(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101717
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
B62J 11/05 20200101AFI20240723BHJP
A01K 97/10 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B62J11/05
A01K97/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005792
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000179373
【氏名又は名称】山田電器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 益夫
(72)【発明者】
【氏名】貞島 次良
(72)【発明者】
【氏名】酒井 想一郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕平
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109CB05
(57)【要約】
【課題】保持されるロッドの先端部の位置を低くする。
【解決手段】自転車Bの前輪Tの左右両側に取り付けられ、先端部を上に向けた釣り用のロッドRDを保持するための保持装置H1であって、自転車BのフロントフォークFの前方にロッドRDの基端部が位置するようにロッドRDを支持し、フロントフォークF及び前輪Tの車軸Sに取り付けられる、フレーム2と、ロッドRDをフレーム2に固定する固定部4と、フレーム2の上方で自転車BのハンドルHLに取り付けられ、ロッドRDの変位を抑制する変位抑制部5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の前輪の左右両側のうち少なくとも一方に取り付けられ、先端部を上に向けた釣り用のロッドを保持するための保持装置であって、
前記自転車のフロントフォークの前方に前記ロッドの基端部が位置するように前記ロッドを支持し、前記自転車に取り付けられる、フレームと、
前記ロッドを前記フレームに固定する固定部と、
前記フレームの上方で前記フロントフォーク又は前記自転車のハンドルに取り付けられ、前記ロッドの変位を抑制する変位抑制部と
を備える、保持装置。
【請求項2】
請求項1記載の保持装置において、
前記フロントフォークの前方で、前記ロッドの基端部が上方から収容され、該基端部を下方から支持する収容部を更に備え、
前記フレームは、
前記前輪の左右両側のうち少なくとも一方に設けられ、前記収容部を支持し、かつ前記固定部により前記ロッドが固定される第1部と、
前記第1部から、前記フロントフォーク側に延びて、前記自転車に取り付けられる第2部とを含む、保持装置。
【請求項3】
請求項2記載の保持装置において、
前記収容部の前記自転車に対する高さを変更するための高さ調整機構と、前記フレームの前記フロントフォークに対する相対位置を変更するための位置調整機構との少なくとも一方を、更に備える、保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に取り付けられる、釣り用のロッドを保持するための保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この種の保持装置として、釣り竿のグリップを受け止めて竿全体を起立保持する竿保持部と、自転車の車体に装着固定されて竿保持部を支持する取付部とを備える釣り竿ホルダーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の釣り竿ホルダーでは、竿保持部の位置が、自転車の前後方向でフロントフォークと同じ位置にある(特許文献1の
図5を参照)。このため、特許文献1の釣り竿ホルダーにより保持される釣り竿(以下「ロッド」という。)は、その長さ方向が路面に対して垂直に近い姿勢になりやすい。すると、保持されるロッドの先端部の位置が高くなってしまい、自転車走行時に邪魔になる場合がある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持されるロッドの先端部の位置を低くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、自転車の前輪の左右両側のうち少なくとも一方に取り付けられ、先端部を上に向けた釣り用のロッドを保持するための保持装置であって、自転車のフロントフォークの前方に前記ロッドの基端部が位置するように前記ロッドを支持し、前記自転車に取り付けられる、フレームと、前記ロッドを前記フレームに固定する固定部と、前記フレームの上方で前記フロントフォーク又は前記自転車のハンドルに取り付けられ、前記ロッドの変位を抑制する変位抑制部とを備える、保持装置に関する。
【0007】
この第1の発明では、ロッドは、固定部によりフレームに固定され、ロッドの基端部がフロントフォークの前方に位置するように、フレームにより支持される。このため、ロッドの基端部が、同じ自転車でフロントフォークよりも後方又はフロントフォークと同じ位置に位置付けられる場合に比べて、ロッドは、その長さ方向が路面に対して垂直な方向からより傾いて保持されることとなる。その結果、保持されるロッドの先端部の位置を低くできる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記フロントフォークの前方で、前記ロッドの基端部が上方から収容され、該基端部を下方から支持する収容部を更に備え、前記フレームは、前記前輪の左右両側のうち少なくとも一方に設けられ、前記収容部を支持し、かつ前記固定部により前記ロッドが固定される第1部と、前記第1部から、前記フロントフォーク側に延びて、前記自転車に取り付けられる第2部とを含む、保持装置に関する。
【0009】
この第2の発明では、保持装置は、ロッドの基端部が支持されかつ収容される収容部を更に備えるので、保持されるロッドの安定性が高い。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記収容部の前記自転車に対する高さを変更するための高さ調整機構と、前記フレームの前記フロントフォークに対する相対位置を変更するための位置調整機構との少なくとも一方を、更に備える、保持装置に関する。
【0011】
この第3の発明は、収容部の高さを変更するための高さ調整機構と、フレームの位置を変更するための位置調整機構との少なくとも一方を備えるので、前輪の径の大きさに対応してロッドの基端部の高さや該基端部を支持するフレームの位置を変更できる。その結果、前輪の径の大きさにかかわらず、保持されるロッドの先端部の位置を低くでき、かつ安定してロッドを保持できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によると、保持されるロッドの先端部の位置を低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る保持装置をロッド及び自転車とともに示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る保持装置の変位抑制部以外の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る保持装置の変位抑制部以外の構成を、前方からロッド及び自転車とともに示す正面図である。
【
図4】第1実施形態に係る保持装置の変位抑制部以外の構成を、左方からロッド及び自転車とともに示す側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る保持装置の変位抑制部以外の構成を、上方からロッド及び自転車とともに示す上面図である。
【
図6】第1実施形態に係る保持装置の変位抑制部を示す斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る保持装置のフレームを示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態に係る保持装置を示す
図3相当図である。
【
図9】第2実施形態に係る保持装置を示す
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図しない。
【0015】
(第1実施形態)
―全体構成―
図1~6は本発明の第1実施形態に係る保持装置H1を示している。保持装置H1は、自転車Bの前輪Tの左右両側に取り付けられ、先端部を上に向けた釣り用のロッドRDを保持するためのものである。ロッドRDにはリールRLが取り付けられている。なお、各図において、自転車Bの詳細な構成は省略しており、例えば前輪Tのスポークは図示していない。
【0016】
保持装置H1は、ロッドRDの基端部が上方から収容された収容部1と、収容部1を支持するフレーム2と、収容部1とフレーム2とを互いに固定する板金3と、ロッドRDをフレーム2に固定する固定部4と、ロッドRDの中間部又は先端部付近の変位を抑制する変位抑制部5とを備える。
【0017】
保持装置H1は、前輪Tを中心として、左右対称に構成されている。
図2~5は、収容部1、フレーム2、板金3及び固定部4を示し、
図6は、変位抑制部5を示している。以下、
図1~6を参照して各構成について詳細に説明する。
【0018】
―収容部―
収容部1は、
図1に示すように、前輪Tの左側に設けられた左側収容部1と、前輪Tの右側に設けられた右側収容部1とを含む。左側収容部1及び右側収容部1の各々(以下「各収容部」という。)は、樹脂製であり、上側が開口し下側に底部を有する有底筒状に形成されている。この形状により、各収容部1は、収容されるロッドRDの基端部を、下方から支持している。各収容部1は、フロントフォークFの前方に設けられている。各収容部1は、前輪Tの車軸Sよりも下方に位置するように、板金3を介してフレーム2に支持されている。
【0019】
図2に示すように、各収容部1の前輪Tに最も近い部位の上方には、各収容部1が板金3に固定されるための固定板部1aが、各収容部1と一体形成されている。固定板部1aは、一方の板面を前輪T側(以下「内側」という。)に向け、他方の板面を前輪Tとは反対側(以下「外側」という。)であってロッドRDが配置される側に向けた、上下方向に長い板状に形成されている。固定板部1aの外側には、固定板部1aとロッドRDとが互いに接触してこれらに傷がつくのを抑制するための、板状のゴム部材1bが設けられている。
【0020】
固定板部1a及びゴム部材1bには、ボルトBT1を挿通するための4つの孔が上下方向に等間隔に並んで形成されている。各収容部1は、固定板部1aの4つの孔のうち、例えば2つの孔にそれぞれボルトBT1を挿通し、このボルトBT1にナットN1を締結することにより、板金3に対して固定されている。
【0021】
各収容部1には、各収容部1の自転車Bに対する高さを変更するための、高さ調整機構が設けられている。本実施形態では、後記のように固定板部1aと板金3とが、高さ調整機構を構成している。
【0022】
―フレーム―
フレーム2は、フロントフォークFの前方にロッドRDの基端部が位置するようにロッドRDを支持している。
【0023】
具体的に、フレーム2は、
図1に示すように、前輪Tの左右両側に亘って設けられている。フレーム2は、
図2~4に示すように、収容部1が板金3を介して固定された第1部20と、フロントフォークF及び前輪Tの車軸Sに取り付けられた第2部21とを含む。
【0024】
第1部20は、前輪Tの左側に取り付けられた左側第1部20と、前輪Tの右側に取り付けられた右側第1部20とを含む。左側第1部20は左側収容部1を支持しており、右側第1部20は右側収容部1を支持している。
【0025】
左側第1部20及び右側第1部20の各々(以下「各第1部」という。)は、前輪Tの左右両側でロッドRDの長さ方向に沿って上下方向に延びている。各第1部20の上端部は、左側第1部20及び右側第1部を互いに一体に接続する接続部22となっている。接続部22は、各第1部20の上端部から後方に湾曲して延び、上面視で略U字状に形成されている。
【0026】
第2部21は、左側第2部21と右側第2部21とを含む。左側第2部21は、左側第1部20から前輪Tの左側のフロントフォークF側に延びており、右側第2部21は、右側第1部20から前輪Tの右側のフロントフォークF側に延びている。
【0027】
左側第2部21及び右側第2部の各々(以下「各第2部」という。)は、
図2及び
図4に示すように、下側取付部21aと上側取付部21bとを含む。下側取付部21aは、各第1部20の下端部に続いて、フロントフォークF側に湾曲して延びている。下側取付部21aの後端部は、上下2つに分岐した分岐部となっており、その分岐部は、上下で車軸Sを挟むようにして、車軸Sに取り付けられている。上側取付部21bは、下側取付部21aよりも上方に設けられ、各第1部20の上下方向略中央部から、フロントフォークF側に延びている。上側取付部21bの後端部は、フロントフォークFに取り付けられている。なお、上側取付部21bの後端部は、図示しないが、ボルト、ナット等により、フロントフォークFに固定されている。
【0028】
―板金―
板金3は、
図1~4に示すように、前輪Tの左右両側に1つずつ設けられている。前輪Tの左側の板金3及び右側の板金3の各々(以下「各板金」という。)は、一方の板面を内側に向け、他方の板面を外側に向けた、上下方向に長い略板状に形成されている。
【0029】
各板金3の略下半分は、
図2に示すように、各収容部1上方の固定板部1aに、内側から重ね合わせられている。各板金3の固定板部1aと重なる部分には、ボルトBT1を挿通させるための、上下方向に並ぶ2つの孔が厚さ方向に貫通して形成されている。この2つの孔の中心間の距離は、各収容部1上方の固定板部1aにおける4つの孔のうち上下方向に隣り合う2つの孔の中心間の距離の2倍である。このため、各収容部1の高さを調整すれば、各板金3の2つの孔の位置を、
図2に示すように固定板部1aの2つの孔(最も上の孔と上から3番目の孔、又は上から2番目の孔と上から4番目の孔)の位置と一致させることができる。そのようにして、互いに位置が一致した、各板金3の2つの孔と固定板部1aの2つの孔とに、ボルトBT1を挿通するとともにそのボルトBT1にナットN1を締結して、各板金3と固定板部1aとは互いに固定されている。
【0030】
各板金3及び各収容部1の相対的な高さは、
図2に示す状態から変更可能である。具体的には、
図2の状態に代えて、固定板部1aにおける上から2番目の孔と上から4番目の孔とが、各板金3の2つの孔の位置と一致するように、各収容部1を
図2に示す状態よりも上方にずらし、位置が一致した各孔においてボルトBT1及びナットN1を締結させればよい。このように、固定板部1a及び各板金3は、各収容部1の高さを調整する前記高さ調整機構を構成している。
【0031】
各板金3の上側略半分は、
図2に示すように、フレーム2の各第1部20の外側に重ね合わせられており、当該部位において各第1部20に溶接されて固定されている。各板金3の上端部は、各第1部20の上下方向中央部よりも下方に位置している。各板金3の上部は、後記のように、各第1部20と、最も下に設けられた固定部4との間に挟まれるように配置され、挟まれた当該部位には固定部4に固定されるためのBT2を挿通するための、前後方向に並ぶ2つの孔が厚さ方向に貫通して形成されている。
【0032】
―固定部―
固定部4は、
図2に示すように、前輪Tの左側で左側第1部20に沿って上下方向に3つ並んで設けられた左側固定部4,4,4と、前輪Tの右側で右側第1部20に沿って上下方向に3つ並んで設けられた右側固定部4,4,4とを含む。左側固定部4,4,4は、左側収容部1の上方で、ロッドRDを左側第1部20に固定し、右側固定部4,4,4は、右側収容部1の上方で、ロッドRDを右側第1部20に固定する。
【0033】
左側固定部4,4,4及び右側固定部4,4,4の1つ1つ(以下「各固定部」という。)は、
図2、
図4及び
図5に示すように、ロッドRDが載置される載置部40と、載置部40に設けられ、ロッドRDを縛って載置部40に対して固定するゴム製のバンド41とを含む。
【0034】
載置部40は、いずれも樹脂製の第1板部40aと第2板部40bとを含む。第1板部40aは、フレーム2の第1部20とロッドRDが配置される位置との間に設けられている。第1板部40aは、一方の板面をフレーム2の第1部20に対向させるとともに、他方の板面が対向する側にロッドRDが配置されるように、各第1部20に固定されている。
【0035】
具体的には、3つの左側固定部4,4,4及び3つの右側固定部4,4,4のうち、最も下に位置する左側固定部4及び右側固定部4の各々は、
図2に示すように、各板金3上部の2つの孔が設けられた部位に、ボルトBT2とナットN2との締結により固定されている。また、3つの左側固定部4,4,4及び3つの右側固定部4,4,4のうち、上2つの左側固定部4,4及び右側固定部4,4においては、各々、
図2に示すように、第1板部40aとフレーム2の各第1部20との間に、各第1部20に溶接された金属製のプレートPが設けられており、第1板部40aはこのプレートPに、2つのボルトBT2及びナットN2により固定されている。
【0036】
第2板部40bは、
図2及び
図5に示すように、第1板部40aの後端部において、一方の板面が対向する側にロッドRDが配置されるように、第1板部40aよりも外側に設けられている。第1板部40a及び第2板部40bは互いに一体に形成されている。第1板部40a及び第2板部40bの接続部分には、後記のように、バンド41を先端部から挿通させるための、上下方向に長い長孔(図示しない)が形成されている。
図5に示すように、第2板部40bの外側の端部には、バンド41の位置固定のための第1凸部40cが左側に突出して形成されている。第2板部40bの後側の板面略中央部には、バンド41の更なる位置固定のための第2凸部40dが後方に突出して形成されている。
【0037】
バンド41は、
図2及び
図4に示すように、略長方形状に形成された薄い板状に形成されている。バンド41には、第2板部40bに対して位置固定するための複数の孔が、バンド41の長さ方向に並んで形成されている。バンド41の基端部は、
図2に示すように、上2つの各固定部4においては、載置部40の第1板部40aとプレートPとの間に挟まれており、最も下に位置する各固定部4においては、第1板部40aと各板金3との間に挟まれている。この状態で、バンド41の基端部は、前記のボルトBT2及びナットN2の締結により載置部40に固定されている。
図1~4及び
図6は、バンド41がロッドRDを縛っていない解放状態を示しており、この状態においてバンド41は前後方向に延びている。
【0038】
図5は、バンド41(ドットハッチングを参照)がロッドRDを縛っている固定状態を示している。なお、
図5は、上面図であるが、バンド41の位置を明確に示すために、バンド41を透過させて示している。
【0039】
バンド41でロッドRDを縛るためには、解放状態のバンド41の先端部を載置部40の前記長孔に挿通させ、
図5に示すようにバンド41をロッドRDの外周面に沿うように湾曲させ、更に第2板部40bの外側の端部から第2板部40bの後側の板面に沿わせる。このとき、第1凸部40c及び第2凸部40dを、バンド41の2つの孔に嵌合させ、バンド41を位置固定する。
【0040】
―変位抑制部―
変位抑制部5は、
図6に示すように、自転車BのハンドルHLに巻き付けて取り付けるための取付部50と、取付部50の前方でロッドRDの先端部又は中間部を配置するための本体部51とを含む。取付部50は、ハンドルHLに巻いて固定するためのゴム製のバンドにより構成されている。
【0041】
本体部51は、金属製であり、
図6に示すように輪状に形成されている。具体的に、本体部51は、取付部50の前方に設けられた基部51aと、基部51aの前方に設けられ、基部51aに対して回転可能な回転部51bとを含む。基部51aは、取付部50から左右の2つに分岐して前方に延びて形成されている。基部51aの分岐した2つの部分のうちの一方の部分の前端部には、回転部51bが回転するための回転軸51cが設けられている。回転部51bは、上面視で、後側が開口する側である略U字状に形成されている。基部51aの2つの前端部と、回転部51bの2つの後端部とは、それぞれ互いに結合して、それらの間にロッドRDの先端部又は中間部が挿通するための空間を形成している。
【0042】
本体部51は、回転部51bの回転状態によって、
図5に示す閉じ状態と、図示しない開放状態との間で変更可能である。開放状態では、回転部51bにおける回転軸51cが設けられていない後端部が、基部51aの前端部から離れて、ロッドRDの先端部又は中間部を本体部51の内外へ移動させるための開放部が形成される。ロッドRDを保持装置H1で保持して自転車Bで運ぶ際には、ロッドRDの先端部又は中間部を、本体部51の輪の内部に配置して本体部51を閉じ状態とすればよい。
【0043】
なお、本体部51には、ロッドRDを自転車Bで運ぶ際に閉じ状態から自然に開放状態とならないように、回転部51bを閉じ状態に付勢する付勢手段(図示しない)や、閉じ状態において回転部51bをロックするロック手段(図示しない)が設けられていてもよい。
【0044】
―作用・効果―
本実施形態では、ロッドRDは、各固定部4によりフレーム2に固定され、ロッドRDの基端部がフロントフォークFの前方に位置するように、フレーム2により支持される。このため、ロッドRDの基端部が、同じ自転車でフロントフォークFよりも後方又はフロントフォークFと同じ位置に位置付けられる場合に比べて、ロッドRDは、その長さ方向が路面に垂直な方向からより傾いて保持されることとなる。このため、保持されるロッドRDの先端部の位置を低くできる。
【0045】
また、本実施形態では、保持装置H1は、ロッドRDの基端部が支持されかつ収容される各収容部1を備えるので、保持されるロッドRDの安定性が高い。
【0046】
また、本実施形態では、各固定部4によりロッドRDが固定されるフレーム2の各第1部20は、ロッドRDの長さ方向に沿って上下方向に延びるので、各固定部4によるロッドRDの固定位置を上下方向に沿って変更できる。すなわち、各固定部4によるロッドRDの固定位置を調整してロッドRDを安定させやすい。
【0047】
また、本実施形態では、保持装置H1は、各収容部1の高さを変更するための高さ調整機構を備えるので、前輪Tの径の大きさに対応してロッドRDの基端部の高さを変更できる。その結果、前輪Tの径の大きさにかかわらず、保持されるロッドRDの先端部の位置を低くでき、かつ安定してロッドRDを保持できる。さらに、高さ調整機構により、各収容部1は、自転車Bに対する高さを変更できるので、前輪Tの径が小さい場合にも各収容部1と路面との距離が近くなるのを回避できる。すなわち、前輪Tの径の大きさにかかわらず、ロッドRDが路面に近づきすぎないようにロッドRDを保持できる。なお、本願発明者らの検討によると、各収容部1は、路面から、少なくとも5cm離すことが好ましく、少なくとも10cm離すことがより好ましい。
【0048】
また、本実施形態では、フレーム2は、下側取付部21aで車軸Sに取り付けられ、上側取付部21bでフロントフォークFに取り付けられるので、各収容部1を支持しかつロッドRDが固定されるフレーム2の安定性が高い。したがって、保持されるロッドRDの安定性が更に高い。
【0049】
また、本実施形態では、各固定部4は、バンド41でロッドRDを縛ることによって、ロッドRDを、フレーム2に固定された載置部40に対して固定するので、ロッドRDをフレーム2に確実に固定できる。また、載置部40は、第1板部40aと第1板部40aの後端部に設けられた第2板部40bとを含むので、ロッドRDが安定して載置される。すなわち、保持されるロッドRDの安定性が更に高い。
【0050】
ところで、
図5に示す状態で自転車Bを走行させる場合、ロッドRDは、リールRLの慣性力により、
図5における反時計回りの方向に、ロッドRDが回転しやすい。本実施形態では、バンド41でロッドRDを固定することにより、そのような回転は抑制されるものの、ロッドRDの安定性の観点からそのような回転を更に抑制したい。ここで、本実施形態に係る保持装置H1は、第1板部40aの後端部に第2板部40bが設けられているので、リールRLにおいてロッドRDに連結される部分が、第2板部40bに当たり、前記のような回転が更に抑制される。したがって、保持されるロッドRDの安定性が更に高い。
【0051】
また、本実施形態では、フレーム2は、左側第1部20及び右側第1部20が互いに一体になっているので、フレーム2で支持されるロッドRDの安定性が更に高い。
【0052】
また、本実施形態では、保持装置H1により前輪Tの左右両側でロッドRDを保持できる。このため、自転車Bで、2つのロッドRDを同時に保持して走行できるので、便利である。
【0053】
ところで、安定性の観点から、リールRLの把持部RL-HLの位置によって、ロッドRDを前輪Tの左側で保持する方が好ましい場合と、右側で保持する方が好ましい場合とがある。ここで、本実施形態のように、保持装置H1でロッドRDを前輪Tの左右両側のいずれでも保持できれば、リールRLの把持部RL-HLの位置にかかわらず前輪Tの左右いずれか好ましい方を選択してロッドRDを保持できるので、便利である。
【0054】
(第2実施形態)
図7~9は、本発明の第2実施形態に係る保持装置H2を示している。保持装置H2は、主にフレーム60の構成が第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する場合がある。
【0055】
フレーム60は、金属製であり前輪Tの左右両側に亘って設けられている。フレーム60は、
図7に示すように、各収容部1が各板金3を介して固定された第1部61と、フロントフォークFに取り付けられる第2部62とを含む。
【0056】
第1部61は、前輪Tの左側に設けられる左側第1部61と、前輪Tの右側に設けられる右側第1部61とを含む。左側第1部61は左側収容部1を支持しており、右側第1部61は右側収容部1を支持している。
【0057】
左側第1部61及び右側第1部61は、前輪Tの左右両側でそれぞれロッドRDの長さ方向に沿って上下方向に延びている。左側第1部61及び右側第1部61は、それらの上端部が、両者が互いに一体に接続された接続部63となっている。
【0058】
第2部62は、左側第2部62と右側第2部62とを含む。左側第2部62は、左側第1部61の下端部に続いて、前輪Tの左側のフロントフォークF側に湾曲して延びている。右側第2部62は、右側第1部61の下端部に続いて、前輪Tの右側のフロントフォークF側に湾曲して延びている。各第2部62は、板面を内側及び外側に向けた、前後方向に長い略板状に形成されている。各第2部62には、長さ方向(前後方向)に等間隔で並ぶ4つの孔が、厚さ方向に貫通して形成されている。
【0059】
各第2部62の外側には、フレーム60をフロントフォークFに固定するための金属製の外側固定部材70が設けられている。外側固定部材70は、各第2部62に固定された第1固定部70aと、第1固定部70aの後方に一体形成された、フロントフォークFに固定された第2固定部70bとを含む。
【0060】
第1固定部70aは、板面を内側及び外側に向けた、前後方向に長い略板状に形成されている。第1固定部70aの長さは、各第2部62の長さと略同じである。第1固定部70aの内側の板面は、各第2部62の外側の板面と重ねられている。第1固定部70aには、長さ方向(前後方向)に等間隔で並ぶ4つの孔が、厚さ方向に貫通して形成されている。第1固定部70aの4つの孔の間隔は、各第2部62の4つの孔の間隔と同じである。第1固定部70aは、4つの孔の位置が各第2部62の4つの孔の位置と一致するように、各第2部62に対して配置されている。この状態で、第1固定部70aの最も前側に位置する孔及び前から3番目に位置する孔に、ボルトBT3を挿通させるとともにボルトBT3にナットN3を締結させて、第1固定部70a及び各第2部62は互いに固定されている。
【0061】
第2固定部70bは、第1固定部70aの後端部から続いて、フロントフォークFの対応部位の外側半分を覆うように、上面視で略半円状に形成されており、さらにその後方は1つの孔が厚さ方向に貫通して形成された略板状に形成されている。第2固定部70bの内側には、フレーム60を挟んで固定するための内側固定部材71が設けられている。内側固定部材71は、フロントフォークFの対応部位の内側半分を覆うように、上面視で略半円状に形成され、その前方及び後方はそれぞれ1つずつ孔が厚さ方向に貫通して形成された略板状に形成されている。内側固定部材71は、前側の孔の位置を、第1固定部70aの最も後側に設けられた孔の位置と一致させるとともに、後側の孔の位置を、外側固定部材70の第2固定部70bの孔の位置と一致させ、これらの孔においてボルトBT4及びナットN4の締結により、フロントフォークFを挟んで外側固定部材70に固定されている。
【0062】
本実施形態では、フレーム60には、フレーム60のフロントフォークFに対する相対位置を変更するための位置調整機構が設けられている。これについて
図7を参照して説明すると、以下のとおりである。
図7の状態から、フレーム60のフロントフォークFに対する相対位置を変更するためには、例えば、各第2部62の前から2番目の孔の位置が、外側固定部材70の第1固定部70aにおける最も前側に設けられた孔の位置と一致するように、フレーム60を
図7に示す状態よりも前方にずらし(すなわち、孔1つ分だけずらし)、位置が一致した各孔においてボルトBT3及びナットN3を締結させる。このように、本実施形態では、各第2部62及び外側固定部材70が、前記位置調整機構を構成している。
【0063】
本実施形態では、フレーム60のフロントフォークFに対する相対位置を変更できるので、前輪Tの径の大きさに合わせて、ロッドRDを最適な位置で保持できる。また、保持装置H2及びロッドRDの前端部が、前輪Tの前端部よりも前側にはみ出さないようにすることもできる。したがって、保持されるロッドRDの安定性が更に高い。
【0064】
また、本実施形態では、フレーム60が、1つの左側第2部62及び1つの右側第2部62で、フロントフォークFに取り付けられる。各第2部62は、外側固定部材70及び内側固定部材71でフロントフォークFを挟んでフロントフォークFに固定されるので、フロントフォークFの形状及び太さが上下方向で略一定であれば、フレーム60のフロントフォークFへの取付位置を上下方向に変えることができる。フレーム60のフロントフォークFへの取付位置を変えることができれば、各収容部1の自転車Bに対する高さを変えることができる。したがって、フレーム60の各第2部62、外側固定部材70及び内側固定部材71は、前記の各板金3及び固定板部1aから構成される高さ調整機構とは異なる態様の高さ調整機構を構成している。
【0065】
また、フレーム60の各第2部62、外側固定部材70及び内側固定部材71は、前記のとおりフレーム60のフロントフォークFへの取付位置を上下方向に変えることで、フレーム60のフロントフォークFに対する相対位置を変更可能である。このため、各第2部62、外側固定部材70及び内側固定部材71は、前記の各第2部62及び外側固定部材70から構成される位置調整機構とは異なる態様の位置調整機構を構成している。
【0066】
なお、本実施形態では、各固定部4のバンド41は、
図8に示すように、左右方向に延びている。具体的には、バンド41の基端部は、第2板部40bの前方の板面に固定され、バンド41の先端部はバンド41の基端部よりも外側に位置している。
【0067】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、ロッドRDの基端部は、各収容部1に支持され、各収容部1がフレーム2,60に支持されているが、各収容部1は必須ではない。なお、前記各実施形態において、各収容部1を欠く場合であっても、ロッドRDは、各固定部4によりフレーム2,60に固定されるので、フレーム2に支持される。
【0068】
前記各実施形態では、フレーム2,60は、フロントフォークF及び車軸Sの少なくとも一方に取り付けられるが、これに限られない。フレーム2,60は、自転車Bの車体のいずれかの部位に取り付けられればよい。
【0069】
前記各実施形態では、保持装置H1,H2は、高さ調整機構及び/又は位置調整機構を備えるが、高さ調整機構及び位置調整機構はいずれも必須ではない。
【0070】
前記各実施形態では、保持装置H1,H2は、前輪Tの左右両側に設けられるが、左右いずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0071】
前記各実施形態では、変位抑制部5は、自転車BのハンドルHLに取り付けられているが、これに限られず、フレーム2の上方であれば、フロントフォークFに取り付けられていてもよい。
【0072】
高さ調整機構は、前記各実施形態のものに限られない。高さ調整機構は、各収容部1の自転車Bに対する高さを変更できればよい。例えば、固定板部1aや各板金3を介することなく、各収容部1がフレーム2,60に、高さを変更できるように直接固定されていてもよい。その場合、各収容部1とフレーム2,60との固定方法が高さ調整機構を構成する。
【0073】
フレーム2,60の形状は、前記各実施形態のものに限られない。フレーム2,60は、自転車Bに取り付けられ、フロントフォークFの前方にロッドRDの基端部が位置するようにロッドRDを支持するものであればよい。
【0074】
位置調整機構は、前記第2実施形態の構成に限られない。位置調整機構は、フレーム60のフロントフォークFに対する相対位置を変更できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、自転車に取り付けられる、釣り用のロッドを保持するための保持装置として有用である。
【符号の説明】
【0076】
B 自転車
RD ロッド
F フロントフォーク
HL ハンドル
T 前輪
S 前輪の車軸
H1 第1実施形態に係る保持装置
1 収容部(左側収容部、右側収容部)
1a 固定板部(高さ調整機構)
2 フレーム
20 第1部(左側第1部、右側第1部)
21 第2部(左側第2部、右側第2部)
3 板金(高さ調整機構)
4 固定部
5 変位抑制部
H2 第2実施形態に係る保持装置
60 フレーム
61 第1部
62 第2部(高さ調整機構、位置調整機構)
70 外側固定部材(高さ調整機構、位置調整機構)
71 内側固定部材(高さ調整機構、位置調整機構)