(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101791
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、および品出し情報通知システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005926
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB63
5L049BB63
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、店舗の利益への貢献を高めることが可能な情報処理装置、プログラム、および品出し情報通知システムを提供することである。
【解決手段】実施形態の情報処理装置は、売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段と、前記選定手段によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段と、前記選定手段が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、前記設定手段が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段と、
前記選定手段によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段と、
前記選定手段が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、前記設定手段が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記商品のそれぞれに定められる機会損失度合いに基づいて前記優先度を設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記品薄商品ごとに異なる優先度を設定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、各商品にそれぞれ対応付けられた商品陳列部ごとに異なる優先度を設定し、
前記出力手段は、前記優先度に対応付けられ前記商品陳列部を特定する陳列部特定情報を含む前記品出し情報を出力する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、各商品を分類分けした商品分類ごとに異なる優先度を設定し、
前記出力手段は、前記優先度に対応付けられ前記商品分類を特定する分類特定情報を含む前記品出し情報を出力する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置をコンピュータで制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段と、
前記選定手段によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段と、
前記選定手段が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、前記設定手段が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する出力手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項7】
店舗の情報を管理する情報処理装置と、前記店舗の店員が操作する端末装置と、を有する品出し情報通知システムであって、
前記情報処理装置は、
売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段と、
前記選定手段によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段と、
前記選定手段が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、前記設定手段が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を前記端末装置に出力する出力手段と、を備え、
前記端末装置は、
前記品出し情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した品出し情報を表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える品出し情報通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、プログラム、および品出し情報通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗は、売り場に陳列された商品がなくなった場合、あるいは少なくなった場合、当該商品を補充することで販売機会の損失を防いでいる。なお、以下の説明において、売り場に陳列された商品がなくなった、あるいは少なくなって当該商品の補充が必要になった状態を「品薄状態」ともいい、品薄状態となった商品を「品薄商品」ともいう。また、品薄商品を売り場に補充することを「品出し」ともいう。
【0003】
従来、売り場の画像に基づいて商品を陳列する陳列棚の品薄状態を検出し、品薄商品を店員に通知する商品管理システムが提案されている(例えば、特許文献1)。この従来技術によれば、店員は商品管理システムからの通知により品薄商品を認識して品出しを行うことができる。
【0004】
しかしながら、上記従来技術のものでは、品薄商品が複数存在する場合、品薄商品の品出し順序は個々の店員の判断に委ねられていた。このため、店舗では、例えば販売できなかったことによる機会損失の度合いが大きい品薄商品の補充が遅れるなどの事態が発生していた。結果として、上記従来技術のものは、店舗の利益への貢献という点において改善の余地が残るものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、店舗の利益への貢献を高めることが可能な情報処理装置、プログラム、および品出し情報通知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理装置は、売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段と、前記選定手段によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段と、前記選定手段が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、前記設定手段が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する出力手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の情報処理装置を含む品出し通知システムの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の品出し通知システムが採用される店舗の売り場を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の店舗サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の店舗サーバの記憶部に記憶される商品マスタのデータ構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の店舗サーバの記憶部に記憶される取引情報管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の店舗サーバの記憶部に記憶される品出し情報管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の店舗サーバにおける制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の店員端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の店員端末における制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の店舗サーバの制御部による品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の店員端末の表示部に表示される品出し情報通知画面を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態における品出し情報管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態における品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第2の実施形態における品出し情報通知画面を示す図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態における品出し情報管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態における品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第3の実施形態における品出し情報通知画面を示す図である。
【
図18】
図18は、第3の実施形態における品出し情報通知画面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態の情報処理装置、プログラム、および品出し情報通知システムについて説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下に説明する実施形態では、店舗が管理する店舗サーバを情報処理装置とした例について説明するが、これに限らない。情報処理装置は、店舗に対して品出し情報通知サービスを提供する事業者によって管理されるサーバ装置であってもよい。また、上記店舗サーバや上記サーバ装置は、複数のコンピュータによって構成されるものであってもよい。
【0009】
さらに、以下に説明する実施形態では、店舗サーバは、ショッピングカートに設置されたカメラが売り場を撮像した撮像データに基づいて品薄商品を選定するが、これに限らない。店舗サーバは、売り場内に固定されたカメラが撮像した撮像データに基づいて品薄商品を選定してもよい。
【0010】
また、店舗サーバは、商品を載置する陳列棚に設置された重量センサの出力に基づいて品薄商品を選定してもよい。この場合、店舗サーバは、例えば陳列棚に設置された重量センサが検知する重量が所定値以下になった場合、当該陳列棚に載置された商品を品薄商品として選定する。さらに、店舗サーバは、POS(Point Of Sales)端末等の会計装置の決済情報に基づいて品薄商品を選定してもよい。この場合、店舗サーバは、例えば会計装置からの決済情報によって特定の商品が所定数以上販売された場合、当該特定の商品を品薄商品として選定する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の情報処理装置を含む品出し情報通知システム1の概略を示す図である。本実施形態の品出し情報通知システム1は、例えば、スーパーマーケットなどの店舗に適用される。品出し情報通知システム1は、店舗が管理する店舗サーバ2、店員が操作する店員端末3、ショッピングカートSCに設置された登録端末4、および会計装置5を備える。
【0012】
店舗サーバ2、店員端末3、登録端末4、および会計装置5は、有線あるいは無線のLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、これら店舗サーバ2、店員端末3、登録端末4、および会計装置5の数は、図示の例に限らない。ここで、店舗サーバ2は情報処理装置の一例であり、店員端末3は端末装置の一例である。
【0013】
顧客Cは、売り場内でショッピングカートSCを移動させながら買い物を行う。
図2は、店舗の売り場の一例を示す図である。売り場内には、複数の陳列棚A~Lが配置されている。陳列棚は、商品分類ごとに区分けされている。具体的には、陳列棚A~Dは、商品分類が「野菜」の商品を陳列する。陳列棚E~Gは、商品分類が「肉」の商品を陳列する。陳列棚H~Jは、商品分類が「魚」の商品を陳列する。陳列棚K、Lは、商品分類が「お菓子」の商品を陳列する。
【0014】
顧客Cは、
図2に示す売り場内でショッピングカートSCの登録端末4を用いて、購入する商品(以下、「購入商品」ともいう)の商品情報を店舗サーバ2に登録させる。例えば、登録端末4は、顧客Cの操作によりスキャナ(図示せず)によって購入商品に付されたコードシンボルから商品コードを読み取り、店舗サーバ2に送信する。店舗サーバ2は、受信した商品コードに対応する商品情報を自装置が記憶する商品マスタから読み出す。店舗サーバ2は、取引コードを発行し、読み出した商品情報を当該取引コードに対応付けて取引情報として登録する。これにより、店舗サーバ2は、取引コードごとに取引情報を管理する。
【0015】
なお、商品情報は、登録端末4に登録されてもよい。この場合、登録端末4は、商品コードに対応する商品情報を、自装置が記憶する商品マスタから読み出してもよいし、店舗サーバ2から取得してもよい。
【0016】
顧客Cは、全ての購入商品について商品情報の登録が完了すると、会計装置5に移動して取引コードを入力する。取引コードの入力は、例えば、会計装置5が備えるスキャナが登録端末4に表示されたコードシンボルを読み取ることでなされる。会計装置5は、入力された取引コードに対応する取引情報を店舗サーバ2から取得し、顧客Cが支払いを行うための会計処理を実行する。これにより、顧客Cは購入商品の代金の支払いを完了させることができる。
【0017】
複数の顧客Cが売り場内を移動中、各ショッピングカートSCに設置されたカメラ41が売り場内の陳列棚を撮像する。店舗サーバ2は、売り場内を移動する複数のショッピングカートSCのカメラ41が撮像した撮像データを取得することで、売り場全体の陳列棚A~Lの状況を認識することができる。店舗サーバ2は、取得した撮像データに基づいて認識した陳列棚A~Lの状況から品薄状態となっている商品があるか否かを判断する。言い換えると、店舗サーバ2は、取得した撮像データに基づいて品薄商品を検出する。なお、品薄状態と判断するための判断基準は店舗が任意に設定することができる。また、店舗サーバ2は、品薄商品が複数ある場合、当該品薄商品の売り場への補充の優先度、言い換えれば品薄商品の品出し優先度を設定する。
【0018】
品出し優先度(以下、単に「優先度」ともいう)の設定は、例えば、品薄商品が販売できなかったことによる機会損失の度合いに基づいてなされる。なお、優先度の設定方法は店舗が任意に設定することができる。例えば、店舗は、在庫が多い商品の優先度を高く設定することもできる。
【0019】
店舗サーバ2は、店員に対して品薄商品と優先度とを通知するための品出し情報を店員端末3に出力する。店員は、店員端末3が取得した品出し情報を閲覧することによって、どの品薄商品を優先して品出しすべきかを認識することができる。店員端末3は、売り場内に配置された店員が携帯する情報端末でもよいし、バックヤードに配設され店員が操作するPC(Personal Computer)などでもよい。
【0020】
次に、各装置について説明する。まず、店舗サーバ2について説明する。
図3は、店舗サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。店舗サーバ2は、制御部20と、記憶部21と、表示部22と、操作部23と、通信部24と、を備えている。制御部20、記憶部21、表示部22、操作部23、および通信部24は、バス25等を介して互いに接続されている。
【0021】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を備えたコンピュータで構成されている。CPU201、ROM202、およびRAM203は、バス25を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU201は店舗サーバ2の全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用され、ROM202や記憶部21に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部20は、CPU201がROM202や記憶部21に記憶されRAM203に展開された制御プログラムにしたがって動作することによって、店舗サーバ2の各種制御処理を実行する。
【0023】
記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部21は、制御プログラム211、商品マスタ212、撮像データ部213、分析モデル部214、取引情報管理テーブル215、および品出し情報管理テーブル216を記憶する。
【0024】
制御プログラム211は、例えば、登録端末4から取得した商品コードに基づいて取引情報を登録する機能、ショッピングカートSCに設置されたカメラ41から撮像データを取得する機能、取得した撮像データに基づいて品薄商品を選定する機能、選定した品薄商品の優先度を設定する機能、品薄商品および優先度を対応付けた品出し情報を出力する機能等を実現するためのプログラムである。
【0025】
商品マスタ212は、店舗で取り扱っている商品の商品情報を記憶したマスタファイルである。店舗で取り扱う商品は日々変化するため、商品マスタ212は、店舗によって適宜更新される。
図4は、商品マスタ212のデータ構成を示す図である。商品マスタ312は、商品コードに対応付けて、商品名、価格、平均売上個数、機会損出額、陳列棚、および商品分類を記憶する。
【0026】
商品コードは、商品を特定する情報であって、商品特定情報の一例である。商品名は、商品の名称を示す情報である。価格は、商品の単価を示す情報である。平均売上個数は、1日の平均売上個数を示す情報である。平均売上個数は、例えば前月における1日の平均売上個数を示す情報であり、毎月更新される。
【0027】
機会損失額は、対応する価格と平均売上個数を乗じることによって算出される額を示す情報である。機会損失額は、本来販売できる商品が販売できなかったことによる損失額を推定するものであって、商品のそれぞれに定められる機会損失度合いの一例である。なお、機会損失度合いは、例えば商品の価格のみ、1日の平均売上個数のみ、商品の利益率などとしてもよい。陳列棚は、商品が陳列される陳列棚を特定する情報であって、陳列部特定情報の一例である。商品分類は、商品ごとに分類された商品分類を示す情報であって、分類特定情報の一例である。
【0028】
撮像データ部213は、各ショッピングカートSCのカメラ41から所定間隔で取得した撮像データを順次記憶する。撮像データ部213に記憶される各撮像データは、撮像された時刻が対応付けられている。制御部20は、撮像データ部213に記憶された特定の時刻の撮像データを組み合わせることで、当該特定の時刻における売り場内の全陳列棚の状況、言い換えると全陳列棚の商品の陳列状況を認識することができる。撮像データ部213に記憶される撮像データは、売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報の一例である。
【0029】
分析モデル部214は、分析モデルを記憶する。分析モデルは、売り場内を撮像した撮像データから、陳列棚に陳列された商品の品薄状態を推定することが可能なデータ分析用のモデルである。例えば、分析モデルは、機械学習モデルであってもよいし、機械学習を用いないアルゴリズム等であってもよい。
【0030】
前者の場合、例えば、分析モデルは、様々な状況の陳列棚を撮像した撮像データと、商品の品薄状態を示す正解データとの組からなる教師データを用い、ディープラーニング等の機械学習によって生成された機械学習モデルであってもよい。後者の場合、例えば、分析モデルは、公知の画像処理技術を用いて、売り場内を撮像した撮像データから、陳列棚に陳列された商品の品薄状態を推定するものであってもよい。分析モデルは、売り場内を撮像した撮像データを入力とし、当該撮像データに基づいて推定した品薄商品を示す情報を出力する。
【0031】
取引情報管理テーブル215は、顧客Cの取引情報を取引ごとに管理するデータテーブルである。取引情報は、会計装置5が会計処理を実行する際に用いられる情報である。取引情報管理テーブル215は、登録端末4や会計装置5からの情報に基づいて適宜更新される。
図5は、取引情報管理テーブル215のデータ構成を示す図である。取引情報管理テーブル215は、取引コードに対応付けて、端末No、商品コード、商品名、価格、取引額、および支払い完了フラグを記憶する。
【0032】
取引コードは、取引を特定する情報であり、制御部20によって発行される。端末Noは、登録端末4を特定する情報である。商品コード、商品名、および価格は、商品マスタ212の説明で述べたとおりである。1取引において、複数の商品が購入される場合、1取引コードに対応して複数の商品コード、商品名、および価格が登録される。取引額は、1取引の合計金額を示す情報である。支払完了フラグは、顧客Cによって取引額の支払が完了したか否かを示す情報である。支払完了フラグは、顧客Cによる取引額の支払が完了していない場合「0」が登録され、完了すると「1」が登録される。
【0033】
品出し情報管理テーブル216は、店員端末3に通知する品出し情報を管理するデータテーブルである。品出し情報は、商品名や商品コードなどの品薄商品を特定する情報と、当該品薄商品の品出し優先度とを含む。品出し情報管理テーブル216は、制御部20によって適宜更新される。例えば、品出し情報管理テーブル216は、制御部20によって後述する品出し情報通知処理が実行されるたびに更新される。品出し情報管理テーブル216は、上記品出し情報通知処理によって品薄商品が選定されるたびに情報が上書きされてもよいし、情報が蓄積されてもよい。
図6は、品出し情報管理テーブル216のデータ構成を示す図である。品出し情報管理テーブル216は、更新時刻、商品名、機会損失額、および優先度を対応付けて記憶する。
【0034】
更新時刻は、制御部20によって品出し情報管理テーブル216が更新された時刻を示す情報である。商品名は、制御部20によって品薄状態と判断された商品の名称を示す情報である。言い換えれば、商品名は、制御部20によって品薄商品と判断された商品の名称を示す情報である。機会損失額は、商品マスタ212において各商品に対応付けられた機会損失額を示す情報である。優先度は、制御部20によって設定された優先度を示す情報である。なお、品出し情報管理テーブル216は、機会損失額を記憶していなくてもよい。
【0035】
店舗サーバ2は、品出し情報管理テーブル216に品出し情報が記憶されている場合、当該品出し情報を定期的に店員端末3に送信する。なお、店舗サーバ2は、品出し情報管理テーブル216に品出し情報が記憶されている場合、店員端末3からの要求に応じて当該品出し情報を当該店員端末3に送信してもよい。
【0036】
図3に戻って店舗サーバ2のハードウェア構成について説明する。
【0037】
表示部22は、例えば液晶パネルで構成されており、各種情報を表示する。表示部22は、例えば商品マスタ212、取引情報管理テーブル215、品出し情報管理テーブル216などに記憶された情報を必要に応じて表示する。
【0038】
操作部23は、制御部20に情報を入力するためのもので、キーボード、タッチパネル、マウスなどで構成される。
【0039】
通信部24は、店員端末3、登録端末4、会計装置5などの外部装置と通信するためのインターフェイスである。制御部20は、通信部24を介して外部装置と接続されることで、当該外部装置と情報(データ)の送受信が可能となる。
【0040】
続いて、店舗サーバ2の機能構成について説明する。
図7は、店舗サーバ2の制御部20の主たる機能構成を示すブロック図である。制御部20は、CPU201がROM202や記憶部21に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、入力手段2001、登録手段2002、取得手段2003、選定手段2004,設定手段2005、および出力手段2006として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアで構成してもよい。
【0041】
入力手段2001には、外部装置から各種情報が入力される。例えば、入力手段2001には、登録端末4から商品コードが入力される。また、入力手段2001には、会計装置5から取引情報要求が入力される。取引情報要求は、会計装置5が会計処理を行うために必要な取引情報を要求するものであって、取引情報を特定する取引コードを含む。
【0042】
なお、入力手段2001には、店員端末3から補充完了情報が入力されてもよい。補充完了情報は、店員が品薄商品について品出しをしたことを示す情報であって、品出しされた品薄商品の商品コードを含む。この場合、制御部20は、入力手段2001に補充完了情報が入力されると、品出し情報管理テーブル216を更新する。具体的には、制御部20は、補充完了情報に含まれる商品コードの商品を品出し情報管理テーブル216から削除する。
【0043】
登録手段2002は、商品登録を実行する。具体的には、登録手段2002は、入力手段2001に入力された商品コードに対応する商品情報を商品マスタ212から読み出して、取引情報管理テーブル215に必要な情報を登録する。登録手段2002は、1取引における最初の商品コードが入力手段2001に入力されると、取引コードを発行し当該取引コードに対応付けて商品情報を登録する。このとき、登録手段2002は、対応する支払完了フラグに「0」を登録する。
【0044】
取得手段2003は、売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報を取得する。具体的には、取得手段2003は、在庫情報の一例である撮像データを所定間隔で登録端末4から取得する。取得手段2003が取得する撮像データは、売り場内を移動するショッピングカートSCに設置されたカメラ41が随時撮像した撮像データであり、撮像した時刻が対応付けられている。取得手段2003は、取得した撮像データを撮像データ部213に記憶する。
【0045】
なお、取得手段2003は、在庫情報として他の情報を取得してもよい。例えば、取得手段2003は、陳列棚に陳列されている商品の重量を検出する重量センサから重量データを取得してもよい。また、取得手段2003は、会計装置5から取引情報を取得してもよい。
【0046】
選定手段2004は、取得手段2003が取得した在庫情報に基づいて、売り場への補充が必要な品薄商品を選定する。具体的には、選定手段2004は、分析モデルを用いて取得手段2003が取得した撮像データから品薄商品を選定する。言い換えれば、選定手段2004は、陳列棚に陳列されている複数種の商品のうち、陳列棚にない状態あるいは少ない状態となって補充が必要となった品薄商品を選定する。選定手段2004は、品薄商品を選定すると、品出し情報管理テーブル216に情報を書き込む。
【0047】
設定手段2005は、選定手段2004によって品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して売り場への補充の優先度を設定する。具体的には、設定手段2005は、選定手段2004が選定した品薄商品の機会損失額を商品マスタ212から読み出して、当該機会損失額の大きい順に優先度を設定する。本実施形態においては、設定手段2005は、商品ごとに優先度を設定する。設定手段2005は、設定した優先度を品出し情報管理テーブル216に書き込む。
【0048】
出力手段2006は、外部装置に各種情報を出力する。例えば、出力手段2006は、選定手段2004が選定した品薄商品を特定する商品特定情報と、設定手段2005が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する。具体的には、出力手段2006は、品出し情報管理テーブル216が更新された際に当該品出し情報管理テーブル216に品薄商品が登録されている場合、当該品薄商品の商品コードと優先度とを対応付けた品出し情報を店員端末3に出力する。
【0049】
また、出力手段2006は、入力手段2001に会計装置5から取引情報要求が入力されると、当該取引情報要求に含まれる取引コードに対応する取引情報を会計装置5に出力する。
【0050】
次に、店員端末3について説明する。
図8は、店員端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。店員端末3は、制御部30と、記憶部31と、表示部32と、操作部33と、通信部34と、を備えている。制御部30、記憶部31、表示部32、操作部33、および通信部34は、バス35等を介して互いに接続されている。
【0051】
制御部30は、CPU301、ROM302、RAM303を備えたコンピュータで構成されている。CPU301、ROM302、およびRAM303は、バス35を介して互いに接続されている。
【0052】
CPU301は店員端末3の全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用され、ROM302や記憶部31に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部30は、CPU301がROM302や記憶部31に記憶されRAM303に展開された制御プログラムにしたがって動作することによって、店員端末3の各種制御処理を実行する。
【0053】
記憶部31は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部31は、制御プログラム311、商品マスタ312、マップデータ313、および品出し情報314を記憶する。
【0054】
制御プログラム311は、例えば、店舗サーバ2と各種情報を送受信する機能、操作部33から各種情報を受け付ける機能、品出し情報を表示部32に表示させる機能等を実現するためのプログラムである。
【0055】
商品マスタ312は、店舗サーバ2から受信したものであり、店舗サーバ2が記憶する商品マスタ212と同様である。マップデータ313は、売り場のマップを示す情報である。品出し情報314は、店舗サーバ2から受信した品出し情報である。品出し情報314は、例えば店舗サーバ2から受信するたびに上書きされ、最新の品出し情報が記憶される。
【0056】
なお、記憶部31は、商品マスタ312を記憶しない構成としてもよい。この場合、店員端末3は、店舗サーバ2に記憶された商品マスタ212を参照することで、商品マスタ312を保持する構成と同様に商品マスタ212を取り扱うことができる。
【0057】
表示部32は、例えば液晶パネルで構成されており、各種情報を表示する。例えば、表示部22は、店舗サーバ2から受信した品出し情報を表示する。表示部22による品薄情報の表示についての詳細は後述する。
【0058】
操作部33は、制御部30に情報を入力するためのもので、キーボード、タッチパネル、マウスなどで構成される。例えば、操作部33は、品出し情報の表示形式の切換えを指示する情報を制御部30に入力する。
【0059】
通信部34は、店舗サーバ2などの外部装置と通信するためのインターフェイスである。制御部30は、通信部34を介して外部装置と接続されることで、当該外部装置と情報(データ)の送受信が可能となる。
【0060】
続いて、店員端末3の機能構成について説明する。
図9は、店員端末3の制御部30の主たる機能構成を示すブロック図である。制御部30は、CPU301がROM302や記憶部31に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、送受信手段3001、受付手段3002、および表示制御手段3003として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアで構成してもよい。
【0061】
送受信手段3001は、店舗サーバ2との間で各種情報を送受信する。例えば、送受信手段3001は、店舗サーバ2が品薄商品を選定した場合、当該店舗サーバ2から品出し情報を受信する。
【0062】
送受信手段3001は、店舗サーバ2に品出し情報要求を送信してもよい。品出し情報要求は、品薄商品の有無を問い合わせるもので、必要に応じて店員が操作部33を操作することによって送信される。言い換えると、品出し情報要求は、店舗サーバ2に対して品薄商品の検出を要求するものである。店舗サーバ2は、定期的に実行する品出し情報通知処理における品薄商品の検出に加えて、店員端末3からの品出し情報要求に応じて品薄商品の検出を行う。そして、店舗サーバ2は、必要に応じて品出し情報を店員端末3に送信する。
【0063】
また、送受信手段3001は、補充完了情報を店舗サーバ2に送信してもよい。補充完了情報は、店員が品薄商品の補充を完了したことを示す情報であって、当該店員の操作に応じて送信される。店舗サーバ2は、補充完了情報を受信することによって、定期的に実行される品出し情報通知処理と無関係に、品出し情報管理テーブル216を更新することができる。
【0064】
受付手段3002は、操作部33から各種入力情報を受け付ける。例えば、受付手段3002は、品出し情報の表示方法を切り換えるための表示切換入力を受け付ける。受付手段3002は、上述した補充完了情報を受け付けてもよい。
【0065】
表示制御手段3003は、各種情報を表示部32に表示させる。例えば、表示制御手段3003は、送受信手段3001が店舗サーバ2から受信した品出し情報を表示部32に表示させる。具体的には、表示制御手段3003は、マップデータ313を用いて品薄商品の陳列場所が理解しやすいように、店員に対して品薄商品の商品名、陳列場所、品出しの優先度などを表示部32に表示させる。
【0066】
次に、登録端末4について説明する。登録端末4は、例えばタブレット端末などで構成される。登録端末4は、売り場内を撮像するカメラ41、および商品に付されたコードシンボルから商品コードを読み取るスキャナ(図示せず)が接続されている。
【0067】
登録端末4は、スキャナで読取った商品コードを店舗サーバ2に送信して、当該店舗サーバ2に取引情報を登録させる。また、登録端末4は、カメラ41が撮像した撮像データを店舗サーバ2に随時送信する。
【0068】
次に、会計装置5について説明する。会計装置5は、例えば顧客Cが自身で会計操作を行う、いわゆるセルフ式の会計装置である。会計装置5は、入力された取引コードに対応する取引情報を店舗サーバ2から取得する。会計装置5は、店舗サーバ2から取得した取引情報に基づいて、現金決済、あるいはクレジット決済などのキャッシュレス決済による支払に係る会計処理を実行する。ここで、会計処理とは、顧客Cが購入する商品の代金の支払を行うための処理である。
【0069】
なお、会計装置5は、店員が操作して取引情報の登録および会計処理を実行するPOS端末であってもよい。この場合、例えば、ショッピングカートSCにはカメラ41、および当該カメラ41の撮像データを店舗サーバ2に送信する送信装置が設けられていればよい。
【0070】
次に、店舗サーバ2が実行する品出し情報通知処理について説明する。
図10は、店舗サーバ2の制御部20による品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。品出し情報通知処理は、定期的(例えば、5分間隔)に実行される。
【0071】
制御部20は、品出し情報通知処理の実行タイミングになったか否か判断し(ステップS1)、実行タイミングになっていなければ(ステップS1のN)、ステップS1に戻って待機する。
【0072】
実行タイミングになると(ステップS1のY)、選定手段2004は、撮像データ部213から撮像データを取得する(ステップS2)。なお、この時点で取得手段2003が登録端末4から撮像データを取得してもよく、この場合、選定手段2004は、取得手段2003が取得した撮像データを直ちに取得する。続いて、選定手段2004は、取得した撮像データに基づいて売り場に品薄商品があるか否か判断する(ステップS3)。選定手段2004は、分析モデル部214に記憶された分析モデルを用いて品薄商品の有無を判断する。
【0073】
品薄商品が存在しない場合(ステップS3のN)、制御部20は、品出し情報通知処理を終了する。品薄商品が存在する場合(ステップS3のY)、選定手段2004は、品薄商品が複数か否か判断する(ステップS4)。
【0074】
品薄商品が複数の場合(ステップS4のY)、設定手段2005は、商品マスタ212から品薄商品の機会損失額を読み出して比較する(ステップS5)。続いて、設定手段2005は、品薄商品について優先度を設定する。具体的には、設定手段2005は、機会損失額の大きい順に優先度を設定する。
【0075】
制御部20は、品出し情報管理テーブル216を更新する(ステップS7)。具体的には、制御部20は、更新時刻、選定手段2004が選定した品薄商品の商品名、および当該品薄商品の優先度を含む情報を品出し情報管理テーブル216に登録する。出力手段2006は、品出し情報管理テーブル216に登録された情報のうち、商品名および優先度を含む品出し情報を店員端末3に送信する。そして、制御部20は、品出し情報通知処理を終了する。
【0076】
ステップS4の処理において、品薄商品が複数存在しない場合(ステップS4のN)、制御部20は、ステップS5およびステップS6の処理をスキップしてステップS7の処理に移行する。なお、この場合、品出し情報管理テーブル216に登録される品薄商品は単数であるので、当該品薄商品の優先度には「1」が登録される。
【0077】
次に、店員端末3による品出し情報の表示について説明する。店員端末3は、記憶部31に記憶された商品マスタ312、マップデータ313、および品出し情報314に基づいて、表示部32に品出し情報通知画面を表示する。
図11は、店員端末3の表示部32に表示される品出し情報通知画面を示す図である。ここでは、店舗サーバ2の品出し情報管理テーブル216に
図6に示す品出し情報が登録されている場合の品出し情報通知画面を例として説明する。
【0078】
表示部32は、品薄商品について、商品名および優先度を当該品薄商品の陳列位置に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、陳列棚の位置が示された売り場のマップを表示するとともに、当該陳列棚に対応付けて品薄商品の商品名および優先度を表示する。例えば、
図6に示す品出し情報管理テーブル216において優先度が「1」である「牛肉」について、表示部32は、商品名「牛肉」および優先度「(1)」を、当該牛肉を陳列する陳列棚Eに対応付けて表示する。
【0079】
より詳細には、店員端末3は、店舗サーバ2から受信した品出し情報に含まれる「牛肉」に対応する陳列棚Eを商品マスタ312から読み出す。そして、店員端末3は、マップデータ313において、陳列棚Eの位置に品薄商品の商品名「牛肉」と優先度「(1)」とを対応付けて表示部32に表示する。
【0080】
表示部32は、同様にして他の品薄商品についても、商品名および優先度を当該品薄商品の陳列位置に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、優先度が「2」である「きゃべつ」、および優先度が「3」である「じゃがいも」について、商品名「きゃべつ」、優先度「(2)」、および商品名「じゃがいも」、優先度「(3)」を、陳列棚Bに対応付けて表示する。
【0081】
また、表示部32は、優先度が「4」である「トマト」について、商品名「トマト」および優先度「(4)」を、陳列棚Aに対応付けて表示する。さらに、表示部32は、優先度が「5」である「お菓子X」、および優先度が「6」である「お菓子Y」について、商品名「お菓子X」、優先度「(5)」、および商品名「お菓子Y」、優先度「(6)」を、陳列棚Kに対応付けて表示する。
【0082】
店員は、表示部32に表示された品出し情報通知画面を見ることにより、品薄商品、当該品薄商品の品出し優先度、および当該品薄商品の陳列位置を認識することができる。店員は、優先度を認識することによって、店舗にとって有益な順序で品出しを行うことができる。また、店員は、品薄商品の陳列位置を認識することによって、効率的に品出しを行うことができる。
【0083】
なお、表示部32は、「(1)」等の数字での表示に代えて、あるいは加えて、表示される色によって優先度を示すようにしてもよい。例えば、表示部32は、最も優先度が高い品薄商品の商品名の文字や背景を赤色にするなどしてもよい。また、品薄情報通知画面は、品薄商品を特定する情報および優先度を表示するものであればよく、各種表示形態を採用することができる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、陳列棚単位で品薄商品の優先度を設定する点において第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成、機能については、説明を省略する場合がある。以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0085】
店舗サーバ2の記憶部21は、
図12に示す品出し情報管理テーブル217を備える。品出し情報管理テーブル217は、陳列棚ごとに品薄商品を管理するデータテーブルである。品出し情報管理テーブル217は、更新時刻、陳列棚、商品名、機会損失額、および優先度を対応付けて記憶する。
【0086】
更新時刻および商品名は、第1の実施形態と同様である。陳列棚は、品薄商品を陳列する陳列棚を特定する情報である。一の陳列棚に複数の商品が陳列されている場合、一の陳列棚に対応して複数の商品名が登録される。機会損失額は、対応する陳列棚の品薄商品の機会損失額の合計である。
図12に示す例では、陳列棚Bの品薄商品は「きゃべつ」および「じゃがいも」である。この場合、機会損失額は、商品マスタ212における「きゃべつ」の機会損失額20千円と「じゃがいも」の機会損失額15千円とを加算した35千円となる。優先度は、陳列棚ごとの優先度であり、対応する機会損失額が大きい順に設定される。
【0087】
次に、店舗サーバ2が実行する品出し情報通知処理について説明する。
図13は、第2の実施形態における店舗サーバ2の制御部20による品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【0088】
ステップS1~ステップS4の処理は、第1の実施形態と同様である。ステップS4の処理において、品薄商品が複数存在すると(ステップS4のY)、設定手段2005は、陳列棚ごとの機会損失額を算出する(ステップS11)。具体的には、設定手段2005は、選定手段2004が選定した品薄商品が一の陳列棚に複数存在する場合、商品マスタ212を参照して当該陳列棚に陳列された複数の品薄商品の機会損失額を加算する。
【0089】
設定手段2005は、ステップS11で算出した陳列棚ごとの機会損失額を比較し(ステップS5)、陳列棚ごとの品出し優先度を設定する(ステップS12)。設定手段2005は、機会損失額の大きい順に陳列棚単位で優先度を設定する。
【0090】
制御部20は、品出し情報管理テーブル217を更新する(ステップS7)。出力手段2006は、陳列棚別品出し情報を店員端末3に送信する(ステップS13)。陳列棚別品出し情報は、品薄商品が存在する陳列棚を特定する陳列部特定情報、当該陳列棚単位の優先度、当該品薄商品の商品名を含む。そして、制御部20は、品出し情報通知処理を出力する。
【0091】
ステップS4の処理において、品薄商品が複数存在しない場合(ステップS4のN)、制御部20は、ステップS11、ステップS5、およびステップ12の処理をスキップしてステップS7の処理に移行する。
【0092】
次に、店員端末3による品出し情報の表示について説明する。
図14は、第2の実施形態における店員端末3の表示部32に表示される品出し情報通知画面を示す図である。ここでは、店舗サーバ2の品出し情報管理テーブル217に
図12に示す品出し情報が登録されている場合の品出し情報通知画面を例として説明する。
【0093】
表示部32は、品薄商品について、陳列棚ごとの優先度、陳列棚を特定する情報、および商品名を当該陳列棚に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、陳列棚の位置が示された売り場のマップを表示するとともに、当該陳列棚に対応付けて上記優先度、陳列棚名、および品薄商品の商品名を表示する。例えば、表示部32は、
図12に示す品出し情報管理テーブル217において優先度が「1」である陳列棚Eの品薄商品である「牛肉」に関して、陳列棚名「棚E」、優先度「(1)」、および商品名「牛肉」を、陳列棚Eに対応付けて表示する。
【0094】
店員端末3は、同様にして他の品薄商品についても、陳列棚ごとの優先度、陳列棚を特定する情報、および商品名を当該陳列棚に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、優先度が「2」である陳列棚Bの品薄商品である「じゃがいも」、「きゃべつ」に関して、陳列棚名「棚B」、優先度「(2)」、および商品名「じゃがいも」、「きゃべつ」を、陳列棚Bに対応付けて表示する。
【0095】
また、表示部32は、優先度が「3」である陳列棚Kの品薄商品である「お菓子X」、「お菓子Y」に関して、陳列棚名「棚K」、優先度「(3)」、および商品名「お菓子X」、「お菓子Y」を、陳列棚Kに対応付けて表示する。さらに、表示部32は、優先度が「4」である陳列棚Aの品薄商品である「トマト」に関して、陳列棚名「棚A」、優先度「(4)」、および商品名「トマト」を、陳列棚Aに対応付けて表示する。
【0096】
店員は、表示部32に表示された品出し情報通知画面を見ることにより、品薄商品を品出しする陳列棚の優先度、言い換えれば陳列棚ごとの品薄商品の優先度を認識することができる。店員は、上記優先度を認識することによって、第1の実施形態と同様に、店舗にとって有益な順序品出しを行うことができる。また、店員は、陳列棚ごとにまとめて品薄商品の品出しを行うことができるので、陳列棚に品出しする際の作業を効率的に行うことができる。
【0097】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、商品分類単位で品薄商品の優先度を設定する点において第1の実施形態および第2の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の構成、機能については、説明を省略する場合がある。
【0098】
店舗サーバ2の記憶部21は、
図15に示す品出し情報管理テーブル218を備える。品出し情報管理テーブル218は、商品分類ごとに品薄商品を管理するデータテーブルである。商品分類は、店舗で販売される商品を分類分けしたものであって、店舗によって任意に設定することができる。品出し情報管理テーブル218は、更新時刻、商品分類、陳列棚、商品名、機会損失額、および優先度を対応付けて記憶する。
【0099】
更新時刻、陳列棚、および商品名は、第2の実施形態と同様である。商品分類は、店舗によって設定された商品分類を特定する情報である。一の商品分類に属する商品が複数の陳列棚に陳列されている場合、一の商品分類に対応して複数の陳列棚が登録される。機会損失額は、対応する商品分類の品薄商品の機会損失額の合計である。
図15に示す例では、商品分類が「野菜」の品薄商品は「きゃべつ」、「じゃがいも」、および「トマト」である。この場合、機会損失額は、商品マスタ212における「きゃべつ」の機会損失額20千円、「じゃがいも」の機会損失額15千円、および「トマト」の機会損失額10千円を加算した45千円となる。優先度は、商品分類ごとの優先度であり、対応する機会損失額が大きい順に設定される。
【0100】
次に、店舗サーバ2が実行する品出し情報通知処理について説明する。
図16は、第3の実施形態における店舗サーバ2の制御部20による品出し情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
ステップS1~ステップS4の処理は、第2の実施形態と同様である。ステップS4の処理において、品薄商品が複数存在すると(ステップS4のY)、設定手段2005は、商品分類ごとの機会損失額を算出する(ステップS21)。具体的には、設定手段2005は、選定手段2004が選定した品薄商品が一の商品分類に複数存在する場合、商品マスタ212を参照して当該商品分類に属する品薄商品の機会損失額を加算する。
【0102】
設定手段2005は、ステップS21で算出した商品分類ごとの機会損失額を比較し(ステップS5)、商品分類ごとの品出し優先度を設定する(ステップS22)。設定手段2005は、機会損失額の大きい順に商品分類単位で優先度を設定する。
【0103】
制御部20は、品出し情報管理テーブル218を更新する(ステップS7)。出力手段2006は、商品分類別品出し情報を店員端末3に送信する(ステップS23)。商品分類別品出し情報は、品薄商品が属する商品分類を特定する分類特定情報、当該商品分類単位の優先度、当該品薄商品の商品名を含む。そして、制御部20は、品出し情報通知処理を出力する。
【0104】
ステップS4の処理において、品薄商品が複数存在しない場合(ステップS4のN)、制御部20は、ステップS21、ステップS5、およびステップS22の処理をスキップしてステップS7の処理に移行する。
【0105】
次に、店員端末3による品出し情報の表示について説明する。
図17は、第3の実施形態における店員端末3の表示部32に表示される品出し情報通知画面を示す図である。ここでは、店舗サーバ2の品出し情報管理テーブル218に
図15に示す品出し情報が登録されている場合の品出し情報通知画面を例として説明する。
【0106】
表示部32は、品薄商品について、当該品薄商品が属する商品分類ごとの優先度および商品分類名を陳列棚に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、陳列棚が陳列する商品の商品分類で当該陳列棚をグループ分けした売り場のマップを表示する。また、表示部32は、商品分類でグループ分けした陳列棚に対応付けて、品薄商品が属する商品分類およびその優先度を表示する。例えば、表示部32は、
図15に示す品出し情報管理テーブル218において優先度が「1」である商品分類が「野菜」に属する商品を陳列している陳列棚に対応付けて、優先度「(1)」および商品分類名「野菜」を表示する。
【0107】
店員端末3は、同様にして他の品薄商品が属する商品分類についても、商品分類ごとの優先度、および商品分類名を、当該商品分類にグループ分けされた陳列棚に対応付けて表示する。具体的には、表示部32は、優先度が「2」である商品分類が「肉」に属する商品を陳列している陳列棚に対応付けて、優先度「(2)」および商品分類名「肉」を表示する。また、表示部32は、優先度が「3」である商品分類が「お菓子」に属する商品を陳列している陳列棚に対応付けて、優先度「(3)」および商品分類名「お菓子」を表示する。
【0108】
店員は、表示部32に表示された品出し情報通知画面を見ることにより、商品分類が「野菜」である品薄商品を優先して品出しすべきことを認識できる。
図18に示すように、品出し情報通知画面において「野菜」の表示がされた陳列棚部分が店員によってタップされると、表示部32は品出し情報の詳細をポップアップ表示させる。例えば、表示部32は、品薄商品の商品名および陳列棚名をポップアップ表示させる。これにより、店員は品出し情報の詳細を確認することができる。
【0109】
店員は、表示部32に表示された品出し情報通知画面を見ることにより、品薄商品が属する商品分類の優先度、言い換えれば商品分類ごとの品薄商品の優先度を認識することができる。店員は、上記優先度を認識することによって、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、店舗にとって有益な順序で品出しを行うことができる。
【0110】
また、通常店舗では商品分類ごとに商品を倉庫で保管しているので、商品分類ごとに品薄商品の優先度が設定されることによって、店員が品薄商品を倉庫から取り出す際の作業を効率的に行うことができる。例えば、店員は、1回の品出し作業で品出しする品薄商品を一の商品分類の商品にまとめることができ、品薄商品を倉庫から取り出す際の作業性が向上する。
【0111】
店員は、商品分類が「肉」や「お菓子」の品薄商品についても、同様にして品出し情報の詳細をポップアップ表示させることができる。
【0112】
以上説明したとおり、上記実施形態の店舗サーバ2は、売り場に陳列された商品の在庫状況を示す在庫情報(撮像データ)を取得する取得手段2003と、取得手段2003が取得した在庫情報に基づいて、前記売り場への補充が必要な品薄商品を選定する選定手段2004と、選定手段2004によって前記品薄商品が複数選定された場合、選定された前記品薄商品に対して前記売り場への補充の優先度を設定する設定手段2005と、選定手段2004が選定した前記品薄商品を特定する商品特定情報と、設定手段2005が設定した優先度と、を対応付けた品出し情報を出力する出力手段2006と、を備える。
【0113】
これにより、店舗サーバ2は、店員が品薄商品および当該品薄商品の品出し優先度を認識することを可能とする。このため、店員は、店舗にとって有益な順序で品出しを行うことができる。結果として、店舗サーバ2は、店舗の利益への貢献を高めることが可能となる。
【0114】
また、上記実施形態の店舗サーバ2における設定手段2005は、商品のそれぞれに定められる機会損失度合い(機会損失額)に基づいて優先度を設定する。
【0115】
これにより、店舗サーバ2は、店舗における品薄商品の発生に起因する販売機会の損失による利益低減を抑えることが可能となる。
【0116】
さらに、上記実施形態の店舗サーバ2における設定手段2005は、品薄商品ごとに異なる優先度を設定する。
【0117】
これにより、店舗サーバ2は、品薄商品の優先度を細かく設定することができる。このため、店舗サーバ2は、品薄商品の発生に起因する販売機会の損失による利益低減をより有効に抑えることが可能となる。
【0118】
加えて、上記実施形態の店舗サーバ2において、設定手段2005は、各商品にそれぞれ対応付けられた商品陳列部ごとに異なる優先度を設定し、出力手段2006は、前記優先度に対応付けられ前記商品陳列部を特定する陳列部特定情報を含む品出し情報を出力する。
【0119】
これにより、店舗サーバ2は、店員に対して陳列棚ごとの優先度を認識させることができる。このため、店員は、陳列棚ごとにまとめて品薄商品の品出しを行うことができるので、陳列棚に品出しする際の作業を効率的に行うことができる。
【0120】
また、上記実施形態の店舗サーバ2において、設定手段2005は、各商品を分類分けした商品分類ごとに異なる優先度を設定し、出力手段2006は、前記優先度に対応付けられ前記商品分類を特定する分類特定情報を含む品出し情報を出力する。
【0121】
これにより、店舗サーバ2は、店員に対して商品分類ごとの優先度を認識させることができる。このため、店員は、1回の品出しにおいて品薄商品を倉庫から取り出す際の作業を効率的に行うことができる。
【0122】
なお、上記実施形態において、店舗サーバ2、店員端末3、登録端末4、および会計装置5の各装置で実行される制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上記実施形態の各装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0123】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、店員端末3の表示部32による品出し情報の表示方法は、上記各実施形態の表示方法の組み合わせによって実現されてもよい。また、店舗サーバ2が出力する品出し情報には、品薄商品に対応付けて売り場に補充すべき個数等の情報が含まれていてもよい。この場合、店舗サーバ2は、予め商品ごとに設定された適切な陳列個数を記憶しておき、検出した品薄商品の陳列個数と当該記憶した適切な陳列個数とから補充すべき個数を算出する。これにより、店舗は、品薄となった商品を適切な個数に補充して陳列することができる。
【0124】
また、上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 品出し情報通知システム
2 店舗サーバ(情報処理装置)
3 店員端末(端末装置)
2003 取得手段
2004 選定手段
2005 設定手段
2006 出力手段
3001 送受信手段(受信手段)
3003 表示制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】