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特開2024-101785プリンタ、印刷システムおよび印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101785
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】プリンタ、印刷システムおよび印刷方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240723BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G06F3/12 351
G06F3/12 305
G06F3/12 362
G06F3/12 353
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005915
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 亮
(72)【発明者】
【氏名】森上 敬之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸好
(72)【発明者】
【氏名】八木 猛
【テーマコード(参考)】
2C187
【Fターム(参考)】
2C187AC02
2C187AC08
2C187AE07
2C187AF03
2C187AG05
2C187DB11
(57)【要約】
【課題】連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、所望の幅の余白を設けて印刷することができるようにする。
【解決手段】ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷するプリンタにおいて、複数のジョブを取得する第1ジョブ取得部を有する制御装置と、第1ジョブ取得部が取得したジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷機構とを有し、制御装置は、ジョブの情報が連続印刷するように設定されているときに、ジョブ間に予め設定された0以上の値の第1の幅の余白をあけて、ジョブの情報に基づいてメディアに画像を連続印刷するように印刷機構を制御する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷するプリンタにおいて、
複数のジョブを取得する第1ジョブ取得部を有する制御装置と、
前記第1ジョブ取得部が取得した前記ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷機構と
を有し、
前記制御装置は、前記ジョブの情報が連続印刷するように設定されているときに、前記ジョブ間に予め設定された0以上の値である第1の幅の余白をあけて、前記ジョブの情報に基づいて前記メディアに前記画像を連続印刷するように前記印刷機構を制御する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記印刷機構は、
前記メディアを載置する載置台と、
前記メディアに対してインクを吐出するインクノズルを並べたインクノズル列を有するインクヘッドと、
前記メディアと前記インクヘッドとを相対移動させる移動機構と
を有し、
前記印刷制御部は、前記移動機構によって前記メディアと前記インクヘッドとを相対移動させる方向に沿って前記第1の幅の余白をあける
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記移動機構は、前記メディアと前記インクヘッドとを前記インクノズルが並ぶ方向に相対移動させる機構を備え、
前記印刷制御部は、前記インクノズルが並ぶ方向に沿って前記第1の幅の余白をあける
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタにおいて、さらに、
前記メディアを加熱する加熱装置を有する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記制御装置は、前記ジョブに付与された連続印刷するジョブであるか否かを示す連続印刷情報に基づいて、前記ジョブが連続印刷するジョブであるか否かを判定する判定部を有し、
前記印刷制御部は、前記判定部によって連続印刷するジョブであると判定された前記ジョブ間に前記第1の幅の余白をあける
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタにおいて、
前記印刷制御部は、前記判定部によって連続印刷するジョブでないと判定されたジョブと次のジョブとの間に、前記第1の幅とは異なる第2の幅の余白をあけて、前記ジョブの情報に基づいて前記メディアに前記画像を印刷するように前記印刷機構を制御する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項5に記載のプリンタにおいて、
前記制御装置は、前記ジョブに前記連続印刷情報を付与する連続印刷情報付与部を有する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷システムにおいて、
請求項5に記載のプリンタと、
ジョブに連続印刷情報を付与する連続印刷情報付与部を有する印刷管理装置と
を有する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷システムにおいて、
前記印刷管理装置は、
複数のジョブを取得する第2ジョブ取得部と、
前記第2ジョブ取得部により取得された前記複数のジョブを受け付けてグループ化する受付部と、
前記連続印刷情報付与部により前記連続印刷情報を付与された前記ジョブを前記プリンタへ送信する送信部と
を有し、
前記連続印刷情報付与部は、前記受付部によりグループ化された前記複数のジョブに前記連続印刷情報を付与し、
前記送信部は、前記連続印刷情報付与部により前記連続印刷情報が付与された前記グループ化された前記複数のジョブを前記プリンタに送信する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷方法において、
複数のジョブを取得するジョブ取得工程と、
前記ジョブ取得工程が取得した前記ジョブの情報が連続印刷するように設定されているときに、前記ジョブ間に予め設定された0以上である値の第1の幅の余白をあけて印刷する印刷工程と
を有する
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、印刷システムおよび印刷方法に関する。さらに詳細には、本発明は、複数のジョブを連続して印刷する際に用いて好適なプリンタ、印刷システムおよび印刷方法に関する。
【0002】
本明細書ならびに本特許請求の範囲において、「プリンタ」とは、「インクジェットプリンタ」を含む各種の印刷装置を意味するものとする。なお、「インクジェットプリンタ」とは、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術を用いた印刷方法を利用した各種のプリンタ全般を意味するものとする。
【0003】
また、本明細書ならびに本特許請求の範囲において、「メディア」には、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)やポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)などの樹脂材料、織物、布、アルミ、鉄あるいは木材などのような各種材料などからなる種々の媒体が含まれるものとする。
【0004】
さらにまた、本明細書ならびに本特許請求の範囲において、「インク」とは、例えば、溶剤系顔料インク、水性顔料インク、水性染料インク、紫外線硬化型顔料インクなどのような各種の印刷用のインク全般を意味するものとする。
【0005】
また、本明細書ならびに本特許請求の範囲において、「画像」とは、文字、数字、記号、図形、絵柄、模様あるいは写真などを含む総称である。
【背景技術】
【0006】
従来より、例えば、特許第6202014号公報に開示されているように、画像と画像との間に余白を設けて印刷を行うプリンタが知られている。
【0007】
具体的には、特許第6202014号公報には、メディアの搬送方向に沿って、設定された余白幅の間隔を設けて画像を繰り返し並べて配置したジョブを印刷するプリンタが開示されている。
【0008】
しかしながら、こうした従来のプリンタによれば、複数のジョブを連続して印刷する設定を行った際に、連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、設定された余白幅の間隔を設けて画像を繰り返し並べて配置した第1のジョブおよび第2のジョブを連続して印刷する際の第1のジョブと第2のジョブとの間の余白の幅については、ユーザーが任意に指定して印刷することができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6202014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の技術の有する上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、所望の幅の余白(幅が「0」の余白、換言すれば、「余白が無い」場合を含む。)を設けて印刷することができるようにしたプリンタ、印刷システムおよび印刷方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によるプリンタ、印刷システムおよび印刷方法は、複数のジョブを連続して印刷する際に、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に予め任意に設定された幅の余白(任意に設定された幅の余白には、幅が「0」の余白、換言すれば、「余白が無い」場合を含む。)を設けて印刷するようにしたものである。
【0012】
従って、本発明によるプリンタ、印刷システムおよび印刷方法によれば、連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、所望の幅の余白(「所望の幅の余白」には、幅が「0」の余白、換言すれば、「余白が無い」場合を含む。)を設けて印刷することができるようになる。
【0013】
即ち、本発明によるプリンタは、ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷するプリンタにおいて、複数のジョブを取得する第1ジョブ取得部を有する制御装置と、上記第1ジョブ取得部が取得した上記ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷機構とを有し、上記制御装置は、上記ジョブの情報が連続印刷するように設定されているときに、上記ジョブ間に予め設定された0以上の値である第1の幅の余白をあけて、上記ジョブの情報に基づいて上記メディアに上記画像を連続印刷するように上記印刷機構を制御するようにしたものである。
【0014】
従って、本発明によるプリンタによれば、連続印刷設定された複数のジョブ間に予め設定された幅の余白を設けて印刷することができる。なお、第1の幅の値が0の場合の印刷結果においては、実際には連続するジョブにより印刷された画像と画像との間に余白は視認されない。
【0015】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、上記印刷機構は、上記メディアを載置する載置台と、上記メディアに対してインクを吐出するインクノズルを並べたインクノズル列を有するインクヘッドと、上記メディアと上記インクヘッドとを相対移動させる移動機構とを有し、上記印刷制御部は、上記移動機構によって上記メディアと上記インクヘッドとを相対移動させる方向に沿って上記第1の幅の余白をあけるようにしたものである。
【0016】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、上記移動機構は、上記メディアと上記インクヘッドとを上記インクノズルの並ぶ方向に相対移動させる機構を備え、上記印刷制御部は、上記インクノズルの並ぶ方向に沿って上記第1の幅の余白をあけるようにしたものである。
【0017】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、さらに、上記メディアを加熱する加熱装置を有するようにしたものである。
【0018】
従って、本発明によるプリンタによれば、加熱装置によってメディアの余白領域が加熱されて変形する場合があっても、余白の幅を適宜に設定することが可能となるので、変形してしまうメディアの領域を調整することができるようになる。
【0019】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、上記制御装置は、上記ジョブに付与された連続印刷するジョブであるか否かを示す連続印刷情報に基づいて、上記ジョブが連続印刷するジョブであるか否かを判定する判定部を有し、上記印刷制御部は、上記判定部によって連続印刷するジョブであると判定された上記ジョブ間に上記第1の幅の余白をあけるようにしたものである。
【0020】
従って、本発明によるプリンタによれば、ジョブの情報から予め設定された幅の余白を設けるか否かを簡単に判定することができる
【0021】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、上記印刷制御部は、上記判定部によって連続印刷するジョブでないと判定されたジョブと次のジョブとの間に、上記第1の幅とは異なる第2の幅の余白をあけて、上記ジョブの情報に基づいて上記メディアに上記画像を印刷するように上記印刷機構を制御するようにしたものである。
【0022】
従って、本発明によるプリンタによれば、連続印刷設定された複数のジョブ間の余白の幅(第1の幅)を、デフォルト値としてプリンタに設定されている余白の幅(第2の幅)とは異ならせるようにして画像を印刷することができる
【0023】
また、本発明によるプリンタは、上記した本発明によるプリンタにおいて、上記制御装置は、上記ジョブに上記連続印刷情報を付与する連続印刷情報付与部を有するようにしたものである。
【0024】
従って、本発明によるプリンタによれば、ユーザーはプリンタの操作パネルを操作することのみにより、ジョブに連続印刷情報を自動で付与することができるようになる。
【0025】
また、本発明による印刷システムは、ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷システムにおいて、請求項5に記載のプリンタと、ジョブに連続印刷情報を付与する連続印刷情報付与部を有する印刷管理装置とを有するようにしたものである。
【0026】
従って、本発明による印刷システムによれば、ユーザーは、プリンタの操作パネルを操作しなくても、プリンタに接続したパーソナルコンピューターなどにより構成される印刷管理装置から連続印刷設定を行うことにより、予め設定された幅の余白を設けたジョブの連続印刷を実行することができるようになる。
【0027】
また、本発明による印刷システムは、上記本発明による印刷システムにおいて、上記印刷管理装置は、複数のジョブを取得する第2ジョブ取得部と、上記第2ジョブ取得部により取得された上記複数のジョブを受け付けてグループ化する受付部と、上記連続印刷情報付与部により上記連続印刷情報を付与された上記ジョブを上記プリンタへ送信する送信部とを有し、上記連続印刷情報付与部は、上記受付部によりグループ化された上記複数のジョブに上記連続印刷情報を付与し、上記送信部は、上記連続印刷情報付与部により上記連続印刷情報が付与された上記グループ化された上記複数のジョブを上記プリンタに送信するようにしたものである。
【0028】
従って、本発明による印刷システムによれば、複数のジョブを選択してグループ化すると、自動的にジョブに連続印刷設定が行われるため、複数のジョブを連続印刷する際におけるユーザーの設定操作の負担を軽減することができる。
【0029】
また、本発明による印刷方法は、ジョブの情報に基づいてメディアに画像を印刷する印刷方法において、複数のジョブを取得するジョブ取得工程と、上記ジョブ取得工程が取得した上記ジョブの情報が連続印刷するように設定されているときに、上記ジョブ間に予め設定された0以上の値である第1の幅の余白をあけて印刷する印刷工程とを有するようにしたものである。
【0030】
従って、本発明による印刷方法によれば、連続印刷設定された複数のジョブ間に予め設定された幅の余白を設けて印刷することができるようになる。なお、第1の幅の値が0の場合の印刷結果においては、実際には連続するジョブにより印刷された画像と画像との間に余白は視認されない。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上説明したように構成されているので、連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、所望の幅の余白(幅が「0」の余白、換言すれば、「余白が無い」場合を含む。)を設けて印刷することができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の実施の形態の一例によるプリンタを示すブロック構成説明図である。
図2図2は、図1に示すプリンタのインクヘッド周りの構成を模式的に示す説明図である。
図3図3は、図1に示すプリンタにおける制御装置の本発明の実施に関連する機能的構成を示すブロック構成説明図である。
図4図4は、図1に示すプリンタが実行する印刷処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図5図5は、第1ジョブ取得部が作成するジョブグループの一例を模式的に示す説明図である。
図6図6は、図1に示すプリンタによる図5に示すジョブグループの印刷結果を模式的に示す説明図である。
図7図7は、本発明の実施の形態の一例による印刷システムを示すブロック構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるプリンタ、印刷システムおよび印刷方法の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0034】
(I) 本発明の実施の形態の一例によるプリンタの構成の説明
図1には、本発明の実施の形態の一例によるプリンタを示すブロック構成説明図があらわされている。
【0035】
図2には、図1に示すプリンタのインクヘッド周りの構成を模式的に示す説明図があらわされている。
【0036】
本発明の実施の形態の一例によるプリンタ10は、印刷機構100と、制御装置200と、操作パネル300とを有して構成されている。
【0037】
ここで、印刷機構100は、制御装置200により生成されたジョブグループ(後述する。)を構成する各ジョブが示す情報に基づいて、メディア120(図2を参照する。)に画像を印刷する。
【0038】
印刷機構100は、載置台102と、インクカートリッジ104と、インクヘッド106と、移動機構108と、加熱装置110とを有して構成されている。
【0039】
ここで、載置台102は、被印刷対象となるメディア120を載置する。なお、メディア120は、例えば、長手方向がメディア120の搬送方向である副走査方向に延長した連続用紙であり、具体的には、ロール紙が挙げられる。
【0040】
インクカートリッジ104は、インクヘッド106へ供給するインクを貯留している。インクカートリッジ104に貯留されたインクは、インク経路(図示せず。)を通って、インクヘッド106へ供給される。
【0041】
インクヘッド106は、メディア120の搬送方向である副走査方向、即ち、メディア搬送方向に沿ってインクノズル106aを並べたインクノズル列106bを備えている。インクカートリッジ104からインクヘッド106へ供給されたインクは、インクノズル列106bを構成するインクノズル106aからメディア120へ向けて吐出される。
【0042】
移動機構108は、主走査方向移動機構108aと副走査方向移動機構108bとを有して構成されている。
【0043】
ここで、本実施の形態において、主走査方向移動機構108aは、インクヘッド106を搭載したキャリッジ(図示せず。)を副走査方向と直交する方向である主走査方向(メディア120の幅方向であり、図2の紙面に対して垂直な方向である。)に移動する。従って、インクヘッド106は、主走査方向移動機構108aによりメディア120に対して主走査方向に移動されることになる。なお、主走査方向移動機構108aは、メディア120をインクヘッド106に対して主走査方向に移動させてもよい。即ち、主走査方向移動機構108aは、メディア120とインクヘッド106とを主走査方向において相対的に移動させる。
【0044】
一方、副走査移動機構108bは、メディア120を副走査方向(メディア搬送方向)に移動する移動機構であり、本実施の形態においては、グリッドローラー108b1とピンチローラー108b2とを有して構成されている(図2を参照する。)。グリッドローラー108b1は、モーターなどの駆動手段(図示せず。)により矢印A方向へ回転される。メディア120を介してグリッドローラー108b1に対して付勢された回転自在のピンチローラー108b2は、グリッドローラー108b1の矢印A方向の回転に伴い矢印B方向に従動回転し、これによりメディア120がインクヘッド106に対して副走査方向に搬送される。なお、副走査移動機構108bは、インクヘッド106をメディア120に対して副走査方向に移動させてもよい。即ち、副走査移動機構108bは、メディア120とインクヘッド106とを副走査方向において相対的に移動させる。
【0045】
加熱装置110は、ヒーター110aと乾燥装置110bとを有して構成されている。本実施の形態においては、ヒーター110aは、載置台102の下方側に配置されており、良好な印刷結果を得るためにメディア120を加熱する。ヒーター110aは、メディア120に着弾した直後のインクを乾燥させることができる。なお、ヒーター110aは、副走査方向において、インクヘッド106に対してずれて配置されていてもよい。即ち、ヒーター110aは、インクヘッド106に対してメディア120が搬送される方向またはメディア120が搬送される方向とは逆の方向にずれて配置されていてもよい。乾燥装置110bは、ヒーター110aに対してメディア120が搬送される方向にずれて配置され、印刷されたメディア120へ温風を吹き付けて乾燥させることにより良好な印刷結果を得る。乾燥装置110bは、ヒーター110aで一度加熱されたメディア120をさらに加熱することで、メディア120に着弾したインクをより乾燥させることができる。また、乾燥装置110bは、メディア120へ温風を吹き付けることで、メディア120に着弾したインクに含まれる水分の蒸発を促進することができる。なお、乾燥装置110bによりメディア120が加熱される温度は、ヒーター110aによりメディア120が加熱される温度よりも高い方が好ましい。即ち、インクが着弾した直後のメディア120を加熱する温度よりも、インクが着弾してから時間が経過した後のメディア120を加熱する温度の方が高いことが望ましい。ただし、乾燥装置110bによりメディア120が加熱される温度とヒーター110aによりメディア120が加熱される温度の関係は、これに限定されない。
【0046】
制御装置200は、印刷機構100における上記した各構成を制御して、ジョブグループを形成する各ジョブが示す情報に基づいて、メディア120に画像を印刷する。なお、制御装置200の本発明の実施に関連する機能的構成については、図3を参照しながら後述する。
【0047】
操作パネル300は、操作子300aと表示部300bとを有して構成されている。ユーザーは、表示部300bに表示されたプリンタ10の動作状態などを視認しながら操作子300aを操作することにより、プリンタ10に関する各種の設定を行う。
【0048】
本発明の実施に関連してユーザーが行う設定としては、ジョブグループを構成する複数のジョブを連続して印刷する場合における、当該複数のジョブの各ジョブ間、即ち、連続して印刷するジョブとジョブとの間の余白の幅(本明細書ならびに本特許請求の範囲において、「ユーザーが設定した連続して印刷するジョブとジョブとの間の余白の幅」を「ユーザー設定幅」または「第1の幅」と適宜に称する。)の値が挙げられる。
【0049】
本実施の形態においては、ユーザーは、ユーザー設定幅の値を「0~200mm」の範囲で設定可能とされている。なお、ユーザー設定幅の値が「0」に設定された場合の印刷結果においては、実際には連続するジョブにより印刷された画像と画像との間に余白は視認されない。換言すれば、ユーザー設定幅の値が「0」に設定された場合とは、「余白が無い」場合を意味する。本発明においては、ユーザー設定幅(第1の幅)が「0」とされた余白が無い場合も、ユーザーによる余白の幅の設定に含まれるものとする。
【0050】
(II) 本発明の実施の形態の一例によるプリンタにおける制御装置の本発明の実施に関連する機能的構成の説明
図3には、図1に示すプリンタにおける制御装置の本発明の実施に関連する機能的構成を示すブロック構成説明図があらわされている。
【0051】
制御装置200は、コンピューターシステムにより構築されており、制御装置200によって、印刷機構100の各部の動作を含むプリンタ10の全体の動作が制御される。こうした制御装置200は、本発明の実施に関連する機能的構成として、第1ジョブ取得部200aと、印刷制御部200bと、判定部200cと、連続印刷情報付与部200dとを有して構築され、制御装置200の各部は相互に通信可能に構成されている。
【0052】
なお、制御装置200の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、あるいは、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、制御装置200の各部は、プロセッサによって実行されるものであってもよいし、回路に組み込まれたものであってもよい。
【0053】
第1ジョブ取得部200aは、プリンタ10における印刷処理の対象として実行する複数のジョブを取得して、これら複数のジョブが実行順に並べられたジョブグループを作成する。第1ジョブ取得部200aは、ジョブグループを印刷制御部200bへ出力する。
【0054】
第1ジョブ取得部200aが取得するジョブは、従来より公知の技術を用いて、例えば、外部のコンピューターシステムから第1ジョブ取得部200aへ送信して第1ジョブ取得部200aにおいて取得されたり、あるいは、ユーザーが操作パネル300の操作子300aを操作することにより、プリンタ10において生成して第1ジョブ取得部200aにおいて取得されたりする。
【0055】
第1ジョブ取得部200aは、取得した複数のジョブを予め設定された基準やユーザーが設定した基準に応じて、複数のジョブをグループ化して実行順に並べたジョブグループを作成する。
【0056】
なお、こうしたジョブグループは、例えば、印刷管理装置500(後述する。)から第1ジョブ取得部200aへ送信して、第1ジョブ取得部200aはこれをジョブグループとして用いるようにしてもよい。
【0057】
上記したジョブグループは、複数のジョブを印刷処理の実行順に並べた印刷データとして構成されている。各ジョブは、印刷条件の情報とメディア120に印刷される画像のデータとを含んでいる。印刷条件の情報は、通常の印刷条件の情報、例えば、1つのメディア120に対する印刷処理として実行される印刷モードの情報、印刷解像度の情報、印刷範囲の情報、メディア120の情報などに加え、さらに、次のジョブを連続印刷するか否かを指定した連続印刷情報(後述する。)を含んでいる。
【0058】
ここで、印刷モードは、例えば、単層印刷モードと、2層印刷モードと、3つ以上層からなる多層印刷モードとである。単層印刷モードは、例えば、インクヘッド106からプロセスカラーインクを吐出させて、メディア120上に1つのプロセスカラーインク層を形成する印刷モードである。また、2層印刷モードは、例えば、インクヘッド106からプロセスカラーインクと特色インク(プロセスカラーインクとは異なる色および/または特性を有しているインクである。例えば、プライマリーインク、ホワイトインク、コーティングインクなどである。)とを順次吐出させて、メディア120上に1つのプロセスカラーインク層と1つの特色インク層との合計2層を積層形成する印刷モードである。多層印刷モードは、メディア120上に、例えば、プロセスカラーインク層と特色インク層とを合計3層以上、例えば、3層乃至5層を積層形成する印刷モードである。
【0059】
印刷制御部200bは、第1ジョブ取得部200aから出力された複数のジョブよりなるジョブグループに基づき、ジョブグループが示す予め設定された実行順で当該複数のジョブを実行するように印刷機構100を動作させ、メディア120上に画像を印刷する制御を行う。
【0060】
この印刷制御部200bは、複数のジョブが連続印刷するように設定されている場合(後述する判定部200cの判定結果として連続印刷情報が「ON」の場合)には、当該複数のジョブのそれぞれの間、即ち、ジョブとジョブとの間にユーザー設定幅(第1の幅)の余白を設けてメディア120に画像を印刷するように、印刷機構100を動作させる制御を行う。本実施の形態においては、印刷制御部200bは、副走査移動機構108bによりインクヘッド106に対して副走査方向において相対的に移動されるメディア120に対し、副走査方向(メディア搬送方向)に沿ってユーザー設定幅(第1の幅)の余白を設けるようにして、連続印刷するように設定されている複数のジョブの画像を連続して印刷する。
【0061】
判定部200cは、第1ジョブ取得部200aが取得した複数のジョブに付与された連続印刷情報(連続印刷情報とは、複数のジョブについて連続印刷するジョブであるか否かを示す情報である。後に詳述する。)に基づいて、各ジョブが連続印刷するジョブであるか否かを判定する。上記した印刷制御部200bは、判定部200cによって連続印刷するジョブであると判定された複数のジョブのそれぞれの間、即ち、連続印刷するジョブとジョブとの間に、ユーザーが操作パネル300の操作子300aを操作して任意に設定した幅たるユーザー設定幅(第1の幅)の余白を設けて、各ジョブの画像が印刷されるように制御する。
【0062】
ここで、連続印刷情報とは、複数のジョブについて連続印刷するジョブであるか否かを示す情報である。本実施の形態では、連続印刷情報とは、現在実行中のジョブに後続するジョブを連続して印刷するか否かを指定する情報である。
【0063】
連続印刷情報は、例えば、「ON/OFF」によりあらわされる。即ち、連続印刷情報が「ON」とは、後続のジョブを連続印刷することを意味する。一方、連続印刷が「OFF」とは、後続のジョブを連続印刷しないことを意味する。
【0064】
上記した判定部200cは、各ジョブに含まれる連続印刷情報を判定するものであるが、具体的には、判定部200cが、連続印刷情報として連続印刷することが指定されていると判定した場合(連続印刷情報が「ON」である場合)には、印刷制御部200bは、実行中のジョブの印刷が完了した後に、連続して次のジョブの印刷を開始するように制御する。
【0065】
一方、判定部200cが、連続印刷情報として連続印刷しないことが指定されていると判定した場合(印刷ジョブの連続印刷情報が「OFF」である)には、印刷制御部200bは、実行中のジョブの印刷が完了した後、連続して次のジョブの印刷を開始しないように制御する。
【0066】
連続印刷情報付与部200dは、第1ジョブ取得部200aが取得したジョブに連続印刷情報を付与する。連続印刷情報付与部200dで付与された連続印刷情報は、印刷制御部200bがジョブを実行する際の印刷条件にかかる情報として、第1ジョブ取得部200aから印刷制御部200bへ出力されるジョブグループに付加される。
【0067】
本実施の形態において、連続印刷情報付与部200dは、第1ジョブ取得部200aが作成するジョブグループを構成する複数のジョブのそれぞれに対して自動的に連続印刷情報を付与する。具体的には、連続印刷情報付与部200dは、ジョブグループの最後に実行されるジョブに対して連続印刷「OFF」の属性を付与する。一方、連続印刷情報付与部200dは、ジョブグループの最後に実行されるジョブ以外のジョブ、即ち、ジョブグループの最初および途中のジョブに対して連続印刷「ON」の属性を付与する。
【0068】
なお、このようにしてジョブに付与された連続印刷情報は、ユーザーが操作パネル300に設けられた表示装置300bを視認しながら操作子300aを操作して、ユーザーが適宜に設定したり変更したりしてもよい。
【0069】
(III) 本発明の実施の形態の一例によるプリンタおよび印刷方法における動作の説明
図4には、図1に示すプリンタが実行する印刷処理の処理ルーチンを示すフローチャートがあらわされている。
【0070】
図5には、第1ジョブ取得部が作成するジョブグループの一例を模式的に示す説明図があらわされている。
【0071】
図6には、図1に示すプリンタによる図5に示すジョブグループの印刷結果を模式的に示す説明図があらわされている。
【0072】
以上の構成において、プリンタ10においては、制御装置200の制御により、インクカートリッジ104からインクヘッド106へインクを供給しながら、インクヘッド106のインクノズル列106bを構成するインクノズル106aからメディア120に対してインクを吐出して、メディア120へ画像を形成する印刷処理を行う。
【0073】
より詳細には、印刷処理においては、副走査方向移動機構108b(グリッドローラー108b1およびピンチローラー108b2)により副走査方向(メディア搬送方向)に沿ってメディア120が移動され、こうしたメディア120に対して副走査方向(メディア搬送方向)に沿って並べられたインクノズル106aからインクが吐出される。
【0074】
そして、プリンタ10においては、本発明の実施に関連する処理として、図4に示す印刷処理の処理ルーチンが実行される。
【0075】
以下に、図4に示すフローチャートを参照しながら、本発明の実施に関連する印刷処理の処理ルーチンについて説明する。
【0076】
このプリンタ10においては、第1ジョブ取得部200aから出力された複数のジョブよりなるジョブグループを印刷制御部200bが受信すると、図4に示す印刷処理の処理ルーチンが起動して実行される。
【0077】
この印刷処理の処理ルーチンが起動すると、印刷制御部200bが受信したジョブグループのなかの最初に実行するジョブの印刷を開始する(ステップS402)。
【0078】
ステップS402の処理を終了すると、ステップS404の処理へ進み、判定部200cによって、印刷中のジョブの連続印刷情報が「ON」であるか否かが判定される。
【0079】
ステップS404の判定結果が、連続印刷情報が「ON」である(Yes)と判定された場合には、ステップS406の処理へ進み、次のジョブ(印刷中のジョブに連続するジョブ)との間にユーザー設定幅(第1の幅)の余白をあけて、当該次のジョブの印刷を開始して、ステップS404の判定処理へ戻る。
【0080】
一方、 ステップS404の判定結果が、連続印刷情報が「ON」でない(No)と判定された場合、即ち、連続印刷情報が「OFF」と判定された場合には、ステップS408の処理を進んで印刷処理中のジョブグループの印刷を完了して、この印刷処理の処理ルーチンを終了する。
【0081】
ここで、上記した印刷処理の処理ルーチンにおける処理対象のジョブグループが、例えば、図5に示すジョブグループである場合を例として、当該印刷処理の処理ルーチンによる印刷結果について説明する。
【0082】
図5に示すジョブグループは、ジョブ名として「ジョブ1」、「ジョブ2」、「ジョブ3」、「ジョブ4」が付与された4つのジョブよりなり、ジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4の順番で実行されるジョブグループである。ジョブ1、ジョブ2およびジョブ3の連続印刷情報は「ON」であり、一方、ジョブ4の連続印刷情報は「OFF」である。また、ユーザー設定幅(第1の幅)は、それぞれ「100mm」に設定されているものとする。
【0083】
こうした図5に示すジョブグループの印刷を開始すると、まず、ジョブ1の印刷が開始される(ステップS402の処理を参照する。)。ジョブ1の連続印刷情報は「ON」であるので、「ユーザー設定幅=100mm」の余白をあけて、ジョブ2の印刷を開始する(ステップS404→ステップS406の処理を参照する。)。次に、ジョブ2の連続印刷情報は「ON」であるので、「ユーザー設定幅=100mm」の余白をあけて、ジョブ3の印刷を開始する(ステップS404→ステップS406の処理を参照する。)。次に、ジョブ3の連続印刷情報は「ON」であるので、「ユーザー設定幅=100mm」の余白をあけて、ジョブ4の印刷を開始する(ステップS404→ステップS406の処理を参照する。)。次に、ジョブ4の連続印刷情報は「OFF」であるので、ジョブ4の印刷を終えると図5に示すジョブグループの印刷を終了する(ステップS404→ステップS408の処理を参照する。)。
【0084】
図6には、上記した図5に示すジョブグループの処理にともなう印刷結果が示されているが、副走査方向(メディア搬送方向)において、ジョブ1とジョブ2との間にユーザー設定幅(第1の幅)の100mmの余白が設けられ、かつ、ジョブ2とジョブ3との間にユーザー設定幅(第1の幅)の100mmの余白が設けられ、かつ、ジョブ3とジョブ4との間にユーザー設定幅(第1の幅)の100mmの余白が設けられている。
【0085】
なお、図5乃至図6を参照して説明した例においては、ジョブ1とジョブ2との間の余白のユーザー設定幅と、ジョブ2とジョブ3との間の余白のユーザー設定幅と、ジョブ3とジョブ4の間の余白のユーザー設定幅とを全て同一の100mmとした場合について説明したが、それぞれのジョブとジョブとの間の余白のユーザー設定幅は、全てが異なるようにしてもよいし、あるいは、一部が異なるようにしてもよく、要するにユーザーが任意に設定することができる。
【0086】
また、上記において説明した実施の形態においては、詳細な説明は省略したが、プリンタ10は、連続印刷情報が「OFF」であるジョブの次のジョブを印刷する場合には、ユーザー設定幅とは異なる第2の幅の余白をあけて、当該次の画像を印刷する。この第2の幅は、例えば、デフォルト値としてプリンタ10に予め設定された幅である。
【0087】
なお、上記した印刷処理の処理ルーチンを除くプリンタ10に関するその他の処理については、従来より公知の技術を適宜に用いればよいのでそれらの詳細な説明は省略する。
【0088】
従って、上記したプリンタ10によれば、連続して印刷するように設定された複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、予め設定された所望の幅の余白を設けて印刷することができる。
【0089】
このため、プリンタ10においては、加熱装置110(ヒーター110aおよび乾燥装置100b)によりメディア120の余白領域が加熱されて変形する場合があるが、ユーザー設定幅を適宜に設定して余白の幅を随時変更することができるので、加熱により変形してしまうメディア120の領域を調整することができるようになる。
【0090】
また、プリンタ10においては、ジョブに連続印刷情報が付加されるので、ジョブの情報から予め設定されたユーザー設定幅の幅の余白を設けるか否かを簡単に判定することができる。
【0091】
さらに、プリンタ10によれば、余白を設ける際のユーザー設定幅をデフォルト値の第2の幅と異ならせることができるので、余白の幅を設ける際の自由度が大幅に向上する。
【0092】
さらにまた、プリンタ10によれば、連続印刷情報付与部200dを備えているので、連続印刷情報を自動でジョブに付与することができる。
【0093】
(IV) 本発明の実施の形態の一例による印刷システムの構成ならびに動作の説明
図7には、本発明の実施の形態の一例による印刷システムを示すブロック構成説明図があらわされている。
【0094】
本発明の実施の形態の一例による印刷システム400は、印刷管理装置500と上記したプリンタ10とを有して構成されている。
【0095】
ここで、印刷管理装置500とプリンタ10とは、インターフェース(図示せず。)を介して有線または無線で通信可能に接続されている。
【0096】
印刷管理装置500は、複数のジョブが実行順に並べられたジョブグループを作成し、プリンタ10に送信する処理を行う。一方、プリンタ10は、印刷管理装置500から送られたジョブグループを制御装置200の第1ジョブ取得部200aで受信する。第1ジョブ取得部200aで受信されたジョブグループは、第1ジョブ取得部200aで作成されたジョブグループと同様に取り扱われ、プリンタ10は上記において説明した処理を行って画像を印刷する。
【0097】
ここで、印刷管理装置500は、パーソナルコンピューターなどのコンピューターシステムにより構築されており、プリンタ10で用いられるジョブグループを作成および送信する機能を有する。
【0098】
なお、印刷管理装置500は、図7においてはプリンタ10に接続された外部装置として図示されているが、印刷管理装置500はプリンタ10の制御装置200に内蔵されていてもよい。また、印刷管理装置500は、コンピューターシステムにおけるCPU(中央演算処理処理)を印刷管理装置500として動作させるコンピュータプログラムであってもよい。こうしたコンピュータプログラムは、印刷管理装置500の動作が書き込まれ、コンピューターシステムで読み取り可能な記録媒体であっていてもよい。なお、記録媒体としては、例えば、半導体記録媒体(例えば、ROMや不揮発性メモリーカードなどである。)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CDあるいはBDなどである。)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープやフレキシブルディスクなどである。)などが挙げられる。さらに、上記したコンピュータプログラムは、上記した記録媒体あるいはインターネットなどのネットワークを介して、サーバーに送信するようにしてもよい。この場合には、印刷管理装置500の各部の機能がサーバーに備えられている場合もまた本発明の実施に含まれる。
【0099】
こうした印刷管理装置500は、本発明の実施に関連する機能的構成として、第2ジョブ取得部500aと、受付部500bと、連続印刷情報付与部500cと、送信部500dとを有して構築され、印刷管理装置500の各部は相互に通信可能に構成されている。印刷管理装置500の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、印刷管理装置500の各部は、プロセッサによって実行されるものであってもよいし、回路に組み込まれたものであってもよい。
【0100】
第2ジョブ取得部500aは、プリンタ10における印刷処理の対象として実行する複数のジョブを取得する。第2ジョブ取得部500aが取得するジョブは、従来より公知の技術を用いて、例えば、外部のコンピューターシステムから第2ジョブ取得部500aへ送信して第2ジョブ取得部500aにおいて取得されたり、あるいは、ユーザーが印刷管理装置500における操作部(図示せず。)を操作することにより、印刷管理装置500において生成して第2ジョブ取得部500aにおいて取得されたりする。
【0101】
受付部500bは、第2ジョブ取得部500aが取得した複数のジョブを受け付けて、予め定められた基準に基づいて当該複数のジョブをグループ化して実行順に並べたジョブグループを作成する。受付部500bにおいてジョブグループを作成する際の予め定められた基準は、例えば、ユーザーが印刷管理装置500における操作部(図示せず。)の操作により任意に設定することができる。一例として、受付部500bは、第2ジョブ取得部500aが取得した複数のジョブの並び順に印刷成果物の単位でジョブをグループ化し、ジョブグループに区分けするようにする。他の一例として、受付部500bは、第2ジョブ取得部500aが取得した複数のジョブの並び順にメディア120を交換するタイミングであるメディア入れ替え単位でジョブをグループ化し、ジョブグループに区分けするようにする。なお、メディア入れ替え単位は、ユーザーが実際の印刷作業などを考慮して任意に設定することができる。
【0102】
受付部500bで作成されたジョブグループは、送信部500dからプリンタ10へ送信される。
【0103】
本実施の形態では、連続印刷情報付与部500cは、受付部500bが作成したジョブグループを構成する複数のジョブ毎に連続印刷情報を付与する。連続印刷情報付与部500cで付与された連続印刷情報は、プリンタ10の印刷制御部200bがジョブを実行する際の印刷条件にかかる情報として、受付部500bが作成するジョブグループに付加される。
【0104】
本実施の形態において、連続印刷情報付与部500dは、受付部500bが作成したジョブグループを構成する複数のジョブのそれぞれに対して自動的に連続印刷情報を付与する。具体的には、連続印刷情報付与部500dは、受付部500bが作成したジョブグループにおける最後に実行するジョブに対して連続印刷「OFF」の属性を付与する。一方、連続印刷情報付与部500dは、受付部500bが作成したジョブグループにおける最後に実行するジョブ以外のジョブ、即ち、最初および途中のジョブに対して連続印刷「ON」の属性を付与する。
【0105】
なお、このようにしてジョブに付与された連続印刷情報は、ユーザーが印刷管理装置500における操作部(図示せず。)の操作により、ユーザーが適宜に設定したり変更したりしてもよい。
【0106】
送信部500dは、受付部500bで作成されたジョブグループ(連続印刷情報を付与されたジョブグループを含む。)をプリンタ10へ送信する。
【0107】
以上の構成において、印刷システム400は、印刷管理装置500における複数のジョブを選択してグループ化する操作により、連続印刷情報を付与されるとともにグループ化されたジョブグループを印刷管理装置500からプリンタ10へ送信することができる。
【0108】
このため、印刷システム400においては、プリンタ10の操作パネル300を操作しなくても、プリンタ10に接続した印刷管理装置500(例えば、パーソナルコンピューターにより構築できる。)からジョブを連続して印刷する設定を行うことにより、ジョブとジョブとの間にユーザー設定幅(第1の幅)の余白を設けて、各ジョブの連続印刷を実行することができるようになる。即ち、ユーザーはプリンタ10から離れた位置からでも、ユーザー設定幅の余白を設定することができる。
【0109】
また、印刷システム400においては、印刷管理装置500により、複数のジョブを選択してグループ化する操作で、自動的に各ジョブグループ毎に各ジョブに対する連続印刷設定が行われることになるので、プリンタ10により各ジョブを印刷させる際のユーザーの負担を軽減することができる。
【0110】
(V) 本発明の実施の形態の一例によるプリンタ、印刷システムおよび印刷方法における作用効果の説明
上記において説明したように、本発明の実施の形態の一例によるプリンタ10、印刷システム400および印刷方法によれば、連続して印刷する設定を行った複数のジョブ間、即ち、連続して印刷されるジョブとジョブとの間に、ユーザーが任意に設定したユーザー設定幅(第1の幅)の余白を設けて印刷することができるようになる。
【0111】
(VI) その他の実施の形態および変形例の説明
上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。
【0112】
例えば、上記した実施の形態は、以下の(VI-1)乃至(VI-5)に示すように変形するようにしてもよい。
【0113】
(VI-1) 上記した実施の形態においては、図5乃至図6を参照して4つのジョブからなるジョブグループについて説明したが、これは例示に過ぎないものであり、ジョブグループを構成するジョブの数は任意であることは勿論である。
【0114】
(VI-2) 上記した実施の形態においては、ユーザー設定幅(第1の幅)として「0~200mm」の範囲の値で設定する場合について説明したが、ユーザー設定幅(第1の幅)として設定する値は、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、ユーザー設定幅(第1の幅)として設定する値は、プリンタ10の設計条件やメディア120のサイズなどの諸条件に応じて、200mmを超える範囲の値で設定するようにしてもよい。
【0115】
(VI-3) 上記した実施の形態においては、プリンタ10に配置するインクカートリッジ104やインクヘッド106の個数についての詳細な説明は省略したが、従来のプリンタと同様に、インクカートリッジ104やインクヘッド106の数は単数でもよし、あるいは、複数でもよいことは勿論である。
【0116】
(VI-4) 上記した実施の形態においては、連続印刷情報がジョブグループを構成する複数のジョブ毎に付与されていたが、ジョブグループに対してまとめて連続印刷情報が付与されていてもよいことは勿論である。例えば、ジョブグループを構成する複数のジョブの先頭のジョブにまとめてジョブグループを構成する複数の各ジョブに対する連続印刷情報が付与されていてもよい。
【0117】
(VI-5) 上記した実施の形態ならびに上記した(VI-1)乃至(VI-4)に示す各種の他の実施の形態や変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、複数のジョブを連続して印刷する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
10 プリンタ
100 印刷機構
102 載置台
104 インクカートリッジ
106 インクヘッド
106a インクノズル
106b インクノズル列
108 移動機構
108a 主走査方向移動機構
108b 副走査方向移動機構
108b1 グリッドローラー
108b2 ピンチローラー
110 加熱装置
110a ヒーター
110b 乾燥装置
120 メディア
200 制御装置
200a 第1ジョブ取得部
200b 印刷制御部
200c 判定部
200d 連続印刷情報付与部
300 操作パネル
300a 操作子
300b 表示部
400 印刷システム
500 印刷管理装置
500a 第2ジョブ取得部
500b 受付部
500c 連続印刷情報付与部
500d 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7