(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101794
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】アルコール検出装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240723BHJP
G06V 20/59 20220101ALI20240723BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20240723BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240723BHJP
A61B 5/091 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06V20/59
G06V10/70
G06T7/00 660Z
A61B5/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005930
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦也
【テーマコード(参考)】
4C038
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
4C038SU20
5L049CC42
5L050CC42
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA12
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA11
5L096JA16
(57)【要約】
【課題】乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出すことができるアルコール検出装置を得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係るアルコール検出装置は、運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なイメージセンサと、運転席に設けられ、タッチを検出可能なタッチセンサと、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なアルコールセンサと、処理部とを備える。上記処理部は、撮像画像に基づいて、乗員がタッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、撮像画像に基づいて、乗員がアルコールセンサを把持しているかどうかを確認する第2の処理と、第1の処理において乗員がタッチセンサにタッチしていること、および第2の処理において乗員がアルコールセンサを把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、アルコールセンサにより有効な検出結果が得られると判定する判定処理とを行うことが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なイメージセンサと、
前記運転席に設けられ、タッチを検出可能なタッチセンサと、
前記乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なアルコールセンサと、
前記イメージセンサ、前記タッチセンサ、および前記アルコールセンサの検出結果に基づいて処理を行うことが可能な処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員が前記タッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、
前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員が前記アルコールセンサを把持しているかどうかを確認する第2の処理と、
前記第1の処理において前記乗員が前記タッチセンサにタッチしていること、および前記第2の処理において前記乗員が前記アルコールセンサを把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、前記アルコールセンサにより有効な検出結果が得られると判定する判定処理と
を行うことが可能な
アルコール検出装置。
【請求項2】
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員の顔と前記アルコールセンサとの間の距離を算出する第3の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第3の処理において前記距離が所定の距離以下であることを含む
請求項1に記載のアルコール検出装置。
【請求項3】
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記運転席に前記乗員以外の乗員がいるかどうかを確認する第4の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第4の処理において前記運転席に前記乗員以外の乗員がいないことを含む
請求項1に記載のアルコール検出装置。
【請求項4】
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記車両のドアおよび窓が閉まっているかどうかを確認する第5の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第5の処理において前記車両のドアおよび窓が閉まっていることを含む
請求項1に記載のアルコール検出装置。
【請求項5】
前記第1の処理は、前記運転席の前記乗員の第1の手が前記タッチセンサにタッチしているかどうかを確認することを含み、
前記第2の処理は、前記運転席の前記乗員の第2の手が前記アルコールセンサを把持しているかどうかを確認することを含む
請求項1に記載のアルコール検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出するアルコール検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、しばしば、乗員が飲酒しているかどうかを判定する装置が設けられる。例えば、特許文献1には、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、車両では、乗員が飲酒しているかどうかを検出することが望まれており、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出できることが期待される。
【0005】
乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができるアルコール検出装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係るアルコール検出装置は、イメージセンサと、タッチセンサと、アルコールセンサと、処理部とを備えている。イメージセンサは、車両の運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なものである。タッチセンサは、運転席に設けられ、タッチを検出可能なものである。アルコールセンサは、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なものである。処理部は、イメージセンサ、タッチセンサ、およびアルコールセンサの検出結果に基づいて処理を行うことが可能なものである。上記処理部は、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がタッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がアルコールセンサを把持しているかどうかを確認する第2の処理と、第1の処理において乗員がタッチセンサにタッチしていること、および第2の処理において乗員がアルコールセンサを把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、アルコールセンサにより有効な検出結果が得られると判定する判定処理とを行うことが可能なものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係るアルコール検出装置によれば、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態に係る車両の一構成例を表す説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したアルコール検出装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、
図2に示したアルコール検出装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、
図2に示したアルコール検出装置の一動作例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係るアルコール検出装置が設けられた車両1の一構成例を表すものである。車両1は、アルコール検出装置10を有している。
図2は、アルコール検出装置10の一構成例を表すものである。
【0011】
アルコール検出装置10は、イメージセンサ11と、タッチセンサ12と、アルコールセンサ13と、ドアセンサ14と、窓センサ15と、処理部20とを備えている。
【0012】
イメージセンサ11は、車両1の車内を撮像することにより撮像画像を生成するように構成される。イメージセンサ11は、例えば、運転席や助手席に着座している乗員を撮像できるようになっている。
【0013】
タッチセンサ12は、車両1のステアリングホイールに設けられ、運転席に着座している乗員であるドライバのタッチを検出するように構成される。この例では、ドライバがステアリングホイールを把持することにより、例えばドライバの指先が、タッチセンサ12の検出面に触れるようになっている。
【0014】
アルコールセンサ13は、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分を検出するように構成される。アルコールセンサ13では、例えば、ドライバが、アルコールセンサ13の吹き込み口に息を吹きかけることにより、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分を検出するようになっている。アルコールセンサ13の筐体の表面には、マーカが設けられている。マーカは、例えば、反射材を含んでいる。なお、これに限定されるものではなく、マーカは、模様のパターンであってもよい。アルコール検出装置10は、後述するように、イメージセンサ11が生成した撮像画像に含まれるマーカの画像に基づいて、アルコールセンサ13を認識することができるようになっている。
【0015】
ドアセンサ14は、車両1のドアの開閉状態を検出するように構成される。窓センサ15は、車両1の窓の開閉状態を検出するように構成される。
【0016】
処理部20は、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分の量に基づいて、ドライバの運転を許可しあるいは禁止する処理を行うように構成される。処理部20は、例えば、1または複数のプロセッサや、1または複数のメモリなどを含んで構成され、プログラムを実行することにより処理を行うようになっている。処理部20は、画像認識処理部21と、骨格判定処理部22と、距離算出処理部23と、判定処理部24とを有している。
【0017】
画像認識処理部21は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、画像認識処理を行うように構成される。具体的には、画像認識処理部21は、画像認識処理を行うことにより、例えば、運転席に着座しているドライバを検出し、アルコールセンサ13のマーカに基づいて、アルコールセンサ13を検出するようになっている。
【0018】
骨格判定処理部22は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、ドライバの骨格判定処理を行うように構成される。具体的には、骨格判定処理部22は、骨格判定処理を行うことにより、例えば、ドライバが一方の手でステアリングホイールを把持していることを検出し、ドライバが他方の手でアルコールセンサ13を把持していることを検出するようになっている。
【0019】
距離算出処理部23は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、距離算出処理を行うように構成される。具体的には、距離算出処理部23は、例えばドライバがアルコールセンサ13の吹き込み口に息を吹きかけている場合において、撮像画像に基づいて、ドライバの顔と、アルコールセンサ13の吹き込み口との間の距離を算出するようになっている。
【0020】
判定処理部24は、画像認識処理部21、骨格判定処理部22、および距離算出処理部23の処理結果に基づいて、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られるかどうかを判定するように構成される。そして、判定処理部24は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定し、かつ、アルコールセンサ13が検出したアルコール成分の量が所定量以下である場合には、ドライバの運転を許可する処理を行う。この場合には、判定処理部24は、例えば車両1のエンジンの起動を許可する。また、判定処理部24は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定し、かつ、アルコールセンサ13により検出されたアルコール成分の量が所定量以下ではない場合や、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られないと判定した場合には、ドライバの運転を禁止する処理を行う。この場合には、判定処理部24は、例えば車両1のエンジンの起動を禁止するようになっている。
【0021】
ここで、イメージセンサ11は、本開示の一実施の形態における「イメージセンサ」の一具体例に対応する。タッチセンサ12は、本開示の一実施の形態における「タッチセンサ」の一具体例に対応する。アルコールセンサ13は、本開示の一実施の形態における「アルコールセンサ」の一具体例に対応する。処理部20は、本開示の一実施の形態における「処理部」の一具体例に対応する。
【0022】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態のアルコール検出装置10の動作および作用について説明する。
【0023】
(全体動作概要)
まず、
図2を参照して、アルコール検出装置10の動作を説明する。イメージセンサ11は、車両1の車内を撮像することにより撮像画像を生成する。タッチセンサ12は、運転席に着座している乗員であるドライバのタッチを検出する。アルコールセンサ13は、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分を検出する。ドアセンサ14は、車両1のドアの開閉状態を検出する。窓センサ15は、車両1の窓の開閉状態を検出する。処理部20は、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分の量に基づいて、ドライバの運転を許可しあるいは禁止する処理を行う。
【0024】
(詳細動作)
図3は、アルコール検出装置10の一動作例を表すものである。
【0025】
まず、アルコール検出装置10は、ドライバが運転席にいる状態で、ドアおよび窓が閉まっているかどうかを確認する(ステップS101)。具体的には、画像認識処理部21は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、画像認識処理を行うことにより、運転席にドライバがいるかどうかを検出する。また、処理部20は、ドアセンサ14および窓センサ15の検出結果に基づいて、車両1の全てのドア、および車両1の全ての窓が閉まっているかどうかを確認する。なお、これに限定されるものではなく、例えば、処理部20は、ドアセンサ14および窓センサ15の検出結果に基づいて、車両1における運転席のドア、および運転席の窓が閉まっているかどうかを検出してもよい。ドアおよび窓が閉まっていない場合(ステップS102において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0026】
ステップS102において、ドアおよび窓が閉まっている場合(ステップS102において“Y”)には、アルコール検出装置10は、運転席付近にドライバ以外の乗員がいないかどうかを確認する(ステップS103)。具体的には、画像認識処理部21は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、画像認識処理を行うことにより、例えば、ドライバ以外の乗員が、運転席以外の座席から運転席に対して身を乗り出していないかどうかを確認する。ドアおよび窓が閉まっており、運転席付近にドライバ以外の乗員がいない場合には、ドライバ以外の人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が低くなるので、アルコールセンサ13により有効な結果が得られる可能性が高くなる。運転席付近にドライバ以外の乗員がいる場合(ステップS104において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0027】
ステップS104において、運転席付近にドライバ以外の乗員がいない場合(ステップS104において“Y”)には、アルコール検出装置10の処理部20は、ステアリングホイールに設けられたタッチセンサ12がタッチを検出しているかどうかを確認する(ステップS105)。タッチセンサ12がタッチを検出していない場合(ステップS106において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0028】
ステップS106において、タッチセンサ12がタッチを検出した場合(ステップS106において“Y”)には、アルコール検出装置10は、ドライバの手がステアリングホイールを把持しているかどうかを確認する(ステップS107)。具体的には、骨格判定処理部22は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、骨格判定処理を行うことにより、ドライバの手がステアリングホイールを把持しているかどうかを検出する。ドライバの手がステアリングホイールを把持していない場合(ステップS108において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0029】
ステップS108において、ドライバの手がステアリングホイールを把持している場合(ステップS108において“Y”)には、アルコール検出装置10は、アルコールセンサ13を検出したかどうかを確認する(ステップS109)。具体的には、画像認識処理部21は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、画像認識処理を行うことにより、アルコールセンサ13のマーカを検出する。画像認識処理部21は、アルコールセンサ13のマーカを検出できた場合には、アルコールセンサ13を検出したと判断する。画像認識処理部21がアルコールセンサ13を検出していない場合(ステップS109において“N”)には、アルコールセンサ13を検出するまで、ステップS109の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS109において、画像認識処理部21がアルコールセンサ13を検出した場合(ステップS109において“Y”)には、アルコール検出装置10は、ドライバの手がアルコールセンサ13を把持しているかどうかを確認する(ステップS110)。具体的には、骨格判定処理部22は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、骨格判定処理を行うことにより、例えば、ドライバが、ステアリングホイールを把持している手とは異なる手でアルコールセンサ13を把持しているかどうかを検出する。ドライバの一方の手がステアリングホイールを把持し、他方の手がアルコールセンサ13を把持している場合には、例えば、風船に封入した他人の呼気を用いてアルコール検出を行うなどの不正が行われる可能性が低くなるので、アルコールセンサ13により有効な結果が得られる可能性が高くなる。ドライバの手がアルコールセンサ13を把持しているのではない場合(ステップS111において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0031】
ステップS111において、ドライバの手がアルコールセンサ13を把持している場合(ステップS111において“Y”)には、アルコール検出装置10は、ドライバの顔とアルコールセンサ13との間の距離に基づいて、ドライバがアルコールセンサ13に息を吹き込んでいるかどうかを確認する(ステップS112)。具体的には、距離算出処理部23は、イメージセンサ11から供給された撮像画像に基づいて、距離算出処理を行うことにより、ドライバの顔とアルコールセンサ13の吹き込み口との間の距離を算出する。そして、距離算出処理部23は、その距離が所定の距離(例えば10cm程度)以下であるかどうかを確認することにより、ドライバがアルコールセンサ13の吹き込み口に息を吹き込んでいるかどうかを確認する。ドライバがアルコールセンサ13に息を吹き込んでいる場合には、ドライバ本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が高くなるので、アルコールセンサ13により有効な結果が得られる可能性が高くなる。ドライバがアルコールセンサ13に息を吹き込んでいるのではない場合(ステップS112において“N”)には、処理はステップS115に進む。
【0032】
ステップS113において、ドライバがアルコールセンサ13に息を吹き込んでいる場合(ステップS113において“Y”)には、判定処理部24は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定する(ステップS114)。すなわち、アルコール検出装置10は、ステップS101~S113の処理に基づいて、ドライバ本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が高いと判断し、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定する。そして、処理はステップS116に進む。
【0033】
一方、ステップS102において、ドアおよび窓が閉まっていない場合(ステップS102において“N”)、ステップS104において、運転席付近にドライバ以外の乗員がいる場合(ステップS104において“N”)、ステップS106において、タッチセンサ12がタッチを検出していない場合(ステップS106において“N”)、ステップS108において、ドライバの手がステアリングホイールを把持しているのではない場合(ステップS108において“N”)、ステップS111において、ドライバの手がアルコールセンサ13を把持しているのではない場合(ステップS111において“N”)、およびステップS113において、ドライバがアルコールセンサ13の吹き込み口に息を吹き込んでいない場合(ステップS113において“N”)には、判定処理部24は、アルコールセンサ13により有効な検出結果は得られないと判定する(ステップS115)。すなわち、アルコール検出装置10は、ステップS101~S113の処理に基づいて、ドライバ本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われない可能性があると判断し、アルコールセンサ13により有効な検出結果は得られないと判定する。そして、処理はステップS119に進む。
【0034】
アルコールセンサ13により有効な結果が得られると判定された場合には、次に、アルコール検出装置10の処理部20は、アルコールセンサ13の検出結果に基づいて、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分の量を確認する(ステップS116)。
【0035】
ステップS117において、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分の量が所定量以下である場合(ステップS117において“Y”)には、判定処理部24は、ドライバの運転を許可する(ステップS118)。そして、判定処理部24は、例えば車両1のエンジンの起動を許可する。以上でこのフローは終了する。
【0036】
ステップS115において、判定処理部24が、アルコールセンサ13により有効な検出結果は得られないと判定した場合、およびステップS117において、ドライバの呼気に含まれるアルコール成分の量が所定量以下ではない場合(ステップS117において“N”)には、判定処理部24は、ドライバの運転を禁止する(ステップS119)。そして、判定処理部24は、例えば車両1のエンジンの起動を禁止する。以上でこのフローは終了する。
【0037】
このように、アルコール検出装置10では、車両1の運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なイメージセンサ11と、運転席に設けられ、タッチを検出可能なタッチセンサ12と、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なアルコールセンサ13と、イメージセンサ11、タッチセンサ12、およびアルコールセンサ13の検出結果に基づいて処理を行うことが可能な処理部20とを設けるようにした。処理部20は、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がタッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がアルコールセンサ13を把持しているかどうかを確認する第2の処理と、第1の処理において乗員がタッチセンサ12にタッチしていること、および第2の処理において乗員がアルコールセンサ13を把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定する判定処理とを行うようにした。運転席の乗員は、ステアリングホイールを把持することによりタッチセンサ12にタッチするとともに、アルコールセンサ13を把持している場合には、その乗員の両手の自由が奪われる。この場合、その乗員が、例えば、風船に封入した他人の呼気を用いてアルコール検出を行うなどの不正を行う可能性は低くなるので、アルコールセンサ13の検出結果の信頼度が高くなる。よって、処理部20は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定することができる。アルコール検出装置10は、例えば、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定した場合に、アルコールセンサ13の検出結果に基づいて運転を許可しあるいは禁止することができる。また、アルコール検出装置10は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られないと判定した場合には、運転を禁止することができる。よって、アルコール検出装置10では、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0038】
アルコール検出装置10では、処理部20は、さらに、撮像画像に基づいて、運転席の乗員の顔とアルコールセンサ13との間の距離を算出する第3の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第3の処理において距離が所定の距離以下であることを含むようにした。乗員の顔とアルコールセンサ13との間の距離が所定の距離以下である場合には、乗員本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が高いので、アルコールセンサ13の検出結果の信頼度が高くなる。よって、処理部20は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定することができる。その結果、アルコール検出装置10では、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0039】
アルコール検出装置10では、処理部20は、さらに、撮像画像に基づいて、運転席に乗員以外の乗員がいるかどうかを確認する第4の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第4の処理において運転席に乗員以外の乗員がいないことを含むようにした。運転席に乗員以外の乗員がいない場合には、乗員本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が高いので、アルコールセンサ13の検出結果の信頼度が高くなる。よって、処理部20は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定することができる。その結果、アルコール検出装置10では、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0040】
アルコール検出装置10では、処理部20は、さらに、撮像画像に基づいて、車両1のドアおよび窓が閉まっているかどうかを確認する第5の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第5の処理において車両1のドアおよび窓が閉まっていることを含むようにした。車両1のドアおよび窓が閉まっている場合には、乗員本人の呼気に基づいてアルコール検出が行われる可能性が高いので、アルコールセンサ13の検出結果の信頼度が高くなる。よって、処理部20は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定することができる。その結果、アルコール検出装置10では、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0041】
アルコール検出装置10では、第1の処理は、運転席の乗員の第1の手がタッチセンサ12にタッチしているかどうかを確認することを含み、第2の処理は、運転席の乗員の第2の手がアルコールセンサ13を把持しているかどうかを確認することを含むようにした。運転席の乗員は、第1の手でタッチセンサ12にタッチするとともに、第2の手でアルコールセンサ13を把持している場合には、その乗員の両手の自由が奪われる。この場合、その乗員が、例えば、風船に封入した他人の呼気を用いてアルコール検出を行うなどの不正を行う可能性が低くなるので、アルコールセンサ13の検出結果の信頼度が高くなる。よって、処理部20は、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定することができる。その結果、アルコール検出装置10では、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0042】
[効果]
以上のように本実施の形態では、車両の運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なイメージセンサと、運転席に設けられ、タッチを検出可能なタッチセンサと、乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なアルコールセンサと、イメージセンサ、タッチセンサ、およびアルコールセンサの検出結果に基づいて処理を行うことが可能な処理部とを設けるようにした。処理部は、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がタッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、撮像画像に基づいて、運転席の乗員がアルコールセンサを把持しているかどうかを確認する第2の処理と、第1の処理において乗員がタッチセンサにタッチしていること、および第2の処理において乗員がアルコールセンサを把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、アルコールセンサにより有効な検出結果が得られると判定する判定処理とを行うようにした。これにより、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0043】
本実施の形態では、処理部は、さらに、撮像画像に基づいて、運転席の乗員の顔とアルコールセンサとの間の距離を算出する第3の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第3の処理において距離が所定の距離以下であることを含むようにした。これにより、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0044】
本実施の形態では、処理部は、さらに、撮像画像に基づいて、運転席に乗員以外の乗員がいるかどうかを確認する第4の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第4の処理において運転席に乗員以外の乗員がいないことを含むようにした。これにより、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0045】
本実施の形態では、処理部は、さらに、撮像画像に基づいて、車両のドアおよび窓が閉まっているかどうかを確認する第5の処理を行うことが可能であり、複数の条件は、さらに、第5の処理において車両のドアおよび窓が閉まっていることを含むようにした。これにより、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0046】
本実施の形態では、第1の処理は、運転席の乗員の第1の手がタッチセンサにタッチしているかどうかを確認することを含み、第2の処理は、運転席の乗員の第2の手がアルコールセンサを把持しているかどうかを確認することを含むようにした。これにより、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0047】
[変形例1]
上記実施の形態では、
図3A,3Bに示したような順番で処理を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、処理の順番を適宜変更してもよい。
【0048】
[変形例2]
上記実施の形態では、
図3A,3Bに示したように、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られるかどうかを判定し、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られると判定された場合にのみ、アルコール検出センサ13がアルコール成分を検出したが、これに限定されるものではない。これに代えて、アルコール検出センサ13がアルコール成分を検出し、その後に、アルコールセンサ13により有効な検出結果が得られたかどうかを判定してもよい。
【0049】
[変形例3]
上記実施の形態では、タッチセンサ12をステアリングホイールに設けたがこれに限定されるものではない。タッチセンサ12は、ドライバがタッチし得るような様々な位置に設けることができる。具体的には、タッチセンサ12は、例えば、トランスミッションを操作するためのシフトレバーに設けられてもよい。タッチセンサ12は、例えば、ドライバが、しっかりと把持することができる装置に設けられてもよい。この場合、ドライバの手が、その装置をしっかりと把持することにより、その手の自由が奪われるので、ドライバが不正を行う可能性が低くなり、その結果、乗員が飲酒しているかどうかをより効果的に検出することができる。
【0050】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0051】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、
図3A,3Bに示した処理は、一例であり、これらの処理のうちの一部が省かれてもよいし、他の処理が追加されてもよい。
【0053】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0054】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
【0055】
(1)
車両の運転席の乗員を撮像することにより撮像画像を生成可能なイメージセンサと、
前記運転席に設けられ、タッチを検出可能なタッチセンサと、
前記乗員の呼気に含まれるアルコール成分を検出可能なアルコールセンサと、
前記イメージセンサ、前記タッチセンサ、および前記アルコールセンサの検出結果に基づいて処理を行うことが可能な処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員が前記タッチセンサにタッチしているかどうかを確認する第1の処理と、
前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員が前記アルコールセンサを把持しているかどうかを確認する第2の処理と、
前記第1の処理において前記乗員が前記タッチセンサにタッチしていること、および前記第2の処理において前記乗員が前記アルコールセンサを把持していることを含む複数の条件を満たした場合に、前記アルコールセンサにより有効な検出結果が得られると判定する判定処理と
を行うことが可能な
アルコール検出装置。
(2)
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記運転席の前記乗員の顔と前記アルコールセンサとの間の距離を算出する第3の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第3の処理において前記距離が所定の距離以下であることを含む
前記(1)に記載のアルコール検出装置。
(3)
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記運転席に前記乗員以外の乗員がいるかどうかを確認する第4の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第4の処理において前記運転席に前記乗員以外の乗員がいないことを含む
前記(1)または(2)に記載のアルコール検出装置。
(4)
前記処理部は、さらに、前記撮像画像に基づいて、前記車両のドアおよび窓が閉まっているかどうかを確認する第5の処理を行うことが可能であり、
前記複数の条件は、さらに、前記第5の処理において前記車両のドアおよび窓が閉まっていることを含む
前記(1)から(3)のいずれかに記載のアルコール検出装置。
(5)
前記第1の処理は、前記運転席の前記乗員の第1の手が前記タッチセンサにタッチしているかどうかを確認することを含み、
前記第2の処理は、前記運転席の前記乗員の第2の手が前記アルコールセンサを把持しているかどうかを確認することを含む
前記(1)から(4)のいずれかに記載のアルコール検出装置。
【符号の説明】
【0056】
1…車両、10…アルコール検出装置、11…イメージセンサ、12…タッチセンサ、13…アルコールセンサ、14…ドアセンサ、15…窓センサ、20…処理部、21…画像認識処理部、22…骨格判定処理部、23…距離算出処理部、24…判定処理部。