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特開2024-101701燃料供給系統、および、ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101701
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】燃料供給系統、および、ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/22 20060101AFI20240723BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240723BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F02C7/22 A
F02C6/18 A
F02C7/22 D
F02C7/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005769
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】麻尾 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 陵
(57)【要約】
【課題】バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で発生するオフガスを燃料としてガスタービンコジェネシステムを駆動させる燃料供給系統、および、当該ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法を提供する。
【解決手段】燃料供給系統は、ガスタービンの燃焼器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ライン、燃料精製プラントで発生した第1オフガスを燃焼器に供給するための第1オフガス供給装置、バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が燃料ガスよりも小さい第2オフガスを燃焼器に供給するための第2オフガス供給装置、燃料ガス供給ラインによって供給される燃料ガスと第1オフガス供給装置によって供給される第1オフガスと第2オフガス供給装置によって供給される第2オフガスとを混合するためのガス混合装置、及び、ガス混合装置で生成された混合ガス燃料を燃焼器に供給するための混合ガス燃料供給ラインを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの燃焼器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ラインと、
燃料精製プラントで発生した第1オフガスを前記燃焼器に供給するための第1オフガス供給装置と、
バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを前記燃焼器に供給するための第2オフガス供給装置と、
前記燃料ガス供給ラインによって供給される前記燃料ガス、前記第1オフガス供給装置によって供給される前記第1オフガス、および、前記第2オフガス供給装置によって供給される前記第2オフガスを混合するためのガス混合装置と、
前記ガス混合装置で生成された混合ガス燃料を前記燃焼器に供給するための混合ガス燃料供給ラインと
を備える燃料供給系統。
【請求項2】
前記燃料ガス供給ラインは、
前記燃焼器に前記燃料ガスを起動用燃料として供給するための起動用燃料ガス供給ラインと、
前記起動用燃料ガス供給ラインと並列に設けられ、前記ガス混合装置に前記燃料ガスを供給するための混合用燃料ガス供給ラインと
を含む
請求項1に記載の燃料供給系統。
【請求項3】
前記第1オフガス供給装置から前記ガス混合装置に前記第1オフガスを供給するための第1オフガス供給ラインと、
前記第2オフガス供給装置から前記ガス混合装置に前記第2オフガスを供給するための第2オフガス供給ラインと
をさらに備え、
前記混合用燃料ガス供給ラインは、前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前、且つ、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前に、前記燃料ガスの前記ガス混合装置への供給を開始するように構成される
請求項2に記載の燃料供給系統。
【請求項4】
前記第1オフガス供給ラインは、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前に、前記第1オフガスの供給を開始するように構成され、
前記混合ガス燃料供給ラインは、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前、前記ガス混合装置によって生成される、前記燃料ガスと前記第1オフガスを含む第1混合ガス燃料を、前記燃焼器に供給するように構成される
請求項3に記載の燃料供給系統。
【請求項5】
前記第2オフガス供給ラインは、前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前に、前記第2オフガスの供給を開始するように構成され、
前記混合ガス燃料供給ラインは、第前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前、前記ガス混合装置によって生成される、前記燃料ガスと前記第2オフガスを含む第2混合ガス燃料を、前記燃焼器に供給するように構成される
請求項3に記載の燃料供給系統。
【請求項6】
燃焼器を含むガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスを熱源として蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを含むガスタービンコジェネシステムに燃料を供給するためのガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガスタービンの起動用燃料として燃料ガスを専ら供給する起動用燃料供給ステップと、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、前記燃料ガス、燃料精製プラントで発生した第1オフガス、および、バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを含む混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する混合ガス燃料供給ステップと
を含む
ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法。
【請求項7】
前記ガスタービンコジェネシステムは、前記燃料ガス、前記第1オフガス、および、前記第2オフガスを混合するためのガス混合装置をさらに含み、
前記ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法は、
前記ガス混合装置に前記第1オフガスを供給する第1オフガス供給ステップと、
前記ガス混合装置に前記第2オフガスを供給する第2オフガス供給ステップと、
前記第1オフガス供給ステップの実行前、且つ、前記第2オフガス供給ステップの実行前に、前記ガス混合装置に前記燃料ガスを供給する混合用燃料ガス供給ステップと、
をさらに備える
請求項6に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法。
【請求項8】
前記ガス混合装置は、前記燃料ガスと前記第1オフガスを含む第1混合ガス燃料を生成するように構成され、
前記第1オフガス供給ステップは、前記第2オフガス供給ステップの実行前に実行され、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、且つ、前記混合ガス燃料供給ステップの実行前、前記ガス混合装置で生成される前記第1混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する第1混合ガス燃料供給ステップをさらに備える
請求項7に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法。
【請求項9】
前記ガス混合装置は、前記燃料ガスと前記第2オフガスを含む第2混合ガス燃料を生成するように構成され、
前記第2オフガス供給ステップは、前記第1オフガス供給ステップの実行前に実行され、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、且つ、前記混合用燃料ガス供給ステップの実行前、前記ガス混合装置で生成される前記第2混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する第2混合ガス燃料供給ステップをさらに備える
請求項7に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくともオフガスを燃料とするガスタービンコジェネシステムの燃料供給系統、および、当該ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のガスタービンコジェネシステムには、石炭を含む固体燃料から得られるガス化ガスから液体燃料を製造するように構成される液体燃料合成反応容器が組み込まれる。同文献のガスタービンは、液体燃料合成反応容器で発生したオフガスを燃料として駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-163873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーボンニュートラル社会を実現するには、固体燃料がバイオマスであることが好ましい。しかし、固体燃料としてバイオマスが採用された場合、液体燃料合成反応容器から得られるオフガスの単位質量当たりの発熱量は一般に小さく、当該オフガスを単独の燃料として既存のガスタービンを駆動することは困難である。
【0005】
本開示の目的は、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で発生するオフガスを燃料としてガスタービンコジェネシステムを駆動させる燃料供給系統、および、当該ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料供給系統は、
ガスタービンの燃焼器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ラインと、
燃料精製プラントで発生した第1オフガスを前記燃焼器に供給するための第1オフガス供給装置と、
バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを前記燃焼器に供給するための第2オフガス供給装置と、
前記燃料ガス供給ラインによって供給される前記燃料ガス、前記第1オフガス供給装置によって供給される前記第1オフガス、および、前記第2オフガス供給装置によって供給される前記第2オフガスを混合するためのガス混合装置と、
前記ガス混合装置で生成された混合ガス燃料を前記燃焼器に供給するための混合ガス燃料供給ラインと
を備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係るガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法は、
燃焼器を含むガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスを熱源として蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを含むガスタービンコジェネシステムに燃料を供給するためのガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガスタービンの起動用燃料として燃料ガスを専ら供給する起動用燃料供給ステップと、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、前記燃料ガス、燃料精製プラントで発生した第1オフガス、および、バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを含む混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する混合ガス燃料供給ステップと
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で発生するオフガスを燃料としてガスタービンコジェネシステムを駆動させる燃料供給系統、および、当該ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るプラントの概略図である。
図2】一実施形態に係る燃料精製プラントの概略図である。
図3】一実施形態に係るバイオ液体燃料生成プラントの概略図である。
図4】一実施形態に係る燃料供給系統の概略図である。
図5】一実施形態に係る水回収システムの概略図である。
図6】一実施形態に係る電気分解装置で生成された酸素ガスと水素ガスの供給ラインを示す概略図である。
図7】第1実施形態に係るプラントの起動方法を示すフローチャートである。
図8】プラントの起動方法の続きを示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図10】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図11】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図12】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図13】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図14】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図15】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図16】第2実施形態に係るプラントの起動方法を示すフローチャートである。
図17】一実施形態に係るプラントの起動方法の過程を示す概略図である。
図18】一実施形態に係るプラントの改造方法を示すフローチャートである。
図19】一実施形態に係る改造前のプラントの概略図である。
図20】一実施形態に係る改造途中のプラントの概略図である。
図21】一実施形態に係る改造後のプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0011】
<1.プラント1の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係るプラント1の概略図である。プラント1は、ガスタービン9と排熱回収ボイラ14とを含むガスタービンコジェネシステム10、油から燃料を精製するための燃料精製プラント100、及び、バイオマスからバイオ液体燃料を生成するためのバイオ液体燃料生成プラント200を備える。
【0012】
ガスタービン9はコジェネシステム10における発電機能を担う。排熱回収ボイラ14は、ガスタービン9から排出される排ガス13を熱源として蒸気を生成するように構成される。排熱回収ボイラ14から排出される蒸気であるボイラ蒸気の少なくとも一部は、燃料精製プラント100とバイオ液体燃料生成プラント200とに供給される。より具体的な一例として、排熱回収ボイラ14の下流に配置された蒸気需要体11を通過したボイラ蒸気が両プラントに供給される。ボイラ蒸気は、燃料精製プラント100においては燃料を精製するための熱源として利用され、バイオ液体燃料生成プラント200においてはバイオマスからバイオマスガスを得るためのガス化剤として利用される。
【0013】
ボイラ蒸気を両プラントに供給するための構成として、ボイラ蒸気供給ライン82とガス化剤用蒸気供給ライン87とが設けられる。ボイラ蒸気供給ライン82は、蒸気需要体11および燃料精製プラント100に接続されるボイラ蒸気供給配管82Aと、ボイラ蒸気供給配管82Aに設けられるボイラ蒸気開閉弁82Bとを含む。また、ガス化剤用蒸気供給ライン87は、ボイラ蒸気供給配管82Aとバイオ液体燃料生成プラント200とに接続されるガス化剤用蒸気供給配管87Aと、ガス化剤用蒸気供給配管87Aに設けられるガス化剤用蒸気開閉弁87Bとを含む。ガス化剤用蒸気供給配管87Aがボイラ蒸気供給配管82Aに接続する位置は、蒸気需要体11と燃料精製プラント100との間であり、ガス化剤用蒸気供給配管87Aから抽気されたボイラ蒸気は、ガス化剤としてガス化剤用蒸気供給配管87Aを流れる。
【0014】
ガスタービン9の燃焼器3に供給される燃料は、燃料ガス、燃料精製プラント100で発生した第1オフガス、または、バイオ液体燃料生成プラント200において発生した第2オフガスの少なくとも1つを含む。燃料ガスの単位質量あたりの発熱量は比較的高く、ガスタービン9の起動運転においては、燃料ガスが専ら燃焼器3に供給される。また、起動運転の完了後においては、燃料ガスは第1オフガスまたは第2オフガスの少なくとも一方と混合されて、燃焼器3に供給される。本実施形態において、ガスの混合は、ガスタービンコジェネシステム10を構成するガス混合装置8において実行される。
【0015】
燃料ガスは、例えばLNGまたはLPGの少なくとも一方を含む。本例の燃料ガスはLPG(LPG;液化石油ガス)である。この場合、LPGは燃料精製プラント100において燃料ガスとして精製される。また、第2オフガスの単位質量あたりの発熱量は、燃料ガスのそれよりも低い。さらに本例では、第2オフガスの単位質量あたりの発熱量は、第1オフガスのそれよりも低い。第1オフガスと第2オフガスの具体例は後述する。
【0016】
以下、燃料精製プラント100、バイオ液体燃料生成プラント200、および、ガスタービン用の燃料を供給するための燃料供給系統60、および、ガスタービンコジェネシステム10の構成を順に説明する。なお、以下の説明では、ガスタービンコジェネシステム10を「コジェネシステム10」と略記する場合がある。
【0017】
<2.燃料精製プラント100>
図2は、本開示の一実施形態に係る燃料精製プラント100の概略図である。燃料精製プラント100は、蒸留精製装置103および燃料貯留設備105を含む。蒸留精製装置103は、ボイラ蒸気供給配管82Aによって供給されるボイラ蒸気を熱源として、油から燃料を精製するように構成される。油は、原油であってもよいし、バイオ液体燃料の粗油であってもよい。本実施形態では、原油供給設備109から供給される原油、または、バイオ液体燃料生成プラント200から供給されるバイオ液体燃料(粗油)が、選択的に蒸留精製装置103に供給される。精製される製品としての燃料は、例えば、バイオジェット燃料、ナフサ、または、LPGなどである。精製される燃料は、燃焼器3の燃料として利用されてもよいし、他の機器の燃料として利用されてもよい。
【0018】
詳細な図示を省略するが、蒸留精製装置103は、油を加熱するための加熱炉と、加熱炉から排出される油を蒸留して燃料を抽出するための蒸留塔とを有する。本例のボイラ蒸気供給配管82Aは蒸留塔に接続されており、蒸留塔はボイラ蒸気を熱源にして油を蒸留する。蒸留を通じて精製される燃料は燃料貯留設備105に供給される。
【0019】
燃料精製プラント100は、蒸留精製装置103の蒸留塔で発生した第1オフガスが流れる第1オフガス排出管107と、第1オフガス排出管107を流れる第1オフガスを受け入れるように構成された第1オフガス供給装置170と、第1オフガス供給装置170からガス混合装置8に第1オフガスを供給するための第1オフガス供給ライン110とをさらに含む。
【0020】
第1オフガス供給装置170は、第1オフガスの圧力を上昇させたうえで第1オフガスを第1オフガス供給ライン110に流すように構成される。第1オフガス供給ライン110は、第1オフガス供給装置170とガス混合装置8とに接続される第1オフガス供給配管115、および、第1オフガス供給配管115に設けられる第1オフガス開閉弁117を有する。第1オフガス供給配管115は、第1オフガス供給装置170から排出される第1オフガスをガス混合装置8に導く。そして、ガス混合装置8で混合により生成される第1オフガスを含むガスは、ガスタービン9の燃焼器3に供給される(詳細は後述する)。従って、第1オフガス供給装置170と第1オフガス供給ライン110はいずれも、第1オフガスを燃焼器3に供給する機能を担う。なお、第1オフガスは、例えば、メタンガス、エタンガス、ブタンガス、または、プロパンガスの少なくとも1つを含む。
【0021】
<3.バイオ液体燃料生成プラント200>
図3は、本開示の一実施形態に係るバイオ液体燃料生成プラント200の概略図である。バイオ液体燃料生成プラント200は、ガス化剤用蒸気供給配管87Aによって供給されるボイラ蒸気を受け入れるように構成された蒸気供給装置201と、バイオマスの供給源であるバイオマス供給装置203と、酸素ガスを供給するための酸素ガス供給装置205と、バイオマスからバイオマスガスを生成するためのガス化装置233とを含む。
【0022】
蒸気供給装置201はガス化剤としての蒸気を、蒸気供給管221を介してガス化装置233に供給する。蒸気供給装置201によって供給される蒸気には、ガス化剤用蒸気供給ライン87によって供給されるボイラ蒸気が含まれる。バイオマス供給装置203は、例えば木質バイオマスであってもよいバイオマスに乾燥処理および粉砕加工を実行する。バイオマス供給装置203から排出されるバイオマスは、バイオマス供給管223を介してガス化装置233に供給される。酸素ガス供給装置205から排出される酸素ガスは、酸素ガス供給管235を介してガス化装置233に供給される。蒸気供給管221、バイオマス供給管223、および、酸素ガス供給管235にはそれぞれ、蒸気開閉弁221A、バイオマス開閉弁223A、および、酸素ガス開閉弁235Aが設けられる。
【0023】
本実施形態の酸素ガス供給装置205に流入する酸素ガスには、酸素ガス生成装置209で生成された酸素ガスと、電気分解装置61(図6参照)で生成された酸素ガスとが含まれる。酸素ガス生成装置209は、圧力スイング吸着(PSA;Pressure Swing Adsorption)によって大気から酸素ガスを取り出すように構成される。電気分解装置61の詳細は後述するが、電気分解装置61で生成された酸素ガスは、酸素ガス供給ライン64によって酸素ガス生成装置209に供給されるようになっている。
【0024】
ガス化装置233は、ボイラ蒸気および酸素ガスをガス化剤として、バイオマスからバイオマスガスを生成するように構成される。より具体的には、ガス化装置233は、噴流床型バイオマスガス化法(Entrained-flow biomass gasification process)を採用したガス火炉を有する。当該ガス火炉の底部近傍においてボイラ蒸気と酸素ガスが流入し、底部よりも上方においてバイオマスが流入する。ガス火炉内で混合されたボイラ蒸気と酸素ガスとが上昇してバイオマスに吹き当たり、バイオマスガスは生成される。バイオマスガスは、水素、一酸化炭素、または、二酸化炭素の少なくとも1つを含む。
【0025】
図3で示すように、バイオ液体燃料生成プラント200は、ガス化装置233から排出されるバイオマスガスが流れるバイオマスガス排出管280と、バイオマスガス排出管280に設けられたバイオマスガス開閉弁280Aと、バイオマスガス排出管280を経由して流入するバイオマスガスからバイオ液体燃料を生成するように構成されるバイオ液体燃料生成装置290とをさらに含む。本実施形態のバイオ液体燃料生成装置290は、FT法(Fischer-Tropsch process)を採用する。より具体的には、バイオ液体燃料生成装置290は、鉄およびコバルトを触媒として利用しながらバイオマスガスからバイオ液体燃料を生成するように構成される。本例のバイオ液体燃料は、バイオジェット燃料の原料となる粗油である。
【0026】
幾つかの実施形態に係るバイオ液体燃料生成プラント200は、バイオ液体燃料生成装置290から排出されるバイオ液体燃料を、精製対象となる油(粗油)として燃料精製プラント100に供給するためのバイオ液体燃料供給ライン291をさらに含む。バイオ液体燃料供給ライン291は、バイオ液体燃料生成装置290と蒸留精製装置103(図2参照)の加熱炉とに接続されるバイオ液体燃料供給配管291Aと、バイオ液体燃料供給配管291Aに設けられるバイオ液体燃料開閉弁291Bとを有する。
【0027】
上述のバイオ液体燃料生成装置290では、バイオ液体燃料と共に第2オフガスが発生する。本例のバイオ液体燃料生成プラント200は、バイオ液体燃料生成装置290で発生した第2オフガスが流れる第2オフガス排出管237と、第2オフガス排出管237を流れる第2オフガスを受け入れる第2オフガス供給装置270と、第2オフガス供給装置270からガス混合装置8に第2オフガスを供給するための第2オフガス供給ライン220とをさらに含む。
【0028】
第2オフガス供給装置270は、第2オフガスの圧力を上昇させたうえで第2オフガスを第2オフガス供給ライン220に排出するように構成される。第2オフガス供給ライン220は、第2オフガス供給装置270とガス混合装置8とに接続される第2オフガス供給配管225、および、第2オフガス供給配管225に設けられる第2オフガス開閉弁227を有する。第2オフガス供給配管225は、第2オフガス供給装置270から排出される第2オフガスをガス混合装置8に導く。そして、ガス混合装置8で混合により生成される第2オフガスを含むガスは、ガスタービン9の燃焼器3に供給される(詳細は後述する)。従って、第2オフガス供給装置270と第2オフガス供給ライン220はいずれも、第2オフガスを燃焼器3に供給する機能を担う。なお、第2オフガスは、例えば、メタンガス、一酸化炭素、二酸化炭素、水素ガス、または、窒素ガスの少なくとも1つを含む。
【0029】
<4.燃料供給系統60>
図4は、本開示の一実施形態に係る燃料供給系統60の概略図である。燃料供給系統60は、燃料をガスタービン9の燃焼器3に供給するように構成される。燃料供給系統60の構成要素は、燃料精製プラント100、バイオ液体燃料生成プラント200、または、コジェネシステム10のいずれかの構成要素でもある。
【0030】
本開示の一実施形態に係る燃料供給系統60は、第1オフガス供給装置170、第1オフガス供給ライン110、第2オフガス供給装置270、および、第2オフガス供給ライン220を備える。これらの構成要素の詳細は上述の通りである。そして、燃料供給系統60は、燃料ガス供給源62と、燃料ガス供給源62から燃焼器3に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ライン70と、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを混合するためのガス混合装置8と、ガス混合装置8で生成された混合ガス燃料を燃焼器3に供給するための混合ガス燃料供給ライン4とをさらに備える。
【0031】
本例の燃料ガス供給源62は燃料ガスを貯めたタンクであり、プラント1に設置されている。他の例の燃料ガス供給源62は、プラント1の近くに停泊する大型タンクローリであってもよく、この場合、燃料ガス供給源62は燃料供給系統60の構成要素でなくてもよい。
【0032】
燃料ガス供給ライン70は、燃焼器3に起動用燃料としての燃料ガスを供給するための起動用燃料ガス供給ライン72と、起動用燃料ガス供給ライン72と並列に設けられると共にガス混合装置8に燃料ガスを供給するための混合用燃料ガス供給ライン77とを含む。起動用燃料ガス供給ライン72は、燃料ガス供給源62と燃焼器3とに接続される起動用燃料ガス供給配管72Aと、起動用燃料ガス供給配管72Aに設けられる起動用燃料ガス開閉弁72Bとを有する。混合用燃料ガス供給ライン77は、起動用燃料ガス供給配管72Aとガス混合装置8とに接続される混合用燃料ガス供給配管77Aと、混合用燃料ガス供給配管77Aに設けられる混合用燃料ガス開閉弁77Bとを有する。混合用燃料ガス供給配管77Aが起動用燃料ガス供給配管72Aに接続される位置は、燃料ガス供給源62と起動用燃料ガス開閉弁72Bとの間である。混合ガス燃料供給ライン4は、ガス混合装置8と燃焼器3とに接続される混合ガス燃料供給配管4Aと、混合ガス燃料供給配管4Aに設けられる混合ガス燃料開閉弁4Bとを有する。
【0033】
燃料供給系統60が燃料を供給する動作の概要は以下の通りである。
コジェネシステム10の起動時には、燃料ガス供給源62からの燃料ガスだけが専ら燃焼器3に供給される。より具体的には、コジェネシステム10の起動に伴って、起動用燃料ガス開閉弁72Bが開放され、混合用燃料ガス開閉弁77B、第1オフガス開閉弁117、第2オフガス開閉弁227、および、混合ガス燃料開閉弁4Bはいずれも閉止される。これにより、起動用燃料ガス供給ライン72によって専ら燃料ガスが燃焼器3に供給される。
コジェネシステム10の起動後、起動用燃料ガス開閉弁72Bが閉止される。この閉止タイミングに前後して、混合用燃料ガス開閉弁77B、第1オフガス開閉弁117、第2オフガス開閉弁227、および、混合ガス燃料開閉弁4Bはいずれも開放される。ガス混合装置8は、燃料ガス、第1オフガス、および、第2オフガスを混合することで混合ガス燃料を生成する。燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料は、混合ガス燃料供給ライン4を経由して燃焼器3に供給される。
【0034】
上記構成によれば、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で生じる第2オフガスを、燃料ガスおよび第1オフガスと共に、燃焼器3の燃料として使用できる。これにより、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、タービン2に供給する後述の燃焼ガス12(図1参照)を高温にでき、ガスタービン9を駆動できる。よって、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で得られる第2オフガスを燃料として駆動するコジェネシステム10が実現される。また、燃料として第2オフガスを利用するので、単位質量当たりの発熱量が大きい燃料ガスの消費量を低減でき、カーボンニュートラルに寄与できる。
なお、バイオ液体燃料生成プラント200で生成されるバイオ液体燃料は燃料精製プラント100に供給されなくてもよい。つまり、バイオ液体燃料生成プラント200はバイオ液体燃料供給ライン291を備えなくてもよい。この場合でも上記利点は得られる。
また、ガス混合装置8は、上述の混合ガス燃料を排出する動作の前に、燃料ガスと第1オフガスを含む第1混合ガス燃料を排出する動作、または、燃料ガスと第2オフガスを含む第2混合ガス燃料を排出する動作を実行してもよい。詳細についてはコジェネシステム10の起動方法と併せて後述する。
【0035】
また、ガス混合装置8と混合ガス燃料供給ライン4とが設けられる構成によれば、燃料ガス、第1オフガス、および、第2オフガスが混合されることで生成される混合ガス燃料が燃焼器3に供給される。これにより、第2オフガスの比較的小さな発熱量の影響を低減でき、燃焼器3において得られる発熱量が不足するのを回避できる。また、第2オフガスを単独で供給しても後述の排ガス13(図1参照)の温度を高くすることが困難な既存の燃焼器3においても、第2オフガスを燃料として使用することが可能になり、カーボンニュートラルに寄与できる。
【0036】
上記の燃料供給系統60によれば、混合ガス燃料供給ライン4は、バイオ液体燃料生成プラント200で発生した第2オフガスを、燃料ガスおよび第1オフガスと共に、燃焼器3の燃料として使用できる。これにより、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、タービン2に供給する後述の燃焼ガス12(図1参照)を高温にでき、ガスタービン9を駆動できる。よって、バイオマスからバイオ液体燃料を生成する過程で得られる第2オフガスを燃料としてガスタービン9を駆動させる燃料供給系統60が実現される。
なお、このような燃料供給系統60が実現されるためには、燃料精製プラント100とバイオ液体燃料生成プラント200のそれぞれにボイラ蒸気が供給されなくてもよい。また、バイオ液体燃料生成プラント200で生成されるバイオ液体燃料は燃料精製プラント100に供給されなくてもよい。つまり、バイオ液体燃料生成プラント200はバイオ液体燃料供給ライン291を備えなくてもよい。この場合でも上記利点は得られる。
【0037】
また、混合用燃料ガス供給ライン77が起動用燃料ガス供給ライン72と並列に設けられる構成によれば、起動用燃料ガス供給ライン72と混合ガス燃料供給ライン4は共通の燃料ガス供給源62を利用できるので、燃料供給系統60は構成を簡素化できる。
【0038】
また、バイオ液体燃料生成プラント200が、バイオ液体燃料を燃料精製プラント100に供給するためのバイオ液体燃料供給ライン291を備える構成によれば、バイオ液体燃料からバイオジェット燃料といった燃料を精製することが可能になる。
【0039】
<5.ガスタービンコジェネシステム10>
図1図5を参照して、ガスタービンコジェネシステム10を説明する。図5は、本開示の一実施形態に係る水回収システム40の概略図である。
【0040】
<5-1.コジェネシステム10の概要>
図1で示されるコジェネシステム10は、ガスタービン9と排熱回収ボイラ14とを備える。ガスタービン9は、圧縮機入口空気6から圧縮空気7を生成するための圧縮機16と、燃料供給系統60によって供給される燃料を燃焼させるとともに圧縮空気7を高温化して燃焼ガス12を生成するための燃焼器3と、燃焼器3から排出される燃焼ガス12を駆動源として回転するためのタービン2と、タービン2に連結される発電機5とを備える。本実施形態の燃焼器3は拡散型燃焼器である。燃焼器3によって供給される燃料は、既述の燃料供給系統60によって供給される。
【0041】
排熱回収ボイラ14は、タービン2から排出される燃焼ガス12である排ガス13を熱源として、ボイラ給水から蒸気を生成するように構成される。ここで、ボイラ給水は、排熱回収ボイラ14に供給される水である。コジェネシステム10は、排熱回収ボイラ14から排出されるボイラ蒸気を蒸気需要体11に供給するための蒸気供給配管21を備える。本例の蒸気需要体11は蒸気タービンである。他の例に係る蒸気需要体11は、複合発電プラントの蒸気タービンあるいは産業用プロセス装置などであってもよい。
【0042】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム10は、蒸気供給配管21から抽気したボイラ蒸気を燃焼器3に供給するための蒸気抽気配管130を備える。同図で例示される蒸気抽気配管130は、燃焼器3におけるヘッドエンド(図示外)側にボイラ蒸気を供給するように構成される。ヘッドエンド側に供給されるボイラ蒸気は、燃焼器3の火炎帯の温度を下げることで、燃焼器3における窒素参加物の発生を抑制する。
【0043】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム10は、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13に含まれる水分を回収するための水回収システム40と、水回収システム40から回収した水分を含む回収水をボイラ給水として貯める補給水タンク17と、補給水タンク17に補給水を供給するための給水ライン15と、補給水タンク17と排熱回収ボイラ14とに接続される給水ライン19と、給水ライン19に設けられる給水ポンプ18とを備える。水回収システム40の構成の詳細は後述する。給水ポンプ18が駆動すると、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水は給水ライン19を流れて排熱回収ボイラ14に供給される。排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の温度は高い方が好ましい。排熱回収ボイラ14が蒸気を生成するために必要とする熱量が低減し、コジェネシステム10の効率が向上するからである。
【0044】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム10は、排熱回収ボイラ14から水回収システム40までの排ガス13の供給ラインである排ガス供給ライン57と、排ガス供給ライン57から分岐して設けられる排気ライン29と、排気ライン29に設けられる排気ダンパ31とを備える。排気ライン29を流れる排ガス13は、排気塔30から外部に排出される。本開示の一実施形態では、コジェネシステム10から水回収システム40に排ガス13が供給される場合、排気ダンパ31が閉止されて、排気ライン29には排ガス13が流れない。
【0045】
<5-2.水回収システム40>
図5で示される水回収システム40の概要は以下の通りである。水回収システム40の構成要素である水回収装置33は、排ガス供給ライン57によって導かれる排ガス13と冷媒水とを気液接触させることで排ガス13中の水分を回収水として回収するように構成される。より詳細な一例として、水回収装置33は、排ガス13と冷媒水とが流入する熱交換容器135と、熱交換容器135の内部で冷媒水を散水するための散水装置34と、熱交換容器135の内部で散水装置34の下方に位置する充填物35とを含む。排ガス供給ライン57に設けられる水回収ダンパ59が開放されると、熱交換容器135には、排ガス供給ライン57から排ガス13が流入する。散水装置34によって散水される冷媒水は充填物35に付着し、熱交換容器135に流入する排ガス13と熱交換を行う。これにより、排ガス13中の水分が凝縮する。凝縮した水分と熱交換を終えた冷媒水とを含む回収水は落下し、熱交換容器135の下部を構成する貯水槽136に貯まる。
【0046】
水回収システム40の構成を詳説する。水回収システム40は、水回収装置33の貯水槽136から排出される回収水を冷却するための回収水冷却装置36と、水回収装置33の貯水槽136から排出される回収水を回収水冷却装置36に導くための回収水排出ライン39と、回収水冷却装置36から排出される冷却された回収水を冷媒水として熱交換容器135に導くための回収水供給ライン42とをさらに備える。本例の回収水冷却装置36は、例えば海水などであってもよい冷却水によって、回収水を冷却するように構成される。回収水冷却装置36に冷却水を供給するための冷却水供給ライン41には冷却水供給ポンプ55が設けられる。
【0047】
水回収システム40は、回収水を補給水タンク17に導くための給水ライン43をさらに備え、給水ライン43は、高温給水ライン44と低温給水ライン47とを含む。高温給水ライン44は、回収水排出ライン39に接続されており、回収水排出ライン39から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。回収水排出ライン39から取り出される回収水は、排ガス13から回収された熱を有するため、比較的高い温度を有する。低温給水ライン47は、回収水供給ライン42に接続されており、回収水供給ライン42から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。回収水供給ライン42から取り出される回収水は、回収水冷却装置36による冷却処理が施されているため、比較的低い温度を有する。
【0048】
低温給水ライン47には、水回収システム40の構成要素である水処理装置46が設けられている。水処理装置46は、低温給水ライン47を流れる回収水に対して例えば硫黄などの不純物を除去する処理を施すように構成される。不純物は燃焼器3(図1参照)での燃焼に伴って生じ、排ガス13に混入することがある。この不純物の少なくとも一部は、水回収装置33での排ガス13と冷媒水との熱交換により、回収水に溶解する。水処理装置46が、回収水に含まれる不純物を除去することで、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水に不純物が含まれることが抑制される。一般に、処理される水の温度が低い方が、水処理装置46における不純物除去の処理能力は向上する。回収水の温度が高い場合、水処理装置46を構成するイオン交換樹脂146が損傷する可能性があり、不純物除去の処理能力が低下する虞がある。
【0049】
高温給水ライン44には高温給水開閉弁48が設けられ、低温給水ライン47には低温給水開閉弁45が設けられている。クリーンエネルギーに分類されるLPGであってもよい燃料ガスがコジェネシステム10の起動用燃料として燃焼器3に供給される場合、または、コジェネシステム10の起動後に、バイオ液体燃料生成プラント200で発生した第2オフガスが燃料ガスと共に燃焼器3に供給される場合、排ガス13に混入する不純物の量は許容値未満である。この場合、高温給水開閉弁48は開放され、不純物の除去処理を要さない高温の回収水が、高温給水ライン44を経由して補給水タンク17に流入する(このとき、低温給水開閉弁45は閉止されている。)。補給水タンク17から排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の温度を高くできるので、コジェネシステム10の効率は向上する。
【0050】
他方で、コジェネシステム10の起動後に、燃料精製プラント100で発生した第1オフガスが、燃料ガスと共に燃焼器3に供給される場合、排ガス13に混入する不純物の量が許容値以上、且つ、許容上限値未満となる。この場合、高温給水開閉弁48が閉止され、低温給水開閉弁45が開放され、不純物の除去処理を要する低温の回収水が、低温給水ライン47に設けられる水処理装置46を経由して、補給水タンク17に流入する。よって、給水ライン19および排熱回収ボイラ14などのコジェネシステム10を構成する機器に不純物が付着するのが回避され、コジェネシステム10の劣化を抑制できる。
【0051】
なお、排ガス13に含まれる不純物の量が許容上限値以上となる場合、水回収ダンパ59が閉止され、排気ダンパ31(図1参照)が開放される。結果、排ガス13は、水回収システム40に供給されることなく、排気塔30から排出される。
【0052】
上記構成によれば、起動用燃料としての燃料ガスが専ら燃焼器3に供給される間、または第2オフガスが燃料ガスと共に燃焼器3に供給される間、水回収装置33に流入する排ガス13中の不純物の量は許容値未満となるので、高温給水ライン44による回収水の供給が可能となる。これにより、排熱回収ボイラ14に供給するボイラ給水を高温にでき、コジェネシステム10の運転効率を高めることができる。他方で、第1オフガスを含む混合ガス燃料が燃焼器3に供給される間、排ガス13中の不純物の量は許容値以上且つ許容上限値未満となる。このとき、高温給水ライン44に代えて低温給水ライン47が回収水を供給し、この供給過程において水処理装置46が回収水に含まれる不純物を除去できる。これにより、コジェネシステム10を構成する機器に不純物が付着することで生じる機器の腐食を回避できる。このように本例の水回収システム40では、燃焼器3に供給される燃料が含む不純物の量に応じて、補給水タンク17に送る回収水の給水ライン43を切り替えることが可能になる。
【0053】
<5-3.電気分解装置61>
図6は、本開示の一実施形態に係る電気分解装置61で生成された酸素ガスと水素ガスの供給ラインを示す概略図である。
【0054】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム10は、給水ライン19を流れるボイラ給水を抽水するための抽水ライン49と、抽水ライン49に設けられる抽水開閉弁50と、抽水ライン49に接続される電気分解装置61とをさらに備えてもよい。抽水ライン49によって抽水されたボイラ給水(以下、「工業水」という場合がある)は、水回収装置33(図5参照)から排出される回収水と、給水ライン15によって供給される補給水とを含む。
【0055】
電気分解装置61は、抽水ライン49を流れる工業水に電気分解処理を施すように構成される。電気分解処理が施されることで、工業水から酸素ガスと水素ガスとが生成される。電気分解装置61で生成された酸素ガスは、バイオ液体燃料生成プラント200のガス化装置233で利用するためのガス化剤として、酸素ガス供給ライン64により酸素ガス供給装置205に供給される。コジェネシステム10の構成要素である酸素ガス供給ライン64は、電気分解装置61と酸素ガス供給装置205とに接続される酸素ガス供給配管64Aと、酸素ガス供給配管64Aに設けられる酸素ガス開閉弁64Bとを含む。酸素ガス供給配管64Aでは、電気分解装置61で生成された酸素ガスに、上述の酸素ガス生成装置209で生成された酸素ガスが合流するようになっている。より具体的には、酸素ガス生成装置209と酸素ガス供給配管64Aは、酸素ガス排出管207によって接続されている。酸素ガス排出管207が酸素ガス供給配管64Aに接続される位置は、酸素ガス開閉弁64Bと酸素ガス供給装置205との間である。
【0056】
電気分解装置61で生成される水素ガスは、水素ガス供給ライン68によってバイオ液体燃料生成装置290に供給される。コジェネシステム10の構成要素である水素ガス供給ライン68は、電気分解装置61とバイオマスガス排出管280とに接続される水素ガス供給配管68Aと、水素ガス供給配管68Aに設けられる水素ガス開閉弁68Bとを含む。水素ガス供給配管68Aを流れる水素ガスは、ガス化装置233から排出されるバイオマスガスと混ざり、バイオ液体燃料生成装置290に供給される。
【0057】
上記構成によれば、水回収装置33によって回収された回収水を利用して得られる酸素ガスをガス化装置233のガス化剤として利用できる。これにより、排ガス13に含まれる水分を活用して、ガス化装置233に十分な量のガス化剤を供給できる。また、水回収装置33によって回収された回収水を利用して得られる水素ガスをバイオ液体燃料の生成に利用できる。これにより、排ガス13に含まれる水分を活用して、バイオ液体燃料に十分な量の水素ガスを供給できる。さらに、上記実施形態では、回収水をバイオ液体燃料の原料物質としてだけではなく、燃焼器3の燃料となる第1オフガスの原料物質として活用することとなる。よって、コジェネシステム10の排ガス13に混入する水分を無駄なく活用することが可能になる。
【0058】
<6.コントローラ90>
プラント1はコントローラ90をさらに備える(図1図5参照)。コントローラ90はコンピュータによって構成されており、プロセッサ、メモリ(記憶媒体)、及び外部通信インタフェースを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、又はこれらの組み合わせなどである。他の実施形態に係るプロセッサは、PLD、ASIC、FPGA、またはMCU等の集積回路により実現されてもよい。メモリは、各種データを一時的または非一時的に記憶するように構成され、例えば、RAM、ROM、またはフラッシュメモリの少なくとも1つによって実現される。メモリにロードされたプログラムの命令にしたがって、プロセッサは各種制御処理を実行する。また、コントローラ90は、プラント1の複数の制御盤の一つを構成するDCS盤であってもよい。
【0059】
コントローラ90は、プラント1を構成する各種機器に信号(制御信号)を送る。
プラント1を構成する各種機器には開閉弁が含まれる。コントローラ90が開閉弁に信号(制御信号)を送ることで、開閉弁は開放状態と閉止状態との間で切り替わる。ここで、開閉弁は、混合ガス燃料開閉弁4B、低温給水開閉弁45、高温給水開閉弁48、抽水開閉弁50、酸素ガス開閉弁64B、水素ガス開閉弁68B、起動用燃料ガス開閉弁72B、混合用燃料ガス開閉弁77B、ボイラ蒸気開閉弁82B、ガス化剤用蒸気開閉弁87B、第1オフガス開閉弁117、蒸気開閉弁221A、バイオマス開閉弁223A、第2オフガス開閉弁227、酸素ガス開閉弁235A、バイオマスガス開閉弁280A、および、バイオ液体燃料開閉弁291Bを含む。
また、プラント1を構成する各種機器には、ダンパが含まれる。コントローラ90がダンパに信号(制御信号)を送ることで、ダンパは開放状態と閉止状態との間で切り替わる。ここで、ダンパは、排気ダンパ31、および、水回収ダンパ59を含む。
【0060】
さらに、プラント1を構成する機器には、給水ポンプ18、水回収ポンプ38、冷却水供給ポンプ55などの各種ポンプ、バイオ液体燃料生成プラント200を構成する各種装置および各種設備、並びに、燃料精製プラント100を構成する各種装置および各種設備が含まれる。これら各種ポンプ、各種装置、および各種設備は、コントローラ90によって制御される。
【0061】
<7.プラント1の起動方法>
図7図17を参照し、第1実施形態に係るプラント1の起動方法と、第2実施形態に係るプラント1の起動方法を順に説明する。プラント1の起動方法は、プラント1を構成する各種機器にコントローラ90が信号(制御)を送信することによって実行される。以下では、コントローラ90と各種機器との間で実行される信号の送受信に関する説明を割愛しつつ起動方法の説明をする。また、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する場合がある。なお、プラント1の起動方法にはガスタービンコジェネシステム10の起動方法が含まれる。プラント1の起動前、プラント1を構成する開閉弁およびダンパはいずれも閉止されている。
【0062】
<7-1.第1実施形態に係る起動方法>
図7は、第1実施形態に係るプラント1の起動方法を示すフローチャートである。図8は、プラント1の起動方法の続きを示すフローチャートである。図9図15は、プラント1の起動方法の過程を示す概略図であり、各々の図面で太線によって描かれた線図は、供給対象または排出対象が流れていることを示す(図17も同様)。ここで、供給対象または排出対象とは、排ガス13、ボイラ蒸気、燃料ガス、水素ガス、または酸素ガスといったガス、バイオ液体燃料、原油、またはボイラ給水といった液体、あるいは、バイオマスなどの固体である。
【0063】
はじめに、図7図9図10で示すように、コジェネシステム10を起動するコジェネシステム起動ステップ(S1)が実行される。S1では、ガスタービン9の回転駆動が図示外の起動装置によって開始されると共に、起動用燃料ガス開閉弁72Bが開放されて、起動用燃料ガス供給ライン72が起動用燃料としての燃料ガスを専ら燃焼器3に供給する。燃焼器3の燃焼室では燃料ガスの専焼が起こる。さらにS1では、水回収ダンパ59が開放されると共に、水回収ポンプ38と冷却水供給ポンプ55の駆動より水回収システム40が起動する。水回収装置33は排ガス13からの水分の回収を開始する。さらに水回収システム40の高温給水開閉弁48が開放されて、高温給水ライン44から補給水タンク17に高温な回収水の供給が開始される。なお、このとき、給水ライン15から補給水タンク17への補給水の供給も開始される。また、給水ポンプ18の駆動により、給水ライン19はボイラ給水を排熱回収ボイラ14に供給する。
【0064】
次いで、図7図11で示すように、燃料精製プラント起動ステップ(S3)が実行される。S3では、原油供給設備109から蒸留精製装置103に原油が供給されると共に、蒸留精製装置103が稼働を開始する。このとき、ボイラ蒸気開閉弁82Bが開放されて、ボイラ蒸気供給ライン82がボイラ蒸気を蒸留精製装置103に供給するのを開始する。蒸留精製装置103は、ボイラ蒸気を熱源にして油の一例である原油から燃料を精製する。
【0065】
次いで、図7図12で示すように、混合用燃料ガス開閉弁77Bを開放することで混合用燃料ガス供給ライン77がガス混合装置8に燃料ガスを供給する混合用燃料ガス供給ステップ(S5)が実行される。S5の実行時、混合ガス燃料開閉弁4Bも開放されて、ガス混合装置8から燃焼器3に燃料ガスが供給される。
次いで、起動用燃料ガス開閉弁72Bを閉止することで、起動用燃料ガス供給ライン72が燃焼器3に燃料ガスを供給するのを停止する起動用燃料供給停止ステップ(S7)が実行される。
その後、第1オフガス開閉弁117を開放することで第1オフガス供給ライン110が第1オフガスをガス混合装置8に供給する第1オフガス供給ステップ(S9)が実行される。結果、ガス混合装置8は、燃料ガスと第1オフガスとの混合により第1混合ガス燃料を生成する。第1混合ガス燃料が、混合ガス燃料供給ライン4を介して燃焼器3に供給され(S11)、燃焼室において燃料ガスと第1オフガスの混焼が起こる。なお、第1混合ガス燃料には第2オフガスが含まれない。
【0066】
次いで、図7図13で示すように、回収水供給切替ステップ(S13)が実行される。S13では、高温給水開閉弁48が閉止されて、高温給水ライン44による高温な回収水の供給が停止される。同時に、低温給水開閉弁45が開放されて、低温給水ライン47による低温な回収水の供給が開始される。低温の回収水は、水処理装置46を通過して補給水タンク17に供給される。これにより、第1オフガスを含む第1混合ガス燃料が燃焼することに起因して回収水に不純物が含まれる場合でも、不純物を除去した回収水を補給水タンク17に供給できる。なお、S13はS11よりも前に実行されてもよい。この場合、S13は、S7よりも後かつS11よりも前に実行されることが好ましい。
【0067】
次いで、図7図14で示すように、バイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S15)が実行される。S15では、蒸気開閉弁221A、バイオマス開閉弁223A、および、酸素ガス開閉弁235Aが開放されると共に、蒸気供給装置201、バイオマス供給装置203、酸素ガス供給装置205、および、ガス化装置233が起動する。同時に、バイオマスガス開閉弁280Aとバイオ液体燃料開閉弁291Bが開放されて、バイオ液体燃料生成装置290が起動する。これにより、ガス化装置233はバイオマスガスを生成し、バイオ液体燃料生成装置290はバイオ液体燃料を生成する。バイオ液体燃料生成装置290はバイオ液体燃料供給配管291Aを介して、バイオ液体燃料を燃料精製プラント100の蒸留精製装置103に供給する。このとき、原油供給設備109は停止してもよい。
【0068】
なお、S15の実行時には、ガス化剤用蒸気供給ライン87と酸素ガス供給ライン64はいずれも作動をまだ開始していない。しかしながら、バイオ液体燃料生成プラント200の起動段階でガス化装置233に供給されるバイオマスは少量であり、ガス化装置233おいて必要となるボイラ蒸気と酸素ガスは少量である。従って、ガス化装置233とバイオ液体燃料生成プラント200の起動は問題なく実行され、バイオ液体燃料生成装置290ではバイオ液体燃料と共に第2オフガスが発生する。
【0069】
次いで、第2オフガス開閉弁227を開放することで第2オフガス供給ライン220が第2オフガスをガス混合装置8に供給する第2オフガス供給ステップ(S17)が実行される。ガス混合装置8は、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料を生成する。結果、混合ガス燃料が混合ガス燃料供給ライン4を経由して燃焼器3に供給される混合ガス燃料供給ステップ(S21)が実行される。これにより、燃料ガス、第1オフガス、および、第2オフガスの混焼が燃焼器3の燃焼室で起こる。このとき、排ガス13中の不純物の量は、許容値以上且つ許容上限値未満であり、低温給水ライン47が作動を継続し、高温給水ライン44は作動しない。
【0070】
次いで、図8図15で示すように、電気分解装置61を起動する電気分解装置起動ステップ(S23)が実行される。S23では、抽水開閉弁50が開放されて工業水が電気分解装置61に供給されると共に、電気分解装置61が起動する。これにより、電気分解装置61では酸素ガスと水素ガスとが発生する。
次いで、酸素ガス開閉弁64Bが開放されることで、酸素ガス供給ライン64が酸素ガスを酸素ガス供給装置205に供給するのを開始する酸素ガス供給ステップ(S25)が実行される。さらに、酸素ガス生成装置209を起動する酸素ガス生成装置起動ステップ(S27)が実行される。酸素ガス生成装置209で生成された酸素ガスは、酸素ガス供給ライン64に流入して酸素ガス供給装置205に供給される。
次いで、ガス化剤用蒸気開閉弁87B(図11参照)が開放されることで、ガス化剤としてのボイラ蒸気をガス化剤用蒸気供給ライン87が蒸気供給装置201に供給するのを開始するガス化剤供給ステップ(S29)が実行される。ガス化剤用蒸気供給ライン87は、蒸気供給装置201および蒸気供給管221を介して、ガス化剤としてのボイラ蒸気をガス化装置233に供給する。
次いで、水素ガス開閉弁68Bが開放されることで水素ガス供給ライン68が水素ガスを供給するのを開始する水素ガス供給ステップ(S31)が実行される。これにより、バイオ液体燃料生成装置290に流入する水素ガスの量が増大し、バイオ液体燃料の生成量が増大する。
【0071】
以上説明した第1実施形態に係るプラント1の起動方法で得られる利点について説明する。
【0072】
燃料精製プラント起動ステップ(S3)がバイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S15)の前に実行されるので、燃料精製プラント100はバイオ液体燃料生成装置290で生成されたバイオ液体燃料をすぐに受け入れることが可能になる。従って、バイオ液体燃料が生成されてから燃料が精製されるまでの時間を短縮できる。また、バイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S15)の後に実行される混合ガス燃料供給ステップ(S21)では、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料をガスタービン9に供給することができるので、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保でき、高温の燃焼ガス12をタービン2に供給してガスタービン9を駆動できる。よって、バイオ液体燃料の生成過程で得られる第2オフガスを燃料とするコジェネシステム10を備えたプラント1の起動方法が実現される。また、燃料として第2オフガスを利用するので、単位質量当たりの発熱量が大きい燃料ガスの消費量を低減でき、カーボンニュートラルに寄与できる。
【0073】
また、上記の起動方法では、起動用燃料を供給するステップを含むコジェネシステム起動ステップ(S1)によりガスタービン9を起動させた後に、混合ガス燃料供給ステップ(S21)により混合ガス燃料を燃焼器3に供給する。これにより、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、高温の燃焼ガス12をタービン2に供給してガスタービン9を駆動できる。よって、バイオマスからバイオ液体燃料を生成する過程で得られる第2オフガスを燃料としてコジェネシステム10に供給できるコジェネシステム10の燃料供給方法が実現される。
【0074】
また、一般に、バイオマスからバイオマスガスを生成する過程で必要となるボイラ蒸気の量は多い。この点、上述の起動方法では、コジェネシステム起動ステップ(S1)の実行後に、ボイラ蒸気をガス化剤としてガス化装置233に供給することを開始するガス化剤供給ステップ(S25)を実行する。上記構成によれば、バイオマスガスを生成するために必要なガス化剤としての蒸気を、排熱回収ボイラ14から排出されるボイラ蒸気によって賄うことが可能になる。排熱回収ボイラ14から排出されるボイラ蒸気の量は非常に多いので、ガス化装置233においてガス化剤としての蒸気が不足するのを回避でき、十分な量のバイオマスガスを生成することが可能になる。
【0075】
また、上記の起動方法では、コジェネシステム起動ステップ(S1)の実行中、高温給水ライン44によって回収水が補給水タンク17に供給される。これにより、排熱回収ボイラ14に供給するボイラ給水を高温にできるので、コジェネシステム10の運転効率を高めることができる。
【0076】
また、上記の起動方法では、第1混合ガス燃料供給ステップ(S11)において第1混合ガス燃料がガスタービン9の燃焼器3に供給される。これにより、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器3における燃焼環境を、第2オフガスを含む混合ガス燃料をガスタービン9に供給するための燃焼環境に整えることができる。反面、第1オフガスを含む第1混合ガス燃料は一定程度の不純物を含み、排ガス13中の不純物の量が許容値以上となることが懸念される。この点、上記構成によれば、燃料精製プラント起動ステップ(S3)の実行後、回収水供給切替ステップ(S13)が実行される。高温給水ライン44に代えて低温給水ライン47が回収水を供給し、この供給過程において水処理装置46が回収水に含まれる不純物を除去できる。これにより、コジェネシステム10を構成する機器に不純物が付着することで生じる機器の腐食を回避できる。
【0077】
また、上記の起動方法では、電気分解装置起動ステップ(S23)と酸素ガス供給ステップ(25)とが順に実行されることで、水回収装置33によって回収された回収水を利用して得られる酸素ガスをガス化装置233におけるガス化剤として利用できる。これにより、排ガス13に含まれる水分を活用して、ガス化装置233に十分な量のガス化剤を供給できる。
【0078】
また、上記の起動方法では、電気分解装置起動ステップ(S23)と水素ガス供給ステップ(S31)とが順に実行されることで、水回収装置33によって回収された回収水を利用して得られる水素ガスをバイオ液体燃料の生成に利用できる。これにより、排ガス13に含まれる水分を活用して、バイオ液体燃料に十分な量の水素ガスを供給できる。
【0079】
また、上記の起動方法では、酸素ガス生成装置起動ステップ(S27)が実行されることで、ガス化装置233に供給すべき酸素ガスが不足するのを回避できる。
【0080】
また、上記の起動方法では、第1オフガス供給ステップ(S9)と第2オフガス供給ステップ(S17)の実行前に、混合用燃料ガス供給ステップ(S5)が実行される。換言すると、第1オフガス供給ライン110による第1オフガスの供給の開始前、且つ、第2オフガス供給ライン220による第2オフガスの供給の開始前に、混合ガス燃料供給ライン4は燃料ガスのガス混合装置8への供給を開始するように構成される。上記構成によれば、単位質量当たりの発熱量が比較的高い燃料ガスでガス混合装置8の混合室を充満させることができる。これにより、混合ガス燃料の単位質量当たりの発熱量が許容下限値を下回るのを回避できる。
【0081】
また、上記の起動方法では、起動用燃料供給ステップ(S1)の実行後、且つ、混合ガス燃料供給ステップ(S21)の実行前、第1混合ガス燃料供給ステップ(S11)が実行される。換言すると、第1オフガス供給ライン110は、第2オフガス供給ライン220による第2オフガスの供給の開始前に第1オフガスの供給を開始するように構成される。また、混合ガス燃料供給ライン4は、第2オフガス供給ライン220による第2オフガスの供給の開始前、ガス混合装置8で生成される第1混合ガス燃料を燃焼器3に供給するように構成される。上記構成によれば、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器3における燃焼環境を、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料の燃焼のために適正化することが可能になる。
【0082】
<7-2.第2実施形態に係る起動方法>
図9図10図16、および、図17を参照し、第2実施形態に係るプラント1の起動方法を説明する。図16は、第2実施形態に係るプラント1の起動方法を示すフローチャートである。第2実施形態では、図7で示されるS3、S9~S17に代えて、S2、S8~S14、S22が実行される。また、図16で示されるステップのうち第1実施形態と同じものには、図7と同じステップ番号が付与されている。さらに、図16の第2実施形態に係るS23以降のプラント1の起動方法は、第1実施形態に係るS23~S31(図8参照)によって示される方法と同一である。
【0083】
図9図10図16で示すように、はじめにコジェネシステム起動ステップ(S1)が実行される。本ステップの詳細は、第1実施形態に係る起動方法で説明した通りであり、高温給水ライン44によって高温な回収水の供給が開始されるのも第1実施形態と同様である。
【0084】
次いで、図16図17で示すように、バイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S2)が実行される。S2では、ガス化剤用蒸気開閉弁87Bが開放されて、ガス化剤としてのボイラ蒸気の蒸気供給装置201への供給が開始される。同時に、蒸気供給装置201、バイオマス供給装置203、酸素ガス供給装置205、ガス化装置233、および、バイオ液体燃料生成装置290が起動する。詳細は、第1実施形態に係るS15で説明した通りである。このとき、酸素ガス供給ライン64から酸素ガス供給装置205に酸素ガスが供給されていないが、起動中のガス化装置233に供給されるバイオマスは少量であるので、ガス化装置233とバイオ液体燃料生成プラント200の起動は問題なく実行される。
【0085】
次いで、第1実施形態と同様、混合用燃料ガス供給ステップ(S5)と、起動用燃料供給停止ステップ(S7)とが順に実行される。
【0086】
次いで、第2オフガス開閉弁227を開放することで第2オフガス供給ライン220が第2オフガスをガス混合装置8に供給する第2オフガス供給ステップ(S8)が実行される。結果、ガス混合装置8は、燃料ガスと第2オフガスとの混合により第2混合ガス燃料を生成する。第2混合ガス燃料が、混合ガス燃料供給ライン4を介して燃焼器3に供給され(S10)、燃焼室において燃料ガスと第2オフガスの混焼が起こる。なお、第2混合ガス燃料には第1オフガスが含まれない。
【0087】
次いで、燃料精製プラント起動ステップ(S12)が実行される。具体的には(図11も併せて参照)、蒸留精製装置103が起動されると共に、ボイラ蒸気開閉弁82Bが開放されて、熱源としてのボイラ蒸気が蒸留精製装置103に供給される。このとき、蒸留精製装置103は、バイオ液体燃料供給ライン291によって供給されるバイオ液体燃料を蒸留および精製する。S12の実行時において、原油供給設備109は作動しなくてもよい。
【0088】
次いで、第1オフガス開閉弁117を開放することで第1オフガス供給ライン110が第1オフガスをガス混合装置8に供給する第1オフガス供給ステップ(S14)が実行される。結果、ガス混合装置8は、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料を生成する。そして、混合ガス燃料が混合ガス燃料供給ライン4を経由して燃焼器3に供給される混合ガス燃料供給ステップ(S21)が実行される。
【0089】
次いで、回収水供給切替ステップ(S22)が実行される。S22では、第1実施形態に係るS13と同様、高温給水開閉弁48が閉止され、低温給水開閉弁45が開放される。これにより、第1オフガスを含む混合ガス燃料が燃焼することに起因して回収水に不純物が含まれる場合でも、不純物を除去した回収水を補給水タンク17に供給できる。なお、第1混合ガス燃料の燃焼時に排ガス13中の不純物の量が許容値未満となる場合には、S22は実行されなくてもよい。
【0090】
S22の実行後、図8のS23~S31が実行されて、第2実施形態に係るプラント1の起動方法は終了する。説明の重複を避けるため、第2実施形態に係るS23~S31の詳説は割愛する。
【0091】
以上説明した第2実施形態に係るプラント1の起動方法で得られる利点について説明する。但し、第1実施形態のプラント1の起動方法で得られる利点と同様のものについては説明を割愛する。
【0092】
燃料精製プラント100起動ステップ(S12)の実行前にバイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S2)が実行される構成によれば、蒸気の消費量が比較的大きいバイオ液体燃料生成プラント200に対して、ボイラ蒸気を早期に供給できるので、起動した排熱回収ボイラ14から排出されるボイラ蒸気を早期に有効活用できる。また、混合ガス燃料供給ステップ(S21)では、燃料ガス、第1オフガス、および、第2オフガスを含む混合ガス燃料をガスタービン9に供給できるので、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保でき、高温の燃焼ガス12をタービン2に供給してガスタービン9を駆動できる。よって、バイオ液体燃料の生成過程で得られる第2オフガスを燃料とするコジェネシステム10を備えたプラント1の起動方法が実現される。また、燃料として第2オフガスを利用するので、単位質量当たりの発熱量が大きい燃料ガスの消費量を低減でき、カーボンニュートラルに寄与できる。
【0093】
上記の起動方法では、バイオ液体燃料生成プラント起動ステップ(S2)の後に第2混合ガス燃料供給ステップ(S10)が実行される。上記構成によれば、第2混合ガス燃料がガスタービン9の燃焼器3に供給されることで、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器3における燃焼環境を、第1オフガスを含む混合ガス燃料をガスタービン9に供給するための燃焼環境に整えることができる。
【0094】
上記の起動方法では、第2オフガス供給ステップ(S8)は、第1オフガス供給ステップ(S14)の前に実行され、第2混合ガス燃料供給ステップ(S10)は、起動用燃料供給ステップ(S1)の後、且つ、混合用燃料ガス供給ステップ(S21)の前に実行される。換言すると、第2オフガス供給ライン220は、第1オフガス供給ライン110による第1オフガスの供給の開始前に第2オフガスの供給を開始するように構成され、混合ガス燃料供給ライン4は、第1オフガス供給ライン110による第1オフガスの供給の開始前に、ガス混合装置8で生成される第2混合ガス燃料を燃焼器3に供給するように構成される。上記構成によれば、燃料ガスと第2オフガスを含む第2混合ガス燃料が燃焼器3に供給される。これにより、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器3における燃焼環境を、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料のために適正化することが可能になる。
【0095】
<8.プラント1の改造方法>
図18図21を参照し、改造前のプラント1であるプラント1Aを改造する方法を説明する。図18は、本開示の一実施形態に係るプラント1Aの改造方法を示すフローチャートである。図19は、本開示の一実施形態に係るプラント1Aの概略図である。図20は、本開示の一実施形態に係る改造途中のプラント1であるプラント1Bの概略図である。図21は、本開示の一実施形態に係る改造後のプラント1の概略図である。
【0096】
プラント1の改造は、作業者、作業者によって操作されるロボット装置、またはこれらの組み合わせによって実行される。以下で説明されるプラント1の改造方法には、コジェネシステム10の改造方法が含まれている。
【0097】
改造方法の説明に先立って、図19を参照して改造前のプラント1であるプラント1Aを説明する。プラント1Aは、改造前のコジェネシステム10であるコジェネシステム10Aと、燃料精製プラント100とを備える。また、プラント1Aには、ボイラ蒸気供給ライン82が設けられている。その反面、プラント1Aには、バイオ液体燃料生成プラント200、および、ガス化剤用蒸気供給ライン87が設けられていない。また、コジェネシステム10Aには、水回収システム40、排気ダンパ31、抽水ライン49、抽水開閉弁50、電気分解装置61、酸素ガス供給ライン64、および、水素ガス供給ライン68が設けられていない。
【0098】
プラント1Aの改造方法を説明する。図18図20に示すように、はじめに、ガス化剤用蒸気供給ライン87を追設するガス化剤用蒸気供給ライン追設ステップ(S101)と、第2オフガス供給ライン220を追設する第2オフガス供給ライン追設ステップ(S103)とが順に実行される。S101とS103の実行時には、プラント1Aにバイオ液体燃料生成プラント200を追設するステップも併せて実行される。S101では、ガス化剤用蒸気供給配管87Aがボイラ蒸気供給配管82Aと蒸気供給装置201(図3参照)とに接続されると共に、ボイラ蒸気開閉弁82Bがボイラ蒸気供給配管82Aに設けられる。また、S103では、第2オフガス供給配管225が、第2オフガス供給装置270とガス混合装置8とに接続されると共に、第2オフガス開閉弁227が第2オフガス供給配管225に設けられる。これにより、プラント1Aはプラント1Bに改造される(図20参照)。
【0099】
図18図20図21に示すように、水回収システム40を追設する水回収システム追設ステップ(S105)と、電気分解装置61を追設する電気分解装置追設ステップ(S107)と、酸素ガス供給ライン64を追設する酸素ガス供給ライン追設ステップ(S109)と、水素ガス供給ライン68を追設する水素ガス供給ライン追設ステップ(S111)とが順に実行される。S105では、排気ライン29に排気ダンパ31を追設する作業も併せて実行される。S07では、抽水ライン49と抽水開閉弁50とを追設する作業も併せて実行される。S109では、酸素ガス供給配管64Aを電気分解装置61と酸素ガス供給装置205(図3参照)とに接続する作業が実行されると共に、酸素ガス生成装置209(図3参照)と酸素ガス供給配管64Aとを酸素ガス排出管207(図3参照)で接続する作業が実行される。S111では、電気分解装置61とバイオマスガス排出管280(図6参照)とを水素ガス供給配管68Aで接続する作業が実行される。
【0100】
以上のステップにより、プラント1が完成する(図21参照)。プラント1によって実現される利点は既述の通りであり、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で得られる第2オフガスを燃料として駆動するコジェネシステム10の改造方法が実現される。また、燃料として第2オフガスを利用するので、単位質量当たりの発熱量が大きい燃料ガスの消費量を低減でき、カーボンニュートラルに寄与できるコジェネシステム10の改造方法が実現される。
【0101】
なお、上記ステップの実行順序は適宜変更されてもよい。例えば、S101およびS103の前にS105が実行されてもよい。また、S105の前に、S107~S111が実行されてもよい。さらに、S105~S111は実行されなくてもよい。この場合、プラント1B(図20参照)が改造済プラントである。プラント1Bにおいても、バイオマスからバイオ液体燃料が生成される過程で生じる第2オフガスを、燃料ガスおよび第1オフガスと共に、燃焼器3の燃料として使用できる。これにより、燃焼器3での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、タービン2に供給する燃焼ガス12を高温にでき、ガスタービン9を駆動できる。つまり、コジェネシステム10の改造方法は、S105~S111を備えなくても、第2オフガスを燃料として駆動するコジェネシステム10の改造方法として成立する。
【0102】
<9.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0103】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る燃料供給系統(60)は、
ガスタービン(9)の燃焼器(3)に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ライン(70)と、
燃料精製プラント(100)で発生した第1オフガスを前記燃焼器に供給するための第1オフガス供給装置(170)と、
バイオ液体燃料生成プラント(200)で発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを前記燃焼器に供給するための第2オフガス供給装置(270)と、
前記燃料ガス供給ラインによって供給される前記燃料ガス、前記第1オフガス供給装置によって供給される前記第1オフガス、および、前記第2オフガス供給装置によって供給される前記第2オフガスを混合するためのガス混合装置(8)と、
前記ガス混合装置で生成された混合ガス燃料を前記燃焼器に供給するための混合ガス燃料供給ライン(4)と
を備える。
【0104】
上記1)の構成によれば、混合ガス燃料供給ラインは、バイオ液体燃料生成プラントで発生した第2オフガスを、燃料ガスおよび第1オフガスと共に、燃焼器の燃料として使用できる。これにより、燃焼器での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、高温の燃焼ガスをタービンに供給してガスタービンを駆動できる。よって、バイオマスからバイオ液体燃料を生成する過程で得られる第2オフガスを燃料としてガスタービンを駆動させる燃料供給系統が実現される。
【0105】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の燃料供給系統であって、
前記燃料ガス供給ラインは、
前記燃焼器に前記燃料ガスを起動用燃料として供給するための起動用燃料ガス供給ライン(72)と、
前記起動用燃料ガス供給ラインと並列に設けられ、前記ガス混合装置に前記燃料ガスを供給するための混合用燃料ガス供給ライン(77)と
を含む。
【0106】
上記2)の構成によれば、起動用燃料ガス供給ラインと前記混合用燃料ガス供給ラインは共通の燃料ガス供給源を利用できるので、燃料供給系統は構成を簡素化できる。
【0107】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の燃料供給系統は、
前記第1オフガス供給装置から前記ガス混合装置に前記第1オフガスを供給するための第1オフガス供給ライン(110)と、
前記第2オフガス供給装置から前記ガス混合装置に前記第2オフガスを供給するための第2オフガス供給ライン(220)と
をさらに備え、
前記混合用燃料ガス供給ラインは、前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前、且つ、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前に、前記燃料ガスの前記ガス混合装置への供給を開始するように構成される。
【0108】
上記3)の構成によれば、ガス混合装置の混合室を燃料ガスで先に充満させることができる。これにより、混合ガス燃料の単位質量当たりの発熱量が許容下限値を下回るのを回避できる。
【0109】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の燃料供給系統であって、
前記第1オフガス供給ラインは、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前に、前記第1オフガスの供給を開始するように構成され、
前記混合ガス燃料供給ラインは、前記第2オフガス供給ラインによる前記第2オフガスの供給の開始前、前記ガス混合装置によって生成される、前記燃料ガスと前記第1オフガスを含む第1混合ガス燃料を、前記燃焼器に供給するように構成される。
【0110】
上記4)の構成によれば、燃料ガスと第1オフガスを含む第1混合ガス燃料が燃焼器に供給される。これにより、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器における燃焼環境を、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料の燃焼のために適正化することが可能になる。
【0111】
5)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の燃料供給系統であって、
前記第2オフガス供給ラインは、前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前に、前記第2オフガスの供給を開始するように構成され、
前記混合ガス燃料供給ラインは、第前記第1オフガス供給ラインによる前記第1オフガスの供給の開始前、前記ガス混合装置によって生成される、前記燃料ガスと前記第2オフガスを含む第2混合ガス燃料を、前記燃焼器に供給するように構成される。
【0112】
上記5)の構成によれば、燃料ガスと第2オフガスを含む第2混合ガス燃料が燃焼器に供給される。これにより、燃焼室の水素ガス濃度または燃焼室の温度といった燃焼器における燃焼環境を、燃料ガスと第1オフガスと第2オフガスとを含む混合ガス燃料のために適正化することが可能になる。
【0113】
6)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネシステム(10)の燃料供給方法は、
燃焼器(3)を含むガスタービン(9)と、前記ガスタービンから排出される排ガスを熱源として蒸気を生成するための排熱回収ボイラ(14)とを含むガスタービンコジェネシステム(10)に燃料を供給するためのガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガスタービンの起動用燃料として燃料ガスを専ら供給する起動用燃料供給ステップ(S1)と、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、前記燃料ガス、燃料精製プラントで発生した第1オフガス、および、バイオ液体燃料生成プラントで発生した単位質量当たりの発熱量が前記燃料ガスよりも小さい第2オフガスを含む混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する混合ガス燃料供給ステップ(S21)と
を含む。
【0114】
上記6)の構成によれば、起動用燃料供給ステップの実行によってガスタービンを起動させた後に、混合ガス燃料供給ステップの実行によって混合ガス燃料を燃焼器に供給する。これにより、燃焼器での燃焼で得られる発熱量を確保できるため、高温の燃焼ガスをタービンに供給してガスタービンを駆動できる。よって、バイオマスからバイオ液体燃料を生成する過程で得られる第2オフガスを燃料としてガスタービンコジェネシステムに供給できるガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法が実現される。
【0115】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガスタービンコジェネシステムは、前記燃料ガス、前記第1オフガス、および、前記第2オフガスを混合するためのガス混合装置(8)をさらに含み、
前記ガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法は、
前記ガス混合装置に前記第1オフガスを供給する第1オフガス供給ステップ(S9、S16)と、
前記ガス混合装置に前記第2オフガスを供給する第2オフガス供給ステップ(S8、S17)と、
前記第1オフガス供給ステップの実行前、且つ、前記第2オフガス供給ステップの実行前に、前記ガス混合装置に前記燃料ガスを供給する混合用燃料ガス供給ステップ(S5)と、
をさらに備える。
【0116】
上記7)の構成によれば、上記3)と同様の作用効果が得られる。
【0117】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガス混合装置は、前記燃料ガスと前記第1オフガスを含む第1混合ガス燃料を生成するように構成され、
前記第1オフガス供給ステップは、前記第2オフガス供給ステップの実行前に実行され、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、且つ、前記混合ガス燃料供給ステップの実行前、前記ガス混合装置で生成される前記第1混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する第1混合ガス燃料供給ステップ(S11)をさらに備える。
【0118】
上記8)の構成によれば、上記4)と同様の作用効果が得られる。
【0119】
9)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のガスタービンコジェネシステムの燃料供給方法であって、
前記ガス混合装置は、前記燃料ガスと前記第2オフガスを含む第2混合ガス燃料を生成するように構成され、
前記第2オフガス供給ステップは、前記第1オフガス供給ステップの実行前に実行され、
前記起動用燃料供給ステップの実行後、且つ、前記混合用燃料ガス供給ステップの実行前、前記ガス混合装置で生成される前記第2混合ガス燃料を前記燃焼器に供給する第2混合ガス燃料供給ステップ(S10)をさらに備える。
【0120】
上記9)の構成によれば、上記5)と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0121】
1,1A,1B :プラント
2 :タービン
3 :燃焼器
4 :混合ガス燃料供給ライン
4A :混合ガス燃料供給配管
4B :混合ガス燃料開閉弁
5 :発電機
6 :圧縮機入口空気
7 :圧縮空気
8 :ガス混合装置
9 :ガスタービン
10,10A :ガスタービンコジェネシステム(コジェネシステム)
11 :蒸気需要体
12 :燃焼ガス
13 :排ガス
14 :排熱回収ボイラ
15 :給水ライン
16 :圧縮機
17 :補給水タンク
18 :給水ポンプ
19 :給水ライン
21 :蒸気供給配管
29 :排気ライン
30 :排気塔
31 :排気ダンパ
33 :水回収装置
34 :散水装置
35 :充填物
36 :回収水冷却装置
38 :水回収ポンプ
39 :回収水排出ライン
40 :水回収システム
41 :冷却水供給ライン
42 :回収水供給ライン
43 :給水ライン
44 :高温給水ライン
45 :低温給水開閉弁
46 :水処理装置
47 :低温給水ライン
48 :高温給水開閉弁
49 :抽水ライン
50 :抽水開閉弁
55 :冷却水供給ポンプ
57 :排ガス供給ライン
59 :水回収ダンパ
60 :燃料供給系統
61 :電気分解装置
62 :燃料ガス供給源
64 :酸素ガス供給ライン
64A :酸素ガス供給配管
64B :酸素ガス開閉弁
68 :水素ガス供給ライン
68A :水素ガス供給配管
68B :水素ガス開閉弁
70 :燃料ガス供給ライン
72 :起動用燃料ガス供給ライン
72A :起動用燃料ガス供給配管
72B :起動用燃料ガス開閉弁
77 :混合用燃料ガス供給ライン
77A :混合用燃料ガス供給配管
77B :混合用燃料ガス開閉弁
82 :ボイラ蒸気供給ライン
82A :ボイラ蒸気供給配管
82B :ボイラ蒸気開閉弁
87 :ガス化剤用蒸気供給ライン
87A :ガス化剤用蒸気供給配管
87B :ガス化剤用蒸気開閉弁
90 :コントローラ
100 :燃料精製プラント
103 :蒸留精製装置
105 :燃料貯留設備
107 :第1オフガス排出管
109 :原油供給設備
110 :第1オフガス供給ライン
115 :第1オフガス供給配管
117 :第1オフガス開閉弁
130 :蒸気抽気配管
135 :熱交換容器
136 :貯水槽
146 :イオン交換樹脂
170 :第1オフガス供給装置
200 :バイオ液体燃料生成プラント
201 :蒸気供給装置
203 :バイオマス供給装置
205 :酸素ガス供給装置
207 :酸素ガス排出管
209 :酸素ガス生成装置
220 :第2オフガス供給ライン
221 :蒸気供給管
221A :蒸気開閉弁
223 :バイオマス供給管
223A :バイオマス開閉弁
225 :第2オフガス供給配管
227 :第2オフガス開閉弁
233 :ガス化装置
235 :酸素ガス供給管
235A :酸素ガス開閉弁
237 :第2オフガス排出管
270 :第2オフガス供給装置
280 :バイオマスガス排出管
280A :バイオマスガス開閉弁
290 :バイオ液体燃料生成装置
291 :バイオ液体燃料供給ライン
291A :バイオ液体燃料供給配管
291B :バイオ液体燃料開閉弁

図1
図2
図3
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図5
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