(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101734
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】サポートプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
G06F3/12 328
G06F3/12 356
G06F3/12 332
G06F3/12 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005834
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕詞
(72)【発明者】
【氏名】成田 建樹
(72)【発明者】
【氏名】細溝 仁人
(72)【発明者】
【氏名】江口 愛莉
(57)【要約】
【課題】OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタのカット機能に対応可能な技術を提供すること。
【解決手段】PC1には、汎用印刷プログラム41を有するOS21が搭載されている。カット機能を有するプリンタ2に対応する補助プログラム42は、A4サイズのシートをプリンタ2での搬送方向に対応する長手方向に二分するカット設定を受け付けるための詳細設定画面60をユーザIF13に表示させ、詳細設定画面60を介してカット設定を受け付け可能である。補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41に対して画像の印刷をプリンタ2に行わせる印刷指示が編集アプリ43から出力され、カット設定を受け付けている場合に、印刷データをカットコマンドと関連付けて、プリンタ2に送信させる。プリンタ2は、カットコマンドと関連付けられた印刷データを受信した場合、印刷とカットとを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記プリンタは、印刷媒体となるシートをカットするカット機能を有するものであり、前記情報処理装置には、汎用印刷プログラムを有するオペレーティングシステムが搭載されており、
前記コンピュータに、
第1サイズのシートを前記プリンタでの前記シートの搬送方向に対応する第1方向に二分するカットプリントに関するカット設定であって、前記カットプリントを行うか否かの設定が含まれる前記カット設定を受け付けるための設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させる設定画面表示処理と、
前記設定画面表示処理にて表示された前記設定画面を介して、前記ユーザインタフェースを用いて、前記カット設定を受け付ける設定受付処理と、
を実行させることが可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
前記印刷指示に基づく印刷データを、カット指示と関連付けて、前記プリンタに送信するための印刷データ送信処理を実行させ、前記プリンタは、前記カット指示と関連付けられた前記印刷データを受信した場合、前記第1サイズのシートの搬送を開始し、前記印刷データに基づく画像を前記シートに印刷する処理と、前記シートをカットして前記第1方向に二分する処理と、を実行する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
前記印刷指示による印刷対象の前記画像を示す画像データを取得し、取得された前記画像データに示される前記画像に基づいて、前記カットプリントによるカット後の各シートに印刷されている画像に対応するプレビュー画像を、前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースに表示させるプレビュー処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項3】
請求項1に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
前記印刷指示による印刷対象の前記画像を示す画像データをページ単位で取得し、取得された前記画像データに示される前記画像に基づいて、前記第1サイズを長辺で二分したサイズである第2サイズに対応する画像を、前記第1方向に2ページ分並べて配置した前記第1サイズに対応する配置画像を生成する第1生成処理を実行させ、
前記印刷データ送信処理では、前記第1生成処理にて生成された前記配置画像に基づく前記印刷データを、前記プリンタへの送信対象とする、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載するサポートプログラムであって、
前記第1生成処理では、
取得された前記画像データに示される前記画像が前記第1サイズに対応する画像であった場合に、取得された前記画像データに示される前記画像を前記第2サイズに縮小した縮小画像を、前記第1方向に2ページ分並べて配置した前記第1サイズに対応する前記配置画像を生成する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項5】
請求項3に記載するサポートプログラムであって、
前記第1生成処理では、
取得された前記画像データに示される前記画像が前記第2サイズに対応する画像であった場合に、取得された前記画像データに示される前記画像を、前記第1方向に2ページ分並べて配置した前記第1サイズに対応する前記配置画像を生成する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項6】
請求項3に記載するサポートプログラムであって、
前記第1生成処理では、
出力の優先順にページ単位で前記画像データを取得し、取得された前記画像データに示される前記画像に基づいて、前記第2サイズに対応する画像を、前記第1方向に、先に取得されたページの画像を前記第1方向の先端側に、後に取得されたページの画像を前記第1方向の後端側に、それぞれ並べて配置した前記第1サイズに対応する前記配置画像を生成する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項7】
請求項3に記載するサポートプログラムであって、
前記第1生成処理では、
取得された前記画像データに示される前記画像に基づいて、前記第2サイズに対応する画像を、前記第1方向に2ページ分並べて配置し、さらに前記2ページ分の画像のうち一方のページの画像と他方のページの画像との間に、前記プリンタによって着色材が付与されない第1隙間領域を設けた前記配置画像を生成する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載するサポートプログラムであって、
前記第1生成処理では、
前記第1サイズを長辺で二分する中央位置を基準として、前記プリンタの前記第1方向のカット誤差よりも大きくなるように、前記第1隙間領域の幅を設定する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項9】
請求項1に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
前記印刷指示による印刷対象の前記画像であって前記第1サイズに対応する前記画像を示す画像データを取得し、取得された前記画像データに示される前記画像に対して、前記第1サイズを長辺で二分する中央位置を含む箇所に、前記プリンタによって着色材が付与されない第2隙間領域を設ける加工を行った加工画像を生成する第2生成処理を実行させ、
前記印刷データ送信処理では、前記第2生成処理にて生成された前記加工画像に基づく前記印刷データを、前記プリンタへの送信対象とする、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載するサポートプログラムであって、
前記第2生成処理では、
取得された前記画像データに示される前記画像に対して、前記中央位置を含む前記箇所を、白ベタ画像によって上書きすることで前記第2隙間領域を設ける、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第2生成処理において取得された前記画像データに示される前記画像の前記中央位置を含む前記箇所に描画データがあった場合に、前記ユーザインタフェースを用いて、描画データの消失を示す報知を行う報知処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項12】
請求項9に記載するサポートプログラムであって、
前記第2生成処理では、
前記第1サイズを長辺で二分する前記中央位置を基準として、前記プリンタの前記第1方向のカット誤差よりも大きくなるように、前記第2隙間領域の幅を設定する、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項13】
請求項1に記載するサポートプログラムであって、
前記汎用印刷プログラムは、前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースに前記プリンタでの印刷に関する印刷設定を受け付ける印刷設定画面を表示させるための表示データを取り扱うことが可能であり、前記印刷設定には、用紙サイズの種類を設定するための項目が含まれ、
前記設定画面表示処理では、前記プリンタの能力情報に基づいて前記表示データを生成し、生成された前記表示データを前記汎用印刷プログラムに渡し、前記印刷設定画面を前記設定画面として前記表示データに従って表示させ、前記能力情報に含まれる用紙サイズの種類には、前記カット設定が関連付けられた特別サイズが追加されており、
前記設定受付処理では、前記印刷設定画面にて用紙サイズの種類として前記特別サイズが設定されることで、前記カット設定を受け付ける、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載するサポートプログラムであって、
前記設定画面表示処理では、
前記用紙サイズの種類に、前記特別サイズとして、第1のカット設定が関連付けられた第1特別サイズと、前記第1のカット設定とは異なる第2のカット設定が関連付けられた第2特別サイズと、を含む前記能力情報に基づいて前記表示データを生成し、生成された前記表示データに従って表示される前記印刷設定画面では、用紙サイズの種類として前記第1特別サイズを設定することも前記第2特別サイズを設定することも可能であり、
前記コンピュータに、
前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
用紙サイズの種類として、前記第1特別サイズが選択された前記印刷指示であった場合、前記第1のカット設定に基づいて前記カットプリント用の印刷データを生成し、前記第2特別サイズが選択された前記印刷指示であった場合、前記第2のカット設定に基づいて前記カットプリント用の印刷データを生成する第3生成処理を実行させ、
前記印刷データ送信処理では、前記第3生成処理にて生成された前記印刷データを、前記プリンタへの送信対象とする、
ように構成されるサポートプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
用紙サイズの種類に前記第1サイズが選択された前記印刷指示があり、前記カットプリントを行わないことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、
前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースを用いて、前記カットプリントができる用紙サイズの設定があることを示す案内を行う案内処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体となるシートをカットするカット機能を有するプリンタが知られている。例えば特許文献1には、カット機能を備える画像形成装置であって、複数ページの画像を1枚のシートに印刷するようにレイアウトした画像を示す画像データを生成し、そのレイアウト後の画像データに基づく印刷を行い、印刷後のシートをページ単位でカットする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、前述したプリンタベンダから提供されるプリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム(OS)の一部を構成するOS標準の汎用印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、OSがプリンタを検知するとOS標準の汎用印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタベンダから提供されるプリンタドライバを用いずに、OS標準の汎用印刷プログラムが印刷データを生成することで、OS標準の汎用印刷プログラムによる印刷が可能になる。
【0005】
しかしながら、前記したOS標準の汎用印刷プログラムでは、カット機能に関する設定が用意されていない。そのため、このような印刷環境においてはプリンタの能力を十分に発揮できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記プリンタは、印刷媒体となるシートをカットするカット機能を有するものであり、前記情報処理装置には、汎用印刷プログラムを有するオペレーティングシステムが搭載されており、前記コンピュータに、第1サイズのシートを前記プリンタでの前記シートの搬送方向に対応する第1方向に二分するカットプリントに関するカット設定であって、前記カットプリントを行うか否かの設定が含まれる前記カット設定を受け付けるための設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させる設定画面表示処理と、前記設定画面表示処理にて表示された前記設定画面を介して、前記ユーザインタフェースを用いて、前記カット設定を受け付ける設定受付処理と、を実行させることが可能であり、さらに前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があり、前記設定受付処理にて前記カットプリントを行うことが設定された前記カット設定が受け付けられている場合に、前記印刷指示に基づく印刷データを、カット指示と関連付けて、前記プリンタに送信するための印刷データ送信処理を実行させ、前記プリンタは、前記カット指示と関連付けられた前記印刷データを受信した場合、前記第1サイズのシートの搬送を開始し、前記印刷データに基づく画像を前記シートに印刷する処理と、前記シートをカットして前記第1方向に二分する処理と、を実行する、ように構成されている。
【0007】
本明細書に開示されるサポートプログラムは、カット機能を有するプリンタに対応するサポートプログラムである。サポートプログラムは、カット設定を受け付けるための設定画面を表示し、その設定画面を介してカットプリントを行うか否かのカット設定を受け付けることが可能である。そして、印刷指示が出力され、カットプリントを行うカット設定を受け付けていた場合、サポートプログラムは、印刷データをカット指示と関連付けてプリンタに送信するための処理を実行する。これにより、プリンタでは、そのカット指示に基づいてシートをカットすることができる。従って、プリンタドライバがインストールされていない情報処理装置からであっても、プリンタでのカットプリントを実現できる。
【0008】
上記サポートプログラムが組み込まれた情報処理装置、サポートプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、及びサポートプログラムの機能を実現するための制御方法、サポートプログラムとプリンタとを含む印刷システムも、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタのカット機能に対応可能な技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】PCの電気的構成の概略を示すブロック図である。
【
図3】印刷設定手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】用紙サイズ選択画面の例を示す説明図である。
【
図7】印刷実行手順の例を示すシーケンス図である。
【
図9】生成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、PCにて実行されるサポートプログラムを開示する。
【0012】
本形態のPC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。PC1は、情報処理装置の一例である。CPU11は、コンピュータの一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、
図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
PC1のCPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0014】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアであるディスプレイ13aと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、情報を表示可能なディスプレイ13aと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、ディスプレイ13aの機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0015】
通信IF14は、プリンタ2等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。PC1は、通信IF14を介して、インターネットに接続可能であっても良い。PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0016】
PC1のメモリ12には、
図1に示すように、汎用印刷プログラム41を含むオペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、補助プログラム42と、編集アプリ43と、を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。補助プログラム42は、サポートプログラムの一例である。編集アプリ43は、アプリケーションプログラムの一例である。
【0017】
OS21は複数のタスクを管理して切り換えることにより複数のタスクを並行して処理できるマルチタスクOSである。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0018】
OS21には、汎用印刷プログラム41が含まれている。すなわち、PC1には、汎用印刷プログラム41を有するOS21が搭載されている。汎用印刷プログラム41は、OS21のベンダによって用意され、OS21の一部として提供されるOS標準のプログラムである。汎用印刷プログラム41は、各プリンタに固有のプリンタドライバを利用するようには構成されていない。
【0019】
汎用印刷プログラム41は、ユーザの指示に基づいて、複数のベンダによってそれぞれ提供される複数種類のモデルのプリンタに印刷を実行させるための機能を有するプログラムである。汎用印刷プログラム41は、多くのプリンタにて印刷を実行可能な汎用的な機能をサポートしている。汎用印刷プログラム41は、各プリンタに固有のプリンタドライバとは異なり、各プリンタやプリンタドライバが固有に備える機能、特に複雑な処理を要する機能をサポートしていない。
【0020】
汎用印刷プログラム41は、ユーザの指示に基づいて、各種のアプリから出力された印刷指示にて印刷対象として指定された画像データを受け取り、その画像データに基づく中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。中間画像データは、例えば、XPSデータである。汎用印刷プログラム41は、さらに、中間画像データに基づいて、各種のプリンタにて印刷に利用できる形式の印刷データを生成する機能を有している。印刷データは、例えば、PWGRasterデータ、または、PDFデータである。また、汎用印刷プログラム41は、生成した印刷データを、OS21による通信機能を介して、印刷を実行させる装置として指定されたプリンタに送信する機能を有している。
【0021】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41の処理に付随してOS21からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするプログラムである。本形態の補助プログラム42は、PC1に接続されているプリンタ2のモデルに対応するものであり、例えば、プリンタ2のベンダによって提供される。汎用印刷プログラム41は、印刷を実行させる装置としてプリンタ2が選択された場合、プリンタ2が選択されている状態で詳細な印刷設定の指示を受け付けた場合、プリンタ2に印刷を実行させる指示を受け付けた場合、等に、プリンタ2に対応する補助プログラム42を起動する。補助プログラム42は、例えば、印刷サポートアプリ(略称、PSA)、またはハードウェアサポートアプリ(略称、HSA)と呼ばれるものである。
【0022】
なお、補助プログラム42は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、1つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。また、補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。
【0023】
PC1のOS21は、例えば、新たなプリンタがPC1に接続された場合、接続されたプリンタのタイプやモデルに応じて、適切な補助プログラムをプリンタのベンダのサーバ等からダウンロードしてPC1に組み込むことができる。OS21は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ12に記憶させる。
【0024】
編集アプリ43は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのプログラムである。編集アプリ43は、例えば、マイクロソフト(登録商標)製のワード(登録商標)やパワーポイント(登録商標)などであっても良いし、プリンタ2のベンダから提供されるプログラムであっても良い。編集アプリ43は、ユーザIF13を介して、例えば、プリンタ2に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付け可能である。なお、編集アプリ43は、データの作成や編集を行うためのプログラムに限らず、ユーザの要求に応じて、地図情報やウェブページ等の各種の情報の表示指示や印刷指示を受け付ける機能を有するプログラムであっても良い。
【0025】
本形態のPC1は、通信IF14を介して、
図1に示すように、プリンタ2に接続されている。本形態のプリンタ2は、例えば、
図2に示すように、シートに画像を形成する印刷ヘッド31と、印刷前のシートを収容する給紙トレイ32と、印刷済みのシートが載置される排紙トレイ33と、シートを搬送する搬送機構34と、シートを切断するカッタ35と、を備える。プリンタ2は、少なくとも印刷機能と通信機能とシート切断機能とを有する装置である。
【0026】
プリンタ2は、例えば、PC1等から印刷データを受信した場合、受信した印刷データに基づく印刷を実行可能である。プリンタ2は、印刷実行時には、給紙トレイ32に収容されており印刷媒体となるシートPの1枚を、搬送機構34によって給紙トレイ32から給紙し、
図2中に一点鎖線で示す経路R1に沿って搬送して、印刷ヘッド31に対向させる。印刷ヘッド31は、例えば、インクジェット方式での印刷を実行可能なものであり、
図2中で上方から下方へ向かってインク滴を吐出することで、対向するシートの図中で上側の面に画像を形成する。プリンタ2は、印刷しつつシートを搬送し、印刷済みの面を図中の上方に向けて、いわゆるフェイスアップで、排紙トレイ33に排紙する。なお、印刷ヘッド31の印刷方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式、熱転写方式等でも良い。また、本形態のプリンタ2は、カラー印刷が可能であっても良いし、モノクロ印刷のみを行うものでも良い。
【0027】
さらに、本形態のプリンタ2は、例えば、
図2に示すように、シートの搬送方向について搬送ローラ341と搬送ローラ342との間に配置されるカッタ35を備える。カッタ35は、例えば、上下1対のブレードと、ブレードを移動させるキャリッジと、を備えている。キャリッジは、両ブレードを、互いに接近させた状態で、搬送ローラ342の軸方向に平行に、すなわち、プリンタ2におけるシートの搬送方向に直交する方向に移動させることができる。搬送ローラ342は、搬送機構34のうち、排紙トレイ33に最も近い位置に配置される搬送ローラである。なお、カッタ35は、上下のいずれか一方のブレードとブレードに対向する部材とを有する構成でも良いし、シートの幅方向に延びるブレードとブレードを上下に移動させるキャリッジとを有する構成でも良い。
【0028】
プリンタ2は、カッタ35を有することにより、印刷済みで排紙前のシートをシートの搬送方向について前後に二分する機能であるカット機能を有し、カット機能の実行を指示するカットコマンドを受け付け可能である。プリンタ2におけるシートの搬送方向は、第1方向の一例である。具体的には、プリンタ2は、用紙センサの検出結果等に基づいて搬送中のシートの先端部や後端部の位置の情報を取得し、取得した情報に基づいて、所定の位置まで搬送した状態でシートの搬送を停止してカッタ35を駆動することができる。プリンタ2は、例えば、A4サイズのシートを長手方向に搬送し、長手方向の中央位置で前後に二分することで、A5サイズの2枚のシートとして出力することができる。
【0029】
プリンタ2のカッタ35による切断位置には、シートの搬送ずれやブレードの駆動位置ずれ等による位置ずれが生じる可能性がある。この位置ずれによるカット誤差は、モデルごとや個別のプリンタごとにあらかじめ決まっている。カット誤差は、実際の切断位置と設定位置との差の最大値である。本形態のプリンタ2のカット誤差は、例えば、3mmである。この場合、本形態のプリンタ2による実際の切断位置は、例えば、A4サイズの長辺方向の中央位置である設定位置に対して、±3mmの範囲内となる。つまり、出力されるシートは、厳密にA5サイズのシートとはならない可能性がある。
【0030】
また、本形態のプリンタ2は、両面印刷を実行可能である。両面印刷を実行する場合、プリンタ2は、シートの一面への印刷が終了した後、シートを排紙トレイ33に排紙する前に搬送を停止して引き戻し、シートの前後および表裏を反転させて再び、印刷ヘッド31に対向させる。具体的には、プリンタ2は、片面への印刷が完了したシートの搬送方向について後端部が分岐点BPに到達したら、搬送機構34を一旦停止させ、搬送方向を逆転させて、
図2中に二点鎖線で示す経路R2にシートを引き込む。経路R2は、印刷ヘッド31より搬送方向について上流側の合流点GPにて経路R1と合流する。シートは、合流点GPから経路R1に入り、未印刷の面を図中上方に向けて、印刷ヘッド31に再び対向する。プリンタ2は、両面への印刷後、後で印刷した面を上方に向けて排紙トレイ33に排紙する。
【0031】
次に、本形態のPC1における印刷に関する動作の手順について、シーケンス図を参照して説明する。なお、本形態における各処理は、基本的に、補助プログラム42などのプログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。CPU11による処理は、OS21のAPIを用いたハードウェアの制御も含む。本明細書では、OS21の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。
【0032】
印刷に関する手順として、まず、印刷設定手順について、
図3のシーケンス図を参照して説明する。編集アプリ43は、ユーザの指示に基づいて、文章や画像の作成や編集を受け付ける。そして、表示中の文章や画像を印刷させたい場合、ユーザは、編集アプリ43にて印刷を選択する(A01)。ユーザは、例えば編集アプリ43に設けられた操作項目のメニューから、印刷を選択できる。
【0033】
編集アプリ43は、印刷の選択を受け付けると、OS21の汎用印刷プログラム41に印刷に関する印刷設定を受け付ける画面の表示を要求する(A02)。汎用印刷プログラム41は、要求に応じて、印刷設定画面をユーザIF13に表示させる(A03)。印刷設定画面は、汎用印刷プログラム41にて受け付け可能な各種の印刷設定について、ユーザの指示を受け付ける画面である。なお、印刷設定画面の表示は、編集アプリ43が行っても良い。
【0034】
印刷設定画面の例を
図4に示す。
図4の例の印刷設定画面D2は、プリンタ選択欄51、情報表示欄52、基本的な印刷設定の選択欄53、詳細設定ボタン54、印刷ボタン55、を含む。プリンタ選択欄51は、印刷を実行させるデバイスの選択を受け付ける欄である。情報表示欄52は、プリンタ選択欄51にて選択されたデバイスに対応する補助プログラムによって指定された情報を表示する欄である。例えば、プリンタ選択欄51にてプリンタ2の選択を受け付けた場合、または、OS21にて通常使用するプリンタとしてプリンタ2が設定されている状態で印刷の指示を受け付けた場合、汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42を起動し、補助プログラム42によって用意される画像を情報表示欄52に表示することができる。汎用印刷プログラム41は、プリンタ2が選択されている場合、プリンタ2での印刷に関する印刷設定を受け付ける印刷設定画面D2を表示させるための表示データを取り扱うことが可能である。
【0035】
基本的な印刷設定の選択欄53は、印刷部数や原稿の向き等の基本的な設定を受け付ける欄である。詳細設定ボタン54は、基本的な印刷設定の選択欄53には含まれない詳細な設定を行う指示を受け付けるボタンである。印刷ボタン55は、選択中の印刷設定での印刷の実行指示を受け付けるボタンである。
【0036】
例えば、プリンタ選択欄51にて、印刷を実行させるデバイスとしてプリンタ2が選択された状態で、詳細設定ボタン54への操作によって詳細な印刷設定の指示を受け付けた場合(A11)、汎用印刷プログラム41は、プリンタ2に対応する補助プログラム42に、詳細な印刷設定の受け付けを開始する指示を渡す(A12)。
【0037】
補助プログラム42は、A12の指示に応じて起動されると、プリンタ2の能力情報を取得する。具体的には、補助プログラム42は、能力情報の取得を汎用印刷プログラム41に要求する(A13)。汎用印刷プログラム41は、能力情報を要求するコマンドをプリンタ2に送信し、プリンタ2から能力情報を取得する(A14)。汎用印刷プログラム41は、取得した能力情報を補助プログラム42に渡す(A15)。これにより、補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報を取得できる。
【0038】
なお、汎用印刷プログラム41は、A14において、OS21を介して、例えば、IPP(internet printing protocolの略)に応じた通信によって、プリンタ2との通信を行う。なお、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41に要求する代わりに、例えば、MIB(Management Information Baseの略)を使って、プリンタ2から直接、能力情報を取得しても良い。
【0039】
プリンタ2から取得される能力情報には、印刷設定として設定可能なパラメータの情報が含まれる。能力情報には、さらに、例えば、消耗品の残量情報、選択可能なトレイの情報、各トレイの用紙サイズ等の情報、対応可能な画像データの形式の情報、が含まれていても良い。また、プリンタ2は、受け付けた印刷ジョブに基づいて画像処理を行って、画像処理後のデータに基づいて印刷する機能、例えば、Nin1等の集約印刷、ウォータマーク等の合成印刷、着色剤を節約する節約印刷、を行う機能を有していても良い。プリンタ2にて実行可能な画像処理の機能を有している場合、プリンタ2は、その機能の情報を含む能力情報を渡しても良い。また、プリンタ2は、自身のステータスを示す情報を含む能力情報を渡しても良い。
【0040】
本形態のプリンタ2はカット機能を備えることから、プリンタ2から取得される能力情報には、プリンタ2にて受け付け可能なカットコマンドに関する情報が含まれる。具体的には、カットプリントの実行可否を示す情報と、対応可能なカット設定を示す情報と、カット誤差を示す情報と、が能力情報に含まれる。なお、プリンタ2は、例えば、操作パネルを介して、カットプリントの実行可否設定を受け付け可能であっても良い。カットプリントを実行しない設定を受け付けている場合、プリンタ2は、カットコマンドを受信してもシートのカットを行わないことから、カットプリントの実行不可を示す情報を能力情報に含める。カット設定の詳細については、後述する。
【0041】
補助プログラム42は、取得した能力情報に基づいて、詳細な印刷設定を受け付ける詳細設定画面をユーザIF13に表示させる(A17)。補助プログラム42によって表示される詳細設定画面には、プリンタ2にて実行可能な範囲のパラメータが選択肢として含まれる。補助プログラム42は、表示中の詳細設定画面へのユーザの操作を受け付け可能である。なお、詳細設定画面にて受け付け可能な印刷設定の項目は多いことから、補助プログラム42は、例えば、複数のタブによって、選択対象の項目の切り替え指示を受け付け可能であっても良い。
【0042】
補助プログラム42は、A17にて、例えば、
図5に示すように、詳細設定画面60をユーザIF13に表示させ、ユーザの操作を受け付ける。詳細設定画面60は、カットプリントに関する設定を受け付け可能な設定画面の一例である。詳細設定画面60を表示させるA17は、設定画面表示処理の一例である。
【0043】
図5に示す詳細設定画面60には、文書サイズの選択欄61と、カットプリントの設定を受け付けるチェックボックス62と、が含まれる。この図の詳細設定画面60では、上記の各項目以外にも、用紙種類、印刷品質、印刷の向きなど、他の項目の設定も受け付け可能である。選択欄61にて受け付ける文書サイズは、印刷対象の画像のサイズを示す情報である。印刷実行の指示を受け付けた場合に、補助プログラム42は、印刷対象の画像の画像データとして、文書サイズに基づいて生成された画像データを取得する。
【0044】
チェックボックス62は、印刷設定にカットプリントの設定を含めるか否かを示す情報である。チェックボックス62への操作によってカットプリントに関する設定を受け付ける処理は、設定受付処理の一例である。カットプリントの設定は、A4サイズのシートに画像を印刷し、印刷後のシートをその長辺の中央位置で二分する印刷態様の設定である。なお、補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報にカットプリントの実行可を示す情報が含まれている場合に、チェックボックス62への操作によるカットプリントの設定を受け付け可能となる。補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報にカットプリントの実行不可を示す情報が含まれている場合には、例えば、チェックボックス62を、ユーザの操作を受け付け不能な態様で表示する。
【0045】
そして、文書サイズに「A4」が選択されている状態で、チェックボックス62にチェックを入れる操作を受け付けた場合、補助プログラム42は、さらに、ラジオボタン621による「カットした用紙に合わせる」設定と、ラジオボタン622による「拡縮しない」設定と、からの択一的な選択を受け付け可能となる。ラジオボタン621およびラジオボタン622は、チェックボックス62にチェックを入れる操作を受け付けた際に文書サイズに「A5」が選択されている場合、または、チェックボックス62へのチェックが入っていない状態では、グレーアウトして表示され、選択を受け付けない。
【0046】
補助プログラム42は、チェックボックス62にチェックが入れられた場合のカットプリントに関する設定として、以下の3種類のカット設定のうち、いずれか1つを受け付け可能である。
<第1設定>は、文書サイズが「A4」で、ラジオボタン621による「カットした用紙に合わせる」が選択された場合の設定である。<第1設定>での印刷指示を受け付けた場合、補助プログラム42は、プリンタ2に、A4サイズの画像をA5サイズに縮小した2ページ分の画像を、A4サイズのシート1枚に並べて印刷させ、カットさせる。
<第2設定>は、文書サイズが「A4」で、ラジオボタン622による「拡縮しない」が選択された場合の設定である。<第2設定>での印刷指示を受け付けた場合、補助プログラム42は、プリンタ2に、A4サイズの1ページ分の画像を、A4サイズのシート1枚に印刷させ、カットさせる。
<第3設定>は、文書サイズとして「A5」が選択された場合の設定である。<第3設定>での印刷指示を受け付けた場合、補助プログラム42は、プリンタ2に、A5サイズの2ページ分の画像を、A4サイズのシート1枚に並べて印刷させ、カットさせる。
【0047】
カットプリントの設定を含む印刷指示を受け付けた場合、補助プログラム42は、A4サイズの画像に対応する印刷データとシートの切断を指示するカットコマンドとをプリンタ2に送信するための処理を実行する。プリンタ2は、印刷データとカットコマンドとを受信した場合、A4サイズのシートをその長辺方向を搬送方向として搬送し、印刷データに基づく画像を印刷して、長辺の中央位置でシートを二分する。これにより、A5サイズの印刷物が2枚得られる。A4サイズは、第1サイズの一例であり、A5サイズは、第2サイズの一例である。プリンタ2は、切断後にシートの搬送を再開することで、搬送方向の前方部分を先に排出し、その上に搬送方向の後方部分を重ねて排出する。
【0048】
つまり、<第1設定>または<第3設定>での印刷指示を受け付けた場合、元の画像データの1ページ分の画像がそれぞれ1枚に印刷されたA5サイズのシートが作成される。一方、<第2設定>での印刷指示を受け付けた場合、元の画像データの1ページ分の画像の上半分が印刷されたA5サイズのシートと、下半分が印刷されたA5サイズのシートと、が作成される。
【0049】
なお、本形態のプリンタ2にて実行可能なカット設定は、前述した3種類の設定に限られていても良い。その場合、補助プログラム42は、文書サイズに「A4」または「A5」が選択されている状態であれば、チェックボックス62へのチェックを受け付け可能となるとしても良い。つまり、文書サイズが「A4」でも「A5」でもない場合、補助プログラム42は、チェックボックス62への操作を受け付けないとしても良い。また、チェックボックス62にチェックが入っている状態で、文書サイズの選択欄61が操作され、「A4」でも「A5」でもないサイズが選択された場合、補助プログラム42は、警告画面を表示しても良い。補助プログラム42は、警告画面として、例えば、カットプリントは文書サイズがA4またはA5の場合に限って設定可能であることを示すメッセージを表示しても良い。
【0050】
図3の手順の説明に戻る。ユーザは、A17にて表示された詳細設定画面60などの印刷設定を受け付ける画面への操作によって、カット設定を含む各種の印刷設定を行う(A21)。A21によって、補助プログラム42は、カット設定を受け付ける。A21は、設定受付処理の一例である。補助プログラム42は、ユーザによる設定終了の指示の入力を受け付けた場合(A22)、ユーザIF13を用いた操作によって受け付けたカット設定を含む各種の印刷設定を記憶する(A23)。
【0051】
そして、補助プログラム42は、詳細な印刷設定の受け付け終了を汎用印刷プログラム41に通知する(A25)。汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42の通知に基づいて、印刷設定の終了を編集アプリ43に通知する(A26)。補助プログラム42は、印刷設定の受け付け終了を編集アプリ43に通知しても良い。編集アプリ43は、A03にて表示させた印刷設定画面(例えば、
図4に示した印刷設定画面D2)をアクティブにし、印刷実行の指示や印刷のキャンセルの指示等のユーザの指示を受け付け可能な状態となる。
【0052】
なお、前述したように、A03にて表示される印刷設定画面D2(
図4参照)には、補助プログラム42によって用意される情報に基づく画像を表示可能な情報表示欄52が含まれる。また、汎用印刷プログラム41は、情報表示欄52へのユーザの操作を受け付けた場合、補助プログラム42にその操作の情報を渡す。そこで、補助プログラム42は、情報表示欄52に、例えば、カットプリントに関する設定を受け付け可能な情報画面を表示させ、情報表示欄52へのユーザの指示によって、カット設定を受け付けることができる。カットプリントに関する設定を受け付け可能な情報表示欄52を表示させる処理は、設定画面表示処理の一例であり、この場合に表示された情報表示欄52にてカット設定を受け付ける処理は、設定受付処理の一例である。補助プログラム42は、情報表示欄52を介して受け付けた場合にも、A23と同様に、カット設定の情報を記憶する。
【0053】
また、印刷設定画面D2(
図4参照)には、基本的な印刷設定の選択欄53として、例えば、用紙サイズの種類の設定を受け付ける項目である用紙サイズ選択欄531が含まれる。汎用印刷プログラム41は、用紙サイズ選択欄531へのユーザの操作を受け付けた場合にも、補助プログラム42にその操作の情報を渡しても良い。その場合、補助プログラム42は、例えば、カットプリントに関する設定を含む用紙サイズの選択を受け付け可能な表示データを汎用印刷プログラム41に渡すことができる。
【0054】
補助プログラム42は、用紙サイズの種類を示す表示データとして、例えば、
図6に示すように、用紙サイズ選択画面70を示す表示データを汎用印刷プログラム41に渡す。用紙サイズ選択画面70には、選択可能な用紙サイズの選択肢の一覧が表示される。用紙サイズ選択画面70にて選択可能な用紙サイズの選択肢には、カット設定が関連付けられた3つの選択肢71、72、73が追加されている。
【0055】
選択肢71は、「A4をA5に縮小してカット」を示す選択肢であり、前述した<第1設定>に対応するカット設定が関連付けられた用紙サイズの選択肢である。選択肢72は、「A4をそのままカット」を示す選択肢であり、<第2設定>に対応するカット設定が関連付けられた用紙サイズの選択肢である。選択肢73は、「A5をA4に2ページ配置しカット」を示す選択肢であり、<第3設定>に対応するカット設定が関連付けられた用紙サイズの選択肢である。
【0056】
選択肢71~73は、いずれもカットプリントの設定が関連付けられた用紙サイズの選択肢であって、互いに異なる設定に対応する選択肢である。選択肢71~73によって示される用紙サイズは、特別サイズの一例である。例えば、選択肢71が第1のカット設定が関連付けられた第1特別サイズの一例であって、選択肢72が第2のカット設定が関連付けられた第2特別サイズの一例である。互いに異なるカット設定が関連付けられた複数の用紙サイズの選択を受け付けるので、カットプリントの設定の自由度が高い。
【0057】
表示中の印刷設定画面D2にて用紙サイズの選択を受け付けた場合、補助プログラム42は、その選択肢を示す情報を汎用印刷プログラム41を介して受け取り、印刷設定として記憶する。用紙サイズとして選択肢71~73のいずれかが選択された場合、補助プログラム42は、詳細設定画面60(
図5参照)による設定を受け付けていなくても、A23と同様に、カット設定の情報を記憶する。選択肢71~73を含む用紙サイズ選択画面70を表示させる処理は、設定画面表示処理の一例であり、用紙サイズ選択画面70にて選択肢71~73のいずれかの選択を受け付ける処理は、設定受付処理の一例である。
【0058】
このようにすれば、補助プログラム42は、用紙サイズの種類としてカット設定が関連付けられた選択肢71~73を用意し、印刷設定画面D2にてカット設定の指示を受け付け可能である。従って、詳細設定画面60を開く操作が不要になり、カット設定を行うためのユーザの手間が軽減される。
【0059】
なお、汎用印刷プログラム41は、印刷設定画面D2(
図4参照)中の用紙サイズ選択欄531へのユーザの操作を受け付けた場合に、補助プログラム42にその操作の情報を渡す代わりに、印刷設定画面D2を表示する際に、用紙サイズの種類を示す表示データを要求しても良い。その場合、補助プログラム42は、印刷設定画面D2に表示可能な情報として、カット設定が関連付けられた選択肢を含む用紙サイズの種類の情報を汎用印刷プログラム41に渡すと良い。
【0060】
補助プログラム42は、印刷設定画面D2に表示可能な情報を汎用印刷プログラム41に渡す前に、プリンタ2の能力情報を取得しても良い。補助プログラム42は、プリンタ2の能力情報に基づいて、用紙サイズの種類を示す表示データを生成し、生成した表示データを汎用印刷プログラム41に渡すとしても良い。プリンタ2は、能力情報として、カットプリントの設定が関連付けられた用紙サイズの情報を、選択可能な用紙サイズの種類の1つとして応答しても良い。あるいは、カット機能を有するプリンタ2に対応する補助プログラム42は、選択可能な用紙サイズの種類として、予め選択肢71~73を備え、プリンタ2の能力情報にカットプリントの実行可を示す情報が含まれている場合に、選択肢71~73を選択可能に表示させるとしても良い。
【0061】
次に、印刷実行手順について、
図7のシーケンス図を参照して説明する。ユーザは、印刷対象の画像とプリンタ2での印刷設定とを決定した後、編集アプリ43にて印刷実行の指示を入力する(B01)。編集アプリ43は、例えば、
図4に示した印刷設定画面D2にて印刷ボタン55への操作を受け付けた場合、汎用印刷プログラム41に対して、選択中の画像の印刷をプリンタ2に行わせる実行指示を、受け付けたと判断する。なお、ユーザによる印刷実行の指示は、汎用印刷プログラム41に直接入力されても良い。
【0062】
編集アプリ43は、受け付けた印刷指示の情報を汎用印刷プログラム41に渡す(B02)。汎用印刷プログラム41は、印刷指示の情報として、印刷対象の画像の画像データを示す情報と印刷設定を示す情報と、を編集アプリ43から取得する。
【0063】
汎用印刷プログラム41は、編集アプリ43から取得した情報に基づいて、印刷対象の画像の画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで、中間画像データを生成する(B03)。編集アプリ43に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム41は、印刷対象の画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷対象の画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。
【0064】
なお、汎用印刷プログラム41は、中間画像データの生成前に、指定されたデバイスであるプリンタ2に対応する補助プログラム42を起動して、印刷ジョブの処理を開始したことを通知しても良い。補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から起動された場合、中間画像データを生成する際に利用される各種の指示を示す情報を、必要に応じて、汎用印刷プログラム41に渡すことができる。
【0065】
汎用印刷プログラム41は、中間画像データを生成した後、補助プログラム42を起動する(B05)。補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41に要求することで汎用印刷プログラム41によって生成された中間画像データを取得できる。そして、補助プログラム42は、受け付け済みの詳細な印刷設定等に基づいて、中間画像データや印刷設定の情報を編集することができる。
【0066】
B05の実行指示を受けて、補助プログラム42は、カット設定の情報を記憶しているか否かを判断する。そして、カット設定の情報を記憶していると判断した場合(alt:[カット設定有])、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41によって生成された中間画像データに示される画像に基づいて、ユーザIF13にプレビュー画像を表示させる(B06)。B06は、プレビュー処理の一例である。
【0067】
B06にて、補助プログラム42は、記憶しているカット設定が第1設定または第3設定であれば、例えば、
図8(A)に示すように、1ページ目の画像と2ページ目の画像とを横長にして上下に並べて表示し、長辺側の中央に切り取り線が付加されたプレビュー画像81を表示させる。また、記憶しているカット設定が第2設定であれば、補助プログラム42は、例えば、
図8(B)に示すように、1ページ目の画像を縦長に表示し、長辺側の中央に切り取り線が付加されたプレビュー画像82を表示させる。つまり、いずれの設定であっても、補助プログラム42は、カット後の各シートに印刷される画像に対応するプレビュー画像を表示させる。
【0068】
なお、後述するように、カット設定が第2設定の場合、画像の中央位置に白ベタ画像が合成される。そのため、画像の中央位置に描画データが有ると、その部分の情報が消失する。補助プログラム42は、印刷データがプリンタ2に送信される前に、カットプリントを行った場合のプレビュー画像を表示させるので、ユーザは、プレビュー画像によって、カット設定にて出力される印刷物の内容を確認できる。
【0069】
そして、補助プログラム42は、ユーザの操作によって印刷確定の指示を受け付ける(B07)。補助プログラム42は、例えば、
図8(A)や(B)に示すように、プレビュー画像81、82にOKボタンを表示させ、ユーザの操作を受け付ける。なお、補助プログラム42は、プレビュー画像を表示させた後に、印刷のキャンセルを受け付け可能であっても良い。印刷のキャンセルを受け付けた場合、補助プログラム42は、印刷のキャンセルを示す情報を汎用印刷プログラム41に渡す。
【0070】
印刷確定の指示を受け付けた場合、補助プログラム42は、生成処理を実行する(B08)。生成処理は、汎用印刷プログラム41によって生成された中間画像データに基づいて、記憶しているカット設定に対応する印刷対象の画像データを生成する処理である。生成処理の手順について、
図9のフローチャートを参照して説明する。この生成処理は、補助プログラム42に基づいて、PC1のCPU11にて実行される。
【0071】
生成処理では、CPU11は、記憶しているカット設定が、第1設定、第2設定、第3設定のいずれであるかを判断する(C01)。第1設定であると判断した場合(C01:第1設定)、CPU11は、出力の優先順に基づいて、先に出力するページから2ページ分の画像データを取得する(C11)。前述したように、プリンタ2は、印刷物をフェイスアップで出力する。この場合、優先順が1位のページは、印刷ジョブに含まれる最終ページである。フェイスダウンで出力するプリンタであれば、CPU11は、1ページ目を優先順が1位のページとする。
【0072】
CPU11は、C11にて取得した2ページ分のA4サイズの画像データを、それぞれA5サイズに縮小して、2つの縮小画像を生成する(C12)。さらに、CPU11は、2つの縮小画像を横長にして縦に並べて配置する(C13)。具体的には、CPU11は、出力の優先順に基づいて、先に出力するページの縮小画像をA4サイズの先端側に、後に出力するページの縮小画像をA4サイズの後端側に、並べる。
【0073】
そして、CPU11は、2つの縮小画像の間の余白の調整を行って、A4サイズの画像データを生成する(C14)。C14は、第1生成処理の一例である。C14にて生成される画像データに基づくA4サイズの画像は、配置画像の一例である。C14では、CPU11は、プリンタ2にてカッタ35(
図2参照)が接触する可能性のある範囲が、着色材が付与されない隙間領域となるように、余白を調整する。CPU11は、例えば、各ページの中央位置側の余白が小さい場合、各ページの画像を中央位置から離す方向に移動させる。C14にて設けられる隙間領域は、第1隙間領域の一例である。
【0074】
CPU11は、プリンタ2のカット誤差に基づいて、隙間領域の大きさを決定する。例えば、プリンタ2のカット誤差が±3mmであれば、CPU11は、隙間領域の幅を、シートの長手方向について中央位置から±3mmより大きい幅とする。インクジェット方式のプリンタ2での印刷を実行した場合、印刷直後のシートのインクは、完全には乾燥していない可能性がある。切断対象の箇所である中央位置を基準として、カット誤差の範囲を隙間領域とすることで、印刷時にカッタ35にインクが付着することを防止でき、次回の切断時のシートの汚れやカッタ35の錆発生が防止される。
【0075】
一方、記憶しているカット設定が、第2設定であると判断した場合(C01:第2設定)、CPU11は、出力の優先順に基づいて、先に出力するページから1ページ分の画像データを取得する(C21)。そして、CPU11は、取得した画像データの中央位置に画像が有るか否かを判断する(C22)。具体的には、CPU11は、画像データのうち、中央位置を含む隙間領域に対応する範囲に、描画対象の画像を示す描画データが有るか否かを判断する。隙間領域は、C14にて余白を設けた範囲と同様に、中央位置からカット誤差の範囲である。
【0076】
中央位置に画像が有ると判断した場合(C22:YES)、CPU11は、画像が消失することを報知する(C23)。C23は、報知処理の一例である。CPU11は、例えば、
図8(B)に示したプレビュー画像を表示させても良い。
【0077】
C23の後、または、中央位置に画像が無いと判断した場合(C22:NO)、CPU11は、中央位置を含む隙間領域に対応する範囲に白ベタ画像を上書きする(C24)。C24は、第2生成処理の一例である。C24によって隙間領域を設ける加工が行われたA4サイズの画像は、加工画像の一例である。C24にて白ベタ画像を上書きした隙間領域は、第2隙間領域の一例である。CPU11は、白ベタ画像を上書きした画像を1枚分のA4サイズの画像データとして生成する。なお、中央位置に画像が無いと判断した場合には、CPU11は、白ベタ画像の上書きを行わないとしても良い。
【0078】
白ベタ画像を上書きすることで、印刷対象の画像に対して隙間領域を簡単に形成できる。中央位置を基準として、プリンタ2のカット誤差よりも大きくなるように隙間領域が設定されるので、プリンタ2のカッタ35への着色材の付着が抑制される。ただし、白ベタ画像が上書きされる領域に描画データがあった場合、白ベタ画像の上書きによってその描画データが失われ、情報が落ちる。CPU11は、C23にて、描画データの消失を報知するので、ユーザは中央箇所のデータが消失することを把握できる。なお、報知は、1つの印刷ジョブで1回のみとしても良いし、ページごとにしても良い。
【0079】
一方、記憶しているカット設定が、第3設定であると判断した場合(C01:第3設定)、CPU11は、出力の優先順に基づいて、先に出力するページから2ページ分の画像データを取得する(C31)。第3設定の場合、A5サイズの画像データが取得される。CPU11は、2つの画像を横長にして縦に並べて配置し、A4サイズの画像データを生成する(C32)。さらに、CPU11は、C14と同様に、余白の調整を行って、A4サイズの画像データを生成する(C33)。C33は、第1生成処理の一例である。C33にて生成される画像データに基づくA4サイズの画像は、配置画像の一例である。
【0080】
C14、C24、C33のいずれかの後、CPU11は、生成した画像データを1枚分の画像データとして記憶する(C41)。さらに、CPU11は、印刷ジョブに次のページの画像データが有るか否かを判断する(C42)。有ると判断した場合(C42:YES)、CPU11は、C01に進んで、残りの画像データについても同様の処理を実行する。無いと判断した場合(C42:NO)、CPU11は、生成処理を終了して、
図7のシーケンス図の手順に戻る。
【0081】
図7の手順の説明に戻る。カット設定の情報を記憶しておらず、用紙サイズとしてA4サイズが選択されていると判断した場合(alt:[カット設定無かつA4])、補助プログラム42は、案内表示を行う(B09)。B09は、案内処理の一例である。補助プログラム42は、ユーザIF13を用いて、例えば、
図10に示すように、A4サイズのシートをカットしてA5サイズの2枚のシートとして出力できることを案内する案内画面90を表示させる。
【0082】
文書サイズがA4サイズであればカットプリントが選択できることを案内するので、カットプリントの利用が促進され、カットプリントが認知されて利用される可能性が高まる。その結果、用紙や消耗品の節約が期待できる。なお、補助プログラム42は、案内画面90を表示させた後に、印刷のキャンセルを受け付け可能であっても良い。また、補助プログラム42は、B09にて、案内画面90の表示に代えて、例えば、音声ガイダンスや動画によるガイダンスを行ってもよい。
【0083】
補助プログラム42は、B08の生成処理にて生成された中間画像データ、または、汎用印刷プログラム41によって生成された中間画像データ、を汎用印刷プログラム41に渡してラスタライズを要求する(B11)。汎用印刷プログラム41は、要求に基づいて中間画像データをラスタライズし、ビットマップデータであるラスタデータを生成する(B12)。汎用印刷プログラム41は、生成したラスタデータを補助プログラム42に渡す(B13)。これにより、補助プログラム42は、ラスタデータを取得する。
【0084】
なお、汎用印刷プログラム41にラスタライズを行わせる代わりに、補助プログラム42がラスタライズしても良い。ただし、汎用印刷プログラム41によってラスタライズするとすれば、補助プログラム42の処理が少なく、補助プログラム42のプログラムサイズを小さくできる。
【0085】
補助プログラム42は、ラスタデータにコマンドを付加する(B15)。補助プログラム42は、例えば、カット設定を記憶している場合には、カットコマンドを付加する。カットコマンドは、カット指示の一例である。なお、カットコマンドは、印刷ジョブの先頭部分に付加することで印刷ジョブの全てのページについてのカット指示を示すコマンドであっても良い。あるいは、カットコマンドは、ページ単位のカット指示であっても良い。その場合、補助プログラム42は、カット設定を受け付けた印刷ジョブについて、各ページの印刷データにカットコマンドを付加する。
【0086】
補助プログラム42は、コマンドを付加した印刷データをプリンタ2への送信対象として汎用印刷プログラム41に渡し、プリンタ2への送信を指示する(B21)。B21は、プリンタ2に印刷データを送信するための処理であり、印刷データ送信処理の一例である。汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42の指示に応じて、印刷データをプリンタ2に送信し、印刷を指示する(B22)。
【0087】
プリンタ2は、受信した印刷データに基づいて、印刷を実行する(B23)。カットコマンドが付加された印刷データを受信した場合、プリンタ2は、A4サイズのシートに印刷データに基づく画像を印刷する処理と、A4サイズのシートをカットして、搬送方向である長手方向に二分し、A5サイズの2枚のシートとする処理と、を実行する。これにより、印刷対象の画像が印刷されたA5サイズの2枚の印刷物が作成される。
【0088】
なお、印刷データを汎用印刷プログラム41に渡して、汎用印刷プログラム41からプリンタ2に送信させる代わりに、補助プログラム42が、印刷の実行を指示する印刷コマンドと印刷データとをプリンタ2に送信しても良い。この場合、補助プログラム42は、印刷データの送信完了後に、終了の情報を汎用印刷プログラム41に通知すると良い。
【0089】
また、補助プログラム42は、例えば、プリンタ2にて実行可能な画像処理に関する設定が印刷設定として含まれる場合、その処理の情報も含む印刷コマンドを生成して、プリンタ2に処理を行わせても良い。例えば、プリンタ2が2in1印刷の機能を有している場合、補助プログラム42は、第1設定でのカット設定を受け付けていれば、プリンタ2にA4サイズの画像を示す印刷データと2in1印刷を指示する印刷コマンドとカットコマンドとを送信しても良い。この場合、補助プログラム42は、生成処理(
図7のB08)を行わなくて良い。一方、補助プログラム42にて生成処理を実行すれば、プリンタ2は、配置済みの印刷データに基づいて印刷すればよく、プリンタ2の負荷が軽減される。
【0090】
なお、前述したように、カット設定は、詳細設定画面60(
図5参照)への操作のみでなく、印刷設定画面D2(
図4参照)の情報表示欄52または用紙サイズ選択欄531でも受け付け可能である。用紙サイズ選択欄531にて、選択肢71~73のいずれかが選択された場合にも、補助プログラム42は、
図9に示した生成処理によって画像データを生成し、カットコマンドを付加した印刷データを生成する。この場合に印刷データを生成する処理は、第3生成処理の一例である。
【0091】
以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム42は、カット機能を有するプリンタ2に対応し、カット設定を受け付けるための詳細設定画面60や印刷設定画面D2を表示し、その画面を介してカットプリントを行うか否かのカット設定を受け付け可能である。そして、カットプリントを行うカット設定を受け付けていた場合、補助プログラム42は、印刷データにカットコマンドを付加してプリンタ2に送信するための処理を実行する。これにより、プリンタ2は、そのカットコマンドに基づいてシートをカットする。従って、プリンタドライバがインストールされていないPC1からであっても、プリンタ2でのカットプリントを実現できる。
【0092】
さらに、本形態の補助プログラム42は、カット設定として第1設定を受け付けた場合、A4サイズに対応する印刷対象の画像をA5サイズに対応する画像に縮小して、2ページ分を集約してA4サイズに対応する配置画像とする。従って、1回の印刷でA5サイズ用に縮小した縮小画像を印刷した2ページ分のA5サイズの印刷物が得られる。
【0093】
また、カット設定として第2設定を受け付けた場合、補助プログラム42は、A4サイズに対応する印刷対象の画像の中央位置を含む箇所に、白ベタ画像を上書きした加工画像を生成する。従って、プリンタ2は、その加工画像をそのままシートに印刷し、印刷後のシートをカットすることで、着色材が付与されない領域をカットすることになり、カッタ35への着色材の付着が抑制される。
【0094】
また、カット設定として第3設定を受け付けた場合、補助プログラム42は、A5サイズに対応する画像の2ページ分をA4サイズに配置して配置画像を生成する。これにより、A5サイズのシートが収容されていないプリンタ2であっても、1回の印刷で2ページ分のA5サイズの印刷物が得られる。
【0095】
なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に接続される装置は、印刷単機能のプリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、PC1に接続されるプリンタの数は、2台以上でも良い。また、両面印刷不能なプリンタであっても良い。
【0096】
また、
図2では、印刷した後にカットするカット機能を備えるプリンタ2を例示したが、PC1に接続されるプリンタは、先にシートをカットしてから印刷するカット機能を備えていても良い。また、プリンタのカット誤差は、プリンタの能力情報に含まれている代わりに、例えば、モデルごとに予め決められた値であっても良く、補助プログラム42が予め有していても良い。
【0097】
また、例えば、ユーザIF13に表示させる各画像の例は、いずれも一例であって、図示の例に限らない。また、図示の各画面中に表示される文言やオブジェクトの形状、背景等は、どのようなものでも良い。また、例えば、
図4では1つの情報表示欄52を含む印刷設定画面D2を示したが、情報表示欄52の配置や形状、大きさ、個数等は、この図の例に限らない。また、情報表示欄52は、無くても良い。
【0098】
また、補助プログラム42は、プレビュー表示(
図7のB06)を行わなくても良い。また、補助プログラム42は、プレビュー画像にて印刷確定の指示(
図7のB07)を受け付け可能でなくても良い。例えば、補助プログラム42は、印刷確定の指示を受け付けていなくても、所定時間のプレビュー表示の後、生成処理(
図7のB08)に進むとしても良い。
【0099】
また、補助プログラム42は、
図7のB06にてプレビュー画像を表示させる代わりに、例えば、生成処理(
図9参照)の実行後に、生成した中間画像データに基づくプレビュー画像を表示させても良い。あるいは、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41または補助プログラム42によってラスタデータを生成した後、生成されたラスタデータに基づいて、プレビュー画像を表示させても良い。
【0100】
また、補助プログラム42は、生成処理(
図9参照)にて、中央位置に画像が有る場合に画像消失を報知する(C23)としたが、画像が無くても報知しても良い。つまり、生成処理のC22の判断は、無くても良い。また、補助プログラム42は、生成処理の前にプレビュー表示を行った場合には、画像消失の報知を行わないとしても良い。
【0101】
また、本形態では、選択可能なカットプリントの設定として、3種類の設定の例を示したが、いずれか1種類のみでも良いし2種類でも良い。また、本形態では、文書サイズがA4サイズである場合に、案内画面90(
図10参照)を表示させるとしたが、文書サイズに関わらず、カット設定を受け付けていない場合には案内画面90を表示させても良い。その場合の案内画面では、
図10に示した第1設定と第2設定のみの案内でなく、第3設定も案内しても良い。
【0102】
また、例えば、本形態では、中間画像データを用いて配置画像や加工画像を生成するとしたが、ラスタライズ後のラスタデータを用いて配置画像や加工画像を生成しても良い。その場合、補助プログラム42は、
図7のB13にてラスタデータを受け取った後に、生成処理(
図9参照)を実行する。
【0103】
また、補助プログラム42は、生成処理(
図9参照)では、出力の優先順に画像データを取得するとしたが、優先順に関わらず印刷ジョブに含まれる全ての画像データを取得して、取得後に、出力の優先順に配置しなおしても良い。また、補助プログラム42は、優先順を考慮せずに元の画像データの順の印刷データを生成しても良い。ただし、出力された印刷物の束の並びが元の画像の順となるように、優先順を考慮して画像を配置することで、ユーザは印刷物を利用し易い。なお、両面印刷の設定を受け付けている場合には、長辺綴じと短辺綴じとでは裏面の画像の向きが反対になる。補助プログラム42は、長辺綴じであるか短辺綴じであるかの設定に応じて適切に画像の回転を行い、表裏面の画像の向きを合わせた画像を生成することが好ましい。
【0104】
また、実施の形態では、補助プログラム42は、第2設定の場合、生成処理(
図9参照)のC24にて、中央位置に白ベタ画像を上書きして隙間領域を設けるとしたが、これに限らない。補助プログラム42は、例えば、A4サイズの画像を長手方向の中央で分割し、分割された画像を互いに離間させることで隙間領域を設けても良い。
【0105】
また、補助プログラム42がプリンタ2の能力情報を取得するタイミングは、
図3に示した例に限らない。例えば、印刷の指示を受け付けた後に再度取得しても良い。また、プリンタ2は、A4サイズ以外のシートをカットする機能を有していても良く、その場合は、受け付け可能なカット設定の種類を示す情報を、能力情報に含めて送信すると良い。
【0106】
また、補助プログラム42は、印刷が選択された場合に限らず、例えば、デバイスの設定としてプリンタ2が選択された場合にも起動されても良い。その場合でも、補助プログラム42は、カット設定を受け付け可能な設定画面を表示しても良い。デバイスの設定としてカット設定を受け付けた場合、補助プログラム42は、受け付けたカット設定の情報を、デフォルトの印刷設定として記憶する。
【0107】
また、汎用印刷プログラム41によって印刷設定画面D2(
図4参照)が表示された後に、ユーザの操作によって、OS21を介して、通常使うプリンタが他のプリンタからプリンタ2に変更された場合にも、汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42を起動しても良い。その場合も、補助プログラム42は、例えば、情報表示欄52にカット設定を受け付け可能な情報画面を表示させても良い。
【0108】
また、実施の形態では、補助プログラム42の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム42は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム42に限らず、汎用印刷プログラム41を用いた印刷を行う際に、OS21または汎用印刷プログラム41から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフローアプリ(Print workflow)でも良い。
【0109】
また、補助プログラム42の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、OS21から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐される補助プログラム42であっても良い。常駐される場合には、補助プログラム42は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。
【0110】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0111】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
13 ユーザIF