(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101814
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電力変換装置の並列制御システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H02M3/28 W
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005960
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】石垣 卓也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 與久
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730BB14
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB61
5H730BB82
5H730BB86
5H730CC01
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】 複数台の電力変換装置を備えた電力変換装置の並列制御システムにおける電流脈動を抑制する。
【解決手段】 負荷装置に接続される第1の電力変換装置および第2の電力変換装置を有する電力変換装置の並列制御システムであって、第1の電力変換装置の入力電流を検出する電流検出部と、検出した入力電流の振幅に基づいて、入力電流の脈動が小さくなるように、第1の電力変換装置の制御信号と第2の電力変換装置の制御信号との間の位相差を求める位相調整部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷装置に接続される第1の電力変換装置および第2の電力変換装置を有する電力変換装置の並列制御システムであって、
第1の電力変換装置の電流を検出する電流検出部と、
検出した前記電流の振幅に基づいて、前記電流の脈動が小さくなるように、第1の電力変換装置の制御信号と第2の電力変換装置の制御信号との間の位相差を求める位相調整部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
前記電流検出部は、第1の電力変換装置の入力電流、もしくは、第1の電力変換装置の整流後の電流を検出し、
前記位相調整部は、
前記入力電流もしくは、整流後の電流の電流振幅を測定する電流振幅幅測定部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
前記位相調整部は、
前記入力電流もしくは、整流後の電流の電流振幅値、および前記電流振幅値に対応する位相調整量を保存する電流振幅保存部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
前記位相調整部は、
前記電流振幅保存部に保存された前記電流振幅値に基づいて、前記位相差を選定する位相同期調整部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
前記位相同期調整部は、
選定した前記位相差を、第2の電力変換装置に送る電力変換装置の並列制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
前記位相調整部は、
検出した前記電流の振幅、および定めておいた設定値に基づいて、前記位相差を決定する位相同期調整部を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
第1の電力変換装置および第2の電力変換装置は、それぞれ、交流電圧を直流電圧に変換するACDC回路と、
前記ACDC回路からの直流電圧を変圧し、前記負荷装置に接続するDCDC回路を有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
第1の電力変換装置および第2の電力変換装置は、それぞれ、直流電圧を交流電圧に変換するインバータを有する電力変換装置の並列制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の電力変換装置の並列制御システムにおいて、
第1の電力変換装置および第2の電力変換装置は、
オンおよびオフに切り替わるスイッチング素子を有する電力変換装置の並列制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の並列制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1が知られている。特許文献1には、「線路インピーダンスが異なる場合であっても、整流器負荷などの非線形負荷に対する均等分担を可能にし、かつ、各変換装置が安定して並列運転を行うことができる並列運転制御システム」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、出力電流から有効電流を求める有効電流検出手段と出力電圧の基準位相を制御する位相調整手段を用いて出力電圧指令を制御することで、各変換装置が安定して並列運転を行うことができる並列運転制御システムを提供することが明記されている。
【0005】
一方、電力変換装置の接続台数やシステム構成によっては入力電源側での電流脈動が発生する場合もあり、入力電源側には着目する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、複数台の電力変換装置を備えた電力変換装置の並列制御システムにおける電流脈動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、負荷装置に接続される第1の電力変換装置および第2の電力変換装置を有する電力変換装置の並列制御システムであって、
第1の電力変換装置の入力電流を検出する電流検出部と、
検出した前記入力電流の振幅に基づいて、前記入力電流の脈動が小さくなるように、第1の電力変換装置の制御信号と第2の電力変換装置の制御信号との間の位相差を求める位相調整部を有する電力変換装置の並列制御システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数台の電力変換装置を備えた電力変換装置の並列制御システムにおける電流脈動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1としての電力変換装置の並列制御システムの概略図。
【
図2】本実施例における電力変換装置に用いるACDC変換回路とDCDC変換回路の構成図。
【
図5】電力変換装置間の入力側制御PWMに位相差を持たせたときのPWM生成例を示す図。
【
図6A】電力変換装置間の入力側制御PWM位相差=0設定時の電流脈動を示す図。
【
図6B】電力変換装置間の入力側制御PWM位相差=60設定時の電流脈動を示す図。
【
図6C】電力変換装置間の入力側制御PWM位相差=120設定時の電流脈動を示す図。
【
図6D】電力変換装置間の入力側制御PWM位相差=180設定時の電流脈動を示す図。
【
図7】位相調整による電流脈動と最大値の取得例を示す図。
【
図9】位相調整毎の電流振幅最大値を保存器に退避する場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例0011】
本実施例では、2台以上の並列接続した電力変換装置の入力電源側PWM波形の位相差を複数回変更し、その時の入力電源電流振幅値を測定する。位相差を変更する毎に同一条件で運転した時の入力電源電流振幅値を保存、比較し、最も入力電源電流振幅値が小さくなったときの位相差を自動で決定する実施例を示す。
【0012】
まず初めに、位相調整器を備えた2台の電力変換装置を用いて、入力側電流を制御するPWM波形の位相を自動で調整する調整機能の例を示す。
図1は本実施例による位相の自動調整機能を備えた、電力変換装置の並列制御システムの概略図である。
【0013】
図1において、100と101はそれぞれ、第1の電力変換装置、第2の電力変換装置である。102は交流電源である。103は電力変換装置100、および電力変換装置101に接続された対象負荷装置である。電力変換装置100と交流電源102は、入力端P1-1と入力端P1-2を介して接続し、電力変換装置101と交流電源102は、入力端P2-1と入力端P2-2を介して接続している。
【0014】
一方、電力変換装置100と対象負荷103は、出力端P1-3と出力端P1-4を介して接続し、電力変換装置101と対象負荷103は、出力端P2-3と出力端P2-4を介して接続している。
【0015】
104は交流電源102を交流から直流に変換し、中間コンデンサ105に電荷を充電するACDC回路であり、実施例における回路構成は後述する。
【0016】
106は、ACDC回路104により直流電圧に変換された電圧を用いて、電力変換装置100が出力端P1-3と出力端P1-4から出力する直流電圧に変圧するDCDC変換器であり、実施例における回路構成は後述する。出力側コンデンサ107は出力電圧安定化用のコンデンサである。
【0017】
108は、ACDC回路104により入力された交流電流を直流電流に整流して中間コンデンサ105への電力供給を制御するACDC制御器であり、109はDCDC回路106により出力電圧を制御するDCDC制御器である。これらの本実施例における動作は後述する。
【0018】
110は電力変換装置100のACDC回路104で駆動する半導体素子のスイッチングと、電力変換装置101のACDC回路114で駆動する半導体素子のスイッチング位相差を変更し、その時の電流振幅値により最適な位相差を設定する位相調整器である。
【0019】
111は入力電源電流値を逐次測定し、位相調整器110に入力する電流検出器である。入力された電流検出値は、位相調整の判定に使用される。
【0020】
112、113はそれぞれ中間コンデンサ105と出力側コンデンサ107の正側電極、負側電極間の電圧を測定し、それぞれACDC制御器108とDCDC制御器109に入力される電圧検出器である。入力された電圧検出値は、それぞれの電圧値の制御対象値として使用される。
【0021】
電力変換装置101に備えられた、ACDC回路114、中間コンデンサ115、DCDC回路116、出力側コンデンサ117、ACDC制御器118、DCDC制御器119、位相調整器120、電流検出器121、電圧検出器122、123は、電力変換装置100と同様の装置であるため省略する。
【0022】
図2は、
図1のACDC回路104、若しくは及びACDC回路114の回路構成図と、DCDC回路106、若しくはDCDC回路116の回路構成図を示す。
【0023】
201は
図1に示すACDC回路104、若しくはACDC制御器108のACDC変換回路図である。ACDC変換回路
図201は、交流電源102をそれぞれ入力端子P1と入力端子P2に接続し、複数のダイオード202a~202dにそれぞれ接続される。
【0024】
これらのダイオード202a~202dは、
図2に示すように、ブリッジ状に接続されている。例えば、ダイオード202aのアノード側端部、及びダイオード202bのカソード側端部は、
図2に示すように交流電源102の一方の入力端P1と接続されている。ダイオード202cのアノード側端部、及びダイオード202dのカソード側端部は、
図2に示すように交流電源102の他方の入力端P2と接続されている。
【0025】
ダイオード202aのカソード側端部、及びダイオード202cのカソード側端部は、
図2に示すように中間コンデンサ203の一方の電極、及びリアクトル204に接続されている。ダイオード202bのアノード側端部、及びダイオード202dのアノード側端部は
図2に示すように中間コンデンサ203の他方の電極、及び半導体素子205の端部と接続されている。
【0026】
入力端P1の電圧が入力端P2の電圧より高い場合、中間コンデンサ203の電流はダイオード202a、202dにより整流される。これに対し、入力端P2の電圧が入力端P1の電圧より高い場合、中間コンデンサ203の電流は、ダイオード202c、202bにより整流される。
【0027】
中間コンデンサ203は、半導体素子205がONの時、リアクトル204と、半導体素子205に電流が流れ、リアクトル204にエネルギーが蓄積される。一方、半導体素子205がOFFの時、中間コンデンサ203間の電圧とリアクトル204に蓄積されたエネルギーが中間コンデンサ207に電流が流れ充電される。なお、電流検出器206によりリアクトル204に流れるACDC回路における整流後電流Iin-SAを検出する。
【0028】
210は
図1に示すDCDC回路106、若しくはDCDC回路116のDCDC変換回路である。DCDC変換回路210は、中間コンデンサ211の一方の電極を入力端子P5と接続し、もう一方の電極を入力端子P5に接続している。ここではACDC変換回路と、DCDC変換回路を分けて説明しているが、本実施例では、
図1に示すとおりACDC回路の後段にDCDC回路を設けており、中間コンデンサ207と中間コンデンサ211は同一のものである。
【0029】
一次側半導体素子212は、所定のスイッチング周波数で、共振素子213に入力される電圧のスイッチングを行う。一次側半導体素子212は、
図2に示すように、例えばNMOS(N-Channel MOS)等のMOSFETからなる複数のスイッチング素子212a~212dで構成されている。これらのスイッチング素子212a~212dは、
図2に示すように、ブリッジ状に接続されている。
【0030】
例えば、スイッチング素子212aの一方の端部、及びスイッチング素子212cの一方の端部は、
図2に示すように、DCDC回路210の一方の入力端P5と接続されている。スイッチング素子212bの一方の端部、及びスイッチング素子212dの一方の端部は、
図2に示すように、DCDC回路210の他方の入力端P6と接続されている。
【0031】
スイッチング素子212aの他方の端部、及びスイッチング素子212bの他方の端部は、後述する共振素子213の共振インダクタ213aと接続されている。スイッチング素子212cの他方の端部、及びスイッチング素子212dの他方の端部は、後述する共振素子213の共振コンデンサ213bと接続されている。
【0032】
スイッチング素子212a~212dのゲートには、後述するDCDC制御器から出力されるスイッチング制御信号Vg1~Vg4がそれぞれ入力される。スイッチング素子212a~212dは、それぞれに対応するスイッチング制御信号Vg1~Vg4に基づいてオン・オフを切り替える。例えば、スイッチング素子がNMOSで構成されていれば、ゲートにハイレベルのスイッチング制御信号が入力されると、スイッチング素子はオン状態となる。一方、ゲートにローレベルのスイッチング制御信号が入力されると、スイッチング素子はオフ状態となる。
【0033】
スイッチング素子212a~212dは、スイッチング制御信号Vg1~Vg4に基づいてオン・オフを繰り返し、共振素子213にパルス状の電圧を入力する。例えば、スイッチング素子212a、212dがオン状態、スイッチング素子212b、212cがオフ状態のとき、共振素子213には所定の電圧(Vin)が入力される。一方、スイッチング素子212a、212dがオフ状態、スイッチング素子212b、212cがオン状態のとき、共振素子213には所定の電圧(-Vin)が入力される。これらの動作を繰り返すことにより、共振素子213には、所定の振幅(Vin)のパルス状の電圧が入力される。
【0034】
共振素子213は、
図2に示すように、共振インダクタ213a及び共振コンデンサ213bを備えている。共振インダクタ213aの一方の端部は、
図2に示すように、スイッチング素子212aの他方の端部及びスイッチング素子212bの他方の端部と接続されている。また、共振インダクタ213aの他方の端部は、
図2に示すように、トランス214の一方の入力端P7を介してトランス214と接続されている。
【0035】
共振コンデンサ213bの一方の端部は、
図2に示すように、トランス214の他方の入力端P8を介してトランス214と接続されている。また、共振コンデンサ213bの他方の端部は、
図2に示すように、スイッチング素子212cの他方の端部及びスイッチング素子212dの他方の端部と接続されている。
【0036】
共振インダクタ213a及び共振コンデンサ213bは、直列に接続されている。なお、共振インダクタ213aの共振インダクタンスLrには、トランス214の漏れインダクタンス(図示は省略)が含まれているものとする。共振インダクタンス及び漏れインダクタンスは、直列の関係となっている。
【0037】
図2では、共振インダクタ213a及び共振コンデンサ213bは、トランス214を介して別々に配置されているが、このような配置に限定されるものではない。例えば、共振インダクタ213a及び共振コンデンサ213bは、
図2に示す共振インダクタ213a側に配置されてもよいし、共振コンデンサ213b側にも配置されてもよい。共振素子213には、一次側半導体素子212より、前述したパルス状の電圧が入力される。パルス状の電圧が入力されると、共振素子213及びトランス214には、共振インダクタンスLr及び共振キャパシタンスCrに基づいて規定される共振周波数F0の正弦波状の電流が流れる。
【0038】
トランス214では、
図2に示すように、一次側コイルの巻数がN1、二次側コイルの巻数がN2、励磁インダクタンスがLmとなっている。トランス214は、共振素子213を介して中間コンデンサ211間の電圧Vinを、二次側で所定の出力電圧(Vo)に変換し、変換した出力電圧(Vo)をDCDC回路210の外部に接続した対象負荷103に出力する。
【0039】
二次側半導体素子215は、トランス214の二次側の電流を整流する素子である。二次側半導体素子は、
図2に示すように、複数のダイオード215a~215dを備えている。これらのダイオード215a~215dは、
図2に示すように、ブリッジ状に接続されている。例えば、ダイオード215aのアノード側の端部、及びダイオード215bのカソード側の端部は、
図2に示すように、トランス214の一方の出力端P213と接続されている。ダイオード215cのアノード側の端部、及びダイオード215dのカソード側の端部は、
図2に示すように、トランス214の他方の出力端P214と接続されている。
【0040】
ダイオード215aのカソード側の端部、及びダイオード215cのカソード側の端部は、
図2に示すように、出力側コンデンサ216の一方の電極、及びDCDC回路210の一方の出力端P9と接続されている。ダイオード215bのアノード側の端部、及びダイオード215dのアノード側の端部は、
図2に示すように、出力側コンデンサ216の他方の電極、及びDCDC回路210の他方の出力端P10と接続されている。
【0041】
出力端P9の電圧が出力端P10の電圧より高い場合、トランス214の二次側の電流は、ダイオード215a、215dにより整流される。これに対し、出力端P10の電圧が出力端P9の電圧より高い場合、トランス214の二次側の電流は、ダイオード215c、215bにより整流される。
【0042】
出力側コンデンサ216は、出力電圧安定化用のコンデンサである。DCDC回路210は、出力側コンデンサ216の両電極間の電圧(出力端P9、P10間の電圧)を出力電圧(Vo)として検出し、検出した出力電圧(Vo)の情報をDCDC制御器109、またはDCDC制御器119へ出力する。また、DCDC回路210は、出力端P9、P10を介して出力電圧(Vo)を対象負荷103へ出力する。
【0043】
図3は、本実施例における電力変換装置の出力電圧制御方式について説明する。
図1にて示した電力変換装置100と電力変換装置101は、ACDC回路104、及びACDC回路114に接続された中間コンデンサ105、及び中間コンデンサ115間の電圧を制御するACDC制御器108、及び118と、DCDC回路106、及びDCDC回路116に接続された出力側コンデンサ107、及び出力側コンデンサ117間の電圧を制御するDCDC制御器109、及びDCDC制御器119を備えている。
【0044】
図3に示すACDC制御器301は、中間コンデンサ302間に取り付けた電圧検出器303を用いてACDC出力電圧Vdc1-1を検出し、ACDC電圧指令値Vref1に制御するためのブロック図である。
【0045】
ACDC電圧指令値Vref1とACDC電圧検出値Vdc1-1は、電圧制御演算器304へ入力される。ここでの電圧制御演算器304は一般的なPI制御器である。電圧制御演算器304は、ACDC電圧指令値Vref1とACDC電圧検出値Vdc1-1により、ACDC回路に備え付けた半導体素子のONとOFF時間の比率となるACDC制御信号Duty1を算出し、ACDC側ゲート信号生成器305へ入力される。ここで示すACDC回路に備え付けた半導体素子とは、
図2の半導体素子205である。
【0046】
すなわち、ACDC電圧指令値Vref1がACDC電圧検出値Vdc1-1より大きい場合、ACDC電圧検出値Vdc1-1を増加させるため、ACDC回路の半導体素子のON時間を長くするようACDC制御信号Duty1を算出する。
【0047】
一方、ACDC電圧指令値Vref1がACDC電圧検出値Vdc1-1より小さい場合、ACDC電圧検出値Vdc1-1を減少させるため、ACDC回路の半導体素子のON時間を短くするようACDC制御信号Duty1を算出する。
【0048】
ACDC側ゲート信号生成器305は、ACDC制御信号Duty1に従って半導体素子を駆動するためのACDC制御ゲート信号Vg0をACDC制御回路に入力し、ACDC回路の半導体素子のON、OFFを切り替えることで中間コンデンサ302間の電圧を制御する。
【0049】
DCDC制御器306は、出力側コンデンサ307間に取り付けた電圧検出器308を用いてDCDC出力電圧Vdc1-2を検出し、DCDC出力電圧Vdc1-2がDCDC電圧指令値Vref2となるよう制御するためのブロック図である。
【0050】
DCDC電圧指令値Vref2とDCDC電圧検出値Vdc1-2は、電圧制御演算器309へ入力される。ここでの電圧制御演算器309は一般的なPI制御器である。電圧制御演算器309は、DCDC電圧指令値Vref2とDCDC電圧検出値Vdc1-2により、DCDC回路に備え付けた半導体素子のDCDC側スイッチング周波数Fswを算出し、DCDC側ゲート信号生成器310へ入力される。なお、ここで示すDCDC回路に備え付けた半導体素子とは、
図2に示すスイッチング素子212a~212dである。
【0051】
すなわち、DCDC電圧指令値Vref2がDCDC電圧検出値Vdc1-2より大きい場合、DCDC電圧検出値Vdc1-2を増加するため、DCDC回路の半導体素子のスイッチング周波数が小さくなるようDCDC側スイッチング周波数Fswを算出する。
【0052】
一方、DCDC電圧指令値Vref2がDCDC電圧検出値Vdc1-2より小さい場合、DCDC電圧検出値Vdc2を低下するため、DCDC回路の半導体素子のスイッチング周波数が大きくなるよう、DCDC側スイッチング周波数Fswを算出する。
【0053】
DCDC側ゲート信号生成器310は、DCDC側スイッチング周波数Fswに従って半導体素子1~4を駆動するためのDCDC制御ゲート信号Vg1~Vg4をDCDC制御回路に入力し、出力側コンデンサ307間の電圧を制御する。
【0054】
対象負荷103に対し、電力変換装置100と並列に接続された電力変換装置101もACDC制御器321とDCDC制御器340を備えている。
【0055】
電力変換装置101に備え付けたACDC制御器321は、電力変換装置100に備え付けたACDC制御器301と同様に電圧制御演算器324とACDC側ゲート信号生成器325を備えており、電圧制御演算器324は電圧制御演算器304と同様の動作であるためここでの説明は割愛する。
【0056】
ACDC側ゲート信号生成器325は、ACDC側ゲート信号生成器305と同様に、電圧制御演算器324にて算出したACDC制御信号Duty2が入力され、ACDC側ゲート信号生成器305と同様にACDC制御ゲート信号Vg0-2を生成する。ここで、ACDC側ゲート信号生成器325には同期信号Ph_sycsigが入力され、同期信号Ph_sycsigを後述する手段を用いてACDC制御ゲート信号Vg0とACDC制御ゲート信号Vg0-2に位相差を発生させる。
【0057】
DCDC制御器340は、出力側コンデンサ341間の電圧を制御する。DCDC制御器340は、電力変換装置100に備えたDCDC制御器306により算出されたDCDC側スイッチング周波数Fswを受け取り、電力変換装置101と同じDCDC側スイッチング周波数Fswで制御するため、DCDC側ゲート信号生成器342へ入力される。
【0058】
ただし、DCDC制御器306とDCDC制御器340は、並列接続された電力変換装置の電流アンバランスを抑制や電流応答性を向上するため、電圧制御ブロックの後段に電流制御ブロックを用いてもよい。この場合、電圧制御ブロックにより出力電流指令値を生成し電流制御ブロックへ入力する。
【0059】
電流制御ブロックでは、出力電流指令値と出力電流検出値の偏差量に対し一般的なPI制御演算を行い、DCDC側スイッチング周波数Fswを算出しDCDC側ゲート信号生成器342へDCDC制御ゲート信号Vg1-2~Vg4-2を入力する。
【0060】
DCDC側ゲート信号生成器342は、DCDC側スイッチング周波数Fswに従って半導体素子1~4を駆動するためのDCDC制御ゲート信号Vg1-2~Vg4-2をDCDC制御回路に入力し、出力側コンデンサ341間の電圧を制御する構成である。
【0061】
図4は、位相調整器の説明図である。位相調整器400は、電流振幅測定器401、電流振幅保存器402、位相同期調整器403、位相調整信号出力器404を備えている。位相調整器400は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む構成とする。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する位相差を求める処理を実現する。
【0062】
位相調整器400は、2台以上の並列接続した電力変換装置の入力電源回路のPWM位相を変更し、その入力電流振幅値を測定、保存し、入力電流振幅値が小さくなる位相差を決定する調整器である。
【0063】
なお、位相調整器は、後述する同期信号Ph_sycsigを一方の電力変換装置が送信し、他方の電力変換装置が一定間隔で受信する構成となっている。本実施例では同期信号Ph_sycsigを送信する電力変換装置は、電力変換装置100とし、同期信号Ph_sycsigを受信する電力変換装置は、電力変換装置101とする。
【0064】
電流振幅測定器401は、入力電流Iin-A、またはACDC回路に備え付けた整流後電流Iin-SAが入力され、電流振幅測定区間Ph_time間の入力電流振幅を逐次取得する。逐次取得した入力電流Iin-Aの1周期毎の振幅の最大値を測定し、その振幅値が最も大きい最大電流振幅値Iampmaxを測定する。本実施例では入力電流Iin-Aの電流脈動を抑えるための位相調整方法について示しているため、整流後電流Iin-SAの記載について割愛するが、同様の方法で整流後電流Iin-SAの電流脈動を抑えることができる。
【0065】
最大電流振幅値Iampmaxの測定が完了すると、電流振幅保存器402に入力電流振幅の最大電流振幅値Iampmaxと、その時の位相差分調整量Phase_subを保存する。
【0066】
電流振幅保存器402は、位相調整時に入力電流振幅の最大電流振幅値Iampmaxが更新されると、位相を変更するため位相差分調整量Phase_subを変更して位相同期調整器403へ入力する。
【0067】
位相同期調整器403は、位相差分調整量Phase_subに従って、位相差分調整量Phase_subをACDC制御器へ入力し、電力変換装置100と電力変換装置101のACDC回路のPWM位相差を決定する。本実施例では、電力変換装置100が同期信号Ph_sycsigを電力変換装置101の位相調整器に送信する構成となっており、電力変換装置101では動作しない。
【0068】
位相調整信号出力器404は、他方の電力変換装置から出力された同期信号Ph_sycsigを受信すると、ACDC制御器へ同期信号Ph_sycsigを出力する。ACDC制御器は、同期信号Ph_sycsigの受信したタイミングでタイマカウンタを更新することで、電力変換装置100と電力変換装置101の入力側制御PWMに位相差を生成している。本実施例では、電力変換装置101が同期信号Ph_sycsigを受信する構成となっており、電力変換装置100では動作しない。
【0069】
すなわち、本実施例では、電力変換装置100に備えた位相同期調整器403から、同期信号Ph_sycsigを送信し、電力変換装置101に備えた位相信号出力器にて同期信号Ph_sycsigを受信し、ACDC回路のPWM位相差を設定している。
【0070】
図5は、電力変換装置100と101のそれぞれのACDC制御器が出力するACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2と、そのACDC制御信号の位相調整についての説明図である。
【0071】
波形500はPWM_cntA、波形504はPWM_cntBを示し、PWMを生成するためのタイマカウンタである。信号501と信号505は、それぞれACDC回路104とACDC回路114の半導体素子を駆動するACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2のON、OFF信号である。
【0072】
グラフ502は、位相差Phase_subの値を示している。
【0073】
信号503は、電力変換装置100と電力変換装置101の位相差を調整する同期信号Ph_sycsigの信号の様子を示している。
【0074】
タイマカウンタPWM_cntAは、一定時間ごとにカウントアップするタイマカウンタ値であり、タイマカウンタ最大値PWM_cntAmaxに到達すると、タイマカウンタPWM_cntAはゼロとなり、再度カウントアップを開始する。
【0075】
タイマカウンタPWM_cntAの値が、PWM出力設定値PWM_setAより大きい場合、ACDC制御ゲート信号Vg0はOFF信号を出力し、タイマカウンタPWM_cntAの値がPWM出力設定値PWM_setA以下の場合、ACDC制御ゲート信号Vg0はON信号を出力する。なお、タイマカウンタPWM_cntBも同様である。
【0076】
同期信号Ph_sycsigは、ACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2の同期信号である。同期信号Ph_sycsigは、位相調整器110から出力され、電力変換装置101で受信したタイミングでタイマカウンタPWM_cntBのカウントアップを開始する。
【0077】
また、同期信号の出力タイミングを、タイマカウンタPWM_cntAのカウントアップ開始から位相差分調整量Phase_subだけ遅らせることによって、ACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2の位相をずらすことができる。
図5では、位相差分調整量Phase_subを、Ph_subAに設定した時のACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2の位相差がPh_subAであり、Ph_subBに設定した時のACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2の位相差がPh_subBであることを示している。
【0078】
図4、
図5に示すように、位相差分調整量Phase_subにより、ACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2をずらした状態で、電流振幅測定器401にて電流振幅最大値を取得し、電流振幅保存器402に保存する。その後、位相差分調整量Phase_subを変更しながら、電流振幅最大値Iampmaxを測定し、電流振幅最大値Iampmaxが小さくなる位相差分調整量Phase_subを取得することができる。
【0079】
図6A~
図6Dは、タイマカウンタPWM_cntAとタイマカウンタPWM_cntBのカウントアップタイミングをずらし、電力変換装置100と電力変換装置101のACDC制御ゲート信号Vg0とACDC制御ゲート信号Vg0-2の位相差をそれぞれ0度、60度、120度、180度と変更した時に、対象負荷103に一定の出力電流Ioutが流れたときの入力電流Iin-A、及びACDC整流後電流Iin-SAの変化を示す。
【0080】
波形600a~600dは、対象負荷103に流れる電流検出値である。それぞれ設定した位相差に対し、同値の電流値が流れている様子を示す。
【0081】
波形601a~601dは、縦軸を電流値、横軸を時間とした入力電源から電力変換装置に供給される入力電流の波形である。
【0082】
波形602a~602dは、縦軸を電流値、横軸を時間としたACDC回路に取り付けられた電流検出器により取得した電流波形である。
【0083】
波形603a~603dは、縦軸をオンとオフの2値で表示し、横軸を時間とした電力変換装置100のACDC制御ゲート信号Vg0波形である。波形604a~604dは、縦軸をオンとオフの2値で表示し、横軸を時間とした電力変換装置101のACDC制御ゲート信号Vg0-2波形である。
【0084】
波形600a、波形601a、波形602a、波形603a、波形604aが示す通り位相差が0度の場合、入力電流値やACDC回路の整流後電流値の脈動が大きくなっていることを示している。これは、電力変換装置100のACDC制御ゲート信号Vg0と電力変換装置101のACDC制御ゲート信号Vg0-2が同じタイミングでオンするため、入力電源側の負荷が大きくなり、電流の脈動が大きくなっていることを示している。
【0085】
また、位相差が60度、120度の場合は、波形601b、波形602bや波形601c、波形602cから、入力電流やACDC回路の整流後電流値の脈動が小さくなっていることを示している。
【0086】
一方、位相差が180度の場合、波形601d、波形602dから、入力電流やACDC回路の整流後電流値の脈動は大きくなっている。これは、入力電源側で構成するシステムによる固有振動周波数と、電力変換装置100のACDC制御ゲート信号Vg0と電力変換装置101のACDC制御ゲート信号Vg0-2の動作周波数が共振することにより、電流脈動が発生していることを示している。
【0087】
ただし、入力電源側で構成するシステムにより固有振動数が異なるため必ずしも発生するとは限らず、また上記以外にも接続台数の増加に伴う制御間の影響による干渉など様々な要因で脈動する可能性があり、本実施例以外の要因による電流脈動の抑制も本発明の対象である。
【0088】
図7は、位相差分調整量Phase_subを変更し、各々設定した位相差分調整量Phase_sub毎に測定タイマカウンタSettime区間の入力電流振幅値、またはACDC回路に流れる電流値を測定し、振幅最大値を測定する図である。
【0089】
波形700は、縦軸を電流値、横軸を時間とした入力電流である。波形701は、縦軸を電流振幅最大値Iampmax、横軸を時間とした波形である。電流振幅最大値Iampmaxを後述する位相調整機能手順により、設定した位相差分調整量Phase_sub毎に入力電流Iinの振幅値を測定し、その振幅の最大値をラッチしている。本実施例では、位相差分調整量Phase_subを60度毎に変更した際の入力電流Iinの振幅の最大値をラッチする。
【0090】
位相差分調整量Phase_sub毎にラッチした電流振幅最大値Iampmaxは、位相差分調整量Phase_subを変更する際、電流振幅保存器402に退避する。 位相差分調整量Phase_subは、縦軸をタイマカウンタPWM_cntAとタイマカウンタPWM_cntBの位相差とし、横軸を時間としている。位相差分調整量Phase_subは、測定タイマカウンタSettime毎に位相調整幅Phase_setnumだけ変更している。
【0091】
すなわち、位相差分調整量Phase_subを変更毎にACDC制御ゲート信号Vg0、およびVg0-2の位相を変更した状態で入力電流Iinの振幅値を測定し、電流振幅最大値をIampmaxとしてラッチする。ラッチした電流振幅最大値Iampmaxは、位相差分調整量Phase_subを変更してから、測定タイマカウンタSettime経過後に電流振幅保存器402に保存することにより、位相差分調整量Phase_sub毎の電流振幅最大値Iampmaxを取得できる。
【0092】
図8は、位相調整器400の処理フローチャートである。
図8は、電力変換装置100と電力変換装置101の位相差を自動で変更しながら、位相差毎の入力電流振幅値を測定して、その振幅値が最も小さくなる位相差を設定する処理フローチャートを示す。
位相調整機能は、処理800にて位相調整機能を開始して、処理801に遷移する。
【0093】
処理801では、位相調整器400は、位相調整機能に用いる位相調整試行回数Searchcntを初期化する。初期化実行後、処理802へ遷移する。
【0094】
処理802では、位相同期調整器403は、電力変換装置100と電力変換装置101のPWMタイマカウンタの位相差の設定値である位相差分調整量Phase_subを、位相調整幅Phase_setnumだけカウントアップする。例えば、PWMタイマカウンタの位相差を30度毎で調整する場合、位相調整幅Phase_setnumは30となる。位相差分調整量Phase_subのカウントアップ後、処理803へ遷移する。
【0095】
処理803では、位相同期調整器403は、処理802で設定した位相差分調整量Phase_subに従って、電力変換装置100から電力変換装置101に対して同期信号Phase_sycsigの送信を開始する。同期信号Phase_sycsigは、
図6で示すとおりPWMタイマカウンタの周期で出力される。同期信号Phase_sycsigの出力を開始したら処理804へ遷移する。
【0096】
処理804では、電流振幅測定器401は、
図7に示す手順で測定区間Settime間の入力電流Iin-Aの振幅値を測定し、1周期の入力電流Iin-Aの振幅値の最も大きな振幅値を電流振幅最大値Iampmaxとしてラッチする。
なお、電流振幅最大値Iampmaxは1周期の電流値Iinの振幅でなく、測定区間Settime間の入力電流Iin-Aの振幅値の振幅平均値としてもよい。
【0097】
処理805では、電流振幅保存器402は、処理804で測定した電流振幅最大値Iampmaxと測定した際の位相差分調整量Phase_subを電流振幅保存器402に保存する。電流振幅保存器402に保存後、処理806へ遷移する。
【0098】
処理806では、位相同期調整器403は、位相差分調整量Phase_subの値が180度以下であるか判定し、180度に到達していれば電力変換装置100と電力変換装置101のPWMタイマカウンタの位相差を0度から180度まで、位相調整幅Phase_setnum毎に駆動した時の電流振幅最大値を測定完了したとして処理807へ遷移する。
なお、180度に到達していなければ、電力変換装置100と電力変換装置101のPWMタイマカウンタの位相差を180度まで変更していないため、処理802へ遷移し、位相調整処理を継続する。
【0099】
処理807では、位相同期調整器403は、電流振幅保存器402で保存した電流振幅最大値Iampmaxが最も小さい条件の位相差分調整量Phase_subが、最も電流振幅値が小さくなるとして、位相差分調整量Phase_subをセットし、処理808へ遷移後、位相調整機能を終了する。処理807の手順は
図9を用いて説明する。
【0100】
図9は、位相差分調整量Phase_sub毎の電流振幅最大値Iampmaxと位相差分調整量Phase_subを電流振幅保存器402に保存するデータフローを示す。
電流振幅最大値Iampmaxと位相差分調整量Phase_subは
図7で示した通りである。
【0101】
900は、本実施例における電流振幅保存器402のデータテーブルである。すなわち、位相差分調整量Phase_sub毎に測定タイマカウンタSettime経過後の電流振幅最大値Iampmaxと位相差分調整量Phase_subを電流振幅保存器データテーブル900に保存し、その保存先をNoで管理する。
【0102】
全ての位相差分調整量Phase_subの条件で電流振幅最大値Iampmaxを保存後、最も小さい電流振幅最大値IampmaxのデータテーブルNoに保存された位相差分調整量Phase_subを測定条件におけるもっとも最適な位相差分調整量Phase_subとして決定する。
【0103】
本実施例によれば、複数台の電力変換装置を備えた電力変換装置の並列制御システムにおける電流脈動を抑制することができる。
また、実施例1、実施例2の実施例は、制御装置に組み込まれたマイコンの処理を例に説明した。そのような構成に限らず、上位装置や外部の装置に、位相調整器を配置して、上位装置や外部の装置から電力変換装置の並列制御システムを制御する構成としてもよい。
本実施例によれば、実施例1とは異なる処理で、最適な位相差分調整量を決定でき、複数台の電力変換装置を備えた電力変換装置の並列制御システムにおける電流脈動を抑制することができる。