(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101718
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】開発支援装置、開発支援システム、開発支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/51 20180101AFI20240723BHJP
【FI】
G06F8/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005796
(22)【出願日】2023-01-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.Python
3.MySQL
4.Materials Studio
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬 彦博
(72)【発明者】
【氏名】佐川 正悟
(72)【発明者】
【氏名】畠沢 翔太
【テーマコード(参考)】
5B081
【Fターム(参考)】
5B081AA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モジュール毎に対応可能なプログラミング言語を習得することなく各種モジュールを利用する開発支援装置、開発支援システム、開発支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末20、開発支援装置100及び複数のモジュール200、ネットワークを介して通信接続される開発支援システムにおいて、開発支援装置100は、複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、変換された指示を第2のモジュールに出力する処理部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力する処理部と、
を有する開発支援装置。
【請求項2】
各モジュールは、データ分析機能、機械学習機能、データベース管理機能、又はシミュレーション機能を提供する、請求項1に記載の開発支援装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記指示が前記第2のモジュールが対応可能な前記第2の言語によって記述されているか判定し、前記指示が前記第2の言語によって記述されていないと判定すると、前記指示を前記第2の言語に変換する、請求項1に記載の開発支援装置。
【請求項4】
複数のモジュールと、
開発支援装置と、
を有し、
前記開発支援装置は、
前記複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力する処理部と、
を有する開発支援システム。
【請求項5】
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を取得することと、
前記取得した指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換することと、
前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力することと、
をコンピュータが実行する開発支援方法。
【請求項6】
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を取得することと、
前記取得した指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換することと、
前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開発支援装置、開発支援システム、開発支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、材料開発における分野・手法が急速に多様化している。特に、従来の分子・光学シミュレーションに機械学習を組み合わせた手法は、開発速度を大幅に向上させてきた。一方、急速に進歩する機械学習分野の最新技術を取り入れるには相応の専門知識と時間的コストが求められ、機械学習を活用し切れていない材料分野が大多数を占める。
【0003】
このような課題に対して、近年、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)によって機械学習を実行可能な材料開発支援ソフトが展開されている。しかしながら、GUIに基づく材料開発支援ソフトは、予め用意された機能しか実行できず、多様化する材料分野には対応しきれていないというもう1つの課題がある。
【0004】
データサイエンスを活用した材料開発においては、適切なデータ分析を実行する技術と材料に関する知見の双方が求められる。しかしながら、異なる分野における高い専門性を必要とするため、これら双方に精通した技術者は限られる。材料分野に精通した技術者が、シミュレーション、データ分析、機械学習などのデータサイエンス技術を利用する場合、典型的には、サードパーティによって開発された機能毎のモジュールが利用されうる。しかしながら、これらのモジュールは様々なプログラミング言語を用いて作成されているため、これらのプログラミング言語に習熟する必要があり、材料分野におけるデータサイエンスの活用の停滞を招いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点に鑑み、本開示の1つの課題は、モジュール毎に対応可能なプログラミング言語を習得することなく各種モジュールを利用するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力する処理部と、を有する開発支援装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、モジュール毎に対応可能なプログラミング言語を習得することなく各種モジュールを利用するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例による開発支援システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例による言語変換処理を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例による開発支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施例による開発支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施例による対応情報を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例による開発支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
【0011】
以下の実施例では、モジュール毎のプログラミング言語を習得することなく、ユーザの所望のプログラミング言語によって各種モジュールを実行させることを可能にする開発支援装置が開示される。
【0012】
[開発支援システム]
図1に示されるように、本開示の一実施例による開発支援システム10は、端末20、開発支援装置100、及びモジュール200_1,200_2,・・・,200_N(以降において、モジュール200として総称されうる)を有する。端末20、開発支援装置100及びモジュール200は、ネットワーク(図示せず)を介し通信接続される。
【0013】
端末20は、例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置として実現されてもよく、ユーザからモジュール200に対する操作指示を受け付け、受け付けた操作指示を開発支援装置100に送信する。
【0014】
開発支援装置100は、例えば、サーバなどの情報処理装置として実現されてもよく、以下で詳細に説明するように、特定のプログラミング言語により記述された操作指示のプログラムコードを、操作対象モジュール200によってサポートされている他のプログラミング言語のプログラムコードに変換し、変換した操作指示を操作対象モジュール200に実行させる。
【0015】
モジュール200は、例えば、サーバなどの情報処理装置として実現されてもよく、データ分析機能、機械学習機能、データベース管理機能、シミュレーション機能などの特定の機能を提供しうる。典型的には、各モジュール200は、当該モジュール200によって提供される機能と親和性の高いプログラミング言語、当該機能に対して多用されてきたプログラミング言語など、特定のプログラミング言語のみに対応可能でありうる。従って、モジュール200を利用する際、ユーザは、典型的には、当該モジュール200に対応するプログラミング言語に従ってモジュール200に対する操作指示を記述することが求められうる。このため、従来、ユーザは、所望のモジュール200を利用するため、モジュール200毎の対応可能なプログラミング言語を習得する必要があり、ユーザによるモジュール200の利用の阻害要因となっている。
【0016】
なお、後述される開発支援装置100の機能の全て又は一部は、端末20に備えられてもよい。例えば、開発支援装置100の機能の全て又は一部を実現するためのアプリケーションが端末20にインストールされ、当該機能が端末20上で実現されてもよい。また、モジュール200は、例えば、クラウド上に設けられてもよいし、あるいは、開発支援装置100及び/又は端末20に備えられてもよい。例えば、モジュール200の機能の全て又は一部を実現するためのアプリケーションが開発支援装置100及び/又は端末20にインストールされ、当該機能が開発支援装置100及び/又は端末20上で実現されてもよい。
【0017】
[本開示の概略]
以下の実施例による開発支援装置100は、ユーザによる所望のプログラミング言語によって記述されたモジュール200に対する操作指示を端末20から受信すると、受信した操作指示を操作対象モジュール200が対応可能なプログラミング言語に変換し、変換された操作指示を操作対象モジュール200に送信する。
【0018】
例えば、
図2に示されるように、モジュール#i 200_iを操作するため、ユーザは、Pythonによって当該モジュール#i 200_iに対する操作指示Iを端末20上で記述し、Pythonコードによる操作指示Iを開発支援装置100に送信する。開発支援装置100は、モジュール#i 200_iによってサポートされるプログラミング言語を特定し、特定されたプログラミング言語がPythonであると判定すると、プログラミング言語を変換することなく、Pythonコードの操作指示Iをモジュール#i 200_iに転送する。操作指示Iを受信すると、モジュール#i 200_iは、操作指示Iに従って処理を実行し、処理結果を端末20に提供する。
【0019】
他方、モジュール#j 200_jを操作するため、ユーザは、Pythonによって当該モジュール#j 200_jに対する操作指示Jを端末20上で記述し、開発支援装置100にPythonコードによる操作指示Jを送信する。開発支援装置100は、モジュール#j 200_jによってサポートされるプログラミング言語を特定し、特定されたプログラミング言語がPerlスクリプト言語であると判定すると、プログラミング言語の変換によってPythonコードの操作指示JをPerlコードの操作指示J’に言語変換し、変換された操作指示J’をモジュール#j 200_jに送信する。操作指示J’を受信すると、モジュール#j 200_jは、操作指示J’に従って処理を実行し、処理結果を端末20に提供する。
【0020】
これにより、モジュール200毎の対応可能なプログラミング言語を習得することなく、所望のプログラミング言語によってモジュール200を操作することが可能になる。
【0021】
ここで、開発支援装置100は、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット等の計算装置によって実現されてもよく、例えば、
図3に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、開発支援装置100は、バスBを介し相互接続されるドライブ装置101、ストレージ装置102、メモリ装置103、プロセッサ104、ユーザインタフェース(UI)装置105及び通信装置106を有する。
【0022】
開発支援装置100における後述される各種機能及び処理を実現するプログラム又は指示は、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の着脱可能な記憶媒体に格納されてもよい。当該記憶媒体がドライブ装置101にセットされると、プログラム又は指示が記憶媒体からドライブ装置101を介しストレージ装置102又はメモリ装置103にインストールされる。ただし、プログラム又は指示は、必ずしも記憶媒体からインストールされる必要はなく、ネットワークなどを介し何れかの外部装置からダウンロードされてもよい。
【0023】
ストレージ装置102は、ハードディスクドライブなどによって実現され、インストールされたプログラム又は指示と共に、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を格納する。
【0024】
メモリ装置103は、ランダムアクセスメモリ、スタティックメモリ等によって実現され、プログラム又は指示が起動されると、ストレージ装置102からプログラム又は指示、データ等を読み出して格納する。ストレージ装置102、メモリ装置103及び着脱可能な記憶媒体は、非一時的な有形の記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として総称されてもよい。
【0025】
プロセッサ104は、1つ以上のプロセッサコアから構成されうる1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等によって実現されてもよく、メモリ装置103に格納されたプログラム、指示、当該プログラム若しくは指示を実行するのに必要なパラメータなどのデータ等に従って、後述される開発支援装置100の各種機能及び処理を実行する。
【0026】
ユーザインタフェース(UI)装置105は、キーボード、マウス、カメラ、マイクロフォン等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドセット、プリンタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置から構成されてもよく、ユーザと開発支援装置100との間のインタフェースを実現する。例えば、ユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたGUI(Graphical User Interface)をキーボード、マウス等を操作し、開発支援装置100を操作する。
【0027】
通信装置106は、外部装置、インターネット、LAN(Local Area Network)、セルラーネットワーク等の通信ネットワークとの有線及び/又は無線通信処理を実行する各種通信回路により実現される。
【0028】
しかしながら、上述したハードウェア構成は単なる一例であり、本開示による開発支援装置100は、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0029】
[開発支援装置]
次に、
図4及び
図5を参照して、本開示の一実施例による開発支援装置100を説明する。
図4は、本開示の一実施例による開発支援装置100の機能構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、開発支援装置100は、受付部110及び処理部120を有する。例えば、受付部110及び処理部120の1つ以上の機能部は、1つ以上のプロセッサ104がストレージ装置102及び/又はメモリ装置103などの非一時的な有形の記憶媒体に格納されている1つ以上のプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。
【0030】
受付部110は、複数のモジュール200に対する指示を受け付ける。具体的には、受付部110は、端末20上でユーザによって記述されたモジュール#i 200_iに対する操作指示を受け付け、受け付けた操作指示を処理部120にわたす。操作指示は、モジュール#i 200_iによってサポートされているプログラミング言語iによって記述されたプログラムコードであってもよいし、モジュール#i 200_iによってサポートされていないプログラミング言語jによって記述されたプログラムコードであってもよい。典型的には、操作指示のプログラムコードは、ユーザによる所望のプログラミング言語によって記述されうる。
【0031】
処理部120は、モジュール#i 200_iが対応可能なプログラミング言語iによって記述されたモジュール#j 200_jに対する指示を、モジュール#j 200_jが対応可能なプログラミング言語jに変換し、変換された指示をモジュール#j 200_jに出力する。具体的には、特定のモジュール200に対する操作指示を端末20から取得すると、処理部120は、当該操作指示が当該モジュール200によってサポートされているプログラミング言語によって記述されているか判定する。当該判定は、例えば、
図5に示されるような対応情報に基づいて行われてもよい。すなわち、モジュール#1 200_1~モジュール#N 200_Nと、各モジュール200が対応可能なプログラミング言語との対応関係を示す対応情報が予め規定され、処理部120は、当該対応情報を参照して、操作指示に対するモジュール200が対応可能なプログラミング言語を特定してもよい。なお、図示された対応情報では、各モジュール200が対応可能なプログラミング言語は1つであるが、本開示によるモジュール200は、2つ以上のプログラミング言語をサポートしてもよい。
【0032】
特定のモジュール200に対する操作指示が当該モジュール200によってサポートされているプログラミング言語によって記述されていると判定すると、処理部120は、プログラミング言語の変換処理を実行することなく、受け付けた操作指示を当該モジュール200に送信する。他方、特定のモジュール200に対する操作指示が当該モジュール200によってサポートされているプログラミング言語によって記述されていないと判定すると、処理部120は、受け付けた操作指示のプログラムコードを、当該モジュール200によってサポートされているプログラミング言語のプログラムコードに言語変換し、変換された操作指示を当該モジュール200に送信する。
【0033】
ここで、操作指示のプログラムコードが何れのプログラミング言語によるものであるか否かの判定は、ユーザからの明示的なプログラミング言語の指定に基づいて行われてもよいし、あるいは、プログラムコードを解析するための公知の何れかのツールを利用して、当該ツールの解析結果に基づいて行われてもよい。
【0034】
また、プログラミング言語の変換処理は、何れか公知のソースコード言語変換ツール(例えば、コンバータ、コンパイラ、インタプリタ、ファンクションなど)を利用して実現されてもよい。例えば、JavaのプログラムコードをPythonのプログラムコードに変換するためのツールとして、java2pythonなどが知られている。処理部120は、何れか適切なソースコード変換ツールを利用して、ソースコードを操作対象モジュール200が対応可能なプログラミング言語によって記述された、ソースコードに等価な操作指示のプログラムコードに変換してもよい。
【0035】
なお、操作対象モジュール200が対応可能なプログラムコードにソースコードを変換するソースコード変換ツールが利用可能でない場合、処理部120は、プログラムコードが変換不可である旨をユーザに通知してもよい。また、当該通知は、操作対象モジュール200が対応可能なプログラミング言語を示してもよいし、及び/又は、操作対象モジュール200が対応可能なプログラミング言語に変換可能なプログラミング言語を示してもよい。
【0036】
処理部120は、操作対象モジュール200が対応可能なプログラミング言語に変換又は記述された操作指示を操作対象モジュール200に実行させる。当該操作指示に対する操作対象モジュール200の実行結果を取得すると、処理部120は、取得した実行結果を端末20に送信する。なお、モジュール200による実行結果は、開発支援装置100を介し提供されることに限定されず、例えば、開発支援装置100を介すことなく端末20に送信されてもよい。
【0037】
[開発支援処理]
次に、
図6を参照して、本開示の一実施例による開発支援処理を説明する。当該開発支援処理は、上述した開発支援装置100によって実行され、より詳細には、開発支援装置100の1つ以上のプロセッサ104が1つ以上のメモリ装置103に格納された1つ以上のプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。本実施例では、各種化合物に対する材料特性を予測するための開発支援処理が説明される。
図6は、本開示の一実施例による開発支援処理を示すフローチャートである。
【0038】
図6に示されるように、ステップS101において、開発支援装置100は、予測対象の化合物の構造と目的変数としての当該化合物の材料特性とをパラメータとして含む表形式データを取得する。例えば、開発支援装置100は、ユーザによって端末20に入力された予測対象の化合物の構造、材料特性に関係する説明変数、及び、目的変数としての当該化合物に対する予測対象の材料特性のデータ項目を含む表形式データを取得する。具体的には、ユーザは、予測対象の化合物の構造を示すSMILES(Simplified Molecular Input Line Entry System)を含む表形式のデータ(例えば、csv、Excel等の形式のデータ)を端末20上で作成し、作成したデータを開発支援装置100に送信する。例えば、ユーザは、当該データを開発支援装置100に読み込ませ、Pythonによって各モジュール200に対する操作指示を記述してもよい。
【0039】
ステップS102において、開発支援装置100は、予測対象の化合物の分子記述子を計算する。例えば、開発支援装置100は、データ分析用モジュール200を利用して、表形式データの各化合物の分子記述子などの説明変数を計算してもよい。例えば、データ分析用モジュール200がPythonをサポートするRDKitである場合、開発支援装置100は、言語変換を実行することなく、端末20から送信されたPythonにより記述されたRDKitに対する操作指示をRDKitに送信する。RDKitは、表データの各化合物のSMILESからMolオブジェクトを生成し、分子記述子、フィンガープリント、タニモト類似度などを算出し、算出結果を開発支援装置100に送信する。算出結果を取得すると、開発支援装置100は、算出結果を表形式データに入力する。
【0040】
ステップS103において、開発支援装置100は、予測対象の化合物の実測データを抽出する。例えば、開発支援装置100は、データベース管理(DBM)用モジュール200を利用して、表形式データに実測データを説明変数として入力してもよい。例えば、データベース管理用モジュール200がSQL言語をサポートするMySQLである場合、開発支援装置100は、端末20から送信されたPythonにより記述されたMySQLに対する操作指示をSQLコードに変換し、変換されたSQLコードをMySQLに送信する。MySQLは、操作指示により指定されたデータベースにアクセスし、SQLコードの抽出条件に従ってデータベースから実測データを抽出する。抽出された実測データを取得すると、開発支援装置100は、実測データを表形式データに入力する。
【0041】
ステップS104において、開発支援装置100は、実測データが抽出できなかった化合物に対して分子シミュレーションを実行する。例えば、開発支援装置100は、分子シミュレーション用モジュール200を利用して、実測データが抽出できなかった化合物に対して分子シミュレーションを実行し、実験データを取得してもよい。例えば、分子シミュレーション用モジュール200がPerlスクリプト言語をサポートするMaterials Studioなどである場合、開発支援装置100は、端末20から送信されたPythonにより記述されたMaterials Studioに対する操作指示をPerlスクリプトコードに変換し、変換されたPerlスクリプトコードをMaterials Studioに送信する。Materials Studioは、操作指示に従って分子シミュレーションを実行し、実験データを取得する。実験データを取得すると、開発支援装置100は、実験データを説明変数として表形式データに入力する。
【0042】
ステップS105において、開発支援装置100は、ステップS101~S104において作成された表形式データを利用して、表形式データの各種説明変数から目的変数である材料特性を予測する機械学習モデルを構築し、予測対象の化合物から当該化合物の材料特性を予測する。例えば、開発支援装置100は、機械学習用モジュール200を利用して、表形式データを訓練データとして利用して、化合物の材料特性を予測する機械学習モデルを訓練してもよい。例えば、機械学習用モジュール200がPythonをサポートする機械学習モデルの訓練ツールである場合、開発支援装置100は、端末20から送信されたPythonにより記述された機械学習用モジュール200に対する操作指示を当該機械学習用モジュール200に送信する。機械学習用モジュール200は、操作指示に従って訓練データを利用して機械学習モデルを訓練する。訓練済み機械学習モデルは、端末20、開発支援装置100又はサーバなどに格納され、端末20は、当該機械学習モデルを利用して、化合物の材料特性を予測する。
【0043】
上述した実施例によると、特定のプログラミング言語(例えば、ユーザが習得しているプログラミング言語など)によって記述された操作指示を、当該プログラミング言語をサポートしていないモジュールに実行させる際、開発支援装置100は、当該モジュールが対応可能なプログラミング言語のプログラムコードに変換し、変換された操作指示を当該モジュールに実行させることが可能である。これにより、ユーザは、モジュール毎に対応可能なプログラミング言語の知識を習得することなく、各種モジュールを利用することが可能になる。
【0044】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力する処理部と、
を有する開発支援装置。
(付記2)
各モジュールは、データ分析機能、機械学習機能、データベース管理機能、又はシミュレーション機能を提供する、付記1に記載の開発支援装置。
(付記3)
前記処理部は、前記指示が前記第2のモジュールが対応可能な前記第2の言語によって記述されているか判定し、前記指示が前記第2の言語によって記述されていないと判定すると、前記指示を前記第2の言語に変換する、付記1又は2に記載の開発支援装置。
(付記4)
複数のモジュールと、
開発支援装置と、
を有し、
前記開発支援装置は、
前記複数のモジュールに対する指示を受け付ける受付部と、
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換し、前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力する処理部と、
を有する開発支援システム。
(付記5)
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を取得することと、
前記取得した指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換することと、
前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力することと、
をコンピュータが実行する開発支援方法。
(付記6)
第1のモジュールが対応可能な第1の言語によって記述された第2のモジュールに対する指示を取得することと、
前記取得した指示を前記第2のモジュールが対応可能な第2の言語に変換することと、
前記変換された指示を前記第2のモジュールに出力することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0045】
以上、本開示の実施例について詳述したが、本開示は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 開発支援システム
20 端末
100 開発支援装置
110 受付部
120 処理部