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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101766
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 73/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
D06F73/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005885
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 建
(57)【要約】
【課題】衣類を、例えば折り畳みのために必要な伸ばした形状にする操作を、容易にする。
【解決手段】収縮されたエアバッグを衣類の内部に挿入する挿入部と、エアバッグに気体を入れてエアバッグを伸長させることにより、衣類を膨らませる伸長部と、エアバッグから気体を抜いてエアバッグを収縮させる収縮部と、収縮されたエアバッグを衣類の内部から抜き取る抜き取り部とを備える、ロボット装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮されたエアバッグを衣類の内部に挿入する挿入部と、
前記エアバッグに気体を入れて当該エアバッグを伸長させることにより、前記衣類を膨らませる伸長部と、
前記エアバッグから前記気体を抜いて当該エアバッグを収縮させる収縮部と、
収縮された前記エアバッグを前記衣類の内部から抜き取る抜き取り部と
を備える、ロボット装置。
【請求項2】
前記伸長部は、前記エアバッグに入れる前記気体を暖気とすることにより、前記衣類を乾燥させる、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記伸長部は、前記エアバッグに給排気ポンプを用いて前記気体を入れ、
前記収縮部は、前記エアバッグから前記給排気ポンプを用いて前記気体を抜く、
請求項1に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記エアバッグが抜き取られた後に、前記衣類が載置された載置板を折り曲げることにより、当該衣類を折り畳む折り畳み部を更に備える、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のロボット装置。
【請求項5】
前記収縮部は、前記載置板で前記衣類を吸着しながら当該載置板上で前記エアバッグから前記気体を抜く、請求項4に記載のロボット装置。
【請求項6】
前記折り畳み部は、前記載置板で前記衣類を吸着しながら当該載置板を折り曲げる、請求項4に記載のロボット装置。
【請求項7】
前記折り畳み部は、前記載置板で前記衣類を加熱押圧しながら当該載置板を折り曲げる、請求項4に記載のロボット装置。
【請求項8】
前記エアバッグが抜き取られる前に、当該エアバッグを折り曲げることにより、当該衣類を折り畳む折り畳み部を更に備える、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のロボット装置。
【請求項9】
前記エアバッグは、折り曲げるための折り目を有する、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項10】
前記折り畳み部は、前記エアバッグを前記折り目で折り曲げるロボットアームである、請求項9に記載のロボット装置。
【請求項11】
前記折り畳み部は、前記エアバッグを前記折り目で折り曲げるために当該折り目に設けられたアクチュエータである、請求項9に記載のロボット装置。
【請求項12】
前記挿入部は、前記衣類が掛けられたハンガーを通して、前記エアバッグを当該衣類の内部に挿入する、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のロボット装置。
【請求項13】
前記ハンガーに前記衣類を掛けた状態で当該衣類を洗濯する洗濯部を更に備える、請求項12に記載のロボット装置。
【請求項14】
前記ハンガーに前記衣類を掛けた状態で当該衣類を乾燥させる乾燥部を更に備える、請求項12に記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗濯物を自動的に折り畳むための折り畳み装置が記載されている。この折り畳み装置は、機械フレームと、縦折り畳み装置と、縦折り畳み装置の出口側に配置された横折り畳み装置とを有する。横折り畳み装置には縦折り畳み装置から進入する洗濯物の搬送方向において二つの前後して配置された洗濯物コンベヤが存在しかつ実質的に横折り畳み装置の全幅にわたって延びている間隙により互いに間隔を置いている。洗濯物を第一の横折り目をつけながら間隙に導入可能であり、間隙幅を洗濯物の導入前に変えて洗濯物の種類に適合させるための手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-109067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収縮されたエアバッグを衣類の内部に挿入してエアバッグを伸長させる構成を採用しない場合、衣類を、例えば折り畳みのために必要な伸ばした形状にする操作は、容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、衣類を、例えば折り畳みのために必要な伸ばした形状にする操作を、容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、収縮されたエアバッグを衣類の内部に挿入する挿入部と、エアバッグに気体を入れてエアバッグを伸長させることにより、衣類を膨らませる伸長部と、エアバッグから気体を抜いてエアバッグを収縮させる収縮部と、収縮されたエアバッグを衣類の内部から抜き取る抜き取り部とを備える、ロボット装置を提供する。
伸長部は、エアバッグに入れる気体を暖気とすることにより、衣類を乾燥させる、ものであってよい。
伸長部は、エアバッグに給排気ポンプを用いて気体を入れ、収縮部は、エアバッグから給排気ポンプを用いて気体を抜く、ものであってよい。
ロボット装置は、エアバッグが抜き取られた後に、衣類が載置された載置板を折り曲げることにより、衣類を折り畳む折り畳み部を更に備える、ものであってよい。その場合、収縮部は、載置板で衣類を吸着しながら載置板上でエアバッグから気体を抜く、ものであってよい。また、折り畳み部は、載置板で衣類を吸着しながら載置板を折り曲げる、ものであってよい。更に、折り畳み部は、載置板で衣類を加熱押圧しながら載置板を折り曲げる、ものであってよい。
ロボット装置は、エアバッグが抜き取られる前に、エアバッグを折り曲げることにより、衣類を折り畳む折り畳み部を更に備える、ものであってよい。その場合、エアバッグは、折り曲げるための折り目を有する、ものであってよい。また、その場合、折り畳み部は、エアバッグを折り目で折り曲げるロボットアームであってよい。また、折り畳み部は、エアバッグを折り目で折り曲げるために折り目に設けられたアクチュエータであってよい。
挿入部は、衣類が掛けられたハンガーを通して、エアバッグを衣類の内部に挿入する、ものであってよい。その場合、ロボット装置は、ハンガーに衣類を掛けた状態で衣類を洗濯する洗濯部を更に備える、ものであってよい。また、ロボット装置は、ハンガーに衣類を掛けた状態で衣類を乾燥させる乾燥部を更に備える、ものであってよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、衣類を、例えば折り畳みのために必要な伸ばした形状にする操作が、容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボットの全体構成例を示す図である。
図2】(a),(b)は、洗濯乾燥折り畳みロボットに用いられる専用ハンガーを示す図である。
図3】(a),(b)は、専用ハンガーに衣類を掛けたときの状態を示す図である。
図4】洗濯乾燥ユニットを横から見たときの構成図である。
図5】洗濯乾燥ユニットを正面から見たときの構成図である。
図6】洗濯乾燥ユニットの洗濯動作における水の流れを示す図である。
図7】洗濯乾燥ユニットに用いられる乾燥ユニットを示す図である。
図8】(a)~(c)は、洗濯乾燥ユニットの乾燥動作を示す図である。
図9】折り畳みユニットを横から見たときの構成図である。
図10】折り畳みユニットを上から見たときの構成図である。
図11】(a),(b)は、折り畳みベッド上での吸着動作を示す図である。
図12】(a),(b)は、折り畳みベッド上での吸着動作を示す図である。
図13】(a),(b)は、折り畳みベッド上での吸着動作を示す図である。
図14】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図15】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図16】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図17】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図18】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図19】(a),(b)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
図20】ロボットアームが折り畳まれた衣類を収納部に移動させるときの動作を示す図である。
図21】第2の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボットの乾燥ユニットに用いられるエアバッグを示す図である。
図22】(a),(b)は、アクチュエータの構造を示す図である。
図23】(a)~(e)は、折り畳みベッド上での折り畳み動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
(洗濯乾燥折り畳みロボット)
図1は、第1の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボット1の全体構成例を示す図である。洗濯乾燥折り畳みロボット1は、ユーザが専用ハンガーに掛けてセットした衣類に対して、自動的に洗濯、乾燥、折り畳み、収納の各処理を行う。洗濯乾燥折り畳みロボット1は、ロボット装置の一例である。
図示するように、洗濯乾燥折り畳みロボット1は、洗濯乾燥ユニット10と、折り畳みユニット20と、ロボットアーム30と、コントローラ90とを備える。
洗濯乾燥ユニット10は、衣類の洗濯及び乾燥を行うユニットである。洗濯乾燥ユニット10の詳細については後述する。
折り畳みユニット20は、洗濯及び乾燥が行われた衣類の折り畳み及び収納を行うユニットである。折り畳みユニット20の詳細についても後述する。
ロボットアーム30は、洗濯乾燥ユニット10から折り畳みユニット20へ洗濯物を運搬する。
コントローラ90は、洗濯乾燥ユニット10、折り畳みユニット20、及びロボットアーム30を制御する。
【0011】
(専用ハンガー)
図2(a),(b)は、洗濯乾燥折り畳みロボット1に用いられる専用ハンガー40を示す図である。
専用ハンガー40は、折り畳み機構41を備える。図2(a)は、専用ハンガー40を折り畳んだときの状態を示し、図2(b)は、専用ハンガー40の折り畳みを解除したときの状態を示す。これにより、専用ハンガー40は、ユーザやロボットアーム30(図1参照)等の外部からの動力により折り畳んで衣類の首部分から容易に挿入したり抜いたりすることが可能となっている。
また、専用ハンガー40は、首部42と、肩部43a,43bとを備える。首部42は、上部に開口部421を有し、下部に開口部422を有する筒状形状をなす。肩部43a,43bは、それぞれ、首部42との接続部に開口部431a,431bを有し、先端部に開口部432a,432bを有する筒状形状をなす。これにより、専用ハンガー40には、ロボットアーム30(図1参照)の先端に取り付けられた乾燥ユニット50(後述)が挿入され、衣類の袖や胴体部分の中に伸びて、衣類を膨らませることが可能となっている。ロボットアーム30は、衣類が掛けられたハンガーを通して、エアバッグを衣類の内部に挿入する挿入部の一例である。
【0012】
図3(a),(b)は、専用ハンガー40に衣類を掛けたときの状態を示す図である。図3(a)は、専用ハンガー40を衣類の首部分から挿入しただけの状態を示し、図3(b)は、専用ハンガー40を挿入した状態で折り畳みを解除したときの状態を示す。
ユーザはこのように専用ハンガー40に衣類を掛ける。この際、ユーザは衣類のボタン等をはめた状態としておき、衣類が専用ハンガー40から抜けることはないものとする。この状態で、ユーザは洗濯乾燥ユニット10に衣類をセットする。これにより、専用ハンガー40に掛けられた状態のまま、衣類の洗濯及び乾燥が行われる。
【0013】
(洗濯乾燥ユニット)
まず、洗濯乾燥ユニット10の構成について説明する。
図4は、洗濯乾燥ユニット10を横から見たときの構成図である。図5は、洗濯乾燥ユニット10を正面から見たときの構成図である。尚、図では、3つの衣類に対して、同時に洗濯及び乾燥を行う例を示している。
図示するように、洗濯乾燥ユニット10は、ハンガー支持部11と、給水管12と、洗剤ケース13と、洗浄脱水アーム14と、上下動機構15と、排水管16と、真空ポンプ17とを備える。
【0014】
ハンガー支持部11は、衣類が掛けられた専用ハンガー40を支持する。ハンガー支持部11は、上部に乾燥ユニット50を挿入するための開口部111を有し、下部に専用ハンガー40を挿入するための開口部112を有する。
給水管12は、洗濯に用いる水を洗濯乾燥ユニット10に供給する配管である。給水管12は、洗剤ケース13を通過することで洗剤が混ざった水を、洗剤ケース13を通過しないことで洗剤が混ざらない水を、それぞれ洗浄脱水アーム14に注入する。
洗剤ケース13は、洗剤をセットするためのケースである。洗剤としては、液体洗剤、粉末洗剤、柔軟剤等を用いることができる。
洗浄脱水アーム14は、水噴射機構と、バキューム吸引機構とを有し、上下動機構15の作動により、衣類の間を上下に移動する。そして、洗浄脱水アーム14は、水噴射機構で水と洗剤とを混ぜた液体を衣類の表面及び裏面に噴射口から噴射し、バキューム吸引機構で汚水を吸引口から吸引する動作を繰り返すことにより、洗浄を行う。また、洗浄脱水アーム14は、水噴射機構で水のみを噴射し、バキューム吸引機構で吸引することにより、すすぎを行う。更に、洗浄脱水アーム14は、水を噴射せずに、バキューム吸引機構で吸引のみを行うことにより、脱水を行う。洗浄脱水アーム14は、ハンガーに衣類を掛けた状態で衣類を洗濯する洗濯部の一例である。
上下動機構15は、モータ151と、送りねじ152と、送りナット153と、リニアガイド154とを有する。そして、上下動機構15は、モータ151の回転運動を送りねじ152によって送りナット153の直線運動に変換することにより、送りナット153に取り付けられた洗浄脱水アーム14をリニアガイド154に案内されつつ上下に移動されるようにする。尚、図4に示すように複数の洗浄脱水アーム14が設けられている場合は、これらの洗浄脱水アーム14を一体化させて上下に移動させるとよい。
排水管16は、洗浄脱水アーム14がバキューム吸引機構で吸引した汚水を排水する配管である。
真空ポンプ17は、排水管16から汚水が排水されるように排水管16内を負圧状態に保つ。
【0015】
次に、洗濯乾燥ユニット10の洗濯動作について説明する。
図6は、洗濯乾燥ユニット10の洗濯動作における水の流れを示す図である。
図示するように、洗濯乾燥ユニット10では、洗浄を行う際には、給水管11から給水された水が矢印A1で示すように洗剤と混ぜられて、矢印A3で示すように洗浄脱水アーム14に供給される。そして、洗浄脱水アーム14は、矢印A4で示すように洗剤と混ぜられた水を衣類に噴射し、矢印A5で示すように汚水を吸引する。その後、汚水は矢印A6で示すように排水管16へ排水される。尚、洗濯乾燥ユニット10は、コントローラ90(図1参照)からの洗濯指令に基づいて、このような水の流れを形成するとよい。
【0016】
また、洗濯乾燥ユニット10では、すすぎを行う際には、給水管11から給水された水が矢印A2で示すように洗剤と混ぜられずに、矢印A3で示すように洗浄脱水アーム14に供給される。そして、洗浄脱水アーム14は、矢印A4で示すように洗剤と混ぜられていない水を衣類に噴射し、矢印A5で示すように汚水を吸引する。その後、汚水は矢印A6で示すように排水管16へ排水される。尚、洗濯乾燥ユニット10は、コントローラ90(図1参照)からの洗濯後のすすぎ指令に基づいて、このような水の流れを形成するとよい。
【0017】
更に、洗濯乾燥ユニット10では、脱水を行う際には、洗浄脱水アーム14に対して、矢印A1,A2で示すような水の供給は行われない。そして、洗浄脱水アーム14は、矢印A4で示すような水の噴射は行わずに、矢印A5で示すように汚水を吸引する。その後、汚水は矢印A6で示すように排水管16へ排水される。尚、洗濯乾燥ユニット10は、コントローラ90(図1参照)からのすすぎ後の脱水指令に基づいて、このような水の流れを形成するとよい。
【0018】
次に、洗濯乾燥ユニット10に用いられる乾燥ユニットについて説明する。
図7は、このような乾燥ユニット50を示す図である。
図示するように、乾燥ユニット50は、ユニット本体51内に、温風送付部52と、エアバッグユニット53a~53cとを備える。
【0019】
温風送付部52は、エアバッグユニット53a~53cに温風を送付する。温風送付部52は、給排気ポンプ521と、ヒータ522と、給気管523と、排気管524と、ソレノイドバルブ525とを備える。
給排気ポンプ521は、空気を供給又は吸引するためのポンプである。
ヒータ522は、給排気ポンプ521が供給する空気を温める。
給気管523は、ヒータ522で暖められたエアバッグユニット53a~53cに給気する暖気(温風)を通す配管である。
排気管524は、エアバッグユニット53a~53cから排気された空気を通す配管である。
ソレノイドバルブ525は、給排気ポンプ521からエアバッグユニット53a~53cへの給気及びエアバッグユニット53a~53cから給排気ポンプ521への排気を電気的に切り替えるバルブである。
【0020】
エアバッグユニット53a~53cは、乾燥ユニット50の下部の先端に設けられた伸長及び収縮が可能なユニットである。エアバッグユニット53a~53cは、それぞれ、エアバッグ531a~531cと、ワイヤ532a~532cと、巻取り機構533a~533cとを備える。
エアバッグ531a~531cは、空気を入れられると伸長し、それぞれ、衣類の右袖、左袖、胴体部分をその中に伸びることで膨らませることが可能となっている。エアバッグ531a~531cは、衣類が膨らんだ状態で、温風送付部52が送付した温風をその中で循環させることにより、衣類を乾燥させる。或いは、エアバッグ531a~531cは、暖気を放出させることにより、衣類を乾燥させてもよい。
ワイヤ532a~532cは、それぞれ、その先端がエアバッグ531a~531cの先端に固定され、エアバッグ531a~531cが伸長するのに応じて、巻取り機構533a~533cから巻き解かれていく。また、ワイヤ532a~532cは、それぞれ、巻取り機構533a~533cで巻き取られることにより、エアバッグ531a~531cをその外側を内側に潜り込ませることにより収縮させる。
巻取り機構533a~533cは、それぞれ、ワイヤ532a~532cを巻き取る機構である。巻取り機構533a~533cは、ゼンマイ等によって実現するとよい。
尚、ここでは、各構成要素に添え字a,b,cを付しているが、各構成要素を総称するときは、例えば「エアバッグ531」のように添え字を付さないものとする。
【0021】
乾燥ユニット50は、ハンガーに衣類を掛けた状態で衣類を乾燥させる乾燥部の一例である。
【0022】
次に、洗濯乾燥ユニット10の乾燥動作について説明する。
図8(a)~(c)は、このような乾燥動作を示す図である。
図8(a)では、乾燥ユニット50が、ロボットアーム30(図1参照)により、衣類が掛けられた専用ハンガー40の首部42の開口部421に挿入されている。この時点で、エアバッグ531a~531cは、まだ収縮した状態である。尚、ロボットアーム30は、コントローラ90(図1参照)からの挿入指令に基づいて、乾燥ユニット50を専用ハンガー40に挿入するとよい。ロボットアーム30は、収縮されたエアバッグを衣類の内部に挿入する挿入部の一例である。
【0023】
図8(b)では、乾燥ユニット50の温風送付部52が、乾燥ユニット50のエアバッグ531a~531cに空気を入れている。これにより、エアバッグ531a,531bは、それぞれ専用ハンガー40の肩部43a,43bの開口部432a,432bを通って衣類の袖の中に伸びている。また、エアバッグ531cは、専用ハンガー40の首部42の開口部422を通って衣類の胴体部分に伸びている。ここで、図には、エアバッグ531a~531cの先端に接続されたワイヤ532a~532cが巻取り機構533a~533cから巻き解かれている様子も示されている。尚、温風送付部52は、コントローラ90(図1参照)からの給気指令に基づいて、エアバッグ531a~531cに温風を送付するとよい。温風送付部52は、エアバッグに気体を入れてエアバッグを伸長させることにより、衣類を膨らませる伸長部の一例である。
【0024】
図8(c)では、乾燥ユニット50のエアバッグ531a~531cが、伸長し終わって、衣類を膨らませている。この状態で、乾燥ユニット50では、温風送付部52がエアバッグ531a~531cに温風を循環させることにより、衣類を乾燥させる。尚、温風送付部52は、例えば、所定時間経過後にコントローラ90(図1参照)から温風送付停止指令を受信するまで、エアバッグ531a~531cに温風を送付するとよい。温風送付部52は、エアバッグに入れる気体を暖気とすることにより、衣類を乾燥させる伸長部の一例である。
【0025】
尚、エアバッグユニット53a~53cとしては、例えば、スタンフォード大学の研究者が開発した新しいタイプの柔らかく伸びるロボット(https://news.stanford.edu/2017/07/19/stanford-researchers-develop-new-type-soft-growing-robot/)を用いるとよい。
或いは、エアバッグユニット53a~53cとしては、ワイヤの両側にスプリングを配置したものを用いてもよい。これは、図8(b)のエアバッグユニット53cを例にとれば、図面上のワイヤ532cの左側及び右側にスプリングを設けたものに相当する。エアバッグユニット53a~53cは、スプリングが縮むと図8(a)のような状態となり、スプリングが伸びると図8(c)のような状態となる。
【0026】
(折り畳みユニット)
まず、折り畳みユニット20の構成について説明する。
図9は、折り畳みユニット20を横から見たときの構成図である。図10は、折り畳みユニット20を上から見たときの構成図である。折り畳みユニット20を横から見たときの図では、図面の左側を「左」と称し、図面の右側を「右」と称し、折り畳みユニット20を上から見たときの図では、これに加えて、図面の上側を「上」と称し、図面の下側を「下」と称するものとする。
【0027】
折り畳みベッド21は、洗濯及び乾燥が行われた衣類を折り畳む際に用いられるベッドである。折り畳みベッド21は、ベッド台211と、ベッド板212a~212dとを備える。
ベッド台211は、ベッド板212a~212dを支持する台である。
ベッド板212a~212dは、バキュームにより衣類の吸着及び解放を行う。ベッド板212aは、その右側の軸を中心にその左側が起こされて回転されることにより、ベッド板212c,212dに重ね合わせられる。ベッド板212bは、その左側の軸を中心にその右側が起こされて回転されることにより、ベッド板212c,212dに重ね合わせられる。ベッド板212dは、その上側の軸を中心に下側が起こされて回転されることにより、ベッド板212cに重ね合わせられる。
【0028】
収納部22は、折り畳みベッド21で折り畳まれた衣類を収納する。収納部22は、収納部本体221に、衣類ストック部222を備える。
衣類ストック部222は、折り畳みベッド21上で折り畳まれた衣類をストックする。
【0029】
次に、折り畳みベッド21上での折り畳み動作について説明する。
図11(a),(b)~図13(a),(b)は、折り畳みベッド21上での吸着動作を示す図である。各図の(a)は、ベッド板212を上から見たときの状態を示し、各図の(b)は、ベッド板212を横から見たときの状態を示す。
【0030】
まず、ロボットアーム30(図1参照)が、洗濯乾燥ユニット10で洗濯及び乾燥が行われた衣類を、折り畳みベッド21に移動する。例えば、ロボットアーム30は、その先端に取り付けられた脱着機構を用いて専用ハンガー40を取り出し、専用ハンガー40に掛けたまま衣類を折り畳みベッド21に移動するとよい。図11(a),(b)は、このときのベッド板212、衣類等の状態を示す。図11(a),(b)では、乾燥ユニット50のエアバッグ531a~531cが伸長されることにより、衣類は膨らんでいる。尚、ロボットアーム30は、コントローラ90(図1参照)からの移動指令に基づいて、洗濯乾燥ユニット10から折り畳みベッド21へ衣類を移動させるとよい。
【0031】
次に、乾燥ユニット50の温風送付部52がエアバッグ531a~531c内の空気を抜きながら、折り畳みベッド21が衣類をベッド板212に吸着させる。
図12(a),(b)は、このときのベッド板212、衣類等の状態を示す。図12(a),(b)では、エアバッグ531a~531cが空気を抜かれて収縮することにより、衣類は膨らんだ状態でなくなっている。尚、温風送付部52は、コントローラ90(図1参照)からの排気指令に基づいて、エアバッグ531a~531c内の空気を抜くとよい。また、折り畳みベッド21は、コントローラ90からの吸着指令に基づいて、衣類を吸着させるとよい。温風送付部52は、エアバッグから気体を抜いてエアバッグを収縮させる収縮部の一例である。ベッド板212は、載置板の一例であり、温風送付部52は、載置板で衣類を吸着しながら載置板上でエアバッグから気体を抜く収縮部の一例である。
【0032】
次に、ロボットアーム30(図1参照)が、乾燥ユニット50を専用ハンガー40から抜き取り、専用ハンガー40を折り畳んで衣類から抜き取る。図13(a),(b)は、このときのベッド板212及び衣類の状態を示す。図13(a),(b)では、エアバッグ531a~531cが衣類から抜き取られている。尚、ロボットアーム30は、コントローラ90(図1参照)からの抜き取り指令に基づいて、乾燥ユニット50と専用ハンガー40とを衣類から抜き取るとよい。ロボットアーム30は、収縮されたエアバッグを衣類の内部から抜き取る抜き取り部の一例である。
【0033】
その後、折り畳みユニット20は、ベッド板212を回転させて畳み、必要な順番でベッド板212の吸引を止めて衣類の吸着を解放することにより、折り畳み動作を行う。
図14(a),(b)~図20(a),(b)は、折り畳みベッド21上での折り畳み動作を示す図である。各図の(a)は、ベッド板212を上から見たときの状態を示し、各図の(b)は、ベッド板212を横から見たときの状態を示す。また、各図では、衣類を吸着しているベッド板212をドットハッチングで示し、衣類を吸着し加熱押圧しているベッド板212を斜線ハッチングで示し、衣類の吸着も加熱押圧もしていないベッド板212を白地で示す。
【0034】
図14(a),(b)は、ベッド板212aを左から右へ回転させてベッド板212c,212dに重ね合わせたときの状態を示す。このとき、ベッド板212aは、斜線ハッチングで示すように、衣類を吸着しつつ加熱押圧している。
図15(a),(b)は、ベッド板212aを右から左へ回転させて元に戻したときの状態を示す。このとき、ベッド板212aは、白地で示すように、衣類を吸着も加熱押圧も行っていない。
【0035】
図16(a),(b)は、ベッド板212bを右から左へ回転させてベッド板212c,212dに重ね合わせたときの状態を示す。このとき、ベッド板212bは、斜線ハッチングで示すように、衣類を吸着しつつ加熱押圧している。
図17(a),(b)は、ベッド板212bを左から右へ回転させて元に戻したときの状態を示す。このとき、ベッド板212bは、白地で示すように、衣類を吸着も加熱押圧も行っていない。
【0036】
図18(a),(b)は、ベッド板212dを下から上へ回転させてベッド板212cに重ね合わせたときの状態を示す。このとき、ベッド板212cは、斜線ハッチングで示すように、衣類を吸着しつつ加熱押圧している。
図19(a),(b)は、ベッド板212dを上から下へ回転させて元に戻したときの状態を示す。このとき、ベッド板212dは、白地で示すように、衣類を吸着も加熱押圧も行っていない。
【0037】
尚、折り畳みベッド21は、コントローラ90(図1参照)からの回転指令に基づいて、ベッド板212a,212b,212dを回転させるとよい。折り畳みベッド21は、エアバッグが抜き取られた後に、衣類が載置された載置板を折り曲げることにより、衣類を折り畳む折り畳み部の一例である。折り畳みベッド21は、載置板で衣類を吸着しながら載置板を折り曲げる折り畳み部、載置板で衣類を加熱押圧しながら載置板を折り曲げる折り畳み部の一例でもある。
【0038】
また、折り畳みベッド21上での折り畳み動作中に、ロボットアーム30(図1参照)が、衣類の細かい位置ずれを修正するようにしてもよい。
【0039】
次に、収納部22への収納動作について説明する。
折り畳みベッド21上で衣類の折り畳みが実行された後、ロボットアーム30は、折り畳まれた衣類を収納部22に移動させる。
図20は、このときの動作を示す図である。図示するように、ロボットアーム30は、折り畳みベッド21のベッド板212c上で折り畳まれていた衣類を、収納部22の衣類ストック部222に移動している。尚、ロボットアーム30は、コントローラ90(図1参照)からの移動指令に基づいて、折り畳みベッド21から収納部22へ衣類を移動させるとよい。
【0040】
(効果)
第1の実施の形態では、乾燥ユニット50が、エアバッグ531を伸長させて衣類を膨らませた後、エアバッグ531を抜き取り、折り畳みベッド21が、衣類が配置されたベッド板212を折り曲げることにより、衣類を折り畳むようにした。これにより、第1の実施の形態では、エアバッグ531を特殊な形状にすることなく、衣類を伸ばした形状にして折り畳む操作が、容易になった。
【0041】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボット1は、乾燥ユニット50に用いられるエアバッグの構造が、第1の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボット1と異なる。また、第2の実施の形態では、折り畳みベッド21のベッド板212が第1の実施の形態のように分割されていなくてよいので、以下では、ベッド板212が分割されていないものとして説明する。
【0042】
図21は、第2の実施の形態における洗濯乾燥折り畳みロボット1の乾燥ユニット50に用いられるエアバッグ541a~541cを示す図である。図示するように、エアバッグ541a~541cは、折り目544a~544cを有しており、折り畳み易い形状になっている。そして、折り目544aには、アクチュエータ545a1,545a2が配置され、折り目544bには、アクチュエータ545b1,545b2が配置され、折り目544cには、アクチュエータ545cが配置されている。尚、ここでは、各構成要素に添え字a,b,c,a1,a2,b1,b2を付しているが、各構成要素を総称するときは、例えば「エアバッグ541」のように添え字を付さないものとする。アクチュエータ545は、エアバッグが抜き取られる前に、エアバッグを折り曲げることにより、衣類を折り畳む折り畳み部の一例である。
【0043】
図22(a),(b)は、アクチュエータ545の構造を示す図である。エアバッグ541が収縮している場合、アクチュエータ545は、図22(a)に示すように閉じている。エアバッグ541が伸長した場合、アクチュエータ545は、図22(b)に示すように開く。そして、再びエアバッグ541が収縮した場合、アクチュエータ545は、図22(a)に示すように閉じる。これにより、エアバッグ541は、折り目544に沿って、180°折れ曲がることが可能となる。
【0044】
図23(a)~(e)は、折り畳みベッド21上での折り畳み動作を示す図である。この図では、図面の左側を「左」と称し、図面の右側を「右」と称するものとする。
最初、図23(a)に示すように、ベッド板212上で、エアバッグ541aがエアバッグ541cの左に配置され、エアバッグ541bがエアバッグ541cの右に配置されている。
次に、アクチュエータ545a1,545a2(図21参照)が閉じると、図23(b)に示すように、ベッド板212上で、エアバッグ541aが折り目544a(図21参照)に沿って折り曲げられ、エアバッグ541cの左半分に重ねられる。
次に、アクチュエータ545b1,545b2(図21参照)が閉じると、図23(c)に示すように、ベッド板212上で、エアバッグ541bが折り目544b(図21参照)に沿って折り曲げられ、エアバッグ541cの右半分に重ねられる。
次に、アクチュエータ545c(図21参照)が閉じると、図23(d)に示すように、ベッド板212上で、エアバッグ541cの下半分が折り目544c(図21参照)に沿って折り曲げられ、エアバッグ541cの上半分に重ねられる。
最後に、ベッド板212上に置かれたエアバッグ541a~541cは、図23(e)に示すように、プレス板213でプレスされる。そして、その後、エアバッグ541a~541cが衣類から抜かれる。尚、アクチュエータ545は、コントローラ90(図1参照)からの折り曲げ指令に基づいて、エアバッグ541を折り曲げるとよい。
【0045】
ところで、本実施の形態では、エアバッグ541に折り目544及びアクチュエータ545を設けたが、折り目544のみを設けてもよい。但し、この場合は、アクチュエータ545がエアバッグ541を折り曲げることはできないので、例えば、ロボットアーム30がエアバッグ541を折り曲げることになる。尚、ロボットアーム30は、コントローラ90(図1参照)からの折り曲げ指令に基づいて、エアバッグ541を折り曲げるとよい。この場合、ロボットアーム30は、エアバッグを折り目で折り曲げる折り畳み部の一例である。
【0046】
(効果)
第2の実施の形態では、乾燥ユニット50が、エアバッグ541を伸長させて衣類を膨らませ、アクチュエータ545が、エアバッグ541を折り曲げることにより、衣類を折り畳んだ後、エアバッグ541を抜き取るようにした。これにより、第2の実施の形態では、ベッド板212を分割することなく、衣類を伸ばした形状にして折り畳む操作が、容易になった。
【0047】
[変形例]
第1及び第2の実施の形態では、衣類として、上半身用衣類のうち長袖シャツを想定したが、これには限らない。衣類としては、例えば、上半身用衣類のうち半袖シャツ、半袖Tシャツ、タンクトップ等、下半身用衣類のうち長ズボン、半ズボン、パンツ等を想定してもよい。この場合も、その衣類に対して専用ハンガー40及びエアバッグ531,541が用意され、衣類が適切な位置にセットされた状態で折り畳みユニット20が折り畳み動作を行う。
【符号の説明】
【0048】
1…洗濯乾燥折り畳みロボット、10…洗濯乾燥ユニット、20…折り畳みユニット、30…ロボットアーム、40…専用ハンガー、50…乾燥ユニット、90…コントローラ
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