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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101824
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】コネクタ組立体及び構造体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20240723BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240723BHJP
   H01R 13/514 20060101ALI20240723BHJP
   H01R 12/61 20110101ALI20240723BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R12/91
H01R13/514
H01R12/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005978
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 悟
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB20
5E021FC31
5E021FC38
5E021KA05
5E087EE11
5E087GG06
5E087JJ08
5E087JJ09
5E087MM02
5E087QQ04
5E087RR25
5E087RR26
5E223AA21
5E223AB26
5E223AB33
5E223BA01
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CD02
5E223DA13
5E223DB11
5E223DB40
5E223EA13
5E223EA33
5E223EA36
(57)【要約】
【課題】フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタを含むコネクタを備えるコネクタ組立体であって、サブコネクタを、取り付け場所を間違えることなくハウジングに取り付け可能なコネクタ組立体を提供すること。
【解決手段】コネクタ組立体12は、互いに嵌合可能な第1コネクタ20と第2コネクタ70とを備えている。第1コネクタ20は、2以上のサブコネクタ30と、ハウジング40とを備えている。サブコネクタ30は、1つのFPC基板80における2以上に分岐した先端部84に夫々接続される。ハウジング40は、サブコネクタ30の夫々をフローティング可能に保持している。第2コネクタ70は、サブコネクタ30に夫々対応する2以上の嵌合部74を有している。サブコネクタ30の夫々は、対応する嵌合部74に嵌合可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、2以上のサブコネクタと、ハウジングとを備えており、
前記サブコネクタは、1つのFPC(flexible printed circuits)基板における2以上に分岐した先端部に夫々接続され、
前記ハウジングは、前記サブコネクタの夫々をフローティング可能に保持しており、
前記第2コネクタは、前記サブコネクタに夫々対応する2以上の嵌合部を有しており、
前記サブコネクタの夫々は、対応する前記嵌合部に嵌合可能である
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、リテーナを備えており、
前記リテーナは、前記ハウジングに固定されており、
前記ハウジングには、前記サブコネクタに夫々対応する2以上の収容部が形成されており、
前記収容部の夫々は、前記ハウジングの後方に開口しており、
前記サブコネクタの夫々は、対応する前記収容部の内部に部分的に且つフローティング可能に収容されており、
前記リテーナは、前記サブコネクタを後方から覆っており、
前記第1コネクタには、前記収容部に夫々対応する2以上のスロットが形成されており、
前記スロットの夫々は、前記前後方向において前記ハウジングと前記リテーナとの間に位置しており、
前記スロットの夫々は、対応する前記収容部と連通しており、
前記FPC基板の前記先端部は、前記スロットを夫々通過して前記サブコネクタに夫々接続される
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングの前記収容部には、規制部が設けられており、
前記規制部は、前記収容部の内部を延びており、
前記サブコネクタは、被規制部を有しており、
前記規制部及び前記被規制部のうちの一方は、弾性変形可能であり、
前記サブコネクタが前記収容部に収容されたとき、前記規制部及び前記被規制部は、前記前後方向に対向し、前記サブコネクタが前記収容部から抜け出ることを防止する
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項2記載のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、3つの後側規定部を有しており、
前記リテーナは、3つの後側対向部を有しており、
前記後側規定部及び前記後側対向部のうちの一方は、前記前後方向に張り出した突き当部であり、前記後側規定部及び前記後側対向部のうちの他方は前記突き当部と対向する平面であり、
前記サブコネクタは、後方限界位置まで後方に移動可能であり、
前記後方限界位置は、前記後側規定部が前記後側対向部に夫々突き当たる位置である
コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、3つの前側規定部を有しており、
前記ハウジングは、3つの前側対向部を有しており、
前記前側規定部及び前記前側対向部のうちの一方は、前記前後方向に張り出した突き当部であり、前記前側規定部及び前記前側対向部のうちの他方は前記突き当部と対向する平面であり、
前記サブコネクタは、前方限界位置まで前方に移動可能であり、
前記前方限界位置は、前記前側規定部が前記前側対向部に夫々突き当たる位置である
コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記第2コネクタの前記嵌合部の前記前後方向と直交する左右方向におけるサイズは、前記嵌合方向及び前記左右方向の双方と直交する上下方向におけるサイズよりも大きく、
前記嵌合部には、テーパー面と、2つの側部リブと、2つの上下リブとが設けられており、
前記側部リブ及び前記上下リブは、前記テーパー面の前方に位置しており、
前記側部リブは、前記左右方向において前記嵌合部の反対側に夫々位置しており、前記左右方向の内側に張り出しており、且つ、前記前後方向に沿って延びており、
前記上下リブは、前記上下方向において前記嵌合部の反対側に夫々位置しており、前記上下方向の内側に張り出しており、且つ、前記前後方向に沿って延びており、
前記サブコネクタが前記嵌合部に嵌合する際、前記テーパー面は、前記サブコネクタを前記嵌合部の内部に誘導し、
前記サブコネクタが前記嵌合部に嵌合したとき、前記側部リブは、前記サブコネクタの前記左右方向における移動可能範囲を規定し、前記上下リブは、前記サブコネクタの前記上下方向における移動可能範囲を規定する
コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタ組立体であって、
前記2つの上下リブは、前記上下方向において所定距離だけ互いに離れており、
前記テーパー面は、前記左右方向及び前記上下方向の夫々において、前記所定距離の1/5以上のサイズを有している
コネクタ組立体。
【請求項8】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、互いに同じ構造を有している
コネクタ組立体。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、上側キーと下側キーとを有しており、
前記上側キー及び下側キーは、前記左右方向において互いに異なる位置にあり、
前記ハウジングは、前面と、上側許容部と、下側許容部とを有しており、
前記前面は、前記ハウジングの前端に位置しており、
前記上側許容部は、前記前面において開口しており、前記サブコネクタを前記収容部に収容する際、前記上側キーの通過を許容し、
前記下側許容部は、前記前面において開口しており、前記サブコネクタを前記収容部に収容する際、前記下側キーの通過を許容し、
前記サブコネクタが前記収容部に収容されたとき、前記上側キー及び前記下側キーのうちの一方は、前記ハウジングの前記前面の前方にのみ位置しており、前記上側キー及び前記下側キーのうちの他方は、前記上側許容部又は前記下側許容部の内部を移動可能である
コネクタ組立体。
【請求項10】
請求項9記載のコネクタ組立体であって、
前記第2コネクタには、前記上側キーに対応する上側溝と、前記下側キーに対応する下側溝とが形成されており、
前記上側溝及び下側溝は、前記左右方向において互いに異なる位置にあり、
前記サブコネクタを前記第2コネクタの前記嵌合部に嵌合する際、前記上側キーは、前記上側溝に受容され、前記下側キーは、前記下側溝に受容される
コネクタ組立体。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかに記載のコネクタ組立体と、2以上に分岐した先端部を有する1つのFPC基板とを備える構造体であって、
前記サブコネクタは、前記先端部に夫々接続されている
構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプのコネクタ組立体が開示されている。
【0003】
図29を参照すると、特許文献1に開示されたコネクタ組立体は、図示した嵌合方向に沿って互いに嵌合可能な第1コネクタ90と相手コネクタ(第2コネクタ:図示せず)とを備えている。第2コネクタは、ケース98の内部に設けられている。第1コネクタ90は、3つのコネクタ(サブコネクタ)92と、アウターハウジング(ハウジング)94とを備えている。サブコネクタ92の夫々には、2本の電線96が取り付けられている。サブコネクタ92の夫々は、ハウジング94に保持されており、嵌合方向と直交する直交平面において、ハウジング94に対して相対的に、ある程度移動可能である。即ち、サブコネクタ92の夫々は、直交平面においてフローティング可能にハウジング94に保持されている。ケース98には、サブコネクタ92に夫々対応した3つの装着孔99が形成されている。
【0004】
第1コネクタ90が第2コネクタに嵌合する際、サブコネクタ92の夫々は、対応する装着孔99を通過して第2コネクタに嵌合する。このとき、サブコネクタ92の夫々は、直交平面において、対応する装着孔99の内部を移動できる。特許文献1によれば、第1コネクタ90がサブコネクタ92の移動を許容するフローティング構造を有しているため、製造公差に起因するサブコネクタ92の装着孔99に対する位置ずれを調整しつつ、3つのサブコネクタ92を纏めて第2コネクタに嵌合できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-083578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来のコネクタ組立体によれば、サブコネクタをハウジングに取り付ける際、取り付け場所を間違えるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタを含むコネクタを備えるコネクタ組立体であって、サブコネクタを、取り付け場所を間違えることなくハウジングに取り付け可能なコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ組立体として、
前後方向に沿って互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、2以上のサブコネクタと、ハウジングとを備えており、
前記サブコネクタは、1つのFPC(flexible printed circuits)基板における2以上に分岐した先端部に夫々接続され、
前記ハウジングは、前記サブコネクタの夫々をフローティング可能に保持しており、
前記第2コネクタは、前記サブコネクタに夫々対応する2以上の嵌合部を有しており、
前記サブコネクタの夫々は、対応する前記嵌合部に嵌合可能である
コネクタ組立体を提供する。
【0009】
本発明は、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、リテーナを備えており、
前記リテーナは、前記ハウジングに固定されており、
前記ハウジングには、前記サブコネクタに夫々対応する2以上の収容部が形成されており、
前記収容部の夫々は、前記ハウジングの後方に開口しており、
前記サブコネクタの夫々は、対応する前記収容部の内部に部分的に且つフローティング可能に収容されており、
前記リテーナは、前記サブコネクタを後方から覆っており、
前記第1コネクタには、前記収容部に夫々対応する2以上のスロットが形成されており、
前記スロットの夫々は、前記前後方向において前記ハウジングと前記リテーナとの間に位置しており、
前記スロットの夫々は、対応する前記収容部と連通しており、
前記FPC基板の前記先端部は、前記スロットを夫々通過して前記サブコネクタに夫々接続される
コネクタ組立体を提供する。
【0010】
本発明は、第3のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記ハウジングの前記収容部には、規制部が設けられており、
前記規制部は、前記収容部の内部を延びており、
前記サブコネクタは、被規制部を有しており、
前記規制部及び前記被規制部のうちの一方は、弾性変形可能であり、
前記サブコネクタが前記収容部に収容されたとき、前記規制部及び前記被規制部は、前記前後方向に対向し、前記サブコネクタが前記収容部から抜け出ることを防止する
コネクタ組立体を提供する。
【0011】
本発明は、第4のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、3つの後側規定部を有しており、
前記リテーナは、3つの後側対向部を有しており、
前記後側規定部及び前記後側対向部のうちの一方は、前記前後方向に張り出した突き当部であり、前記後側規定部及び前記後側対向部のうちの他方は前記突き当部と対向する平面であり、
前記サブコネクタは、後方限界位置まで後方に移動可能であり、
前記後方限界位置は、前記後側規定部が前記後側対向部に夫々突き当たる位置である
コネクタ組立体を提供する。
【0012】
本発明は、第5のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、3つの前側規定部を有しており、
前記ハウジングは、3つの前側対向部を有しており、
前記前側規定部及び前記前側対向部のうちの一方は、前記前後方向に張り出した突き当部であり、前記前側規定部及び前記前側対向部のうちの他方は前記突き当部と対向する平面であり、
前記サブコネクタは、前方限界位置まで前方に移動可能であり、
前記前方限界位置は、前記前側規定部が前記前側対向部に夫々突き当たる位置である
コネクタ組立体を提供する。
【0013】
本発明は、第6のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記第2コネクタの前記嵌合部の前記前後方向と直交する左右方向におけるサイズは、前記嵌合方向及び前記左右方向の双方と直交する上下方向におけるサイズよりも大きく、
前記嵌合部には、テーパー面と、2つの側部リブと、2つの上下リブとが設けられており、
前記側部リブ及び前記上下リブは、前記テーパー面の前方に位置しており、
前記側部リブは、前記左右方向において前記嵌合部の反対側に夫々位置しており、前記左右方向の内側に張り出しており、且つ、前記前後方向に沿って延びており、
前記上下リブは、前記上下方向において前記嵌合部の反対側に夫々位置しており、前記上下方向の内側に張り出しており、且つ、前記前後方向に沿って延びており、
前記サブコネクタが前記嵌合部に嵌合する際、前記テーパー面は、前記サブコネクタを前記嵌合部の内部に誘導し、
前記サブコネクタが前記嵌合部に嵌合したとき、前記側部リブは、前記サブコネクタの前記左右方向における移動可能範囲を規定し、前記上下リブは、前記サブコネクタの前記上下方向における移動可能範囲を規定する
コネクタ組立体を提供する。
【0014】
本発明は、第7のコネクタ組立体として、第6のコネクタ組立体であって、
前記2つの上下リブは、前記上下方向において所定距離だけ互いに離れており、
前記テーパー面は、前記左右方向及び前記上下方向の夫々において、前記所定距離の1/5以上のサイズを有している
コネクタ組立体を提供する。
【0015】
本発明は、第8のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、互いに同じ構造を有している
コネクタ組立体を提供する。
【0016】
本発明は、第9のコネクタ組立体として、第8のコネクタ組立体であって、
前記サブコネクタは、上側キーと下側キーとを有しており、
前記上側キー及び下側キーは、前記左右方向において互いに異なる位置にあり、
前記ハウジングは、前面と、上側許容部と、下側許容部とを有しており、
前記前面は、前記ハウジングの前端に位置しており、
前記上側許容部は、前記前面において開口しており、前記サブコネクタを前記収容部に収容する際、前記上側キーの通過を許容し、
前記下側許容部は、前記前面において開口しており、前記サブコネクタを前記収容部に収容する際、前記下側キーの通過を許容し、
前記サブコネクタが前記収容部に収容されたとき、前記上側キー及び前記下側キーのうちの一方は、前記ハウジングの前記前面の前方にのみ位置しており、前記上側キー及び前記下側キーのうちの他方は、前記上側許容部又は前記下側許容部の内部を移動可能である
コネクタ組立体を提供する。
【0017】
本発明は、第10のコネクタ組立体として、第9のコネクタ組立体であって、
前記第2コネクタには、前記上側キーに対応する上側溝と、前記下側キーに対応する下側溝とが形成されており、
前記上側溝及び下側溝は、前記左右方向において互いに異なる位置にあり、
前記サブコネクタを前記第2コネクタの前記嵌合部に嵌合する際、前記上側キーは、前記上側溝に受容され、前記下側キーは、前記下側溝に受容される
コネクタ組立体を提供する。
【0018】
本発明は、第1の構造体として、
第1から第10までのいずれかに記載のコネクタ組立体と、2以上に分岐した先端部を有する1つのFPC基板とを備える構造体であって、
前記サブコネクタは、前記先端部に夫々接続されている
構造体を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1コネクタは、フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタを備えるコネクタである。本発明のサブコネクタは、1つのFPC基板における2以上に分岐した先端部に夫々接続される。この構造によれば、FPC基板に接続されたサブコネクタをハウジングに取り付ける際、サブコネクタの並び順が既に決まっている。従って、サブコネクタをハウジングに取り付ける際、取り付け場所を間違えることがない。即ち、本発明によれば、フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタを含むコネクタを備えるコネクタ組立体であって、サブコネクタを、取り付け場所を間違えることなくハウジングに取り付け可能なコネクタ組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体及びFPC基板からなる構造体を示す斜視図である。コネクタ組立体の第1コネクタと第2コネクタとは、互いに離れた分離状態にある。第1コネクタは、FPC基板の先端部に取り付けられている。
図2図1の構造体を示す別の斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは、互いに嵌合した嵌合状態にある。
図3図2の構造体を示す別の斜視図である。
図4図1のコネクタ組立体の第2コネクタを示す上面図である。
図5図4の第2コネクタを示す背面図である。
図6図5の第2コネクタの一部(1点鎖線Aで囲んだ部分)を拡大して示す背面図である。嵌合状態におけるサブコネクタの輪郭を破線で描画している。
図7図4の第2コネクタをVII-VII線に沿って示す断面図である。第2コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図8図4の第2コネクタをVIII-VIII線に沿って示す断面図である。第2コネクタの隠れた上側溝および下側溝の輪郭、及び、嵌合状態におけるサブコネクタの輪郭の一部を破線で描画している。
図9図1のコネクタ組立体の第1コネクタを示す分解斜視図である。
図10図9の第1コネクタのサブコネクタのうちの一つを示す斜視図である。
図11図10のサブコネクタを示す背面図である。
図12図10のサブコネクタを示す前面図である。
図13図10のサブコネクタを示す側面図である。後側規定部を含む平面の位置を破線で示している。
図14図9の第1コネクタのハウジングを示す背面図である。ハウジングの一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、ハウジングに収容されたサブコネクタの輪郭を破線で描画している。
図15図14のハウジングを示す前面図である。ハウジングの一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
図16図15のハウジングをXVI-XVI線に沿って示す断面図である。前側対向部を含む平面の位置を破線で示している。
図17図9の第1コネクタのリテーナのうちの一つを示す斜視図である。
図18図17のリテーナを示す前面図である。
図19図9のハウジングとサブコネクタとからなる中間構造体を示す背面図である。
図20図19の中間構造体をXX-XX線に沿って示す断面図である。
図21図1のコネクタ組立体の第1コネクタを示す前面図である。
図22図21の第1コネクタをXXII-XXII線に沿って示す断面図である。ハウジングの隠れた受け部の輪郭及びリテーナの隠れた前面の一部を破線で描画している。
図23図22の第1コネクタの一部(破線Bで囲んだ部分)を拡大して示す断面図である。
図24図22の第1コネクタの一部(破線Cで囲んだ部分)を拡大して示す断面図である。
図25図21の第1コネクタを示す側面図である。サブコネクタの上側キーの隠れた輪郭を破線で描画している。
図26図21の第1コネクタを示す斜視図である。
図27図21の第1コネクタを示す別の前面図である。第1コネクタはFPC基板に接続されている。
図28図27の第1コネクタをXXVIII-XXVIII線に沿って示す断面図である。
図29】特許文献1のコネクタ組立体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施の形態による構造体10は、コネクタ組立体12と、FPC(flexible printed circuits)基板80とを備えている。コネクタ組立体12は、第1コネクタ20と、第2コネクタ70とを備えている。第1コネクタ20と第2コネクタ70とは、嵌合方向に沿って互いに嵌合可能である。本実施の形態の嵌合方向は、前後方向であり、X方向である。本実施の形態において、「前方」は、+X方向であり、「後方」は、-X方向である。即ち、本実施の形態のコネクタ組立体12は、前後方向に沿って互いに嵌合可能な第1コネクタ20と第2コネクタ70とを備えている。以下の説明において、前後方向等の用語は、地面に対する絶対的な方向や位置を示すものではなく、図面における相対的な方向や位置を示すものにすぎない。
【0022】
本実施の形態による構造体10は、自動車(図示せず)の内部に組み込まれて使用される。詳しくは、第1コネクタ20は、自動車の内部に組み込まれた第1装置(図示せず)に固定され、可撓性のあるFPC基板80に接続される。第2コネクタ70は、自動車の内部に組み込まれた第2装置(図示せず)に固定される。第1コネクタ20及び第2コネクタ70は、ロボット(図示せず)によって互いに嵌合する。但し、本発明は、これに限られず、様々な構造体10に適用可能である。
【0023】
第1コネクタ20と第2コネクタ70とが互いに嵌合した嵌合状態(図2の状態)において、第1コネクタ20が固定された第1装置(図示せず)と第2コネクタ70が固定された第2装置(図示せず)とは、FPC基板80及びコネクタ組立体12を介して互いに電気的に接続される。一方、第1コネクタ20と第2コネクタ70とが互いに離れた分離状態(図1の状態)において、第1装置と第2装置とは、互いに電気的に接続されていない。
【0024】
以下、本実施の形態のFPC基板80について説明する。
【0025】
FPC基板80は、単一の基部82と、2以上の先端部84とを有している。図示した基部82は、前後方向と直交する上下方向に沿って延びている。本実施の形態の上下方向は、Z方向である。本実施の形態において、「上方」は、+Z方向であり、「後方」は、-Z方向である。先端部84の夫々は、基部82の上端に繋がっている。先端部84は、前後方向及び上下方向の双方と直交する左右方向に並んでいる。本実施の形態の左右方向は、Y方向である。本実施の形態において、「左方」は、+Y方向であり、「右方」は、-Y方向である。
【0026】
左右方向において互いに隣り合う2つの先端部84の間には、間隙86が形成されている。即ち、左右方向において互いに隣り合う2つの先端部84は、間隙86を挟んで互いに離れている。先端部84の夫々は、基部82の上端から上方に延びている。本実施の形態のFPC基板80は、上述のように基部82から2以上に分岐した先端部84を有している。本実施の形態の先端部84の数は4である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、先端部84の数は、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。
【0027】
FPC基板80には、多数の導電線(図示せず)が形成されている。例えば、導電線の数は80である。導電線の夫々は、基部82の表面に沿って延びた後、先端部84のうちの一つの表面に沿って延びている。本実施の形態の先端部84の夫々には、多数の導電線が形成されている。本実施の形態の先端部84は、互いに同一の構造を有している。4つの先端部84における導電線の配置は、互いに同じである。
【0028】
以下、本実施の形態の第1コネクタ20について説明する。
【0029】
図9を参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20は、2以上のサブコネクタ30と、絶縁体からなるハウジング40と、絶縁体からなる2以上のリテーナ50と、導電体からなる多数の第1端子60とを備えている。例えば、第1端子60の数は80である。第1端子60の夫々は、サブコネクタ30のうちの一つに保持されている。サブコネクタ30の夫々は、2以上の第1端子60を保持している。本実施の形態の第1コネクタ20は、上述の部材を備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、リテーナ50は、必要に応じて設ければよい。一方、第1コネクタ20は、上述の部材に加えて別の部材を更に備えていてもよい。
【0030】
図1を参照すると、サブコネクタ30は、FPC基板80の先端部84に夫々接続され、ハウジング40の内部に部分的に収容される。リテーナ50は、サブコネクタ30に夫々対応して設けられている。リテーナ50の夫々は、対応するサブコネクタ30をハウジング40の内部に維持する。本実施の形態のサブコネクタ30の数及びリテーナ50の数は4である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、サブコネクタ30の数は、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。また、2以上のサブコネクタ30に対して1つのリテーナ50が設けられていてもよい。即ち、リテーナ50の数は、1以上であってもよい。
【0031】
図9を参照すると、本実施の形態のサブコネクタ30は、互いに同じ構造を有している。加えて、4つのサブコネクタ30における第1端子60の配置は、互いに同じである。即ち、全てのサブコネクタ30は同一の部品であり、これにより、サブコネクタ30の製造コストを低減できる。図27及び図28を参照すると、サブコネクタ30は、1つのFPC基板80における2以上に分岐した先端部84に夫々接続される。本実施の形態によれば、互いに同一の構造のサブコネクタ30が互いに同一の構造の先端部84に夫々接続される。従って、本実施の形態によれば、サブコネクタ30の夫々を、どの先端部84に接続してもよい。但し、本発明は、これに限られない。例えば、サブコネクタ30は、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0032】
以下、本実施の形態のサブコネクタ30のうちの1つについて説明する。以下の説明は、サブコネクタ30の夫々に適用可能である。
【0033】
図9及び図10を参照すると、本実施の形態のサブコネクタ30は、主部31と、上側突出板32と、下側突出板33と、2つの上側キー37と、2つの下側キー38と、2つの後方突出部39と、金属製の2つの固定部材392とを有している。主部31、上側突出板32、下側突出板33、上側キー37、下側キー38及び後方突出部39は、樹脂から一体に成型されている。固定部材392は、後方突出部39に夫々圧入されている。固定部材392は、第1コネクタ20の使用時に、サブコネクタ30をFPC基板80(図3参照)の先端部84(図3参照)に固定する。
【0034】
本実施の形態のサブコネクタ30は、上述した部材及び部位を有している。但し、本発明におけるサブコネクタ30の構造は、特に限定されない。例えば、後方突出部39及び固定部材392は、必要に応じて設ければよい。また、以下に説明するサブコネクタ30の各部位の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0035】
図9を参照すると、主部31は、上下方向と直交する水平面(XY平面)と平行な矩形平板形状を有している。上側突出板32は、前後方向と直交する垂直平面(YZ平面)と平行な矩形平板形状を有している。上側突出板32は、主部31の後端に位置している。上側突出板32は、主部31から上方に突出しており、左右方向に沿って延びている。図9図12及び図13を参照すると、上側キー37の夫々は、前後方向に沿って延びる角棒形状を有している。上側キー37は、主部31の上面に設けられている。上側キー37は、左右方向において互いに離れており、上側突出板32から主部31の前端の近傍まで、互いに平行に延びている。
【0036】
図10を参照すると、下側突出板33は、YZ平面と平行な矩形平板形状を有している。下側突出板33は、主部31の後端に位置している。下側突出板33は、主部31から下方に突出しており、左右方向に沿って延びている。図10図12及び図13を参照すると、下側キー38の夫々は、前後方向に沿って延びる角棒形状を有している。下側キー38は、主部31の下面の前端近傍に設けられている。下側キー38は、左右方向において互いに離れており、主部31の下面の前端近傍を互いに平行に延びている。
【0037】
図9を参照すると、サブコネクタ30は、ハウジング40の内部に後方から挿入される。図12図9と併せて参照すると、2つの上側キー37は、左右方向において2つの下側キー38の間に位置している。後述するように、このように配置された上側キー37及び下側キー38は、サブコネクタ30のハウジング40への上下逆の挿入を防止する。
【0038】
図12を参照すると、本実施の形態のサブコネクタ30は、3つの前側規定部35と、2つの被規制部34とを有している。前側規定部35は、後述するように、ハウジング40(図9参照)の内部におけるサブコネクタ30の前方移動を規制するための部位である。本実施の形態の前側規定部35は、1つの前側規定部352と、2つの前側規定部354とからなる。被規制部34は、後述するように、サブコネクタ30をハウジング40の内部に仮維持するための部位である。
【0039】
本実施の形態の下側突出板33は、平坦な前面を有しており、この前面の左右方向における中間部が前側規定部352として機能する。本実施の形態の上側突出板32は、平坦な前面を有しており、この前面の左右方向における両側の部位が前側規定部354として夫々機能する。本実施の形態の前側規定部35の夫々は、YZ平面と平行な平面である。前側規定部35の夫々には、視認可能な境界が設けられていない。3つの前側規定部35は、下向きの仮想的な2等辺三角形の頂点に夫々位置している。3つの前側規定部35は、前後方向において、互いに同じ位置にある。但し、本発明は、これに限られない。例えば、前側規定部35の夫々は、上側突出板32又は下側突出板33から前方に張り出した部位であってもよい。また、前側規定部35は、必要に応じて設ければよい。
【0040】
本実施の形態によれば、上側突出板32の平坦な前面の左右方向における両側の部位が被規制部34として夫々機能する。2つの被規制部34は、左右方向において2つの前側規定部354の間に位置している。本実施の形態の被規制部34の夫々は、YZ平面と平行な平面である。被規制部34の夫々には、視認可能な境界が設けられていない、但し、本発明は、これに限られない。例えば、被規制部34は、必要に応じて設ければよい。
【0041】
図11を参照すると、本実施の形態のサブコネクタ30は、3つの後側規定部36を有している。後側規定部36は、後述するように、ハウジング40の内部におけるサブコネクタ30の後方移動を規制するための部位である。本実施の形態の後側規定部36は、1つの後側規定部362と、2つの後側規定部364とからなる。
【0042】
後側規定部362は、上側突出板32の平坦な後面の左右方向における中間部に位置している。後側規定部362は、上側突出板32の後面から後方に張り出している。後側規定部364は、下側突出板33の平坦な後面の左右方向における両側に夫々位置している。後側規定部364の夫々は、下側突出板33の後面から後方に張り出している。3つの後側規定部36は、上向きの仮想的な2等辺三角形の頂点に夫々位置している。3つの後側規定部36の後端面は、前後方向において、互いに同じ位置にある。但し、本発明は、これに限られない。例えば、後側規定部36の夫々は、上側突出板32の平坦な後面又は下側突出板33の平坦な後面の一部であってもよい。また、後側規定部36は、必要に応じて設ければよい。
【0043】
図13を参照すると、第1端子60の夫々は、主部31の内部に後方から圧入されている。図12及び図13を参照すると、第1端子60の夫々は、表面実装部62と、第1接続部64とを有している。第1接続部64の夫々は、主部31に保持されており、主部31の内部を前後方向に沿って延びている。表面実装部62の夫々は、主部31の後方に位置している。表面実装部62の夫々は、XY平面と平行な平面である。全ての表面実装部62は、XY平面と平行な同一平面上に位置している。本実施の形態の第1端子60は、上述の構造を有しており、上述のように配置されている、但し、全ての表面実装部62が同じ水平面上に位置している限り、第1端子60の構造及び配置は、特に限定されない。
【0044】
図9を参照すると、本実施の形態のハウジング40は、樹脂から成型されており、全体としてYZ平面に沿って延びている。特に、ハウジング40は、左右方向に沿って長く延びている。ハウジング40には、サブコネクタ30に夫々対応する2以上の収容部41が形成されている。収容部41の夫々は、YZ平面において収容壁412によって囲まれた空間である。収容部41は、左右方向に並んでいる。また、ハウジング40は、前面45を有している。前面45は、ハウジング40の前端に位置しており、全ての収容部41に亘って左右方向に延びている。即ち、前面45は、収容壁412の夫々の前端に位置している。
【0045】
図14及び図15を参照すると、収容部41の夫々は、ハウジング40を前後方向に貫通している。換言すれば、収容部41の夫々は、ハウジング40の後方に開口しており、且つ、ハウジング40の前方に開口している。本実施の形態のハウジング40には、4つの収容部41が形成されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、収容部41の数は、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。
【0046】
図20図9と併せて参照すると、第1コネクタ20を組み立てる際、まず、サブコネクタ30の夫々を、対応する収容部41に後方から挿入し、対応する収容部41に収容する。4つのサブコネクタ30が4つの収容部41に夫々収容されたとき、図19及び図20に示した中間構造体18が形成される。
【0047】
図14を参照すると、サブコネクタ30が収容部41に夫々収容されたとき、主部31の夫々は、YZ平面において収容部41の内壁面から離れている。主部31の夫々は、上下方向及び左右方向の夫々において、収容部41の内壁面に突き当たるまで所定距離だけ移動可能である。即ち、ハウジング40は、サブコネクタ30の夫々をフローティング可能に保持している。
【0048】
本実施の形態のハウジング40には、収容部41に加えて、上側固定孔48及び下側固定孔49が形成されている。詳しくは、収容部41の夫々について、2つの上側固定孔48と2つの下側固定孔49とが形成されている。左右方向において互いに隣り合う2つの下側固定孔49は、左右方向において互いに連通している。
【0049】
本実施の形態の収容部41は、収容部41について夫々設けられた部位を含めて、基本的に互いに同じ構造を有している。例えば、上側固定孔48は、互いに同じ構造を有している。また、下側固定孔49は、左右方向において互いに隣り合う2つの下側固定孔49が互いに連通しているものの、互いに同じ構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、サブコネクタ30が互いに異なる構造を有している場合、収容部41は、サブコネクタ30に夫々対応する互いに異なる構造を有していてもよい。以下、本実施の形態の収容部41のうちの1つについて、この収容部41について設けられた部位を併せて説明する。以下の説明は、収容部41の夫々に適用可能である。
【0050】
図14及び図15を参照すると、本実施の形態の収容部41には、上側許容部46と、2つの下側許容部47とが形成されている。即ち、本実施の形態のハウジング40は、上側許容部46と、下側許容部47とを有している。上側許容部46は、収容部41の上端に位置する空間であり、収容部41のうち部分的に上方に張り出した部位である。上側許容部46は、左右方向において収容部41の中間部に位置している。下側許容部47の夫々は、収容部41の下端に位置する空間である。下側許容部47の夫々は、下方に凹んだ凹みである。2つの下側許容部47は、左右方向において収容部41の両側に夫々位置している。上側許容部46は、左右方向において2つの下側許容部47の間に位置している。
【0051】
図15図14と併せて参照すると、上側許容部46及び下側許容部47の夫々は、ハウジング40を前後方向に貫通している。換言すれば、上側許容部46及び下側許容部47の夫々は、ハウジング40の後方に開口しており、且つ、ハウジング40の前方に開口している。図15図16と併せて参照すると、上側許容部46は、前面45において開口している。同様に、下側許容部47の夫々は、前面45において開口している。
【0052】
図14を参照すると、上側許容部46は、YZ平面においてサブコネクタ30の2つの上側キー37に対応する位置を含むようにして、左右方向に長く延びている。このように形成された上側許容部46は、サブコネクタ30を収容部41に収容する際、上側キー37の通過を許容する。2つの下側許容部47は、YZ平面においてサブコネクタ30の2つの下側キー38に夫々対応する位置に形成されている。このように形成された下側許容部47は、サブコネクタ30を収容部41に収容する際、下側キー38の通過を夫々許容する。
【0053】
図14図20と併せて参照すると、本実施の形態によれば、サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、下側キー38は、ハウジング40の前面45の前方にのみ位置している。このように配置された下側キー38は、サブコネクタ30のYZ平面における移動を妨げない。また、サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、上側キー37は、部分的に上側許容部46の内部に位置しており、YZ平面において上側許容部46の内部を移動できる。
【0054】
図14を参照すると、上側キー37及び下側キー38は、左右方向において互いに異なる位置にある。サブコネクタ30を収容部41に上下逆に収容しようとすると、上側キー37及び下側キー38のうちの少なくとも一方が収容部41の前側の内壁面に突き当たる。この結果、収容部41の内部におけるサブコネクタ30の上下逆の収容(逆収容)が防止される。
【0055】
図14図20と併せて参照すると、本実施の形態の上側キー37及び下側キー38は、上述のように配置されており、上述のように機能する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、上側キー37を主部31の前端近傍に設けていてもよく、下側キー38を前後方向に沿って主部31全体にわたって延びるように設けていてもよい。即ち、サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、上側キー37及び下側キー38のうちの一方は、ハウジング40の前面45の前方にのみ位置していてもよく、上側キー37及び下側キー38のうちの他方は、上側許容部46又は下側許容部47の内部を移動可能であってもよい。また、上側許容部46及び下側許容部47は、必要に応じて設ければよい。上側許容部46及び下側許容部47を設けない場合、上側キー37及び下側キー38を設ける必要はない。
【0056】
図14から図16までを参照すると、本実施の形態のハウジング40の収容部41には、2つの規制部43が設けられている。規制部43は、上側許容部46の左右方向における両側に夫々位置している。規制部43の夫々は、収容部41の内部を前後方向に沿って延びており、弾性変形可能である。図20を参照すると、サブコネクタ30を収容部41に挿入する際、サブコネクタ30の上側突出板32は、規制部43の夫々を上方に移動させつつ前方に移動する。サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、上側突出板32の被規制部34は、規制部43の前方に夫々位置する。即ち、サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、規制部43及び被規制部34は、前後方向に対向し、サブコネクタ30が収容部41から抜け出ることを防止する。
【0057】
本実施の形態によれば、リテーナ50(図9参照)を取り付ける前に、サブコネクタ30をハウジング40の内部に仮維持できる。このため、第1コネクタ20(図9参照)を容易に組み立てることができる。本実施の形態によれば、規制部43の夫々は、弾性変形可能であり、被規制部34の夫々は、サブコネクタ30に対して相対的に移動しない。但し、本発明は、これに限られない。例えば、規制部43の夫々は、ハウジング40に対して相対的に移動しないように設けられていてもよく、被規制部34の夫々は、弾性変形可能であってもよい。即ち、規制部43及び被規制部34のうちの一方は、弾性変形可能であってもよい。また、規制部43及び被規制部34は、必要に応じて設ければよい。
【0058】
図14及び図16を参照すると、本実施の形態の収容部41には、3つの前側対向部44が設けられている。即ち、本実施の形態のハウジング40は、3つの前側対向部44を有している。本実施の形態の前側対向部44は、1つの前側対向部442と、2つの前側対向部444とからなる。
【0059】
前側対向部442及び前側対向部444は、収容部41の前側の内壁面に設けられている。前側対向部442は、上下方向において収容部41の下側許容部47と同じ位置にあり、左右方向において収容部41の中間部に位置している。前側対向部442は、収容部41の前側の内壁面から後方に張り出している。前側対向部444は、上下方向において収容部41の上側許容部46と同じ位置にあり、左右方向において上側許容部46の両側に夫々位置している。2つの規制部43は、左右方向において2つの前側対向部444の間に位置している。前側対向部444の夫々は、収容部41の前側の内壁面から後方に張り出している。3つの前側対向部44は、下向きの仮想的な2等辺三角形の頂点に夫々位置している。3つの前側対向部44の後端面は、前後方向において、互いに同じ位置にある。
【0060】
図23及び図24図22と併せて参照すると、サブコネクタ30が収容部41に収容されたとき、前側対向部442は、前後方向においてサブコネクタ30の前側規定部352と対向し、前側対向部444は、前後方向においてサブコネクタ30の前側規定部354と夫々対向する。この配置から理解されるように、サブコネクタ30は、前方限界位置まで前方に移動可能である。一方、サブコネクタ30は、前方限界位置を越えて前方には移動できない。この前方限界位置は、前側規定部35が前側対向部44に夫々突き当たる位置である。即ち、前方限界位置は、サブコネクタ30の前端がハウジング40から最も突出したときの位置である。
【0061】
本実施の形態によれば、3つの前側規定部35は、YZ平面と平行な単一平面において、3つの前側対向部44に夫々突き当たる。また、小さな凸部を前側対向部44として機能させることで、前側規定部35と前側対向部44との間の突き当たり面積を小さくできる。仮に、平面と平面とを突き当てる場合、突き当たり面積が大きくなり易い。突き当たり面積が大きくなるほど成型時の歪みの発生等の問題に起因して前側規定部35を適切な位置に形成し難くなる。一方、本実施の形態によれば、ハウジング40を成型する際に、小さな凸部である前側対向部44を適切な位置に形成し易い。仮に、サブコネクタ30の主部31を成型する際に、前側規定部35を含む部位が歪んだとしても、3つの前側規定部35を、3つの前側対向部44に夫々突き当てることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、前側対向部44の夫々が前後方向に張り出した突き当部であり、前側規定部35の夫々が突き当部と対向する平面である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、前側規定部35の夫々が前後方向に張り出した突き当部であってもよく、前側対向部44の夫々が突き当部と対向する平面であってもよい。即ち、前側規定部35及び前側対向部44のうちの一方は、前後方向に張り出した突き当部であってもよく、前側規定部35及び前側対向部44のうちの他方は突き当部と対向する平面であってもよい。また、前側規定部35及び前側対向部44は、必要に応じて設ければよい。
【0063】
図14及び図15を参照すると、本実施の形態の2つの上側固定孔48は、収容部41の上方に位置しており、左右方向において収容部41の両側に夫々位置している。本実施の形態の下側固定孔49は、収容部41の下方に位置しており、左右方向において収容部41の両側に夫々位置している。上側固定孔48及び下側固定孔49の夫々は、ハウジング40を前後方向に貫通している。上側固定孔48の夫々の内部には、上側係合突起482が設けられている。上側係合突起482の夫々は、上方に突出している。下側固定孔49の夫々の内部には、下側係合突起492が設けられている。下側係合突起492の夫々は、下方に突出している。
【0064】
本実施の形態のハウジング40は、上述した構造を有している。但し、本発明におけるハウジング40の構造は、特に限定されず、必要に応じて変形可能である。
【0065】
図22図20と併せて参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20は、中間構造体18にリテーナ50を取り付けることで形成できる。本実施の形態によれば、リテーナ50の夫々は、ハウジング40に後方から取り付けられており、対応するサブコネクタ30を後方から覆っている。リテーナ50は、ハウジング40に固定されており、これにより、サブコネクタ30が収容部41から抜け出ることを確実に防止する。但し、本発明は、これに限られず。リテーナ50は、必要に応じて設ければよい。例えば、全てのサブコネクタ30のうちの一部のみをリテーナ50で覆ってもよい。
【0066】
図9を参照すると、本実施の形態のリテーナ50は、互いに同じ構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、リテーナ50は、互いに異なる構造を有していてもよい。以下、本実施の形態のリテーナ50のうちの1つについて説明する。以下の説明は、リテーナ50の夫々に適用可能である。
【0067】
図17に示されるように、本実施の形態のリテーナ50は、カバー51と、2つの上側被固定部52と、2つの下側被固定部53と、上側突出部54と、2つの下側突出部56とを有している。カバー51、上側被固定部52、下側被固定部53、上側突出部54及び下側突出部56は、樹脂から一体に成型されている。カバー51は、全体としてYZ平面と平行な矩形平板形状を有している。上側被固定部52、下側被固定部53、上側突出部54及び下側突出部56は、カバー51から前方に延びている。
【0068】
本実施の形態のリテーナ50は、上述した部位を有している。但し、本発明におけるリテーナ50の構造は、特に限定されない。また、以下に説明するリテーナ50の各部位の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0069】
図17及び図18を参照すると、上側被固定部52及び下側被固定部53は、YZ平面におけるカバー51の四隅(即ち、リテーナ50の四隅)に夫々位置している。詳しくは、上側被固定部52は、カバー51の上端に位置しており、左右方向においてカバー51の両側に夫々位置している。下側被固定部53は、カバー51の下端に位置しており、左右方向においてカバー51の両側に夫々位置している。上側突出部54及び下側突出部56は、上下方向において上側被固定部52と下側被固定部53との位置している。下側突出部56は、上側突出部54の下方に位置しており、左右方向においてカバー51の両側に夫々位置している。上側突出部54は、2つの下側突出部56を上方から覆うように左右方向に延びている。
【0070】
上側被固定部52の夫々は、上側被受容部522と上側係合板524とからなる。上側係合板524の夫々は、XY平面と平行な平板形状を有しており、前後方向に沿って延びている。上側係合板524の夫々は、弾性変形可能である。上側被受容部522の夫々は、上側係合板524を上方から覆うようにして前後方向に沿って延びている。
【0071】
下側被固定部53の夫々は、下側被受容部532と下側係合板534とからなる。下側係合板534の夫々は、XY平面と平行な平板形状を有しており、前後方向に沿って延びている。下側係合板534の夫々は、弾性変形可能である。下側被受容部532の夫々は、下側係合板534を下方から覆うようにして前後方向に沿って延びている。
【0072】
図26図14と併せて参照すると、リテーナ50をハウジング40に取り付ける際、上側被固定部52は、ハウジング40の上側固定孔48に夫々挿入され、 下側被固定部53は、ハウジング40の下側固定孔49に夫々挿入される。挿入された上側係合板524は、ハウジング40の上側係合突起482と夫々係合し、挿入された下側係合板534は、ハウジング40の下側係合突起492と夫々係合する。この結果、ハウジング40に取り付けられたリテーナ50は、四隅でハウジング40に固定される。但し、本発明においてリテーナ50をハウジング40に固定する方法は、特に限定されない。
【0073】
図14図16及び図20と併せて参照すると、ハウジング40の収容部41の周りには、3つの受け部42が設けられている。3つの受け部42は、上向きの仮想的な2等辺三角形の頂点に夫々位置している。受け部42の夫々は、後方に張り出した小さな凸部である。図22図20と併せて参照すると、ハウジング40に固定されたリテーナ50を更に前方に移動すると、受け部42がリテーナ50の前面と突き当たり、リテーナ50の前方移動が終わる。この構造により、ハウジング40とリテーナ50との間には、隙間(スロット22)が形成される。
【0074】
図17及び図18を参照すると、本実施の形態のリテーナ50は、3つの後側対向部58を有している。本実施の形態の後側対向部58は、1つの後側対向部582と、2つの後側対向部584とからなる。
【0075】
本実施の形態によれば、上側突出部54は、平坦な前面を有しており、この前面の左右方向における中間部が後側対向部582として機能する。また、2つの下側突出部56は、平坦な前面を夫々有しており、これらの前面の一部が後側対向部584として夫々機能する。本実施の形態の後側対向部58の夫々は、YZ平面と平行な平面である。後側対向部58の夫々には、視認可能な境界が設けられていない。3つの後側対向部58は、上向きの仮想的な2等辺三角形の頂点に夫々位置している。3つの後側対向部58は、前後方向において、互いに同じ位置にある。但し、本発明は、これに限られない。例えば、後側対向部58の夫々は、上側突出部54又は下側突出部56から前方に張り出した部位であってもよい。また、後側対向部58は、必要に応じて設ければよい。
【0076】
図23及び図24図22と併せて参照すると、リテーナ50がハウジング40に固定されたとき、後側対向部582は、前後方向においてサブコネクタ30の後側規定部362と対向し、後側対向部584は、前後方向においてサブコネクタ30の後側規定部364と夫々対向する。この配置から理解されるように、サブコネクタ30は、後方限界位置まで後方に移動可能である。一方、サブコネクタ30は、後方限界位置を越えて後方には移動できない。この後方限界位置は、後側規定部36が後側対向部58に夫々突き当たる位置である。即ち、後方限界位置は、サブコネクタ30の前端がハウジング40に最も近づいたときの位置である。
【0077】
本実施の形態によれば、3つの後側規定部36は、YZ平面と平行な単一平面において、3つの後側対向部58に夫々突き当たる。また、小さな凸部を後側規定部36として機能させることで、後側規定部36と後側対向部58との間の突き当たり面積を小さくできる。仮に、平面と平面とを突き当てる場合、突き当たり面積が大きくなり易い。突き当たり面積が大きくなるほど成型時の歪みの発生等の問題に起因して後側対向部58を適切な位置に形成し難くなる。一方、本実施の形態によれば、サブコネクタ30の主部31を成型する際に、小さな凸部である後側規定部36を適切な位置に形成し易い。仮に、リテーナ50を成型する際に、後側対向部58を含む部位が歪んだとしても、3つの後側規定部36を、3つの後側対向部58に夫々突き当てることができる。
【0078】
本実施の形態によれば、後側規定部36の夫々が前後方向に張り出した突き当部であり、後側対向部58の夫々が突き当部と対向する平面である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、後側対向部58の夫々が前後方向に張り出した突き当部であってもよく、後側規定部36の夫々が突き当部と対向する平面であってもよい。即ち、後側規定部36及び後側対向部58のうちの一方は、前後方向に張り出した突き当部であってもよく、後側規定部36及び後側対向部58のうちの他方は突き当部と対向する平面であってもよい。また、後側規定部36及び後側対向部58は、必要に応じて設ければよい。
【0079】
図22を参照すると、本実施の形態のサブコネクタ30は、収容部41の内部を前後方向に移動可能である。加えて、前述したように、サブコネクタ30は、収容部41の内部を上下方向及び左右方向の夫々において移動可能である。即ち、本実施の形態のサブコネクタ30は、収容部41の内部を三次元的にフローティング可能である。図25を参照すると、サブコネクタ30がフローティングしても、サブコネクタ30の位置及び姿勢に拘らず、サブコネクタ30の上側キー37は、ハウジング40の前面45を超えて前方に延びており、サブコネクタ30の下側キー38は、前面45の前方にのみ位置している。
【0080】
図11を参照すると、後側限界位置を規定する3つの後側規定部36は、仮想的な上向三角形を形成している。図14を参照すると、前側限界位置を規定する3つの前側対向部44は、仮想的な下向三角形を形成している。図11及び図14を参照すると、上向三角形及び下向三角形は、上下方向において互いに逆を向いている。この配置によれば、サブコネクタ30の三次元的なフローティングに伴う姿勢の変化を制御し易く、サブコネクタ30は、三次元的に安定的にフローティングする。但し、本発明は、これに限られない。例えば、3つの前側対向部44が形成する三角形及び3つの後側規定部36が形成する三角形は、上下方向において互いに同じ向きであってもよい。
【0081】
図19から図22までを参照すると、以上の説明において、リテーナ50は、図19及び図20に示した中間構造体18を形成した直後に中間構造体18に取り付けられ、これにより、図21及び図22に示した第1コネクタ20が組み立てられる。一方、図19図20図27及び図28を参照すると、実際の第1コネクタ20は、以下のように組み立てられる。まず、サブコネクタ30にFPC基板80の先端部84を夫々接続する。次に、サブコネクタ30とハウジング40とを中間構造体18に組み立てる。次に、リテーナ50を中間構造体18に取り付ける。
【0082】
図28を参照すると、サブコネクタ30に接続されたFPC基板80及びハウジング40に固定されたリテーナ50は、サブコネクタ30の夫々の三次元的なフローティングを実質的に邪魔しない。即ち、サブコネクタ30の夫々は、対応する収容部41の内部に部分的に且つフローティング可能に収容されている。
【0083】
以下、本実施の形態におけるFPC基板80に接続された第1コネクタ20について説明する。
【0084】
図3及び図22を参照すると、第1コネクタ20には、収容部41に夫々対応する2以上のスロット22が形成されている。スロット22の夫々は、前後方向においてハウジング40とリテーナ50のカバー51との間に形成された空間である。即ち、スロット22の夫々は、前後方向においてハウジング40とリテーナ50との間に位置している。
【0085】
図28図22と併せて参照すると、スロット22の夫々は、対応する収容部41と連通している。スロット22の夫々の前後方向におけるサイズは、フラットなFPC基板80の厚さよりも大きい。FPC基板80の先端部84は、スロット22を夫々通過してサブコネクタ30に夫々接続される。詳しくは、先端部84の導電線(図示せず)は、半田付け等によって第1端子60の表面実装部62に夫々固定され接続される。本実施の形態によれば、スロット22が設けられているため、単一のFPC基板80の4つの先端部84を4つのサブコネクタ30に夫々接続できる。
【0086】
図27を参照しつつ以上の説明を纏めると、本実施の形態の第1コネクタ20は、フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタ30を備えるコネクタである。本実施の形態のサブコネクタ30は、1つのFPC基板80における2以上に分岐した先端部84に夫々接続される。
【0087】
本実施の形態によれば、FPC基板80に接続されたサブコネクタ30をハウジング40に取り付ける際、サブコネクタ30の左右方向における並び順が既に決まっている。従って、サブコネクタ30をハウジング40に取り付ける際、取り付け場所を間違えることがない。図1を参照すると、本実施の形態によれば、フローティグ可能に保持された2以上のサブコネクタ30を含む第1コネクタ20を備えるコネクタ組立体12であって、サブコネクタ30を、取り付け場所を間違えることなくハウジング40に取り付け可能なコネクタ組立体12を提供できる。また、本実施の形態によれば、サブコネクタ30に互いに異なる嵌合キーを設ける場合に比べて、製造コストを低減できる。
【0088】
図28を参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20は、表面実装コネクタである。一般的に、表面実装コネクタについては、端子数が増加するにつれて、コネクタを成型する際の歪みの発生といった問題に起因して、端子の表面実装部を同一平面上に位置させるのが難しくなる。本実施の形態によれば、第1端子60の数が所定数以下となるようにコネクタを分割して4つの第1コネクタ20を設けている。この構造によれば、第1コネクタ20の夫々において、全ての第1端子60の表面実装部62をXY平面と平行な同一平面に配置できる。従って、例えば、リフロー処理によって表面実装部62を適切に半田付けできる。
【0089】
図1及び図2を参照すると、上述のように組み立てられた第1コネクタ20のサブコネクタ30は、第2コネクタ70と嵌合可能である。以下、本実施の形態の第2コネクタ70について説明する。
【0090】
図1を参照すると、本実施の形態の第2コネクタ70は、絶縁体からなる第2ハウジング71と、導電体からなる多数の第2端子79と、絶縁体からなるロケータ796と、金属製の2つの固定部材798とを備えている。例えば、第2端子79の数は80である。第2端子79は、第1コネクタ20の第1端子60(図9参照)に夫々対応して設けられている。第2端子79は、第2ハウジング71に保持されている。固定部材798は、左右方向における第2ハウジング71の両側に夫々圧入されている。固定部材798は、第2コネクタ70の使用時に、第2コネクタ70を第2装置(図示せず)に固定する。本実施の形態の第2コネクタ70は、上述の部材を備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロケータ796及び固定部材798は、必要に応じて設ければよい。一方、第2コネクタ70は、上述の部材に加えて別の部材を更に備えていてもよい。
【0091】
図1及び図4を参照すると、本実施の形態の第2ハウジング71は、左右方向に長く延びている。第2ハウジング71は、仕切部712と、接続部714と、被搭載部716とを有している。仕切部712、接続部714及び被搭載部716は、樹脂から一体に成型されている。仕切部712は、全体としてYZ平面と平行に延びている。接続部714は、第1コネクタ20に接続される部位である。接続部714は、仕切部712から後方に突出しており、左右方向に延びている。被搭載部716は、第2装置(図示せず)に搭載される部位である。被搭載部716は、仕切部712から前方に突出しており、左右方向に延びている。
【0092】
図1を参照すると、本実施の形態の第2コネクタ70は、サブコネクタ30に夫々対応する2以上の嵌合部72を有している。嵌合部72の夫々は、YZ平面において第2ハウジング71の嵌合壁722によって囲まれた空間である。嵌合部72の夫々は、後方に開口しており、前後方向において第2ハウジング71の仕切部712まで延びている。嵌合部72は、左右方向に並んでいる。図8を参照すると、サブコネクタ30の夫々は、対応する嵌合部72に嵌合可能である。嵌合部72の夫々には、サブコネクタ30の第1端子60に夫々対応する第2端子79が保持されている。第2端子79の夫々は、第2接続部792と、被固定部794とを有している。被固定部794は、第2装置(図示せず)に固定され接続されている。
【0093】
第2接続部792は、嵌合状態において、第1端子60の第1接続部64と夫々接触し、これにより、第2コネクタ70は、全てのサブコネクタ30と電気的に接続される。本実施の形態によれば、4つのサブコネクタ30に分けられた全ての第1端子60を全ての第2端子79に纏めて接続できる。
【0094】
図1を参照すると、本実施の形態の第2コネクタ70は、上述した構造を有している。本実施の形態の第2コネクタ70は、4つの嵌合部72を有している。但し、第2コネクタ70がサブコネクタ30に夫々対応する2以上の嵌合部72を有している限り、第2コネクタ70の構造は、特に限定されない。例えば、嵌合部72の数は、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。
【0095】
図5を参照すると、本実施の形態の嵌合部72は、嵌合部72について夫々設けられた部位を含めて、基本的に互いに同じ構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、サブコネクタ30が互いに異なる構造を有している場合、嵌合部72は、サブコネクタ30に夫々対応する互いに異なる構造を有していてもよい。以下、本実施の形態の嵌合部72のうちの1つについて、この嵌合部72について設けられた部位を併せて説明する。以下の説明は、嵌合部72の夫々に適用可能である。
【0096】
図6を参照すると、本実施の形態において、第2コネクタ70の嵌合部72の左右方向におけるサイズMWは、上下方向におけるサイズMHよりも大きい。換言すれば、本実施の形態の嵌合部72は、幅広である。この構造により、第2コネクタ70を低背化できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、サイズMWは、サイズMHよりも小さくてもよい。
【0097】
本実施の形態の嵌合部72には、テーパー面73と、2つの側部リブ74と、4つの上下リブ75とが設けられている。テーパー面73は、2つの側部テーパー面732と、2つの上下テーパー面734とからなる。
【0098】
図6図7及び図8と併せて参照すると、テーパー面73は、嵌合壁722の後端部であり、YZ平面において嵌合部72を囲んでいる。即ち、テーパー面73は、嵌合部72の後端に位置している。側部テーパー面732は、左右方向において嵌合部72の反対側に夫々位置している。側部テーパー面732の夫々は、左右方向の内側に傾斜しつつ前方に延びている。上下テーパー面734は、上下方向において嵌合部72の反対側に夫々位置している。上下テーパー面734の夫々は、上下方向の内側に傾斜しつつ前方に延びている。換言すれば、テーパー面73は、嵌合部72が前方に向かって徐々に窄むように設けられている。
【0099】
図8図6と併せて参照すると、サブコネクタ30を嵌合部72に挿入する際、サブコネクタ30の主部31のYZ平面における位置が嵌合部72のYZ平面における中間部の位置とずれている場合、主部31の前端は、テーパー面73に突き当たる。この結果、サブコネクタ30は、YZ平面において嵌合部72の中間部に向かう力を受けて、適切な位置に移動する。即ち、サブコネクタ30が嵌合部72に嵌合する際、テーパー面73は、サブコネクタ30を嵌合部72の内部に誘導する。
【0100】
図6図7及び図8と併せて参照すると、側部リブ74及び上下リブ75は、テーパー面73の前方に位置している。側部リブ74及び上下リブ75の夫々の後端には、嵌合部72の内部に向かって傾斜する傾斜面が形成されている。側部リブ74は、左右方向において嵌合部72の反対側に夫々位置しており、上下方向において嵌合部72の中間部に位置している。側部リブ74は、左右方向の内側に張り出しており、且つ、前後方向に沿って延びている。上下リブ75のうちの2つは、嵌合壁722の上面(上側嵌合壁722)に設けられており、上下リブ75のうちの他の2つは、嵌合壁722の下面(下側嵌合壁722)に設けられている。上側の2つの上下リブ75は、左右方向における上側嵌合壁722の両側に夫々位置している。下側の2つの上下リブ75は、左右方向における下側嵌合壁722の両側に夫々位置している。
【0101】
図8図6と併せて参照すると、サブコネクタ30は、嵌合部72の内部に誘導された後、側部リブ74及び上下リブ75の傾斜した後端と突き当たり、これにより、サブコネクタ30のYZ平面における位置が更に調整される。サブコネクタ30は、左右方向において側部リブ74によって挟まれ、且つ、上下方向において上下リブ75によって挟まれつつ、嵌合部72の内部を前方に移動する。サブコネクタ30が嵌合部72に嵌合したとき、側部リブ74は、サブコネクタ30の左右方向における移動可能範囲を規定し、上下リブ75は、サブコネクタ30の上下方向における移動可能範囲を規定する。
【0102】
本実施の形態によれば、テーパー面73、側部リブ74及び上下リブ75によって、フローティング可能なサブコネクタ30を嵌合部72に対して正確に位置決めできる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、テーパー面73、側部リブ74及び上下リブ75は、必要に応じて設ければよい。
【0103】
本実施の形態の2つの側部リブ74は、上下方向において互いに同じ位置にある。本実施の形態の4つの上下リブ75のうちの上側の2つは、下側の2つと左右方向において夫々同じ位置にある。この配置によれば、サブコネクタ30を嵌合部72に対してより正確に位置決めできる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、嵌合部72には、2つの上下リブ75が設けられていればよい。上下リブ75の数が2である場合、上下リブ75は、上下方向において嵌合部72の反対側に夫々位置しており、上下方向の内側に張り出しており、且つ、前後方向に沿って延びていればよい。上下リブ75の数が3である場合、3つの上下リブ75は、仮想的な三角形の頂点に夫々位置するように配置してもよい。また、側部リブ74は、上下方向において互いに異なる位置にあってもよい。
【0104】
図6を参照すると、2つの上下リブ75は、上下方向において所定距離RHだけ互いに離れている。テーパー面73は、左右方向においてサイズTWを有しており、上下方向においてサイズTHを有している。詳しくは、側部テーパー面732の夫々は、左右方向においてサイズTWを有している。上下テーパー面734の夫々は、上下方向においてサイズTHを有している。サイズTW及びサイズTHの夫々は、所定距離RHの1/5以上である。換言すれば、テーパー面73は、左右方向及び上下方向の夫々において、所定距離RHの1/5以上のサイズを有している。
【0105】
本実施の形態のテーパー面73のサイズTW及びサイズTHは、従来技術に比べてかなり大きい。本実施の形態によれば、第1コネクタ20を第2コネクタ70に嵌合させる際、第1コネクタ20のYZ平面における位置が第2コネクタ70のYZ平面における位置と比較的大きくずれていても、サブコネクタ30に対して前方に向かう小さな力を加えることで、サブコネクタ30のYZ平面における位置をテーパー面73によって調整できる。従って、第1コネクタ20及び第2コネクタ70のうちの一方をロボット(図示せず)のアームによって保持して第1コネクタ20及び第2コネクタ70のうちの他方に向かって相対的に移動させると、サブコネクタ30は、第2コネクタ70に小さな挿入力で嵌合する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、テーパー面73のサイズは、必要に応じて設定すればよい。
【0106】
図6図8と併せて参照すると、本実施の形態において、嵌合部72の上方には、2つの上側溝76が形成されており、嵌合部72の下方には、2つの下側溝77が形成されている。上側溝76及び下側溝77の夫々は、前後方向に沿って接続部714全体に亘って延びており、後方に開口している。上側溝76及び下側溝77は、左右方向において互いに異なる位置にある。
【0107】
サブコネクタ30を上側キー37が下側キー38の上方に位置した適切な姿勢で嵌合部72に挿入すると、上側キー37は、上側溝76に夫々受容され、下側キー38は、下側溝77に夫々受容される。即ち、第2コネクタ70には、サブコネクタ30の上側キー37に対応する上側溝76と、サブコネクタ30の下側キー38に対応する下側溝77とが形成されている。サブコネクタ30を第2コネクタ70の嵌合部72に嵌合する際、上側キー37は、上側溝76に受容され、下側キー38は、下側溝77に受容される。
【0108】
図1図6と併せて参照すると、本実施の形態によれば、第1コネクタ20を第2コネクタ70に上下逆に嵌合しようとすると、上側キー37及び下側キー38は、嵌合部72のテーパー面73に突き当たり、これにより、第1コネクタ20は、第2コネクタ70に嵌合できない。即ち、上側キー37及び下側キー38は、サブコネクタ30のハウジング40への逆収容を防止するキーとして機能するだけではなく、第1コネクタ20の逆嵌合を防止する嵌合キーとしても機能する。
【0109】
図1及び図2を参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20及び第2コネクタ70は、以上に説明したように互いに嵌合可能である。図1図23及び図24と併せて参照すると、第1コネクタ20を第2コネクタ70に向かって相対的に移動させると、サブコネクタ30の夫々は、第2コネクタ70から後方に向かう力を受け、後方限界位置に移動しつつ第2コネクタ70に纏めて嵌合される。このとき、サブコネクタ30の後側規定部36は、YZ平面と平行な平面においてリテーナ50の後側対向部58と突き当たる。前述したように、後側規定部36と後側対向部58との間の突き当たり面積は僅かである。このため、サブコネクタ30のYZ平面における位置がずれていたとしても、サブコネクタ30は、摩擦力を殆ど受けることなく、YZ平面においてスムーズに適切な位置に移動し、前後方向に沿って真っ直ぐ延びる。即ち、後側規定部36及び後側対向部58は、嵌合時のサブコネクタ30の姿勢を安定させる。
【0110】
第2コネクタ70に嵌合した第1コネクタ20を後方に向かって引くと、サブコネクタ30の夫々は、第2コネクタ70から前方に向かう力を受け、前方限界位置に移動しつつ第2コネクタ70から纏めて抜去される。このとき、ハウジング40の前側対向部44は、YZ平面と平行な平面においてサブコネクタ30の前側規定部35と突き当たる。前述したように、前側対向部44と前側規定部35との間の突き当たり面積は僅かである。このため、第1コネクタ20を引く方向が前後方向と斜交していたとしても、サブコネクタ30は、摩擦力を殆ど受けることなく、YZ平面においてスムーズに移動し、前後方向に沿って真っ直ぐ延びる。即ち、前側規定部35及び前側対向部44は、抜去時のサブコネクタ30の姿勢を安定させる。
【0111】
図1及び図2を参照すると、前述したように、本実施の形態のコネクタ組立体12は、FPC基板80とともに構造体10を形成する。即ち、本実施の形態の構造体10は、コネクタ組立体12と、2以上に分岐した先端部84を有する1つのFPC基板80とを備えている。サブコネクタ30は、先端部84に夫々接続されている。
【0112】
本発明は、既に説明した実施の形態や様々な変形例に加えて、更に様々に適用可能である。例えば、図6及び図8を参照すると、本実施の形態の第2コネクタ70の嵌合部72の夫々の上方には、2つのキー溝78が形成されている。嵌合部72の夫々において、2つの上側溝76は、左右方向において2つのキー溝78の間に位置している。キー溝78の夫々は、前後方向に沿って延びており、後方に開口している。4つの嵌合部72におけるキー溝78の配置は、互いに異なっている。
【0113】
例えば、本実施の形態の第1コネクタ20(図1参照)に代えて、ディスクリート電線に夫々取り付けられた4つの互いに独立なコネクタ(図示せず)を第2コネクタ70に接続してよい。この場合、コネクタの夫々にキー溝78に対応した嵌合キーを設ければよい。
【0114】
図1を参照すると、リテーナ50の夫々に、FPC基板80の先端部84が前後方向に沿って通過可能な孔を設けてもよい。また、第1コネクタ20にリテーナ50を設けない場合、先端部84を含むFPC基板80は、前後方向に沿って延びていてもよい。但し、リテーナ50を設けない場合、第1コネクタ20を第2コネクタ70に嵌合する際、サブコネクタ30が後方に向かう力によって収容部41(図9参照)から抜け出るおそれがある。従って、特に理由がない限り、リテーナ50を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0115】
10 構造体
12 コネクタ組立体
18 中間構造体
20 第1コネクタ
22 スロット
30 サブコネクタ
31 主部
32 上側突出板
33 下側突出板
34 被規制部
35,352,354 前側規定部
36,362,364 後側規定部
37 上側キー
38 下側キー
39 後方突出部
392 固定部材
40 ハウジング
41 収容部
412 収容壁
42 受け部
43 規制部
44,442,444 前側対向部
45 前面
46 上側許容部
47 下側許容部
48 上側固定孔
482 上側係合突起
49 下側固定孔
492 下側係合突起
50 リテーナ
51 カバー
52 上側被固定部
522 上側被受容部
524 上側係合板
53 下側被固定部
532 下側被受容部
534 下側係合板
54 上側突出部
56 下側突出部
58,582,584 後側対向部
60 第1端子
62 表面実装部
64 第1接続部
70 第2コネクタ
71 第2ハウジング
712 仕切部
714 接続部
716 被搭載部
72 嵌合部
722 嵌合壁
73 テーパー面
732 側部テーパー面
734 上下テーパー面
74 側部リブ
75 上下リブ
76 上側溝
77 下側溝
78 キー溝
79 第2端子
792 第2接続部
794 被固定部
796 ロケータ
798 固定部材
80 FPC基板
82 基部
84 先端部
86 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29