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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101829
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】コネクタ及び嵌合コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005984
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 行潤
(72)【発明者】
【氏名】大野 紘明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】林 淳平
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC38
5E021FC40
5E021JA05
5E021KA08
(57)【要約】
【課題】好適なインターロック構造を有すること。
【解決手段】嵌合部121を有するハウジング120と、嵌合部の筒内の端子金具130と、ハウジングに収容された一対の嵌合検知端子140と、完全嵌合位置か半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路600に嵌合検知端子を電気接続させる嵌合検知端子毎のインターロック端子151が設けられたインターロックコネクタ150と、を備え、一方の嵌合検知端子は、固定接点部141を有し、他方の嵌合検知端子は、嵌合部の筒内で固定接点部に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部142を有し、バネ接点部は、半嵌合位置の場合、嵌合部の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21に押動されずに固定接点部との間隔を保たせ、完全嵌合位置の場合、嵌合部の筒内に入り込んだ相手方嵌合部に押動されて固定接点部に接触するまで弾性変形させること。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒内に嵌入させた相手方嵌合部を完全嵌合位置で嵌合接続させる筒状の嵌合部を有するハウジングと、
前記嵌合部の筒内に収容され且つ前記完全嵌合位置で相手方端子金具の相手方端子接続部に嵌合接続させる端子接続部を有する端子金具と、
前記ハウジングに収容された一対の嵌合検知端子と、
相手方コネクタとの間の通電品質を確保する前記完全嵌合位置か前記相手方コネクタとの間の通電品質が安定し得ない半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路に前記嵌合検知端子を電気接続させる前記嵌合検知端子毎のインターロック端子が設けられたインターロックコネクタと、
を備え、
一方の前記嵌合検知端子は、固定接点部を有し、
他方の前記嵌合検知端子は、前記嵌合部の筒内で前記固定接点部に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部を有し、
前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されずに前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されたとしても前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されて前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴としたコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記相手方嵌合部毎の前記嵌合部を2箇所に有し、
前記端子金具は、前記嵌合部毎に設け、
一対の前記嵌合検知端子は、一方の前記嵌合部の筒内で間隔を空けて配置された一方の前記固定接点部と一方の前記バネ接点部の他に、他方の前記嵌合検知端子に設けた他方の固定接点部と、一方の前記嵌合検知端子に設け、他方の前記嵌合部の筒内で他方の前記固定接点部に対して間隔を空けて配置された他方のバネ接点部と、を有し、
一方の前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されずに一方の前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されたとしても一方の前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されて一方の前記固定接点部に接触するまで弾性変形させ、
他方の前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されずに他方の前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されたとしても他方の前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されて他方の前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴とした請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記バネ接点部は、片持ちの弾性変形可能な片体形状に形成され、筒状の前記相手方嵌合部の外周面に押動されて撓むことを特徴とした請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記嵌合検知端子は、前記相手方コネクタに対する嵌合接続方向とは逆向きに突出させた第1検知端子接続部を有し、
前記インターロックコネクタは、一対の前記インターロック端子を収容し、かつ、前記嵌合接続方向と同じ向きで前記ハウジングに嵌合接続させるインターロックハウジングを備え、
前記インターロック端子は、前記第1検知端子接続部に対して前記嵌合接続方向に嵌合接続させる第2検知端子接続部と、前記外部判定回路に電気接続させる電線を物理的且つ電気的に接続させ、かつ、前記電線を前記インターロックハウジングから前記嵌合接続方向とは逆向きで外部に引き出させる電線接続部と、を有することを特徴とした請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項5】
完全嵌合位置で相互間の通電品質を確保する一方、半嵌合位置で相互間の通電品質が安定し得ない相手方コネクタとコネクタを備え、
前記相手方コネクタは、筒状の相手方嵌合部を有する相手方ハウジングと、前記相手方嵌合部の筒内に収容される相手方端子接続部を有する相手方端子金具と、を備え、
前記コネクタは、筒内に嵌入させた前記相手方嵌合部を前記完全嵌合位置で嵌合接続させる筒状の嵌合部を有するハウジングと、前記嵌合部の筒内に収容され且つ前記完全嵌合位置で前記相手方端子接続部に嵌合接続させる端子接続部を有する端子金具と、前記ハウジングに収容された一対の嵌合検知端子と、前記完全嵌合位置か前記半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路に前記嵌合検知端子を電気接続させる前記嵌合検知端子毎のインターロック端子が設けられたインターロックコネクタと、を備え、
一方の前記嵌合検知端子は、固定接点部を有し、
他方の前記嵌合検知端子は、前記嵌合部の筒内で前記固定接点部に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部を有し、
前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されずに前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されたとしても前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されて前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴とした嵌合コネクタ。
【請求項6】
前記相手方ハウジングは、前記相手方嵌合部を2箇所に有し、
前記ハウジングは、前記相手方嵌合部毎の前記嵌合部を有し、
前記相手方端子金具は、前記相手方嵌合部毎に設け、
前記端子金具は、前記嵌合部毎に設け、
一対の前記嵌合検知端子は、一方の前記嵌合部の筒内で間隔を空けて配置された一方の前記固定接点部と一方の前記バネ接点部の他に、他方の前記嵌合検知端子に設けた他方の固定接点部と、一方の前記嵌合検知端子に設け、他方の前記嵌合部の筒内で他方の前記固定接点部に対して間隔を空けて配置された他方のバネ接点部と、を有し、
一方の前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されずに一方の前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されたとしても一方の前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、一方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ一方の前記相手方嵌合部に押動されて一方の前記固定接点部に接触するまで弾性変形させ、
他方の前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されずに他方の前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されたとしても他方の前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、他方の前記嵌合部の筒内に入り込んだ他方の前記相手方嵌合部に押動されて他方の前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴とした請求項5に記載の嵌合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び嵌合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嵌合コネクタにおいては、雌コネクタと雄コネクタとが完全嵌合状態であるのか半嵌合状態であるのかを判定するべく、その判定を担うインターロック機能を持たせたものが存在する。例えば、下記の特許文献1には、雌コネクタと雄コネクタにそれぞれインターロックコネクタを設け、雄コネクタのインターロックコネクタの導通部が雌コネクタのインターロックコネクタの一対の弾性接触片で挟持されたときに相互間に流れる電気信号を検知して嵌合検知を行うという技術が開示されている。また、下記の特許文献2から6には、雌コネクタと雄コネクタの嵌合時に一方のコネクタの端子金具を他方のコネクタの導通ピンに接続させるなどして嵌合検知を行うという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-072064号公報
【特許文献2】特開2019-003807号公報
【特許文献3】特開2013-161576号公報
【特許文献4】特開2013-140821号公報
【特許文献5】特開2012-128967号公報
【特許文献6】特開2011-048983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の嵌合コネクタは、そのインターロック構造に関して改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、好適なインターロック構造を有するコネクタ及び嵌合コネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、筒内に嵌入させた相手方嵌合部を完全嵌合位置で嵌合接続させる筒状の嵌合部を有するハウジングと、前記嵌合部の筒内に収容され且つ前記完全嵌合位置で相手方端子金具の相手方端子接続部に嵌合接続させる端子接続部を有する端子金具と、前記ハウジングに収容された一対の嵌合検知端子と、相手方コネクタとの間の通電品質を確保する前記完全嵌合位置か前記相手方コネクタとの間の通電品質が安定し得ない半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路に前記嵌合検知端子を電気接続させる前記嵌合検知端子毎のインターロック端子が設けられたインターロックコネクタと、を備え、一方の前記嵌合検知端子は、固定接点部を有し、他方の前記嵌合検知端子は、前記嵌合部の筒内で前記固定接点部に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部を有し、前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されずに前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されたとしても前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されて前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る嵌合コネクタは、完全嵌合位置で相互間の通電品質を確保する一方、半嵌合位置で相互間の通電品質が安定し得ない相手方コネクタとコネクタを備え、前記相手方コネクタは、筒状の相手方嵌合部を有する相手方ハウジングと、前記相手方嵌合部の筒内に収容される相手方端子接続部を有する相手方端子金具と、を備え、前記コネクタは、筒内に嵌入させた前記相手方嵌合部を前記完全嵌合位置で嵌合接続させる筒状の嵌合部を有するハウジングと、前記嵌合部の筒内に収容され且つ前記完全嵌合位置で前記相手方端子接続部に嵌合接続させる端子接続部を有する端子金具と、前記ハウジングに収容された一対の嵌合検知端子と、前記完全嵌合位置か前記半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路に前記嵌合検知端子を電気接続させる前記嵌合検知端子毎のインターロック端子が設けられたインターロックコネクタと、を備え、一方の前記嵌合検知端子は、固定接点部を有し、他方の前記嵌合検知端子は、前記嵌合部の筒内で前記固定接点部に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部を有し、前記バネ接点部は、前記半嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されずに前記固定接点部との前記間隔を保たせ又は前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されたとしても前記固定接点部に接触させず、前記完全嵌合位置の場合、前記嵌合部の筒内に入り込んだ前記相手方嵌合部に押動されて前記固定接点部に接触するまで弾性変形させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコネクタ及び嵌合コネクタは、一対の嵌合検知端子とインターロックコネクタによって、相手方コネクタとコネクタが完全嵌合位置にあるのか半嵌合位置にあるのかを外部判定回路に検知させることができる。つまり、このコネクタ及び嵌合コネクタは、嵌合検知端子同士を自身が持つバネ接点部のバネ力を利用して導通させることができ、嵌合検知端子同士の導通を図るための専用部品を必要としないので、インターロック構造に要する部品点数を最小限に抑えることができる。そして、このコネクタ及び嵌合コネクタは、対になる固定接点部とバネ接点部を少なくとも一組有していればよく、嵌合検知端子同士の導通を図るための専用部品を必要としないことと相俟って、その導通を図るための接触点の数量を最小限に抑えることができる。従って、本発明に係るコネクタ及び嵌合コネクタは、信頼性の高い好適なインターロック構造を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の嵌合コネクタを相手方コネクタとコネクタとに分けて示す斜視図である。
図2図2は、実施形態の嵌合コネクタをコネクタ側から見た平面図である。
図3図3は、図2のA部拡大図である。
図4図4は、コネクタをインターロックコネクタ側から見た平面図である。
図5図5は、コネクタを端子金具側から見た平面図である。
図6図6は、コネクタの分解斜視図である。
図7図7は、相手方コネクタを端子金具側から見た平面図である。
図8図8は、嵌合検知端子を示す斜視図である。
図9図9は、インターロックコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るコネクタ及び嵌合コネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
本発明に係るコネクタ及び嵌合コネクタの実施形態の1つを図1から図9に基づいて説明する。
【0012】
図1から図3に示す符号1は、本実施形態の嵌合コネクタを示す。この嵌合コネクタ1は、完全嵌合位置で相互間の通電品質を確保する一方、半嵌合位置で相互間の通電品質が安定し得ない相手方コネクタ10とコネクタ110を備える(図1から図7)。相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置のときとは、その相互間の通電状態を保ち得る嵌合位置のことである。一方、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置のときとは、その相互間で通電状態とならない嵌合位置、又は、その相互間の通電状態を保ち得ない嵌合位置のことである。例えば、この嵌合コネクタ1においては、相手方コネクタ10とコネクタ110の内の何れか一方が電気自動車等におけるインバータのケース500に取り付けられる(図1)。
【0013】
相手方コネクタ10は、筒状の相手方嵌合部21を有する相手方ハウジング20と、その相手方嵌合部21の筒内に収容される相手方端子接続部31を有する相手方端子金具30と、を備える(図1及び図7)。一方、コネクタ110は、筒内に嵌入させた相手方嵌合部21を完全嵌合位置で嵌合接続させる筒状の嵌合部121を有するハウジング120と、その嵌合部121の筒内に収容され且つ完全嵌合位置で相手方端子接続部31に嵌合接続させる端子接続部131を有する端子金具130と、を備える(図1から図6)。
【0014】
この相手方コネクタ10とコネクタ110は、その内の一方が雌コネクタとして構成され、かつ、その内の他方が雌コネクタとして構成される。この相手方コネクタ10とコネクタ110は、相手方嵌合部21と嵌合部121が完全嵌合位置のときに、それぞれの筒内の相手方端子接続部31と端子接続部131を嵌合接続させ、この相手方端子接続部31と端子接続部131を物理的且つ電気的に接続させる。
【0015】
ここで示す相手方コネクタ10は、相手方端子接続部31が雌端子形状の雌端子金具を相手方端子金具30とする雌コネクタである。そして、ここで示すコネクタ110は、端子接続部131が雄端子形状の雄端子金具を端子金具130とする雄コネクタである。本実施形態では、相手方端子接続部31が円筒の雌端子形状に形成され、円筒状の相手方嵌合部21の筒内で相手方端子接続部31が同心上に配置されている。また、本実施形態では、端子接続部131が円柱の雄端子形状に形成され、円筒状の嵌合部121の筒内で内周面に対して端子接続部131が隙間を空けて同心上に配置されている。相手方嵌合部21は、その嵌合部121の内周面と端子接続部131の外周面との間の円筒状の隙間に嵌入される。
【0016】
この嵌合コネクタ1は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置にあるのか半嵌合位置にあるのかを検知するためのインターロック構造を備える。この嵌合コネクタ1においては、そのインターロック構造をコネクタ110に設けている。
【0017】
コネクタ110は、そのインターロック構造として、ハウジング120に収容された一対の嵌合検知端子140と、完全嵌合位置か半嵌合位置かを電気信号に基づき判定する外部判定回路600に嵌合検知端子140を電気接続させる嵌合検知端子140毎のインターロック端子151が設けられたインターロックコネクタ150と、を備える(図1から図6図8及び図9)。
【0018】
一方の嵌合検知端子140は、固定接点部141を有する。そして、他方の嵌合検知端子140は、嵌合部121の筒内で固定接点部141に対して間隔を空けて配置されたバネ接点部142を有する(図2図3図6及び図8)。一対の嵌合検知端子140においては、そのバネ接点部142を固定接点部141側に撓ませて弾性変形させることによって、このバネ接点部142を固定接点部141に接触させる。この一対の嵌合検知端子140においては、嵌合部121の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21の外周面21aにバネ接点部142が押動されて撓む(図2及び図3)。よって、バネ接点部142は、嵌合部121の貫通孔121aを介して嵌合部121の筒内に配置される(図5)。
【0019】
インターロック構造においては、その固定接点部141とバネ接点部142が接触しなければ、一対の嵌合検知端子140と一対のインターロック端子151と外部判定回路600との間に閉回路が形成されず、その外部判定回路600に電気信号が流れない。一方、このインターロック構造においては、その固定接点部141とバネ接点部142が接触していれば、一対の嵌合検知端子140と一対のインターロック端子151と外部判定回路600との間に閉回路が形成され、その外部判定回路600に電気信号が流れる。
【0020】
例えば、固定接点部141は、片体形状に形成される。また、バネ接点部142は、片持ちの弾性変形可能な片体形状に形成される。ここで示す一対の嵌合検知端子140においては、その固定接点部141とバネ接点部142が矩形の平板状の片部として形成されており、この固定接点部141とバネ接点部142がそれぞれの一方の平面を向かい合わせにして間隔を空けて対向配置されている。嵌合部121の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21は、そのバネ接点部142を他方の平面から押し動かして撓ませる。
【0021】
この対になる固定接点部141とバネ接点部142の内の一方には、他方側へと膨出させた接点が設けられている。ここでは、バネ接点部142が固定接点部141側に膨出させた接点142aを有しており、バネ接点部142を撓ませた際に接点142aを介して固定接点部141とバネ接点部142を接触させる(図3及び図8)。
【0022】
また、一対の嵌合検知端子140は、それぞれに、相手方コネクタ10に対するコネクタ110の嵌合接続方向に突出させた嵌合部143を有する(図6及び図8)。嵌合検知端子140は、その嵌合部143をハウジング120に嵌入させることによってハウジング120に保持させる。尚、以下において特段の言及も無く単に「嵌合接続方向」と記した場合、その嵌合接続方向とは、相手方コネクタ10に対するコネクタ110の嵌合接続方向のことを示している。
【0023】
また、一対の嵌合検知端子140は、それぞれに、嵌合接続方向とは逆向きに突出させた第1検知端子接続部144を有する(図6及び図8)。この嵌合検知端子140においては、その第1検知端子接続部144をインターロックコネクタ150に対して物理的且つ電気的に接続させる。
【0024】
そのインターロックコネクタ150は、一対のインターロック端子151を収容し、かつ、嵌合接続方向と同じ向きでハウジング120に嵌合接続させるインターロックハウジング152を備えている(図6及び図9)。そして、このインターロックコネクタ150は、インターロックハウジング152をハウジング120に嵌合接続させることによって、一対のインターロック端子151をそれぞれの嵌合検知端子140の第1検知端子接続部144に対して物理的且つ電気的に接続させる。よって、インターロック端子151は、第1検知端子接続部144に対して嵌合接続方向に嵌合接続させる第2検知端子接続部151aを有している(図9)。更に、このインターロック端子151は、外部判定回路600に電気接続させる電線153を物理的且つ電気的に接続させ、かつ、その電線153をインターロックハウジング152から嵌合接続方向とは逆向きで外部に引き出させる電線接続部151bを有している(図9)。
【0025】
ここで示すインターロックハウジング152は、方体状に形成され、その内方にインターロック端子151毎の端子収容室152aを有している(図9)。インターロックコネクタ150においては、このインターロックハウジング152の嵌合接続方向側の端面における端子収容室152a毎の第1開口(図示略)から第1検知端子接続部144を端子収容室152aに挿入させ、その端子収容室152aの室内の第2検知端子接続部151aに第1検知端子接続部144を嵌合接続させる。また、このインターロックコネクタ150においては、インターロックハウジング152の嵌合接続方向側とは逆側の端面における端子収容室152a毎の第2開口152bから電線153を外部に引き出させる(図6)。この電線153は、その引き出された先で外部判定回路600に電気接続させる。
【0026】
このインターロック構造において、バネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、嵌合部121の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21に押動されずに固定接点部141との間隔を保たせる。または、このバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、嵌合部121の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21に押動されたとしても固定接点部141に接触させない。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140と一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって閉回路が形成されず、その外部判定回路600に電気信号が流れない。よって、外部判定回路600は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合状態にあることを検知することができる。
【0027】
また、このインターロック構造において、バネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置の場合、嵌合部121の筒内に入り込んだ相手方嵌合部21に押動されて固定接点部141に接触するまで弾性変形させる。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140と一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって閉回路が形成され、その外部判定回路600に電気信号が流れる。よって、外部判定回路600は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合状態にあることを検知することができる。
【0028】
ここで、この例示の相手方ハウジング20は、相手方嵌合部21を2箇所に有している。そして、ハウジング120は、その相手方嵌合部21毎の嵌合部121を有している。また、相手方端子金具30は、相手方嵌合部21毎に設けている。そして、端子金具130は、嵌合部121毎に設けている。一対の嵌合検知端子140とインターロックコネクタ150は、その一対の嵌合部121の外周壁の間に配置されている。
【0029】
一対の嵌合検知端子140においては、先に示した一方の嵌合検知端子140の固定接点部141と他方の嵌合検知端子140のバネ接点部142とが一方の嵌合部121側に配置されている。この例示の一対の嵌合検知端子140は、その一方の嵌合部121の筒内で間隔を空けて配置された一方の固定接点部141と一方のバネ接点部142の他に、他方の嵌合検知端子140に設けた他方の固定接点部141と、一方の嵌合検知端子140に設け、他方の嵌合部121の筒内で他方の固定接点部141に対して間隔を空けて配置された他方のバネ接点部142と、を有している。つまり、この例示の一対の嵌合検知端子140は、対になる固定接点部141とバネ接点部142の組み合わせを2組有している。この例示では、それぞれの嵌合検知端子140に同じ部品を用いている。
【0030】
嵌合検知端子140は、固定接点部141とバネ接点部142を繋ぐ連結部145を有している(図2図3図6及び図8)。ここで示す連結部145は、長方形の平板状に形成され、その長手方向を一対の嵌合部121の外周壁の間で当該一対の嵌合部121の配列方向に合わせて配置されている。嵌合検知端子140においては、この連結部145の長手方向の一端に固定接点部141を設け、この連結部145の長手方向の他端にバネ接点部142を設けている。固定接点部141は、連結部145の一端で一方の平面から垂設させている。バネ接点部142は、連結部145の他端で他方の平面から垂設させている。また、この嵌合検知端子140においては、嵌合部143を連結部145における嵌合接続方向側の長辺から嵌合接続方向に向けて板状に突出させ、かつ、第1検知端子接続部144を連結部145における嵌合接続方向側とは逆側の長辺から嵌合接続方向とは逆向きに軸状の雄端子部として突出させている。そして、ここで示す第2検知端子接続部151aは、その第1検知端子接続部144を嵌入させる角筒状の雌端子部として形成されている。
【0031】
この例示のインターロック構造において、一方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、一方の嵌合部121の筒内に入り込んだ一方の相手方嵌合部21に押動されずに一方の固定接点部141との間隔を保たせる。または、この一方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、一方の嵌合部121の筒内に入り込んだ一方の相手方嵌合部21に押動されたとしても一方の固定接点部141に接触させない。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140における一方の固定接点部141及び一方のバネ接点部142の組み合わせと一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって第1閉回路が形成されない。また、この例示のインターロック構造において、他方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、他方の嵌合部121の筒内に入り込んだ他方の相手方嵌合部21に押動されずに他方の固定接点部141との間隔を保たせる。または、この他方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置の場合、他方の嵌合部121の筒内に入り込んだ他方の相手方嵌合部21に押動されたとしても他方の固定接点部141に接触させない。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140における他方の固定接点部141及び他方のバネ接点部142の組み合わせと一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって第2閉回路が形成されない。このように、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合位置のときには、第1閉回路も第2閉回路も形成されないので、外部判定回路600に電気信号が流れない。よって、外部判定回路600は、相手方コネクタ10とコネクタ110が半嵌合状態にあることを検知することができる。
【0032】
これに対して、この例示のインターロック構造において、一方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置の場合、一方の嵌合部121の筒内に入り込んだ一方の相手方嵌合部21に押動されて一方の固定接点部141に接触するまで弾性変形させる。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140における一方の固定接点部141及び一方のバネ接点部142の組み合わせと一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって第1閉回路が形成され、その外部判定回路600に電気信号が流れる。よって、外部判定回路600は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合状態にあることを検知することができる。また、この例示のインターロック構造において、他方のバネ接点部142は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置の場合、他方の嵌合部121の筒内に入り込んだ他方の相手方嵌合部21に押動されて他方の固定接点部141に接触するまで弾性変形させる。このため、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置のときには、一対の嵌合検知端子140における他方の固定接点部141及び他方のバネ接点部142の組み合わせと一対のインターロック端子151と一対の電線153と外部判定回路600とによって第2閉回路が形成され、その外部判定回路600に電気信号が流れる。よって、外部判定回路600は、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合状態にあることを検知することができる。
【0033】
以上示したように、本実施形態のコネクタ110及び嵌合コネクタ1は、一対の嵌合検知端子140とインターロックコネクタ150によって、相手方コネクタ10とコネクタ110が完全嵌合位置にあるのか半嵌合位置にあるのかを外部判定回路600に検知させることができる。つまり、このコネクタ110及び嵌合コネクタ1は、嵌合検知端子140同士を自身が持つバネ接点部142のバネ力を利用して導通させることができ、嵌合検知端子140同士の導通を図るための専用部品を必要としないので、インターロック構造に要する部品点数を最小限に抑えることができる。そして、このコネクタ110及び嵌合コネクタ1は、対になる固定接点部141とバネ接点部142を少なくとも一組有していればよく、嵌合検知端子140同士の導通を図るための専用部品を必要としないことと相俟って、その導通を図るための接触点の数量を最小限に抑えることができる。従って、本実施形態のコネクタ110及び嵌合コネクタ1は、信頼性の高い好適なインターロック構造を有することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 嵌合コネクタ
10 相手方コネクタ
20 相手方ハウジング
21 相手方嵌合部
21a 外周面
30 相手方端子金具
31 相手方端子接続部
110 コネクタ
120 ハウジング
121 嵌合部
130 端子金具
131 端子接続部
140 嵌合検知端子
141 固定接点部
142 バネ接点部
144 第1検知端子接続部
150 インターロックコネクタ
151 インターロック端子
151a 第2検知端子接続部
151b 電線接続部
152 インターロックハウジング
153 電線
600 外部判定回路
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9