IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車東日本株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図1
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図2
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図3
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図4
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図5
  • 特開-リザーブタンクのキャップ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101782
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】リザーブタンクのキャップ
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/00 20060101AFI20240723BHJP
   B65D 55/16 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F01P11/00 C
F01P11/00 A
B65D55/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005912
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 庸礼
(72)【発明者】
【氏名】林 暁彦
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AB01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084HD01
3E084HD03
3E084JA11
3E084JA15
(57)【要約】
【課題】リザーブタンクのキャップの落下を防止しつつ、取り外し作業をしやすくする。
【解決手段】キャップ28は、リザーブタンクの注入管26の先端に取り付けられる。キャップ28は、注入管26の注入口27を塞ぐキャップ本体29と、キャップ本体29とタンク本体22を連結する連結テザー30を含む。キャップ本体29の上面中央には、外周面に周方向に延びる係合溝44が形成された円柱突起42が設けられている。連結テザー30の一端は、リザーブタンク22と一体のテザー取付枝に結合される。連結テザー30は、他端に、係合溝44と相対回転可能に係合する係合リング50を有する。キャップ本体29は、連結テザー30が連結した状態で、注入管26に対して回転させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液を予備的に蓄えるリザーブタンクのキャップであって、
前記リザーブタンクの注入口を塞ぐキャップ本体と、
前記キャップ本体の上面中央に設けられた、前記キャップ本体よりも小径の円柱突起であって、外周面に周方向に沿って全周にわたって延びる係合溝が形成された円柱突起と、
一端が前記リザーブタンクのタンク本体に結合され、他端に前記円柱突起の前記係合溝に、相対回転可能に係合するリング形状の係合リングを有する連結テザーと、
を含むリザーブタンクのキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のリザーブタンクのキャップであって、前記キャップ本体の外周縁に、当該キャップ本体を取り外す際に力を加えるタブを有する、リザーブタンクのキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を冷却する冷却液を予備的に蓄えるリザーブタンク、特にその注入口に蓋をするキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン、モータ、電池などの発熱体を液体で冷却する技術が知られている。冷却用の液体(以下、冷却液と記す。)の循環流路内の過不足を調整するために、冷却回路には予備的に冷却液を蓄えるリザーブタンクが備わる場合がある。循環流路中の冷却液が不足すると不足分がリザーブタンクから補われ、冷却液が過剰となると過剰分がリザーブタンクに収容される。冷却液は、蒸発等により徐々に減少し、減少分を補う際には、リザーブタンクに設けられた注入口から冷却液が注入される。この注入口は、通常時にはキャップで塞がれている。
【0003】
下記特許文献1には、エンジンの冷却液(ラジエータ液)を蓄えるリザーブタンク(10)が示されている。リザーブタンク(10)の開口は、キャップ(100)により塞がれる。キャップ(100)は、その外周縁において連結部(115)によって、リザーブタンク(10)の開口近傍につながれ、キャップ(100)の落下防止が図られている。なお、上記の( )内の名称および符号は、下記特許文献1で用いられているものであり、本願の実施形態の説明で用いられる名称および符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-54599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両において、リザーブタンクは、エンジン、モータ等の原動機を収容する原動機室に配置されるのが一般的である。原動機室には、原動機の他にも多くの機器が収容され、周囲の機器が妨げとなってキャップの取り外し作業がしにくい場合がある。例えば、キャップの外周縁に設けられたタブを引いてキャップを外す場合、タブの向きによっては、タブに力を掛けにくいことがある。上記特許文献1のリザーブタンクにおいては、連結部によってキャップの落下は防止されているものの、キャップは、その外周縁においてリザーブタンクとつながれているので、キャップを回転させて、その向きを変えることができない。
【0006】
本発明は、リザーブタンクにおいて、キャップの落下を防止するとともに、キャップの取り外し作業の作業性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリザーブタンクのキャップは、リザーブタンクの注入口を塞ぐキャップ本体と、キャップ本体の上面中央に設けられた、キャップ本体よりも小径の円柱突起と、キャップ本体とリザーブタンクのタンク本体をつなぐ連結テザーを有する。円柱突起には、その外周面に周方向に沿って全周にわたって延びる係合溝が形成されている。連結テザーは、一端がリザーブタンクのタンク本体に結合され、他端に円柱突起の係合溝に、相対回転可能に係合するリング形状の係合リングを有する。
【0008】
キャップ本体と連結テザーが連結状態において相対回転可能であることにより、リザーブタンクの注入口に取り付けた状態で、キャップ本体を回転させることができる。
【0009】
上記のリザーブタンクのキャップにおいて、キャップ本体の外周縁に、当該キャップ本体を取り外す際に力を加えるタブを有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
リザーブタンクの注入口に取り付けた状態で、キャップ本体を回転させることができるので、キャップ本体を取り外す作業の作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】リザーブタンクが一体化されたラジエータを示す斜視図である。
図2】リザーブタンクが一体化されたラジエータを示す側方視の断面図である。
図3】本実施形態のリザーブタンクのキャップおよびその周囲の構成を示す断面図である。
図4図3に示すキャップの分解斜視図である。
図5】他の実施形態のリザーブタンクのキャップおよびその周囲の構成を示す断面図である。
図6図5に示すキャップ本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1および図2は、本実施形態に係るエンジン冷却液のリザーブタンク10の概略構成を示す図であり、図1は斜視図、図2は断面図である。図1は、車両のラジエータ組立体12を車両の斜め後方から視た状態を示している。ラジエータ組立体12は、通過するエンジン冷却液から放熱するラジエータ14と、ラジエータ14の後方に配置され、ラジエータ14を通過する気流を発生させるラジエータファン16と、ラジエータ14の後面の一部を覆うシュラウド18を含む。詳細には、シュラウド18は、ラジエータファン16の後方に開口が形成されており、一方ラジエータ14のラジエータファン16に対向していない部分を覆っている。ラジエータファン16により生成される気流は、ラジエータ14およびラジエータファン16を通過し、シュラウド18に形成された開口から後方に送出される。シュラウド18を設けることによって、ラジエータファン16が発生させたラジエータ14を通過する気流が、ラジエータ14の全体にわたって分布するようになる。
【0013】
リザーブタンク10は、ラジエータ組立体12の一部として形成される。具体的には,シュラウド18の後面にタンク部品20を接合してリザーブタンク10の、冷却液を蓄える空間を画定するタンク本体22が形成される。タンク部品20と、シュラウド18の、タンク部品20に対向する部分24とでタンク本体22が構成され、その内部に冷却液が蓄えられる。タンク部品20の上部には、筒状の注入管26が設けられている。注入管26の上端の注入口27(図3参照)はキャップ28で塞がれている。キャップ28は、注入口27に被さって注入口27を塞ぐキャップ本体29と、キャップ本体29をタンク本体22につなぐ連結テザー30を含む。キャップ本体29は、注入管26から取り外されたときには、連結テザー30によって落下が防止される。冷却液を補充する際には、キャップ本体29を外して、注入口27から注入管26を介して冷却液をリザーブタンク10内に注入する。キャップ本体29は樹脂製であって、取付、取り外しの際には変形する。
【0014】
図3は、リザーブタンク10の注入管26と、注入口27を塞ぐキャップ28を示す断面図である。また、図4は、キャップ28を、キャップ本体29と連結テザー30を分離した状態で示す斜視図である。注入管26は上端部において概略円筒形状であり、上端周囲には全周わたって径方向外方に張り出した係合フランジ32が形成されている。キャップ本体29は、注入口27に対向し、これを塞ぐ概略円板形状の蓋板部34と、蓋板部34の外周縁に設けられた円筒形状の係合円筒部36を有する。係合円筒部36の内周面の図中の下縁には、径方向内方に突出し、かつ周方向に沿って延びる環形状の係合突条38が設けられている。係合突条38が、注入管26の係合フランジ32と係合することにより、キャップ本体29がリザーブタンク10の注入管26に固定される。係合突条38は、周方向において複数箇所に離散的に配置されてもよい。
【0015】
蓋板部34の外周縁の周方向の1カ所に引上げタブ40が形成されている。キャップ本体29を注入管26から取り外す際、作業者は、引上げタブ40を摘まんで引き上げる。これにより、キャップ本体29は変形して、その係合円筒部36の係合突条38と、注入管26の係合フランジ32との係合が解かれ、キャップ本体29が注入管26から外される。
【0016】
蓋板部34の上面、つまり注入管26とは反対側の面の中央には、蓋板部34と同軸配置された円柱形状の円柱突起42が形成されている。円柱突起42の直径は、蓋板部34の直径よりも小さい。円柱突起42の外周面には、周方向に沿って全周にわたって係合溝44が形成されている。また、円柱突起42の頂面には、すり鉢状の窪み46が形成されている。キャップ本体29を注入管26に取り付ける際に、作業者は円柱突起42の頂面を押して、蓋板部34の中央部を凹ませるように変形させる。このとき、円柱突起42の頂面に窪み46によって、作業者の指が円柱突起42からずれにくくなり、作業者が力を入れやすくなる。
【0017】
連結テザー30は、ひも状または帯状のテザー本体48と、テザー本体48の一端に設けられた環状の係合リング50と、他端に設けられた略円柱状の結合バー52を有する。連結テザー30は、変形可能な樹脂製である。テザー本体48には、テザー本体48と同方向に沿って延びる肉抜き穴を形成してもよい。係合リング50は、キャップ本体29の円柱突起42に形成された係合溝44に係合する。係合リング50は、キャップ本体29に連結テザー30を取り付ける際に、一旦伸ばされて直径が拡張された後、元の直径まで縮んで係合溝44に嵌まる。つまり、キャップ本体29と連結テザー30は、係合リング50の弾性利用したスナップフィットにより結合される。また、キャップ本体29と連結テザー30は、係合状態であっても相対的な回転が許容されるように、係合溝44と係合リング50の嵌め合い寸法が規定されている。
【0018】
連結テザー30の他端は、注入管26から枝分かれするように設けられたテザー取付枝54の先端の結合部56に結合される。結合部56は、連結テザー30の結合バー52を受け入れる開口が設けられた円筒形状を有する。結合バー52を受け入れる開口は、結合部56の円筒側面に、円筒の中心軸線と平行に形成され、またその幅は、結合バー52の直径よりも小さい。結合バー52を結合部56に押し込み、結合部56が弾性変形して結合バー52を受け入れる。つまり、連結テザー30は、注入管26に設けられたテザー取付枝54の結合部56の弾性を利用してスナップフィットによりタンク本体22に結合される。
【0019】
キャップ本体29が連結テザー30に対して回転可能となっていることにより、キャップ本体29を取り外す際に引上げタブ40を作業しやすい位置にすることができる。また、蓋板部34の形状、例えば直径が異なるキャップ本体29に対して円柱突起42の形状を共通化すれば、異なる形状のキャップ本体29に対して同一形状の連結テザー30を使用することができる。
【0020】
図5および図6は、他の実施形態、特に通気口付きのキャップ60を示す図である。キャップ60は、通気口62を備えたキャップ本体64と、連結テザー30を含む。連結テザー30については、キャップ28に関連してすでに説明しており、以下では詳細な説明を省略する。また、タンク本体22の注入管26およびテザー取付枝54もすでに説明されている。キャップ本体64は、前述のキャップ本体29と同様に樹脂製である。
【0021】
キャップ本体64は、注入口27に対向し、これを覆う概略円板形状の蓋板部66と、蓋板部66の外周縁に設けられた円筒形状の係合円筒部68を有する。係合円筒部68の内周面の図中の下縁には、径方向内方に突出し、かつ周方向に沿って延びる略環形状の係合突条70が設けられている。係合突条70が、注入管26の係合フランジ32と係合することにより、キャップ本体64がリザーブタンク10の注入管26に固定される。
【0022】
蓋板部66の上面および係合円筒部86の外周面には、隆起して、通気口62と注入管26を連通させる通気流路を内側に形成する通気流路形成部72が設けられている。通気流路形成部72は、蓋板部66の1つの半径に沿って、さらに係合円筒部86の外周面を円筒の中心軸線に平行に延びる。蓋板部66の外周縁の周方向の1カ所に引上げタブ74が形成されている。引上げタブ74は、前述の引上げタブ40と同様、キャップ本体64を注入管26から取り外す際に使用される。
【0023】
蓋板部66の上面の中央には、蓋板部66と同軸配置された円柱形状の円柱突起76が形成されている。円柱突起76の外周面には、周方向に沿って全周にわたって係合溝78が形成されている。係合溝78は、通気流路形成部72よりも上に設けられている。円柱突起76の頂面には、すり鉢状の窪み80が形成されている。窪み80は、前述の窪み46と同様に、キャップ60を注入管26に取り付ける際に、作業をしやすくする。係合溝78に、連結テザー30の係合リング50がスナップフィットにより係合される。キャップ本体64と連結テザー30は、連結状態であっても相対的な回転が許容されるように、係合溝78と係合リング50の嵌め合い寸法が規定されている。
【0024】
キャップ本体と注入管は、前述のようにキャップ本体の変形を利用した装着に代えて、キャップ本体を回転させて装着するようにしてよい。例えば、注入管26の係合フランジ32と、キャップ本体29の係合突条38とをそれぞれ周方向に沿って離散的に配置されたものとする。そして、係合フランジ32と係合突条38がぶつからない配置で注入管26にキャップ本体29を被せ、次いでキャップ本体29を回転させて、係合フランジ32と係合突条38を係合させる。キャップ本体29を取り外すときには、まずキャップ本体29を回転させて、係合フランジ32と係合突条38がぶつからない配置とし、次いでキャップ本体29を注入管26から取り外す。
【0025】
また、例えば、係合フランジ32に代えて注入管26の外周面に雄ねじを形成し、キャップ本体29の係合突条38に代えて係合円筒部36の内周面に雌ねじを形成する。キャップ本体29を回転させて、前記の雄ねじと雌ねじをねじ結合させ、キャップ本体29を注入管26に取り付けるようにする。
【0026】
このように、キャップ本体を回転させて注入管に取り付ける場合、キャップ本体と連結テザーの相対回転が許容されていることで、キャップ本体の落下を防止しつつ、取付、取り外し作業が簡略となる。
【符号の説明】
【0027】
10 リザーブタンク、14 ラジエータ、18 シュラウド、22 タンク本体、26 注入管、27 注入口、28,60 キャップ、29,64 キャップ本体、30 連結テザー、34,66 蓋板部、40,74 引上げタブ、42,76 円柱突起、44,78 係合溝、46,80 窪み、48 テザー本体、50 係合リング、52 結合バー、54 テザー取付枝、56 結合部、62 通気口、72 通気流路形成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6