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特開2024-101847運搬補助具、運搬補助装置、および箱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101847
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】運搬補助具、運搬補助装置、および箱装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/22 20060101AFI20240723BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B65D25/22 Z
B65D21/02 510
B65D25/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006008
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮博
【テーマコード(参考)】
3E006
3E062
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA03
3E006CA01
3E006DA10
3E006DB10
3E006GA05
3E062AA03
3E062AB20
3E062AC01
3E062BB06
3E062BB10
3E062GB02
3E062HA04
3E062HB04
3E062HC04
(57)【要約】
【課題】 作業性が良く、力を入れやすい運搬補助具を提供する。
【解決手段】 箱1は、有底箱状をなし、周壁1bの上部側の外側に、外側重合壁1dを備える。運搬補助具2は、箱1の外側重合壁1dに係止する係止部2aと、持ち手部2bと、箱1の側面1eに当接する当接部2cとを備える。持ち手部2bは、係止部2aが箱1の外側重合壁1dに係止し、当接部2cが箱1の側面1eに当接した状態で、上方からみた平面視において、箱1の側面1eよりも側方に離れて位置する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被運搬物としての箱を運搬するための運搬補助具であって、
前記箱は、上方に開口し下方に底壁が形成された有底箱状をなし、箱を形成する周壁の上部側の外側に、前記周壁とで二重壁を形成するとともに前記周壁との間が下方に開口する凹部となる外側重合壁を備えており、
前記運搬補助具は、
先端側から前記箱の前記凹部に差し入れられて前記外側重合壁に係止する係止部と、
手で握り持つための持ち手部と、
前記係止部が前記箱の前記外側重合壁に係止した状態で、前記係止部が係止した箱の側面、または、その箱のすぐ上に積み重ねられる同一形状の別の箱の側面の、いずれか一方もしくは双方の側面に当接する当接部とを、備え、
前記持ち手部は、前記係止部が前記箱の前記外側重合壁に係止し、前記当接部が前記いずれか一方もしくは双方の側面に当接した状態で、上方からみた平面視において、前記箱の前記側面よりも側方に離れて位置する、運搬補助具。
【請求項2】
前記当接部に、滑り防止部が設けられている、請求項1に記載の運搬補助具。
【請求項3】
ベルト体または棒状体を取り付け可能な取付部を有する、請求項1に記載の運搬補助具。
【請求項4】
請求項3に記載の運搬補助具が二つと、前記ベルト体とを備える、運搬補助装置であって、
前記運搬補助具は、前記取付部として、前記ベルト体を取り付け可能なベルト体取付部を有し、
前記ベルト体が、二つの前記運搬補助具の前記ベルト体取付部に渡るように取り付けられて、前記二つの運搬補助具のそれぞれの前記係止部が前記箱の両側にある前記外側重合壁のそれぞれに係止した状態で、前記ベルト体を肩に掛けることが可能となっている、運搬補助装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の運搬補助具または請求項4に記載の運搬補助装置と、前記箱とを備える、箱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被運搬物としての箱を持ち上げて運搬するのに用いられる、運搬補助具、運搬補助装置、および、運搬補助具または運搬補助装置と、箱とを備える箱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗箱等の箱を手で持ち上げて運搬するために用いられる器具があった。例えば、図19に示される運搬用具12は、本体13の上部に、取手部14を有し、本体13の下端部に、育苗箱11のフランジ部11aに引っ掛かる保持爪15を有していた(特許文献1参照)。また、図20に示される育苗箱運搬具22は、アーム部23の上部に、把手部24を有し、アーム部23の下端部に、育苗箱21の周縁凹部21aに係止される係止部25を有していた(特許文献2参照)。さらに、図21に示される育苗箱多段運搬用把手32は、把手体33の上部に、握り部34を有し、把手体33の下端部に、箱31の縁部に引っ掛かるフック状係止片35を有していた(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3062740号公報
【特許文献2】実用新案登録第3175806号公報
【特許文献3】実開平6-3845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の運搬用具12とか育苗箱運搬具22は、取手部14とか把手部24とかが、重ねた箱11、21よりも上方に位置することから、持ち上げた箱11、21を、積み重ねて置いてある箱11、21の上に載せる際に取手部14とか把手部24とかを余計に高く持ち上げる必要があり、作業性が悪かった。また、前記従来の育苗箱多段運搬用把手32にあっては、握り部34と箱31との間で手指を挟まないように、両握り部34、34を広げるようにして、箱31を持ち上げる必要があり、力が入りづらく厄介であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、作業性が良く、また、力を入れやすい、運搬補助具、運搬補助装置、および箱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る運搬補助具、運搬補助装置、および箱装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る運搬補助具は、被運搬物としての箱を運搬するための運搬補助具である。ここで、前記箱は、上方に開口し下方に底壁が形成された有底箱状をなし、箱を形成する周壁の上部側の外側に、前記周壁とで二重壁を形成するとともに前記周壁との間が下方に開口する凹部となる外側重合壁を備えている。そこで、前記運搬補助具は、先端側から前記箱の前記凹部に差し入れられて前記外側重合壁に係止する係止部と、手で握り持つための持ち手部と、前記係止部が前記箱の前記外側重合壁に係止した状態で、前記係止部が係止した箱の側面、または、その箱のすぐ上に積み重ねられる同一形状の別の箱の側面の、いずれか一方もしくは双方の側面に当接する当接部とを、備える。そして、前記持ち手部は、前記係止部が前記箱の前記外側重合壁に係止し、前記当接部が前記いずれか一方もしくは双方の側面に当接した状態で、上方からみた平面視において、前記箱の前記側面よりも側方に離れて位置する。
【0007】
この運搬補助具によると、運搬補助具は、箱の外側重合壁に係止する係止部と、持ち手部とを備えており、係止部を箱の外側重合壁に係止させて、持ち手部を手で持つことで、箱を持ち上げて運搬することができる。そして、運搬補助具は、箱の側面に当接する当接部を備えており、その当接部が箱の側面に当接した状態で、持ち手部は、平面視において、箱の側面よりも側方に離れて位置している。このように当接部を設けることで、持ち手部を、箱と干渉させることなく箱の側方、つまりそれほど高くない位置に位置させることができ、これにより、持ち上げた箱を、積み重ねて置いてある箱の上に載せる際などに持ち手部を高く持ち上げる必要がなく、作業性が良い。また、当接部によって、持ち手部が箱の側面よりも側方に離れた位置に維持されることから、箱を持ち上げて運ぶ際に、持ち手部を箱から離すように力を加える必要がなく、力を入れやすい。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る運搬補助具は、請求項1に記載の運搬補助具において、前記当接部に、滑り防止部が設けられている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る運搬補助具は、請求項1に記載の運搬補助具において、ベルト体または棒状体を取り付け可能な取付部を有する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る運搬補助装置は、請求項3に記載の運搬補助具が二つと、前記ベルト体とを備える。ここで、前記運搬補助具は、前記取付部として、前記ベルト体を取り付け可能なベルト体取付部を有する。そこで、前記ベルト体が、二つの前記運搬補助具の前記ベルト体取付部に渡るように取り付けられて、前記二つの運搬補助具のそれぞれの前記係止部が前記箱の両側にある前記外側重合壁のそれぞれに係止した状態で、前記ベルト体を肩に掛けることが可能となっている。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る箱装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の運搬補助具または請求項4に記載の運搬補助装置と、前記箱とを備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る運搬補助具、運搬補助装置、および箱装置によれば、当接部を設けることで、持ち手部をそれほど高くない位置に位置させることができることから、持ち手部を高く持ち上げる必要がなく、作業性が良い。さらに、当接部によって、持ち手部を箱から離すように力を加える必要がなく、力を入れやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施の形態の、運搬補助具の使用状態を、斜め上から見た斜視図である。
図2】同じく、運搬補助具の使用状態を、斜め下から見た斜視図である。
図3】同じく、運搬補助具の使用状態の平面図である。
図4】同じく、図3における図A-A線による断面図である。
図5】同じく、図4における要部拡大断面図である。
図6】同じく、箱を、斜め上から見た斜視図である。
図7】同じく、箱を、斜め下から見た斜視図である。
図8】同じく、箱の平面図である。
図9】同じく、図8におけるB-B線による断面図である。
図10】同じく、運搬補助具を、斜め上から見た斜視図である。
図11】同じく、運搬補助具の正面図である。
図12】同じく、図11におけるC-C線による断面図である。
図13】同じく、ベルト体を用いた運搬補助装置の使用状態を、斜め上から見た斜視図である。
図14】同じく、ベルト体を用いた運搬補助装置の使用状態の縦断面図である。
図15】同じく、棒部材の両端に運搬補助具を取り付けたときの、斜め上から見た斜視図である。
図16】同じく、棒部材の両端に運搬補助具を取り付けたときの縦断面図である。
図17】さらに、下側の運搬補助具を箱に係止させたときの、斜め上から見た斜視図である。
図18】同じく、正面図である。
図19】従来の運搬用具の使用状態を示す斜視図である。
図20】従来の育苗箱運搬具の使用状態を示す一部破断正面図である。
図21】従来の育苗箱多段運搬用把手の使用状態を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1図18は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、被運搬物としての箱を示す。2は、前記箱1を運搬するための運搬補助具を示す。3は、ベルト体を示す。4は、棒状体を示す。5は、運搬補助装置を示し、この運搬補助装置5は、前記運搬補助具2が二つと、前記ベルト体3とを備える。6は、箱装置を示し、この箱装置6は、前記運搬補助具2または前記運搬補助装置5と、前記箱1とを備える。
【0016】
箱1は、上方に開口し下方に底壁1aが形成された有底箱状をなす。そして、箱1は、その箱を形成する周壁1bの上部側の外側に、周壁1bとで二重壁を形成するとともに周壁1bとの間が下方に開口する凹部1cとなる外側重合壁1dを備える。
【0017】
運搬補助具2は、係止部2aと、手で握り持つための持ち手部2bと、当接部2cとを備える。ここで、係止部2aは、先端側から箱1の凹部1cに差し入れられて外側重合壁1dに係止するものである。当接部2cは、係止部2aが箱1の外側重合壁1dに係止した状態で、係止部2aが係止した箱1(一段目の箱101)の側面1e、または、その箱1のすぐ上に積み重ねられる同一形状の別の箱1(二段目の箱102)の側面1eの、いずれか一方もしくは双方の側面1e(図示実施の形態においては、双方の側面1e、1e)に当接する。そして、持ち手部2bは、係止部2aが箱1(一段目の箱101)の外側重合壁1dに係止し、当接部2cが前記いずれか一方もしくは双方の側面1e(図示実施の形態においては、双方の側面1e、1e)に当接した状態で、上方からみた平面視において、箱1(前記係止部2aが係止した箱または/および前記別の箱)の側面1eよりも側方に離れて位置する。
【0018】
また、運搬補助具2は、ベルト体3または棒状体4を取り付け可能な取付部2dを有する。図示実施の形態においては、取付部2dとして、ベルト体3を取り付け可能なベルト体取付部2eと、棒状体4を取り付け可能な棒状体取付部2fとを有している。
【0019】
運搬補助装置5は、ベルト体3が、二つの運搬補助具2、2のベルト体取付部2e、2eに渡るように取り付けられて、二つの運搬補助具2、2のそれぞれの係止部2a、2aが箱1の両側にある前記外側重合壁1d、1dのそれぞれに係止した状態で、ベルト体3を肩(つまり、人の肩)に掛けることが可能となっている(図13図14参照.)。
【0020】
具体的には、箱1は、例えば育苗箱である。ここで、符号7は、育苗のための土を示す。この箱1は、高さは低く、かたちは、方形、詳しくは横長の長方形状をしている。そして、箱1の底壁1aは、周囲を取り囲む周壁1bの下端から若干上に上がった位置にあって、箱1の裏面側が若干窪むように設けられる。また、箱1の周壁1bの外側には、外側重合壁1dが設けられ、この外側重合壁1dの外面が、箱1の前記側面1eとなる。
【0021】
そして、外側重合壁1dと周壁1bとは、それらの上端で、箱1の外周をめぐる繋ぎ壁1f(上壁)によって繋がっている。そこで、図示実施の形態においては、係止部2aが係止した箱1(一段目の箱101)にあっては、外側重合壁1dにおける繋ぎ壁1fに繋がる箇所の外面に、運搬補助具2の当接部2cが当接する。また、外側重合壁1dと周壁1bとに渡るようにして、複数の補強壁1g、1g(リブ)が、箱1の周方向に間隔をあけて設けられている。
【0022】
運搬補助具2は、平面視コ字状の本体2gを備え、その本体2gの両先端部を繋ぐように前記持ち手部2bが設けられる。この持ち手部2bは、好ましくは円柱状に形成される。そして、持ち手部2bの長手方向中央部分に、前記ベルト体取付部2eとなる貫通孔部2hが二つ設けられ、これら貫通孔部2h、2hに、ベルト体3の端部が折り返されるように通されて、ベルト体3が取り付けられるようになっている。詳細には、この貫通孔部2hは、横に長い長孔状の貫通孔部であって、その横の長さが、ベルト体3の幅より僅かに大きく、貫通孔部2h内でのベルト体3の幅方向の移動を抑制する。また、持ち手部2bには、ベルト体取付部2eの他に、肉抜き用の孔2i(詳しくは、有底孔)が、適宜設けられる(図12参照)。
【0023】
また、本体2gの、持ち手部2bがある側とは反対側の面(つまり、係止部2aがある側の面)に、前記当接部2cが設けられる。そして、この当接部2cに、滑り防止部2jが設けられている。図示実施の形態においては、本体2gの、持ち手部2bがある側とは反対側の面に滑り止めのゴムシート8が貼り付けられており、その表面が、当接部2cであり、滑り防止部2jとなっている(図5参照)。
【0024】
また、運搬補助具2は、本体2gのコ字の中間辺から下方に延出する延出部2kを備えている。この延出部2kは、下方に延び、さらに、持ち手部2bの側とは反対側に折り返されるようにして斜め上方に延びている。そこで、この延出部2kの先端側が、フック状の前記係止部2aとなる。この係止部2aには、中央に切欠き2mが設けられ、この切欠き2mに箱1の前記補強壁1gが入ることで、係止部2aが補強壁1gの両側に差し入れられる(図2参照)。
【0025】
この運搬補助具2を、係止部2aを基準にして表現すると、運搬補助具2は、係止部2aから離れる方向に延びる一対の延設部2n、2n(前記本体のコ字の対向する両片)を有し、それら一対の延設部2n、2nの間を連結するように前記持ち手部2bが形成されている。
【0026】
棒状体取付部2fは、棒状体4がその長手方向に差し込まれる差込孔2pからなる。図示実施の形態においては、棒状体取付部2fとなる差込孔2pは、一対の延設部2n、2n、つまり本体2gのコ字の対向する両片に、上下に貫通して設けられている。そして、本体2gには、差込孔2pの差し込み方向と直交する方向から差込孔2pに向かって打ち込まれたりねじ込まれたりするビス9の下穴が形成されている。そこで、棒状体4は、ビス9が下穴を通って棒状体4にねじ込まれることで固定される(図16参照)。もっとも、棒状体4は、ビス9に圧接されて固定されてもよい。また、棒状体4としては、イボ竹といわれる園芸支柱を用いることができるが、棒状であれば、具体的な形状は特に問わない。
【0027】
ところで、持ち手部2bは、前述したように、係止部2aが箱1の外側重合壁1dに係止し、当接部2cが、箱1の側面1eに当接した状態で、上方からみた平面視において、箱1の側面1eよりも側方に離れて位置するが、この持ち手部2bは、実際に、一段目の箱101または二段目の箱102の側面1eよりも側方に離れて位置するのが望ましい。図示実施の形態においては、持ち手部2bは、二段目の箱102の側面1eよりも側方に離れて位置している。つまり、持ち手部2bは、係止部2aよりも若干上側にある。
【0028】
また、持ち手部2bの高さ位置を、箱1の上端との関係でみると、持ち手部2bの最下端部は、当接部2cが当接する最も上の箱1の上端よりも下方、あるいは、二段目の箱102の上端よりも下方にある。
【0029】
次に、以上の構成からなる運搬補助具2、ならびに、その運搬補助具2を用いた運搬補助装置5および箱装置6の作用効果について説明する。運搬補助具2は、箱1の外側重合壁1dに係止する係止部2aと、持ち手部2bとを備えており、係止部2aを箱1の外側重合壁1dに係止させて、持ち手部2bを手で持つことで、箱1を持ち上げて運搬することができる。そして、運搬補助具2は、箱1の側面1eに当接する当接部2cを備えており、その当接部2cが箱1の側面1eに当接した状態で、持ち手部2bは、平面視において、箱1の側面1eよりも側方に離れて位置している。このように当接部2cを設けることで、持ち手部2bを、箱1と干渉させることなく箱1の側方、つまりそれほど高くない位置に位置させることができる。このため、持ち上げた箱1を、積み重ねて置いてある箱1の上に載せる際などに持ち手部2bを高く持ち上げる必要がなく、作業性が良い。また、当接部2cによって、持ち手部2bが箱1の側面1eよりも側方に離れた位置に維持されることから、箱1を持ち上げて運ぶ際に、持ち手部2bを箱1から離すように力を加える必要がなく、力を入れやすい。さらに、箱1を何段積み重ねても、箱1と持ち手部2bとが干渉することがなく、その積み重ねの段数に制限がない。
【0030】
また、当接部2cが箱1の側面1eに当接することで、外側重合壁1dに係止した係止部2aの外れ方向(つまり、凹部1cからの抜け出し方向)への移動も規制している。特に、当接部2cに滑り防止部2jが設けられていることから、この移動の規制の効果が大きい。
【0031】
また、当接部2cが、係止部2aが係止した箱1(つまり、一段目の箱101)のすぐ上に積み重ねられた別の箱1(つまり、二段目の箱102)の側面1e(詳しくは、外側重合壁1dの外面)に当接する場合は、その当接する場所が、係止部2aから遠くなることから、モーメントの関係で、当接部2cによって押されることによる二段目の箱102の外側重合壁1dの変形が抑えられるとともに、係止部2aによって側方に引っ張られることによる一段目の箱101の外側重合壁1dの変形が抑えられて、その係止部2aが外側重合壁1dから外れ難くなる。
【0032】
また、運搬補助具2は、ベルト体3を取り付け可能なベルト体取付部2eを有している。このため、そのベルト体取付部2eにベルト体3を取り付け、肩にベルト体3を掛けることで、吊り下げ補助が可能となる。
【0033】
また、運搬補助具2は、棒状体4を取り付け可能な棒状体取付部2fを有している。このため、その棒状体取付部2fに棒状体4を取り付け、その棒状体4を操作して、箱1をずり動かすなど遠隔操作することが可能となる。図示実施の形態においては、棒状体4の両端に、棒状体取付部2fを介して運搬補助具2が固定されている。そこで、下側の運搬補助具2の係止部2aを箱1の外側重合壁1dに係止させ、上側の運搬補助具2の持ち手部2bを手で持つことで、箱1を遠隔操作することができる。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、箱1は、育苗箱に限るものではなく、有底箱状であって外側重合壁1dを備えるものであれば、どのような箱でもよい。
【0035】
また、運搬補助具2の当接部2cは、係止部2aが係止した箱1と、その箱1のすぐ上に積み重ねられる同一形状の別の箱1との、双方の側面1e、1eに当接するが、一方の側面1eのみに当接するものであってもよい。
【0036】
また、棒状体4を用いた例では、棒状体4の両端に運搬補助具2を取付け固定したが、持ち手側(上側)は、運搬補助具2を取り付けることなく、棒状体4の上端部を持って操作するようにしてもよい。また、片方(持ち手側または係止側)を、別の専用具に置き換えてもよい。さらには、係止側(下側)は、運搬補助具2を取り付けることなく、棒状体4の先端を折り返す等して引っ掛け爪を形成し、その引っ掛け爪を、箱1の外側重合壁1dに係止させてもよい。
【0037】
また、運搬補助具2は、ベルト体取付部2eとか棒状体取付部2fとかを有するが、それらの一方または両方は、なくてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 箱
1a 底壁
1b 周壁
1c 凹部
1d 外側重合壁
1e 側面
2 運搬補助具
2a 係止部
2b 持ち手部
2c 当接部
2d 取付部
2e ベルト体取付部(取付部)
2f 棒状体取付部(取付部)
2j 滑り防止部
3 ベルト体
4 棒状体
5 運搬補助装置
6 箱装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21