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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101722
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】遊技用装置および管理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A63F7/02 333A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005810
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】591085972
【氏名又は名称】日本ゲームカード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】及川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 広太
(72)【発明者】
【氏名】深野 章
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 喜好
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岩邉 克行
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA15
2C088BA43
2C088BC58
2C088CA15
2C088CA28
(57)【要約】
【課題】遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できる遊技用装置を提供する。
【解決手段】遊技機1から電断情報および遊技機情報を受信する遊技用装置2は、電断情報に基づく遊技機1の電断を電断履歴管理手段23によって管理し、遊技機情報に基づく遊技機1の消費遊技媒体数や獲得遊技媒体数を遊技機情報管理手段24によって管理し、所定の判定時刻に遊技継続不適切状態判定手段25が電断以降の消費遊技媒体数と獲得遊技媒体数を用いて算出した最大獲得数MYによって遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定し、遊技継続不適切状態であれば報知手段26によって報知し、適切な対応を遊技店員等に促す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に設置され、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる遊技機に対応して設けられ、前記遊技機を管理可能な遊技用装置において、
電源投入後に前記遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した前記遊技媒体数が最大となる最大獲得数が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行う前記遊技機から、前記遊技機の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報と、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報を含む遊技機情報と、を受信可能な受信手段と、
前記受信手段により受信した前記電断情報および前記遊技機情報に基づいて、前記遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う遊技継続不適切状態判定手段と、
前記遊技継続不適切状態判定手段が前記遊技機の前記遊技継続不適切状態を判定したことを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでの前記最大獲得数を算出し、前記最大獲得数が第1の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技用装置。
【請求項3】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大獲得数から前記減少数を減じた判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技用装置。
【請求項4】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大差数から前記最大獲得数を減じて前記減少数を加算した残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技用装置。
【請求項5】
遊技店に設置され、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる複数の遊技機と、前記遊技機にそれぞれ対応して設けられる複数の遊技用装置と、を統括的に管理する管理装置において、
電源投入後に前記遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した前記遊技媒体数が最大となる最大獲得数が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行う前記遊技機より、前記遊技機の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報と、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報を含む遊技機情報と、を受信する前記遊技用装置から、前記電断情報に基づく第1の管理情報と前記遊技機情報に基づく第2の管理情報とを受信可能な受信手段と、
前記受信手段により受信した前記第1の管理情報に基づいて、前記遊技機それぞれの前記電断情報を管理する電断履歴管理手段と、
前記受信手段により受信した前記第2の管理情報に基づいて、前記遊技機それぞれの前記遊技機情報を管理する遊技機情報管理手段と、
前記電断履歴管理手段により管理される前記遊技機の前記電断情報および前記遊技機情報管理手段により管理される前記遊技機情報に基づいて、前記遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う遊技継続不適切状態判定手段と、
前記遊技継続不適切状態判定手段が前記遊技機の前記遊技継続不適切状態を判定したことを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項6】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでの前記最大獲得数を算出し、前記最大獲得数が第1の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大獲得数から前記減少数を減じた判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。
【請求項8】
前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大差数から前記最大獲得数を減じて前記減少数を加算した残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店に設置され、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる遊技機に対応して設けられ、対応する遊技機を管理可能な遊技用装置、および遊技店内に設置された遊技機と遊技用装置とを統括的に管理する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店では遊技媒体を使用した遊技機による遊技を提供している。また、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる遊技機に対応して遊技用装置が設けられている。遊技用装置は、遊技機で使用する遊技媒体を貸し出すための処理動作を行ったり、対応する遊技機に関する情報を表示したりすると共に、対応する遊技機から出力される種々の情報を受け取り、遊技店内に設置された管理装置へ送信する機能も備えている。一方、管理装置は、遊技店に設置されている複数台の遊技機、各遊技機に対応して設けられている複数台の遊技用装置などを統括的に管理している。
【0003】
遊技用装置や管理装置によって管理されている遊技機は、遊技媒体を用いた遊技進行を制御する機能を標準的に備えており、自らの動作を管理する機能を備えたものもある。例えば、電源投入後に遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した遊技媒体数が最大となる最大獲得数(MY)が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行う打ち止め機能(いわゆるコンプリート機能)を備える遊技機がある(例えば、特許文献1を参照)。このようなコンプリート機能を備える遊技機においては、基準底値をベースとしてみた獲得利益が最大差数に達するほど過大になった場合、強制的に遊技中止動作を行うことで、遊技客に与える利益が過大になることを抑制し、遊技機としての射幸性を適切に保てるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-129885号公報(段落〔1543〕~〔1547〕、〔1551〕、図244
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技機においては、コンプリート機能の管理を必ずしも適切に行えているとはいえない。すなわち、特許文献1に記載の遊技機では、コンプリート機能を管理するための最大獲得数MY算出に必要な情報(例えば、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報)を、電源が遮断されるまで継続して累計しているので、長期間にわたって遊技機の電源が遮断されていないと、遊技客の獲得利益がわずかに増えただけでもコンプリート機能が働いて、打止めになってしまう可能性がある。
【0006】
例えば、遊技機の最大獲得数MYが規定値(最大差数)に近い状態で閉店し、電源が遮断されないまま(MY算出に必要な遊技機情報がクリアされないまま)翌日の営業が開始された場合、翌日の営業開始後に当該遊技機で遊技を行った遊技客が少量の遊技媒体を獲得しただけでMYが最大差数に達し、コンプリート機能が作動してしまう。このような状況でコンプリート機能が作動すると、遊技客は十分な遊技利益を獲得できていないのに、打止めとなった遊技機で遊技を継続できないため、他の遊技機へ移動しなければならず、遊技客にとっては大いに不満の残る結果となる。しかも、コンプリート機能が働いた遊技機は、その日の閉店時まで稼働停止させることになってしまうため、遊技店における遊技機の稼働率を低下させる要因となり、遊技店にとっても望ましいことではない。
【0007】
そこで、本発明は、遊技機におけるMYが最大差数に近い状態など、その遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できる遊技用装置および管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る遊技用装置は、遊技店に設置され、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる遊技機に対応して設けられ、前記遊技機を管理可能な遊技用装置において、電源投入後に前記遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した前記遊技媒体数が最大となる最大獲得数が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行う前記遊技機から、前記遊技機の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報と、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報を含む遊技機情報と、を受信可能な受信手段と、前記受信手段により受信した前記電断情報および前記遊技機情報に基づいて、前記遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う遊技継続不適切状態判定手段と、前記遊技継続不適切状態判定手段が前記遊技機の前記遊技継続不適切状態を判定したことを報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでの前記最大獲得数を算出し、前記最大獲得数が第1の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【0010】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大獲得数から前記減少数を減じた判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【0011】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大差数から前記最大獲得数を減じて前記減少数を加算した残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明に係る管理装置は、遊技店に設置され、遊技結果として遊技媒体数を獲得できる複数の遊技機と、前記遊技機にそれぞれ対応して設けられる複数の遊技用装置と、を統括的に管理する管理装置において、電源投入後に前記遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した前記遊技媒体数が最大となる最大獲得数が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行う前記遊技機より、前記遊技機の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報と、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報を含む遊技機情報と、を受信する前記遊技用装置から、前記電断情報に基づく第1の管理情報と前記遊技機情報に基づく第2の管理情報とを受信可能な受信手段と、前記受信手段により受信した前記第1の管理情報に基づいて、前記遊技機それぞれの前記電断情報を管理する電断履歴管理手段と、前記受信手段により受信した前記第2の管理情報に基づいて、前記遊技機それぞれの前記遊技機情報を管理する遊技機情報管理手段と、前記電断履歴管理手段により管理される前記遊技機の前記電断情報および前記遊技機情報管理手段により管理される前記遊技機情報に基づいて、前記遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う遊技継続不適切状態判定手段と、前記遊技継続不適切状態判定手段が前記遊技機の前記遊技継続不適切状態を判定したことを報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでの前記最大獲得数を算出し、前記最大獲得数が第1の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【0014】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大獲得数から前記減少数を減じた判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【0015】
前記発明において、前記遊技継続不適切状態判定手段は、前記電断情報により推定される直近の電源投入以降に受信した前記遊技機情報に基づいて、前記判定タイミングまでにおける前記最大獲得数と、前記判定タイミングにおける前記最大獲得数からの減少数とを求め、前記最大差数から前記最大獲得数を減じて前記減少数を加算した残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、前記遊技継続不適切状態と判定してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の遊技用装置によれば、遊技継続不適切状態判定手段によって、遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できるので、遊技継続不適切状態を判定した場合には報知手段によって報知し、適切な対応を遊技店員等に促すことができる。
【0017】
また、本発明の管理装置によれば、遊技継続不適切状態判定手段によって、遊技機で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できるので、遊技継続不適切状態を判定した場合には報知手段によって報知し、適切な対応を遊技店員等に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】遊技店の概略構成図である。
図2】実施形態に係る遊技用装置と、遊技機および管理装置の概略機能を示す機能ブロック図である。
図3】遊技継続不適切状態の判定に用いる最大獲得数MY、判定時獲得数、残獲得可能数についての説明図である。
図4】遊技用装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知した後の判定時刻に遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図5】遊技用装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知した後の判定時刻に遊技継続不適切状態であると判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図6】遊技用装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知しなかった後の判定時刻に遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図7】遊技用装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知しなかった後の判定時刻に遊技継続不適切状態であると判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図8】実施形態に係る管理装置と、遊技機および遊技用装置の概略機能を示す機能ブロック図である。
図9】管理装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知した後の判定時刻に遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図10】管理装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知した後の判定時刻に遊技継続不適切状態であると判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図11】管理装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知しなかった後の判定時刻に遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
図12】管理装置が前日の閉店後に遊技機の電断を検知しなかった後の判定時刻に遊技継続不適切状態であると判定する場合の一例を示す遊技機と遊技用装置と管理装置との間の通信シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る遊技用装置と管理装置の実施形態を詳細に説明する。図1に示すように、遊技店PPには、複数の遊技機1が設置され、各遊技機1と対応させて遊技用装置2が併設され、遊技用装置2が備える遊技媒体貸出機能で貸し出された遊技媒体を用いて遊技機1で遊技を行うことができる。また、遊技店PP内には、遊技機1や遊技用装置2を統括的に管理する管理装置3も設置され、HUB4を介して、遊技用装置2と接続されている。なお、図1では省略したが、遊技店PPには、個人情報が特定された正規の会員や個人情報が不明な非会員の諸情報を管理する会員管理装置、賞品交換POS、精算機等のサービス提供装置なども設置されている。
【0020】
また、遊技店PPに設置される遊技機1には、遊技に用いる遊技媒体の違いから、弾球遊技機1Aと回胴式遊技機1Bが設けられる。弾球遊技機1Aでは、遊技球を遊技媒体として用い、遊技球を遊技盤面に打ち込んで遊技を行う。遊技盤面には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、遊技進行によって遊技球が入賞領域を通過すると、所定個数の遊技球が賞遊技媒体として遊技者に付与され、獲得遊技媒体数として計数される。一方、回胴式遊技機1Bでは、遊技メダルを遊技媒体として用い、遊技メダルの投入により回胴リールを回転させ、停止ボタンの操作あるいは時間経過によりリールが停止するような遊技進行となる。そして、リール図柄の停止状況が賞に該当していれば、所定枚数の遊技メダルが賞遊技媒体として遊技者に付与され、獲得遊技媒体数として計数される。遊技球を遊技媒体とする弾球遊技機1Aには、遊技媒体として遊技球を貸し出す制御が可能な遊技用装置2Aが接続され、遊技メダルを遊技媒体とする回胴式遊技機1Bには、遊技媒体として遊技メダルを貸し出す制御が可能な遊技用装置2Bが接続される。
【0021】
なお、以下の説明では、弾球遊技機1Aか回胴式遊技機1Bかを区別する必要が無い場合、単に遊技機1とよび、これに接続する遊技用装置2A,2Bも単に遊技用装置2とよぶ。また、遊技機1において、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数は、実体のある遊技球や遊技メダルを実際に計数して管理する手法に限定されるものではなく、消費遊技媒体数や獲得遊技媒体数を電子情報として扱い、演算により計数管理する手法でも構わない。
【0022】
次に、図2を参照して、遊技機1と遊技用装置2と管理装置3の概略構成を説明する。
【0023】
遊技機1は、遊技制御を行うための制御部11と、遊技用装置2との通信を行うための遊技用装置通信部12と、コンプリート機能制御部13を備える。コンプリート機能制御部13は、電源投入後に遊技媒体数を最も失い基準底値となった基準時以降に獲得した遊技媒体数が最大となる最大獲得数が予め定めた最大差数に達することで遊技中止動作を行い、当該遊技機1での遊技継続を不可能にする制御を行う。例えば、電源遮断後に電源投入されることで、電源遮断前までに蓄積されていた消費遊技媒体数や獲得遊技媒体数がクリアされて稼動状態となった後、遊技客による遊技が開始された場合を、図3に示す。
【0024】
この図3は、回胴式遊技機1Bにおける遊技時間の経過に伴う遊技媒体(遊技メダル)の増減を示すものである。例えば、遊技開始からしばらくは消費遊技媒体数に対して獲得遊技媒体数が少ないために、消費した遊技媒体数が嵩み、遊技に消費した遊技媒体数が3000枚(ゼロを基準とすると「-3000枚」)まで減少する。ここで遊技客に有利な遊技展開(例えば、大当りの発生)となって遊技媒体数を増やして行き、遊技媒体数が14000枚(ゼロを基準とすると「11000枚」)に増えたところで大当りが終了する。その後、再び遊技媒体の消費が嵩んで行き、最大獲得時の遊技媒体数から4000枚減少した(ゼロを基準とすると「7000枚」に減らした)ところで、再び遊技客に有利な遊技展開(例えば、中当たり或いは小当たりの発生)となり、遊技媒体数を1000枚増やした(ゼロを基準とすると「8000枚」に増やした)ところで閉店に伴う遊技終了となり、以降は遊技媒体数の増減がないまま判定タイミング(判定時刻)になった遊技経過を示す。
【0025】
図3に示したような遊技経過の場合、電源投入後に遊技媒体数を最も失って-3000枚となった値が基準底値となり、この時が基準時となる。そして、この基準時以降に遊技客が所持する遊技媒体数が最大となる+11000枚では、基準底値との差数である最大獲得数MYが14000となる。例えば、コンプリート機能作動のための基準となる最大差数が、19000に設定されている場合、基準時以降の獲得遊技媒体数から消費遊技媒体数を減じた遊技媒体数が最大となったときの最大獲得数MYが19000に達した時点で、回胴式遊技機1Bの遊技中止動作が行われ、打止め状態となる。このように、遊技機1では、コンプリート機能制御部13によって最大獲得数MYの算出と最大差数との対比が行われ、最大獲得数MYが最大差数に達することで、コンプリート機能の作動制御が行われるのである。なお、遊技球を遊技媒体とする弾球遊技機1Aの場合、最大差数の一例は95000である。
【0026】
上述した遊技機1より電断情報や遊技機情報を受信する遊技用装置2は、遊技媒体の貸出などの主要機能を制御する制御部21と、遊技機1との通信を行って諸情報を受信する受信手段としての遊技機通信部22と、電断履歴管理手段23と、遊技機情報管理手段24と、遊技継続不適切状態判定手段25と、報知手段26と、管理装置3との通信を行うための管理装置通信部27とを備える。
【0027】
電断履歴管理手段23は、遊技機1の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報に基づき、遊技機1の電断履歴を管理する。この電断情報は、遊技機1との通信によって電断が生じた可能性を遊技用装置2側で判定するものでも良いし、遊技機1から電断時刻などを含む情報信号として送信されるものでも良い。なお、最新の電断時刻(或いは、電断を判定した電断判定時刻)の履歴を電断履歴管理手段23から取得できれば良いので、電断履歴管理手段23により管理する過去の電断情報は、比較的新しいものに限定しても良いし、電断履歴管理手段23の記憶容量一杯まで過去の履歴を管理対象としても良い。
【0028】
遊技機情報管理手段24は、遊技機1から送信される遊技機情報を管理する。遊技機情報には、少なくとも、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報が含まれており、消費遊技媒体数(負の値)と獲得遊技媒体数(正の値)を累計してゆくと、遊技機1での時間経過に伴う遊技媒体数の増減推移を遊技用装置2側で再現できる。
【0029】
遊技継続不適切状態判定手段25は、遊技機通信部22により受信されて電断履歴管理手段23により管理されている電断情報および遊技機情報管理手段24により管理されている遊技機情報に基づいて、遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う。遊技継続不適切状態とは、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではないと判定できる状態である。例えば、コンプリート機能が作動し易くなっている状態の遊技機1で遊技客に遊技を行わせることは不適切であると考えられる。遊技機1では、最大獲得数MYを遊技用装置2内で算出して最大差数との比較を行って、コンプリート機能の作動タイミングを判断しているので、遊技用装置2内で遊技機1の最大獲得数MYを再現できれば、コンプリート機能の作動タイミングを遊技用装置2側でも判断できる。
【0030】
そこで、遊技用装置2の遊技継続不適切状態判定手段25は、電断履歴管理手段23に管理されている遊技機1の電断履歴から、最新となる遊技機1の電源投入時期を推定し、推定される電源投入時以降に遊技機1で発生した消費遊技媒体数と獲得遊技媒体数を用いて最大獲得数MYを算出する。このようにして遊技用装置2の遊技継続不適切状態判定手段25により算出された最大獲得数MYは、遊技機1が算出している最大獲得数MYと等しいと看做すことができる。また、遊技継続不適切状態判定手段25によって遊技継続不適切状態か否かの判定を行う判定タイミングは、遊技店PPの開店準備を行っているとき(例えば、開店時間の60分前など)が望ましいが、遊技店PPの閉店直後や閉店から数時間後など、任意の時刻(以下、判定タイミングとして設定した時刻を判定時刻という)に設定して構わない。或いは、遊技用装置2が判定時刻の管理を行わず、後述する管理装置3から遊技継続不適切状態判定指示を遊技用装置2が受けたときを判定タイミングとし、遊技継続不適切状態判定指示を受けたタイミングで遊技継続不適切状態判定手段25による遊技継続不適切状態の判定を行ってもよい。
【0031】
判定時刻を検知した遊技継続不適切状態判定手段25は、遊技機1の電源投入以降の消費遊技媒体数と獲得遊技媒体数との累積値に基づいて、基準底値と基準時を特定し、最大獲得数MYを求める。求めた最大獲得数MYが第1の閾値以上/超過の場合、遊技継続不適切状態であると判定する。例えば、第1の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1を設定した場合、最大獲得数MY≧1のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第1の閾値として遊技継続適切状態判定値:0を設定した場合、最大獲得数MY>0のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。
【0032】
一方、遊技継続不適切状態判定手段25が求めた最大獲得数MYが第1の閾値以下/未満の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第1の閾値として遊技継続適切状態判定値:0を設定した場合、最大獲得数MY=0(MYは基準底値を下回る負の値とならないため、MY≦0はMY=0とする。)のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第1の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1を設定した場合、最大獲得数MY<1のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0033】
上述したように、遊技用装置2の遊技継続不適切状態判定手段25は、判定時刻に、遊技機通信部22により受信した電断情報および遊技機情報に基づいて算出した最大獲得数MYにより、遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できる。しかしながら、遊技継続不適切状態か否かを判定に用いるのは、最大獲得数MYに限定されるものではなく、電断情報および遊技機情報に基づいて算出できるものであれば良い。例えば、判定時獲得数や残獲得可能数に基づいて、遊技継続不適切状態か否かを判定することもできる。
【0034】
判定時獲得数は、図3を参照すると、判定時刻までにおける最大獲得数14000から判定時刻における減少数3000を減じた遊技媒体数である。すなわち、判定時獲得数が11000である場合、遊技客がこの遊技機1で判定時刻以降に遊技を行い、大当りなどで大きな獲得利益を得て最大獲得数MYが19000に達し、コンプリート機能が作動したとき、判定時獲得数11000は獲得利益に含まれず、事実上の獲得利益は8000程度に止まるため、遊技客にとって不利益となる。せめて、判定時獲得数が1000程度であれば、コンプリート機能が作動したときに18000程度の獲得利益を担保できるので、遊技客にとって極端な不利益にならないものと考えられる。
【0035】
そこで、判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、遊技継続不適切状態と判定すれば、遊技を継続させることが適切ではない遊技機1を遊技客に供して遊技客に不利益を与えることを防げる。例えば、第2の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1001を設定した場合、判定時獲得数≧1001のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第2の閾値として遊技継続適切状態判定値:1000を設定した場合、判定時獲得数>1000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。
【0036】
一方、遊技継続不適切状態判定手段25が求めた判定時獲得数が第2の閾値以下/未満の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第2の閾値として遊技継続適切状態判定値:1000を設定した場合、判定時獲得数≦1000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第2の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1001を設定した場合、判定時獲得数<1001のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0037】
また、残獲得可能数は、図3を参照すると、判定時刻までにおける最大獲得数14000を最大差数19000から減じて減少数3000を加算した遊技媒体数である。すなわち、残獲得可能数が8000である場合、遊技客がこの遊技機1で判定時刻以降に遊技を行い、大当りなどで大きな獲得利益を得て最大獲得数MYが19000に達し、コンプリート機能が作動したとき、遊技客が獲得できる残りの利益が8000程度に止まることを示しており、遊技客にとって不利益となる。せめて、残獲得可能数が18000程度であれば、コンプリート機能が作動したときに18000程度の獲得利益を担保できるので、遊技客にとって極端な不利益にならないものと考えられる。
【0038】
そこで、残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、遊技継続不適切状態と判定すれば、遊技を継続させることが適切ではない遊技機1を遊技客に供して遊技客に不利益を与えることを防げる。例えば、第3の閾値として遊技継続不適切状態判定値:17999を設定した場合、残獲得可能数≦17999のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第3の閾値として遊技継続適切状態判定値:18000を設定した場合、残獲得可能数<18000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。
【0039】
一方、遊技継続不適切状態判定手段25が求めた残獲得可能数が第3の閾値以上/超過の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第3の閾値として遊技継続適切状態判定値:18000を設定した場合、残獲得可能数≧18000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第3の閾値として遊技継続不適切状態判定値:17999を設定した場合、残獲得可能数>17999のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0040】
上述したように、遊技継続不適切状態判定手段25によって、遊技機1を遊技客に供することが適切ではない遊技継続不適切状態が判定されると、報知手段26によって該状態を遊技店員等に報せる。なお、報知手段26は、表示器26aにて可視表示を行うものでも良いし、スピーカ26bによって可聴報知を行うものでも良い。或いは、遊技用装置2から管理装置3へアラート通知を行うことで、管理装置3の報知手段36(図2中、破線で示す)が実際の報知動作を行うようにしても構わない。
【0041】
管理装置3は、遊技店内に設置されている複数台の遊技機1や遊技用装置2の諸情報を管理する制御部31と、遊技用装置2との通信を司る遊技用装置通信部32を備える。管理装置3は、例えば、開店指示を全ての遊技用装置2へ送信して遊技客が遊技機1を利用できるように稼動させたり、閉店指示を全ての遊技用装置2へ送信して遊技機1での遊技を終了させたりする。また、管理装置3は、遊技機1や遊技用装置2の動作モード等を決定する設定情報を遊技用装置2へ送信する機能も備える。
【0042】
次に、図4図7に示す遊技機1と遊技用装置2と管理装置3との間の通信シーケンス図に基づいて、遊技用装置2が行う遊技継続不適切状態の判定動作の流れを説明する。
【0043】
図4は、遊技用装置2が前日の閉店後に遊技機1の電断を検知した後の判定時刻に遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す。遊技機1から遊技用装置2に対して所定周期(例えば、300ms)毎に遊技機情報通知が電文として送信される。この遊技機情報通知には、例えば、電文長、コマンド、通番、遊技機種類、遊技機情報種別、遊技機情報等のデータを含む。そして、遊技機1が送信する遊技機情報通知は、電源投入により起動した後、通番の初期値を「0」とした連番で遊技用装置2へ送信されるので、遊技用装置2では、遊技機情報通知の通番に基づいて時系列に管理できる。
【0044】
例えば、遊技球を遊技媒体とする弾球遊技機1Aの場合、遊技機情報通知には、弾球遊技機1Aの性能情報である遊技機性能情報、遊技制御用CPUのメーカーコード、製品コード、遊技機識別番号等を含む遊技機設置情報、大当り、確率変動、時間短縮、各入賞口の入賞球数、遊技球数などを含むホールコン・不正監視情報などが遊技機情報として含まれており、このような遊技機情報が遊技用装置2の遊技機情報管理手段24によって管理される。特に、ホールコン・不正監視情報には、遊技球数、発射球数、総賞球球数、主制御状態、遊技機エラー状態、不正検知状態、遊技情報などが含まれており、前述した遊技継続不適切状態の判定に用いる最大獲得数、判定値獲得数、残獲得可能数を求めるために必要な情報である。
【0045】
続いて、遊技機1は、遊技機情報通知を行ってから所定時間内(例えば、100ms以内)に計数通知の電文を送信する。この計数通知には計数通番が付されており、計数情報として含まれる計数球数や計数累積球数などを、遊技用装置2で時系列に管理できる。
【0046】
遊技機1より計数通知を受信した遊技用装置2は、所定の受信有効期間内に貸出情報を含む貸出通知の電文を遊技機1に対して送信する。この貸出通知には貸出通番が連番で付されており、遊技機1との通信接続が確立した後に送信した貸出通知の送信回数を管理できる。例えば、遊技機1と遊技用装置2とを接続している通信ケーブルの抜けや断線、或いは遊技機1の電源が切られたことにより、遊技用装置2が遊技機1との通信断を検出した場合、それまでの貸出通知の貸出通番はクリアされ、再び遊技機1との通信接続が確立した後、貸出通番の初期値を「0」とした連番で貸出通知の送信を再開する。なお、遊技用装置2の電源が切られることで遊技機1との通信が絶たれた後、遊技用装置2の電源が投入されて起動した場合も同様に、遊技機1との通信接続が確立した後、貸出通番の初期値を「0」とした連番で貸出通知の送信を開始する。
【0047】
遊技用装置2より貸出通知を受信した遊技機1は、所定の応答時間内に貸出球数受領結果情報を含む貸出受領結果応答の電文を遊技用装置2に対して送信する。この貸出受領結果応答には貸出通番が連番で付されており、貸出通番が初期値の「0」であれば、遊技用装置2は、遊技機1が電源投入後における最初の貸出受領結果応答の送信であると判定できるので、遊技機1の電源が投入されて起動した直後であると推定できる。すなわち、前述した「通番=0」の遊技機情報通知を遊技用装置2が受信する直前まで、遊技機1の電源が遮断されていたと推定できることから、遊技機1より「貸出通番=0」の貸出受領結果応答を受信することで、遊技機1に電断があったことを確実に検知できるのである。
【0048】
なお、遊技用装置2が起動途中などで遊技機1からの通信電文を受信できない状態にあっても、起動後の遊技機1は遊技用装置2に対して遊技情報通知と計数通知を所定時間毎に送信し続けるため、直前に遊技機1の電断が生じていても、遊技機情報通知の通番と計数通知の計数通番が「0」ではない場合もある。一方、遊技用装置2が送信した貸出通知に対する遊技機1からの貸出受領結果応答は、遊技機1の電断直後に必ず「貸出通番=0」となるので、貸出受領結果応答の「貸出通番=0」に基づいて遊技機1の電断履歴を判定すれば、電断履歴の判定精度を高められる。また、遊技用装置2が行う電断履歴の判定は、遊技機1からの貸出受領結果応答の「貸出通番=0」に基づいて行う手法に限定されない。例えば、遊技機1が自らの電源投入日時を遊技機情報通知などの送信データとして含ませるようにしておけば、遊技用装置2の電断履歴管理手段23が、遊技機1から受信した遊技機情報通知に基づいて遊技機1の電断履歴を管理できる。
【0049】
図4において、遊技機1と遊技用装置2が通常稼動している通常営業時間内(閉店前)は、上述したように、遊技機情報通知、計数通知、貸出通知、貸出受領結果応答の送受が繰り返し行われる。その後、閉店時間となり、管理装置3より閉店指示を受けた遊技用装置2は、当日の営業が終了したことを認識できる。閉店後に、遊技店員等の手動操作で遊技機1の電源がOFFになると、遊技機1と遊技用装置2とを接続する通信ケーブルで、接続確認用電源VLがOFFになると共に接続確認信号PSIもOFFになるので、通信異常として遊技機1と遊技用装置2との間で通信は行われなくなる。なお、遊技用装置2側では、遊技機1との通信途絶が、遊技機1の電源断によるものか、通信ケーブルの未接続等に起因するものか、判定できない。
【0050】
遊技機1の電源がOFFになった直後ないし翌朝の開店前に、遊技機1の電源がONになると、接続確認用電源VLおよび接続確認信号PSIが共にONとなり、遊技機1と遊技用装置2との間での通信が復旧する。遊技用装置2は前日の閉店後も電源投入されたままであるから、遊技機1より「通番=0」の遊技機情報通知および「計数通番=0」の計数通知を受信し、遊技用装置2から「貸出通番=0」の貸出通知を遊技機1へ送信する。この貸出通知を受けた遊技機1は、起動後最初の貸出受領結果応答を「貸出通番=0」で遊技用装置2へ送信する。遊技用装置2は、「貸出通番=0」の貸出受領結果応答を受信したことで、遊技機1に電断があったことを検知できる。
【0051】
また、遊技用装置2は、電断検知の契機となった「貸出通番=0」の貸出受領結果応答に対応する「通番=0」の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報と、「通番=1」以降の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報とから、遊技継続不適切状態を判定するための最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。この遊技継続不適切状態を判定するタイミングは特に限定されるものではないが、例えば、通常の開店時間のX時間前(例えば、1時間前)を判定時刻に設定しておけば、遊技継続不適切状態の遊技機1が検出されたことを遊技用装置2が報知してから、遊技店員等が開店前に対処する時間を十分にとることができる。なお、遊技用装置2が判定時刻を検知するために、遊技用装置2に計時機能を持たせておいても良いし、管理装置3からの判定指示を受けた時を判定時刻として検知しても良い。
【0052】
遊技用装置2が遊技機1の電断を検知してから判定時刻を検知するまでの間、遊技機1から所定周期で遊技機情報通知を受けるので、判定時刻を検知する直前に受け取った遊技機情報通知の通番が「u」であった場合、「通番=0」~「通番=u」までの遊技機情報通知に含まれる遊技機情報を用いて最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。なお、遊技機1は、遊技用装置2との通信が復旧するまで通常稼動できないので、復旧直後に遊技機1からの送信される「通番=0」の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報では、消費遊技媒体数と獲得遊技媒体数は共にゼロと看做せる。そこで、「通番=0」の遊技機情報通知は除外し、電断検知後に通知される「通番=1」以降の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報を用いて最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出しても良い。
【0053】
判定時刻を検知した遊技用装置2の遊技継続不適切状態判定手段25は、電断履歴管理手段23に記憶されている遊技機1の電断記録から遊技機1の電源投入時を推定し、遊技機情報管理手段24にて管理している遊技機情報から電源投入時以降のものを取得し、最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。このようにして算出した最大獲得数MYは、遊技機1がコンプリート機能制御のために自ら管理している最大獲得数MYと実質的に同一の値である。
【0054】
したがって、遊技用装置2の遊技継続不適切状態判定手段25は、算出した最大獲得数MYによって、遊技機1におけるコンプリート機能の作動が遊技客にとって不利益か否かを推し量ることができる。そして、最大獲得数MY=0(或いは、最大獲得数MY<1)を満たせば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と遊技継続不適切状態判定手段25が判定する。また、遊技継続不適切状態判定手段25が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≦1000(或いは、判定時獲得数<1001)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段25が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≧18000(或いは、残獲得可能数>17999)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定する。なお、接続されている遊技機1が遊技継続不適切状態ではないと判定した場合、遊技用装置2は特に何もせず、次回の判定時刻を待つものとしたが、例えば、遊技機1が遊技継続不適切状態ではない旨を報知して、判定動作が実行されたことを遊技店員等に報せるような設定としても良い。
【0055】
一方、図5に示すように、最大獲得数MY≧1(或いは、最大獲得数MY>0)を満たせば、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と遊技継続不適切状態判定手段25が判定する。例えば、遊技店PPの開店前或いは前日の閉店後に、遊技機1を調整するために遊技店員等がその遊技機1で試打を行った場合、判定時刻までに遊技機1から遊技用装置2に送信された遊技機情報通知に含まれる遊技機情報から求めた最大獲得数MYが1以上になってしまうケースが起こり得る。よって、前日の閉店後に遊技機1の電源が切られて、遊技機1の管理情報がクリアされていたとしても、開店前の判定時刻に遊技継続不適切状態判定手段25によって遊技継続不適切状態の判定を行うことは有用である。また、遊技継続不適切状態判定手段25が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≧1001(或いは、判定時獲得数>1000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段25が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≦17999(或いは、残獲得可能数<18000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定する。
【0056】
そして、接続されている遊技機1が遊技継続不適切状態であると遊技継続不適切状態判定手段25が判定した場合、報知手段26によって報知動作が実行される。報知手段26による報知動作として、遊技用装置2の前面側に設けられた表示器26aによる警告を行ったり、スピーカ26bより遊技継続不適切状態の遊技機1がある旨の音声を繰り返し出力させたりする。また、遊技用装置2から管理装置3へアラート通知を送信し、管理装置3でも遊技継続不適切状態の遊技機1があることを報せるようにしても良い。報知手段26による報知に気付いた遊技店員等が、報知動作を行っている遊技用装置2に接続された遊技機1の電源を一旦OFFにした後、再び電源をONにすることで、遊技機1を遊技継続適切状態に戻すことができる。なお、遊技用装置2の報知手段26による報知動作は、一定時間経過後に自動で停止させても良いが、遊技継続不適切状態にある遊技機1の電断を検知するまで報知動作を停止させないようにすれば、対応する遊技機1の遊技継続不適切状態を確実に解消できる。
【0057】
上述した図4図5は、遊技用装置2による遊技継続不適切状態判定手法として、遊技店PPの閉店後から開店前の間に遊技機1の電断を検知できた場合であったが、より長期間にわたって、遊技機1の電源が切られないまま遊技客に供される場合もある。図6に示すのは、前々日の閉店後に遊技機1の電源が一旦落とされ、前日の開店前までに遊技機1の電源が投入され、この電断を遊技用装置2が検知したのを最後に、前日の閉店以降も遊技機1の電断を検知できないまま、当日の開店よりX時間前の判定時刻を遊技用装置2が検知した場合である。
【0058】
なお、遊技用装置2は、連日、判定時刻になると遊技継続不適切状態の判定を行っているのであるが、図4にて説明したように、遊技継続不適切状態判定手段25が判定時刻に遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定すると、そのまま遊技客に供される場合もあるので、電断のないまま、更に翌日の判定時刻を迎える遊技機1も存在し得る。一般に、遊技機1を一日稼働させると、最大獲得数MYが1以上になる可能性が高いものの、獲得遊技媒体数よりも消費遊技媒体数の方が一日を通して大きくなってゆくと、基準底値が確定しないまま遊技媒体を減らし続ける遊技展開となる場合もある。このような場合、基準底値を検知した基準時以降の最大獲得数MYが求まらないので、最大獲得数MY=0として遊技継続不適切状態を判定すれば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)という判定結果になるのである。また、判定時獲得数を用いて遊技継続不適切状態を判定する場合、判定に用いる第1の閾値として比較的余裕のある1000程度を設定すれば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)という判定結果になる可能性は極端に低くならない。同様に、残獲得可能数を用いて遊技継続不適切状態を判定する場合、判定に用いる第3の閾値として比較的余裕のある18000程度を設定すれば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)という判定結果になる可能性は極端に低くならない。
【0059】
このように、数日を跨いで遊技機1の電断が記録されていないときでも、遊技用装置2は、電断検知の契機となった「貸出通番=0」の貸出受領結果応答に対応する「通番=0」の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報から、判定時刻直前に受信した「通番=n」の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報までを用い、遊技継続不適切状態を判定するための最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。そして、最大獲得数MY=0(或いは、最大獲得数MY<1)を満たせば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と遊技継続不適切状態判定手段25が判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。また、遊技継続不適切状態判定手段25が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≦1000(或いは、判定時獲得数<1001)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。同様に、遊技継続不適切状態判定手段25が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≧18000(或いは、残獲得可能数>17999)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。
【0060】
一方、図7に示すように、最大獲得数MY≧1(或いは、最大獲得数MY>0)を満たせば、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と遊技継続不適切状態判定手段25が判定するので、報知手段26によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3へアラート通知を送信する。また、遊技継続不適切状態判定手段25が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≧1001(或いは、判定時獲得数>1000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定するので、報知手段26によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3へアラート通知を送信する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段25が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≦17999(或いは、残獲得可能数<18000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定するので、報知手段26によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3へアラート通知を送信する。
【0061】
上述したように、本実施形態の遊技用装置2によれば、遊技継続不適切状態判定手段25によって、遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できるので、遊技継続不適切状態を判定した場合には報知手段26によって報知し、適切な対応を遊技店員等に促すことができる。
【0062】
次に、遊技継続不適切状態判定機能を備える管理装置3′の実施形態を説明する。図8は、遊技機1と遊技用装置2′と管理装置3′の概略構成である。
【0063】
遊技機1は、前述したように、遊技制御を行うための制御部11と、遊技用装置2との通信を行うための遊技用装置通信部12と、コンプリート機能制御部13を備える。遊技用装置2′は、少なくとも、制御部21と遊技機通信部22と管理装置通信部27を備え、遊技機1からの電断情報を含む第1の管理情報と、遊技機1からの遊技機情報を含む第2の管理情報を管理装置3′へ送信する機能を備える。
【0064】
遊技用装置2′より第1,第2の管理情報を受信する管理装置3′は、遊技店PP内の各種装置を統括的に管理する制御部31と、遊技用装置2′との通信を行って諸情報を受信する受信手段としての遊技用装置通信部32と、電断履歴管理手段33と、遊技機情報管理手段34と、遊技継続不適切状態判定手段35と、報知手段36とを備える。
【0065】
電断履歴管理手段33は、遊技機1の電源が遮断された後に電源投入されたと推定可能な電断情報に基づき、遊技機1の電断履歴を管理する。この電断情報は、遊技機1との通信によって電断が生じた可能性を判定した遊技用装置2′より送信される情報であり、遊技機1が送信した「貸出通番=0」の貸出受領結果応答そのものの電文を遊技用装置2′が再送信しても良いし、遊技用装置2′が遊技機1の電断時刻などを含む情報信号を生成して管理装置3′へ送信しても良い。なお、遊技店PPに設置された多くの遊技機1や遊技用装置2′などの管理を行うため、管理装置3′には大きな記憶容量と高い処理能力が要求されるので、電断履歴管理手段33により管理する過去の電断情報は、1週間程度の比較的新しいものに限定しても良い。無論、管理装置3′の記憶容量と処理能力が十分であれば、遊技機1が遊技店PPから取り外されるまでの電断履歴を管理対象としても良い。
【0066】
遊技機情報管理手段34は、遊技用装置2′から送信される遊技機1の遊技機情報を管理する。遊技機情報には、少なくとも、遊技に消費した消費遊技媒体数と遊技結果として獲得した獲得遊技媒体数の時系列な情報が含まれており、消費遊技媒体数(負の値)と獲得遊技媒体数(正の値)を累計してゆくと、遊技機1での時間経過に伴う遊技媒体数の増減推移を遊技用装置2′側で再現できる。なお、遊技用装置2′から管理装置3に対してE-稼動情報通知が電文として送信される。このE-稼動情報通知には、例えば、発生時刻、運用モード、台番号、貸出単価、主制御型式(製品)コード、主制御メーカーコード、主制御チップ検索番号、会員番号、CID、発生種別、計数玉数、当日累積会員貯玉再プレイ玉数、当日累積会員持玉再プレイ玉数、当日累積自台(一般持玉)玉払出し数、当日累積プリペイド入金金額、当日累積プリペイド消費金額、プリペイド残高、持玉残数、貯玉残数、遊技玉残数、総アウト、総セーフ等のデータを含む。このE-稼動情報通知に含まれる総セーフのデータは、遊技用装置2′にて演算された獲得遊技媒体数の累積値として用いることができ、E-稼動情報通知に含まれる総アウトのデータは、遊技用装置2′にて演算された消費遊技媒体数の累積値として用いることができるので、これらを遊技機情報管理手段34にて管理する。
【0067】
遊技継続不適切状態判定手段35は、前述した遊技用装置2における遊技継続不適切状態判定手段25と同様に、電断履歴管理手段33により管理されている電断情報および遊技機情報管理手段34により管理されている遊技機情報に基づいて、遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かの判定を、所定の判定タイミングで行う。すなわち、管理装置3′の遊技継続不適切状態判定手段35は、電断履歴管理手段33に管理されている遊技機1の電断履歴から、最新の電源投入時以降、判定タイミングまでの間に遊技機1で発生した消費遊技媒体数と獲得遊技媒体数を用いて最大獲得数MYを求め、求めた最大獲得数MYが第1の閾値以上/超過の場合、遊技継続不適切状態であると判定する。例えば、第1の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1を設定した場合、最大獲得数MY≧1のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第1の閾値として遊技継続適切状態判定値:0を設定した場合、最大獲得数MY>0のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。なお、判定タイミングは、任意の時刻(判定時刻)でも構わないし、遊技店PPの管理者等による入力操作で、管理装置3′が遊技継続不適切状態判定指示を受けたときを判定タイミングとしてもよい。
【0068】
一方、遊技継続不適切状態判定手段35が求めた最大獲得数MYが第1の閾値以下/未満の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第1の閾値として遊技継続適切状態判定値:0を設定した場合、最大獲得数MY=0(MYは基準底値を下回る負の値とならないため、MY≦0はMY=0とする。)のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第1の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1を設定した場合、最大獲得数MY<1のとき、コンプリート機能作動までの最大差数19000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0069】
また、遊技継続不適切状態の判定に上述した判定時獲得数を用いても良い。遊技継続不適切状態判定手段35が求めた判定時獲得数が第2の閾値以上/超過の場合に、遊技継続不適切状態と判定すれば、遊技を継続させることが適切ではない遊技機1を遊技客に供して遊技客に不利益を与えることを防げる。例えば、第2の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1001を設定した場合、判定時獲得数≧1001のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第2の閾値として遊技継続適切状態判定値:1000を設定した場合、判定時獲得数>1000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。
【0070】
一方、遊技継続不適切状態判定手段35が求めた判定時獲得数が第2の閾値以下/未満の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第2の閾値として遊技継続適切状態判定値:1000を設定した場合、判定時獲得数≦1000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第2の閾値として遊技継続不適切状態判定値:1001を設定した場合、判定時獲得数<1001のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0071】
また、遊技継続不適切状態の判定に上述した残獲得可能数を用いても良い。遊技継続不適切状態判定手段35が求めた残獲得可能数が第3の閾値以下/未満の場合に、遊技継続不適切状態と判定すれば、遊技を継続させることが適切ではない遊技機1を遊技客に供して遊技客に不利益を与えることを防げる。例えば、第3の閾値として遊技継続不適切状態判定値:17999を設定した場合、残獲得可能数≦17999のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。また、第3の閾値として遊技継続適切状態判定値:18000を設定した場合、残獲得可能数<18000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されていないので、遊技機1を遊技客に供して遊技を継続させることが適切ではない遊技継続不適切状態であると判定する。
【0072】
一方、遊技継続不適切状態判定手段35が求めた残獲得可能数が第3の閾値以上/超過の場合には、遊技継続不適切状態ではないと判定できる。例えば、第3の閾値として遊技継続適切状態判定値:18000を設定した場合、残獲得可能数≧18000のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。また、第3の閾値として遊技継続不適切状態判定値:17999を設定した場合、残獲得可能数>17999のとき、コンプリート機能作動までの獲得利益として18000が確保されているので、この遊技機1を遊技客に供しても遊技客に不利益とならないことから、遊技継続不適切状態ではないと判定する。
【0073】
上述したように、遊技継続不適切状態判定手段35によって、遊技機1を遊技客に供することが適切ではない遊技継続不適切状態が判定されると、報知手段36によって該状態を遊技店員等に報せる。なお、報知手段36は、可視表示を行うものでも良いし、可聴報知を行うものでも良い。或いは、遊技継続不適切状態と判定された遊技機1に接続された遊技用装置2′に対して、管理装置3′から報知指示を行うことで、遊技用装置2′によって実際の報知動作を行うようにしても構わない。また、遊技店PPの遊技店員等が携行する携帯端末装置(ホール設備制御用リモコンやスマートホン等)に対して、管理装置3′から判定結果を送信し、遊技継続不適切状態の遊技機1があることを遊技店PPの遊技店員等に知らせてもよい。
【0074】
管理装置3′は、遊技店内に設置されている複数台の遊技機1や遊技用装置2′の諸情報を管理する制御部31と、遊技用装置2′との通信を司る遊技用装置通信部32を備える。管理装置3′は、例えば、開店指示を全ての遊技用装置2′へ送信して遊技客が遊技機1を利用できるように稼動させたり、閉店指示を全ての遊技用装置2′へ送信して遊技機1での遊技を終了させたりする。また、管理装置3′は、遊技機1や遊技用装置2′の動作モード等を決定する設定情報を遊技用装置2′へ送信する機能も備える。
【0075】
次に、図9図12に示す遊技機1と遊技用装置2′と管理装置3′との間の通信シーケンス図に基づいて、管理装置3′が行う遊技継続不適切状態の判定動作の流れを説明する。
【0076】
図9は、遊技用装置2′が前日の閉店後に遊技機1の電断を検知した後の判定時刻に、管理装置3′が遊技継続不適切状態ではないと判定する場合の一例を示す。遊技機1からの遊技機情報通知を受信した遊技用装置2′は、管理装置3′に対して知らせるべき情報がある場合、E-稼動情報通知を管理装置3′へ送信する。遊技機1の遊技機情報が更新されることに基づいて送信されたE-稼動情報通知を管理装置3′が受信すると、遊技機情報管理手段34におけるこの遊技機1の遊技機情報を更新する。また、遊技用装置2′が遊技機1に電断が有ったことを検知した場合には、電断情報(例えば、発生種別=遊技機電断)を含ませたE-稼動情報通知を管理装置3′へ送信し、電断履歴管理手段33におけるこの遊技機1の電断履歴を更新する。なお、遊技用装置2′から管理装置3′へ送信する電断情報の送信手法は、E-稼動情報通知に含ませるものに限定されない。例えば、「貸出通番=0」の貸出受領結果応答の電文をそのまま管理装置3′へ転送することで、管理装置3′が電断有りと判定し、電断履歴管理手段33の電断履歴を更新しても良い。
【0077】
遊技用装置2′が遊技機1の電断を検知する事に基づいて、管理装置3′が電断履歴管理手段33の電断履歴を更新してから、管理装置3′が判定時刻を検知するまでの間、遊技用装置2′が送信するE-稼動情報通知を受ける毎に遊技機情報を更新してゆく。そして、管理装置3′が判定時刻を検知したとき、電断検知直前の遊技機情報から判定時刻直前の遊技機情報までを用いて、遊技継続不適切状態判定手段35が遊技継続不適切状態の判定を行う。例えば、判定時刻を検知する直前に受け取った遊技機情報通知の通番が「u」であった場合、「通番=0」~「通番=u」までの遊技機情報通知に含まれる遊技機情報を用いて最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。
【0078】
管理装置3′の遊技継続不適切状態判定手段35は、算出した最大獲得数MYによって、遊技機1におけるコンプリート機能の作動が遊技客にとって不利益か否かを推し量ることができる。そして、最大獲得数MY=0(或いは、最大獲得数MY<1)を満たせば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と遊技継続不適切状態判定手段35が判定する。また、遊技継続不適切状態判定手段35が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≦1000(或いは、判定時獲得数<1001)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段35が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≧18000(或いは、残獲得可能数>17999)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定する。
【0079】
一方、図10に示すように、最大獲得数MY≧1(或いは、最大獲得数MY>0)を満たせば、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と遊技継続不適切状態判定手段35が判定する。また、遊技継続不適切状態判定手段35が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≧1001(或いは、判定時獲得数>1000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段35が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≦17999(或いは、残獲得可能数<18000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定する。
【0080】
そして、接続されている遊技機1が遊技継続不適切状態であると遊技継続不適切状態判定手段35が判定した場合、報知手段36によって報知動作が実行される。また、管理装置3′から遊技継続不適切状態であると判定した遊技機1と接続されている遊技用装置2′へ報知動作指示通知を送信し、遊技用装置2′においても遊技継続不適切状態の遊技機1があることを、報知手段26(図8中、破線で示す)によって報知しても良い。
【0081】
上述した図9図10は、遊技店PPの閉店後から開店前の間に遊技機1の電断が検知された場合であったが、より長期間にわたって、遊技機1の電源が切られないまま遊技客に供される場合でも、管理装置3′によって遊技機1の遊技継続不適切状態を判定できる。図11に示すのは、前々日に管理装置3′が閉店指示を行った後に遊技機1の電源が一旦落とされ、前日の開店前までに遊技機1の電源が投入され、この電断を遊技用装置2′が検知したのを最後に、前日の閉店以降も遊技機1の電断を検知できないまま、当日の判定時刻を管理装置3′が検知した場合である。
【0082】
このように、数日を跨いで遊技機1の電断が記録されていないときでも、管理装置3′は、電断検知の契機となった「貸出通番=0」の貸出受領結果応答に対応する「通番=0」の遊技機情報通知に基づいて更新した遊技機情報から、判定時刻直前に受信した「通番=n」の遊技機情報通知に含まれる遊技機情報に基づいて更新した遊技機情報までを用い、遊技継続不適切状態を判定するための最大獲得数MY(或いは、判定時獲得数、残獲得可能数)を算出する。そして、最大獲得数MY=0(或いは、最大獲得数MY<1)を満たせば、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と遊技継続不適切状態判定手段35が判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。また、遊技継続不適切状態判定手段35が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≦1000(或いは、判定時獲得数<1001)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。同様に、遊技継続不適切状態判定手段35が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≧18000(或いは、残獲得可能数>17999)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に適切である(遊技継続不適切状態ではない)と判定するので、遊技機1は、このまま当日の営業に供されることとなる。
【0083】
一方、図12に示すように、最大獲得数MY≧1(或いは、最大獲得数MY>0)を満たせば、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と遊技継続不適切状態判定手段35が判定するので、報知手段36によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3′から遊技用装置2′へ報知動作指示通知を送信する。また、遊技継続不適切状態判定手段35が判定時獲得数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、判定時獲得数≧1001(或いは、判定時獲得数>1000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定するので、報知手段36によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3′から遊技用装置2′へ報知動作指示通知を送信する。同様に、遊技継続不適切状態判定手段35が残獲得可能数を遊技継続不適切状態の判定に用いる設定であれば、残獲得可能数≦17999(或いは、残獲得可能数<18000)を満たすことで、遊技機1は遊技継続に不適切である(遊技継続不適切状態である)と判定するので、報知手段36によって報知動作が実行され、必要であれば管理装置3′から遊技用装置2′へ報知動作指示通知を送信する。
【0084】
また、本実施形態の管理装置3′によれば、遊技継続不適切状態判定手段35によって、遊技機1で遊技を行うことが適切ではない遊技継続不適切状態か否かを判定できるので、遊技継続不適切状態を判定した場合には報知手段36によって報知し、適切な対応を遊技店員等に促すことができる。
【0085】
以上、本発明に係る遊技用装置および管理装置を各実施形態に基づき説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての遊技用装置および管理装置を権利範囲として包摂するものである。
【符号の説明】
【0086】
1 遊技機
2 遊技用装置
22 遊技機通信部
23 電断履歴管理手段
24 遊技機情報管理手段
25 遊技継続不適切状態判定手段
26 報知手段
3′ 管理装置
32 遊技用装置通信部
33 電断履歴管理手段
34 遊技機情報管理手段
35 遊技継続不適切状態判定手段
36 報知手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12