプレート(第四プレート)21と、第二のプレート(第一プレート)22と、第三のプレート(交換膜プレート)23と、第四のプレート(第二プレート)24と、第五のプレート(第三プレート)25と、第六のプレート(第五プレート)26と、を含む。
【0063】
これら複数のプレート20のうちの第一のプレート21と第二のプレート22と第五のプレート25と第六のプレート26とは、例えば、チタン等の金属製のプレート(金属プレート)である。これら各金属プレート21、22、25、26は、導電性を有し、且つ、少なくとも一つの凸部201及び少なくとも一つの凹部202を有する。本実施形態の金属プレート21、22、25、26のうち第二のプレート22は、電解部Aにおける電極板(陽極)を構成する。また、金属プレート21、22、25、26は、それぞれ複数の凸部201と複数の凹部202とを有する。
【0064】
これら複数の凸部201及び複数の凹部202のそれぞれは、プレス加工によって形成されており、金属プレート21、22、25、26の一方の面に形成されている凸部201の裏面側(他方の面)に凹部202が形成され、一方の面に形成されている凹部202の裏面側(他方の面)に凸部201が形成されている。
【0065】
本実施形態の凸部201及び凹部202は、いわゆるヘリンボーン状に配置されており、隣り合う金属プレート21、22、25、26の対向する凸部201同士がX軸方向から見て交差した状態で互いに当接している。
【0066】
第三のプレート23は、固体高分子交換膜231を含むと共に、第二のプレート22と第四のプレート24との間に配置されている。本実施形態の第三のプレート23は、固体高分子交換膜231と、固体高分子交換膜231を囲む枠部232と、を有する。
【0067】
固体高分子交換膜231は、電解部Aで水が電気分解されたときに生じる水素イオン(H+)を透過させる一方、水と該水の電気分解で生じた酸素とを透過させない。本実施形態の固体高分子交換膜231は、PFSAとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のコポリマー等によって構成される膜である。この固体高分子交換膜231は、第三のプレート23の中央部に配置される矩形状の膜であり、第二のプレート22と第三のプレート23との間に形成される第一流路Ch1と対応する大きさである。
【0068】
枠部232は、固体高分子交換膜231を囲む枠状の部位であり、金属プレート21、22、25、26と同様にチタン等によって構成されている。本実施形態の枠部232は、Z軸方向の一方側の端部と他方側の端部とのそれぞれに貫通孔20a~20dを有する。
【0069】
第四のプレート24は、導電性を有し且つ触媒を担持する多孔質プレート部241を含む。本実施形態の第四のプレート24は、多孔質プレート部241と、多孔質プレート部241を囲む枠部242と、を有する。
【0070】
この第四のプレート24は、導電性を有することで電解部Aにおける電極板(陰極)を構成する。また、第四のプレート24の多孔質プレート部241は、触媒を担持することで合成部Bの触媒層CLを構成する。即ち、本実施形態の電解合成装置1では、電解部Aにおける水素が生成される部位と合成部Bの触媒層CLとが同じ領域に位置している。
【0071】
本実施形態の多孔質プレート部241は、水素を透過させるが、水及びトルエンを透過させない。この多孔質プレート部241は、第四のプレート24の中央部に配置される矩形のプレート状であり、第四のプレート24と第五のプレート25との間に形成される第二流路Ch2と対応する大きさである。また、多孔質プレート部241が担持する触媒は、電解部Aで生成された気体(本実施形態の例では、水素)と、合成部Bに供給される流体(本実施形態の例では、トルエン)と、の化学反応を促進する物質である。本実施形態の触媒は、例えば、Ni/SiOやPt/Al等である。
【0072】
複数のガスケット5のそれぞれは、X軸方向に隣り合うプレート20間に挟み込まれることで該プレート20間に所定の流路(流路空間)を形成する。各ガスケット5は、X軸方向から見たときに、前記流路を囲むように閉じた形状の部位を少なくとも一つ有する。
【0073】
本実施形態の複数のガスケット5は、第一のガスケット51と、第二のガスケット52と、第三のガスケット53と、第四のガスケット54と、第五のガスケット55と、を含む。
【0074】
第一のガスケット51は、第一のプレート21と第二のプレート22との間に挟み込まれることで第一のプレート21と第二のプレート22との間に温度調整用の第一温調流体(第三流体)が流通可能な第一温調流路Ch3を形成する。この第一温調流体は、電解部Aで電気分解される水の温度を調整(制御)するための流体であり、本実施形態の第一温調流体は、所定温度の水である。
【0075】
第二のガスケット52は、第二のプレート22と第三のプレート23との間に挟み込まれることで第二のプレート22と第三のプレート23との間に水(電解部Aで電気分解の対象となる流体)が流通可能な第一流路Ch1を形成する。
【0076】
第三のガスケット53は、第三のプレート23と第四のプレート24との間に挟み込まれることで第三のプレート23と第四のプレート24とに沿った面方向へのプレート23、24間からの水素の漏れを防ぐ。この水素は、電解部Aで第一流路Ch1を流通する水が電気分解されることによって生成される気体である。
【0077】
第四のガスケット54は、第四のプレート24と第五のプレート25との間に挟み込まれることで第四のプレート24と第五のプレート25との間にトルエンが流通可能な第二流路Ch2を形成する。
【0078】
第五のガスケット55は、第五のプレート25と第六のプレート26との間に挟み込まれることで第五のプレート25と第六のプレート26との間に温度調整用の第二温調流体(第四流体)が流通可能な第二温調流路Ch4を形成する。この第二温調流体は、合成部Bで水素と化学反応するトルエンの温度を調整(制御)するための流体であり、本実施形態の第二温調流体は、所定温度の水である。この第二温調流体の温度は、第一温調流体の温度より低い。具体的に、第二温調流体は、合成部Bで水素と化学反応するトルエンの温度が90℃~110℃程度となるような温度(第二温度)であり、第一温調流体は、電解部Aで電気分解される水の温度が70℃~90℃程度となるような温度(第一温度)である。尚、第一流路Ch1に供給される水は、常温(室温)であり、第一温度は、第一流路Ch1を流通する水の温度より高い。
【0079】
また、プレート群2において各プレート20間にガスケット5が挟み込まれることで、プレート20の各貫通孔20a、20b、20c、20dと対応する位置においてプレート群2の内部をX軸方向に延びる流路(流路空間)が形成される。
【0080】
具体的に、プレート群2において、各プレート20の他方の貫通孔20bと対応する位置に第一流入路Ch1aが形成され、一方の貫通孔20bと対応する位置に第一流出路Ch1bが形成されている。これら第一流入路Ch1aと第一流出路Ch1bとは、第一流路Ch1と連通する。
【0081】
また、プレート群2において、各プレート20の一方の貫通孔20cと対応する位置に第二流入路Ch2aが形成され、他方の貫通孔20cと対応する位置に第二流出路Ch2bが形成されている。これら第二流入路Ch2aと第二流出路Ch2bとは、第二流路Ch2と連通する。
【0082】
また、プレート群2において、各プレート20の一方の貫通孔20aと対応する位置に第一温調流入路Ch3aが形成され、他方の貫通孔20aと対応する位置に第一温調流出路Ch3bが形成されている。これら第一温調流入路Ch3aと第一温調流出路Ch3bとは、第一温調流路Ch3と連通する。
【0083】
また、プレート群2において、各プレート20の一方の貫通孔20dと対応する位置に第二温調流入路Ch4aが形成され、他方の貫通孔20dと対応する位置に第二温調流出路Ch4bが形成されている。これら第二温調流入路Ch4aと第二温調流出路Ch4bとは、第二温調流路Ch4と連通する。
【0084】
以上のように構成されるプレート群2(電解合成装置1)において、電解部Aは、X軸方向における第一のプレート21から第四のプレート24までの範囲にある部材によって構成されている。また、合成部Bは、X軸方向における第四のプレート24から第六のプレート26までの範囲にある部材によって構成されている。即ち、本実施形態の電解合成装置1では、電解部Aと合成部Bとが第四のプレート24を共用している(図3参照)。
【0085】
この電解部Aは、水を電気分解するための一対の電極板を有し、該電解部Aにおいて、第二のプレート22と第四のプレート24とがそれぞれ所定の電圧を印加されることで、水を電気分解するための一対の電極板として機能する。即ち、第二のプレート22と第四のプレート24とは、電解部Aにおける一対の電極板を構成する。
【0086】
保持部3は、取り外し可能にプレート群2を保持している。この保持部3は、X軸方向においてプレート群2の両側に配置される一対の挟持部31、32と、一対の挟持部31、32のX軸方向の間隔を変更可能に該一対の挟持部31、32を支持する支持部33と、一対の挟持部31、32のX軸方向の間隔を変更する複数の間隔調整部35と、を備える。
【0087】
一対の挟持部31、32のそれぞれは、X軸方向と直交する方向に広がる厚板状の部材である。本実施形態の各挟持部31、32は、X軸方向から見て各プレート20と対応した大きさの矩形状である。
【0088】
具体的に、一対の挟持部31、32のうちの一方の挟持部31は、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状であり、各プレート20の貫通孔20a~20dと対応する位置(換言すると、第一流入路Ch1a、第一流出路Ch1b、第二流入路Ch2a、第二流出路Ch2b、第一温調流入路Ch3a、第一温調流出路Ch3b、第二温調流入路Ch4a、第二温調流出路Ch4bと対応する位置)に、X軸方向に貫通する複数(各プレート20の貫通孔20a~20dの数と対応する数:本実施形態の例では、八つ)の貫通孔31a~31dを有する。
【0089】
また、一方の挟持部31は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部315を有する。これら複数の係合部315のそれぞれは、間隔調整部35と係合する。本実施形態の各係合部315は、一方の挟持部31のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。
【0090】
また、一対の挟持部31、32のうちの他方の挟持部32は、一方の挟持部31と同様に、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状である。この他方の挟持部32は、一方の挟持部31に対してX軸方向に相対移動可能に支持部33と係合する被ガイド部321を有する。また、他方の挟持部32は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部325を有する。
【0091】
被ガイド部321は、他方の挟持部32のZ軸方向の両端に配置されている。本実施形態の被ガイド部321は、Z軸方向の端縁においてZ軸方向の内側に凹む切欠きであり、この切欠き内に支持部33の一部が嵌まり込むことによって該支持部33と係合する。
【0092】
複数の係合部325のそれぞれは、間隔調整部35と係合する。本実施形態の各係合部325は、他方の挟持部32のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。これら複数の係合部325のそれぞれは、一方の挟持部31の各係合部315とX軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0093】
支持部33は、それぞれがX軸方向に延びる一対のガイドバー331を有する。また、支持部33は、一対のガイドバー331の間隔を維持するサポート部材332も有する。
【0094】
一対のガイドバー331は、一方の挟持部31のZ軸方向の両端部から互いに平行に延びている。これら一対のガイドバー331は、他方の挟持部32の被ガイド部(切欠き)に嵌まり込むことで該他方の挟持部32を一方の挟持部31に対して平行な状態(姿勢)でX軸方向に接離可能(相対移動)にガイドする。また、一対のガイドバー331のそれぞれは、各プレート20のZ軸方向の両端の係合部20Eとそれぞれ係合することで、各プレート20を配置位置にガイドする。本実施形態の係合部20Eは、上述のように切欠きであり、一対のガイドバー331のそれぞれが各プレート20のZ軸方向の両端部に形成された切欠き(係合部)20Eに嵌まり込むことで、各プレート20を配置位置にガイドする。
【0095】
サポート部材332は、Z軸方向に延び、一対のガイドバー331の端部(一方の挟持部32に接続されている側と反対側の端部)同士を接続することにより、該端部同士のZ軸方向の間隔を維持する。
【0096】
複数の間隔調整部35のそれぞれは、一対の挟持部31、32の間隔が小さくなる方向に一方の挟持部31と他方の挟持部32とに対して力を加える。本実施形態の間隔調整部35は、X軸方向に延びるボルト351と、該ボルト351と螺合するナット352と、を有する。
【0097】
各間隔調整部35は、一対の挟持部31、32の対応する(X軸方向から見て重なる)係合部315、325に嵌まり込んだ状態でX軸方向の間隔が小さくなる方向に一対の挟持部31、32を締め付ける。この複数の間隔調整部35による一対の挟持部31、32の締め付け(挟み込み)によって、各プレート20間に配置されたガスケット5が十分な力で挟み込まれ、これにより、各プレート20間に形成された各流路Ch1~Ch4、Ch1a~Ch4a、Ch1b~Ch4bがガスケット5の位置において液密及び気密な状態となる。
【0098】
以上のように構成される電解合成装置1には、使用時においては、図4にも示すように、電解部Aに水を供給する第一系統6と、電解部Aに電圧を印加する電源Psと、合成部Bにトルエンを供給する第二系統7と、が接続される。また、本実施形態の電解合成装置1には、電解部Aに第一温調流体を供給する第三系統8と、合成部Bに第二温調流体を供給する第四系統9と、が接続される。
【0099】
具体的に、第一系統6は、電気分解の対象となる電解側流体(本実施形態の例では、水)を貯留する第一タンクT1と、第一ポンプP1を含み、第一タンクT1から電解合成装置1(詳しくは、電解部A)まで電解側流体を案内する第一流入配管系統61と、を有する。また、第一系統6は、電解合成装置1(詳しくは、電解部A)から流出した電解側流体を貯留する第二タンクT2と、電解合成装置1から流出する電解側流体を第二タンクT2まで案内する第一流出配管系統62を有する。尚、本実施形態の電解合成装置1において、該電解合成装置1から流出する電解側流体は、水と、水の電気分解によって生じた酸素と、を含む。
【0100】
第一流入配管系統61は、第一タンクT1と、電解合成装置1における一方の挟持部31の下端部に配置された貫通孔(第一流入路Ch1aと対応する貫通孔)31bと、を接続し、第一タンクT1から電解合成装置1(詳しくは、電解部A)に電解側流体を供給する。
【0101】
第一流出配管系統62は、電解合成装置1における一方の挟持部31の上端部に配置された貫通孔(第一流出路Ch1bと対応する貫通孔)31bと、第二タンクT2と、を接続し、電解合成装置1(詳しくは、電解部A)から流出する電解側流体を第二タンクT2まで案内する。
【0102】
この第一系統6においては、第一ポンプP1が駆動することにより、第一タンクT1の電解側流体が第一流入配管系統61によって電解部A(詳しくは、第一流入路Ch1aを通じて第一流路Ch1)に供給される。そして、供給された電解側流体が電解部Aの第一流路Ch1を流通することで、その一部が電気分解される。そして、電気分解されなかった残りの電解側流体と、電気分解によって生じた気体(本実施形態の例では、酸素)とが、電解部Aから(詳しくは、第一流出路Ch1bを通じて)第一流出配管系統62に流出し、該第一流出配管系統62によって第二タンクT2まで案内される。そして、電解側流体と共に第二タンクT2内に流入した気体は、例えば、第二タンクT2の上部において第二タンクT2の外部に放出され、又は集められる。
【0103】
第二系統7は、合成部Bに供給される合成側流体を貯留する第三タンクT3と、第二ポンプP2を含み、第三タンクT3から電解合成装置1(詳しくは、合成部B)まで合成側流体を案内する第二流入配管系統71と、を有する。また、第二系統7は、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)から流出する合成側流体を第三タンクT3まで案内する第二流出配管系統72を有する。
【0104】
第二流入配管系統71は、第三タンクT3と、電解合成装置1における一方の挟持部31の上端部に配置された貫通孔(第二流入路Ch2aと対応する貫通孔)31cと、を接続し、第三タンクT3から電解合成装置1(詳しくは、合成部B)に合成側流体を供給する。
【0105】
第二流出配管系統72は、電解合成装置1における一方の挟持部31の下端部に配置された貫通孔(第二流出路Ch2bと対応する貫通孔)31cと、第三タンクT3と、を接続し、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)から流出する合成側流体を第三タンクT3まで案内する。
【0106】
このように、第二系統7は、第三タンクT3から電解合成装置1に合成側流体を供給し、電解合成装置1の内部(合成部B)を通過して外部に流出した合成側流体を第三タンクT3に戻すことで、合成部B(詳しくは、第二流入路Ch2a、第二流路Ch2、及び第二流出路Ch2b)と共同して、合成側流体の循環経路を構成する。
【0107】
本実施形態の電解合成装置1における合成側流体は、電解合成装置1の作動し始めたときは、トルエンであるが、前記循環経路を循環することによって(即ち、電解合成装置1の作動開始から時間の経過に伴って)MCHの割合が増加する。
【0108】
第三系統8は、第一温調流体を第一温度(所定の温度)に調整する第一温度調整部Tc1を含み、電解合成装置1(詳しくは、電解部A)まで第一温調流体を案内する第三流入配管系統81と、電解合成装置1(詳しくは、電解部A)から流出する第一温調流体を案内する第三流出配管系統82と、を有する。ここで、第一温度は、電解部Aでの供給側流体(水)の電気分解が効率的に行われる温度である。
【0109】
第三流入配管系統81は、第一温度調整部Tc1と、電解合成装置1における一方の挟持部31の上端部に配置された貫通孔(第一温調流入路Ch3aと対応する貫通孔)31aと、を接続し、第一温度調整部Tc1によって第一温度に調整された第一温調流体を供給する。
【0110】
第三流出配管系統82は、電解合成装置1における一方の挟持部31の下端部に配置された貫通孔(第一温調流出路Ch3bと対応する貫通孔)31aに接続され、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)から流出する第一温調流体を所定位置(タンク、第一温度調整部Tc1等)まで案内する。
【0111】
第四系統9は、第二温調流体を第二温度(所定の温度)に調整する第二温度調整部Tc2を含み、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)まで第二温調流体を案内する第四流入配管系統91と、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)から流出する第二温調流体を案内する第四流出配管系統92と、を有する。ここで、第二温度は、合成部Bでの化学反応の際に生じる熱を徐熱できる温度であり、第一温度より低い。
【0112】
第四流入配管系統91は、第二温度調整部Tc2と、電解合成装置1における一方の挟持部31の上端部に配置された貫通孔(第二温調流入路Ch4aと対応する貫通孔)31dと、を接続し、第二温度調整部Tc2によって第二温度に調整された第二温調流体を供給する。
【0113】
第四流出配管系統92は、電解合成装置1における一方の挟持部31の下端部に配置された貫通孔(第二温調流出路Ch4bと対応する貫通孔)31dに接続され、電解合成装置1(詳しくは、合成部B)から流出する第二温調流体を所定位置(タンク、第二温度調整部Tc2等)まで案内する。
【0114】
電源Psは、電解部Aの第二のプレート22と第四のプレート24とに電圧を印加する。具体的に、電源Psは、電解部Aにおいて電解側流体(水)の電気分解が行われるよう、第二のプレート22が陰極となり且つ第四のプレート24が陽極となるように各プレート22、24に電圧を印加する。
【0115】
次に、電解合成装置1におけるMCH(水素キャリア)の製造について説明する。
【0116】
電解部Aに電解側流体W1と第一温調流体W3とが供給され、第二のプレート22と第四のプレート24とに電圧が印加される。また、合成部Bに合成側流体W2と第二温調流体W4とが供給される。詳しくは、以下の通りである。
【0117】
電解部A側において、第一系統6が第一流入配管系統61によって第一タンクT1から電解側流体W1を電解部Aの第一流路Ch1に供給すると共に、第三系統8が第三流入配管系統81によって第一温度の第一温調流体W3を電解部Aの第一温調流路Ch3に供給する。また、電源Psは、第二のプレート22及び第四のプレート24に電気分解のための所定の電圧を印加する。尚、本実施形態において、電解部Aに供給される電解側流体W1は、水である。
【0118】
これにより、第一流路Ch1を流通する電解側流体(水)W1と第一温調流路Ch3を流通する第一温調流体W3とが第二のプレート22を介して熱交換することで電解側流体(水)W1が昇温されて電気分解に適した温度となる。この状態で、第二のプレート22と第四のプレート24とに所定の電圧が印加されることで、第一流路Ch1を流通する電解側流体(水)W1が効率よく電気分解される。
【0119】
この電気分解によって生じた水素イオンは、第三のプレート23の固体高分子交換膜231を透過して第四のプレート24側に移動し、第四のプレート24から電子を受け取って水素(水素分子)となる。
【0120】
また、電気分解によって生じた酸素は、電気分解されずに残った電解側流体と共に第一流出路Ch1bを通じて電解合成装置1(電解部A)から流出し、第三流出配管系統82によって第二タンクT2まで案内される。この電解部Aから排出される電解側流体W1は、電気分解されずに残った水と、電気分解により生成された酸素と、を含む。
【0121】
一方、合成部B側において、第二系統7が第二流入配管系統71によって第三タンクT3から合成側流体W2を合成部Bの第二流路Ch2に供給すると共に、第四系統9が第四流入配管系統91によって第二温度の第二温調流体W4を合成部Bの第二温調流路Ch4に供給する。尚、電解合成装置1の作動時においては、第三タンクT3に貯留されている合成側流体W2は、トルエンである。
【0122】
これにより、電解部Aで生成された水素(固体高分子交換膜231を透過して第四のプレート24側に移動し、第四のプレート24から電子を受け取ることで生成された水素)が第四のプレート24の多孔質プレート部241を透過して第二流路Ch2に流入する。これにより、水素と第二流路Ch2を流通する合成側流体W2に含まれるトルエンとが化学反応してMCHが生成(合成)される。
【0123】
このとき、多孔質プレート部241が担持する触媒によって水素とトルエンとの化学反応が促進される。また、この化学反応によって生じた熱は、第二流路Ch2を流れる合成側流体W2と第二温調流路Ch4を流れる第二温調流体W4とが第五のプレート25を介して熱交換することによって第二温調流体W4に移動する、即ち、合成側流体W2が徐熱される。
【0124】
そして、徐熱された後の合成側流体W2は、第二流出路Ch2bを通じて電解合成装置1(合成部B)から流出し、第二流出配管系統72によって第三タンクT3まで案内される。
【0125】
このとき、第二流路Ch2を一度流通しただけでは、トルエンの全てが水素と化学反応してMCHとはなっていないため、合成部Bから流出する合成側流体W2には、合成部Bで合成されたMCHと、第二流路Ch2を通過する際に水素と反応しきれなかったトルエンとが含まれている。
【0126】
そして、第三タンクT3に戻った合成側流体W2は、第二系統7によって合成部Bに供給される。このように、合成側流体W2が、第二系統7と合成部B(詳しくは、第二流入路Ch2a、第二流路Ch2、第二流出路Ch2b)とによって構成される循環経路を循環する、即ち、合成部Bを何度も通過することで、合成側流体W2におけるMCHの割合が増加する。そして、この循環によって全てのトルエンが水素と化学反応してMCHとなったときに、電解合成装置1は、停止する。
【0127】
以上の電解合成装置1は、水(第一流体)を電気分解して水素(所定の気体)を生成する電解部Aと、水素(所定の気体)とトルエン(第二流体)との化学反応を促進する触媒を含む触媒層CLであって水素が通過可能な触媒層CLを有する合成部Bと、を備える。そして、電解部Aと合成部Bとは、該電解部Aにおける水素が生成される部位と触媒層CLとが同じ領域に位置するように、隣り合っている。このように、本実施形態にかかる電解合成装置1では、水素が生成される部位と触媒層CLとが同じ領域に位置するように電解部Aと合成部Bとが隣り合うように一体化することで、コンパクトな電解合成装置が得られる。
【0128】
また、本実施形態の電解合成装置1では、電解部Aは、それぞれがX軸方向(電解部Aと合成部Bとの並び方向)と直交する面方向に広がり且つX軸方向に重ね合わされる第二のプレート(第一プレート)22及び第四のプレート(第二プレート)24と、固体高分子交換膜231を含むと共に、X軸方向と直交する面方向に広がり且つ第二のプレート22と第四のプレート24との間に配置される第三のプレート(交換膜プレート)23と、を有する。また、合成部Bは、第四のプレート24と、X軸方向と直交する面方向に広がり且つX軸方向における第二のプレート22と反対側において第四のプレート24と重ね合わされる第五のプレート(第三プレート)25と、を有する。そして、第二のプレート22は、X軸方向における第三のプレート23との間に水が流通可能な第一流路Ch1を形成し、第四のプレート24は、導電性を有し且つ触媒を担持する多孔質プレート部241を含み、電解部Aの電極板を構成すると共に合成部Bの触媒層CLを構成し、第五のプレート25は、X軸方向における第四のプレート24との間にトルエンが流通可能な第二流路Ch2を形成している。
【0129】
かかる構成によれば、第一流路Ch1に水を流通させると共に第二流路Ch2にトルエンを流通させることで、所望の物質(即ち、水の電気分解によって生成された水素とトルエンとが化学反応した物質(流体))であるMCHが得られる。しかも、この電解合成装置1では、導電性を有し且つ触媒を担持する多孔質プレート部241を第四のプレート24が含む構成とし、該第四のプレート24を電解部Aと合成部Bとによって共有する構成とすることで、電解合成装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0130】
また、本実施形態の電解合成装置1は、X軸方向において第二のプレート22に対して第四のプレート24の側と反対側から重ね合わされる第一のプレート(第四プレート)21と、X軸方向において第五のプレート25に対して第四のプレート24の側と反対側から重ね合わされる第六のプレート(第五プレート)26と、を備える。また、第二のプレート22と第四のプレート24とは、それぞれ金属製である。そして、第一のプレート21は、X軸方向における第二のプレート22との間に温度調整用の第一温調流体(第三流体)が流通可能な第一温調流路Ch3を形成し、第六のプレート26は、X軸方向における第五のプレート25との間に温度調整用の第二温調流体(第四流体)が流通可能な第二温調流路Ch4を形成する。
【0131】
このように、第二のプレート22と第五のプレート25とが金属製であることで、水と第一温調流体とが熱交換可能となり、且つ、トルエンと第二温調流体とが熱交換可能となる。このため、この電解合成装置1によれば、第一温調流路Ch3に供給される第一温調流体と第二温調流路Ch4に供給される第二温調流体との温度制御をそれぞれ行うことで、電解部Aでの水の温度と合成部Bでのトルエンの温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。
【0132】
また、本実施形態の電解合成装置1では、電解部Aは、一対の電極板を有し、第二のプレート22は、導電性を有し、第二のプレート22及び第四のプレート24は、前記一対の電極板を構成している。このように、水やトルエン等が流通する流路Ch1、Ch2を形成する第二のプレート22及び第四のプレート24と、水を電気分解するための一対の電極板とを兼用することで、電解合成装置1の部品点数を減らすことができる。
【0133】
また、本実施形態の電解合成装置1では、トルエン(合成側流体)の流れ方向における第二流路Ch2の一方の端部と他方の端部とに直接又は間接に接続されて該トルエンの循環経路を構成する第二系統(循環用系統)7を備えている。このように構成される循環経路においてトルエンを循環させることで、トルエンの全てを水素(電解部Aによって生成された水素)と化学反応させることができる。
【0134】
また、本実施形態の電解合成装置1では、第二のプレート22、第三のプレート23、第四のプレート24、及び第五のプレート25のそれぞれは、取り外し可能に配置されている。このように、各プレート22、23、24、25が取り外し可能に配置されているため、損傷したプレート22、23、24、25の交換やプレート22、23、24、25の洗浄等のメンテナンスが容易になる。尚、本実施形態の電解合成装置1では、第一のプレート21及び第六のプレート26や各ガスケット5も、取り外し可能に配置されている。
【0135】
また、本実施形態の電解合成装置1では、第二のプレート22及び第四のプレート24の少なくとも一方のプレートは、第一流路Ch1又は第二流路Ch2を画定する面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有している。このため、第一流路Ch1及び第二流路Ch2の少なくとも一方を流れる流体(水、トルエン)に乱流等の乱れが生じ、これにより、水の固体高分子交換膜231との接触やトルエンの触媒層CL(多孔質プレート部241)との接触が増え、その結果、該電解合成装置1の処理効率が向上する。
【0136】
次に、本発明の第二実施形態について、図5図8を参照しつつ説明する。尚、第一実施形態の電解合成装置1と同じ構成については同じ符号を用い、第一実施形態の電解合成装置1と異なる構成について詳細に説明する。
【0137】
本実施形態の電解合成装置1Aは、図5及び図6に示すように、複数のプレート20が重ね合わされたプレートセットSを複数備える。また、電解合成装置1Aは、複数のプレートセットSを保持する保持部3を備える。また、電解合成装置1Aは、プレートセットS間に挟み込まれるセット間ガスケット56を少なくとも一つ備える。
【0138】
電解合成装置1Aにおいて、複数のプレートセットSは、それぞれ取り外し可能にX軸方向に一列に配置されている。本実施形態の電解合成装置1Aでは、複数のプレートセットSがそれぞれ取り外し可能に保持部3によって保持されている。
【0139】
各プレートセットSは、図7にも示すように、電解部Aと合成部Bとをそれぞれ備える。具体的に、各プレートセットSは、第一実施形態のプレート群2においてX軸方向に重ね合わされる第二のプレート22から第五のプレート25までの各プレートを含む。また、各プレートセットSは、各プレート22~25間に挟み込まれるガスケット5を複数含む。即ち、各プレートセットSは、第二のプレート22と、第三のプレート23と、第四のプレート24と、第五のプレート25と、をそれぞれ有すると共に、第二のガスケット52と、第三のガスケット53と、第四のガスケット54と、をそれぞれ有する。
【0140】
各プレート22~25は、第一実施形態の対応するプレートと同様に、Z軸方向に長尺な矩形状であり、上端部と下端部とに係合部20Eを有する。そして、第二のプレート22と第五のプレート25とは、金属製であり、第三のプレート23は、固体高分子交換膜231を有し、第四のプレート24は、触媒を担持する多孔質プレート部241(触媒層CL)を有する。
【0141】
これら複数のプレートセットSは、X軸方向に隣り合うプレートセットS同士のプレート20の並び順が逆になるようにそれぞれ配置されている(図8参照)。
【0142】
具体的には、X軸方向に並ぶ複数のプレートセットSのうちのX軸方向に隣り合う所定のプレートセットS1、S2に着目したときに、例えば、一方のプレートセットS1では、X軸方向の一方側(図8における右側)に向けて順に、第二のプレート22、第二のガスケット52、第三のプレート23、第三のガスケット53、第四のプレート24、第四のガスケット54、第五のプレート25が並び、他方のプレートセットS2では、X軸方向の一方側(図8における右側)に向けて順に、第五のプレート25、第四のガスケット54、第四のプレート24、第三のガスケット53、第三のプレート23、第二のガスケット52、第二のプレート22が並んでいる。
【0143】
これらX軸方向に並ぶ複数のプレートセットSにおいて、第二のプレート22を対向させた状態で隣り合うプレートセットSは、プレートセットS間(即ち、対向する第二のプレート22間)にセット間ガスケット56を挟み込むことで、第二のプレート22間に温度調整用の第一温調流体(第三流体)が流通可能な第一温調流路Ch3を形成している(図8参照)。
【0144】
また、X軸方向に並ぶ複数のプレートセットSにおいて、第五のプレートを対向させた状態で隣り合うプレートセットSは、プレートセットS間(即ち、対向する第五のプレート25間)にセット間ガスケット56を挟み込むことで、第五のプレート25間に温度調整用の第二温調流体(第四流体)が流通可能な第二温調流路Ch4を形成している(図8参照)。
【0145】
これらX軸方向に並ぶ複数のプレートセットSにおいて、第一流入路Ch1a及び第一流出路Ch1bは、X軸方向の最も他方側のプレートセットSから最も一方側のプレートセットSまで延び、各プレートセットSの第一流路Ch1とそれぞれ連通する。また、第二流入路Ch2a及び第二流出路Ch2bは、X軸方向の最も他方側のプレートセットSから最も一方側のプレートセットSまで延び、各プレートセットSの第二流路Ch2とそれぞれ連通する。また、第一温調流入路Ch3a及び第一温調流出路Ch3bは、X軸方向の最も他方側のプレートセットSから最も一方側のプレートセットSまで延び、各プレートセットSの第一温調流路Ch3とそれぞれ連通する。また、第二温調流入路Ch4a及び第二温調流出路Ch4bは、X軸方向の最も他方側のプレートセットSから最も一方側のプレートセットSまで延び、各プレートセットSの第二温調流路Ch4とそれぞれ連通する。
【0146】
以上のように構成される電解合成装置1Aでは、各プレートセットSの第二のプレート22と第四のプレート24とに電気分解のための電圧がそれぞれ印加され、且つ、各プレートセットSの第一流路Ch1に水が供給されると共に第二流路Ch2にトルエンが供給されることで、各プレートセットSにおいてMCHが製造される。
【0147】
このとき、各プレートセットS間に形成されている第一温調流路Ch3と第二温調流路Ch4とに第一温調流体と第二温調流体とが供給されることで、第一流路Ch1での水の温度調整と第二流路Ch2でのトルエンの温度調整とが行われる。
【0148】
本実施形態の電解合成装置1Aは、X軸方向に重ね合わされる第二のプレート(第一プレート)22から第五のプレート(第三プレート)25までの各プレート22~25を含むプレートセットSを複数備える。そして、複数のプレートセットSは、それぞれ取り外し可能にX軸方向に一列に配置されている。このように、それぞれ取り外し可能に複数のプレートセットSが配置されていることで、処理量に応じてプレートセットSの増減を行うことができる。
【0149】
また、本実施形態の電解合成装置1Aでは、各プレートセットSは、X軸方向に隣り合うプレートセットS同士のプレート20の並び順が逆になるようにそれぞれ配置されている(図8参照)。そして、各プレートセットSの第二のプレート22と第五のプレート25とは、それぞれ金属製であり、第二のプレート22を対向させた状態で隣り合うプレートセットSは、該第二のプレート22間に温度調整用の第一温調流体(第三流体)が流通可能な第一温調流路Ch3を形成し、第五のプレート25を対向させた状態で隣り合うプレートセットSは、該第五のプレート25間に温度調整用の第二温調流体(第四流体)が流通可能な第二温調流路Ch4を形成している。
【0150】
かかる構成によれば、第一温調流路Ch3に供給される第一温調流体と第二温調流路Ch4に供給される第二温調流体との温度制御をそれぞれ行うことで、各プレートセットSにおける電解部Aでの水(第一流体)の温度と合成部Bでのトルエン(第二流体)の温度とをそれぞれ調整(制御)することができる。しかも、X軸方向に隣り合うプレートセットS同士のプレート20の並び順が逆になるように各プレートセットSがそれぞれ配置されることで隣り合うプレートセットS間に第一温調流路Ch3又は第二温調流路Ch4が形成され、これにより、水及びトルエンの温度調整(制御)を可能としつつも電解合成装置1全体でのプレート20の数を抑えることができる。
【0151】
尚、本発明の電解合成装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0152】
上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aにおいて、電解部Aで電気分解される流体(第一流体)は水であり、合成部Bにおいて電解部Aの電気分解によって生成された気体と化学反応する流体(第二流体)はトルエンであるが、この構成に限定されない。例えば、第二流体が窒素ガス(N)等であってもよい。この場合、電解合成装置1、1Aによって製造されるのは、N+Hでアンモニア(NH)である。また、この場合に第四のプレート24の多孔質プレート部241が担持する触媒は、鉄(Fe)やルテニウム(Ru)である。
【0153】
上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aにおいて、電解部Aと合成部Bとは、構成の一部(第四のプレート24)を共用した状態で隣り合っているが、この構成に限定されない。電解部Aにおいて電気分解により気体が生成される部位と、合成部Bの触媒層CLとが隣接するように、電解部Aと合成部Bとが隣り合う構成でもよい。
【0154】
第一実施形態の電解合成装置1、1Aには、第一~第四系統6~9は含まれない、即ち、電解合成装置1、1Aは、第一~第四系統6~9を備えていないが、この構成に限定されない。電解合成装置1、1Aは、第一~第四系統6~9の少なくとも一つの系統を備えていてもよい。
【0155】
上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aでは、電気分解の対象となる流体(上記第一及び第二実施形態の例では、水)の温度を調整するための流体(第一温調流体)が流通可能な第一温調流路Ch3と、電気分解により生成された気体と化学反応する流体(上記第一及び第二実施形態の例では、トルエン)の温度を調整するための流体(第二温調流体)が流通可能な第二温調流路Ch4とがそれぞれ形成されているが、この構成に限定されない。電解合成装置1、1Aにおいて、第一温調流路Ch3及び第二温調流路Ch4のうちの一方の流路のみが形成されていてもよく、第一温調流路Ch3及び第二温調流路Ch4のいずれもが形成されていない構成であってもよい
【0156】
また、上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aでは、第一温調流路Ch3と第二温調流路Ch4とが独立しているが、この構成に限定されない。例えば図9に示すように、電解合成装置1が、第一温調流路Ch3と第二温調流路Ch4とを直列に接続する接続流路Ch5を備えていてもよい。このように、第一温調流体(第三流体)と第二温調流体(第四流体)とを共通の流体(温調流体)とし、第二温調流路Ch4側から接続流路Ch5を介して第一温調流路Ch3に流れるように該温調流体を供給することで、合成部Bにおいて化学反応を促進させる触媒反応で発生した熱(触媒反応熱)をトルエン等(第二流路Ch2を流通する流体)から徐熱する(冷却する)と共に、この合成部Bでの徐熱によって温調流体が得た熱によって、電解部Aにおいて水(第一流路Ch1を流通する流体)を昇温させて(加熱して)電気分解の効率を向上さることができる。
【0157】
また、上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aは、固体高分子交換膜231(第三のプレート23)とは別に、電気分解のための一対の電極板として第二のプレート22及び第四のプレート24を備えているが、この構成に限定されない。
【0158】
また、上記第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aでは、第三のプレート(交換膜プレート)23は、固体高分子交換膜231と枠部232とを有しているが、この構成に限定されない。第三のプレート23は、固体高分子交換膜231のみによって構成されていてもよい。
【0159】
また、上記実施形態の第一及び第二実施形態の電解合成装置1、1Aでは、第四のプレート(第二プレート)24は、多孔質プレート部241と枠部242とを有しているが、この構成に限定されない。第四のプレート24は、多孔質プレート部241のみによって構成されていてもよい。
【0160】
また、例えば図10に示すように、電解合成装置1Bは、膜電極接合体280を含む隔壁プレート28を備える構成であってもよい。具体的に、この電解合成装置1Bは、第二のプレート(第一プレート)22と、隔壁プレート28と、第四のプレート(第三プレート)24と、各プレート22、28、24間に挟み込まれる複数のガスケット5と、を備える。そして、第二のプレート22と隔壁プレート28(膜電極接合体280)との間に第一流路Ch1が形成され、隔壁プレート28(膜電極接合体280)と第四のプレート24との間に第二流路Ch2が形成されている。尚、電解合成装置1Bにおいて、隔壁プレート28は、膜電極接合体280のみによって構成されていてもよい。
【0161】
膜電極接合体280は、それぞれがX軸方向と直交する面方向に広がり且つ第二のプレート22から第四のプレート24に向けて順に配置される陽極と高分子交換膜と陰極とを含む。詳しくは、図11に示すように、膜電極接合体280は、PEM(Polymer Elctrolyte Membrane)型水電解装置等に用いられる所謂MEA(Membrane Electrode Assembly)であり、第一ガス拡散層281と、アノード触媒層(陽極)282と、高分子交換膜283と、カソード触媒層(陰極)284と、第二ガス拡散層285と、が積層されている。
【0162】
第一ガス拡散層281は、多孔質であり、第一流路Ch1を流通する流体(例えば、水)の電気分解によって高分子交換膜283のアノード触媒層282側で生成された気体(例えば、酸素)が拡散しつつ透過する。
【0163】
第二ガス拡散層285は、多孔質であり、第一流路Ch1を流通する流体(例えば、水)の電気分解によって高分子交換膜283のカソード触媒層284側で生成された気体(例えば、水素)が拡散しつつ透過する。また、第二ガス拡散層285は、第一流路Ch1を流通する流体の電気分解によって生成された気体(例えば、水素)と、第二流路Ch2を流通する流体(例えば、トルエン)との化学反応を促進する触媒を担持しており、触媒層CLを構成している。尚、触媒層CLは、第二ガス拡散層285に対して積層方向の外側から隣接するように配置(形成)されていてもよい。
【0164】
この電解合成装置1Bにおいて、電解部Aは、X軸方向における第二のプレート22から膜電極接合体280のカソード触媒層284までの範囲であり、合成部Bは、X軸方向における第二ガス拡散層285から第四のプレート24までの範囲である。また、電解部Aの一対の電極板は、膜電極接合体280に含まれるアノード触媒層(陽極)282及びカソード触媒層(陰極)によって構成されている。また、この電解合成装置1Bの使用時において、第一流路Ch1を流通する流体(例えば、水)の電気分解のための電圧は、アノード触媒層(陽極)282とカソード触媒層(陰極)284とに印加される。
【0165】
以上の電解合成装置1Bによっても、第一流路Ch1に第一流体(例えば、水)を流通させると共に第二流路Ch2に第二流体(例えば、トルエン)を流通させることで、所望の流体(即ち、第一流体の電気分解によって生成された所定の気体(例えば、水素)と第二流体とが化学反応した流体(例えば、MCH))が得られる。しかも、膜電極接合体280において、電解部Aに含まれるカソード触媒層(陰極)284と、合成部Bに含まれる第二ガス拡散層285(触媒層CL)とが隣接していることで、電解合成装置1Bのコンパクト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0166】
1、1A、1B…電解合成装置、2…プレート群、20…プレート、20E…係合部、20a、20b、20c、20d…貫通孔、201…凸部、202…凹部、21…第一のプレート(第四プレート、金属プレート)、22…第二のプレート(第一プレート、金属プレート)、23…第三のプレート(交換膜プレート)、231…固体高分子交換膜、232…枠部、24…第四のプレート(第二プレート)、241…多孔質プレート部、242…枠部、25…第五のプレート(第三プレート、金属プレート)、26…第六のプレート(第五プレート、金属プレート)、28…隔壁プレート、280…膜電極接合体(MEA)、281…第一ガス拡散層、282…アノード触媒層(陽極)、283…高分子交換膜、284…カソード触媒層(陰極)、285…第二ガス拡散層、3…保持部、31…一方の挟持部、31a、31b、31c、31d…貫通孔、315…係合部、32…他方の挟持部、321…被ガイド部、325…係合部、33…支持部、331…ガイドバー、332…サポート部材、35…間隔調整部、351…ボルト、352…ナット、5…ガスケット、51…第一のガスケット、52…第二のガスケット、53…第三のガスケット、54…第四のガスケット、55…第五のガスケット、56…セット間ガスケット、6…第一系統、61…第一流入配管系統、62…第一流出配管系統、7…第二系統(循環用系統)、71…第二流入配管系統、72…第二流出配管系統、8…第三系統、81…第三流入配管系統、82…第三流出配管系統、9…第四系統、91…第四流入配管系統、92…第四流出配管系統、A…電解部、B…合成部、Ch1…第一流路、Ch1a…第一流入路、Ch1b…第一流出路、Ch2…第二流路、Ch2a…第二流入路、Ch2b…第二流出路、Ch3…第一温調流路、Ch3a…第一温調流入路、Ch3b…第一温調流出路、Ch4…第二温調流路、Ch4a…第二温調流入路、Ch4b…第二温調流出路、Ch5…接続流路、CL…触媒層、P1…第一ポンプ、P2…第二ポンプ、Ps…電源、S、S1、S2…プレートセット、T1…第一タンク、T2…第二タンク、T3…第三タンク、Tc1…第一温度調整部、Tc2…第二温度調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11