(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101712
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スクイーズフィルムダンパ軸受、軸受装置、及び回転機械
(51)【国際特許分類】
F16C 17/03 20060101AFI20240723BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20240723BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20240723BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F16C17/03
F16C41/00
F16F15/023 A
F16F15/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005786
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 信博
【テーマコード(参考)】
3J011
3J048
3J217
【Fターム(参考)】
3J011AA11
3J011AA20
3J011BA15
3J011BA17
3J011BA18
3J011LA06
3J011MA06
3J048AA02
3J048AC04
3J048BE03
3J048EA09
3J217JA03
3J217JA12
3J217JA22
3J217JB23
3J217JB76
3J217JB88
(57)【要約】
【課題】減衰性能を向上させることができるスクイーズフィルムダンパ軸受、軸受装置、及び回転機械を提供する。
【解決手段】スクイーズフィルムダンパ軸受は、軸線に沿って延びるロータを支持可能な軸受部を、軸線の径方向内側に支持する内部支持環と、内部支持環の径方向外側に設けられて、内部支持環との間に粘性流体が充填される環状のダンパクリアランスを形成する外部支持環とを有するスクイーズフィルムダンパと、スクイーズフィルムダンパを外部支持環で支持し、外部支持環を内部支持環に対し軸線に直交する断面視で移動可能とする移動支持部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って延びるロータを支持可能な軸受部を、前記軸線の径方向内側に支持する内部支持環と、前記内部支持環の前記径方向外側に設けられて、前記内部支持環との間に粘性流体が充填される環状のダンパクリアランスを形成する外部支持環とを有するスクイーズフィルムダンパと、
前記スクイーズフィルムダンパを前記外部支持環で支持し、前記外部支持環を前記内部支持環に対し前記軸線に直交する断面視で移動可能とする移動支持部と、
を備えるスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項2】
前記移動支持部は、
前記外部支持環に対して前記軸線方向に並んで配置され、前記外部支持環を保持する保持部材と、
前記保持部材の前記径方向内側に設けられ、前記保持部材を前記径方向に移動可能とする移動機構と、
を有する請求項1に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項3】
前記移動支持部は、前記外部支持環の前記径方向外側に配置された移動機構を有し、
前記移動機構は、前記外部支持環を前記径方向に移動可能に支持する、請求項1に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項4】
前記移動支持部は、前記移動機構を、前記外部支持環に対して前記移動機構による移動方向に直交する方向に移動可能に接続する移動接続部を有する請求項3に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受と、
前記軸受部と、
を備える軸受装置。
【請求項6】
前記ロータの位置を検知する第1センサと、
前記第1センサの検出値に基づいて前記移動支持部を作動して前記外部支持環の位置を調整する制御部と、
をさらに備える請求項5に記載の軸受装置。
【請求項7】
前記ダンパクリアランスの大きさを検知する第2センサと、
前記第2センサの検出値に基づいて前記移動支持部を作動して前記外部支持環の位置を調整する制御部と、
をさらに備える請求項5に記載の軸受装置。
【請求項8】
請求項5に記載の軸受装置と、
前記ロータと、
を備える回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクイーズフィルムダンパ軸受、軸受装置、及び回転機械に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機等の回転機械は、近年ロータの軸長が増加する傾向にある。ロータの軸長増加により、性能向上等が期待される一方、ロータの振動が増大して安定性が低下する虞がある。この対策として、このラジアル軸受の一種であるスクイーズフィルムダンパを有したスクイーズフィルムダンパ軸受が提案されている。スクイーズフィルムダンパ軸受では、軸受部を支持する内部支持環と内部支持環の外周に亘って配置される外部支持環との間のダンパクリアランスに粘性流体を導入して流体膜を形成し、いわゆるスクイーズ効果を付与することにより、通常の軸受に比較して高い振動減衰を得る。ダンパクリアランスの幅が狭い程、すなわち流体膜の膜圧が薄い程、減衰効果が向上される。このようなスクイーズフィルムダンパ軸受としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなスクイーズフィルムダンパ軸受では、ロータの自重による静撓みや運転中の静荷重によって、内部支持環と外部支持環とが接触する可能性がある。このため、内部支持環と外部支持環との接触の可能性を踏まえた上で、内部支持環と外部支持環とのダンパクリアランスをある程度大きく設計する必要があった。このため、ダンパクリアランス内の流体膜による減衰性能が制限されてしまっていた。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、減衰性能を向上させることができるスクイーズフィルムダンパ軸受、軸受装置、及び回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るスクイーズフィルムダンパ軸受は、軸線に沿って延びるロータを支持可能な軸受部を、前記軸線の径方向内側に支持する内部支持環と、前記内部支持環の前記径方向外側に設けられて、前記内部支持環との間に粘性流体が充填される環状のダンパクリアランスを形成する外部支持環とを有するスクイーズフィルムダンパと、前記スクイーズフィルムダンパを前記外部支持環で支持し、前記外部支持環を前記内部支持環に対し前記軸線に直交する断面視で移動可能とする移動支持部と、を備える。
【0007】
本開示に係る軸受装置は、上記スクイーズフィルムダンパ軸受と、前記軸受部と、を備える。
【0008】
本開示に係る回転機械は、上記の軸受装置と、前記ロータと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のスクイーズフィルムダンパ軸受、軸受装置、及び回転機械によれば、減衰性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る回転機械の構成を示す図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るスクイーズダンパ軸受を軸線方向からみた図である。
【
図3】本開示の第二実施形態に係るスクイーズダンパ軸受を軸線方向からみた図である。
【
図4】本開示の第二実施形態の変形例に係るスクイーズダンパ軸受を軸線方向からみた図である。
【
図5】本開示の第三実施形態に係る回転機械の構成を示す図である。
【
図6】本開示の第三実施形態に係るスクイーズダンパ軸受を軸線方向からみた図である。
【
図7】本開示の第三実施形態に係る第2センサの拡大図である。
【
図8】本開示の第三実施形態に係る制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】本開示の第三実施形態に係る調整方法の手順を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の第三実施形態に係るハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
(回転機械の構成)
以下、本開示の第一実施形態に係るスクイーズフィルムダンパ軸受7、軸受装置4、及び回転機械1について、
図1、
図2を参照して説明する。
図1に示すように、回転機械1は、ロータ2と、ケーシング3と、軸受装置4とを備える。回転機械1は、例えばコンプレッサや蒸気タービン等の流体を圧送する圧縮機である。
【0012】
ロータ2は、軸線Oに沿って一方向に延びている。以下では、ロータ2の軸線Oを単に「軸線O」と称する。さらに、軸線O方向の延びる方向を「軸線O方向」と称し、軸線Oの径方向を単に「径方向」と称し、軸線Oの周方向を単に「周方向」と称する。ロータ2は、不図示のモータの駆動力を受けて軸線O回りに回転する。
なお、本実施形態では、ロータ2の軸線Oは水平方向に延びている。以下では、鉛直上下方向を「上下方向」と称し、水平方向のうち上下方向と軸線O方向に直交する方向を「左右方向」と称する。
【0013】
ケーシング3は、ロータ2を外側から覆っている。ロータ2が軸線O回りに回転運動する運動構造物であるのに対し、ケーシング3はロータ2に対して静止した静止構造物である。ケーシング3は、周壁部5と、端壁部6と、を有する。周壁部5は、ロータ2を径方向外側から周方向全周に亘って覆う軸線O方向に延びる筒状の部材である。周壁部5は、内周面から径方向内側に突出した段差部5aを有する。端壁部6は、周壁部5の軸線O方向端部に設けられ、周壁部5の内部空間を軸線O方向外側から覆っている。
【0014】
(軸受装置)
軸受装置4は、ロータ2とともにケーシング3内に設けられている。軸受装置4は、ロータ2を径方向に支持している。軸受装置4は、軸受部10と、スクイーズフィルムダンパ軸受7とを備える。
【0015】
(軸受部)
軸受部10は、ロータ2を支持可能な部材であり、ロータ2の外周側に設けられている。本実施形態では、周方向に等間隔に並んで複数(例えば4つ)設けられている。軸受部10は、軸受パッド11と、ピボット12とを有する。
【0016】
軸受パッド11は、ロータ2の外周面に沿って周方向に円弧状に延びている。軸受パッド11は、軸線O方向から見て扇形に形成されている。軸受パッド11は、軸線O方向に所定の幅を有する。軸受パッド11は、径方向内側に面した軸受面13を有する。軸受面13は、ロータ2の外周面に接触し、ロータ2を径方向外側から支持する。また、軸受パッド11は、径方向外側に面したパッド背面14を有する。このパッド背面14よりも径方向外側に、ピボット12が設けられている。
【0017】
ピボット12は、各軸受パッド11に対応して設けられている。ピボット12は、後述するスクイーズフィルムダンパ軸受7の内部支持環21の内周面に設けられ、パッド背面14に接触して軸受パッド11を径方向外側から支持している。
【0018】
(スクイーズフィルムダンパ軸受)
スクイーズフィルムダンパ軸受7は、スクイーズフィルムダンパ20と、弾性部8と、移動支持部30とを備える。
【0019】
(スクイーズフィルムダンパ)
スクイーズフィルムダンパ20は、内部支持環21と、外部支持環22と、シール部23とを備える。
【0020】
(内部支持環)
内部支持環21は、軸受部10を径方向内側に支持している。内部支持環21は、軸受部10を径方向外側から囲う環状の部材である。内部支持環21の中心軸は、ロータ2の軸線Oに沿っている。
また、内部支持環21の外周面には、径方向外側に向けて開口した溝部24が形成されている。溝部24は、径方向に等間隔に並んで複数(図示の例では、4つ)形成されている。
【0021】
(外部支持環)
外部支持環22は、内部支持環21の径方向外側に設けられ、内部支持環21の外周面を覆う環状の部材である。外部支持環22は、内部支持環21との間に環状のダンパクリアランスSを形成している。
【0022】
ダンパクリアランスSには、例えば油等の粘性流体Fが充填されている。ダンパクリアランスSに充填された粘性流体Fは、ダンパクリアランスSの形状に合わせて環状の流体膜F1を形成している。この流体膜F1の径方向の膜厚は、内部支持環21の変位によって変化する。詳細には、回転しているロータ2から径方向の荷重が加わり、内部支持環21が径方向外側に変位した領域では、流体膜F1の膜厚が減少し、反対に内部支持環21が径方向内側に変位にした領域では、流体膜F1の膜圧が増大する。
【0023】
また、外部支持環22の内周面には、内部支持環21の溝部24と径方向に対向する位置に突出部25が設けられている。突出部25は、溝部24と同様に周方向に並んで複数(本実施形態では4つ)形成されている。突出部25は、対向する溝部24内に径方向外側から進入した位置に設けられている。
【0024】
シール部23は、内部支持環21と外部支持環22との間に配置されている。シール部23は、ダンパクリアランスS内に充填された粘性流体Fが外部に流出することを防止する。
【0025】
(弾性部)
弾性部8は、内部支持環21の溝部24と、外部支持環22の突出部25との間に設けられ、内部支持環21と外部支持環22とを径方向に接続している。弾性部8は、径方向に伸縮し、弾性変形可能な部材である。弾性部8は、外部支持環22の突出部25ごとに設けられ、内部支持環21と外部支持環22とを径方向に接続している。本実施形態の弾性部8は、例えば軸線O方向から見てS字状に形成されたS字ばねである。弾性部8は、各溝部24内に、周方向に離間して2つずつ設けられている。
【0026】
(移動支持部)
移動支持部30は、外部支持環22を、軸線Oに直交する断面視で移動可能となるように支持する。移動支持部30は、保持部材31と、第1移動接続部32と、移動機構33と、を有する。
【0027】
(保持部材)
保持部材31は、外部支持環22を保持する。保持部材31は、外部支持環22に対して軸線O方向に並んで配置されている。保持部材31は、基部34と、アーム部35と、を有する。
【0028】
基部34は、例えば軸線Oを径方向外側から囲む円環状に形成されている。基部34の中心軸線は、軸線Oに沿っている。基部34は、外部支持環22に対して軸線O方向両側に一対設けられている。一対の基部34のうち、軸線O方向でケーシング3の段差部5a側の基部34は、段差部5aに第1移動接続部32を介して接続され、軸線O方向でケーシング3の端壁部6側の基部34は、端壁部6に第1移動接続部32を介して接続されている。
【0029】
アーム部35は、例えば基部34から軸線O方向で外部支持環22に向けて直線状に延びた剛梁である。アーム部35は、基部34と外環支持部とを接続している。アーム部35は、周方向に等間隔に複数(本実施形態では4つ)設けられている。アーム部35は、基部34と外部支持環22に固定されている。
接続部36は、基部34の径方向内側の端部に設けられている。本実施形態では、一対の基部34のうち、軸線O方向で端壁部6側の基部34に設けられている。接続部36には、移動機構33が接続されている。
【0030】
(第1移動接続部)
第1移動接続部32は、段差部5a又は端壁部6に対して基部34を径方向に移動可能に接続している。第1移動接続部32は、例えばコロ等の転動体である。
【0031】
(移動機構)
移動機構33は、保持部材31の径方向内側に設けられている。移動機構33は、保持部材31を径方向に移動可能とする。本実施形態では、軸線Oに直交する仮想平面上において、軸線Oに対して第1方向両側(
図1の例では上下方向両側)に、保持部材31を第1方向(
図1の例では上下方向)に移動可能とする移動機構33が一対配置され、第2方向両側(
図1の例では左右(水平)方向両側)に、保持部材31を第2方向に移動可能とする移動機構33が一対配置されている。第1方向と第2方向とは、ともに径方向の一例である。移動機構33は、例えば油圧機構である。移動支持部30は、これら4つの移動機構33を協調させて外部支持環22の位置を上下方向、左右(水平)方向に制御する。
移動機構33は、本体部37と、伸縮部38とを有する。本体部37は、ケーシング3(図示の例では、端壁部6)に固定されている。伸縮部38は、本体部37から保持部材31の接続部36に向けて径方向に延びている。移動機構33は、伸縮部38を径方向に伸縮させることによって、保持部材31が径方向に移動する。これにより、外部支持環22の径方向の位置が調整される。
【0032】
なお、
図1の移動機構33は、あくまでも模式的に図示されたものである。例えば、軸線Oに対して上下方向一方側にのみ保持部材31を上下方向に移動可能とする移動機構33が配置され、軸線Oに対して左右方向一方側にのみ保持部材31を上下方向に移動可能とする移動機構33が配置されていてもよい。
【0033】
(作用効果)
以下、本実施形態のスクイーズフィルムダンパ軸受7の作用効果について説明する。
まず、スクイーズフィルムダンパ軸受7の動作について説明する。
ダンパクリアランスS内に流体膜F1が形成された状態で、例えばロータ2の回転に伴い、ロータ2、軸受部10、及び内部支持環21が振動すると、ダンパクリアランスSの幅が振動に応じて変化する。ダンパクリアランスSの幅の変化により、流体膜F1を形成する粘性流体Fが軸方向又は周方向に移動する。この粘性流体Fの移動に伴う粘性流体Fの粘性抵抗に起因したスクイーズ作用により圧力が発生し、振動に対する減衰効果が得られる。
【0034】
しかしながら、ロータ2が径方向に変位した場合やロータ2にかかる径方向の荷重が変動すると、ロータ2の変位に合わせて内部支持環21が径方向に移動する。これにより、内部支持環21と外部支持環22との間のダンパクリアランスSの幅が狭まり、内部支持環21と外部支持環22とが接触する虞がある。この対策として、本実施形態のスクイーズダンパ軸受には、移動支持部30が設けられている。移動支持部30は、スクイーズフィルムダンパ20を外部支持環22で支持し、外部支持環22を内部支持環21に対し軸線Oに直交する断面視で移動可能とする。例えば、ロータ2の自重によってロータ2に下向きの静撓みが生じた場合、移動支持部30が外部支持環22の中心を下方に移動させる。また、例えば運転条件によって運転中にロータ2に上向きの静荷重が生じた場合、ロータ2の上向きの変位に合わせて、移動支持部30が外部支持環22の中心を上方に移動させる。
【0035】
このように、本実施形態では、ロータ2の変位にあわせて外部支持環22を移動させることができる。これにより、ロータ2の軸線O上に外部支持環22の中心が配置されるように、外部支持環22の位置を調整することができる。このため、初期のロータ2の静たわみや静荷重を考慮したスクイーズフィルムダンパ20の位置決めや運転条件毎の荷重変化に対応したスクイーズフィルムダンパ20の位置決めを行うことができる。よって、内部支持環21と外部支持環22との接触が抑制されるので、内部支持環21と外部支持環22との接触の可能性を踏まえてダンパクリアランスSを大きく設定する必要がなくなる。
【0036】
以上のように、内部支持環21と外部支持環22との接触の可能性を低減させた上で、ダンパクリアランスSをより一層狭め、ダンパクリアランスS内に充填される流体膜F1を薄くすることができる。したがって、減衰性能を向上させることができ、回転機械1の安定性が向上される。
【0037】
ところで、本実施形態と同様の効果を得るには、例えば内部支持環21を移動可能に支持することも考えられるが、周方向で内部支持環21と外部支持環22との間のダンパクリアランスSが周方向に不均一となってしまう。このため、例えばロータ2の振動によって、内部支持環21が下に押されると下側のダンパクリアランスSが狭まって、ダンピング特性が向上する一方、上側のダンパクリアランスSは広がってダンピング特性が低下する。
また、運転条件によって荷重方向や荷重量が変化する場合、運転中にスクイーズフィルムダンパ20の位置調整を行う必要がある。しかしながら、内部支持環21を動かす場合だと、外部支持環22によって内部支持環21の移動範囲が制限され、荷重が大きい場合にダンパクリアランスSを維持できないことがあり得る。
【0038】
これに対し、本実施形態では、上述したように、内部支持環21は、外部支持環22の内側にダンパクリアランスSを介して位置し、外部支持環22が移動支持部30によって移動可能に支持されている。このため、外部支持環22の位置を調整することで、狭小なダンパクリアランスSを周方向に均一に維持することが可能となっている。よって、ダンピング特性を良好に維持することができる。
さらに、運転中に荷重方向や荷重量が変化するような場合であっても、本実施形態では外部支持環22の位置を調整するため、ダンパクリアランスSの維持が容易となる。
【0039】
本実施形態では、移動支持部30は、保持部材31と、移動機構33と、を有する。移動支持部30は、外部支持環22に軸線O方向に並んで配置され、外部支持環22を保持する。移動機構33は、保持部材31の径方向内側に設けられ、保持部材31を径方向に移動可能とする。
【0040】
これにより、スクイーズフィルムダンパ軸受7が径方向に大型化することを抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、スクイーズフィルムダンパ軸受7は、内部支持環21と外部支持環22とを径方向に接続する弾性部8を有する。弾性部8は、径方向に弾性変形可能とされている。
【0042】
弾性部8によって、外部支持環22と内部支持環21とが接触せずに連動しやすくなる。よって、移動支持部30によって外部支持環22が内部支持環21に接触しないように支持しつつ、外部支持環22の位置決めを行うことができる。
なお、内部支持環21と外部支持環22との接触防止の観点から、弾性部8は、周方向に複数設けられていることが好ましい。
【0043】
<第二実施形態>
以下、本開示の第二実施形態に係るスクイーズフィルムダンパ軸受107、軸受装置104、及び回転機械101について、
図3を参照して説明する。第二実施形態で、上記実施形態と同一の構成については、同一の名称、符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0044】
本実施形態では、
図3に示すように、移動支持部130は、移動機構133を有する。移動機構133は、外部支持環22の径方向外側に配置されている。移動機構133は、外部支持環22を径方向に移動可能に支持する。本実施形態の移動機構133は、第1実施形態と同様に油圧機構である。
【0045】
移動機構133は、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では、3つ)設けられている。本実施形態では、移動機構133は、外部支持環22の上方に1つ、外部支持環22の下方に2つ配置されている。上方に配置された1つの移動機構133は、軸線Oと真上に配置されている。下方に配置された2つの移動機構133は、外部支持環22を下方から支持しつつ、外部支持環22を水平方向両側から挟み込むように対称な位置に配置されている。この3つの移動機構133によって、外部支持環22は3点支持されている。移動支持部130は、これら3つの移動機構133を協調させて外部支持環22の位置を上下方向、左右(水平)方向に制御する。
【0046】
移動機構133は、本体部137と、伸縮部138とを有する。本体部137は、外部支持環22に対して径方向に間隔を空けて配置されている。本体部137は、ケーシング3(図示の例では周壁部5)に固定されている。本体部137から径方向内側に伸縮部138が延びている。伸縮部138は、本体部137と外部支持環22の外周面とを接続している。本実施形態の伸縮部138では、径方向の剛性が周方向の剛性よりも大きく設定されている。伸縮部138として、例えば円柱棒や十字棒、スティンガ等が挙げられる。
さらに、本実施形態では、移動機構133は、ケーシング3に固定されている。
【0047】
(作用効果)
以下、本実施形態のスクイーズフィルムダンパ軸受107の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態では、移動支持部130は、外部支持環22の径方向外側に配置され、外部支持環22を径方向に移動可能としながら保持する移動機構133と、を有する。
【0049】
これにより、スクイーズフィルムダンパ軸受107が軸線O方向に大型化することを抑制することができる。
さらに、外部支持環22から伝達される径方向の荷重を移動機構133が径方向外側から直接受けることができる。これにより、安定性が向上し、減衰性能をより一層向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、外部支持環22は、3つの移動機構133によって3点支持されている。
これにより、3つの移動機構133のそれぞれで、伸縮部138の伸縮の度合いを調整し、外部支持環22を最適な位置に調整することができる。さらに、内部支持環21は、外部支持環22の内側にダンパクリアランスSを介して位置しており、外部支持環22を最適な位置に調整することで、狭小なダンパクリアランスSを周方向により均一に維持することが可能となっている。よって、ダンピング特性をより一層良好に維持することができる。
さらに、運転中に荷重方向や荷重量が変化するような場合であっても、本実施形態でも第一実施形態と同様に、外部支持環22の位置を調整するため、ダンパクリアランスSの維持が容易となる。
【0051】
<第二実施形態の変形例>
続いて、第二実施形態の変形例について、
図4を参照して説明する。
(第2移動接続部)
図4に示すように、本変形例では、移動支持部130は、移動機構133を、外部支持環22に対して移動機構133による移動方向(本実施形態では、径方向のうち伸縮部138による伸縮方向)と直交する方向に移動に接続する第2移動接続部139(移動接続部)をさらに有する。第2移動接続部139は、例えばコロ等の転動体である。
これにより、移動機構133による移動方向に直交する方向の、外部支持環22の移動が制限されることがなくなる。よって、より高精度に外部支持環22の位置調整を行うことができる。
例えば、
図4の例では、移動機構133は、スクイーズフィルムダンパ20の下方に1つと、水平方向一方側(図中左側)に1つ配置されている。下側の移動機構133が伸縮部138の伸縮によって外部支持環22の上下方向位置を調整し、水平方向一方側(図中左側)の移動機構133が伸縮部138の伸縮によって外部支持環22の左右(水平)方向位置を調整する。
【0052】
本変形例では、移動機構133の個数を最小に抑えることができる。よって、スクイーズフィルムダンパ軸受107をより一層少ない部品数で製造することができる。上述したように
図4の例では、移動機構133は、スクイーズフィルムダンパ20の下方に1つと、水平方向一方側に1つ配置されている。これにより、製造コストを削減できるとともに、小型化を達成することができる。
【0053】
<第三実施形態>
以下、本開示の第三実施形態に係るスクイーズフィルムダンパ軸受7、軸受装置204、及び回転機械201について、
図5から
図10を参照して説明する。第三実施形態で、上記実施形態と同一の構成については、同一の名称、符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0054】
本実施形態では、
図5、
図6に示すように、軸受装置4、204は、第1センサ261と、第2センサ262と、制御部250と、をさらに備える。
【0055】
(第1センサ)
第1センサ261は、軸線Oに交差する面内でのロータ2の位置を検知する。本実施形態では、第1センサ261は、ケーシング3の周壁部5に取り付けられている。第1センサ261は、ロータ2の外周面から径方向に離間した位置に配置されている。第1センサ261は、例えばロータ2に対して上下方向下側に1つ配置され、ロータ2に対して左右(水平)方向一方側に1つ配置されている。ロータ2に対して上下方向下側の第1センサ261は、軸線Oに直交する面内でのロータ2の上下方向位置を検出し、ロータ2に対して左右(水平)方向一方側の第1センサ261で水平方向位置を検出する。
なお、第1センサ261は、軸線Oに直交する面からわずかに傾斜した面内でのロータ2の位置を検出するものであってもよい。
【0056】
(第2センサ)
第2センサ262は、内部支持環21と外部支持環22との間に形成されるダンパクリアランスSの大きさを検知する。第2センサ262は、内部支持環21と外部支持環22との間に配置されている。すなわち、第2センサ262は、ダンパクリアランスSと周方向に隣り合う位置に配置されている。
【0057】
本実施形態では、第2センサ262は、弾性部8とともに内部支持間の溝部24内に配置されている。また、第2センサ262は、例えば歪ゲージである。第2センサ262は、例えば
図7に示すようにS字状の弾性部8の湾曲部に1つずつ設けられている。
【0058】
(制御部)
制御部250は、第1センサ261と第2センサ262とに電気的に接続され、第1センサ261及び第2センサ262の検出値が送信される。さらに、制御部250は、移動支持部30の移動機構33に接続されている。第1センサ261の検出値、及び第2センサ262の検出値に基づいて移動支持部30を作動して外部支持環22の位置を調整する。
【0059】
図8に示すように、制御部250は、取得部251と、第1判定部252と、第1調整部253と、第2判定部254と、第2調整部255とを有する。
取得部251は、第1センサ261の検出値(ロータ2の位置情報)及び第2センサ262の検出値(ダンパクリアランスSの大きさ)を取得する。
第1判定部252は、第1センサ261の検出値から外部支持環22の位置調整が必要か否かを判定する。
第1調整部253は、第1判定部252が外部支持環22の位置調整が必要と判定した場合、外部支持環22の位置を調整する。
第2判定部254は、第2センサ262の検出値から外部支持環22の位置調整が必要か否かを判定する。
第2調整部255は、第2判定部254が外部支持環22の位置調整が必要と判定した場合、外部支持環22の位置を調整する。
【0060】
(調整方法の手順)
本実施形態に係る外部支持環22の調整方法について、
図9のフローを参照して説明する。
図9に示すように、外部支持環22の調整方法は、第1取得工程(ステップS1)と、第1判定工程(ステップS2)と、第1調整工程(ステップS3)と、第2取得工程(ステップS4)と、第2判定工程(ステップS5)と、第2調整工程(ステップS6)とを含む。まず、取得部251が第1センサ261の検出値(ロータ2の位置情報)を取得する(ステップS1)。
【0061】
ステップS1の後、第1判定部252が第1センサ261の検出値から外部支持環22の位置調整が必要か否かを判定する(ステップS2)。
外部支持環22の位置調整が必要である場合(ステップS2:YES)、第1調整部253が外部支持環22の位置を調整する(ステップS3)。ステップS3の後、取得部251が第2センサ262の検出値(ダンパクリアランスSの大きさ)を取得する(ステップS4)。一方で、外部支持環22の位置調整が必要でない場合(ステップS2:NO)、ステップS3を経ることなく、ステップS4が行われる。
【0062】
ステップS4の後、第2判定部254が、第2センサ262の検出値から外部支持環22の位置調整が必要か否かを判定する(ステップS5)。
【0063】
外部支持環22の位置調整が必要である場合(ステップS5:YES)、第2調整部255が外部支持環22の位置を調整する(ステップS6)。ステップS6の後、外部支持環22の位置調整が完了する。ステップS6は、ダンパクリアランスSの微調整を行う工程である。一方で、外部支持環22の位置調整が必要でない場合(ステップS5:NO)、ステップS6を経ることなく、外部支持環22の位置調整が完了する。
以上のステップを経て、外部支持環22の位置調整が完了する。
【0064】
(ハードウェア構成)
上述した制御部250は、
図10に示すコンピュータ1100に実装される。
図10は、各実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
【0065】
そして、制御部250の上述した各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0066】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0067】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体であってもよい。
【0068】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0069】
(作用効果)
以下、本実施形態のスクイーズフィルムダンパ軸受7の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態では、軸受装置204は、ロータ2の位置を検知する第1センサ261と、第1センサ261の検出値に基づいて移動支持部30を作動して外部支持環22の位置を調整する制御部250と、をさらに備える。
【0071】
これにより、軸受装置204は、回転機械201の運転を停止させることなく、ダンパクリアランスSの幅を微調整することができる。よって、内部支持環21と外部支持環22との接触を効率良く抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、軸受装置204は、ダンパクリアランスSの大きさを検知する第2センサ262と、第2センサ262の検出値に基づいて移動支持部30を作動して外部支持環22の位置を調整する制御部250と、をさらに備える。
【0073】
これにより、軸受装置204は、回転機械201の運転を停止させることなく、ダンパクリアランスSの幅を微調整することができる。よって、ダンパクリアランスS内に充填される流体膜F1をより一層効率良くかつ高精度に調整することができる。
本実施形態では、第1センサ261の検出値に基づいた外部支持環22の位置を大まかに調整した後、第2センサ262の検出値に基づいてダンパクリアランスSの幅を微調整して、2段階で外部支持環22の位置調整を行っている。これにより、より一層効率良くかつ高精度に外部支持環22の位置調整を行うことができる。
【0074】
なお、第三実施形態では、軸受装置204が、第1センサ261及び第2センサ262の両方を備える場合について説明したが、これに限られない。軸受装置204は、第1センサ261及び第2センサ262のいずれか一方のみを備え、該一方のセンサの検出値に基づいて外部支持環22の位置調整を行うように移動支持部30を制御してもよい。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0076】
上記実施形態では、上述したスクイーズダンパ軸受が搭載される回転機械1、101、201の例として、コンプレッサや蒸気タービン等を挙げたが、これに限られない。
【0077】
また、上記実施形態では、軸受部10が周方向に4つ並んで設けられている場合について説明したが、これに限られない。軸受部10の個数は適宜変更可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、弾性部8が軸線O方向から見てS字状に形成されたS字ばねである場合について説明したが、これに限られない。例えば弾性部8は、ビローズやC字ばね、弾性材料によって形成されたブロック等でもよい。
【0079】
<付記>
各実施形態に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受7、107、軸受装置4、104、204、及び回転機械1、101、201は、例えば以下のように把握される。
【0080】
(1)第1の態様に係るスクイーズフィルムダンパ軸受7、107は、軸線Oに沿って延びるロータ2を支持可能な軸受部10を、前記軸線Oの径方向内側に支持する内部支持環21と、前記内部支持環21の前記径方向外側に設けられて、前記内部支持環21との間に粘性流体Fが充填される環状のダンパクリアランスSを形成する外部支持環22とを有するスクイーズフィルムダンパ20と、前記スクイーズフィルムダンパ20を前記外部支持環22で支持し、前記外部支持環22を前記内部支持環21に対し前記軸線Oに直交する断面視で移動可能とする移動支持部30、130と、を備える。
【0081】
これにより、ロータ2の変位にあわせて外部支持環22を移動させることができる。よって、内部支持環21と外部支持環22との接触が抑制される。
【0082】
(2)第2の態様のスクイーズフィルムダンパ軸受7は、(1)のスクイーズフィルムダンパ軸受7であって、前記移動支持部30は、前記外部支持環22に対して前記軸線O方向に並んで配置され、前記外部支持環22を保持する保持部材31と、前記保持部材31の前記径方向内側に設けられ、前記保持部材31を前記径方向に移動可能とする移動機構33と、を有してもよい。
【0083】
これにより、スクイーズフィルムダンパ軸受7が径方向に大型化することを抑制することができる。
【0084】
(3)第3の態様のスクイーズフィルムダンパ軸受107は、(1)のスクイーズフィルムダンパ軸受107であって、前記移動支持部130は、前記外部支持環22の前記径方向外側に配置された移動機構133を有し、前記移動機構133は、前記外部支持環22を前記径方向に移動可能に支持してもよい。
【0085】
これにより、スクイーズフィルムダンパ軸受107が軸線O方向に大型化することを抑制することができる。
【0086】
(4)第4の態様のスクイーズフィルムダンパ軸受107は、(3)のスクイーズフィルムダンパ軸受107であって、前記移動支持部130は、前記移動機構133を、前記外部支持環22に対して前記移動機構133による移動方向に直交する方向に移動可能に接続する移動接続部を有してもよい。
移動接続部の例として、上述した実施形態の第2移動接続部139が挙げられる。
【0087】
これにより、移動機構133による移動方向に直交する方向の、外部支持環22の移動が制限されることがなくなる。よって、より高精度に外部支持環22の位置調整を行うことができる。
【0088】
(5)第5の態様の軸受装置4、104、204は、(1)から(4)のいずれか1つのスクイーズフィルムダンパ軸受7、107と、前記軸受部10と、を備える。
【0089】
(6)第6の態様の軸受装置204は、(5)の軸受装置204であって、前記ロータ2の位置を検知する第1センサ261と、前記第1センサ261の検出値に基づいて前記移動支持部30を作動して前記外部支持環22の位置を調整する制御部250と、をさらに備えてもよい。
【0090】
これにより、軸受装置204は、回転機械201の運転を停止させることなく、ロータ2の変位に応じて外部支持環22を移動させることができる。
【0091】
(7)第7の態様の軸受装置204は、(5)又は(6)の軸受装置204であって、前記ダンパクリアランスSの大きさを検知する第2センサ262と、前記第2センサ262の検出値に基づいて前記移動支持部30を作動して前記外部支持環22の位置を調整する制御部250と、をさらに備えてもよい。
【0092】
これにより、軸受装置204は、回転機械201の運転を停止させることなく、ダンパクリアランスSの幅を微調整することができる。
【0093】
(8)第8の態様の回転機械1、101、201は、(5)から(7)のいずれか1つの軸受装置4、104、204と、前記ロータ2と、を備える。
【符号の説明】
【0094】
1…回転機械、2…ロータ、3…ケーシング、4…軸受装置、5…周壁部、5a…段差部、6…端壁部、7…スクイーズフィルムダンパ軸受、8…弾性部、10…軸受部、11…軸受パッド、12…ピボット、13…軸受面、14…パッド背面、20…スクイーズフィルムダンパ、21…内部支持環、22…外部支持環、23…シール部、24…溝部、25…突出部、30…移動支持部、31…保持部材、32…第1移動接続部、33…移動機構、34…基部、35…アーム部、36…接続部、37…本体部、38…伸縮部、101…回転機械、104…軸受装置、107…スクイーズフィルムダンパ軸受、130…移動支持部、133…移動機構、137…本体部、138…伸縮部、139…第2移動接続部(移動接続部)、201…回転機械、204…軸受装置、250…制御部、251…取得部、252…第1判定部、253…第1調整部、254…第2判定部、255…第2調整部、261…第1センサ、262…第2センサ、1100…コンピュータ、1110…プロセッサ、1120…メインメモリ、1130…ストレージ、1140…インタフェース、F…粘性流体、F1…流体膜、O…軸線、S…ダンパクリアランス