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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101688
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】畜舎の冷房システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A01K1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005742
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】593138528
【氏名又は名称】株式会社新原産業
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】新原 弘二
(72)【発明者】
【氏名】▲雑▼賀 慶晴
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101BB01
2B101BB05
2B101BB07
(57)【要約】
【課題】畜舎内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら効果的に冷房することを可能にする、簡易な、畜舎の冷房システムを提供する。
【解決手段】畜舎の冷房システム1は、外気(外部の空気)を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸5と、前記取り入れられた外気に細霧9を吹き付ける細霧ノズル6と、細霧9が吹き付けられるクーリングパッド7と、クーリングパッド7を通過する空気を誘導するファン8と、を備えている。細霧ノズル6は、上下方向に所定の間隔を置いて3つ備えられており(上から順に、上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6c)、これら3つの上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b及び下細霧ノズル6cは、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たる際に、噴出した細霧9が上下に重なる領域が形成されるように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜舎の冷房システムであって、
外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸と、
前記取り入れられた外気に細霧を吹き付ける細霧ノズルと、
前記細霧が吹き付けられるクーリングパッドと、
前記クーリングパッドを通過する空気を誘導するファンと、
を備えたことを特徴とする冷房システム。
【請求項2】
前記畜舎は、閉鎖型である、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項3】
前記ファンは、前記畜舎内、及び/又は、前記畜舎の前記クーリングパッドとの対向壁に設置される、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項4】
前記畜舎に隣接して設けられた入気室を更に備え、
前記クーリングパッドは、前記入気室内の前記畜舎との隣接面に設置され、
前記カーテン又は跳ね上げ戸は、前記入気室の前記隣接面との対向壁に取り付けられ、
前記細霧ノズルは、前記カーテン又は跳ね上げ戸と前記クーリングパッドとの中間に設置されている、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項5】
前記入気室は、閉鎖型である、請求項4に記載の冷房システム。
【請求項6】
前記カーテン又は跳ね上げ戸から前記細霧ノズルまでの距離は、60~180cmであり、
前記細霧ノズルから前記クーリングパッドまでの距離は、20~150cmである、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項7】
前記ファンは、前記クーリングパッドを通過した前記空気が家畜の上空90~120cmの箇所を通過するように前記空気を誘導する、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項8】
前記細霧ノズルは、気温に応じて、所定時間の噴霧と所定時間の停止とを繰り返す間欠運転を行う、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項9】
前記細霧ノズルから噴霧される水滴の平均粒子径は、10~50μmである、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項10】
前記細霧ノズルから噴霧される水は、紫外線で除菌されている、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項11】
前記細霧ノズルは、上下方向に所定の間隔を置いて複数備えられ、
前記複数の細霧ノズルは、噴出した前記細霧が前記クーリングパッドに当たる際に、噴出した前記細霧が上下に重なる領域が形成されるように配置されている、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項12】
前記カーテン又は跳ね上げ戸の前記外気を取り入れる開口部は、上下方向に複数備えられた前記細霧ノズルの上下方向の中央部と略同じ高さに位置している、請求項11に記載の冷房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜舎の冷房システムに関する。更に詳細には、本発明は、例えば、豚、ブロイラー、種鶏などが飼育される閉鎖型の畜舎内を冷房するのに好適な冷房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜にとって暑さは環境ストレスの一つとされ、肥育状態や肉質等にも影響を与える。家畜の中でも豚は比較的暑さに弱い動物と言われ、特に夏場における畜舎の温度上昇は、食欲の減退(いわゆる夏バテ)を招きやすく、また、子豚にあっては生存率を低下させる要因ともなり得る。
このように家畜の健康や生産性を維持する上で、畜舎の温度管理は非常に重要であり、近年の気球温暖化も視野に入れた畜舎の暑さ対策が必要となる。
【0003】
従来、夏の暑さを防止するために、家畜の体に水を噴霧するなどして温度を冷却することが行われていた。
しかし、これだけでは、十分な冷却効果を得ることができないという課題があった。
【0004】
そこで、近年、冬期間の冷気を有効に蓄えて、夏期間の畜舎の冷房(冷却)に利用できるようにした畜舎の冷房(冷却)システムが提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
特許文献1で提案されている畜舎の冷房システムは、基本的には、倉庫と、畜舎と、前記倉庫と前記畜舎とを連結する配管と、前記配管を通して前記畜舎へ風を送るため、又は外気を前記倉庫へ入れるための送風機構と、を具備している。そして、冬期間の寒冷期の寒さを雪や蓄熱材に蓄えた冷気として倉庫内に保管しておき、その冷気を夏期間に畜舎を冷房するために使うようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-183006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1等で提案されている畜舎の冷房システムでは、畜舎とは別に、冬期間の寒冷期の寒さを雪や蓄熱材に蓄えた冷気として保管しておくための倉庫を必要とするため、システムが大型化・複雑化してしまい、設備コストが増大するという課題がある。また、家畜にとっては、畜舎内の空気を新鮮な空気に入れ換えること(換気)も重要であるが、特許文献1等で提案されている畜舎の冷房システムにおいては、「畜舎内の空気を新鮮な空気に入れ換えること(換気)」について何ら考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究を重ね、その結果、畜舎内を、冷却された新鮮な空気(外気)で換気しながら効果的に冷房することを可能にする機構に想到し、本発明をするに至った。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、畜舎内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら効果的に冷房することを可能にする、簡易な、畜舎の冷房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る畜舎の冷房システムの構成は、
(1)畜舎の冷房システムであって、
外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸と、
前記外気に細霧を吹き付ける細霧ノズルと、
前記細霧が吹き付けられるクーリングパッドと、
前記クーリングパッドを通過する空気を誘導するファンと、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の冷房システムの上記(1)の構成は、次のような作用効果を奏する。
即ち、カーテン又は跳ね上げ戸の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)から取り入れられた外気(外部の空気)は、まず、クーリングパッドに入気する前に、細霧ノズルから吹き付けられた細霧の気化熱によって熱を奪われ、冷却される(一次冷却)。次いで、このようにして冷却された前記空気は、吹き付けられた細霧の気化熱によって熱が奪われて低温となっているクーリングパッド内の空間(トンネル)を通過する際に、更に冷却される(二次冷却)。次いで、クーリングパッド内の空間を通過した、二重に冷却された前記空気は、ファンによって畜舎内を後方へと誘導され、外部に排出される。
そして、以上の動作が繰り返されることにより、畜舎内が、冷却された新鮮な空気で換気されながら効果的に冷房される。
したがって、上記(1)の構成によれば、畜舎内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら効果的に冷房することを可能にする、簡易な、畜舎の冷房システムを提供することができる。
【0011】
特に上記(1)の構成においては、細霧ノズルによってクーリングパッドに細霧を吹き付ける方式(トンネルクールシステム)を採用しているため、クーリングパッドに水を流下させる方式を採用した場合に比べて冷却効率を上げることが可能となる。
クーリングパッドに水を流下させる方式の場合には、クーリングパッド内の空間に水膜ができて、それが空気の抵抗となるのに対し、クーリングパッドに細霧を吹き付ける方式の場合には、空気が抵抗を受けずにクーリングパッド内の空間(トンネル)を通過することが可能となるため、クーリングパッドの厚みの分だけ空気を冷やすことができるからである。
また、細霧ノズルによってクーリングパッドに細霧を吹き付ける方式(トンネルクールシステム)を採用すれば、水垢等でクーリングパッド内の空間が目詰まりを起こす心配もない。
【0012】
また、上記(1)の構成によれば、外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)の開閉によって畜舎内への入気量を調整できるカーテン又は跳ね上げ戸を取り付けたことにより、畜舎内の冷房化を柔軟にコントロールすることが可能となる。また、冬場には空気の流れを弱めて、畜舎内に湿気だけを効率的に取り入れる加湿装置として利用することも可能となる。
【0013】
本発明の冷房システムの上記(1)の構成においては、以下の(2)~(12)のような構成にすることが好ましい。
【0014】
(2)上記(1)の構成において、前記畜舎は、閉鎖型である。即ち、前記畜舎は、密閉度の高い構造となっている。
【0015】
本発明の冷房システムは、畜舎内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら冷房するものであるため、畜舎内を流れる空気の風速が、冷房効率を上げるための要(かなめ)となる。そして、上記(2)の好ましい構成によれば、静圧を高めて、畜舎内を流れる空気の風速を確保することができるため、冷房効率を上げることが可能となる。
また、上記(2)の好ましい構成によれば、畜舎の隙間から暑い空気が混入することを防止することができるため、本発明の冷房システムによる冷房効果を確実に発揮させることも可能となる。
【0016】
(3)上記(1)の構成において、前記ファンは、前記畜舎内、及び/又は、前記畜舎の前記クーリングパッドとの対向壁に設置される。
【0017】
畜舎が前後方向(縦方向)に長い場合、クーリングパッドと、畜舎のクーリングパッドとの対向壁(畜舎の後端壁)に設置されるファン(陰圧用換気扇)だけでは、どうしても畜舎内に温度ムラが発生してしまう。
これに対し、上記(3)の好ましい構成によれば、畜舎の後端壁に設置されるファン(陰圧用換気扇)とは別に、畜舎内に例えば数十メートル置きに中間順風用のファンを設置して、畜舎内を流れる空気の風速を一定に保つことにより、畜舎の前後方向(縦方向)の温度ムラを低減することが可能となる。また、中間順風用のファンを設置すれば、空気がかき回されることで気化効率が高まり、冷房効果も高くなる。
【0018】
(4)上記(1)の構成において、前記畜舎に隣接して設けられた入気室を更に備え、
前記クーリングパッドは、前記入気室内の前記畜舎との隣接面に設置され、
前記カーテン又は跳ね上げ戸は、前記入気室の前記隣接面との対向壁に取り付けられ、
前記細霧ノズルは、前記カーテン又は跳ね上げ戸と前記クーリングパッドとの中間に設置されている。
【0019】
上記(4)の好ましい構成によれば、クーリングパッドのための入気室を設けたことにより、クーリングパッドに直射日光が当たることがなくなるため、クーリングパッド自体の耐用年数を長くすることが可能となる。また、クーリングパッド自体が日陰に設置されることとなるため、畜舎内の温度が安定しやすくなり、効果的な冷房を行うことが可能となる。
【0020】
(5)上記(4)の構成において、前記入気室は、閉鎖型である。すなわち、前記入気室は、密閉度の高い構造となっている。
【0021】
上記(5)の好ましい構成によれば、入気室の隙間から暑い空気が混入することを防止することができるため、本発明の冷房システムによる冷房効果を確実に発揮させることが可能となる。
【0022】
(6)上記(1)の構成において、前記カーテン又は跳ね上げ戸から前記細霧ノズルまでの距離は、好ましくは60~180cmであり、更に好ましくは100~120cmである。
また、前記細霧ノズルから前記クーリングパッドまでの距離は、好ましくは20~150cmであり、更に好ましくは60~90cmである。
【0023】
細霧ノズルからクーリングパッドまでの距離が小さすぎる(例えば、約30cm)と、噴出した細霧がクーリングパッドに当たって跳ね返る部分が生じ、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面が濡れやすくなる。そして、冷房システムを長時間稼働させると、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面に水が溜まってしまい、その結果、カビの発生等によって畜舎内の衛生環境が損なわれる虞がある。
ところで、細霧ノズルから噴霧された細霧は、畜舎内の陰圧により、クーリングパッドに向かって吸引され、陰圧に導かれてクーリングパッド内の空間(トンネル)に導入される。
そして、上記(6)の好ましい構成によれば、噴出した細霧がクーリングパッドに当たって跳ね返る部分が無くなり、連続噴霧による気化能力を超える時間をオーバーするまでは、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面が濡れることはない。したがって、冷房システムを長時間稼働させても、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面に水が溜まることを回避することができ、その結果、カビの発生等によって畜舎内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
【0024】
(7)上記(1)の構成において、前記ファンは、前記クーリングパッドを通過した前記空気が家畜の上空90~120cmの箇所を通過するように前記空気を誘導する。
【0025】
上記(7)の好ましい構成によれば、例えば、分娩する雌豚を冷やし、その一方で、子豚に直接冷風が当たらないようにすることが可能となる。
【0026】
(8)上記(1)の構成において、前記細霧ノズルは、気温に応じて、所定時間の噴霧と所定時間の停止とを繰り返す間欠運転を行う。
【0027】
上記(8)の好ましい構成によれば、高い気化効率を引き出しながら冷却効果を上げ、必要以上の過剰な湿度をコントロールすることが可能となる。即ち、家畜にとって快適な環境を作り出すことが可能となる。
また、このような間欠運転を行うことにより、使用する水が少なくて済むため、水道代を削減することも可能となる。
【0028】
(9)上記(1)の構成において、前記細霧ノズルから噴霧される水滴の平均粒子径は、好ましくは10~50μmであり、更に好ましくは約30μmである。
【0029】
上記(9)の好ましい構成によれば、外気やクーリングパッドに吹き付けられる細霧が気化しやすくなるため、畜舎内に取り入れられる外気を効果的に冷却することが可能となる。
また、上記(9)の好ましい構成によれば、細霧ノズルから噴霧される水滴が下に垂れて、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面に水が溜まることも回避することができる。そして、その結果、カビの発生等によって畜舎内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
【0030】
(10)上記(1)の構成において、前記細霧ノズルから噴霧される水は、紫外線で除菌されている。
【0031】
上記(10)の好ましい構成によれば、大腸菌等を殺菌した、水道水よりも安価な井戸水を使用して、畜産経営のコスト削減を図ることが可能となる。
【0032】
(11)上記(1)の構成において、前記細霧ノズルは、上下方向に所定の間隔を置いて複数備えられ、
前記複数の細霧ノズルは、噴出した前記細霧が前記クーリングパッドに当たる際に、噴出した前記細霧が上下に重なる領域が形成されるように配置されている。
【0033】
上記(11)の好ましい構成によれば、クーリングパッドの、細霧ノズルと対向する側の面の全面が濡れた状態となるため、クーリングパッドを通過する空気を効果的に冷却することが可能となる。
【0034】
(12)上記(11)の構成において、前記カーテン又は跳ね上げ戸の前記外気を取り入れる開口部は、上下方向に複数備えられた前記細霧ノズルの上下方向の中央部と略同じ高さに位置している。
【0035】
上記(12)の好ましい構成によれば、カーテン又は跳ね上げ戸の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)から取り入れられた外気が、複数の細霧ノズルに対して均等に入り込み、陰圧で誘導されるため、細霧ノズルから噴霧される細霧が、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面に落下することはない。したがって、冷房システムを長時間稼働させた場合であっても、細霧ノズルとクーリングパッドとの間の地面に水が溜まることを回避することができ、その結果、カビの発生等によって畜舎内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、畜舎内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら効果的に冷房することを可能にする、簡易な、畜舎の冷房システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムの基本構成を示す模式図
図2】本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムのうち、特に、畜舎内のより具体的な構成を示す模式図(入気室については省略)
図3】本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムのうち、特に、複数の細霧ノズルとクーリングパッドとの関係を説明するための模式図
図4】本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムのうち、特に、外気の取り入れ口と複数の細霧ノズルとの関係を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、好適な実施形態を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
(畜舎の冷房システムの構成)
まず、本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムの構成について、畜舎が豚舎である場合を例に挙げて、図1図4を参照しながら説明する。
【0040】
図1は本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムの基本構成を示す模式図、図2は当該冷房システムのうち、特に、畜舎内のより具体的な構成を示す模式図(入気室については省略)、図3は当該冷房システムのうち、特に、複数の細霧ノズルとクーリングパッドとの関係を説明するための模式図、図4は当該冷房システムのうち、特に、外気の取り入れ口と複数の細霧ノズルとの関係を説明するための模式図である。
【0041】
図1に示すように、本実施形態の畜舎の冷房システム(以下、単に「冷房システム」という)1は、外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸5と、前記取り入れられた外気に細霧9を吹き付ける細霧ノズル6と、細霧9が吹き付けられるクーリングパッド(Cooling Pad)7と、クーリングパッド7を通過する空気を誘導するファン8と、を備えている。
【0042】
クーリングパッド7は、紙製又はプラスチック製であり、例えば、セルロースペーパーをハニカム状に接着して形成されている。
クーリングパッド7の上下方向の高さは、150~250cmである。また、クーリングパッド7の前後方向の厚みは、10~20cmである。
【0043】
カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5a(図4を参照)の開閉は、作業者による手動操作によって行われる。また、細霧ノズル6による細霧9の吹き付け動作は、後述する間欠運転も含め、駆動スイッチ(図示せず)をONにすることにより自動的に開始される。ファン8の回転動作についても同様である。
【0044】
本実施形態の冷房システム1のかかる構成は、次のような作用効果を奏する。
即ち、カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5a(図4を参照)から取り入れられた外気(外部の空気 図1の波線矢印イを参照)は、まず、クーリングパッド7に入気する前に、細霧ノズル6から吹き付けられた細霧9の気化熱によって熱を奪われ、冷却される(一次冷却)。次いで、このようにして冷却された前記空気は、吹き付けられた細霧9の気化熱によって熱が奪われて低温となっているクーリングパッド7内の空間(トンネル)を通過する際に、更に冷却される(二次冷却)。次いで、クーリングパッド7内の空間を通過した、二重に冷却された前記空気は、ファン8によって畜舎3内を後方へと誘導され(図1の波線矢印ロを参照)、外部に排出される(図1の矢印ハを参照)。
そして、以上の動作が繰り返されることにより、畜舎3内が、冷却された新鮮な空気で換気されながら効果的に冷房される。
したがって、かかる構成によれば、畜舎3内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら効果的に冷房することを可能にする、簡易な、冷房システム1を提供することができる。
【0045】
特に本実施形態においては、細霧ノズル6によってクーリングパッド7に細霧9を吹き付ける方式(トンネルクールシステム)を採用しているため、クーリングパッドに水を流下させる方式を採用した場合に比べて冷却効率を上げることが可能となる。
クーリングパッドに水を流下させる方式の場合には、クーリングパッド内の空間に水膜ができて、それが空気の抵抗となるのに対し、クーリングパッド7に細霧9を吹き付ける方式の場合には、空気が抵抗を受けずにクーリングパッド7内の空間(トンネル)を通過することが可能となるため、クーリングパッド7の厚みの分だけ空気を冷やすことができるからである。
また、細霧ノズル6によってクーリングパッド7に細霧9を吹き付ける方式(トンネルクールシステム)を採用すれば、水垢等でクーリングパッド7内の空間が目詰まりを起こす心配もない。
【0046】
また、外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5aの開閉によって畜舎3内への入気量を調整できるカーテン又は跳ね上げ戸5を取り付けたことにより、畜舎3内のD空間(図3図4を参照)の冷房化を柔軟にコントロールすることが可能となる。また、冬場には空気の流れを弱めて、畜舎3内に湿気だけを効率的に取り入れる加湿装置として利用することも可能となる。
また、外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5aの開閉量の調整によって図1のAB間、BC間の空気の流れをコントロールすることもできる。
【0047】
以下、更に詳細に説明する。
図1に示す畜舎3は、閉鎖型である。即ち、畜舎3は、ポリフィルムなどで密閉度を上げた構造(密閉度の高い構造)となっている。
本実施形態の冷房システム1は、畜舎3内を、冷却された新鮮な空気で換気しながら冷房するものであるため、畜舎3内を流れる空気の風速が、冷房効率を上げるための要(かなめ)となる。そして、畜舎3を閉鎖型にすれば、静圧を高めて、畜舎3内を流れる空気の風速を確保することができるため、冷房効率を上げることが可能となる。
また、畜舎3を閉鎖型にすれば、畜舎3の隙間から暑い空気が混入することを防止することができるため、本実施形態の冷房システム1による冷房効果を確実に発揮させることも可能となる。
このように本実施形態の冷房システム1は、例えば、豚2が飼育される閉鎖型の畜舎(豚舎)3内を冷房するのに好適な冷房システムとなっている。
【0048】
ファン8は、クーリングパッド7を通過する空気を、畜舎3内の前端側から後端側に誘導するものであり、畜舎3内、及び/又は、畜舎3の後端壁(クーリングパッド7との対向壁)に設置される。
【0049】
畜舎3が前後方向(縦方向)に長い場合、クーリングパッド7と、畜舎3のクーリングパッド7との対向壁(畜舎3の後端壁)に設置されるファン(陰圧用換気扇)8(図2を参照)だけでは、どうしても畜舎3内に温度ムラが発生してしまう。
これに対し、上記構成によれば、畜舎3の後端壁に設置されるファン(陰圧用換気扇)8とは別に、畜舎3内に例えば数十メートル置きに中間順風用のファン8を設置して、畜舎3内を流れる空気の風速を一定に保つことにより、畜舎3の前後方向(縦方向)の温度ムラを低減することが可能となる。また、中間順風用のファン8を設置すれば、空気がかき回されることで気化効率が高まり、冷房効果も高くなる。
なお、畜舎3の後端壁に設置されるファン(陰圧用換気扇)8は、羽根径が80~150cmであり、その回転数は約15rpmである。
【0050】
図1に示すように、畜舎3の前端側には、当該畜舎3に隣接して閉鎖型の入気室4が設けられている。入気室4の前端壁(後述する「隣接面」との対向壁)には、外部の空気(外気)を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸5が取り付けられている。そして、外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5a(図4を参照)の開閉によって入気室4ひいては畜舎3内への入気量を調整できるようにされている。また、入気室4内の前後方向の略中央部には、入気室4内に取り入れられた外気に細霧9を吹き付ける細霧ノズル6が設置されている。更に、入気室4内の後端部(畜舎3との隣接面)には、細霧9が吹き付けられるクーリングパッド7が設置されている。
【0051】
かかる構成によれば、クーリングパッド7のための入気室4を設けたことにより、クーリングパッド7に直射日光が当たることがなくなるため、クーリングパッド7自体の耐用年数を長くすることが可能となる。また、クーリングパッド7自体が日陰に設置されることとなるため、畜舎3内の温度が安定しやすくなり、効果的な冷房を行うことが可能となる。
また、入気室4が閉鎖型(すなわち、密閉度の高い構造)であることにより、入気室4の隙間から暑い空気が混入することを防止することができるため、本実施形態の冷房システム1による冷房効果を確実に発揮させることが可能となる。
【0052】
カーテン又は跳ね上げ戸5から細霧ノズル6までの距離(図1の位置Aから位置Bまでの距離)は、好ましくは60~180cmであり、更に好ましくは100~120cmである。
また、細霧ノズル6からクーリングパッド7までの距離(図1の位置Bから位置Cまでの距離)は、好ましくは20~150cmであり、更に好ましくは60~90cmである。
ここで、細霧ノズル6の長さは、好ましくは30~70cmであり、更に好ましくは約60cmである。
【0053】
かかる構成によれば、冷房システム1を長時間稼働させても、細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面(図3のE面を参照)に水が溜まることを回避することができ、その結果、カビの発生等によって入気室4ひいては畜舎3内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。詳細については後述する。
【0054】
ファン8は、クーリングパッド7を通過した空気が豚(家畜)2の上空90~120cmの箇所を通過するように前記空気を誘導することが好ましい。
図2を参照しながら、更に具体的に説明する。図2において、参照符号10は子豚柵(ケージ)を示しており、当該子豚柵10の上下方向の高さは約110cmである。クーリングパッド7と子豚柵10との間には、畜舎3の後端壁に設置されたファン(陰圧用換気扇)8の真向かいに位置して入気窓11が設けられている。入気窓11は、子豚柵10の上縁よりも上方、例えば、約20cm上方に設けられており、当該入気窓11の上下方向の高さは約20~30cmである。なお、天井の高さは、約240cmである。
このとき、ファン(陰圧用換気扇)8は、クーリングパッド7を通過した空気が分娩する雌豚(背の高さ:約50cm)の上空約100~110cmの箇所を通過するように前記空気を誘導し(図2の矢印ニ、ホ、ヘを参照)、外部に排出する(図2の矢印トを参照)。なお、暖かい空気は通常の空気に比べて密度が小さく、冷たい空気は通常の空気に比べて密度が大きいため、冷たい空気だけが降りてくる(図2の矢印チ、リ、ヌを参照)。
【0055】
かかる構成によれば、例えば、分娩する雌豚を冷やし、その一方で、子豚12(背の高さ:約30cm)に直接冷風が当たらないようにすることが可能となる。
なお、生まれたばかりの子豚(新生子豚)を冷やすことはタブーであるため、床暖マットやコルツヒータ等を取り付けた保温箱を設けることが好ましい。
【0056】
細霧ノズル6は、気温(外気温)に応じて、所定時間の噴霧と所定時間の停止とを繰り返す間欠自動運転を行う。
例えば、下記(表1)に示すように、気温に応じて、噴霧時間と停止時間とが比例制御(P制御)される。すなわち、温度の上限、下限に合わせてランダムに比例して噴霧時間と停止時間とが自動運転される。
【0057】
【表1】
【0058】
かかる構成によれば、高い気化効率を引き出しながら冷却効果を上げ、必要以上の過剰な湿度をコントロールすることが可能となり、例えば、上記(表1)に示すような比例制御(P制御)を行うことにより、畜舎3内の温度を約7℃低下させることが可能となる。即ち、例えば、分娩する雌豚等の豚2や子豚12にとって快適な環境を作り出すことが可能となる。
また、上記のような間欠運転を行うことにより、使用する水が少なくて済むため、水道代を削減することも可能となる。
【0059】
細霧ノズル6から噴霧される水滴の平均粒子径は、好ましくは10~50μmであり、更に好ましくは約30μmである。
また、細霧ノズル6の水圧は、約5k(5kgf/cm ≒0.49MPa)以上約10k(10kgf/cm ≒0.98MPa)以下である。
また、細霧ノズル6に水を供給するポンプとしては、カスケードポンプ(渦流ポンプ)や動噴ポンプ等の高圧ポンプが使用される。
【0060】
かかる構成によれば、外気やクーリングパッド7に吹き付けられる細霧9が気化しやすくなるため、畜舎3内に取り入れられる外気を効果的に冷却することが可能となる。
また、かかる構成によれば、細霧ノズル6から噴霧される水滴が下に垂れて、細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面(図3のE面を参照)に水が溜まることも回避することができる。そして、その結果、カビの発生等によって入気室4ひいては畜舎3内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
【0061】
細霧ノズル6から噴霧される水は、紫外線(UV)で除菌されている。
【0062】
かかる構成によれば、大腸菌等を殺菌した、水道水よりも安価な井戸水を使用して、畜産経営のコスト削減を図ることが可能となる。
【0063】
図1図3に示すように、細霧ノズル6は、上下方向に所定の間隔を置いて3つ備えられている(上から順に、最上位の上細霧ノズル6a、中段の中細霧ノズル6b、最下位の下細霧ノズル6c)。そして、これら3つの上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b及び下細霧ノズル6cは、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たる際に、噴出した細霧9が上下に重なる領域(図3における右下がりの斜めハッチング(斜線)部分を参照)が形成されるように配置されている。
【0064】
より具体的には、上記したように、各細霧ノズル6からクーリングパッド7までの距離(図1の位置Bから位置Cまでの距離)は、60~90cmであり、各細霧ノズル6の水圧は、約5k(約0.49MPa)以上約10k(約0.98MPa)以下である。
上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6c及びクーリングパッド7を以上のような配置とし、かつ、各細霧ノズル6の水圧を約5k以上約10k以下の所定の水圧に設定することにより、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たる際に、噴出した細霧9が上下に30%程度重なる領域(図3における右下がりの斜めハッチング(斜線)部分を参照)が形成されるようにすることができる。
【0065】
そして、かかる構成によれば、クーリングパッド7の、細霧ノズル6と対向する側の面の全面が濡れた状態となるため、クーリングパッド7を通過する空気を効果的に冷却することが可能となる。
【0066】
上記の構成において、各細霧ノズル6からクーリングパッド7までの距離が小さすぎる(例えば、約30cm)と、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たって跳ね返る部分が生じ、図3のE面(各細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面)が濡れやすくなる。そして、冷房システム1を長時間稼働させると、各細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面に水が溜まってしまい、その結果、カビの発生等によって入気室4ひいては畜舎3内の衛生環境が損なわれる虞がある。
ところで、図3図4に示すように、各細霧ノズル6から噴霧された細霧9は、畜舎3内のD空間の陰圧により、クーリングパッド7に向かって吸引され(図4の矢印ルを参照)、陰圧に導かれてクーリングパッド7内の空間(トンネル)に導入される。
そして、この場合、各細霧ノズル6からクーリングパッド7までの距離を、上記のように60~90cmに設定すれば、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たって跳ね返る部分が無くなり、連続噴霧による気化能力を超える時間をオーバーするまでは、図3のE面(各細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面)が濡れることはない。したがって、上記したように、冷房システム1を長時間稼働させても、各細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面に水が溜まることを回避することができ、その結果、カビの発生等によって入気室4ひいては畜舎3内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
このように、本実施形態の冷房システム1においては、各細霧ノズル6からクーリングパッド7までの距離が重要な要素となる。
【0067】
図4に示すように、カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5aは、上下方向に所定の間隔を置いて3つ備えられた細霧ノズル6(上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6c)の上下方向の中央部と略同じ高さに位置している。すなわち、カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部5aは、中細霧ノズル6bと略同じ高さに位置している。
【0068】
かかる構成によれば、カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部5aから取り入れられた外気が、上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6cに対して均等に入り込み、陰圧で誘導されるため、当該上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6cから噴霧される細霧が、図4のE面(細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面)に落下することはない(図4の×(バツ)を付けた破線矢印ヲを参照)。したがって、冷房システム1を長時間稼働させた場合であっても、細霧ノズル6とクーリングパッド7との間の地面に水が溜まることを回避することができ、その結果、カビの発生等によって入気室4ひいては畜舎3内の衛生環境が損なわれる虞を無くすことが可能となる。
【0069】
(畜舎の冷房システムの動作)
次に、本発明の一実施形態における畜舎の冷房システムの動作について、同じく図1図4を参照しながら簡単に説明する。
【0070】
まず、図4に示すように、カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)5aを開けて、入気室4内に外気(外部の空気)を取り入れることが可能な状態にする。
【0071】
次いで、駆動スイッチ(図示せず)をONにして、上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6cによる細霧9の吹き付け動作(間欠運転)、及び、ファン(陰圧用換気扇)8(図2を参照)の回転動作を開始させる。ファン(陰圧用換気扇)8の回転動作により、畜舎3内のD空間(図3図4を参照)は陰圧となる。
上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6cから噴霧された細霧9は、畜舎3内のD空間の陰圧により、クーリングパッド7に向かって吸引され(図4の矢印ルを参照)、陰圧に導かれてクーリングパッド7内の空間(トンネル)に導入される。
【0072】
カーテン又は跳ね上げ戸5の外気を取り入れる開口部5aから取り入れられた外気(外部の空気 図1の波線矢印イを参照)は、まず、クーリングパッド7に入気する前に、上細霧ノズル6a、中細霧ノズル6b、下細霧ノズル6cから吹き付けられた細霧9の気化熱によって熱を奪われ、冷却される(一次冷却)。次いで、このようにして冷却された前記空気は、吹き付けられた細霧9の気化熱によって熱が奪われて低温となっているクーリングパッド7内の空間を通過する際に、更に冷却される(二次冷却)。次いで、クーリングパッド7内の空間を通過した、二重に冷却された前記空気は、ファン(陰圧用換気扇)8によって畜舎3内を後方へと誘導され(図1の波線矢印ロ、図2の矢印ニ、ホ、ヘ、図4の矢印ワを参照)、外部に排出される(図1の矢印ハ、図2の矢印トを参照)。
そして、以上の動作が繰り返されることにより、畜舎3内が、冷却された新鮮な空気で換気されながら効果的に冷房される。
【0073】
なお、本実施形態においては、冷房システム1を豚舎の冷房に用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の畜舎の冷房システムの用途は必ずしもこれだけに限定されるものではない。本発明の畜舎の冷房システムは、特に、閉鎖型の畜舎内を冷房するのに好適であり、例えば、ブロイラー、種鶏などが飼育される畜舎内を冷房するために用いることもできる。
【0074】
また、本実施形態においては、細霧ノズル6が、上下方向に所定の間隔を置いて3つ備えられている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。細霧ノズルの数は、1つであっても、2つであっても、4つ以上であってもよい。
また、細霧ノズル6は、クーリングパッド7の左右方向の長さに応じて、左右方向にも所定の間隔を置いて複数備えられていてよい。そして、この場合、左右方向の複数の細霧ノズル6は、噴出した細霧9がクーリングパッド7に当たる際に、噴出した細霧9が左右に重なる領域が形成されるように配置されることが好ましい。
【0075】
また、本実施形態においては、冷房システム1のみによって畜舎3の暑さ対策を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の冷房システムは、他の既存の冷房システムと組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 (畜舎の)冷房システム
2 豚
3 畜舎(豚舎)
4 入気室
5 カーテン又は跳ね上げ戸
5a 外気を取り入れる開口部(外気の取り入れ口)
6 細霧ノズル
6a 上細霧ノズル
6b 中細霧ノズル
6c 下細霧ノズル
7 クーリングパッド(Cooling Pad)
8 ファン
9 細霧
10 子豚柵(ケージ)
11 入気窓
12 子豚
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜舎の冷房システムであって、
外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸と、
前記取り入れられた外気に細霧を吹き付ける細霧ノズルと、
前記細霧が吹き付けられるクーリングパッドと、
前記クーリングパッドを通過する空気を誘導するファンと、
を備え
前記細霧ノズルは、上下方向に所定の間隔を置いて複数備えられ、
前記複数の細霧ノズルは、噴出した前記細霧が前記クーリングパッドに当たる際に、噴出した前記細霧が上下に重なる領域が形成されるように配置され、
前記カーテン又は跳ね上げ戸の前記外気を取り入れる開口部は、上下方向に複数備えられた前記細霧ノズルの上下方向の中央部と略同じ高さに位置していることを特徴とする冷房システム。
【請求項2】
畜舎の冷房システムであって、
外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸と、
前記取り入れられた外気に細霧を吹き付ける細霧ノズルと、
前記細霧が吹き付けられるクーリングパッドと、
前記クーリングパッドを通過する空気を誘導するファンと、
を備え、
前記ファンは、前記クーリングパッドを通過した前記空気が家畜の上空90~120cmの箇所を通過するように前記空気を誘導する、請求項1に記載の冷房システム。
【請求項3】
畜舎の冷房システムであって、
外気を取り入れるカーテン又は跳ね上げ戸と、
前記取り入れられた外気に細霧を吹き付ける細霧ノズルと、
前記細霧が吹き付けられるクーリングパッドと、
前記クーリングパッドを通過する空気を誘導するファンと、
を備え、
前記畜舎には、柵と、前記クーリングパッドと前記柵との間に壁が設けられ、
前記クーリングパッドと前記柵との間に設けられた前記壁には、前記柵の上方でかつ前記ファンの真向かいに位置して入気窓が設けられたことを特徴とする冷房システム。
【請求項4】
前記畜舎は、閉鎖型である、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項5】
前記ファンは、前記畜舎内、及び/又は、前記畜舎の前記クーリングパッドとの対向壁に設置される、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項6】
前記畜舎に隣接して設けられた入気室を更に備え、
前記クーリングパッドは、前記入気室内の前記畜舎との隣接面に設置され、
前記カーテン又は跳ね上げ戸は、前記入気室の前記隣接面との対向壁に取り付けられ、
前記細霧ノズルは、前記カーテン又は跳ね上げ戸と前記クーリングパッドとの中間に設置されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項7】
前記入気室は、閉鎖型である、請求項に記載の冷房システム。
【請求項8】
前記カーテン又は跳ね上げ戸から前記細霧ノズルまでの距離は、60~180cmであり、
前記細霧ノズルから前記クーリングパッドまでの距離は、20~150cmである、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項9】
前記細霧ノズルは、気温に応じて、所定時間の噴霧と所定時間の停止とを繰り返す間欠運転を行う、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項10】
前記細霧ノズルから噴霧される水滴の平均粒子径は、10~50μmである、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。
【請求項11】
前記細霧ノズルから噴霧される水は、紫外線で除菌されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷房システム。