(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101726
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005819
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】522436352
【氏名又は名称】株式会社推しメーター
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 翔和
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】 ユーザの応援活動を記録し、証明することができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】 ユーザの応援活動を取得する検出部と、取得された応援活動を蓄積する蓄積部と、応援活動の蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出する算出部と、算出部により算出されたパラメータ値をユーザに対応付けて保管する保管部と、パラメータ値を表示する表示部と、算出部により算出されたパラメータ値が所定の基準を満たした場合に、所定の証明書を発行する証明書発行部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの応援活動を取得する検出部と、
取得された前記応援活動を蓄積する蓄積部と、
前記応援活動の蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記パラメータ値を前記ユーザに対応付けて保管する保管部と、
前記パラメータ値を表示する表示部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記保管部は、前記パラメータ値をNFTとして、前記ユーザに対応付けられたウォレットに保管する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部により算出された前記パラメータ値が所定の基準を満たした場合に、所定の証明書を発行する証明書発行部を備え、
前記保管部は、前記所定の証明書を前記ユーザに対応付けて保管する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記保管部は、前記所定の証明書をNFTとして、前記ユーザに対応付けられたウォレットに保管する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記所定の証明書を表示する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記ユーザが視聴した配信の視聴時間を検出し、前記算出部は前記蓄積部に蓄積された前記視聴時間に基づいて前記パラメータ値を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの応援活動を取得する検出ステップと、
取得された前記応援活動を蓄積する蓄積ステップと、
前記応援活動の蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された前記パラメータ値を前記ユーザに対応付けて保管する保管ステップと、
前記パラメータ値を表示する表示ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
「推し活」とは、自分が気に入った人やキャラクターなどの対象(推し)を、さまざまな形で応援する活動のことをいう(特許文献1参照)。推しが配信している動画を視聴したり、推しのライブやイベントを観に行ったり、グッズを買ったりすることもその活動の一部である。応援する対象はさまざまであり、アーティスト、アイドル、アニメキャラ、ゲームキャラなど、任意の対象が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、「推し活」などのユーザの応援活動を記録し、証明することができる装置やシステムは開発されていない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、ユーザの応援活動を記録し、証明することができる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、
ユーザの応援活動を取得する検出部と、
取得された前記応援活動を蓄積する蓄積部と、
前記応援活動の蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記パラメータ値を前記ユーザに対応付けて保管する保管部と、
前記パラメータ値を表示する表示部と、
を備える情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、ユーザの応援活動を記録し、証明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】検出部における処理の例を示すフローチャートである。
【
図3】
図2の処理において蓄積部に格納される時間計測テーブルの構成例を示す図である。
【
図4】算出部における処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】証明書発行部における処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】表示部の機能によりユーザの端末に表示される表示画面を例示する図である。
【
図8】表示部の機能によりユーザの端末に表示される表示画面を例示する図である。
【
図9】表示部の機能によりユーザの端末に表示される表示画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施例の情報処理装置の構成を示す図である。
【0011】
本実施例の情報処理装置10は、ユーザの応援活動を記録し、証明するなどのサービスをユーザ(当該サービスの提供を受ける者)に提供する機能を有する。情報処理装置10は、例えば、当該サービスの提供者によって管理される。
【0012】
本実施例では、ユーザの応援活動を公平性、信頼性がある形で記録する。すなわち、不正ができず真実が記録されることが意図されている。また、同時に、ユーザの応援活動が他者から承認される状態で記録されることが意図されている。具体的には、ユーザの応援活動を蓄積してその蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出し、そのパラメータ値をNFT(Non-Fungible Token)としてブロックチェーン上に存在するユーザ毎に割り振られたウォレットに保管する。また、パラメータ値が所定の基準を満たした場合に、所定の証明書を発行し、これをNFTとして上記ウォレットに保管する。さらに、ウォレットに保管されたパラメータ値や証明書を、ユーザ本人や他のユーザ、あるいはユーザの応援を受ける応援対象の側で、端末などの表示画面を介して確認することができる。
【0013】
このように、ブロックチェーン上のウォレットに応援活動を保存し、表示画面上で確認可能とすることにより、ユーザ本人にとっては応援活動が報われる形で記録、可視化される。すなわち、応援活動を自動的に記録し、記録された応援活動を視覚化することにより、応援活動への意欲が高められる。また、ユーザの応援活動がブロックチェーン上に記録されることにより、他者に対してその応援活動を証明することが可能となる。また、応援活動がある種の資産のような機能を伴うことになる。
【0014】
図1に示すように、本実施例の情報処理装置10は、当該サービスの提供を受けるユーザの応援活動を取得する検出部11と、取得された応援活動を蓄積する蓄積部12と、応援活動の蓄積の程度に対応するパラメータ値を算出する算出部13と、算出部13により算出されたパラメータ値が所定の基準を満たした場合に、所定の証明書を発行する証明書発行部15と、算出部13により算出されたパラメータ値や証明書発行部15により発行された証明書などをブロックチェーン上に存在するユーザ毎に割り振られたウォレットに保管する保管部14と、パラメータ値等を表示する表示部16と、を備える。
【0015】
情報処理装置10は、インターネット50に接続された単一または複数のサーバを用いて構成することができる。例えば、蓄積部12を他の構成要素とは別のサーバにより構成してもよい。また、情報処理装置10の構成の一部を、インターネット50に接続可能とされた単一または複数の端末により構成することもできる。
【0016】
次に、検出部11および蓄積部12の機能について説明する。
図2は、検出部における処理の例を示すフローチャートである。この処理では、配信動画の視聴時間を検出部11により検出する例を示している。
【0017】
図2のステップS102では、検出部11は、Bot(所定のプログラム)によるコマンドの検知を介して、ユーザ(例えば、端末31のユーザ)が、動画配信サイトに「Istartコマンド」をコメントとして送信したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS104へ進め、判断が否定されれば処理をステップS110へ進める。
【0018】
ステップS104では、検出部11は、現在時刻を視聴開始時刻として取得する。
【0019】
ステップS106では、検出部11は、「Istartコマンド」を送信したユーザIDおよび「Istartコマンド」の送信先を特定する配信者IDを端末(例えば、端末31)から取得する。
【0020】
ステップS108では、検出部11は、ステップS104で取得された視聴開始時刻を、ステップS106で取得されたユーザIDおよび配信者IDに対応付けて、蓄積部12に格納する。
【0021】
ステップS110では、検出部11は、Botによるコマンドの検知を介して、ユーザ(例えば、端末31のユーザ)が、動画配信サイトに「Iendコマンド」をコメントとして送信したか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS112へ進め、判断が否定されれば処理をステップS102へ進める。
【0022】
ステップS112では、検出部11は、現在時刻を視聴終了時刻として取得する。
【0023】
ステップS114では、検出部11は、「Iendコマンド」を送信したユーザIDおよび「Iendコマンド」の送信先を特定する配信者IDを端末(例えば、端末31)から取得する。
【0024】
ステップS116では、検出部11は、ステップS112で取得された視聴終了時刻を、ステップS114で取得されたユーザIDおよび配信者IDに対応付けて、蓄積部12に格納し、処理をステップS102へ進める。
【0025】
図3は、
図2の処理において蓄積部に格納される時間計測テーブルの構成例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、蓄積部12に格納される時間計測テーブルには、ユーザIDおよび配信者IDに対応付けられて視聴開始時刻および視聴終了時刻が記録される。時間計測テーブルは、ユーザが配信動画などを視聴するたびに生成されて、蓄積部12に蓄積される。
【0027】
次に、算出部13および保管部14の機能について説明する。
図4は、算出部における処理の例を示すフローチャートである。
【0028】
図4のステップS202では、算出部13は、新たな時間計測テーブル(
図3)が蓄積部12に格納されたか否か判断し、判断が肯定されるのを待って処理をステップS204へ進める。
【0029】
ステップS204では、算出部13は、新たな時間計測テーブルを取得し、視聴開始時刻および視聴終了時刻に基づいて、今回の視聴時間を算出する。
【0030】
ステップS206では、算出部13は、ステップS204で算出された今回の視聴時間を、ユーザに対応付けられたウォレットに格納された視聴時間テーブルに反映させる。
【0031】
【0032】
図5に示すように、視聴時間テーブルには、ユーザIDおよび配信者IDに対応付けられてパラメータ値としての合計視聴時間が記録される。合計視聴時間は、ユーザIDに対応するユーザが配信者IDに対応する配信サイトの動画を視聴した延べ時間を示している。
【0033】
ステップS206においては、算出部13は、ステップS204で算出された今回の視聴時間に基づいて、対応する視聴時間テーブルの合計視聴時間を更新する。すなわち、算出部13は、対応する視聴時間テーブルの合計視聴時間に今回の視聴時間を加算する。ユーザIDに対応するユーザが配信者IDに対応する配信サイトの動画を初めて視聴した場合には、更新により視聴時間テーブルの合計視聴時間は、今回の視聴時間と同時間となる。
【0034】
ステップS208では、保管部14は、算出部13により合計視聴時間が更新(算出)された視聴時間テーブルを、ユーザID(ユーザ)に対応付けられたウォレットに保管し、処理をステップS202へ進める。
【0035】
次に、証明書発行部15の機能について説明する。
図6は、証明書発行部における処理の例を示すフローチャートである。
【0036】
図6のステップS302では、証明書発行部15は、算出部13において視聴時間テーブルの合計視聴時間を更新(ステップS206)したか否か判断し、判断が肯定されるのを待って、ステップS304へ処理を進める。
【0037】
ステップS304では、証明書発行部15は、更新された視聴時間テーブルからユーザID、配信者IDおよび合計視聴時間を取得する。
【0038】
ステップS306では、証明書発行部15は、取得された合計視聴時間が所定の閾値を超えたか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS308へ進め、判断が否定されれば処理をステップS302へ進める。
【0039】
ステップS308では、証明書発行部15は、ステップS304で取得されたユーザIDおよび配信者IDに対応付けた証明書を発行する。
【0040】
ステップS310では、保管部14は、証明書発行部15により発行された証明書をユーザID(ユーザ)に対応付けられたウォレットに保管し、処理をステップS302へ進める。
【0041】
次に、表示部16の機能について説明する。
【0042】
図7~
図9は、表示部の機能によりユーザの端末に表示される表示画面を例示する図である。
【0043】
図7の例では、端末31の表示画面に、当該ユーザが特定の配信者の動画をすでに48時間視聴したこと、すなわち、視聴時間テーブルの合計視聴時間が48時間に到達したことが、メータを用いた表示により示されている。また、同時に、この表示によって、当該ユーザが当該特定の配信者の動画をトータルで50時間視聴すれば、証明書発行部15により所定の証明書が発行される旨が予告されている。このように、本実施例では、合計視聴時間が視覚的にわかりやすくメータを用いて表示される。
【0044】
図8の例では、端末31の表示画面に、証明書発行部15により発行され、ユーザによって受け取られた証明書としての称号が表示されている。この例では、当該ユーザが当該特定の配信者の動画をトータルで50時間視聴したことを示す称号が表示されている。
【0045】
図9の例では、証明書発行部15により発行された証明書としての称号をユーザが受け取る際の端末31の表示画面の表示を示している。この例では、ユーザが未受け取りの称号が残っている旨が示されている。
【0046】
表示部16は、応援活動をユーザ以外の者に対しても、当該ユーザの応援活動のいわば成果を表示することができる。
【0047】
例えば、表示部16は、応援対象を共通とする他のユーザの端末32(
図1)の表示画面に、上記称号が発行されたことを表示することができる。また、表示部16は、当該情報を応援対象の側(応援対象である者、応援対象を管理、運営する者など)、その他の者の端末33の表示画面に表示することができる。これにより、応援活動を行っているユーザは、他のユーザや応援対象などから、その応援活動を評価してもらうことが可能となる。他のユーザとしては、応援活動の励みとなる。また、応援対象サイドとしては、ユーザ毎の応援活動の程度を正確に把握できる。このため、応援対象の側では、例えば、その応援活動の程度に応じた適切な返礼などを、各ユーザに対して行うことが可能となる。
【0048】
上記実施例では、配信されている動画の合計視聴時間をパラメータ値として算出しているが、パラメータ値は配信動画の視聴時間に関するものに限定されない。パラメータ値は、検出部11によって検出可能な応援活動の蓄積度を示すものであれば、任意のものを選択できる。
【0049】
例えば、パラメータ値を、配信動画以外の動画や応援対象に関連する記事などの視聴時間(合計視聴時間)としてもよい。また、ユーザが使用した金額をパラメータ値としてもよい。この場合、例えば、アルバム、自主制作デジタル作品、デジタルグッズ等の購入金額や、いわゆる投げ銭の額、あるいはこれらの合計額をパラメータ値とすることができる。
【0050】
また、パラメータ値を、コンテンツの利用に伴う課金情報やユーザから発信されたSNS情報、作品に対する考察などのユーザの行動に関連付けてもよい。
【0051】
検出部11により検出可能な応援活動としては、例えば、端末31のユーザが端末31を介して視聴し、購入し、あるいは情報を発信した行為を挙げることができる。しかし、検出部11により検出可能な応援活動であれば、これをパラメータ値に反映させることができる。
【0052】
例えば、インターネット50を介する購入に限らず、他の手段による購入、例えば、応援対象が出店するショップやコンサート会場などにおけるグッズ等の購入であってもよい。この場合、その購入情報が端末31などにより取得でき、したがって検出部11で検出可能であれば、パラメータ値の算出に反映させることができる。
【0053】
また、ユーザの位置情報を、例えば、リアルタイムでの端末31の位置情報として取得し、これを応援活動としてカウントすることも可能である。すなわち、端末31の位置情報を検出部11を検出し、その位置情報の履歴に基づいてパラメータ値を算出してもよい。
【0054】
また、ユーザの動作情報を検出部11が検出し、パラメータ値に反映させることもできる。例えば、端末31にアプリを実装することにより、ユーザのダンスやカラオケでの歌唱、ライブへの参加などを端末31の加速度センサや端末31で検出される音声を介して検出できるようにしてもよい。
【0055】
その他、検出部11で検出する手段が講じられている場合には、服やアクセサリーとしてファングッズを身に付け、自主制作グッズを制作し、あるいはファン同士のオフ会などへ出席したことをパラメータ値に反映させてもよい。
【0056】
本実施例では、算出されたパラメータ値および発行された称号がブロックチェーン上でNFTとして記録される。このため、その信頼性に基づいて、これらパラメータ値および称号をなんらかの取引に使用することもできる。これにより、ユーザの応援活動を示すデジタルデータ(パラメータ値や称号)が、いわば資産としての機能を発揮しうる。例えば、パラメータ値や称号を経済的価値を有する取引対象として取り扱うことができる。この場合、取引対象となるパラメータ値や称号の範囲や、その取引の形態は、情報処理装置10を管理するサービス提供者によりコントロール可能とされてもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施例の情報処理装置10によれば、ユーザの応援活動を記録し、証明するなどのサービスをユーザに提供することができる。当該サービスにより、応援活動を自動的に記録し、記録された応援活動を視覚化することができるので、応援活動への意欲が高められる。また、ユーザの応援活動がブロックチェーン上に記録されることにより、他者に対してその応援活動を証明することが可能となる。
【0058】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 情報処理装置
11 検出部
12 蓄積部
13 算出部
14 保管部
15 証明書発行部
16 表示部