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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101754
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】金属板運搬用スキッド
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B65D19/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005858
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】516084088
【氏名又は名称】株式会社城山
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 良一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆介
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063AA20
3E063BA06
3E063BA11
3E063CA03
3E063CA11
3E063CA16
3E063FF01
3E063FF09
(57)【要約】
【課題】森林資源の保護を図りつつ、強度が向上した金属板運搬用スキッドを提供する。
【解決手段】3以上の下側部材10と、3以上の上側部材20と、が井桁形状に接続された金属板運搬用スキッド1であって、前記下側部材10は、第一方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向と交差する第二方向に間隔を空けて並んでおり、前記上側部材20は、前記下側部材10の上に重ねられており、前記第二方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向に間隔を空けて並んでおり、前記下側部材10と前記上側部材20とが重なる部分において、前記下側部材10と前記上側部材20とが固定部材30によって固定されており、前記下側部材10、および前記上側部材20は、ガラス繊維を含む合成樹脂製である、金属板運搬用スキッド1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の下側部材と、3以上の上側部材と、が井桁形状に接続された金属板運搬用スキッドであって、
前記下側部材は、第一方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向と交差する第二方向に間隔を空けて並んでおり、
前記上側部材は、前記下側部材の上に重ねられており、前記第二方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向に間隔を空けて並んでおり、
前記下側部材と前記上側部材とが重なる部分において、前記下側部材と前記上側部材とが固定部材によって固定されており、
前記下側部材、および前記上側部材は、ガラス繊維を含む合成樹脂製である、金属板運搬用スキッド。
【請求項2】
前記固定部材が、ボルトおよびナットである、請求項1に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項3】
前記下側部材の下面または前記上側部材の上面には、前記下側部材と前記上側部材と重なる部分に、前記ボルトの頭部または前記ナットが収容されるザグリ孔が設けられている、請求項2に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項4】
前記下側部材と、前記上側部材とが重なる部分には、前記下側部材および前記上側部材の少なくとも一方から、他方に向けて突出する回り止め凸部が形成されており、前記下側部材および前記上側部材の他方には、前記回り止め凸部に対応する位置に、前記回り止め凸部を収容する回り止め凹部が形成されている、請求項1に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項5】
前記上側部材と、前記下側部材とが接続された部分には、前記上側部材の下面および前記下側部材の上面の、双方または一方に、無線信号を送信または受信可能なIDタグを収容するための収容凹部が形成されている、請求項1に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項6】
前記上側部材と、前記下側部材とが接続された部分には、前記上側部材の下面と、前記下側部材の側面と、に跨って、L字形状の当接金具が取り付けられており、
前記当接金具には、前記上側部材の上面に金属板が載置された状態で、前記上側部材の下面および前記下側部材の側面に配置されたワイヤーが当接する、請求項1に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項7】
前記下側部材または前記上側部材には、無線信号を送信または受信可能なIDタグを収容するタグ収容箱が取付けられている、請求項1に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項8】
前記タグ収容箱は、前記上側部材のうち、金属板が載置される載置面と交差する面に取付けられている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項9】
前記タグ収容箱は、前記下側部材のうち、前記上側部材と当接する面と交差する面に取付けられている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項10】
前記タグ収容箱は、前記下側部材または前記上側部材のうち、前記下側部材と前記上側部材とが重なった状態で前記固定部材によって固定された部分の近傍に取付けられている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項11】
前記タグ収容箱は、前記IDタグを収容する収容部を有する箱本体部と、前記箱本体部に取付けられて前記収容部を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
前記蓋部材に設けられた係止部と、前記箱本体部に設けられた係止受け部とが係合することにより、前記蓋部材と前記箱本体部とが一体に組付けられる、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項12】
前記タグ収容箱は、前記IDタグを収容する収容部を有する箱本体部と、前記箱本体部に取付けられて前記収容部を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
前記蓋部材と前記箱本体部とは、撓み変形可能なヒンジを介して一体に形成されており、前記蓋部材は、前記ヒンジを軸として前記箱本体部に対して相対的に回転可能に形成されている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項13】
前記タグ収容箱は、前記IDタグを収容する収容部を有する箱本体部と、前記箱本体部に取付けられて前記収容部を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
前記箱本体部が前記下側部材または前記上側部材に取付けられる構成とされており、
前記箱本体部が前記下側部材または前記上側部材に取付けられた状態で、前記収容部は上方に開口する構成とされる、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項14】
前記タグ収容箱は、前記IDタグを収容する収容部を有する箱本体部と、前記箱本体部に取付けられて前記収容部を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
前記収容部内に前記IDタグが収容された状態で、前記蓋部材と前記箱本体部とが、接着または熱融着されている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【請求項15】
前記タグ収容箱は、前記IDタグを収容する収容部を有する箱本体部と、前記箱本体部に取付けられて前記収容部を塞ぐ蓋部材と、を備えており、
前記収容部は、前記IDタグが挿入可能な開口部を有しており、前記開口部の開口縁部には、前記収容部の内方に向かって陥没する凹部が設けられている、請求項7に記載の金属板運搬用スキッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板運搬用スキッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステンレス板、アルミニウム板等の金属板を運搬する際に、金属板運搬用スキッドが使用されている。このような金属板運搬用スキッドとして、木材が井桁形状に組み合わされた木製スキッドが使用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-35668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、森林資源保護の観点から、金属板運搬用スキッドの原材料を、木材から他の素材へ転換することが望まれている。
【0005】
また、金属板運搬用スキッドを用いて金属板を運搬する際には、複数の金属板が積載された状態の金属板運搬用スキッドにワイヤーを引っ掛け、ワイヤーによって金属板および金属板運搬用スキッドが吊り上げられた状態で運搬される。このように複数の金属板という重量物を吊り上げて運搬する為、金属板運搬用スキッドには高い強度を有することが求められる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、森林資源の保護を図りつつ、強度が向上した金属板運搬用スキッドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
3以上の下側部材と、3以上の上側部材と、が井桁形状に接続された金属板運搬用スキッドであって、
前記下側部材は、第一方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向と交差する第二方向に間隔を空けて並んでおり、
前記上側部材は、前記下側部材の上に重ねられており、前記第二方向に長尺な形状に形成されるとともに、前記第一方向に間隔を空けて並んでおり、
前記下側部材と前記上側部材とが重なる部分において、前記下側部材と前記上側部材とが固定部材によって固定されており、
前記下側部材、および前記上側部材は、ガラス繊維を含む合成樹脂製である、金属板運搬用スキッドにある。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、金属板運搬用スキッドを構成する下側部材および上側部材は全て合成樹脂製であり、下側部材および上側部材に木材を一切使用していない。そのため、自ずと森林資源を保護することができる。
【0009】
また、下側部材および上側部材を構成する合成樹脂がガラス繊維を含むことにより、金属板運搬用スキッドの強度を向上させることができる。これにより、スキッドの耐久性が格段に向上し、何度も回収して再利用することが可能となる。そのため、前記態様のスキッドは、従来の木製のものと比べ廃棄される頻度が大幅に減少する。それ故、合成樹脂を使用することによる環境への問題を最小限に抑えつつ、上記の森林資源保護に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の金属板運搬用スキッドを示す平面図。
図2】実施形態1の金属板運搬用スキッドを示す正面図。
図3】実施形態1の金属板運搬用スキッドを示す右側面図。
図4】実施形態1の金属板運搬用スキッドによって金属板が運搬される状態を示す一部切欠正面図。
図5】実施形態1の変形例において、金属板運搬用スキッドによって金属板が運搬される状態を示す一部切欠正面図。
図6図5におけるVI-VI線断面図。
図7】実施形態2の金属板運搬用スキッドを示す一部拡大平面図。
図8】実施形態2の金属板運搬用スキッドを示す一部拡大断面図。
図9】実施形態3の金属板運搬用スキッドを示す一部拡大断面図。
図10】実施形態4の金属板運搬用スキッドを示す一部拡大断面図。
図11】実施形態5の金属板運搬用スキッドを示す平面図。
図12図11における領域Aを拡大した、一部拡大平面図。
図13図12におけるXIII-XIII線断面図。
図14】実施形態5のタグ収容箱の箱本体部を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
図15】実施形態5のタグ収容箱の蓋部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図。
図16】実施形態5の変形例1の金属板運搬用スキッドを示す平面図。
図17】実施形態5の変形例2の金属板運搬用スキッドを示す平面図。
図18】実施形態6のタグ収容箱を示す断面図。
図19】実施形態7のタグ収容箱を示す断面図。
図20】実施形態8のタグ収容箱を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
1.金属板運搬用スキッド1の構成
図1を参照して実施形態1の金属板運搬用スキッド1を説明する。本形態の金属板運搬用スキッド1は、3つ以上(本形態では3つ)の下側部材10と、3つ以上(本形態では4つ)の上側部材20と、が井桁形状に組み合わされた状態で構成されている。ただし、下側部材10、および上側部材20の個数は3つ以上であれば特に限定されず、任意の個数の下側部材10、および上側部材20を適宜に組み合わせることができる。
【0012】
本形態では、下側部材10は、左から順に10a,10b,10cとされる、また、上側部材20は、前から順に、20a,20b,20c,20dとされる。以下の記載では、下側部材10a,10b,10cを区別せずに説明する場合には、まとめて下側部材10として説明する場合がある。同様に、上側部材20a,20b,20c,20dを区別せずに説明する場合には、まとめて上側部材20として説明する場合がある。
【0013】
図1および図2に示すように、下側部材10は、前後方向(第一方向の一例)に長尺な角柱状に形成されている。複数の下側部材10は同形同大に形成されている。複数の下側部材10は、左右方向(第二方向の一例)に間隔を空けて並んで配置されている。
【0014】
図1および図3に示すように、上側部材20は、左右方向に長尺な角柱状に形成されている。複数の上側部材20は同形同大に形成されている。複数の上側部材20は、前後方向に間隔を空けて並んで配置されている。
【0015】
下側部材10、および上側部材20は、ガラス繊維を含む合成樹脂製である。合成樹脂としては、例えば硬質ウレタン樹脂を用いることができる。硬質ウレタン樹脂は、ポリオール、触媒、ポリイソシアネート、整泡剤を少なくとも含む。硬質ウレタン樹脂は、その他の添加剤を含んでもよい。
【0016】
硬質ウレタン樹脂は、発泡剤を発泡させることにより、複数の空孔を有する。発泡剤は、特に限定されず、繊維強化複合材料の分野で公知のものを使用できる。
【0017】
ガラス繊維は、特に限定されず、繊維強化複合材料の分野で公知のガラス繊維を使用できる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、石英ガラス繊維、ホウケイ酸ガラス繊維等からなるものが挙げられる。
【0018】
ガラス繊維を含む合成樹脂は、合成樹脂と、ガラス繊維とを混練することにより製造してもよいし、また、合成樹脂とガラス繊維とが混練された状態の製品を用いても良い。本例では、例えば、積水化学工業株式会社製の、ネスロン(登録商標)ネオランバーFFU(登録商標)を用いた。
【0019】
図1に示すように、複数の下側部材10の上面11に、複数の上側部材20が載置されている。本形態では、下側部材10と上側部材20とは直交して配置されている。上下方向について下側部材10と上側部材20とが重なる部分において、釘30(固定部材の一例)によって下側部材10と上側部材20とが接続されている。釘30は、通常の釘を用いても良いし、また、スクリュー釘を用いても良い。
【0020】
下側部材10の寸法は、長さ1,219mm、幅45mm、高さ50mmである。上側部材20の寸法は、長さ2,438mm、幅50mm、高さ45mmである。隣り合う下側部材10は、655mm間隔で配置されている。また、隣り合う上側部材20は、339.7mm間隔で配置されている。
【0021】
下側部材10と上側部材20とが上下方向に重なる部分において、下側部材10と上側部材20とは、複数(本形態では2つ)の釘30によって固定されている。これにより、下側部材10と上側部材20とが重なる部分を中心にして、下側部材10と、上側部材20とが、相対的に回転することを抑制できる。これにより、金属板運搬用スキッド1が、全体として、前後方向または左右方向にひずむことを抑制できる。
【0022】
本形態では、2つの釘30の並ぶ方向は、左右方向および前後方向について傾斜する方向とされている。ただし、2つの釘30の並ぶ方向は、特に限定されず、任意の方向に並んでいても良い。また、釘30の個数は2つに限定されず、1つ、または3つ以上でもよい。
【0023】
また、本形態においては、下側部材10と、上側部材20とは、接着剤(図示せず)によって接着されている。接着剤としては、ウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などがあるが、耐候性や機械的強度の点からエポキシ系接着剤を用いるのが良い。ただし、下側部材10と、上側部材20とは接着されていなくてもよい。
【0024】
複数の下側部材10a,10b,10cの前端面12は、最も前側に配置された上側部材20aの前端面22と、略面一に配置されている。また、複数の下側部材10a,10b,10cの後端面13は、最も後側に配置された上側部材20dの後端面23と、略面一に配置されている。略面一とは、面一である場合を含むとともに、面一でない場合であっても実質的に面一と認定しうる場合も含む。
【0025】
図2に示すように、複数の下側部材10a,10b,10cの前端面12と、最も前側に配置された上側部材20aの前端面22と、に跨って、補強金具31が取り付けられている。補強金具31は金属板材であり、本形態では長方形状に形成されている。補強金具31は、下側部材10a,10b,10cおよび上側部材20aに、釘30、ねじ等の公知の固定手段(図示せず)により固定されている。
【0026】
なお、補強金具31は、複数の下側部材10a,10b,10cの後端面13と、最も後側に配置された上側部材20dの後端面23と、にも、跨って取り付けられている(図1参照)。
【0027】
図2および図3に示すように、最も右側の下側部材10cの右側面14と、最も右側の下側部材10cの上面11に重なる上側部材20a,20b,20c,20dの下面26とに跨って、L字形状をなす当接金具32aが取り付けられている。当接金具32aは、下側部材10cおよび上側部材20a,20b,20c,20dに、釘、ねじ等の公知の固定手段(図示せず)により固定されている。
【0028】
また、複数の下側部材10のうち最も左側の下側部材10aの左側面15と、最も左側の下側部材10aの上面11に重なる上側部材20a,20b,20c,20dの下面26とに跨って、当接金具32bが取り付けられている(図2参照)。当接金具32bは、下側部材10aおよび上側部材20a,20b,20c,20dに、釘、ねじ等の公知の固定手段(図示せず)により固定されている。
【0029】
図2に示すように、複数の下側部材10a,10b,10cのそれぞれの下面16には、前後方向に延びる保持溝17が形成されている。保持溝17内には、後述する締結ベルト33が収容される構成とされる。
【0030】
2.金属板40の運搬形態
図4に、本形態の金属板運搬用スキッド1に、金属板40が載置された状態を示す。複数の金属板40は、シート状の梱包材41によって梱包されている。これにより、複数の金属板40は、一つの梱包物42としてまとめられている。本形態においては、金属板40の左右方向の長さ寸法は2,438mmに設定されており、金属板40の前後方向の長さ寸法は1,219mmに設定されている。すなわち、金属板40の左右方向の長さ寸法は、上側部材20の左右方向の長さ寸法と同じに形成されており、金属板40の前後方向の長さ寸法は、下側部材10の前後方向の長さ寸法と同じに形成されている。なお、図4においては、説明の便宜のため、金属板40の厚さ寸法は強調されている。
【0031】
金属板40の寸法は任意に設定可能であり、特に限定されないが、ある一定の定められた寸法に設定された、いわゆる定尺板としてもよい。定尺板のサイズは特に限定されないが、アルミニウム板、ステンレス板、銅板、真鍮板等については、いわゆるメーター板(1,000mm×2,000mm)や、シハチ(1,219mm×2,438mm)を採用することが好ましい。本形態においては、金属板40のサイズとして、いわゆるシハチが採用されている。また、鉄板については、いわゆるサブロク(914mm×1,819mm)を採用することが好ましい。なお、金属板運搬用スキッド1の左右方向および前後方向の長さ寸法は、金属板40の左右方向および前後方向の長さ寸法と略同じに設定することが好ましい。
【0032】
上記のメーター板やシハチのように、金属板40が、短辺と長辺との長さの比が略1:2である長方形状に形成される場合、金属板運搬用スキッド1の短手方向に延びる3つの下側部材10と、金属板運搬用スキッド1の長手方向に延びる4つの上側部材20と、によって、金属板運搬用スキッド1が形成される構成が好ましい。
【0033】
ただし、金属板40の、短辺と長辺との長さの比が1;2と異なる場合についても、本発明を適用できる。例えば、定尺板のサイズとして、いわゆるサンパチ(914mm×2,438mm)や、ゴハチ(1,524mm×2,438mm)や、ゴトウ(1,524mm×3,048mm)等を採用した場合についても、本発明を好適に適用できる。
【0034】
図4に示すように、上側部材20の上面21(載置面の一例)に梱包物42が載置された状態で、梱包物42と、上側部材20と、下側部材10とは、締結ベルト33によって巻回されている。締結ベルト33は、下側部材10の保持溝17内に配置されている。これにより、締結ベルト33が左右方向に位置ずれすることが抑制されるので、梱包物42が、上側部材20の上面21に確実に固定されるようになっている。
【0035】
図4に示すように、複数の下側部材10のうち最も右側の下側部材10cの右方であって、複数の上側部材20の下方に、右側ワイヤー34(ワイヤーの一例)を配置する。複数の下側部材10のうち最も左側の下側部材10aの左方であって、複数の上側部材20の下方に、左側ワイヤー35(ワイヤーの一例)を配置する。また、右側ワイヤー34および左側ワイヤー35を、図示しないフックに引っ掛けて、上方に引っ張り上げる。
【0036】
すると、右側ワイヤー34が上方に引き上げられることにより、右側ワイヤー34が当接金具32aに下方から当接する。また、左側ワイヤー35が上方に引き上げられることにより、左側ワイヤー35が当接金具32bに下方から当接する。これにより、右側ワイヤー34が、右端の下側部材10cの右側面14および上側部材20の下面26と摺接することが抑制されるとともに、左側ワイヤー35が、左端の下側部材10aの左側面および上側部材20の下面26と摺接することが抑制される。
【0037】
右側ワイヤー34および左側ワイヤー35がさらに上方に引き上げられることにより、金属板40を含む梱包物42が載置された金属板運搬用スキッド1が上方に持ち上げられ、金属板40が運搬される。
【0038】
3.本形態の作用効果
本形態の作用効果について説明する。本形態によれば、金属板運搬用スキッド1を構成する下側部材10および上側部材20は全て合成樹脂製であり、下側部材10および上側部材20に木材を一切使用していない。そのため、自ずと森林資源を保護することができる。
【0039】
また、下側部材10および上側部材20を構成する合成樹脂がガラス繊維を含むことにより、金属板運搬用スキッド1の強度を向上させることができる。これにより、金属板運搬用スキッド1の耐久性が格段に向上し、何度も回収して再利用することが可能となる。そのため、本形態の金属板運搬用スキッド1は、従来の木製のものと比べ廃棄される頻度が大幅に減少する。それ故、合成樹脂を使用することによる環境への問題を最小限に抑えつつ、上記の森林資源保護に寄与することができる。
【0040】
また、下側部材10および上側部材20を構成する合成樹脂がガラス繊維を含むことにより、金属板運搬用スキッド1の強度を向上させることができる。これにより、右側ワイヤー34および左側ワイヤー35によって金属板40という重量物を吊り上げて運搬する場合であっても、安全に運搬作業を行うことができる。
【0041】
さらに、本形態の金属板運搬用スキッド1には、当接金具32a,32bが取り付けられている。この当接金具32a,32bに、それぞれ、右側ワイヤー34および左側ワイヤー35が当接する。これにより、右側ワイヤー34が、右端の下側部材10cの右側面14および上側部材20の下面26と摺接することが抑制されるとともに、左側ワイヤー35が、左端の下側部材10aの左側面および上側部材20の下面26と摺接することが抑制される。この結果、複数の上側部材20または複数の下側部材10が、右側ワイヤー34および左側ワイヤー35によって摩耗することを抑制できる。これにより、金属板運搬用スキッド1の耐久性を向上させることができる。金属板運搬用スキッド1の耐久性が向上することによって、より一層、森林資源保護に資する。
【0042】
(実施形態1の変形例)
図5および図6を参照して、実施形態1に係る金属板運搬用スキッド1の、運搬形態の変形例について説明する。図5に示すように、3つの下側部材10のうち最も右側の下側部材10cと、中央の下側部材10bとの間の位置において、上側部材20の下面に、金属製のフック部材43を下方から引っ掛ける。同様に、3つの下側部材10のうち最も左側の下側部材10aと、中央の下側部材10bとの間の位置において、上側部材20の下面に、金属製のフック部材43を下方から引っ掛ける。
【0043】
図6に示すように、フック部材43は、上下方向に延びる軸部44と、軸部44の下端部において水平方向に屈曲した保持部45と、を備える。本形態では、軸部44と保持部45とは別体に形成されているが、これに限られず、軸部44と保持部45とは一体に形成されていても良い。
【0044】
保持部45の前後方向の長さ寸法は、上側部材20の前後方向の長さ寸法よりもやや大きく形成されている。これにより、保持部45の上面に、上側部材20が載置されるようになっている。
【0045】
(実施形態2)
次に、図7および図8を参照して、実施形態2について説明する。本形態の金属板運搬用スキッド1aにおいては、下側部材10と上側部材20とが重なる部分において、下側部材10と上側部材20とはボルト50とナット51により固定されている。
【0046】
図7に示すように、上側部材20の上面21には、下側部材10と上側部材20とが重なる部分において、二つの上側ザグリ孔52が設けられている。上側ザグリ孔52の内形状は円形状に形成されている。二つの上側ザグリ孔52の並ぶ方向は、前後方向および左右方向に対して傾斜して配置されている。上側ザグリ孔52の内部には、ボルト50の頭部50aが配置されている。本形態のボルト50の頭部50aは上方から見て六角形状に形成されている。ただし、ボルト50の頭部50aは、上方から見て円形状、四角形状等、任意の形状とすることができる。また、ボルト50の頭部50aに、マイナス孔、プラス孔、または六角孔等が形成される構成としても良い。
【0047】
図8に示すように、下側部材10に形成された保持溝17の底面には、上下方向について上側ザグリ孔52と重なる位置に、下側ザグリ孔53が形成されている。下側ザグリ孔53の内部には、ナット51が配置されている。
【0048】
図8に示すように、下側部材10と上側部材20とが重なる部分には、下側部材10および上側部材20を、それぞれ上下方向に貫通する上側貫通孔54aおよび下側貫通孔54bが形成されている。上側貫通孔54aの上側の開口は、上側ザグリ孔52の底部に形成されている。また、下側貫通孔54bの下側の開口は、下側ザグリ孔53の底部に形成されている。上側貫通孔54aと下側貫通孔54bとは、上下方向に整合して配置されている。このように、上側貫通孔54aおよび下側貫通孔54bによって、上側ザグリ孔52と下側ザグリ孔53とが連通している。上側貫通孔54aおよび下側貫通孔54b内には、ボルト50の軸部50bが上下方向に挿通されている。上側貫通孔54aおよび下側貫通孔54bの内径寸法は、ボルト50の軸部50bの外形寸法と同じか、やや大きく設定されている。
【0049】
図8に示すように、下側部材10と、上側部材20とは、上側貫通孔54aおよび下側貫通孔54b内にボルト50の軸部50bが挿通された状態で、ボルト50の軸部50bにナット51が螺合されることにより、ボルト締結される。ただし、下側ザグリ孔53にボルト50の頭部50aが配置されて、上側ザグリ孔52にナット51が配置される構成としても良い。
【0050】
図8に示すように、上側ザグリ孔52にボルト50が配置された状態で、ボルト50の頭部50aの上面は、上側部材20の上面と同じか、やや下方に位置している。また、下側ザグリ孔53にボルト50の軸部50bが配置された状態で、軸部50bの下端部は、下側部材10の保持溝17の底面と同じか、またはやや上方に位置している。
【0051】
本形態の金属板運搬用スキッド1aにおいては、下側部材10と上側部材20とは接着されていない。また、補強金具31、および当接金具32a,32b,32c,32dは、下側部材10および上側部材20に取り付けられていない。
【0052】
ただし、下側部材10と上側部材20とは接着されていても良い。また、補強金具31、および当接金具32a,32b,32c,32dが下側部材10および上側部材20に取り付けられていても良い。
【0053】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
本形態によれば、固定部材としてボルト50とナット51を用いることにより、下側部材10と上側部材20とを着脱可能に固定することができる。これにより、例えば、下側部材10または上側部材20の一部が破損した場合に、破損した下側部材10または上側部材20のみを交換することができる。この結果、破損した下側部材10または上側部材20を交換しつつ、金属板運搬用スキッド1aを長期間にわたって使用することができるので、森林資源の保護に資する。
【0055】
また、本形態によれば、下側部材10および上側部材20には、それぞれ、ボルト50の頭部50aが収容される上側ザグリ孔52と、ナット51が収容される下側ザグリ孔53が設けられている。これにより、ボルト50の頭部50aまたはナット51が、金属板40に接触することが抑制されるので、金属板40に傷がつくことが抑制される。
【0056】
また、下側ザグリ孔53は保持溝17の底部に設けられているので、締結ベルト33がナット51と接触することが抑制される。これにより、締結ベルト33が損傷することが抑制される。
【0057】
(実施形態3)
次に、図9を参照して実施形態3の金属板運搬用スキッド1bについて説明する。本形態の上側部材20の下面26には、下側部材10に向かって下方に突出する回り止め凸部60が形成されている。回り止め凸部60は、円柱形状、角柱形状等、任意の形状を適宜に採用しうる。
【0058】
下側部材10の上面11には、回り止め凸部60に対応する位置に、回り止め凹部61が形成されている。回り止め凹部61の内形状は、回り止め凸部60の外形状と略同じに形成されている。略同じとは、同じである場合を含むとともに、同じでない場合であっても実質的に同じと認定しうる場合を含む。
【0059】
下側部材10の上面11に上側部材20が載置されることにより、下側部材10の回り止め凹部61内に、上側部材20の回り止め凸部60が上方から嵌入する。これにより、下側部材10と上側部材20とが相対的に回転することが抑制される。これにより、金属板運搬用スキッド1が変形することを抑制できるので、金属板運搬用スキッド1bの強度を向上させることができる。さらに、金属板運搬用スキッド1bを長寿命化することができるので、森林保護に資する。
【0060】
上記以外の構成については、実施形態2と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
本形態では、下側部材10に回り止め凹部61が形成され、上側部材20に回り止め凸部60が形成される構成としたが、これに限られず、下側部材10に回り止め凸部60が形成され、上側部材20に回り止め凹部61が形成される構成としても良い。
【0062】
(実施形態4)
次に、図10を参照して、実施形態4の金属板運搬用スキッド1cについて説明する。本形態の下側部材10の上面11には、IDタグ70が収容される収容凹部71が形成されている。収容凹部71の内形状は、IDタグ70の外形状と同じか、やや大きく形成されている。
【0063】
下側部材10の上面11に上側部材20が載置されて固定されることにより、IDタグ70は、金属板運搬用スキッド1cの内部に配置される。
【0064】
IDタグ70は、無線信号を送信または受信可能な電子部品である。金属板運搬用スキッド1cの外部の管理装置(図示せず)と、IDタグ70との間で無線通信を行うことにより、IDタグ70が配置された金属板運搬用スキッド1cの流通状態を管理することができる。
【0065】
上記以外の構成については、実施形態2と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0066】
本形態によれば、収容凹部71内にIDタグ70が収容されることにより、金属板運搬用スキッド1cの流通状態を把握することができる。これにより、金属板運搬用スキッド1cの利用状態を把握することができるので、金属板運搬用スキッド1cを繰り返し使用可能となる。この結果、金属板運搬用スキッド1cを長寿命化することができるので、森林保護に資する。
【0067】
また、IDタグ70が収容凹部71内に収容されることにより、金属板40の運搬作業中に、金属板40や、他の異物がIDタグ70に衝突することが抑制される。これにより、IDタグ70の寿命を延ばすことができる。
【0068】
ただし、収容凹部71は下側部材10の上面11に形成される構成としたが、これに限られず、収容凹部71は、上側部材20の下面26に形成される構成としても良いし、また、下側部材10の上面11および上側部材20の下面26の双方に形成される構成としても良い。
【0069】
(実施形態5)
図11から図14を参照して、実施形態5の金属板運搬用スキッド1dについて説明する。図11に示すように、本形態においては、後から2番目の上側部材20cの前面であって、右端の下側部材10cより右方の位置に、IDタグ70が収容されたタグ収容箱80が取付けられている。本形態においては、タグ収容箱80は、上側部材20cの右端部からやや左方の位置であって、且つ下側部材10cよりやや右方の位置に取付けられている。
【0070】
図12に示すように、タグ収容箱80は、上側部材20cにねじ95により固定されている。本形態においては、ねじ95はタッピンねじとしてもよい。タグ収容箱80は、合成樹脂製である。タグ収容箱80を形成する合成樹脂としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等、任意の材料を選択できる。本形態のタグ収容箱80は、発泡ポリプロピレンにより形成されている。発泡ポリプロピレンとしては、例えば、住化プラステック株式会社製、スミセラー(登録商標)を好適に用いることができる。
【0071】
図13に示すように、タグ収容箱80は、IDタグ70が収容される収容部90を備えた箱本体部81と、箱本体部81に取付けられた収容部90を塞ぐ蓋部材85と、を備える。箱本体部81の収容部90は、上側部材20cに取付けられた状態で、前方に開口するように配置されている。蓋部材85は、箱本体部81に前方から取付けられる。
【0072】
図14(a)~(c)に示すように、箱本体部81は、長尺な底壁82と、底壁82の短辺から底壁82の板面と交差する方向に延びる2つの短側壁83と、底壁82の長辺から底壁82の板面と交差する方向に延びる2つの長側壁84と、を備える。底壁82と、短側壁83と、長側壁84と、に囲まれた空間が、IDタグ70が収容される収容部90とされる。
【0073】
底壁82と、短側壁83と、長側壁84と、は、ねじ止め、接着、熱融着等、任意の手法により固定することができる。
【0074】
図14(a)および図14(b)に示すように、底壁82は、短側壁83と交差する方向について外方に突出するブラケット部82aを有する。ブラケット部82aの形状は特に限定されず、任意の形状に形成することができる。本形態のブラケット部82aは、底壁82と交差する方向から見て四角形状に形成されている。ブラケット部82aには、ねじ95が挿通される挿通孔82bが貫通されている。ブラケット部82aの挿通孔82bにねじ95が挿通されて、ねじ95が上側部材20に螺合されることにより、タグ収容箱80が上側部材20cに固定される。
【0075】
図14(a)に示すように、底壁82と直交する方向から見たとき、収容部90の内形状は、IDタグ70の外形状と同じか、わずかに大きく形成されている。これにより、収容部90内に、IDタグ70がガタつくことなく収容される。
【0076】
図14(b)に示すように、長側壁84および短側壁83の、底壁82の板面からの突出高さ寸法は、IDタグ70の高さ寸法よりも大きく形成されている。これにより、IDタグ70を底壁82に向かって押込むことにより、IDタグ70と底壁82とが接触した状態で収容部90内に収容すると、IDタグ70が収容部90内から離脱することが抑制される。
【0077】
図14(c)に示すように、収容部90は、IDタグ70が挿入可能な開口部91を有する。開口部91の開口縁部92は、2つの長側壁84の端縁と、2つの短側壁83の端縁により構成される。2つの短側壁83の端縁には、底壁82に向かって陥没する凹部83aが形成されている。IDタグ70が収容部90に収容された状態で、IDタグ70の一部が、凹部83aから露出する構成とされている。これにより、作業者は、凹部83aから指を収容部90内に差入れて、IDタグ70を摘まむことにより、IDタグ70を収容部90から取出すことができる。ただし、1つの短側壁83にのみ凹部83aが形成される構成としても良いし、また、凹部83aを省略してもよい。
【0078】
図14(a)~(c)に示すように、長側壁84の外面には、外方に突出する係止受け部84aが形成されている。
【0079】
図15(a)~(c)に示すように、蓋部材85は、箱本体部81の収容部90を覆う長尺な蓋壁86と、蓋壁86の長辺から蓋壁86の板面と交差する方向に延びる2つの蓋長側壁87と、蓋壁86の短辺から蓋壁86の板面と交差する方向に延びる2つの蓋短側壁88と、を備える。蓋壁86と、蓋長側壁87と、蓋短側壁88と、は、ねじ止め、接着、熱融着等、公知の手法により固定される。蓋長側壁87の端縁部には、内方に突出する係止部87aが形成されている。
【0080】
図13に示すように、蓋部材85は、蓋部材85に形成された係止部87aと、箱本体部81に形成された係止受け部84aとが前後方向に係合することにより、前方に抜止めされた状態で保持される。
【0081】
本形態によれば、IDタグ70がタグ収容箱80に収容された状態で、金属板運搬用スキッドに取付けられることにより、IDタグ70が異物と衝突することを抑制することができる。
【0082】
蓋部材85の係止部87aと、箱本体部81の係止受け部84aとの係合を解除することにより、蓋部材85を箱本体部81から取り外すことができる。これにより、IDタグ70を収容部90から取出してメンテナンスすることができる。
【0083】
(実施形態5の変形例1)
図16を参照して、実施形態5の変形例1について説明する。本形態に係る金属板運搬用スキッド1eでは、タグ収容箱80は、上側部材20cの前面のうち、下側部材10c寄りの位置に取付けられている。これにより、上側部材20cと下側部材10cとが固定された部分の近傍にタグ収容箱80を取付けることができる。この結果、タグ収容箱80が、上側部材20cと下側部材10cとに保護されるので、タグ収容箱80に異物が衝突することが抑制される。また、上側部材20cと下側部材10cとが組付けられた部分は、金属板運搬用スキッド1eの中でも比較的に強度が高いので、金属板運搬用スキッド1eに金属板40が載置された場合でも、上側部材20cが撓みにくくなっている。これにより、タグ収容箱80が上側部材20cから外れる等の不具合を抑制することができる。
【0084】
(実施形態5の変形例2)
図17を参照して、実施形態5の変形例2について説明する。本形態に係る金属板運搬用スキッド1fでは、タグ収容箱80は、下側部材10cの右側面に取付けられている。これにより、タグ収容箱80は、上側部材20の上面に載置される金属板40から離れた位置に取付けられる。この結果、タグ収容箱80と金属板とが接触することを抑制できる。
【0085】
なお、タグ収容箱80は、上記した実施形態5,実施形態5の変形例1,および実施形態5の変形例2と異なる任意の位置に取付けられる構成としても良い。
【0086】
(実施形態6)
図18を参照して、実施形態6について説明する。本形態に係るタグ収容箱80aは、合成樹脂が射出成形されることによって、底壁82、短側壁83および長側壁84を有する箱本体部81と、蓋壁86、蓋長側壁87および蓋短側壁88を有する蓋部材85とが、ヒンジ89を介して一体に形成されている。ヒンジ89は、撓み変形可能に形成されている。これにより、蓋部材85は、ヒンジ89を軸として、箱本体部81に対して相対的に回転可能に形成されている。蓋部材85に形成された係止部87aと、箱本体部81に形成された係止受け部84aと、が係合することにより、収容部90が蓋部材85によって塞がれる。上記以外の構成については、実施形態5と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0087】
本形態によれば、蓋部材85と箱本体部81とが一体に形成されるので、部品点数を削減することができる。また、箱本体部81から蓋部材85が取外されたときに、蓋部材85を紛失してしまうことを抑制することができる。
【0088】
(実施形態7)
図19を参照して、実施形態7について説明する。本形態に係るタグ収容箱80bにおいては、箱本体部81の収容部90内にIDタグ70が収容された状態で、蓋部材85が箱本体部81に固定されている。蓋部材85と箱本体部81とは、ねじ止め、接着、熱融着等の公知の方法により固定される。上記以外の構成については、実施形態5と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0089】
蓋部材85と箱本体部81とがねじ止めされる場合には、IDタグ70を塵埃から保護することができる。蓋部材85と箱本体部81とが接着または熱融着される場合には、収容部90内に塵埃および水が侵入することを抑制できるので、IDタグ70を塵埃および水から保護することができる。
【0090】
IDタグ70は、電池の交換や、故障部品の交換等によりメンテナンスが必要となる場合がある。メンテナンスの周期は、例えば電池交換であれば1年から2年に1回である。部品の故障についても、電池交換と同じ頻度か、または、電池交換よりも頻度は低い。このため、IDタグ70をメンテナンスする際に、蓋部材85または箱本体部81を破壊してIDタグ70を取外す構成としても、タグ収容箱80bの製造コストは余り上昇しない。また、タグ収容箱80bをリサイクル可能な合成樹脂により形成することにより、廃棄物の発生を抑制することができる。
【0091】
(実施形態8)
図20を参照して、実施形態8について説明する。本形態に係るタグ収容箱80cは、上側部材20cに取付けられた状態で、収容部190が上方に開口する構成とされる。これにより、タグ収容箱80cを上側部材20cに取付けた状態で、上方からIDタグ70を収容部190に収容することができる。この結果、IDタグ70を収容部190に収容する際の作業性が向上する。
【0092】
タグ収容箱80cは、左右方向に長尺な底壁182と、底壁182の短辺から上方に延びる一対の短側壁183と、底壁182の長辺から上方に延びる一対の長側壁184と、を備える。一対の短側壁183の上端縁には、凹部183aが下方に凹んで形成されている。タグ収容箱180の、底壁182、短側壁183および長側壁184によって囲まれた領域が、収容部190とされる。本形態では、一対の長側壁184の一方が、上側部材20cに、ねじ止め、接着等の公知の手法により取付けられる。
【0093】
蓋部材185は、収容部190を覆う蓋壁186と、蓋壁186の長辺から下方に延びる1つの蓋長側壁187と、蓋壁186の短辺から下方に延びる一対の蓋短側壁188と、を備える。蓋部材185は、蓋壁186が収容部190を覆った状態で、箱本体部181に取付けられている。蓋部材185は、箱本体部181に、係止部(図示せず)と係止受け部(図示せず)とが係合することにより組付けられても良いし、また、ねじ止め、接着、熱融着等の公知の手法により固定されても良い。
【0094】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f:金属板運搬用スキッド、10,10a,10b,10c:下側部材、11:下側部材の上面、12:下側部材の前端面、16:下側部材の下面、17:保持溝、20,20a,20b,20c,20d:上側部材、21:上側部材の上面、26:上側部材の下面、30:釘、31:補強金具、32a,32b,32c,32d:当接金具、33:締結ベルト、34:右側ワイヤー、35:左側ワイヤー、40:金属板、50:ボルト、50a:頭部、50b:軸部、51:ナット、52:上側ザグリ孔、53:下側ザグリ孔、54:貫通孔、54a:上側貫通孔、54b:下側貫通孔、60:回り止め凸部、61:回り止め凹部、70:IDタグ、71:収容凹部、80,80a,80b,80c:タグ収容箱、81、181:箱本体部、82:底壁、82a:ブラケット部、83a、183a:凹部、84a:係止受け部、85、185:蓋部材、87a:係止部、89:ヒンジ、90、190:収容部、91:開口部、92:開口縁部、95:ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20