(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101784
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】緩衝梱包部材、梱包ユニット、及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20240723BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B65D85/68 W
B65D81/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005914
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】596006536
【氏名又は名称】カネカフォームプラスチックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蜂須 和則
(72)【発明者】
【氏名】中道 幹芳
【テーマコード(参考)】
3E037
3E066
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA02
3E037BB04
3E037CA04
3E037CA05
3E066AA02
3E066BA01
3E066CA01
3E066DA01
3E066FA13
3E066GA03
3E066GA05
3E066HA04
3E066KA05
3E066NA22
(57)【要約】
【課題】緩衝梱包部材の容積を削減すること。
【解決手段】第1アーム収容部(24)が第1本体収容部(16)の幅方向の一端部から長さ方向の一方側に向かって形成され、第1アーム収容部(24)の一部分が平面視において第2本体収容部(20)に重なり、第2アーム収容部(26)が第2本体収容部(20)の幅方向の他端部から長さ方向の他方側に向かって形成され、第2アーム収容部(26)一部分が平面視において第1本体収容部(16)に重なる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための緩衝梱包部材であって、
前記緩衝梱包部材の幅方向に沿って形成され、逆向きに配置する2つの被梱包物のうちの一方の被梱包物の前記本体部を収容するための第1本体収容部と、
前記第1本体収容部と前記緩衝梱包部材の長さ方向に隣接する位置に前記幅方向に沿って形成され、前記2つの被梱包物のうちの他方の被梱包物の前記本体部を前記一方の被梱包物の前記本体部と逆向きに収容するための第2本体収容部と、
前記第1本体収容部の前記幅方向の一端部から前記長さ方向の一方側に向かって形成され、一部分が平面視において前記第2本体収容部に重なり、前記一方の被梱包物の前記アーム部が前記他方の被梱包物の前記本体部の他端部側を跨ぐように前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける第1受け面を有し、前記一方の被梱包物の前記アーム部を屈曲させた状態で収容するための第1アーム収容部と、
前記第2本体収容部の前記幅方向の他端部から前記長さ方向の他方側に向かって形成され、一部分が平面視において前記第1本体収容部に重なり、前記他方の被梱包物の前記アーム部が前記一方の被梱包物の前記本体部の他端部側を跨ぐように前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける第2受け面を有し、前記他方の被梱包物の前記アーム部を前記一方の被梱包物の前記アーム部と逆向きでかつ屈曲させた状態で収容するための第2アーム収容部と、を備える、緩衝梱包部材。
【請求項2】
前記第1アーム収容部の前記第1受け面は、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部の梱包高さ位置が前記他方の被梱包物の前記本体部の最大梱包高さ位置よりも低くなるように、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受けると共に、
前記第2アーム収容部の前記第2受け面は、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部の梱包高さ位置が前記一方の被梱包物の前記本体部の最大梱包高さ位置よりも低くなるように、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける、請求項1に記載の緩衝梱包部材。
【請求項3】
前記緩衝梱包部材は、ポリスチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体により構成されている、請求項1又は2に記載の緩衝梱包部材。
【請求項4】
長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための梱包ユニットであって、
請求項1に記載の緩衝梱包部材と、
前記緩衝梱包部材の上側に設置された蓋部材と、を備える、梱包ユニット。
【請求項5】
前記緩衝梱包部材の上縁に係合凹部又は係合凸部の一方が形成され、前記蓋部材の下縁に前記係合凹部又は係合凸部の他方が形成され、前記蓋部材を前記緩衝梱包部材の上側に設置すると、前記緩衝梱包部材の前記係合凹部又は係合凸部の一方と前記蓋部材の前記係合凹部又は係合凸部の他方が係合するように構成されている、請求項4に記載の梱包ユニット。
【請求項6】
前記緩衝梱包部材の下面に複数の嵌合凹部が形成され、前記蓋部材の上面に複数の嵌合凸部が形成され、前記緩衝梱包部材の上側に前記蓋部材を設置した状態で、前記緩衝梱包部材を段積みすると、上段側の前記緩衝梱包部材の各嵌合凹部と下段側の前記蓋部材の各嵌合凸部が嵌合するように構成されている、請求項4に記載の梱包ユニット。
【請求項7】
前記蓋部材の複数の前記嵌合凸部のうち少なくとも対向する2つの前記嵌合凸部に、前記緩衝梱包部材を結束する紐状部材を通すための通し溝がそれぞれ形成されている、請求項6に記載の梱包ユニット。
【請求項8】
前記緩衝梱包部材及び前記蓋部材は、ポリスチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体によりそれぞれ構成されている、請求項4から7のいずれか1項に記載の梱包ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載の緩衝梱包部材を用いて、長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための梱包方法であって、
前記一方の被梱包物の前記本体部を前記第1本体収容部に収容すると共に、前記一方の被梱包物の前記アーム部を屈曲させた状態で前記第1アーム収容部に収容する第1収容工程と、
前記第1収容工程の終了後に、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を持ち上げて、前記第2本体収容部の全域を開放する持ち上げ工程と、
前記持ち上げ工程の終了後に、前記他方の被梱包物の前記本体部を前記一方の被梱包物の前記本体部と逆向きに前記第2本体収容部に収容すると共に、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端側を前記第2アーム収容部の前記第2受け面に支持させつつ、前記他方の被梱包物の前記アーム部を前記一方の被梱包物の前記アーム部と逆向きでかつ屈曲させた状態で前記第2アーム収容部に収容する第2収容工程と、
前記第2収容工程の終了後に、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を降ろして、前記第1アーム収容部の前記第1受け面に当接させる降ろし工程と、を含む、梱包方法。
【請求項10】
前記降ろし工程の終了後に、前記第1収容工程から前記持ち上げ工程及び前記第2収容工程を経由して前記降ろし工程まで繰り返して実行する繰り返し工程を更に含む、請求項9に記載の梱包方法。
【請求項11】
被梱包物は、ステアリング部品であり、前記本体部は、ステアリングコラムシャフトであり、前記アーム部は、インターミディエイトシャフトである、請求項9又は10に記載の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための緩衝梱包部材、梱包ユニット、及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられるステアリング部品及びドライブシャフトは、それぞれ、長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる。ステアリング部品及びドライブシャフトを輸送又は保管する際には、ステアリング部品及びドライブシャフトは、被梱包物として、樹脂発泡体により構成された緩衝梱包部材に梱包される。
【0003】
また、長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための緩衝梱包部材の先行技術として、特許文献1に示すものがあり、特許文献1に記載の緩衝梱包部材を簡単に説明すると、次のようになる。
【0004】
即ち、先行技術に係る緩衝梱包部材(特許文献1ではワークの保持部材と称される)は、被梱包物の本体部を収容するための複数の本体収容部を備えており、複数の本体収容部は、緩衝梱包部材の長さ方向に間隔を置いて配置されている。各本体収容部は、緩衝梱包部材の幅方向に沿って形成されている。また、先行技術に係る緩衝梱包部材は、被梱包物のアーム部を収容するための複数のアーム収容部を備えており、複数のアーム収容部は、緩衝梱包部材の長さ方向に間隔を配置されている。各アーム収容部は、各本体収容部の一端部から緩衝梱包部材の幅方向に沿って連続して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、先行技術に係る緩衝梱包部材においては、各アーム収容部が各本体収容部の一端部から緩衝梱包部材の幅方向に沿って連続して形成されており、緩衝梱包部材の幅方向の寸法が拡大する傾向にある。そのため、緩衝梱包部材の容積が拡大して、緩衝梱包部材の設置スペースが拡大すると共に、緩衝梱包部材の梱包資材量(樹脂発泡体の使用量)が増加するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、緩衝梱包部材の容積を削減することで、緩衝梱包部材の設置スペースの省スペース化を図りつつ、緩衝梱包部材の梱包資材量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の通りである。
【0009】
〔1〕長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための緩衝梱包部材であって、前記緩衝梱包部材の幅方向に沿って形成され、逆向きに配置する2つの被梱包物のうちの一方の被梱包物の前記本体部を収容するための第1本体収容部と、前記第1本体収容部と前記緩衝梱包部材の長さ方向に隣接する位置に前記幅方向に沿って形成され、前記2つの被梱包物のうちの他方の被梱包物の前記本体部を前記一方の被梱包物の前記本体部と逆向きに収容するための第2本体収容部と、前記第1本体収容部の前記幅方向の一端部から前記長さ方向の一方側に向かって形成され、一部分が平面視において前記第2本体収容部に重なり、前記一方の被梱包物の前記アーム部が前記他方の被梱包物の前記本体部の他端部側を跨ぐように前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける第1受け面を有し、前記一方の被梱包物の前記アーム部を屈曲させた状態で収容するための第1アーム収容部と、前記第2本体収容部の前記幅方向の他端部から前記長さ方向の他方側に向かって形成され、一部分が平面視において前記第1本体収容部に重なり、前記他方の被梱包物の前記アーム部が前記一方の被梱包物の前記本体部の他端部側を跨ぐように前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける第2受け面を有し、前記他方の被梱包物の前記アーム部を前記一方の被梱包物の前記アーム部と逆向きでかつ屈曲させた状態で収容するための第2アーム体収容部と、を備える、緩衝梱包部材。
【0010】
〔2〕前記第1アーム収容部の前記第1受け面は、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部の梱包高さ位置が前記他方の被梱包物の前記本体部の最大梱包高さ位置よりも低くなるように、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受けると共に、前記第2アーム収容部の前記第2受け面は、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部の梱包高さ位置が前記一方の被梱包物の前記本体部の最大梱包高さ位置よりも低くなるように、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を受ける、〔1〕の緩衝梱包部材。
【0011】
〔3〕前記緩衝梱包部材は、ポリスチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体により構成されている、〔1〕又は〔2]の緩衝梱包部材。
【0012】
〔4〕長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための梱包ユニットであって、〔1〕から〔3〕のいずれかの緩衝梱包部材と、前記緩衝梱包部材の上側に設置された蓋部材と、を備える、梱包ユニット。
【0013】
〔5〕前記緩衝梱包部材の上縁に係合凹部又は係合凸部の一方が形成され、前記蓋部材の下縁に前記係合凹部又は係合凸部の他方が形成され、前記蓋部材を前記緩衝梱包部材の上側に設置すると、前記緩衝梱包部材の前記係合凹部又は係合凸部の一方と前記蓋部材の前記係合凹部又は係合凸部の他方が係合するように構成されている、〔4〕の梱包ユニット。
【0014】
〔6〕前記緩衝梱包部材の下面に複数の嵌合凹部が形成され、前記蓋部材の上面に複数の嵌合凸部が形成され、前記緩衝梱包部材の上側に前記蓋部材を設置した状態で、前記緩衝梱包部材を段積みすると、上段側の前記緩衝梱包部材の各嵌合凹部と下段側の前記蓋部材の各嵌合凸部が嵌合するように構成されている、〔4〕又は〔5〕の梱包ユニット。
【0015】
〔7〕前記蓋部材の複数の前記嵌合凸部のうち少なくとも対向する2つの前記嵌合凸部に、前記緩衝梱包部材を結束する紐状部材を通すための通し溝がそれぞれ形成されている、〔5〕又は〔6〕の梱包ユニット。
【0016】
〔8〕前記緩衝梱包部材及び前記蓋部材は、ポリスチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体によりそれぞれ構成されている、〔4〕から〔7〕のいずれかの緩衝ユニット。
【0017】
〔9〕〔1〕から〔3〕のいずれかの緩衝梱包部材を用いて、長尺状の本体部とアーム部を屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物を梱包するための梱包方法であって、前記一方の被梱包物の前記本体部を前記第1本体収容部に収容すると共に、前記一方の被梱包物の前記アーム部を屈曲させた状態で前記第1アーム収容部に収容する第1収容工程と、前記第1収容工程の終了後に、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を持ち上げて、前記第2本体収容部の全域を開放する持ち上げ工程と、前記持ち上げ工程の終了後に、前記他方の被梱包物の前記本体部を前記一方の被梱包物の前記本体部と逆向きに前記第2本体収容部に収容すると共に、前記他方の被梱包物の前記アーム部の先端側を前記第2アーム収容部の前記第2受け面に支持させつつ、前記他方の被梱包物の前記アーム部を前記一方の被梱包物の前記アーム部と逆向きでかつ屈曲させた状態で前記第2アーム収容部に収容する第2収容工程と、前記第2収容工程の終了後に、前記一方の被梱包物の前記アーム部の先端部側を降ろして、前記第1アーム収容部の前記第1受け面に当接させる降ろし工程と、を含む、梱包方法。
【0018】
〔10〕前記降ろし工程の終了後に、前記第1収容工程から前記持ち上げ工程及び前記第2収容工程を経由して前記降ろし工程まで繰り返して実行する繰り返し工程を更に含む、〔9〕の梱包方法。
【0019】
〔11〕被梱包物は、ステアリング部品であり、前記本体部は、ステアリングコラムシャフトであり、前記アーム部は、インターミディエイトシャフトである、〔9〕又は〔10〕の梱包方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、緩衝梱包部材の容積を削減することで、緩衝梱包部材の設置スペースの省スペース化を図りつつ、緩衝梱包部材の梱包資材量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る梱包ユニットの模式的な分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る梱包ユニットの模式的な斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る梱包ユニットの模式的な平面図である。
【
図4】本実施形態に係る梱包ユニットの模式的な側面図である。
【
図5】本実施形態に係る梱包ユニットの模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材の上側に蓋部材を設置した状態で、緩衝梱包部材を段積みした様子を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る緩衝梱包部材の模式的な平面図であって、複数の被梱包物を収容した様子を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る緩衝梱包部材の模式的な側面図であって、複数の被梱包物を収容した様子を示す図である。
【
図8】
図6におけるVIII-VIII線に沿った模式的な断面図である。
【
図9】本実施形態に係る緩衝梱包部材の模式的な平面図である。
【
図10】本実施形態に係る緩衝梱包部材の模式的な側面図である。
【
図11】
図9におけるXI-XI線に沿った模式的な断面図である。
【
図12】本実施形態に係る梱包方法の第1収容工程を説明する模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材に被梱包物を収容する直前の様子を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る梱包方法の第1収容工程を説明する模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材に被梱包物を収容した様子を示す図である。
【
図14】本実施形態に係る梱包方法の持ち上げ工程を説明する模式的な斜視図である。
【
図15】本実施形態に係る梱包方法の第2収容工程及び降ろし工程を説明する模式的な斜視図である。
【
図16】本実施形態に係る梱包方法の繰り返し工程を説明する模式的な斜視図である。
【
図17】本実施形態に係る梱包方法の繰り返し工程を説明する模式的な斜視図である。
【
図18】本実施形態に係る梱包方法の繰り返し工程を説明する模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本願の明細書及び特許請求の範囲において、長さ方向とは、水平方向の1つであって、梱包ユニット、緩衝梱包部材、又は蓋部材の長さ方向のことである。幅方向とは、長さ方向に直交する水平方向のことであって、梱包ユニット、緩衝梱包部材、又は蓋部材の幅方向のことである。高さ方向とは、緩衝梱包部材、梱包ユニット、又は蓋部材の高さ方向のことであり、上下方向のことである。図面中、「LD」は長さ方向、「LDa」は長さ方向の一方側、「LDb」は長さ方向の他方側、「WD」は幅方向、「WDa」は幅方向の一方側、「WDb」は幅方向の他方側、「HD」は高さ方向、「HDa」は高さ方向の一方側である上側、「HDb」は高さ方向の他方側である下側をそれぞれ指している。
【0023】
〔梱包ユニット、緩衝梱包部材〕
図1から
図11を参照して、本実施形態に係る梱包ユニット10及び緩衝梱包部材12の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る梱包ユニット10の模式的な分解斜視図である。
図2は、本実施形態に係る梱包ユニット10の模式的な斜視図である。
図3は、本実施形態に係る梱包ユニット10の模式的な平面図である。
図4は、本実施形態に係る梱包ユニット10の模式的な側面図である。
図5は、本実施形態に係る梱包ユニット10の模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材12の上側に蓋部材14を設置した状態で、緩衝梱包部材12を段積みした様子を示す図である。
図6は、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の模式的な平面図であって、複数の被梱包物Pを収容した様子を示す図である。
図7は、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の模式的な側面図であって、複数の被梱包物Pを収容した様子を示す図である。
図8は、
図6におけるVIII-VIII線に沿った模式的な断面図である。
図9は、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の模式的な平面図である。
図10は、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の模式的な側面図である。
図11は、
図9におけるXI-XI線に沿った模式的な断面図である。
【0024】
(梱包ユニット10の概要)
図1から
図5に示ように、本実施形態に係る梱包ユニット10は、長尺状の本体部Paとアーム部Pbを屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物Pを梱包するためのユニットである。梱包ユニット10の平面視形状は、略矩形状である。梱包ユニット10は、複数の被梱包物Pを梱包するための緩衝梱包部材12と、緩衝梱包部材12の上側に設置された蓋部材14とを備えている。
【0025】
本実施形態においては、被梱包物Pは、ステアリング部品であり、長尺状の本体部Paとしてのステアリングコラムシャフトと、アーム部Pbとしてのインターミディエイトシャフトとを備えている。本体部Paの一端部とアーム部Pbの基端部は、自在継手Pcを介して回転自在に連結されている。なお、被梱包物Pは、ステアリング部品に限るものでなく、本体部Paとアーム部Pbを屈曲自在に連結してあれば、例えば、ドライブシャフト等、ステアリング部品以外の部品又は物品であってもよい。
【0026】
(緩衝梱包部材12の概要)
図6から
図11に示すように、緩衝梱包部材12は、前述のように、長尺状の本体部Paとアーム部Pbを屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物Pを梱包するための部材であり、緩衝梱包部材12の平面視形状は、例えば略矩形形状である。本実施形態においては、緩衝梱包部材12の長さ方向は、緩衝梱包部材12の長辺方向になっており、緩衝梱包部材12の幅方向は、緩衝梱包部材12の短辺方向になっている。緩衝梱包部材12は、発泡樹脂からなる樹脂発泡体により構成されている。
【0027】
(第1本体収容部16)
図6及び
図9に示すように、緩衝梱包部材12は、逆向きに配置する2つの被梱包物Pのうちの一方の被梱包物Pの本体部Paを収容するための2つの第1本体収容部16を備えている。2つの第1本体収容部16は、長さ方向に間隔を置いて配置されており、各第1本体収容部16は、緩衝梱包部材12の上面側に幅方向に沿って形成されている。各第1本体収容部16は、前記一方の被梱包物Pの本体部Paに対応した形状に形成されており、各第1本体収容部16の大部分は、下方向に向かって窪んだ形状に形成されている。各第1本体収容部16は、前記一方の被梱包物Pの本体部Paを支持する複数の支持面16pを有している。各第1本体収容部16の一部には、開口部(切欠部)18が形成されている。なお、
図6及び
図9において、第1本体収容部16の支持面16pにはドットを付している。
【0028】
(第2本体収容部20)
緩衝梱包部材12は、逆向きに配置する2つの被梱包物Pのうちの他方の被梱包物Pの本体部Paを前記一方の被梱包物Pの本体部Paと逆向きに収容するための2つの第2本体収容部20を備えている。2つの第2本体収容部20は、長さ方向に間隔を置いて配置されており、各第2本体収容部20は、緩衝梱包部材12の上面側における各第1本体収容部16に隣接する位置幅方向に沿って形成されている。各第2本体収容部20は、前記他方の被梱包物Pの本体部Paに対応した形状に形成されており、各第2本体収容部20の大部分は、下方向に向かって窪んだ形状に形成されている。各第2本体収容部20は、前記他方の被梱包物Pの本体部Paを支持する複数の支持面20pを有している。各第2本体収容部20の一部には、開口部22が形成されている。なお、
図6及び
図9において、第2本体収容部20の支持面20pにはドットを付している。
【0029】
(第1アーム収容部24、第1受け面24f)
図6から
図11に示すように、緩衝梱包部材12は、前記一方の被梱包物Pのアーム部PbをL字状に屈曲させた状態で収容するための2つの第1アーム収容部24を備えている。2つの第1アーム収容部24は、長さ方向に間隔を置いて配置されており、各第1アーム収容部24は、各第1本体収容部16の幅方向の一端部から長さ方向の一方側に向かって形成されている。各第1アーム収容部24は、緩衝梱包部材12の幅方向の一方側の領域に配置されている。各第1アーム収容部24は、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbに対応した形状に形成されており、各第1アーム収容部24の大部分は、下方向に向かって凹んだ形状に形成されている。各第1アーム収容部24の一部分は、平面視において各第2本体収容部20に重なっている。
【0030】
各第1アーム収容部24は、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける第1受け面24fを有している。各第1アーム収容部24の第1受け面24fは、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbが前記他方の被梱包物Pの本体部Paの他端部側を非接触で跨ぐように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。各第1アーム収容部24の第1受け面24fは、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部の梱包高さ位置が前記他方の被梱包物Pの本体部Paの最大梱包高さ位置よりも高さK(
図7及び
図8参照)だけ低くなるように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。なお、
図6及び
図9において、第1アーム収容部24の第1受け面24fにはドットを付している。ここで、本体部Paの他端部とは、本体部Paにおいてアーム部Pbが連結されていない側の端部をいう。
【0031】
(第2アーム収容部26、第2受け面26f)
緩衝梱包部材12は、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbを前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbと逆向きでかつL字状に屈曲させた状態で収容するための2つの第2アーム収容部26を備えている。2つの第2アーム収容部26は、長さ方向に間隔を置いて配置されており、各第2アーム収容部26は、各第2本体収容部20の幅方向の他端部から長さ方向の他方側に向かって形成されている。各第2アーム収容部26は、緩衝梱包部材12の幅方向の他方側の領域に配置されている。各第2アーム収容部26は、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbに対応した形状に形成されており、各第2アーム収容部26の大部分は、下方向に向かって凹んだ形状に形成されている。各第2アーム収容部26の一部分は、平面視において各第1本体収容部16に重なっている。
【0032】
各第2アーム収容部26は、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける第2受け面26fを有している。各第2アーム収容部26の第2受け面26fは、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbが前記一方の被梱包物Pの本体部Paの他端部側を非接触で跨ぐように、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。各第2アーム収容部26の第2受け面26fは、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部の梱包高さ位置が前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの最大梱包高さ位置よりも低くなるように、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。なお、
図6及び
図9において、第2アーム収容部26の第2受け面26fにはドットを付している。
【0033】
(係合凹部28、嵌合凹部30)
図1から
図4に示すように、緩衝梱包部材12の上縁には、4つの係合凹部28が下方向に窪んで形成されている。2つの係合凹部28は、緩衝梱包部材12の対向する長辺部の端部側にそれぞれ位置している。なお、緩衝梱包部材12の上縁に複数の係合凹部28を形成する代わりに、複数の係合凸部(不図示)を上方向へ突出して形成してもよい。
【0034】
緩衝梱包部材12の下面には、4つの嵌合凹部30が形成されている。4つの嵌合凹部30のうち2つの嵌合凹部30は、緩衝梱包部材12の長辺部の中央に位置しており、残りの2つの嵌合凹部30は、緩衝梱包部材12の短辺部の中央に位置している。緩衝梱包部材12の長辺部の中央に位置する2つの嵌合凹部30は、上方向に窪んで形成されている。一方、緩衝梱包部材12の短辺部の中央に位置する2つの嵌合凹部30は、内側(被梱包物Pの収容空間側)に窪んで形成されている。
【0035】
(蓋部材14の概要)
図1から
図4に示すように、蓋部材14は、緩衝梱包部材12の上側に2つの第1本体収容部16、2つの第2本体収容部20、2つの第1アーム収容部24、及び2つの第2アーム収容部26を覆うように設置されている。蓋部材14の平面視形状は、例えば略矩形形状である。本実施形態においては、蓋部材14の長さ方向は、蓋部材14の長辺方向になっており、蓋部材14の幅方向は、蓋部材14の短辺方向になっている。蓋部材14は、発泡樹脂からなる樹脂発泡体により構成されている。
【0036】
(本体部用の開口部32,34、アーム部用の開口部36,38)
図1から
図3に示すように、蓋部材14には、緩衝梱包部材12における各第1本体収容部16に対応する位置に、前記一方の被梱包物Pの本体部Paを視認するめの本体部用の開口部32が形成されている。蓋部材14には、緩衝梱包部材12における各第2本体収容部20に対応する位置に、前記他方の被梱包物Pの本体部Paを視認するめの本体部用の開口部34が形成されている。また、蓋部材14には、緩衝梱包部材12における各第1アーム収容部24に対応する位置に、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbを視認するめのアーム部用の開口部36が形成されている。蓋部材14には、緩衝梱包部材12における各第2アーム収容部26に対応する位置に、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbを視認するめのアーム部用の開口部38が形成されている。
【0037】
(係合凸部40)
図1から
図4に示すように、蓋部材14の下縁には、4つの係合凸部40が下方向に突出して形成されている。2つの係合凸部40は、蓋部材14の対向する長辺部の端部側にそれぞれ位置している。蓋部材14の各係合凸部40は、緩衝梱包部材12の各係合凹部28に整合する位置に配置されている。なお、緩衝梱包部材12の上縁に複数の係合凸部を形成する場合には、蓋部材14の下縁に複数の係合凸部40を形成する代わり、複数の係合凹部(不図示)を上方向に窪んで形成してもよい。
【0038】
そして、蓋部材14を緩衝梱包部材12の上側に設置すると、緩衝梱包部材12の各係合凹部28と蓋部材14の各係合凸部40が係合するように構成されている。なお、緩衝梱包部材12の上縁に複数の係合凸部を形成しかつ蓋部材14の下縁に複数の係合凹部を形成した場合にも、同様の係合関係が成立する。
【0039】
(嵌合凸部42、通し溝42g)
図1から
図5に示すように、蓋部材14の上面には、4つの嵌合凸部42上方向へ突出して形成されている。4つの嵌合凸部42のうち2つの嵌合凸部42は、蓋部材14の長辺部の中央に位置しており、残りの2つの嵌合凸部42は、蓋部材14の短辺部の中央に位置している。そして、緩衝梱包部材12の上側に蓋部材14を設置した状態で、緩衝梱包部材12を段積みすると、上段側の緩衝梱包部材12の各嵌合凹部30と下段側の蓋部材14の各嵌合凸部42が嵌合するように構成されている。
【0040】
蓋部材14の各嵌合凸部42には、緩衝梱包部材12を結束する紐状部材44を通すための通し溝42gが形成されている。なお、蓋部材14の各嵌合凸部42に通し溝42gを形成する代わりに、蓋部材14の4つの嵌合凸部42のうちの対向するいずれか2つの嵌合凸部42に通し溝42gを形成してもよい。
【0041】
(緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成する樹脂発泡体及びその基材樹脂)
緩衝梱包部材12及び蓋部材14は、前述のように、発泡樹脂からなる樹脂発泡体によりそれぞれ構成されている。緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成する樹脂発泡体の基材樹脂は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリスチレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂である。更に、本実施形態においては、緩衝梱包部材12及び蓋部材14は、ポリスチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体から構成されていることが好ましい。
【0042】
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体に由来する構成単位を有する樹脂を含む樹脂が挙げられる。スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が好適に挙げられる。スチレン系単量体に由来する構成単位を有する樹脂としては、1種のスチレン系単量体を重合してなるスチレン系単量体の単独重合体、又は2種以上のスチレン系単量体を重合してなるスチレン系単量体の共重合体が挙げられる。スチレン系単量体に由来する構成単位を有する樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体及びスチレン系単量体の共重合体、即ち、スチレン系単量体に由来する構成単位のみを有する樹脂であるポリスチレン樹脂を好ましく使用し得る。
【0043】
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の単量体(以下、オレフィン系単量体と称する場合もある)の具体例として、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、イソブテン、ペンテン-1、3-メチル-ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-ペンテン-1、3,4-ジメチル-ブテン-1、ヘプテン-1、3-メチル-ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1などの炭素数2~12のα-オレフィン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、オレフィン系単量体と共重合性を有するその他の単量体としては、例えば、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,8,8a,6-オクタヒドロナフタレン等の環状オレフィン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂、プロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
エチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂としては、α-オレフィンがエチレンである、エチレンを共重合単量体成分として含有するポリプロピレン系樹脂が入手容易であり、加工成形性に優れている。
【0047】
ポリプロピレン系樹脂としては、単量体の主成分としてプロピレンを含んでいれば、特に限定はなく、例えば、プロピレンホモポリマー、α-オレフィン-プロピレンランダム共重合体、α-オレフィン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、脂肪族系ポリエステル樹脂、芳香族系ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族系ポリエステル樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-co-ブチレンテレフラレート)(PBAT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。また、ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタデカノエート)からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0049】
また、ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂が挙げられる。芳香族ポリカーボネート系樹脂は、炭酸成分と、少なくともビスフェノール系化合物を含む芳香族ジオール成分若しくはこれを主とするジオール成分と、から形成されるポリ炭酸エステル、又はそれらの混合物である。このうち、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネート系樹脂は、結晶性が高く高融点である上、耐熱性、耐侯性及び耐酸性に優れている点で好適である。
【0050】
このようなポリカーボネート系樹脂としては、2,2-ビス(4-オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-オキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-オキシフェニル)イソブタン、1,1-ビス(4-オキシフェニル)エタン等のビスフェノール系化合物から形成されるポリカーボネート系樹脂が例示される。
【0051】
また、発泡樹脂の発泡に用いられる発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性の炭化水素系発泡剤、空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス、及び水を用いることが可能である。無機ガスを用いる場合は、比較的高い発泡倍率の発泡粒子が得られやすいことから、二酸化炭素が好ましい。これら発泡剤は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0052】
緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成する樹脂発泡体の発泡倍率は、特に限定されないが、例えば、前記樹脂発泡体がポリスチレン系樹脂発泡体である場合には、20倍以上60倍以下であることが好ましく、25倍以上50倍以下であることがより好ましく、30倍以上50倍以下であることが更に好ましい。ポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率が20倍未満の場合には、緩衝梱包部材12及び蓋部材14の緩衝性能が低下する傾向にあり、緩衝梱包部材12及び蓋部材14の軽量化を図ることが困難になる傾向にある。更に、ポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率が60倍を超える場合には、被梱包物Pの重量に対する緩衝梱包部材12等の剛性が不足する傾向がある。
【0053】
緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成する樹脂発泡体がポリオレフィン系樹脂発泡体である場合には、その発泡倍率は、10倍以上50倍以下であることが好ましく、20倍以上50倍以下であることがより好ましく、35倍以上45倍以下であることが更に好ましい。緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成するポリオレフィン系発泡樹脂の発泡倍率が10倍未満の場合には、緩衝梱包部材12及び蓋部材14の軽量化を図ることが困難になる傾向にある。緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成するポリオレフィン系発泡樹脂の発泡倍率が50倍を超える場合には、被梱包物Pの重量に対する緩衝梱包部材12等の剛性が不足する傾向がある。
【0054】
以上のことから、緩衝梱包部材12及び蓋部材14は、発泡倍率が20倍以上60倍以下であるポリスチレン系樹脂発泡体、又は発泡倍率が10倍以上50倍以下であるポリプロピレン系樹脂発泡体から構成されていることが好ましい。
【0055】
〔梱包方法〕
続いて、
図12から
図18を参照して、本実施形態に係る梱包方法について説明する。
図12は、本実施形態に係る梱包方法の第1収容工程を説明する模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材に被梱包物を収容する直前の様子を示す図である。
図13は、本実施形態に係る梱包方法の第1収容工程を説明する模式的な斜視図であって、緩衝梱包部材に被梱包物を収容した様子を示す図である。
図14は、本実施形態に係る梱包方法の持ち上げ工程を説明する模式的な斜視図である。
図15は、本実施形態に係る梱包方法の第2収容工程及び降ろし工程を説明する模式的な斜視図である。
図16から
図18は、本実施形態に係る梱包方法の繰り返し工程を説明する模式的な斜視図である。
【0056】
図12から
図18に示すように、本実施形態に係る梱包方法は、緩衝梱包部材12を用いて、長尺状の本体部Paとアーム部Pbを屈曲自在に連結してなる複数の被梱包物Pを梱包するための方法である。本実施形態において、被梱包物Pは、ステアリング部品であり、長尺状の本体部はPa、ステアリングコラムシャフトであり、アーム部Pbは、インターミディエイトシャフトである。なお、被梱包物Pは、ステアリング部品に限るものでなく、本体部Paとアーム部Pbを屈曲自在に連結してあれば、例えば、ドライブシャフト等、ステアリング部品以外の部品又は物品であってもよい。
【0057】
本実施形態に係る梱包方法は、第1収容工程と、持ち上げ工程と、第2収容工程と、降ろし工程と、繰り返し工程とを含んでいる。そして、本実施形態に係る梱包方法の各工程の具体的な内容は、次の通りである。
【0058】
(第1収容工程)
図12及び
図13に示すように、逆向きに配置する2つの被梱包物Pのうち一方の被梱包物Pの本体部Paを1つ目の第1本体収容部16に収容する。また、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端側を1つ目の第1アーム収容部24の第1受け面24fに支持させつつ、前記一方の被梱包物Pのアーム部PbをL字状に屈曲させた状態で1つ目の第1アーム収容部24に収容する。これにより、緩衝梱包部材12の1つ目の第1本体収容部16及び第1アーム収容部24に前記一方の被梱包物Pを梱包することができる。このとき、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端側は、1つ目の第2本体収容部20に位置している。
【0059】
(持ち上げ工程)
第1収容工程の終了後に、
図14に示すように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を持ち上げる。これにより、1つ目の第2本体収容部20の全域を開放することができる。
【0060】
(第2収容工程)
持ち上げ工程の終了後に、
図15に示すように、逆向きに配置する2つの被梱包物Pのうち他方の被梱包物Pの本体部Paを1つ目の第2本体収容部20に収容する。また、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端側を1つ目の第2アーム収容部26の第2受け面26fに支持させつつ、前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbを前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbと逆向きでかつL字状に屈曲させた状態で1つ目の第2アーム収容部26に収容する。これにより、緩衝梱包部材12の1つ目の第1本体収容部16及び第1アーム収容部24に前記他方の被梱包物Pを梱包することができる。
【0061】
(降ろし工程)
第2収容工程の終了後に、
図15に示すように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を降ろす。これにより、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbを1つ目の第1アーム収容部24の第1受け面24fに当接させることができる。
【0062】
(繰り返し工程)
降ろし工程の終了後に、
図16から
図18に示すように、第1収容工程から持ち上げ工程及び第2収容工程を経由して及び降ろし工程まで繰り返して実行する。具体的には、
図16に示すように、緩衝梱包部材12の2つ目の第1本体収容部16及び第1アーム収容部24に前記一方の被梱包物Pを梱包する。続いて、
図17に示すように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を持ち上げて、2つ目の第2本体収容部20の全域を開放する。そして、
図18に示すように、緩衝梱包部材12の2つ目の第2本体収容部20及び第2アーム収容部26に前記他方の被梱包物Pを梱包する。最後に、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を降して、2つ目の第1アーム収容部24の第1受け面24fに当接させる。
【0063】
なお、繰り返し工程の終了後に、緩衝梱包部材12の各係合凹部28と蓋部材14の各係合凸部40が係合するように蓋部材14を緩衝梱包部材12の上側に設置する。また、必要に応じて、緩衝梱包部材12の上側に蓋部材14を設置した状態で、上段側の緩衝梱包部材12の各嵌合凹部30と下段側の蓋部材14の各嵌合凸部42が嵌合するように、緩衝梱包部材12を段積みする。更に、蓋部材14の複数の嵌合凸部42の通し溝42gを通した紐状部材44によって緩衝梱包部材12を結束する。
【0064】
〔作用効果〕
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0065】
本実施形態に係る緩衝梱包部材12の構成によると、前述のように、各第1アーム収容部24が各第1本体収容部16の幅方向の一端部から長さ方向の一方側に向かって形成されている。各第2アーム収容部26が各第2本体収容部20の幅方向の他端部から長さ方向の他方側に向かって形成されている。そのため、緩衝梱包部材12の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の構成によると、前述のように、各第1アーム収容部24の一部分が平面視において各第2本体収容部20に重なっている。前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbが前記他方の被梱包物Pの本体部Paの他端部側を非接触で跨ぐように、各第1アーム収容部24の第1受け面24fが前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。各第2アーム収容部26の一部分が平面視において各第1本体収容部16に重なっている。前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbが前記一方の被梱包物Pの本体部Paの他端部側を非接触で跨ぐように、各第2アーム収容部26の第2受け面26fが前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。そのため、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbと前記他方の被梱包物Pの本体部Paとの干渉、及び前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbが前記一方の被梱包物Pの本体部Paとの干渉を回避しつつ、緩衝梱包部材の長さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0067】
つまり、本実施形態に係る緩衝梱包部材12によれば、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbと前記他方の被梱包物Pの本体部Paとの干渉等を回避しつつ、緩衝梱包部材12の幅方向及び長さ方向の寸法を小さくして、緩衝梱包部材12の容積を削減することができる。
【0068】
特に、本実施形態に係る緩衝梱包部材12の構成によると、前述のように、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部の梱包高さ位置が前記他方の被梱包物Pの本体部Paの最大梱包高さ位置よりも低くなるように、各第1アーム収容部24の第1受け面24fが前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部の梱包高さ位置が前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの最大梱包高さ位置よりも低くなるように、各第2アーム収容部26の第2受け面26fが前記他方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を受ける。そのため、本実施形態に係る緩衝梱包部材12によれば、緩衝梱包部材12の高さ方向の寸法の拡大を抑えて、緩衝梱包部材12の容積を十分に削減することができる。
【0069】
従って、本実施形態に係る緩衝梱包部材12によれば、緩衝梱包部材12の容積を十分に削減することで、緩衝梱包部材12の設置スペースの省スペース化を図りつつ、緩衝梱包部材12の梱包資材量(樹脂発泡体の使用量)を低減することができる。
【0070】
本実施形態に係る梱包ユニット10は、前述の構成からなる緩衝梱包部材12を備えている。そのため、本実施形態に係る梱包ユニット10によれば、本実施形態に係る緩衝梱包部材12による作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0071】
本実施形態に係る梱包ユニット10の構成によると、前述のように、蓋部材14を緩衝梱包部材12の上側に設置すると、緩衝梱包部材12の各係合凹部28と蓋部材14の各係合凸部40が係合するように構成されている。そのため、本実施形態に係る梱包ユニット10によれば、蓋部材14を緩衝梱包部材12の上側に対する蓋部材14の設置状態を安定させることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る梱包ユニット10の構成によると、前述のように、緩衝梱包部材12の上側に蓋部材14を配置した状態で、緩衝梱包部材12を段積みすると、上段側の緩衝梱包部材12の各嵌合凹部30と下段側の蓋部材14の各嵌合凸部42が嵌合するように構成されている。そのため、本実施形態に係る梱包ユニット10によれば、緩衝梱包部材12の段積み状態を安定させることができる。
【0073】
更に、本実施形態に係る梱包ユニット10の構成によると、前述のように、蓋部材14の各嵌合凸部42には、緩衝梱包部材12を結束する紐状部材44を通すための通し溝42gが形成されている。そのため、本実施形態に係る梱包ユニット10によれば、蓋部材14の各嵌合凸部42の通し溝42gによって紐状部材44が位置決めされ、紐状部材44による緩衝梱包部材12の結束状態を安定させることができる。
【0074】
従って、本実施形態に係る梱包ユニット10によれば、梱包ユニット10による複数の被梱包物Pの梱包状態を安定させることができる。
【0075】
緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成するポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率が発泡倍率20倍以上60倍以下であるには、被梱包物Pの重量に対する緩衝梱包部材12等の剛性を十分に確保しつつ、緩衝梱包部材12等の緩衝性能を高めと共に、緩衝梱包部材12等の軽量化を図ることができる。
【0076】
緩衝梱包部材12及び蓋部材14を構成するポリプロピレン系樹脂発泡体の発泡倍率が10倍以上50倍以下である場合には、被梱包物Pの重量に対する緩衝梱包部材12等の剛性を十分に確保しつつ、緩衝梱包部材12等の軽量化を図ることができる。
【0077】
本実施形態に係る梱包方法は、前述の構成からなる本実施形態に係る緩衝梱包部材12を用いている。そのため、本実施形態に係る梱包方法によれば、本実施形態に係る緩衝梱包部材12による作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0078】
本実施形態に係る梱包方法の構成によれば、前記他方の被梱包物Pの本体部Paを第2本体収容部20に収容する前に、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbの先端部側を持ち上げて、第2本体収容部20の全域を開放している。そのため、前記一方の被梱包物Pのアーム部Pbと前記他方の被梱包物Pの本体部Paとの干渉を回避しつつ、前記他方の被梱包物Pの本体部Paを第2本体収容部20に容易に収容することができる。従って、本実施形態に係る梱包方法によれば、複数の被梱包物Pの梱包作業の作業性を高めることができる。
【0079】
〔付記事項〕
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 梱包ユニット
12 緩衝梱包部材
14 蓋部材
16 第1本体収容部
16p 支持面
18 開口部
20 第2本体収容部
20p 支持面
22 開口部
24 第1アーム収容部
24f 第1受け面
26 第2アーム収容部
26f 第2受け面
28 係合凹部
30 嵌合凹部
32 本体部用の開口部
34 本体部用の開口部
36 アーム部用の開口部
38 アーム部用の開口部
40 係合凸部
42 嵌合凸部
42g 通し溝
44 紐状部材