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特開2024-101696スリーブと、それを備えるエアマッサージ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101696
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スリーブと、それを備えるエアマッサージ装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A61H7/00 322A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005755
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】金丸 恵輔
(72)【発明者】
【氏名】築田 克美
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD01
4C100BB05
4C100BC11
4C100CA15
4C100DA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】結束バンドを用いて複数個のチューブを束ねる必要がないエアマッサージ装置を提供する。
【解決手段】エアマッサージ装置(200)用のスリーブ(10)は、複数個のエアバッグ(50a~50c)と、複数個のエアバッグの各々に接続されたチューブ(52a~52c)とを備える。複数個のエアバッグは、チューブを介して圧縮エアが供給又は排出されることに伴って、膨張又は収縮する。複数個のエアバッグは、スリーブを構成するスリーブシート(20)に設けられる。スリーブシートには、挿通部(48)が形成される。挿通部には、各チューブの一部が挿通される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮する複数個のエアバッグと、前記複数個のエアバッグが設けられたスリーブシートと、前記複数個のエアバッグの各々に接続されて前記圧縮エアが流通するチューブとを備え、ユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブであって、
前記スリーブシートは、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの内周側となる内側シートと、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記複数個のエアバッグをそれぞれ収容した複数個の収容室と、前記スリーブにおける巻き付け方向の一端部に設けられた第1係合部と、前記スリーブにおける巻き付け方向の他端部に設けられて前記第1係合部に係合される第2係合部と、前記チューブが挿通される挿通部とを有し、
前記外側シートは、前記複数個の収容室にそれぞれ連通する複数個の開口部を有し、
前記チューブは、前記エアバッグに接続される第1流通管と、前記第1流通管よりも長い第2流通管とを有し、
前記第2流通管は、前記第1流通管に接続される第1端部と、前記第1端部と反対側の端部である第2端部とを有し、
前記第1流通管と、前記第2流通管における前記第1端部との接続部が、前記開口部に配置され、
前記チューブの各々において、前記第2流通管における前記第1端部と前記第2端部との間の中間部が、前記挿通部に挿通される、スリーブ。
【請求項2】
請求項1記載のスリーブにおいて、前記挿通部は、前記収容室に連通する孔部を有し、前記第2流通管における前記中間部の一部が前記収容室に収容され、且つ前記第2流通管の前記第2端部が前記孔部から前記スリーブシートの外方に露出する、スリーブ。
【請求項3】
請求項2記載のスリーブにおいて、前記孔部は、前記内側シートと前記外側シートとの非接合部である、スリーブ。
【請求項4】
請求項1記載のスリーブにおいて、前記挿通部は、2個のスリットと、前記2個のスリットの間に形成される貫通ポケットとを有し、前記第2流通管は、前記2個のスリット間で前記貫通ポケットに挿通され、且つ前記2個のスリットを介して前記貫通ポケットから露出するスリーブ。
【請求項5】
請求項1記載のスリーブにおいて、前記巻き付け方向の一端部と、前記巻き付け方向の他端部との間に介在するバンドをさらに備える、スリーブ。
【請求項6】
請求項5記載のスリーブにおいて、前記バンドの一端部は前記スリーブシートに固定され、前記スリーブを前記装着部位に装着したときに前記挿通部は前記バンドの他端部の受け入れを許容する、スリーブ。
【請求項7】
圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮する複数個のエアバッグと、前記複数個のエアバッグが設けられたスリーブシートと、前記複数個のエアバッグの各々に接続されて前記圧縮エアが流通するチューブとを備え、ユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブと、
前記圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置と、
を備えるエアマッサージ装置であって、
前記スリーブシートは、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの内周側となる内側シートと、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記複数個のエアバッグをそれぞれ収容した複数個の収容室と、前記スリーブにおける巻き付け方向の一端部に設けられた第1係合部と、前記スリーブにおける巻き付け方向の他端部に設けられて前記第1係合部に係合される第2係合部と、前記チューブが挿通される挿通部とを有し、
前記外側シートは、前記複数個の収容室にそれぞれ連通する複数個の開口部を有し、
前記チューブは、前記エアバッグに接続される第1流通管と、前記第1流通管よりも長い第2流通管とを有し、
前記第2流通管は、前記第1流通管に接続される第1端部と、前記第1端部と反対側の端部である第2端部とを有し、
前記第1流通管と、前記第2流通管における前記第1端部との接続部が、前記開口部に配置され、
前記チューブの各々において、前記第2流通管における前記第1端部と前記第2端部との間の中間部が、前記挿通部に挿通される、エアマッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマッサージ装置用のスリーブに関する。また、本発明は、スリーブを備えるエアマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアマッサージ装置は、例えば、ユーザの足に装着されるスリーブを備える。スリーブには、複数個のエアバッグが設けられる。特許文献1の図1に示されるように、複数個のエアバッグの各々は、チューブを介して圧縮エア供給装置に接続される。
【0003】
前記エアバッグは、圧縮エア供給装置から圧縮エアが供給されたときに膨張し、エアバッグから圧縮エアが排出されたときに収縮する。以上の膨張及び収縮が繰り返されることに基づき、ユーザにマッサージが施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5374449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数個のチューブを、スリーブの外部において束ねることが考えられる。しかしながら、例えば、結束バンドを用いて複数個のチューブを束ねた場合、結束バンドを過度に締め込むと、チューブの断面積が小さくなる。その結果、圧縮エアの流通量が減少する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一実施形態によれば、圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮する複数個のエアバッグと、前記複数個のエアバッグが設けられたスリーブシートと、前記複数個のエアバッグの各々に接続されて前記圧縮エアが流通するチューブとを備え、ユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブであって、前記スリーブシートは、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの内周側となる内側シートと、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記複数個のエアバッグをそれぞれ収容した複数個の収容室と、前記スリーブにおける巻き付け方向の一端部に設けられた第1係合部と、前記スリーブにおける巻き付け方向の他端部に設けられて前記第1係合部に係合される第2係合部と、前記チューブが挿通される挿通部とを有し、前記外側シートは、前記複数個の収容室にそれぞれ連通する複数個の開口部を有し、前記チューブは、前記エアバッグに接続される第1流通管と、前記第1流通管よりも長い第2流通管とを有し、前記第2流通管は、前記第1流通管に接続される第1端部と、前記第1端部と反対側の端部である第2端部とを有し、前記第1流通管と、前記第2流通管における前記第1端部との接続部が、前記開口部に配置され、前記チューブの各々において、前記第2流通管における前記第1端部と前記第2端部との間の中間部が、前記挿通部に挿通される、スリーブが提供される。
【0008】
上記したように、スリーブは、複数個のチューブを備える。複数個のチューブの各々は、第1流通管と、第2流通管とを有する。従って、スリーブは、複数個の第2流通管を備える。各第2流通管において、第1端部と第2端部との間である中間部が挿通部に挿通されている。この挿通により、複数個の第2流通管が束として纏められる。換言すれば、複数個のチューブが四散することが回避される。従って、装着作業者がチューブを容易に取り扱うことができる。
【0009】
また、結束バンドを用いて複数個のチューブを束ねる必要がない。従って、結束バンドを過度に締め込んだことに起因して圧縮エアの流通量が減少することが回避される。
【0010】
(2)上記の項目(1)に関する一態様では、前記挿通部は、前記収容室に連通する孔部を有する。この構成では、前記第2流通管における前記中間部の一部が前記収容室に収容され、且つ前記第2流通管の前記第2端部が前記孔部から前記スリーブシートの外方に露出する。
【0011】
複数個の第2流通管の中間部の一部が収容室に収容されるので、1個の第2流通管が他の第2流通管、スリーブシート又は患者の身体に絡むことが回避される。従って、スリーブの装着作業者がチューブを容易に取り扱うことができる。また、複数個の第2流通管の中間部の残りの部分を孔部に通すことで、複数個の第2流通管を、結束バンド等を用いることなく束ねることができる。
【0012】
(3)上記の項目(2)において、前記孔部は、前記内側シートと前記外側シートとの非接合部であることが好ましい。
【0013】
内側シートと外側シートとの一部を接合しないことで、孔部を容易に形成することができる。
【0014】
(4)上記の項目(1)に関する別の一態様では、前記挿通部は、2個のスリットと、前記2個のスリットの間に形成される貫通ポケットとを有する。この構成では、前記第2流通管は、前記2個のスリット間で前記貫通ポケットに挿通され、且つ前記2個のスリットを介して前記貫通ポケットから露出する。
【0015】
複数個の第2流通管の中間部の一部が貫通ポケットに拘束されるので、1個の第2流通管が他の第2流通管、スリーブシート又は患者の身体に絡むことが回避される。従って、装着作業者がチューブを容易に取り扱うことができる。また、複数個の第2流通管の中間部の残りの部分を貫通ポケットに通すことで、複数個の第2流通管を、結束バンド等を用いることなく束ねることができる。
【0016】
(5)上記の項目(1)~(4)において、スリーブは、前記巻き付け方向の一端部と、前記巻き付け方向の他端部との間に介在するバンドをさらに備えることが好ましい。
【0017】
患者の装着部位の周長が大きいために該装着部位にスリーブシートを巻き付けることが困難である場合、スリーブシートの巻き付け方向の一端部と、スリーブシートの巻き付け方向の他端部とを、バンドを介して接続することができる。このため、患者の体躯に応じたスリーブシートを用意する必要がない。換言すれば、所定寸法のスリーブシートを準備すれば十分である。これにより、スリーブの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0018】
(6)上記の項目(5)において、前記バンドの一端部は前記スリーブシートに固定され、前記スリーブを前記装着部位に装着したときに前記挿通部は前記バンドの他端部の受け入れを許容することが好ましい。
【0019】
バンドの余剰部分を挿通部に挿通することが可能であるので、バンドが邪魔にならない。また、スリーブの美観が向上する。
【0020】
(7)本発明の別の一実施形態によれば、圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮する複数個のエアバッグと、前記複数個のエアバッグが設けられたスリーブシートと、前記複数個のエアバッグの各々に接続されて前記圧縮エアが流通するチューブとを備え、ユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブと、前記圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置と、を備えるエアマッサージ装置であって、前記スリーブシートは、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの内周側となる内側シートと、前記スリーブが前記装着部位に装着されたときに前記スリーブの外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記複数個のエアバッグをそれぞれ収容した複数個の収容室と、前記スリーブにおける巻き付け方向の一端部に設けられた第1係合部と、前記スリーブにおける巻き付け方向の他端部に設けられて前記第1係合部に係合される第2係合部と、前記チューブが挿通される挿通部とを有し、前記外側シートは、前記複数個の収容室にそれぞれ連通する複数個の開口部を有し、前記チューブは、前記エアバッグに接続される第1流通管と、前記第1流通管よりも長い第2流通管とを有し、前記第2流通管は、前記第1流通管に接続される第1端部と、前記第1端部と反対側の端部である第2端部とを有し、前記第1流通管と、前記第2流通管における前記第1端部との接続部が、前記開口部に配置され、前記チューブの各々において、前記第2流通管における前記第1端部と前記第2端部との間の中間部が、前記挿通部に挿通される、エアマッサージ装置が提供される。
【0021】
項目(1)と同様に、複数個のチューブの各々を構成する第2流通管において、第1端部と第2端部との間である中間部は全て、挿通部に挿通される。この挿通に基づいて複数個の第2流通管が束として纏められるので、複数個のチューブが四散することが回避される。従って、装着作業者がチューブ又はスリーブを容易に取り扱うことができる。また、スリーブの美観が向上する。さらに、結束バンドを用いる必要がないので、チューブが結束バンドによって過度に締め付けられる懸念が払拭される。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、スリーブを構成するスリーブシートに挿通部を設け、該挿通部に、複数個のエアバッグの各々に接続されるチューブの一部を挿通している。この挿通に基づいてチューブが束として纏められるので、チューブが四散することが防止される。従って、装着作業者がチューブ又はスリーブを容易に取り扱うことができる。また、スリーブの美観が向上する。
【0023】
さらに、結束バンドを用いる必要がないので、チューブが結束バンドによって過度に締め付けられることが回避される。このため、チューブを流通する圧縮エアの流通量が減少する懸念が払拭される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るスリーブを備えるエアマッサージ装置の要部概略斜視図である。
図2図2は、展開状態の右足用スリーブを内面から見たときの概略平面図である。
図3図3は、展開状態の右足用スリーブを外面から見たときの概略平面図である。
図4図4は、右足用スリーブにおける軸線方向に対して直交する方向の断面図である。
図5図5は、右足用スリーブを患者の右下腿に巻き付けた状態を示す概略斜視図である。
図6図6は、バンドを有する右足用スリーブを患者の右下腿に巻き付けた状態を示す概略斜視図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係るスリーブのうち右足用スリーブを展開状態として内面から見たときの概略平面図である。
図8図8は、展開状態の右足用スリーブを外面から見たときの概略平面図である。
図9図9は、右足用スリーブを患者の右下腿に巻き付けた状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下においては、病院等において使用されるエアマッサージ装置を例示する。また、ユーザは患者であり、スリーブが装着される装着部位は患者の足である。ただし、エアマッサージ装置の使用場所は病院に限定されない。また、スリーブが装着される装着部位は、足以外であってもよい。他の装着部位の具体例としては、腕が挙げられる。なお、「近位端」は患者の体幹に近い端部を指し、「遠位端」は患者の体幹から遠い端部を指す。装着作業者は、看護師等の医療従事者であってもよい。
【0026】
図1は、第1実施形態に係るスリーブ10を備えるエアマッサージ装置200の要部概略斜視図である。エアマッサージ装置200は、2個のスリーブ10と、コントローラ150とを備える。2個のスリーブ10のうち1個は右足用スリーブ10Rであり、2個のスリーブ10のうち残る1個は左足用スリーブ10Lである。図5に示すように、右足用スリーブ10Rは、患者の右下腿RLに巻き付けられて筒状となる。同様に、左足用スリーブ10Lは、患者の左下腿LLに巻き付けられて筒状となる。
【0027】
右足用スリーブ10Rの構成につき説明する。図2は、展開状態の右足用スリーブ10Rを内面12aから見たときの概略平面図であり、図3は、展開状態の右足用スリーブ10Rを外面12bから見たときの概略平面図である。ここで、内面12aは、右足用スリーブ10Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたときに内周側となり、患者の右下腿RL(図5参照)を向く面である。外面12bは、右足用スリーブ10Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたときに外周側となる面である。
【0028】
図2及び図3に示すように、右足用スリーブ10Rは、スリーブシート20を有する。スリーブシート20は、内側シート22(図2参照)と、外側シート24とを有する。内側シート22及び外側シート24は、例えば、不織布又は起毛パイル等からなる。内側シート22は、外側シート24の内面に設けられる。内側シート22の面積は、外側シート24の面積に略等しい。従って、スリーブシート20の内面12aは、内側シート22の内面である。スリーブシート20が患者の右下腿RLに巻き付けられたとき、内側シート22は患者の右下腿RLを向く。このとき、外側シート24の外面は外方を向く。
【0029】
外側シート24には、ノッチ26が形成されている。このノッチ26により、外側シート24に、右下腿RLの遠位端を向く第1タブ部28と、右下腿RLの近位端を向く第2タブ部30とが形成される。第1タブ部28及び第2タブ部30の内面には、第1係合部としての第1面ファスナ32、34がそれぞれ設けられる。第1タブ部28及び第2タブ部30は、スリーブ10の巻き付け方向の一端部である。
【0030】
外側シート24の外面には、第2係合部としての第2面ファスナ36が設けられる。スリーブシート20が右下腿RLに巻き付けられたとき、第1面ファスナ32、34と第2面ファスナ36とが互いに係合される。これにより、右足用スリーブ10Rが筒形状を保つ。外側シート24の外面12bには、複数個の開口部が形成されている。この態様では、外側シート24は、複数個の開口部として、第1開口部40a、第2開口部40b及び第3開口部40cを有する。
【0031】
内側シート22の外周縁部の大部分は、外側シート24の外周縁部に対し、例えば、縫製又は溶着等によって接合されている。ただし、スリーブシート20において、患者の足首Uを向く遠位端の一部は、縫製又は溶着等が施されていない非接合部42である。この非接合部42により、スリーブシート20における遠位端に1個の孔部44が形成されている。孔部44は、後述する挿通部48の1種である。
【0032】
内側シート22の外周縁部よりも内側と外側シート24とは、接合されていない。このことに基づき、図4に示すように、内側シート22と外側シート24との間に収容室46が形成される。第1開口部40a~第3開口部40c及び孔部44は、この収容室46に連通する。図2に示すように、収容室46には、複数個のエアバッグが収容される。この態様では、右足用スリーブ10Rは、複数個のエアバッグとして、第1エアバッグ50a、第2エアバッグ50b及び第3エアバッグ50cを有する。第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cは、スリーブシート20における遠位端から近位端に沿って並んだ状態で、例えば、内側シート22に溶着されている。
【0033】
図3に示すように、第1エアバッグ50a、第2エアバッグ50b及び第3エアバッグ50cには、第1チューブ52a、第2チューブ52b及び第3チューブ52cがそれぞれ接続される。開口部の個数は、チューブの個数に対応している。第1チューブ52aは、短い第1流通管54aと、第1流通管54aよりも長い第2流通管56aとを有する。第1流通管54aの一端部(近位端)は、第1エアバッグ50aに接続される。第1流通管54aの他端部(遠位端)は、第2流通管56aの第1端部(近位端)に接続される。第2流通管56aは、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間の中間部とを有する。
【0034】
ここで、第1流通管54aの他端部は、第1開口部40aに露出する。このため、第1流通管54aの他端部と、第2流通管56aの第1端部との接続部は、第1開口部40aに配置される。第2流通管56aの中間部の一部は、スリーブシート20の内部に形成された収容室46に収容される。第2流通管56aの中間部の残りの部分は、挿通部48である孔部44に挿通され、スリーブシート20の外方に露出する。
【0035】
第2チューブ52bも同様に、短い第1流通管54bと、第1流通管54bよりも長い第2流通管56bとを有する。第2チューブ52bにおいて、第1流通管54bの他端部と、第2流通管56bの第1端部との接続部は、第2開口部40bに配置される。第3チューブ52cも同様に、短い第1流通管54cと、第1流通管54cよりも長い第2流通管56cとを有する。第3チューブ52cにおいて、第1流通管54cの他端部と、第2流通管56cの第1端部との接続部は、第3開口部40cに配置される。
【0036】
第2流通管56a~56cの各々の中間部の一部は、スリーブシート20の内部に形成された収容室46に収容される。第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分は、孔部44に挿通され、スリーブシート20の外方に露出する。すなわち、外側シート24が第2流通管56a~56cを部分的に覆っている。このように、第1実施形態では、第2流通管56a~56cの中間部の一部が収容室46に収容され、且つ第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分が、1個の孔部44に挿通されてスリーブシート20の外方に露出する。従って、第1実施形態では、収容室46と孔部44とにより挿通部48が構成されている。
【0037】
このように構成される右足用スリーブ10Rは、例えば、以下のようにして作製される。
【0038】
右足用スリーブ10Rを組み立てる組立作業者は、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに対して第1流通管54a~54cの一端部をそれぞれ接合する。次に、組立作業者は、内側シート22に第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを溶着する。さらに、組立作業者は、外側シート24で第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを覆い、内側シート22の外周縁部と、外側シート24の外周縁部とを、例えば、縫製又は溶着等によって接合する。内側シート22と外側シート24とを接合する際、内側シート22の遠位端の一部と、外側シート24の遠位端の一部とを、接合しない状態とする。これにより、スリーブシート20の遠位端に、非接合部42としての孔部44が形成される。スリーブシート20が筒状に巻き付けられたとき、孔部44は、親指Tに近接する(図5参照)。
【0039】
スリーブ10は、外側シート24、エアバッグ用シート及び内側シート22の三層構造であってもよい。エアバッグ用シートの素材は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレン等の柔軟性を有する樹脂から適宜選択される。なお、外側シート24において、エアバッグ用シートに接する面に表面加工を施すことが好ましい。外側シート24の表面加工は、例えば、ポリ塩化ビニルコーティング等のラミネート加工である。
【0040】
この場合、外側シート24に対し、第1流通管54a~54cの一端部が予め接合されたエアバッグ用シートの外縁部を接合する。さらに、エアバッグ用シートの内面の一部のうち2箇所をエアバッグ用シートに接合することで、2個の隔壁を形成する。1個の隔壁により、第1エアバッグ50aと第2エアバッグ50bとが区分される。残る1個の隔壁により、第2エアバッグ50bと第3エアバッグ50cとが区分される。以上により、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが作製される。
【0041】
その後、内側シート22を外側シート24に接合する。このとき、内側シート22で第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを内包する。以上のような過程を経ることで、スリーブ10を簡便に且つ安価で製造することが可能である。この構成において、非接合部42としての孔部44は、内側シート22の遠位端の一部を接合しない状態とすることで形成される。
【0042】
組立作業者は、次に、第1開口部40aから露出した第1流通管54aの他端部に第2流通管56aの第1端部を接続する。組立作業者は、さらに、第2流通管56aの第2端部を、第1開口部40aから収容室46に挿入した後、孔部44に通す。同様にして、組立作業者は、第2開口部40bから露出した第1流通管54bの他端部に第2流通管56bの第1端部を接続し、さらに、第2流通管56bの第2端部を、第2開口部40bから収容室46に挿入した後、孔部44に通す。同様にして、組立作業者は、第3開口部40cから露出した第1流通管54cの他端部に第2流通管56cの第1端部を接続し、さらに、第2流通管56cの第2端部を、第3開口部40cから収容室46に挿入した後、孔部44に通す。以上の作業により、図2及び図3に示すように、第2流通管56a~56cの中間部の一部が収容室46に挿入され、且つ第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分及び第2端部が孔部44からスリーブシート20の外方に露出する。
【0043】
このように、第2チューブ52bの第2流通管56bを第1流通管54bに接続するとき、第1チューブ52aの第2流通管56aの中間部の一部が収容室46に収容されている。従って、第2チューブ52bの第2流通管56bと第1流通管54bとの接続作業において、第1チューブ52aの第2流通管56aが邪魔になることがない。同様に、第3チューブ52cの第2流通管56cを第1流通管54cに接続するとき、第1チューブ52aの第2流通管56aの中間部の一部と、第2チューブ52bの第2流通管56bの中間部の一部とが、収容室46に収容されている。従って、第3チューブ52cの第2流通管56cと第1流通管54cとの接続作業において、第1チューブ52aの第2流通管56aと、第2チューブ52bの第2流通管56bとが邪魔になることがない。
【0044】
左足用スリーブ10Lは、右足用スリーブ10Rと対称的に構成されていることを除き、右足用スリーブ10Rと同様に構成されている。このため、左足用スリーブ10Lにおいて、右足用スリーブ10Rの構成要素と同一の構成要素に対して同一の名称及び同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
図1に示すように、第2流通管56a~56cの第2端部(第1チューブ52a~第3チューブ52cの遠位端)は、中継チューブ束70を介してコントローラ150に接続される。具体的に、第1チューブ52a~第3チューブ52cの遠位端には、第1コネクタ72が設けられる。中継チューブ束70の近位端には第2コネクタ74が設けられ、且つ中継チューブ束70の遠位端には第3コネクタ76が設けられる。第3コネクタ76がコントローラ150に接続され、且つ第2コネクタ74が第1コネクタ72に接続される。なお、中継チューブ束70は、3本の中継チューブ78によって構成される。
【0046】
以上により、コントローラ150と、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cとが、中継チューブ束70及び第1チューブ52a~第3チューブ52cを介して接続される。中継チューブ束70及び第1チューブ52a~第3チューブ52cには、圧縮エアが流通する。
【0047】
コントローラ150の内部には、制御部と、コンプレッサと、バルブとが収容される。コントローラ150及びコンプレッサは、圧縮エア供給装置を構成する。なお、制御部、コンプレッサ及びバルブは図示していない。
【0048】
コントローラ150は、電源スイッチ80を有する。電源スイッチ80がONにされることに伴い、内部電源又は商用電源によって制御部が起動する。制御部は、コンプレッサ及びバルブを制御する。後述するように、この制御により、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアが供給される。又は、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから圧縮エアが排出される。
【0049】
エアマッサージ装置200は、患者に対して以下のように使用される。
【0050】
はじめに、装着作業者は、エアマッサージ装置200を使用可能な状態とするため、右足用スリーブ10Rを患者の右下腿RLに装着し、且つ左足用スリーブ10Lを患者の左下腿LLに装着する。具体的に、装着作業者は、右足用スリーブ10Rの第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの上に右ふくらはぎを載せ、この状態で、スリーブシート20において、外面12bに第2面ファスナ36が設けられた部位を右すねに巻き付ける。その後、装着作業者は、スリーブシート20において、第1タブ部28及び第2タブ部30が設けられた部位を、上記のようにして右すねに既に巻き付けられた部位に重ねる。これにより、図5に示すようにスリーブシート20が筒形状となり、患者の右下腿RLに装着される。なお、図5には膝Kを示している。
【0051】
このとき、第1タブ部28及び第2タブ部30の内面にそれぞれ形成された第1面ファスナ32、34が、第2面ファスナ36に係合する。この係合により、スリーブシート20が元の展開形状に戻ることが防止される。左足用スリーブ10Lも、上記と同様にして患者の左下腿LLに装着される。
【0052】
ここで、図5に示すように、第2流通管56a~56cの中間部の一部は収容室46に収容され、第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分が一括して孔部44からスリーブシート20の外方に露出する。従って、装着作業者が右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lを患者の右下腿RL及び左下腿LLにそれぞれ装着する際、第2流通管56a~56cの中間部がスリーブシート20に巻き込まれることが防止される。このため、第2流通管56a~56cがスリーブシート20の巻き付けの邪魔になることが回避される。
【0053】
また、第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分を、孔部44からスリーブシート20の外方に露出するようにしているので、第1チューブ52a~第3チューブ52cが四散することが防止される。このため、第1チューブ52a~第3チューブ52cのうち1本が、第1チューブ52a~第3チューブ52cのうち他のチューブ、スリーブシート20又は患者の身体に絡む懸念が払拭される。従って、装着作業者が右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lを容易に取り扱うことができる。さらに、第1チューブ52a~第3チューブ52cを、結束バンドを用いて束ねる必要もない。
【0054】
装着作業者は、次に、第2流通管56a~56cの第2端部(第1チューブ52a~第3チューブ52cの遠位端)に設けられた第1コネクタ72を、中継チューブ束70の近位端に設けられた第2コネクタ74に接続する(図1参照)。これにより、コントローラ150と、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cとが、中継チューブ束70及び第1チューブ52a~第3チューブ52cを介して接続される。その結果、エアマッサージ装置200が使用可能な状態となる。
【0055】
その後、電源スイッチ80がONにされると、制御部がコンプレッサ及びバルブを制御する。これにより第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに対して圧縮エアの給排がなされ、その結果、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが順番に膨張又は圧縮する。従って、患者の右ふくらはぎ及び左ふくらはぎに対し、遠位端から近位端に向かって間欠的空気圧圧迫が順次施される。
【0056】
右足用スリーブ10Rによる間欠的空気圧圧迫と、左足用スリーブ10Lによる間欠的空気圧圧迫とを同時に実施する必要は特にない。例えば、右足用スリーブ10Rによる間欠的空気圧圧迫と、左足用スリーブ10Lによる間欠的空気圧圧迫とを交互に実施してもよい。
【0057】
図6に示すように、バンド112を設けた右足用スリーブ101R及び左足用スリーブ101Lを用いてもよい。この場合、バンド112に第3面ファスナ114を設ける。
【0058】
通常、右足用スリーブ101Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたとき、図5と同様に、第1面ファスナ32、34と第2面ファスナ36とが互いに係合される。これに対し、患者の右下腿RLの周長が大きい場合、スリーブシート20の巻き付け長さが不足して第1面ファスナ32、34が第2面ファスナ36に届かないことが想定される。このような場合、装着作業者は、図6に示すように、バンド112の第3面ファスナ114を第2面ファスナ36に係合する。これにより、スリーブシート20が筒形状を保つ。左足用スリーブ101Lも、上記と同様にして患者の左下腿LLに装着される。
【0059】
このように、スリーブシート20にバンド112を設けたことにより、患者の体躯の大小に拘わらず、スリーブシート20を装着部位に巻き付けることが可能である。従って、様々な寸法のスリーブシート20を用意することが不要である。すなわち、所定の寸法のスリーブシート20のみ準備した場合であっても、様々な大きさの体躯に対応することが可能である。
【0060】
バンド112に余剰部分112aが存在する場合、装着作業者は、図6に示すように、余剰部分112aを、筒形状となったスリーブシート20に巻き付ける。装着作業者は、さらに、余剰部分112aを折り曲げ、例えば、第2開口部40bを介して収容室46に折り曲げた余剰部分112aを挿入する。又は、外側シート24に、第1開口部40a~第3開口部40cとは別に挿入開口を形成する。この挿入開口に、余剰部分112aを挿入してもよい。余剰部分112aの先端を、孔部44に通してもよい。これにより、バンド112が四散することが防止される。
【0061】
次に、第2実施形態に係るスリーブにつき、図7及び図8に示す右足用スリーブ110Rを例示して説明する。なお、右足用スリーブ110Rにおいて、上記した右足用スリーブ10Rの構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
右足用スリーブ110Rは、スリーブシート20を有する。スリーブシート20は、内側シート22と、外側シート24とを有する。外側シート24には、ノッチ26を境にして第1タブ部28及び第2タブ部30が形成される。第1タブ部28及び第2タブ部30の内面には、第1面ファスナ32、34がそれぞれ設けられる。また、外側シート24の内面12aにおいて、ノッチ26よりも巻き付け方向の内方に、バンド112の一端部が固定されている。バンド112の内面には、第3面ファスナ114(図7参照)が設けられる。
【0063】
外側シート24の外面には、第2面ファスナ36が設けられる。通常、右足用スリーブ110Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたとき、第1面ファスナ32、34と第2面ファスナ36とが互いに係合される。又は、図9に示すように、第2面ファスナ36と、バンド112の第3面ファスナ114とが互いに係合される。いずれの場合も、スリーブシート20が筒形状を保つ。
【0064】
外側シート24の外面には、複数個の開口部が形成されている。第2実施形態においても、外側シート24は、複数個の開口部として第1開口部40a~第3開口部40cを有する。
【0065】
外側シート24において、患者の足首Uを向く遠位端の近傍に、2個のスリット120a、120bが形成される。2個のスリット120a、120bの間には、第1ループ部121aが形成される。第1ループ部121aの内部は、第1貫通ポケット122aである。2個のスリット120a、120bは、第1貫通ポケット122aを介して連なる。2個のスリット120a、120b及び第1貫通ポケット122aは、1個の挿通部48を構成する。
【0066】
外側シート24において、第1開口部40aの近傍に、2個のスリット120c、120dが形成される。2個のスリット120c、120dの間には、第2ループ部121bが形成される。第2ループ部121bの内部は、第2貫通ポケット122bである。2個のスリット120c、120dは、第2貫通ポケット122bを介して連なる。2個のスリット120c、120d及び第2貫通ポケット122bは、1個の挿通部48を構成する。同様に、第2開口部40bの近傍には2個のスリット120e、120fが形成され、第3開口部40cの近傍には2個のスリット120g、120hが形成されている。2個のスリット120e、120fは、第3ループ部121cの内部である第3貫通ポケット122cを介して連なる。2個のスリット120g、120hは、第4ループ部121dの内部である第4貫通ポケット122dを介して連なる。2個のスリット120e、120f及び第3貫通ポケット122cも1個の挿通部48を構成し、2個のスリット120g、120h及び第4貫通ポケット122dも1個の挿通部48を構成する。このように、右足用スリーブ110Rにおいては、スリーブシート20に4個の挿通部48が形成されている。
【0067】
内側シート22と外側シート24との間の収容室46には、複数個のエアバッグとして、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが収容される。
【0068】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cには、第1チューブ52a~第3チューブ52cがそれぞれ接続される。第1チューブ52aは、第1流通管54a及び第2流通管56aを有する。第1流通管54aの一端部(近位端)は、第1エアバッグ50aに接続される。第1流通管54aの他端部(遠位端)は、第2流通管56aの第1端部(近位端)に接続される。
【0069】
第1流通管54aの他端部と、第2流通管56aの第1端部との接続部は、第1開口部40aに配置される。第2流通管56aの中間部において、第1端部に近接する部分は第1開口部40aから露出し、スリット120dを介して第2貫通ポケット122bに通され、さらに、スリット120cを介して第2貫通ポケット122bから露出する。第2流通管56aの中間部において、第2端部に近接する部分は、スリット120bを介して第1貫通ポケット122aに通され、さらに、スリット120aを介して第1貫通ポケット122aから露出する。
【0070】
第2チューブ52bも同様に、第1流通管54b及び第2流通管56bを有する。第1流通管54bの他端部と、第2流通管56bの第1端部との接続部は、第2開口部40bに配置される。第2流通管56bの中間部において、第1端部に近接する部分は第2開口部40bから露出し、スリット120fを介して第3貫通ポケット122cに通され、さらに、スリット120eを介して第3貫通ポケット122cから露出する。第2流通管56bの中間部において、第2端部に近接する部分は、スリット120bを介して第1貫通ポケット122aに通され、さらに、スリット120aを介して第1貫通ポケット122aから露出する。
【0071】
第3チューブ52cも同様に、第1流通管54c及び第2流通管56cを有する。第1流通管54cの他端部と、第2流通管56cの第1端部との接続部は、第3開口部40cに配置される。第2流通管56cの中間部において、第1端部に近接する部分は第3開口部40cから露出し、スリット120hを介して第4貫通ポケット122dに通され、さらに、スリット120gを介して第4貫通ポケット122dから露出する。第2流通管56cの中間部において、第2端部に近接する部分は、スリット120bを介して第1貫通ポケット122aに通され、さらに、スリット120aを介して第1貫通ポケット122aから露出する。
【0072】
このように、第2実施形態では、第2流通管56a~56cの中間部の一部が第2貫通ポケット122b~第4貫通ポケット122dに個別に挿入され、且つ第2流通管56a~56cの中間部の別の一部が第1貫通ポケット122aに一括して挿入される。第2流通管56a~56cの中間部の残りの部分及び第2端部は、第1貫通ポケット122aからスリーブシート20の外方に露出する。
【0073】
左足用スリーブ110L(図9参照)は、右足用スリーブ110Rと対称的に構成されていることを除き、右足用スリーブ110Rと同様に構成されている。このため、左足用スリーブ110Lにおいて、右足用スリーブ110Rの構成要素と同一の構成要素に対して同一の名称及び同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0074】
第2実施形態に係るエアマッサージ装置は、第1実施形態に係るエアマッサージ装置200(図1参照)の右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lに代替し、上記した右足用スリーブ110R及び左足用スリーブ110Lを備えることを除き、第1実施形態に係るエアマッサージ装置200と同様に構成される。このため、第2実施形態に係るエアマッサージ装置の図示及び詳細な説明は省略する。
【0075】
第2実施形態に係るエアマッサージ装置は、患者に対して以下のように使用される。
【0076】
はじめに、装着作業者は、エアマッサージ装置を使用可能な状態とするため、第1実施形態と同様の作業を行い、右足用スリーブ110Rを患者の右下腿RLに装着し、且つ左足用スリーブ110Lを患者の左下腿LLに装着する。通常、右足用スリーブ110Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたとき、図5と同様に、第1面ファスナ32、34と第2面ファスナ36とが互いに係合される。これに対し、患者の右下腿RLの周長が大きい場合、スリーブシート20の巻き付け長さが不足して第1面ファスナ32、34が第2面ファスナ36に届かないことが想定される。このような場合、装着作業者は、図9に示すように、バンド112の第3面ファスナ114を第2面ファスナ36に係合する。これにより、スリーブシート20が筒形状を保つ。左足用スリーブ110Lも、上記と同様にして患者の左下腿LLに装着される。
【0077】
このように、スリーブシート20にバンド112を設けたことにより、患者の体躯の大小に拘わらず、スリーブシート20を装着部位に巻き付けることが可能である。従って、様々な寸法のスリーブシート20を用意することが不要である。すなわち、所定の寸法のスリーブシート20のみ準備した場合であっても、様々な大きさの体躯に対応することが可能である。
【0078】
バンド112に余剰部分112aが存在する場合、装着作業者は、図9に示すように、余剰部分112aを、筒形状となったスリーブシート20に巻き付ける。装着作業者は、さらに、余剰部分112aを折り曲げ、例えば、第3貫通ポケット122c及び第1貫通ポケット122aに、折り曲げた余剰部分112aを通す。又は、余剰部分112aを、第3貫通ポケット122c、第2貫通ポケット122b及び第1貫通ポケット122aに通してもよい。余剰部分112aを、第1開口部40a、第2開口部40b又は第3開口部40cを介して収容室46に挿入してもよい。
【0079】
上記したように、第2流通管56aの中間部が第2貫通ポケット122b及び第1貫通ポケット122aに拘束されているので、第2流通管56aの可動範囲が制限される。同様に、第2流通管56bの中間部が第3貫通ポケット122c及び第1貫通ポケット122aに拘束されているので、第2流通管56bの可動範囲が制限される。さらに、第2流通管56cの中間部が第4貫通ポケット122d及び第1貫通ポケット122aに拘束されているので、第2流通管56cの可動範囲が制限される。加えて、バンド112の余剰部分112aが、第3貫通ポケット122c及び第1貫通ポケット122aに通されている。これにより、バンド112の余剰部分112aの可動範囲が制限される。また、第2流通管56a~56cの中間部と、バンド112の余剰部分112aの他端部が第1貫通ポケット122aに挿入されることで、第1チューブ52a~第3チューブ52c及びバンド112が束ねられる。このような理由から、第1チューブ52a~第3チューブ52c及びバンド112が四散することが防止される。
【0080】
このため、第1チューブ52a~第3チューブ52cのうち1本が、第1チューブ52a~第3チューブ52cのうち他のチューブ、スリーブシート20、バンド112又は患者の身体に絡む懸念が払拭される。従って、装着作業者が右足用スリーブ110R及び左足用スリーブ110Lを容易に取り扱うことができる。さらに、第1チューブ52a~第3チューブ52cを、結束バンドを用いて束ねる必要もない。加えて、装着作業者が右足用スリーブ110R及び左足用スリーブ110Lを患者の右下腿RL及び左下腿LLにそれぞれ装着する際、第2流通管56a~56cの中間部がスリーブシート20に巻き込まれることが防止される。このため、第2流通管56a~56cがスリーブシート20の巻き付けの邪魔となることが回避される。バンド112に関しても同様である。
【0081】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0082】
エアマッサージ装置は、電源スイッチ80がONにされると、第1実施形態に係るエアマッサージ装置200と同様に動作する。これにより、患者の右ふくらはぎ及び左ふくらはぎに対し、遠位端から近位端に向かって間欠的空気圧圧迫が順次施される。
【0083】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0084】
10…スリーブ
10L、101L、110L…左足用スリーブ
10R、101R、110R…右足用スリーブ
20…スリーブシート
22…内側シート
24…外側シート
32、34…第1面ファスナ
36…第2面ファスナ
40a~40c…開口部
42…非接合部
44…孔部
46…収容室
48…挿通部
50a~50c…エアバッグ
52a~52c…チューブ
54a~54c…第1流通管
56a~56c…第2流通管
78…中継チューブ
112…バンド
114…第3面ファスナ
120a~120h…スリット
121a~121d…ループ部
122a~122d…貫通ポケット
150…コントローラ
200…エアマッサージ装置
K…膝
LL…左下腿
RL…右下腿
T…親指
U…足首
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9