(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101854
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006017
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】火口 友美
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA17
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
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5F157BB66
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5F157CF04
5F157CF10
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF48
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB57
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】洗浄液がパーティクルになることを抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板処理ユニット10と、電気分解部310と、オゾン水タンク320と、水素水タンク330とを備える。基板処理ユニット10は、基板Wに洗浄液を供給するノズル44、54を有する。電気分解部310は、純水を電気分解して洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する。オゾン水タンク320は、オゾン水を収容する。水素水タンク330は、水素水を収容する。ノズル44、54は、オゾン水タンク320からのオゾン水、および、水素水タンク330からの水素水を基板Wに供給する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に洗浄液を供給するノズルを有する基板処理ユニットと、
純水を電気分解して前記洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する電気分解部と、
前記オゾン水を収容するオゾン水タンクと、
前記水素水を収容する水素水タンクと
を備え、
前記ノズルは、前記オゾン水タンクからの前記オゾン水、および、前記水素水タンクからの前記水素水を前記基板に供給する、基板処理装置。
【請求項2】
前記ノズルは、
前記基板の上面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも一方を供給する第1ノズルと、
前記基板の下面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも他方を供給する第2ノズルと
を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記洗浄液を同時に前記基板に供給する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記オゾン水タンクの前記オゾン水を前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給するオゾン水配管と、
前記水素水タンクの前記水素水を前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給する水素水配管と、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給する前記洗浄液を切り替える切替弁と
を備え、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方は、前記オゾン水および前記水素水を前記基板に供給する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの一方は、前記第2ノズルであり、
前記第1ノズルが前記基板の前記上面に前記オゾン水および前記水素水の一方を供給しながら、前記第2ノズルが前記基板の前記下面に前記オゾン水および前記水素水の他方を供給した後、
前記切替弁が前記第2ノズルに供給する前記洗浄液を切り替えることによって、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板に前記オゾン水および前記水素水の一方を同時に供給する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1ノズルが前記基板の前記上面に前記水素水を供給しながら、前記第2ノズルが前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給した後、
前記切替弁が前記第2ノズルに供給する前記洗浄液を前記オゾン水から前記水素水に切り替えることによって、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板に前記水素水を同時に供給する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1ノズルは、前記基板の前記上面に前記水素水を供給し、
前記第2ノズルは、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記水素水中に泡を発生させる泡発生装置を備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
純水を電気分解して洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する生成工程と、
前記オゾン水および前記水素水により基板を洗浄する洗浄工程と
を含み、
前記生成工程において、生成した前記オゾン水をオゾン水タンクに収容するとともに、生成した前記水素水を水素水タンクに収容し、
前記洗浄工程において、前記オゾン水タンク内の前記オゾン水を前記基板に供給するとともに、前記水素水タンク内の前記水素水を前記基板に供給する、基板処理方法。
【請求項10】
前記洗浄工程において、
前記基板の上面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも一方を供給し、
前記基板の下面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも他方を供給する、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記洗浄工程において、前記基板の前記上面および前記下面に前記洗浄液を同時に供給する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記洗浄工程において、前記基板の前記上面および前記下面の少なくとも一方に供給する前記洗浄液を切り替える、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記洗浄工程において、
前記基板の前記上面に前記オゾン水および前記水素水の一方を供給しながら、前記基板の前記下面に前記オゾン水および前記水素水の他方を供給した後、
前記基板の前記下面に供給する前記洗浄液を切り替えることによって、前記基板の前記上面および前記下面に前記オゾン水および前記水素水の一方を同時に供給する、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記洗浄工程において、
前記基板の前記上面に前記水素水を供給しながら、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給した後、
前記基板の前記下面に供給する前記洗浄液を前記オゾン水から前記水素水に切り替えることによって、前記基板の前記上面および前記下面に前記水素水を同時に供給する、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記洗浄工程において、前記基板の前記上面に前記水素水を供給し、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記水素水を前記基板に供給する前に、前記水素水中に泡を発生させる、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を処理する基板処理装置が知られている。基板処理装置は、半導体基板の製造に好適に用いられる。基板処理装置は、薬液等の処理液を用いて基板を処理する。このような基板処理装置として、薬液等の処理液を用いて基板を処理した後、純水を用いてリンス(洗浄)を行う基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板の表面に金属膜が形成されている場合、特許文献1のように純水を用いてリンスを行うと、金属膜が腐食することがある。このため、表面に金属膜が形成されている基板に対しては、薬液等の処理液を用いて基板を処理した後、アンモニア水を用いてリンスを行うことがある。
【0005】
しかしながら、リンス液としてアンモニア水を用いると、その後の乾燥工程において基板を高速で回転させた際に、カップの内面(アンモニア水を受ける面)にアンモニア水が残留したり、基板から排出されたアンモニア水がカップで跳ね返って基板に付着したりする。このため、アンモニア水がパーティクルになってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗浄液がパーティクルになることを抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板処理ユニットと、電気分解部と、オゾン水タンクと、水素水タンクとを備える。前記基板処理ユニットは、基板に洗浄液を供給するノズルを有する。前記電気分解部は、純水を電気分解して前記洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する。前記オゾン水タンクは、前記オゾン水を収容する。前記水素水タンクは、前記水素水を収容する。前記ノズルは、前記オゾン水タンクからの前記オゾン水、および、前記水素水タンクからの前記水素水を前記基板に供給する。
【0008】
ある実施形態では、前記ノズルは、第1ノズルと、第2ノズルとを含む。前記第1ノズルは、前記基板の上面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも一方を供給する。前記第2ノズルは、前記基板の下面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも他方を供給する。
【0009】
ある実施形態では、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記洗浄液を同時に前記基板に供給する。
【0010】
ある実施形態では、前記基板処理装置は、オゾン水配管と、水素水配管と、切替弁とを備える。前記オゾン水配管は、前記オゾン水タンクの前記オゾン水を前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給する。前記水素水配管は、前記水素水タンクの前記水素水を前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給する。前記切替弁は、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方に供給する前記洗浄液を切り替える。前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの少なくとも一方は、前記オゾン水および前記水素水を前記基板に供給する。
【0011】
ある実施形態では、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの一方は、前記第2ノズルである。前記第1ノズルが前記基板の前記上面に前記オゾン水および前記水素水の一方を供給しながら、前記第2ノズルが前記基板の前記下面に前記オゾン水および前記水素水の他方を供給した後、前記切替弁が前記第2ノズルに供給する前記洗浄液を切り替えることによって、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板に前記オゾン水および前記水素水の一方を同時に供給する。
【0012】
ある実施形態では、前記第1ノズルが前記基板の前記上面に前記水素水を供給しながら、前記第2ノズルが前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給した後、前記切替弁が前記第2ノズルに供給する前記洗浄液を前記オゾン水から前記水素水に切り替えることによって、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板に前記水素水を同時に供給する。
【0013】
ある実施形態では、前記第1ノズルは、前記基板の前記上面に前記水素水を供給する。前記第2ノズルは、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給する。
【0014】
ある実施形態では、前記基板処理装置は、前記水素水中に泡を発生させる泡発生装置を備える。
【0015】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、純水を電気分解して洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する生成工程と、前記オゾン水および前記水素水により基板を洗浄する洗浄工程とを含む。前記生成工程において、生成した前記オゾン水をオゾン水タンクに収容するとともに、生成した前記水素水を水素水タンクに収容する。前記洗浄工程において、前記オゾン水タンク内の前記オゾン水を前記基板に供給するとともに、前記水素水タンク内の前記水素水を前記基板に供給する。
【0016】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の上面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも一方を供給し、前記基板の下面に、前記オゾン水および前記水素水の少なくとも他方を供給する。
【0017】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の前記上面および前記下面に前記洗浄液を同時に供給する。
【0018】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の前記上面および前記下面の少なくとも一方に供給する前記洗浄液を切り替える。
【0019】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の前記上面に前記オゾン水および前記水素水の一方を供給しながら、前記基板の前記下面に前記オゾン水および前記水素水の他方を供給した後、前記基板の前記下面に供給する前記洗浄液を切り替えることによって、前記基板に前記オゾン水および前記水素水の一方を同時に供給する。
【0020】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の前記上面に前記水素水を供給しながら、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給した後、前記基板の前記下面に供給する前記洗浄液を前記オゾン水から前記水素水に切り替えることによって、前記基板の前記上面および前記下面に前記水素水を同時に供給する。
【0021】
ある実施形態では、前記洗浄工程において、前記基板の前記上面に前記水素水を供給し、前記基板の前記下面に前記オゾン水を供給する。
【0022】
ある実施形態では、前記水素水を前記基板に供給する前に、前記水素水中に泡を発生させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、洗浄液がパーティクルになることを抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態の基板処理装置の模式的な平面図である。
【
図2】第1実施形態の基板処理装置における基板処理ユニットの模式図である。
【
図3】基板処理装置の配管構成を説明するための模式図である。
【
図4】第1実施形態の基板処理装置のブロック図である。
【
図5】第1実施形態の基板処理装置の基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の基板処理装置の基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図7】第3実施形態の基板処理装置の基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図8】第4実施形態の基板処理装置の基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。本実施形態では、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0026】
(第1実施形態)
図1~
図5を参照して、本発明の第1実施形態による基板処理装置100について説明する。
図1は、第1実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0027】
図1に示すように、基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、および、洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0028】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0029】
基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット10と、処理液キャビネット110と、処理液ボックス120と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0030】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。基板処理ユニット10の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、例えば、薬液、リンス液(洗浄液)、除去液および/または撥水剤を含む。処理液キャビネット110は、処理液を収容する。なお、処理液キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0031】
具体的には、複数の基板処理ユニット10は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理ユニット10(
図1では3つの基板処理ユニット10)を含む。処理液ボックス120は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット110内の液体は、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。また、処理液キャビネット110内のガスは、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。
【0032】
典型的には、処理液キャビネット110は、処理液を調製するための調製槽(タンク)を有する。処理液キャビネット110は、1種類の処理液のための調製槽を有してもよく、複数種類の処理液のための調製槽を有してもよい。また、処理液キャビネット110は、処理液を流通するためのポンプ、ノズルおよび/またはフィルタを有する。
【0033】
制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101により、基板処理ユニット10は基板Wを処理する。
【0034】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0035】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0036】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0037】
次に、
図2を参照して、第1実施形態の基板処理装置100における基板処理ユニット10を説明する。
図2は、第1実施形態の基板処理装置100における基板処理ユニット10の模式図である。
【0038】
図2に示すように、基板処理ユニット10は、チャンバー12と、基板保持部20と、処理液供給部30と、第1洗浄液供給部40と、第2洗浄液供給部50とを備える。チャンバー12は、基板Wを収容する。基板保持部20は、基板Wを保持する。
【0039】
チャンバー12は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー12は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー12には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー12内に収容され、チャンバー12内で処理される。チャンバー12には、基板保持部20および後述する処理液供給部30のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0040】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの下面(裏面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0041】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを下面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部20は、非デバイス形成面である基板Wの下面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部20は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0042】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、電動モーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0043】
シャフト23は、中空軸である。シャフト23は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0044】
スピンベース21は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。電動モーター24は、シャフト23に回転力を与える。電動モーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23および電動モーター24を取り囲んでいる。
【0045】
処理液供給部30は、基板Wに処理液を供給する。典型的には、処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。処理液供給部30の少なくとも一部は、チャンバー12内に収容される。
【0046】
処理液は、いわゆる薬液を含んでもよい。薬液は、例えば、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
【0047】
さらに、薬液は、過酸化水素水を含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。第1実施形態では、処理液供給部30は、SC1を基板Wに供給する。
【0048】
処理液供給部30は、配管32と、ノズル34と、バルブ36とを含む。ノズル34は基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル34は、例えば、基板Wの中央部に処理液を吐出してもよいし、基板Wの中央部と周縁部との間の領域に処理液を吐出してもよい。ノズル34は、吐出口を有し、吐出口から処理液を吐出する。ノズル34は、配管32に接続される。配管32には、供給源から処理液が供給される。バルブ36は、配管32内の流路を開閉する。ノズル34は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。ノズル34は、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略していることに留意されたい。
【0049】
バルブ36は、配管32の開度を調節して、配管32に供給される処理液の流量を調整する。具体的には、バルブ36は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0050】
第1洗浄液供給部40は、基板Wの上面Waに洗浄液を供給する。第1洗浄液供給部40の少なくとも一部は、チャンバー12内に収容される。洗浄液は、例えば、オゾン水および水素水を含む。
【0051】
第1洗浄液供給部40は、配管42と、ノズル44と、バルブ46とを含む。ノズル44は基板Wの上面Waに洗浄液を吐出する。ノズル44は、例えば、基板Wの中央部に洗浄液を吐出してもよいし、基板Wの中央部と周縁部との間の領域に洗浄液を吐出してもよい。ノズル44は、吐出口を有し、吐出口から洗浄液を吐出する。ノズル44は、配管42に接続される。配管42には、供給源から洗浄液が供給される。バルブ46は、配管42内の流路を開閉する。ノズル44は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。ノズル44は、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、ノズル44は、本発明の「第1ノズル」の一例である。また、バルブ46は、本発明の「切替弁」の一例である。
【0052】
ノズル44は、基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の少なくとも一方を供給する。第1実施形態では、ノズル44は、基板Wの上面Waにオゾン水および水素水を供給することが可能である。
【0053】
バルブ46は、配管42の開度を調節して、配管42に供給される洗浄液の流量を調整する。具体的には、バルブ46は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0054】
第2洗浄液供給部50は、基板Wの下面Wbに洗浄液を供給する。第2洗浄液供給部50の少なくとも一部は、チャンバー12内に収容される。
【0055】
第2洗浄液供給部50は、配管52と、ノズル54と、バルブ56とを含む。ノズル54は基板Wの下面Wbに洗浄液を吐出する。ノズル54は、例えば、基板Wの中央部に洗浄液を吐出する。ノズル54は、吐出口を有し、吐出口から洗浄液を吐出する。ノズル54は、例えば、真上方向に向かって洗浄液を吐出する。ノズル54は、配管52に接続される。配管52には、供給源から洗浄液が供給される。バルブ56は、配管52内の流路を開閉する。なお、ノズル54は、洗浄液に加え、不活性ガス等の気体を吐出してもよい。この場合、ノズル54の外周面に気体吐出口が設けられ、ノズル54は、径方向外側に向かって気体を吐出してもよい。なお、ノズル54は、本発明の「第2ノズル」の一例である。また、バルブ56は、本発明の「切替弁」の一例である。
【0056】
ノズル54は、基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の少なくとも他方を供給する。第1実施形態では、ノズル54は、基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水を供給することが可能である。
【0057】
バルブ56は、配管52の開度を調節して、配管52に供給される洗浄液の流量を調整する。具体的には、バルブ56は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0058】
第1洗浄液供給部40および第2洗浄液供給部50の詳細構造については、後述する。
【0059】
基板処理装置100は、カップ80をさらに備える。カップ80は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ80は昇降する。例えば、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ80は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、カップ80は、処理液供給部30、第1洗浄液供給部40および第2洗浄液供給部50が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。具体的には、基板処理装置100は、カップ80を昇降させる昇降機構(図示せず)を備える。昇降機構は、例えば、カップ80を昇降させるアクチュエータ(図示しない)および/またはモーターを含む。
【0060】
第1実施形態では、カップ80は、第1カップ81と、第1カップ81に対して径方向外側に配置される第2カップ82とを含む。第1カップ81と第2カップ82とは、図示しない移動機構によって個別に上下方向に移動可能である。
【0061】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部20、処理液供給部30、第1洗浄液供給部40、第2洗浄液供給部50および/またはカップ80を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター24およびバルブ36を制御する。
【0062】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。また、基板処理装置100は、絶縁層(例えば、レジスト層)の除去に好適に用いられる。
【0063】
なお、
図2に示した基板処理ユニット10において、処理液供給部30は、1種類の処理液を基板Wに供給可能であるが、処理液供給部30は、複数種類の処理液を基板Wに供給可能であってもよい。例えば、処理液供給部30は、配管32、ノズル34およびバルブ36をそれぞれ複数含んでもよい。
【0064】
次に、
図3を参照して、基板処理装置100の配管構成を説明する。
図3は、基板処理装置100の配管構成を説明するための模式図である。なお、
図3では、図面簡略化のため、処理液供給部30を省略している。
図1および
図2から理解されるように、基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット10を有しており、基板Wは複数種の処理液で処理され得ることが好ましい。ただし、ここでは、説明が過度に複雑になることを避ける目的で、1つの基板処理ユニット10に対して1種類の処理液が供給される態様を説明する。
【0065】
図3に示すように、基板処理装置100は、電気分解部310と、オゾン水タンク320と、水素水タンク330とを備える。電気分解部310は、純水を電気分解してオゾン水および水素水を生成する。オゾン水および水素水は、基板Wを洗浄する洗浄液である。オゾン水は、例えば、金属からなるパーティクル、および、有機物からなるパーティクルを除去する。水素水は、例えば、基板Wの金属膜に対する還元作用を有する。言い換えると、水素水は、例えば、基板Wの表面に対して腐食防止効果を有する。また、水素水は、例えば、微粒子を除去する。水素水は、例えば、金属不純物および有機物よりも小さい微粒子を除去することができる。
【0066】
電気分解部310は、陽極と、陰極と、イオン交換膜等の隔膜とを有する。陽極と陰極との間に電圧を印加することによって、陽極側でオゾン水が生成され、陰極側で水素水が生成される。電気分解部310としては、公知の電気分解装置を用いることができる。
【0067】
オゾン水タンク320は、電気分解部310で生成されたオゾン水を収容する。水素水タンク330は、電気分解部310で生成された水素水を収容する。第1実施形態では、オゾン水タンク320内のオゾン水は、オゾンガスが溶けた純水のみからなり、例えば塩酸等を含んでいない。また、第1実施形態では、水素水タンク330内の水素水は、水素ガスが溶けた純水のみからなり、例えばアンモニア等を含有していない。
【0068】
基板処理装置100は、配管311およびバルブ312を備える。配管311は、電気分解部310に接続される。配管311には、供給源から純水が供給される。配管311は、電気分解部310に純水を供給する。
【0069】
バルブ312は、配管311に配置される。バルブ312は、配管311内の流路を開閉する。バルブ312は、配管311の開度を調節して、配管311に供給される純水の流量を調整する。具体的には、バルブ312は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0070】
基板処理装置100は、流量計328、配管329、流量計338および配管339を備える。配管329は、電気分解部310とオゾン水タンク320とを接続する。配管329は、電気分解部310で生成されたオゾン水をオゾン水タンク320に供給する。流量計328は、配管329に配置される。流量計328は、配管329を通過するオゾン水の流量を計測する。配管339は、電気分解部310と水素水タンク330とを接続する。配管339は、電気分解部310で生成された水素水を水素水タンク330に供給する。流量計338は、配管339に配置される。流量計338は、配管339を通過する水素水の流量を計測する。
【0071】
基板処理装置100は、配管321およびバルブ322を備える。配管321は、オゾン水タンク320に接続される。配管321には、供給源から純水が供給される。配管321は、オゾン水タンク320に純水を供給する。
【0072】
バルブ322は、配管321に配置される。バルブ322は、配管321内の流路を開閉する。バルブ322は、配管321の開度を調節して、配管321に供給される純水の流量を調整する。なお、バルブ322は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0073】
基板処理装置100は、配管331およびバルブ332を備える。配管331は、水素水タンク330に接続される。配管331には、供給源から純水が供給される。配管331は、水素水タンク330に純水を供給する。
【0074】
バルブ332は、配管331に配置される。バルブ332は、配管331内の流路を開閉する。バルブ332は、配管331の開度を調節して、配管331に供給される純水の流量を調整する。なお、バルブ332は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0075】
基板処理装置100は、第1濃度計325を備える。第1濃度計325は、オゾン水タンク320に配置される。第1濃度計325は、オゾン水タンク320内のオゾン水の濃度を測定する。第1濃度計325は、特に限定されるものではないが、例えば、オゾン水のpHを測定するpH測定器を含んでもよいし、オゾン水の酸素濃度を測定する酸素測定器を含んでもよいし、ORP(酸化還元電位)計を含んでもよい。
【0076】
オゾン水タンク320内のオゾン水の濃度は、所定の濃度に調整される。オゾン水タンク320内のオゾン水の濃度は、電気分解部310から配管329に供給されるオゾン水の濃度よりも低い。なお、基板処理装置100は、第1濃度計325の計測結果に基づいて、オゾン水タンク320に純水を供給する。
【0077】
基板処理装置100は、第2濃度計335および泡発生装置336を備える。第2濃度計335は、水素水タンク330に配置される。第2濃度計335は、水素水タンク330内の水素水の濃度を測定する。第2濃度計335は、特に限定されるものではないが、例えば、水素水のpHを測定するpH測定器を含んでもよいし、水素水の水素濃度を測定する水素測定器を含んでもよいし、ORP(酸化還元電位)計を含んでもよい。
【0078】
水素水タンク330内の水素水の濃度は、所定の濃度に調整される。水素水タンク330内の水素水の濃度は、電気分解部310から配管339に供給される水素水の濃度よりも低い。なお、基板処理装置100は、第2濃度計335の計測結果に基づいて、水素水タンク330に純水を供給する。
【0079】
例えば、基板Wに形成された金属膜がコバルトを含んでいる場合、水素水タンク330内の水素水は、pHが7よりも大きくなるように調整され、10以上になるように調整されてもよい。また、基板Wに形成された金属膜がコバルトを含んでいる場合、水素水タンク330内の水素水は、酸化還元電位が-0.5V以下になるように調整され、-0.75V以下になるように調整されてもよい。また、例えば、基板Wに形成された金属膜が銅を含んでいる場合、水素水タンク330内の水素水は、pHが7よりも大きくなるように調整される。また、基板Wに形成された金属膜が銅を含んでいる場合、水素水タンク330内の水素水は、酸化還元電位が-0.4V以下になるように調整される。以上のように構成すれば、基板Wに形成された金属膜が腐食することを、水素水によって効果的に抑制できる。
【0080】
泡発生装置336は、水素水タンク330の水素水中に泡を発生させる。泡発生装置336は、特に限定されるものではないが、例えば、超音波発生装置を含む。超音波発生装置は、例えば、超音波振動子を有する。泡発生装置336が駆動すると、水素水中にマイクロメートルオーダーの気泡が発生する。
【0081】
基板処理装置100は、オゾン水配管910aおよび910bと、水素水配管920aおよび920bと、後述するバルブ46および56とを備える。オゾン水配管910aおよびオゾン水配管910bは、オゾン水タンク320のオゾン水をノズル44およびノズル54の少なくとも一方に供給する。水素水配管920aおよび水素水配管920bは、水素水タンク330の水素水をノズル44およびノズル54の少なくとも一方に供給する。バルブ46およびバルブ56は、ノズル44およびノズル54の少なくとも一方に供給する洗浄液を切り替える。
【0082】
第1実施形態では、オゾン水配管910aは、オゾン水タンク320のオゾン水をノズル44に供給する。オゾン水配管910bは、オゾン水タンク320のオゾン水をノズル54に供給する。水素水配管920aは、水素水タンク330の水素水をノズル44に供給する。水素水配管920bは、水素水タンク330の水素水をノズル54に供給する。バルブ46は、ノズル44に供給する洗浄液を切り替える。バルブ56は、ノズル54に供給する洗浄液を切り替える。オゾン水配管910a、910b、水素水配管920aおよび920bの構成については、後述する。
【0083】
基板処理装置100は、配管341、ヒータ342、ポンプ343、フィルタ344、流量計345およびバルブ346を備える。配管341は、オゾン水タンク320に接続される。配管341は、オゾン水タンク320から基板処理ユニット10にオゾン水を供給するための流路を構成する。第1実施形態では、配管341は、オゾン水タンク320と処理液ボックス120とを接続する。また、第1実施形態では、配管341は、オゾン水タンク320と第1洗浄液供給部40とを接続する。また、配管341は、オゾン水タンク320と第2洗浄液供給部50とを接続する。配管341には、ヒータ342、ポンプ343、フィルタ344、流量計345およびバルブ346が取り付けられる。
【0084】
ヒータ342は、配管341を通過する液を加熱する。第1実施形態では、ヒータ342は、配管341を通過するオゾン水を所定温度に加熱する。
【0085】
ポンプ343は、オゾン水タンク320のオゾン水を基板処理ユニット10に向けて送る。
【0086】
フィルタ344は、配管341に取り付けられる。フィルタ344は、配管341に対して着脱可能である。フィルタ344が配管341に取り付けられた場合、オゾン水は、フィルタ344を通過する。一方で、フィルタ344は、配管341から取り外しできる。このため、フィルタ344が劣化すると、フィルタ344は交換される。
【0087】
フィルタ344は、配管341内を通過する洗浄液をろ過する。フィルタ344は、例えば、多孔質形状を有する。フィルタ344は、洗浄液の液体成分を通過させる。一方、フィルタ344は、洗浄液に含有されるパーティクルを捕捉する。なお、パーティクルは、例えば、固体である。パーティクルは、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂または金属からなる。
【0088】
流量計345は、配管341内を通過するオゾン水の流量を計測する。
【0089】
バルブ346は、配管341内の流路を開閉する。バルブ346は、配管341の開度を調節して、配管341を通過するオゾン水の流量を調整する。なお、バルブ346は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0090】
基板処理装置100は、配管351、ヒータ352、ポンプ353、フィルタ354、流量計355およびバルブ356を備える。配管351は、水素水タンク330に接続される。配管351は、水素水タンク330から基板処理ユニット10に水素水を供給するための流路を構成する。第1実施形態では、配管351は、水素水タンク330と処理液ボックス120とを接続する。また、第1実施形態では、配管351は、水素水タンク330と第1洗浄液供給部40とを接続する。また、配管351は、水素水タンク330と第2洗浄液供給部50とを接続する。配管351には、ヒータ352、ポンプ353、フィルタ354、流量計355およびバルブ356が取り付けられる。
【0091】
ヒータ352は、配管351を通過する液を加熱する。第1実施形態では、ヒータ352は、配管351を通過する水素水を所定温度に加熱する。
【0092】
ポンプ353は、水素水タンク330の水素水を基板処理ユニット10に向けて送る。
【0093】
フィルタ354は、配管351に取り付けられる。フィルタ354は、配管351に対して着脱可能である。フィルタ354が配管351に取り付けられた場合、水素水は、フィルタ354を通過する。一方で、フィルタ354は、配管351から取り外しできる。このため、フィルタ354が劣化すると、フィルタ354は交換される。なお、フィルタ354は、例えば、フィルタ344と同様に構成されている。
【0094】
流量計355は、配管351内を通過する水素水の流量を計測する。
【0095】
バルブ356は、配管351内の流路を開閉する。バルブ356は、配管351の開度を調節して、配管351を通過する水素水の流量を調整する。なお、バルブ356は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0096】
基板処理装置100は、廃タンク360、配管361a、配管361b、バルブ362aおよびバルブ362bを備える。廃タンク360は、オゾン水タンク320および水素水タンク330から排出された液を収容する。
【0097】
配管361aは、オゾン水タンク320と廃タンク360とを接続する。配管361aは、オゾン水タンク320内の液を廃タンク360に排出する。
【0098】
バルブ362aは、配管361aに配置される。バルブ362aは、配管361a内の流路を開閉する。バルブ362aは、配管361aの開度を調節して、配管361aを通過する液の流量を調整する。なお、バルブ362aは、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0099】
配管361bは、水素水タンク330と廃タンク360とを接続する。配管361bは、水素水タンク330内の液を廃タンク360に排出する。
【0100】
バルブ362bは、配管361bに配置される。バルブ362bは、配管361b内の流路を開閉する。バルブ362bは、配管361bの開度を調節して、配管361bを通過する液の流量を調整する。なお、バルブ362bは、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0101】
また、第1実施形態では、基板処理装置100は、戻り配管61、戻り配管62、バルブ63およびバルブ64をさらに備える。
【0102】
戻り配管61は、配管341とオゾン水タンク320とを接続する。戻り配管61は、配管341からのオゾン水をオゾン水タンク320に戻す。
【0103】
バルブ63は、戻り配管61に配置される。バルブ63は、戻り配管61内の流路を開閉する。バルブ63は、戻り配管61の開度を調節して、戻り配管61を通過するオゾン水の流量を調整する。なお、バルブ63は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0104】
戻り配管62は、配管351と水素水タンク330とを接続する。戻り配管62は、配管351からの水素水を水素水タンク330に戻す。
【0105】
バルブ64は、戻り配管62に配置される。バルブ64は、戻り配管62内の流路を開閉する。バルブ64は、戻り配管62の開度を調節して、戻り配管62を通過する水素水の流量を調整する。なお、バルブ64は、例えば、バルブ312と同様の構造を有する。
【0106】
次に、第1洗浄液供給部40および第2洗浄液供給部50について、さらに説明する。
【0107】
第1洗浄液供給部40の配管42は、第1配管42aと、第2配管42bと、共通配管42cとを有する。第1配管42aは、配管341とバルブ46とを接続する。第1配管42aは、配管341からバルブ46にオゾン水を供給する。第2配管42bは、配管351とバルブ46とを接続する。第2配管42bは、配管351からバルブ46に水素水を供給する。
【0108】
共通配管42cは、バルブ46からノズル44にオゾン水および水素水を供給する。第1実施形態では、共通配管42cは、オゾン水および水素水を別々にノズル44に供給する。つまり、共通配管42cは、オゾン水および水素水を同時にノズル44に供給しない。共通配管42cは、オゾン水および水素水の一方のみをノズル44に供給したり、オゾン水および水素水の他方のみをノズル44に供給したりする。
【0109】
バルブ46は、共通配管42cにオゾン水および水素水を供給する。第1実施形態では、バルブ46は、オゾン水および水素水を別々に共通配管42cに供給する。つまり、バルブ46は、オゾン水および水素水を同時に共通配管42cに供給しない。バルブ46は、オゾン水および水素水の一方のみを共通配管42cに供給したり、オゾン水および水素水の他方のみを共通配管42cに供給したりする。
【0110】
具体的には、バルブ46は、例えば、多連弁を含む。多連弁は、例えば、複数の配管にそれぞれ接続される複数の弁を有する。バルブ46は、第1配管42aおよび第2配管42bのうちの少なくとも1つの流路を開状態にすることができる。第1実施形態では、バルブ46は、第1配管42aおよび第2配管42bのうち1つの流路を開状態にすることができる。つまり、第1実施形態では、バルブ46は、第1配管42aおよび第2配管42bを、開状態および閉状態にしたり、閉状態および開状態にしたり、閉状態および閉状態にしたりすることができる。
【0111】
第2洗浄液供給部50の配管52は、第1配管52aと、第2配管52bと、共通配管52cとを有する。第1配管52aは、配管341とバルブ56とを接続する。第1配管52aは、配管341からバルブ56にオゾン水を供給する。第2配管52bは、配管351とバルブ56とを接続する。第2配管52bは、配管351からバルブ56に水素水を供給する。
【0112】
共通配管52cは、バルブ56からノズル54にオゾン水および水素水を供給する。第1実施形態では、共通配管52cは、オゾン水および水素水を別々にノズル54に供給する。つまり、共通配管52cは、オゾン水および水素水を同時にノズル54に供給しない。共通配管52cは、オゾン水および水素水の一方のみをノズル54に供給したり、オゾン水および水素水の他方のみをノズル54に供給したりする。
【0113】
バルブ56は、共通配管52cにオゾン水および水素水を供給する。第1実施形態では、バルブ56は、オゾン水および水素水を別々に共通配管52cに供給する。つまり、バルブ56は、オゾン水および水素水を同時に共通配管52cに供給しない。バルブ56は、オゾン水および水素水の一方のみを共通配管52cに供給したり、オゾン水および水素水の他方のみを共通配管52cに供給したりする。
【0114】
具体的には、バルブ56は、例えば、多連弁を含む。多連弁は、例えば、複数の配管にそれぞれ接続される複数の弁を有する。バルブ56は、第1配管52aおよび第2配管52bのうちの少なくとも1つの流路を開状態にすることができる。第1実施形態では、バルブ56は、第1配管52aおよび第2配管52bのうち1つの流路を開状態にすることができる。つまり、第1実施形態では、バルブ56は、第1配管52aおよび第2配管52bを、開状態および閉状態にしたり、閉状態および開状態にしたり、閉状態および閉状態にしたりすることができる。
【0115】
第1実施形態では、ノズル44およびノズル54は、洗浄液を同時に基板Wに供給する。具体的には、制御部102は、バルブ46およびバルブ56を同時に開状態にすることによって、ノズル44およびノズル54に洗浄液を供給する。なお、本実施形態において、液を同時に基板Wに供給するとは、液を基板Wに供給している時間が重なっていることを意味する。つまり、液を同時に基板Wに供給するとは、基板Wへの液の供給を同時に開始することを意味するものではない。また、液を同時に基板Wに供給するとは、基板Wへの液の供給を同時に停止することを意味するものではない。
【0116】
また、ノズル44およびノズル54の少なくとも一方は、オゾン水および水素水を基板Wに供給する。具体的には、制御部102は、バルブ46およびバルブ56の少なくとも一方を制御して、オゾン水および水素水の両方を基板Wに供給する。
【0117】
また、第1実施形態では、ノズル44が基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の一方を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の他方を供給する。具体的には、第1実施形態では、ノズル44が基板Wの上面Waに水素水を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。
【0118】
第1実施形態では、配管341、第1配管42aおよび共通配管42cによって、オゾン水タンク320のオゾン水をノズル44に供給するオゾン水配管910aが構成されている。また、配管341、第1配管52aおよび共通配管52cによって、オゾン水タンク320のオゾン水をノズル54に供給するオゾン水配管910bが構成されている。
【0119】
また、配管351、第2配管42bおよび共通配管42cによって、水素水タンク330の水素水をノズル44に供給する水素水配管920aが構成されている。また、配管351、第2配管52bおよび共通配管52cによって、水素水タンク330の水素水をノズル54に供給する水素水配管920bが構成されている。
【0120】
第1実施形態では、上記のように、ノズル44およびノズル54は、オゾン水タンク320からのオゾン水、および、水素水タンク330からの水素水を基板Wに供給する。ここで、オゾン水および水素水は水ベースの液であるため、洗浄液としてアンモニア水等を用いる場合とは異なり、その後の乾燥工程において洗浄液がパーティクルになることを抑制できる。よって、基板Wがパーティクルによって汚染されることを抑制できる。
【0121】
また、オゾン水および水素水を洗浄液として用いることによって、洗浄液としてアンモニア水等の薬液を用いる場合に比べて、薬液の使用量を削減できる。第1実施形態では、基板Wを洗浄する際の薬液の使用量をゼロにできる。
【0122】
また、上記のように、基板処理装置100は、基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の少なくとも一方を供給するノズル44と、基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の少なくとも他方を供給するノズル54とを備える。従って、例えば、水素水によって基板Wの上面Waまたは下面Wbの腐食を抑制することができるとともに、オゾン水によって基板Wの下面Wbのパーティクルを除去することができる。
【0123】
また、上記のように、ノズル44およびノズル54は、洗浄液を同時に基板Wに供給する。従って、オゾン水および水素水の一方が基板Wの下面Wbに回り込んだり、オゾン水および水素水の他方が基板Wの上面Waに回り込んだりすることを抑制できる。
【0124】
また、上記のように、ノズル44およびノズル54の少なくとも一方は、オゾン水および水素水を基板Wに供給する。従って、基板Wの上面Waおよび下面Wbの少なくとも一方を、オゾン水および水素水の両方によって洗浄できる。また、バルブ46(またはバルブ56)によって洗浄液を切り替えるので、例えば、基板Wの上面Waにオゾン水を供給するためのノズルと、水素水を供給するためのノズルとを別々に設ける必要がない。従って、部品点数が増加することを抑制できるとともに、装置構成が複雑になることを抑制できる。
【0125】
また、上記のように、ノズル44は、基板Wの上面Waに水素水を供給し、ノズル54は、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。従って、基板Wの上面Waの腐食を抑制することができるとともに、基板Wの下面Wbのパーティクルを除去できる。このような構成は、上面Waに金属膜が形成されている基板Wを洗浄する場合に、特に効果的である。
【0126】
また、上記のように、基板処理装置100に、水素水中に泡を発生させる泡発生装置336を設ける。従って、水素水による化学的作用と、泡による物理的作用とによって洗浄できるので、洗浄力を向上させることができる。
【0127】
次に、
図1~
図4を参照して、第1実施形態の基板処理装置100を説明する。
図4は、第1実施形態の基板処理装置100のブロック図である。
【0128】
図4に示すように、制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30、第1洗浄液供給部40、第2洗浄液供給部50、ヒータ342、352、ポンプ343、353および各種バルブを制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30、第1洗浄液供給部40、第2洗浄液供給部50、ヒータ342、352、ポンプ343、353および各種バルブに制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30、第1洗浄液供給部40、第2洗浄液供給部50、ヒータ342、352、ポンプ343、353および各種バルブを制御する。
【0129】
さらに具体的には、制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0130】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数の基板処理ユニット10のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wを基板処理ユニット10から受け取って、基板Wを搬出する。
【0131】
制御部102は、基板保持部20を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部20を制御して、基板保持部20の回転数を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部20の電動モーター24の回転数を変更することによって、基板Wの回転数を変更できる。
【0132】
制御部102は、バルブ36、46、56、63、64、312、322、332、346、356、362aおよび362bを制御して、バルブ36、46、56、63、64、312、322、332、346、356、362aおよび362bの状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、バルブ36を開状態または閉状態にすることによって、配管32内の液を通過させたり、通過させなかったりすることができる。同様に、制御部102は、バルブ46、56、63、64、312、322、332、346、356、362aおよび362bを開状態または閉状態にすることによって、配管42、52、戻り配管61、62、配管311、321、331、341、351、361aおよび361b内の液を通過させたり、通過させなかったりすることができる。
【0133】
制御部102は、ヒータ342、352を制御して、配管341、351を通過する液を加熱する。
【0134】
制御部102は、ポンプ343、353を制御して、オゾン水タンク320および水素水タンク330内の液を下流側に送り出す。具体的には、制御部102は、ポンプ343を駆動することによって、オゾン水タンク320内のオゾン水をノズル44およびノズル54に向けて送り出す。また、制御部102は、ポンプ353を駆動することによって、水素水タンク330内の水素水をノズル44およびノズル54に向けて送り出す。
【0135】
第1実施形態では、上述したように、制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101は、電気分解部310および泡発生装置336を制御する。具体的には、制御装置101は、電気分解部310および泡発生装置336に制御信号を送信することによって、電気分解部310および泡発生装置336を制御する。
【0136】
さらに具体的には、制御部102は、電気分解部310を制御して、純水を電気分解してオゾン水および水素水を生成する。生成されたオゾン水および水素水は、オゾン水タンク320および水素水タンク330にそれぞれ供給される。
【0137】
制御部102は、泡発生装置336を制御して、水素水タンク330内に泡を発生させる。
【0138】
また、制御部102には、流量計328、338、345、355、第1濃度計325、第2濃度計335の計測結果が送られる。
【0139】
次に、
図5を参照して、第1実施形態の基板処理装置100の基板処理方法について説明する。
図5は、第1実施形態の基板処理装置100の基板処理方法を示すフローチャートである。基板処理装置100の基板処理方法は、ステップS1~ステップS7を含む。ステップS1~ステップS7は、制御部102によって実行される。なお、ステップS1は、本発明の「生成工程」の一例である。ステップS6は、本発明の「洗浄工程」の一例である。
【0140】
図5に示すように、ステップS1において、制御部102は、純水を電気分解して洗浄液であるオゾン水および水素水を生成する。具体的には、制御部102は、バルブ312を閉状態から開状態に切り替えることによって、電気分解部310に純水を供給する。制御部102の制御により、電気分解部310は、純水を電気分解してオゾン水および水素水を生成する。生成されたオゾン水は、配管329を通過してオゾン水タンク320に収容される。同様に、生成された水素水は、配管339を通過して水素水タンク330に収容される。
【0141】
次に、ステップS2において、制御部102は、オゾン水タンク320に純水を供給する。具体的には、制御部102は、オゾン水タンク320内のオゾン水の濃度に基づいて、バルブ322を制御してオゾン水タンク320に純水を供給する。このとき、オゾン水タンク320内のオゾン水は、電気分解部310から配管329に供給されるオゾン水の濃度よりも低い濃度に調整される。
【0142】
次に、ステップS3において、制御部102は、水素水タンク330に純水を供給する。具体的には、制御部102は、水素水タンク330内の水素水の濃度に基づいて、バルブ332を制御して水素水タンク330に純水を供給する。このとき、水素水タンク330内の水素水は、電気分解部310から配管339に供給される水素水の濃度よりも低い濃度に調整される。
【0143】
次に、ステップS4において、制御部102は、水素水タンク330の水素水中に泡を発生させる。具体的には、制御部102の制御により、泡発生装置336は、水素水タンク330の水素水中に泡を発生させる。
【0144】
次に、ステップS5において、制御部102は、基板Wを処理する。具体的には、制御部102は、基板保持部20により、基板Wを回転させる。これにより、基板Wの回転が開始する。基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、300rpm以上、800rpm以下である。
【0145】
そして、制御部102は、基板保持部20により回転する基板Wに対して、ノズル34から基板Wの上面Waに処理液を供給する。このとき、制御部102は、ノズル54から基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。つまり、処理液とオゾン水とを同時に基板Wに供給する。なお、第1実施形態では、制御部102は、ノズル34から基板Wの上面WaにSC1を供給する。
【0146】
また、制御部102は、基板Wに対する処理液の供給を開始してから所定時間が経過すると、処理液およびオゾン水の供給を停止する。なお、第1実施形態では、次のステップS6においても基板Wに下面Wbに対してオゾン水を供給するため、オゾン水の供給を停止しなくてもよい。
【0147】
次に、ステップS6において、制御部102は、基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の少なくとも一方を供給するとともに、基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の少なくとも他方を供給する。第1実施形態では、制御部102は、基板Wの上面Waに水素水を供給するとともに、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。具体的には、制御部102は、基板保持部20により回転する基板Wに対して、ノズル44から基板Wの上面Waに水素水を供給する。このとき、制御部102は、ノズル54から基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。つまり、水素水とオゾン水とを同時に基板Wに供給する。なお、ステップS6における基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、300rpm以上、1200rpm以下である。
【0148】
また、制御部102は、基板Wに対する水素水の供給を開始してから所定時間が経過すると、水素水およびオゾン水の供給を停止する。
【0149】
次に、ステップS7において、制御部102は、基板Wを乾燥させる。具体的には、制御部102は、基板保持部20により、基板Wの回転速度をステップS6での回転速度よりも高くする。これにより、水素水およびオゾン水が基板Wから排出される。排出された水素水およびオゾン水は、例えば第1カップ81によって受け止められる。なお、ステップS7における基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、1500rpm以上、2500rpm以下である。
【0150】
また、制御部102は、基板Wの回転速度を高くしてから所定時間が経過すると、基板Wの回転を停止する。
【0151】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。なお、第1実施形態では、第1純水供給工程(ステップS2)の後に第2純水供給工程(ステップS3)を行う例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2純水供給工程の後に第1純水供給工程を行ってもよいし、第1純水供給工程と第2純水供給工程とを並行して行ってもよい。
【0152】
(第2実施形態)
図6を参照して、本発明の第2実施形態による基板処理装置100の基板処理方法について説明する。
図6は、第2実施形態の基板処理装置100の基板処理方法を示すフローチャートである。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、洗浄工程(ステップS6)において、基板Wの下面Wbに供給する洗浄液を切り替える例について説明する。第2実施形態では、ステップS6は、ステップS61およびステップS62を含む。なお、第2実施形態の基板処理装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0153】
図6に示すように、ステップS1~ステップS5は、第1実施形態と同様である。
【0154】
次に、ステップS6において、ステップS61(第1洗浄工程)およびステップS62(第2洗浄工程)を実行する。
【0155】
ステップS61において、ノズル44が基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の一方を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の他方を供給する。第2実施形態では、ノズル44が基板Wの上面Waに水素水を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。具体的には、制御部102は、バルブ46およびバルブ56を制御することによって、ノズル44から基板Wの上面Waに水素水を供給しながら、ノズル54から基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。
【0156】
また、制御部102は、基板Wに対する水素水の供給を開始してから所定時間が経過すると、ステップS62に進む。
【0157】
次に、ステップS62において、バルブ56がノズル54に供給する洗浄液を切り替えることによって、ノズル44およびノズル54は、基板Wにオゾン水および水素水の一方を同時に供給する。第2実施形態では、バルブ56がノズル54に供給する洗浄液をオゾン水から水素水に切り替えることによって、ノズル44およびノズル54は、基板Wに水素水を同時に供給する。具体的には、制御部102は、バルブ56を制御して、ノズル54に供給する洗浄液をオゾン水から水素水に切り替える。
【0158】
また、制御部102は、基板Wに供給する洗浄液を切り替えてから所定時間が経過すると、ノズル44およびノズル54から基板Wへの水素水の供給を停止する。
【0159】
次に、第1実施形態と同様にして、ステップS7が実行される。
【0160】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。
【0161】
第2実施形態のその他の基板処理方法は、第1実施形態と同様である。
【0162】
第2実施形態では、上記のように、ノズル44が基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の一方を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の他方を供給する。その後、バルブ46およびバルブ56の一方がノズル44およびノズル54の一方に供給する洗浄液を切り替えることによって、ノズル44およびノズル55は、基板Wにオゾン水および水素水の一方を同時に供給する。従って、基板Wの上面Waおよび下面Wbを同じ洗浄液で洗浄できる。よって、上面Waから下面Wbに、または、下面Wbから上面Waに洗浄液が回り込んだ場合であっても、基板Wに悪影響が及ぶことを抑制できる。
【0163】
具体的には、第2実施形態では、ノズル44が基板Wの上面Waに水素水を供給しながら、ノズル54が基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。その後、バルブ56がノズル54に供給する洗浄液をオゾン水から水素水に切り替えることによって、ノズル44およびノズル55は、基板Wに水素水を同時に供給する。従って、基板Wの上面Waおよび下面Wbの腐食を抑制しながら、洗浄液の回り込みに起因する基板Wへの悪影響を抑制できる。
【0164】
第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0165】
(第3実施形態)
図7を参照して、本発明の第3実施形態による基板処理装置100の基板処理方法について説明する。
図7は、第3実施形態の基板処理装置100の基板処理方法を示すフローチャートである。第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態とは異なり、乾燥工程(ステップS7)において、洗浄液を受けるカップ80を切り替える例について説明する。第3実施形態では、ステップS7は、ステップS71およびステップS72を含む。なお、第3実施形態では、
図5に示した第1実施形態の基板処理方法の一部を変更して説明するが、
図6に示した第2実施形態の基板処理方法の一部を変更してもよい。第3実施形態の基板処理装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0166】
図7に示すように、ステップS1~ステップS6は、第1実施形態と同様である。なお、ステップS5およびステップS6において、基板Wから排出される薬液および洗浄液は、第1カップ81よって受け止められる。
【0167】
次に、ステップS7において、ステップS71(カップ切替工程)およびステップS72(振り切り工程)を実行する。
【0168】
ステップS71において、制御部102は、基板Wから排出される洗浄液を受けるカップ80を切り替える。具体的には、制御部102は、基板Wの回転速度を、ステップS6における基板Wの回転速度よりも低くする。ステップS71における基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、10rpm以上、100rpm以下である。
【0169】
そして、制御部102は、第1カップ81を鉛直下方に下降させる。このとき、基板Wの回転速度が低くなっているため、基板Wから排出された洗浄液が第1カップ81で跳ね返って基板Wに付着したり、周囲に飛散したりすることを抑制できる。具体的には、第1カップ81を鉛直下方に下降させると、第1カップ81の内縁が基板Wの側方を通過する際に内縁と基板Wとの間の距離が狭くなるため、基板Wから排出された洗浄液は内縁に勢い良く衝突する。このため、第1カップ81を鉛直下方に下降させる際には、基板Wから排出された洗浄液が第1カップ81で跳ね返って基板Wに付着したり、周囲に飛散したりしやすくなる。しかしながら、第3実施形態では、上記のように、基板Wの回転速度が低くなっているため、基板Wから排出された洗浄液が第1カップ81で跳ね返って基板Wに付着したり、周囲に飛散したりすることを抑制できる。
【0170】
次に、ステップS72において、制御部102は、基板Wの回転速度を、ステップS71における基板Wの回転速度よりも高くする。これにより、基板Wから排出された洗浄液は、第2カップ82によって受け止められる。ステップS72における基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、ステップS6における基板Wの回転速度よりも高いことが好ましい。第3実施形態では、ステップS72における基板Wの回転速度は、例えば、1500rpm以上、2500rpm以下である。
【0171】
また、制御部102は、基板Wの回転速度を高くしてから所定時間が経過すると、基板Wの回転を停止する。
【0172】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。
【0173】
第3実施形態のその他の基板処理方法は、第1実施形態と同様である。
【0174】
第3実施形態では、上記のように、基板Wから排出される洗浄液を受けるカップ80を切り替える。従って、ステップS5およびステップS6で使用していない乾いた状態の第2カップ82を使用することができる。よって、第1カップ81を用いる場合に比べて、基板W周囲が乾燥状態になるため、効率良く基板Wを乾燥できる。また、洗浄液を、処理液(例えば、SC1)とは別に回収することも可能である。
【0175】
第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0176】
(第4実施形態)
図8を参照して、本発明の第4実施形態による基板処理装置100の基板処理方法について説明する。
図8は、第4実施形態の基板処理装置100の基板処理方法を示すフローチャートである。第4実施形態では、第1実施形態~第3実施形態とは異なり、前洗浄工程(ステップS11)を設ける例について説明する。第4実施形態では、基板処理装置100の基板処理方法は、ステップS1~ステップS5、ステップS11、ステップS6およびステップS7を含む。ステップS1~ステップS5、ステップS11、ステップS6およびステップS7は、制御部102によって実行される。なお、第4実施形態では、
図5に示した第1実施形態の基板処理方法の一部を変更して説明するが、
図6に示した第2実施形態の基板処理方法の一部を変更してもよいし、
図7に示した第3実施形態の基板処理方法の一部を変更してもよい。第4実施形態の基板処理装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0177】
図8に示すように、ステップS1~ステップS5は、第1実施形態と同様である。
【0178】
次に、ステップS11において、制御部102は、基板Wを洗浄する。具体的には、制御部102は、基板Wの上面Waにアンモニア水を供給する。アンモニア水は、例えば、ノズル34およびノズル44とは別に設けられたノズル(図示せず)から供給されてもよいし、ノズル34から供給されてもよい。また、制御部102は、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する。このとき、制御部102は、アンモニア水とオゾン水とを同時に基板Wに供給する。なお、ステップS11における基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、300rpm以上、1200rpm以下である。
【0179】
また、制御部102は、基板Wに対するアンモニア水の供給を開始してから所定時間が経過すると、アンモニア水およびオゾン水の供給を停止する。なお、第4実施形態では、次のステップS6においても基板Wに下面Wbに対してオゾン水を供給するため、オゾン水の供給を停止しなくてもよい。
【0180】
次に、第1実施形態と同様にして、ステップS6およびステップS7が実行される。
【0181】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。
【0182】
第4実施形態のその他の基板処理方法および効果は、第1実施形態~第3実施形態と同様である。
【0183】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0184】
例えば第1実施形態では、基板Wの上面Waに水素水を供給し、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、基板Wの上面Waにオゾン水を供給し、基板Wの下面Wbに水素水を供給してもよい。
【0185】
また、例えば第2実施形態では、基板Wの上面Waに水素水を供給しながら、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給した後、基板Wの上面Waおよび下面Wbの両方に水素水を供給する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、基板Wの上面Waにオゾン水および水素水の一方を供給しながら、基板Wの下面Wbにオゾン水および水素水の他方を供給した後、基板Wの上面Waおよび下面Wbの両方にオゾン水を供給してもよい。
【0186】
また、第1実施形態~第4実施形態では、ノズル44およびノズル54がオゾン水および水素水を基板Wに供給できるように構成されている例について示したが、本発明はこれに限らない。ノズル44がオゾン水および水素水の一方のみを基板Wに供給できるように構成されていてもよい。また、ノズル54がオゾン水および水素水の他方のみを基板Wに供給できるように構成されていてもよい。
【0187】
また、第1実施形態~第4実施形態では、基板Wの上面Waに洗浄液を供給するノズル44と、基板Wの下面Wbに洗浄液を供給するノズル54とを設ける例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、基板Wの上面Waに洗浄液を供給するノズル44のみを設けてもよい。この場合、ノズル44がオゾン水および水素水の両方を基板Wに供給できるように構成されていてもよい。
【0188】
また、第1実施形態~第4実施形態では、処理液ボックス120からオゾン水タンク320および水素水タンク330に洗浄液を戻す戻り配管61および62を設ける例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、処理液ボックス120からオゾン水タンク320および水素水タンク330に洗浄液を戻さなくてもよい。
【0189】
また、第1実施形態~第4実施形態では、洗浄に用いた洗浄液を基板処理ユニット10からオゾン水タンク320および水素水タンク330に戻す戻り配管を設けていない例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、洗浄に用いた洗浄液を基板処理ユニット10からオゾン水タンク320および水素水タンク330に戻す戻り配管を設けてもよい。
【0190】
また、第1実施形態~第4実施形態では、例えばステップS5およびS6において、基板Wの下面Wbにオゾン水を供給する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ステップS5およびS6において、基板Wの下面Wbに純水を供給してもよい。
【0191】
また、第1実施形態~第4実施形態では、処理液ボックス120内で洗浄液が循環しない例について示したが、本発明はこれに限らず、処理液ボックス120内で洗浄液が循環するように構成してもよい。例えば、配管341から分岐してオゾン水タンク320にオゾン水を戻す配管を設けてもよい。また、配管351から分岐して水素水タンク330に水素水を戻す配管を設けてもよい。
【0192】
また、第1実施形態~第4実施形態では、泡発生装置336を設ける例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、泡発生装置336を設けなくてもよい。
【0193】
また、第1実施形態~第4実施形態では、泡発生装置336が、水素水タンク330内の水素水中に泡を発生させる例について示したが、本発明はこれに限らない。泡発生装置336は、例えば、配管内の水素水中に泡を発生させてもよい。
【0194】
また、第1実施形態では、オゾン水タンク320および水素水タンク330の下流側にタンクを設けない例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、オゾン水タンク320の下流側に、オゾン水を収容するタンクをさらに設けてもよい。また、水素水タンク330の下流側に、水素水を収容するタンクをさらに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0196】
10 :基板処理ユニット
44 :ノズル(第1ノズル)
46 :バルブ(切替弁)
54 :ノズル(第2ノズル)
56 :バルブ(切替弁)
100 :基板処理装置
310 :電気分解部
320 :オゾン水タンク
330 :水素水タンク
336 :泡発生装置
910a、910b :オゾン水配管
920a、920b :水素水配管
S1 :ステップ(生成工程)
S6 :ステップ(洗浄工程)
W :基板
Wa :上面
Wb :下面