IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図1
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図2
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図3
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図4
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図5
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図6
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図7
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図8
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図9
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図10
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図11
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図12
  • 特開-基板処理方法及び基板処理装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101855
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01L21/306 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006018
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(72)【発明者】
【氏名】伊豆田 崇
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA10
5F043BB03
5F043DD30
5F043EE01
5F043EE06
5F043EE22
5F043EE23
5F043EE24
5F043EE25
5F043EE32
5F043EE40
5F043FF01
5F043GG10
(57)【要約】
【課題】処理液の溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽の処理液に供給する不活性ガスが、基板の面内における処理の均一性又は複数の基板間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理方法は基板処理装置100において実行される。基板処理装置100では、処理槽105と外槽110との間で処理液LQが循環される。基板処理方法は、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105の処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する工程S2と、処理液LQの溶存酸素濃度を測定する工程S5と、外槽110に貯留された処理液LQにガスを供給する工程S7とを含む。工程S7では、第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいてガスの流量を調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が浸漬される処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の外側に配置されて処理液を貯留する外槽とを備え、前記処理槽と前記外槽との間で前記処理液が循環される基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
第1不活性ガスの流量を一定に保持しつつ、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記第1不活性ガスを供給する工程と、
前記処理液の溶存酸素濃度を測定する工程と、
前記外槽に貯留された前記処理液にガスを供給する工程と
を含み、
前記ガスを供給する前記工程では、前記第1不活性ガスの流量が一定に保持された状態において、前記処理液の溶存酸素濃度に基づいて前記ガスの流量を調節することで、前記処理槽に貯留された前記処理液の溶存酸素濃度を調節する、基板処理方法。
【請求項2】
前記ガスとして、第2不活性ガスと空気とが使用され、
前記ガスを供給する前記工程では、前記第2不活性ガスの流量と前記空気の流量との比率を調節することで、前記処理液の溶存酸素濃度を調節する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記ガスは、第2不活性ガスであり、
前記ガスを供給する前記工程では、前記第2不活性ガスの流量を増加させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を減少させ、前記第2不活性ガスの流量を減少させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を増加させる、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記ガスは、空気であり、
前記ガスを供給する前記工程では、前記空気の流量を減少させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を減少させ、前記空気の流量を増加させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を増加させる、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記外槽は、互いに連通する複数の貯留部を有し、
前記ガスを供給する前記工程では、前記複数の貯留部のうち最も容量の大きな貯留部に貯留された前記処理液に前記ガスを供給する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記最も容量の大きな貯留部の底部に、前記処理液を前記処理槽に導入するための配管が接続され、
前記ガスを供給する前記工程では、前記最も容量の大きな貯留部の底部の側から、前記処理液の液面に向けて前記ガスを供給する、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
基板が浸漬される処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽の外側に配置され、前記処理液のうち前記処理槽から溢れた処理液が流入する外槽と、
前記外槽に貯留された前記処理液を前記処理槽に導入する処理液導入部と、
不活性ガスの流量を一定に保持しつつ、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記不活性ガスを供給する第1ガス供給部と、
前記外槽に貯留された前記処理液にガスを供給する第2ガス供給部と、
前記第2ガス供給部に供給する前記ガスの流量を調節するガス調節部と、
前記処理液の溶存酸素濃度を測定する測定部と、
前記不活性ガスの流量が一定に保持された状態において、前記処理液の溶存酸素濃度に基づいて前記ガス調節部を制御することで、前記ガスの流量を調節して、前記処理槽に貯留された前記処理液の溶存酸素濃度を調節するガス制御部と
を備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置は、処理槽と、外槽と、第1のガス供給部と、第2のガス供給部と、を備える。処理槽は、基板を処理液に浸漬する。外槽は、処理槽の周囲を囲み、処理槽からオーバーフローする処理液を受ける。第1のガス供給部は、処理槽内に貯留される処理液に不活性ガスを供給する。第2のガス供給部は、外槽の内側に配置される開口部から外槽内に貯留される処理液に不活性ガスを供給する。このように、エッチング液の中に不活性ガスを供給して処理液に溶け込ませることにより、外槽内に貯留される処理液の酸素濃度を低減させることができる。これにより、循環路を介して外槽に接続される処理槽内に貯留される処理液の酸素濃度も低減させることができることから、ウェハに形成されたホールの深さ方向におけるエッチング量の均一性を向上させることができる。
【0003】
また、基板処理装置は、酸素濃度測定部を備える。酸素濃度測定部は、処理槽から抜き取った処理液の酸素濃度を酸素濃度センサで測定する。これにより、酸素濃度測定部は、処理槽内に貯留される処理液の酸素濃度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-77385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置では、制御部は、酸素濃度センサで測定される処理液の酸素濃度に基づいて、第1のガス供給部から処理槽内の処理液への不活性ガスの供給量を制御する。このように、フィードバック制御を行う場合は、処理槽の処理液に供給される不活性ガスの供給量は、一定ではなく、調節される。
【0006】
本願の発明者は、鋭意研究の結果、処理槽の処理液に供給される不活性ガスの供給量が酸素濃度に応じて調節されることによって、処理液の酸素濃度(溶存酸素濃度)が目標濃度範囲内に収まったとしても、不活性ガスの供給量の調節が、基板の面内における処理の均一性及び/又は複数の基板間での処理の均一性に影響を及ぼす可能性があることの知見を得た。
【0007】
本発明の目的は、処理液の溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽の処理液に供給する不活性ガスが、基板の面内における処理の均一性及び/又は複数の基板間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる基板処理方法及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理方法は、基板処理装置において実行される。基板処理装置は、基板が浸漬される処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の外側に配置されて処理液を貯留する外槽とを備える。基板処理装置では、前記処理槽と前記外槽との間で前記処理液が循環される。基板処理方法は、第1不活性ガスの流量を一定に保持しつつ、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記第1不活性ガスを供給する工程と、前記処理液の溶存酸素濃度を測定する工程と、前記外槽に貯留された前記処理液にガスを供給する工程とを含む。前記ガスを供給する前記工程では、前記第1不活性ガスの流量が一定に保持された状態において、前記処理液の溶存酸素濃度に基づいて前記ガスの流量を調節することで、前記処理槽に貯留された前記処理液の溶存酸素濃度を調節する。
【0009】
本発明の一態様においては、前記ガスとして、第2不活性ガスと空気とが使用されることが好ましい。前記ガスを供給する前記工程では、前記第2不活性ガスの流量と前記空気の流量との比率を調節することで、前記処理液の溶存酸素濃度を調節することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、前記ガスは、第2不活性ガスであることが好ましい。前記ガスを供給する前記工程では、前記第2不活性ガスの流量を増加させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を減少させ、前記第2不活性ガスの流量を減少させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を増加させることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記ガスは、空気であることが好ましい。前記ガスを供給する前記工程では、前記空気の流量を減少させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を減少させ、前記空気の流量を増加させることで、前記処理液の溶存酸素濃度を増加させることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記外槽は、互いに連通する複数の貯留部を有することが好ましい。前記外槽において前記ガスを供給する前記工程では、前記複数の貯留部のうち最も容量の大きな貯留部に貯留された前記処理液に前記ガスを供給することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、前記最も容量の大きな貯留部の底部に、前記処理液を前記処理槽に導入するための配管が接続されることが好ましい。前記外槽において前記ガスを供給する前記工程では、前記最も容量の大きな貯留部の底部の側から、前記処理液の液面に向けて前記ガスを供給することが好ましい。
【0014】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、処理槽と、外槽と、処理液導入部と、第1ガス供給部と、第2ガス供給部と、ガス調節部と、測定部と、ガス制御部とを備える。処理槽は、基板が浸漬される処理液を貯留する。外槽は、前記処理槽の外側に配置され、前記処理液のうち前記処理槽から溢れた処理液が流入する。処理液導入部は、前記外槽に貯留された前記処理液を前記処理槽に導入する。第1ガス供給部は、不活性ガスの流量を一定に保持しつつ、前記処理槽に貯留された前記処理液に前記不活性ガスを供給する。第2ガス供給部は、前記外槽に貯留された前記処理液にガスを供給する。ガス調節部は、前記第2ガス供給部に供給する前記ガスの流量を調節する。測定部は、前記処理液の溶存酸素濃度を測定する。ガス制御部は、前記不活性ガスの流量が一定に保持された状態において、前記処理液の溶存酸素濃度に基づいて前記ガス調節部を制御することで、前記ガスの流量を調節して、前記処理槽に貯留された前記処理液の溶存酸素濃度を調節する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、処理液の溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽の処理液に供給する不活性ガスが、基板の面内における処理の均一性及び/又は複数の基板間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す模式的断面図である。
図2】本実施形態に係る処理液の溶存酸素濃度とエッチング量との関係を示すグラフである。
図3】本実施形態に係る第1不活性ガスの供給時間と処理液の溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。
図4】(a)は、本実施形態に係る基板が処理液に浸漬される前の状態を示す斜視図である。(b)は、本実施形態に係る基板が処理液に浸漬された状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
図6図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8】本実施形態に係る第1ガス供給部を示す模式的平面図である。
図9】本実施形態に係る導入部を示す模式的裏面図である。
図10】本実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図11】本実施形態の第1変形例に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
図12】本実施形態の第2変形例に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
図13】本実施形態の第3変形例に係る基板処理装置を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、及び、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。なお、「平面視」は、鉛直上方から対象を見ることを示す。「裏面視」は、鉛直下方から対象を見ることを示す。
【0018】
図1図10を参照して、本発明の実施形態に係る基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100を示す模式的断面図である。図1に示す基板処理装置100は、バッチ式であり処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。基板処理装置100は、1枚の基板Wを処理することもできる。
【0019】
基板処理装置100は、処理槽105と、外槽110と、第1蓋体111と、第2蓋体112と、基板保持部120と、処理液導入部125と、排液部170と、第1ガス調節部180と、第1ガス供給部200と、第3ガス供給部210と、測定部245と、制御装置220とを備える。
【0020】
処理槽105は、複数の基板Wが浸漬される処理液LQを貯留する。処理槽105は、複数の基板Wを収容可能である。処理槽105は、処理液LQに複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理する。
【0021】
処理液LQは、例えば、エッチング液である。例えば、処理液LQによって、基板Wに形成されたポリシリコン膜をエッチングする。本実施形態では、一例として、処理液LQは、アルカリ性である。アルカリ性の処理液LQは、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を含む水溶液、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMY)を含む水溶液、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、又は、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)である。なお、処理液LQは、酸性であってもよい。酸性の処理液LQは、例えば、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、塩酸、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、又は、混酸である。
【0022】
第1蓋体111は、処理槽105の上部開口106aを覆う。上部開口106aは、鉛直方向Dにおいて上向きに開口している。第1蓋体111は、一対の開き戸51を含む。一方の開き戸51が矢印a1方向に開き、他方の開き戸51が矢印a2方向に開くことで、上部開口106aが開放される。なお、図1では、一対の開き戸51が閉じた状態が示されている。
【0023】
外槽110は、処理槽105の外側に配置される。外槽110は、処理槽105を囲む。外槽110には、処理槽105に貯留された処理液LQのうち処理槽105から溢れた処理液LQが流入する。外槽110の上端の高さは、処理槽105の上端の高さよりも高い。
【0024】
第2蓋体112は、外槽110の上部開口110aを覆う。上部開口110aは、鉛直方向Dにおいて上向きに開口している。第2蓋体112と処理槽105の上端との間には、隙間110bが存在する。処理槽105から溢れた処理液LQは、隙間110bを通って外槽110に流入する。第1蓋体111は、第2蓋体112を覆う。なお、基板処理装置100は第2蓋体112を備えていなくてもよい。この場合は、第1蓋体111は、外槽110の上部開口110aを覆う。
【0025】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。基板保持部120は1枚の基板Wを保持することもできる。基板保持部120は、処理槽105に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。
【0026】
具体的には、基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直方向Dに沿って上昇又は下降する。基板保持部120は、本体板122と、複数の保持棒124とを含む。本体板122は、鉛直方向Dに延びる板である。複数の保持棒124は第1方向D10(図4)に延びる。複数の基板Wは、間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0027】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでいてもよい。昇降ユニット126は、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理槽105内に位置する処理位置(図4(b)に示す位置)と、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理槽105の上方に位置する退避位置(図4(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。従って、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液LQに浸漬される。これにより、複数の基板Wに対して処理が施される。
【0028】
第1ガス供給部200は、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する。本実施形態では、第1ガス供給部200は、少なくとも基板Wの処理期間において、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する。第1不活性ガスGA1は、例えば、窒素又はアルゴンである。具体的には、第1ガス供給部200は、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1の気泡BB1を供給する。本実施形態では、第1ガス供給部200は、少なくとも基板Wの処理期間において、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1の気泡BB1を供給する。処理液LQには多数の気泡BB1が供給される。
【0029】
詳細には、第1ガス供給部200は、処理槽105の内部に配置される。第1ガス供給部200は少なくとも1つの第1ガス供給管21を含む。本実施形態では、第1ガス供給部200は、複数の第1ガス供給管21を含む。複数の第1ガス供給管21は処理槽105の内部に配置される。複数の第1ガス供給管21は処理槽105の底部側に配置される。複数の第1ガス供給管21は処理液LQに浸かっている。複数の第1ガス供給管21の各々は複数の第1吐出孔H1を有する。複数の第1ガス供給管21の各々において、各第1吐出孔H1は、第1ガス供給管21の上部に設けられる。この場合、例えば、第1吐出孔H1は、鉛直方向D上側を向いている。
【0030】
複数の第1ガス供給管21の各々は、複数の第1吐出孔H1の各々から第1不活性ガスGA1を吐出することで、各第1吐出孔H1から処理液LQに気泡BB1を供給する。具体的には、複数の第1ガス供給管21の各々は、基板Wが処理液LQに浸漬された状態において、基板Wの下方から処理液LQに対して、複数の第1吐出孔H1の各々から気泡BB1を供給する。
【0031】
第1ガス供給管21は、例えば、バブラー管である。第1ガス供給管21の材質は、例えば、石英、又は、樹脂である。樹脂は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの耐腐食性のある樹脂である。第1ガス供給管21の管径は、特に限定はされないが、例えば、約6.0mmである。第1吐出孔H1の直径は、特に限定はされないが、例えば、約0.2mmである。第1吐出孔H1の直径は、例えば、導入部130による処理液LQの層流(後述)と気泡BB1との関係を考慮して定めてもよい。
【0032】
第1ガス調節部180は、第1ガス供給部200に供給する第1不活性ガスGA1の流量を調節することが可能である。具体的には、第1ガス調節部180は、第1ガス供給部200に供給する第1不活性ガスGA1の流量を調節することで、第1ガス供給部200が処理液LQに供給する気泡BB1の量を調節することが可能である。更に具体的には、第1ガス調節部180は、各第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の流量を調節することで、各第1ガス供給管21が複数の第1吐出孔H1から処理液LQに供給する気泡BB1の量を調節することが可能である。なお、第1不活性ガスGA1の流量は、単位時間当たりの流量を示す。
【0033】
本実施形態では、第1ガス調節部180は、少なくとも基板Wの処理期間において、第1ガス供給部200に供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持する。つまり、第1ガス調節部180は、少なくとも基板Wの処理期間において、複数の第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の合計流量を一定に保持する。合計流量が一定に保持されることは、合計流量が目標合計流量に維持されることを示す。ここで、1本の第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の流量を「個別流量」と定義する。この場合、例えば、複数の第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の個別流量は略等しい。なお、各第1ガス供給管21において第1不活性ガスGA1の個別流量が一定である限りにおいて、複数の第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の個別流量が異なっていてもよい。
【0034】
具体的には、第1ガス調節部180は、第1不活性ガス供給源K1から供給される第1不活性ガスGA1を、複数の第1ガス供給管21に供給する。第1不活性ガス供給源K1は第1不活性ガスGA1を貯留する。詳細には、基板処理装置100は複数の配管181を更に備える。複数の配管181は、それぞれ、複数の第1ガス供給管21に接続される。そして、第1ガス調節部180は、不活性ガス供給源TKCから供給される第1不活性ガスGA1を、複数の配管181から、それぞれ、複数の第1ガス供給管21に供給する。
【0035】
更に具体的には、第1ガス調節部180は、複数のガス流量調節機構182を含む。複数のガス流量調節機構182は、それぞれ、複数の配管181に接続される。つまり、配管181の一端が第1ガス供給管21に接続され、配管181の他端がガス流量調節機構182に接続される。複数のガス流量調節機構182は、それぞれ、複数の第1ガス供給管21に対応して設けられる。ガス流量調節機構182は、第1不活性ガス供給源K1から供給される第1不活性ガスGA1を、対応する配管181を介して、対応する第1ガス供給管21に供給する。また、ガス流量調節機構182は、対応する第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の個別流量を調節することが可能である。
【0036】
本実施形態では、ガス流量調節機構182は、少なくとも基板Wの処理期間において、対応する第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の個別流量を一定に保持する。個別流量が一定に保持されることは、個別流量が目標個別流量に維持されることを示す。
【0037】
第3ガス供給部210は、外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を供給する。第3ガス供給部210は、外槽110の内部に配置される。第3不活性ガスGA3は、例えば、窒素又はアルゴンである。本実施形態では、第3不活性ガスGA3は第1不活性ガスGA1と同じである。具体的には、第3ガス供給部210は第3ガス供給管25を含む。第3ガス供給管25は外槽110の内部に配置される。第3ガス供給管25は複数の第2吐出孔H2を有する。第3ガス供給管25は、複数の第2吐出孔H2の各々から外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を吐出する。第3ガス供給管25の材質は、例えば、石英、又は、樹脂である。樹脂は、例えば、PEEK、PFA、およびPTFEなどの耐腐食性のある樹脂である。第3ガス供給管25の管径は、特に限定はされないが、例えば、約6.0mmである。第2吐出孔H2の直径は、特に限定はされないが、例えば、約0.2mmである。
【0038】
処理液導入部125は、外槽110に貯留された処理液LQを処理槽105に導入する。その結果、処理槽105と外槽110との間で処理液LQが循環される。
【0039】
処理液導入部125は、導入部130と、循環部140とを含む。
【0040】
導入部130は、処理槽105に処理液LQを導入する。導入部130は、処理槽105の内部において第1ガス供給部200(具体的には第1ガス供給管21)の下方に配置される。
【0041】
具体的には、導入部130はプレート31を含む。プレート31は略平板形状を有する。プレート31は、処理槽105の内部を分割して、処理室113と導入室115とを形成する。つまり、処理槽105は、処理室113と、導入室115とを有する。処理室113は、処理槽105の内部において、プレート31よりも上方の室である。処理室113に、第1ガス供給部200が配置される。また、処理室113に基板Wが配置される。導入室115は、処理槽105の内部において、プレート31よりも下方の室である。
【0042】
プレート31は、第1ガス供給部200の下方に配置される。プレート31は、処理槽105の底面を覆う。プレート31は、鉛直方向Dに対して略垂直である。プレート31は複数の処理液孔Pを有する。処理液孔Pはプレート31を貫通する。処理液孔Pはプレート31の全面に配置される。処理液孔Pは鉛直方向D上側を向いている。
【0043】
複数の第1ガス供給管21は、処理槽105の内部において、プレート31の上方、かつ、基板Wの下方に配置される。
【0044】
導入部130は、処理液LQが処理槽105に貯留された状態において、複数の処理液孔Pから上方に向けて、処理槽105に処理液LQを導入する。従って、導入部130は、循環部140から供給される処理液LQの層流を発生できる。つまり、導入部130は、処理液LQの層流を発生させることで、処理槽105に処理液LQを導入する。処理液LQの層流は、複数の処理液孔Pから略鉛直方向Dに沿って上方に流れる。
【0045】
具体的には、導入部130は、少なくとも1つの吐出部131と、少なくとも1つの分散板132とを含む。吐出部131は、例えば、ノズル又は管である。分散板132は、例えば、略平板状である。分散板132は、鉛直方向Dに対して略垂直である。吐出部131及び分散板132は導入室115に配置される。
【0046】
吐出部131は、分散板132の下方に位置する。吐出部131は、分散板132と鉛直方向Dに対向する。吐出部131は、循環部140から供給された処理液LQを分散板132に向けて吐出する。従って、処理液LQは分散板132に突き当たる。その結果、処理液LQの圧力が分散板132によって分散される。つまり、分散板132は、吐出部131が吐出した処理液LQの圧力を分散する。そして、分散板132によって圧力の分散された処理液LQは、導入室115において略水平方向に拡がる。更に、処理液LQは、プレート31の各処理液孔Pから鉛直方向Dに沿って上方に向かって層流として処理室113に供給される。このように、導入部130は、鉛直方向Dに沿った処理液LQの層流を発生させる点で、処理液LQの整流機能を有する。
【0047】
循環部140は、処理槽105から溢れて外槽110に流入した処理液LQを導入部130に供給することで、処理槽105内の処理液LQを循環させる。
【0048】
具体的には、循環部140は、循環配管141、ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145、及び、バルブ146を含む。ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146は、この順番に循環配管141の上流から下流に向かって配置される。
【0049】
循環配管141は、外槽110と処理槽105とを接続する。そして、循環配管141は、処理槽105から溢れて外槽110に流入した処理液LQを再び処理槽105に導く。このように、循環配管141には処理液LQが流れる。具体的には、循環配管141の上流端が外槽110に接続されている。なお、循環配管141の上流端と外槽110との接続位置の詳細は、図6を参照して後述する。一方、循環配管141の下流端に、導入部130(具体的には吐出部131)が接続される。従って、循環配管141は、外槽110から導入部130(具体的には吐出部131)に処理液LQを導く。循環配管141は、本発明の「処理液を処理槽に導入するための配管」の一例に相当する。
【0050】
ポンプ142は、循環配管141を介して外槽110から処理槽105に向けて処理液LQを送出する。具体的には、ポンプ142は、循環配管141から吐出部131に向けて、外槽110内の処理液LQを送出する。従って、吐出部131は、循環配管141から供給された処理液LQを吐出する。フィルター144は、循環配管141を流れる処理液LQをろ過する。
【0051】
ヒーター143は、循環配管141を流れる処理液LQを加熱する。つまり、ヒーター143は、処理液LQの温度を調節する。調整バルブ145は、調整バルブ145の開度が制御されることで、吐出部131に供給される処理液LQの流量を調整する。バルブ146は循環配管141を開閉する。
【0052】
排液部170は、処理槽105の処理液LQを排出する。排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。そして、処理槽105の底壁には、排液配管170aが接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、処理槽105内に貯留されている処理液LQは排液配管170aを通って外部に排出される。排出された処理液LQは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。
【0053】
測定部245は、処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。具体的には、測定部245は、処理槽105の外に配置され、循環配管141中の処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。更に具体的には、測定部245は、循環配管141において外槽110よりも処理槽105の近くの位置で、循環配管141中の処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。つまり、測定部245は、バルブ146、調整バルブ145、フィルター144、ヒーター143、及び、ポンプ142よりも上流の位置であって、処理槽105の底部外面に隣接した位置において、循環配管141中の処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。測定部245は、処理液LQの溶存酸素濃度を示す情報を制御装置220に出力する。
【0054】
なお、測定部245による測定対象は、循環される処理液LQである限りは特に限定されず、例えば、測定部245は、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を測定してもよい。また、測定部245は、例えば、溶存酸素計である。溶存酸素計は、例えば、滴定法、隔膜電極法、又は、蛍光法によって、処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。
【0055】
制御装置220は、基板処理装置100の各構成を制御する。具体的には、制御装置220は、基板保持部120、処理液導入部125、排液部170、第1ガス調節部180、及び、第3ガス供給部210を制御する。
【0056】
具体的には、制御装置220は、制御部221と、記憶部223とを含む。制御部221は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部223は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。例えば、記憶部223は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー及びハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを備える。記憶部223は、光ディスク等のリムーバブルメディアを備えていてもよい。記憶部223は、例えば、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体である。制御装置220は、入力装置及び表示装置を備えていてもよい。制御部221のプロセッサーは、記憶部223の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理装置100の各構成を制御する。
【0057】
制御部221は、第1制御部A1と、第2制御部A2と、第3制御部A3とを含む。具体的には、制御部221のプロセッサーは、記憶部223の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、第1制御部A1、第2制御部A2、及び、第3制御部A3として機能する。第2制御部A2は、本発明の「ガス制御部」の一例に相当する。第1制御部A1~第3制御部A3については後述する。
【0058】
以上、図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、第1ガス供給部200は、処理槽105の処理液LQに第1不活性ガスGA1(気泡BB1)を供給することで、処理液LQに溶解した酸素が第1不活性ガスGA1に置換される。従って、第1不活性ガスGA1を供給しない場合と比較して、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を低下させることができる。その結果、処理液LQに浸漬された基板Wを、処理液LQによって効果的に処理できる。つまり、第1不活性ガスGA1(気泡BB1)を供給することで、処理液LQの溶存酸素濃度を低下させるため、第1不活性ガスGA1を供給しない場合と比較して、処理液LQによる基板Wの処理量を多くできる。本実施形態では、一例として、処理液LQによる基板Wの処理は、基板Wのエッチングである。この場合、処理液LQによる基板Wの処理量は、基板Wのエッチング量である。従って、第1不活性ガスGA1(気泡BB1)の供給によって、処理液LQによる基板Wのエッチング量を多くできる。
【0059】
また、本実施形態によれば、処理液LQに第1不活性ガスGA1(気泡BB1)を供給することで、基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。その結果、基板Wの表面に、凹部を含む表面パターンが形成されている場合に、拡散現象によって凹部内の処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。よって、表面パターンの凹部内の壁面を、浅い位置から深い位置まで処理液LQによって効果的に処理(エッチング)できる。なお、凹部は、例えば、リセス、ホール、又は、トレンチである。
【0060】
更に、本実施形態によれば、処理液導入部125は、処理液LQの層流により処理液LQを処理槽105に導入する。従って、第1ガス供給部200が処理液LQに供給する気泡BB1の流れが乱されることを抑制できる。
【0061】
更に、本実施形態では、外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を供給しているため、外槽110の上部開口110aを介して外槽110内の処理液LQに酸素が溶解することを抑制できる。
【0062】
図1の例では、第3ガス供給部210は、外槽110内の処理液LQの上方に配置され、各第2吐出孔H2から下方に向けて第3不活性ガスGA3を吐出する。その結果、第3不活性ガスGA3が、外槽110内の処理液LQの液面に吐出されるとともに、外槽110内に充満する。具体的には、第3ガス供給管25が、外槽110内の処理液LQの上方に配置され、各第2吐出孔H2から下方に向けて第3不活性ガスGA3を吐出する。この場合、例えば、第2吐出孔H2は、鉛直方向D下側を向いている。つまり、第2吐出孔H2は、第3ガス供給管25の底部に配置される。
【0063】
次に、図2を参照して、溶存酸素濃度と処理量との関係を説明する。図2は、処理液LQの溶存酸素濃度とエッチング量との関係を示すグラフである。横軸は、処理液LQ中の溶存酸素濃度(ppm)を示し、縦軸は、基板Wのエッチング量(nm)を示す。
【0064】
図2は、処理液LQとしてTMAHを使用した場合の実施例を示している。TMAHの濃度は、0.31%であった。第1不活性ガスGA1は窒素であった。第3不活性ガスGA3及び混合ガスGA(後述)は使用しなかった。本実施例は、処理液LQの溶存酸素濃度とエッチング量との関係を検証することを目的としていたため、実験系を簡素化したためである。
【0065】
基板Wには、ポリシリコン膜(ポリシリコン層)が形成されていた。図2は、TMAHに基板Wを浸漬した場合のポリシリコン膜のエッチング量を示している。エッチング量は、TMAHへの浸漬前のポリシリコン膜の厚みから浸漬後のポリシリコン膜の厚みを差し引いた値である。エッチング量を「基板Wのエッチング量」と記載する場合がある。
【0066】
図2に示すように、処理液LQの溶存酸素濃度が低い程、基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。エッチング量(処理量)は、溶存酸素濃度に略正比例した。比例定数は「負」であった。
【0067】
次に、図3を参照して、第1不活性ガスGA1の流量と溶存酸素濃度との関係を説明する。図3は、第1不活性ガスGA1の流量ごとに、第1不活性ガスGA1(気泡BB1)の供給時間と処理液LQの溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。横軸は、第1不活性ガスGA1の供給時間(hour)を示し、縦軸は、処理液LQの溶存酸素濃度(ppm)を示す。
【0068】
図3は、処理液LQとしてTMAHを使用した場合の実施例を示している。TMAHの濃度は、0.31%であった。第1不活性ガスGA1は窒素であった。第3不活性ガスGA3及び混合ガスGA(後述)は使用しなかった。本実施例は、不活性ガスの流量と溶存酸素濃度との関係を検証することを目的としていたため、実験系を簡素化したためである。
【0069】
プロットg1は、第1不活性ガスGA1の流量が10リットル/分の場合の溶存酸素濃度を示す。プロットg2は、第1不活性ガスGA1の流量が20リットル/分の場合の溶存酸素濃度を示す。プロットg3は、第1不活性ガスGA1の流量が30リットル/分の場合の溶存酸素濃度を示す。この場合、第1不活性ガスGA1の流量は、1本の第1ガス供給管21に供給される流量を示す。
【0070】
プロットg1~g3から理解できるように、約1時間で、処理液LQの溶存酸素濃度が略一定になった。また、溶存酸素濃度が略一定になった状態において、第1不活性ガスGA1の流量が多い程、処理液LQの溶存酸素濃度が低下した。換言すれば、溶存酸素濃度が略一定になった状態において、処理液LQに供給する気泡BB1が多い程、処理液LQの溶存酸素濃度が低下した。なぜなら、第1不活性ガスGA1の流量が多い程、処理液LQに供給される気泡BB1が多くなるからである。
【0071】
以上、図2及び図3の実施例から理解できるように、第1不活性ガスGA1の流量が多いほど溶存酸素濃度が低下するため、第1不活性ガスGA1の流量が多いほど基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。つまり、処理液LQに供給する気泡BB1が多いほど溶存酸素濃度が低下するため、気泡BB1が多いほど基板Wのエッチング量(処理量)が多くなった。
【0072】
次に、図4を参照して、基板保持部120、処理槽105、及び、外槽110を説明する。図4(a)及び図4(b)は、基板Wを処理槽105に投入する前及び後の基板処理装置100の模式的斜視図である。なお、図4では、図面が過度に複雑になることを避けるために、図1に示した第1蓋体111、第2蓋体112、処理槽105内の処理液LQ、及び、外槽110内の処理液LQを省略して示している。また、図4(a)及び図4(b)では、1ロット(例えば25枚)の基板Wが処理槽105で処理される例が示される。
【0073】
図4(a)に示すように、基板保持部120は、第1方向D10に沿って複数の基板Wを保持する。具体的には、基板保持部120は、第1方向D10に間隔をあけて複数の基板W(1ロットの基板W)を保持する。複数の基板Wは、第1方向D10に沿って一列に配列される。換言すれば、第1方向D10は、複数の基板Wの配列方向を示す。第1方向D10は、水平方向に略平行であり、鉛直方向Dに略垂直である。また、複数の基板Wの各々は、第2方向D20に略平行である。第2方向D20は、第1方向D10及び鉛直方向Dに略直交し、水平方向に略平行である。
【0074】
図4(a)では、基板保持部120は、処理槽105の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直方向Dに沿って下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽105に投入される。図4(b)に示すように、基板保持部120が処理槽105にまで下降すると、複数の基板Wは、処理槽105内の処理液LQに浸漬する。
【0075】
処理槽105は、一対の側壁105a、105bと、第1壁105cと、第2壁105dとを含む。
【0076】
一対の側壁105a、105bは第1方向D10に沿って延びる。一対の側壁105a、105bは、第2方向D20に間隔をあけて配置される。一対の側壁105a、105bの各々は、略平板形状を有し、鉛直方向Dに略平行である。
【0077】
第1壁105c及び第2壁105dは第2方向D20に沿って延びる。第1壁105c及び第2壁105dは、第1方向D10に間隔をあけて配置される。第1壁105c及び第2壁105dの各々は、略平板形状を有し、鉛直方向Dに略平行である。第1壁105c及び第2壁105dは、一対の側壁105a、105bに対して略直角である。
【0078】
外槽110は処理槽105を囲んでいる。具体的には、外槽110は、少なくとも処理槽105の上部周面を囲んでいる。更に具体的には、外槽110は、第1貯留部117aと、第2貯留部117bと、第3貯留部117cと、第4貯留部117dとを有する。第1貯留部117a~第4貯留部117dは、処理槽105から溢れた処理液LQを貯留する。第1貯留部117a~第4貯留部117dは、互いに連通する。「連通」は、直接的に連通する場合だけでなく、間接的に連通する場合を含む。例えば、第1貯留部117aと第3貯留部117cとは直接的に連通する。例えば、第1貯留部117aと第2貯留部117bとは、第3貯留部117c及び第4貯留部117dを介して間接的に連通する。
【0079】
第1貯留部117aは、第1壁105cに沿って延びる。第1貯留部117aは第2方向D20に沿って延びる。第1貯留部117aは、第1壁105cの外側に配置され、第1壁105cに対して第1方向D10に対向する。第1貯留部117aは、第1壁105cの上部から下部まで延びる。第1貯留部117aは、第1貯留部117a~第4貯留部117dのうち最も容量の大きい貯留部である。第1貯留部117aは、本発明の「最も容量の大きい貯留部」の一例に相当する。
【0080】
第2貯留部117bは、第2壁105dに沿って延びる。第2貯留部117bは、第2壁105dの上部外側に配置され、第2壁105dに対して第1方向D10に対向する。第2貯留部117bは第2方向D20に沿って延びる。
【0081】
第3貯留部117cは、側壁105aに沿って延びる。第3貯留部117cは第1方向D10に沿って延びる。第3貯留部117cは、側壁105aの上部外側に配置され、側壁105aに対して第2方向D20に対向する。第3貯留部117cは、第1貯留部117aと第2貯留部117bとの間に位置し、第1貯留部117aと第2貯留部117bとを繋ぐ。
【0082】
第4貯留部117dは、側壁105bに沿って延びる。第4貯留部117dは第1方向D10に沿って延びる。第4貯留部117dは、側壁105bの上部外側に配置され、側壁105bに対して第2方向D20に対向する。第4貯留部117dは、第1貯留部117aと第2貯留部117bとの間に位置し、第1貯留部117aと第2貯留部117bとを繋ぐ。
【0083】
次に、図5図7を参照して、基板処理装置100を説明する。図5は、基板処理装置100を示す模式的平面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、図5のVII-VII線に沿った断面図である。なお、図5図7では、第1蓋体111及び第2蓋体112(図1)を取り外した状態が示される。また、図5図7では、基板保持部120(図1)が省略され、処理槽105には基板Wが投入されていない。これらのことは、後述する図11図13についても同様である。
【0084】
図5に示すように、基板処理装置100は、第2ガス供給部230と、第2ガス調節部240と、配管74、86、96とを更に備える。第2ガス調節部240は、本発明の「ガス調節部」の一例に相当する。
【0085】
配管86と配管96とは、合流点79で合流し、合流点79で配管74に接続される。配管86は、第2不活性ガス供給源K2に接続される。第2不活性ガス供給源K2は第2不活性ガスGA2を貯留する。第2不活性ガスGA2は、例えば、窒素又はアルゴンである。本実施形態では、第2不活性ガスGA2は第1不活性ガスGA1と同じである。第2不活性ガス供給源K2から配管86に第2不活性ガスGA2が供給される。また、配管96は、空気供給源K4に接続される。空気供給源K4から配管96に空気ARが供給される。
【0086】
合流点79において、第2不活性ガスGA2と空気ARとが混合され、混合ガスGAが配管74に供給される。つまり、混合ガスGAは、第2不活性ガスGA2と空気ARとが混合されたガスである。混合ガスGAは、本発明の「ガス」の一例に相当する。混合ガスGAは、配管74から第2ガス供給部230に供給される。
【0087】
図5図7に示すように、第2ガス供給部230は、外槽110に貯留された処理液LQに混合ガスGAを供給する。具体的には、第2ガス供給部230は、外槽110に貯留された処理液LQに混合ガスGAの気泡BB2を供給する。
【0088】
第2ガス調節部240は、第2ガス供給部230に供給する混合ガスGAの流量を調節する。つまり、第2ガス調節部240は、第2ガス供給部230に供給する混合ガスGAの流量を調節することで、第2ガス供給部230が処理液LQに供給する混合ガスGAの流量を調節する。混合ガスGAの流量は、単位時間当たりの流量を示す。
【0089】
本実施形態では、混合ガスGAの流量を調節することは、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することを示す。例えば、第2ガス調節部240は、混合ガスGAの流量を増加させつつ、比率RAを調節する。又は、例えば、第2ガス調節部240は、混合ガスGAの流量を減少させつつ、比率RAを調節する。又は、例えば、第2ガス調節部240は、混合ガスGAの流量を一定に保持しつつ、比率RAを調節する。なお、第2不活性ガスGA2の流量は、単位時間当たりの流量を示す。空気ARの流量は、単位時間当たりの流量を示す。
【0090】
第2制御部A2は第2ガス調節部240を制御する。具体的には、第2制御部A2は、測定部245(図1)から処理液LQの溶存酸素濃度を示す情報を取得する。そして、第2制御部A2は、第1不活性ガスGA1(図1)の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240を制御することで、第2ガス供給部230に供給される混合ガスGA(つまり、第2ガス供給部230から処理液LQに供給される混合ガスGA)の流量を調節して、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。
【0091】
すなわち、外槽110の処理液LQに混合ガスGAを供給しつつも、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1(図1)の流量が一定に保持されるため、第1不活性ガスGA1が基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。加えて、外槽110の処理液LQに供給する混合ガスGAの流量を調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めることができ、ひいては、基板Wのエッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めることができる。
【0092】
この点を詳細に説明する前に、処理液LQの溶存酸素濃度について説明する。例えば、工場の用力系統から、処理液LQに含まれる純水(DIW:DE-IONIZED WATER)を導入する場合、工場環境(例えば、工場の場所、工場内における基板処理装置100の位置、及び、純水を供給する配管の長さ)によって、純水の溶存酸素濃度が異なる場合がある。従って、工場環境によって、純水を含む処理液LQの溶存酸素濃度も異なる場合がある。特に、処理液LQにおける純水の含有量が多い場合には、純水の溶存酸素濃度が、処理液LQの溶存酸素濃度に与える影響は大きい。
【0093】
そして、処理液LQの溶存酸素濃度によって、エッチング量及びエッチングレートが異なることは、図2に示した通りである。従って、基板Wのエッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めることが要求されている場合に、工場環境によっては、基板Wのエッチング量又はエッチングレートが目標範囲内に収まらない場合が発生し得る。目標範囲内に収まらない場合は、基板Wのエッチング量又はエッチングレートが目標範囲に満たない場合、又は、基板Wのエッチング量又はエッチングレートが目標範囲を超える場合である。
【0094】
そこで、例えば、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量を調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に調節して、基板Wのエッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めることが可能である。目標濃度範囲は、基板Wのエッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めるために要求される溶存酸素濃度の範囲を示す。目標濃度範囲は、例えば、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0095】
しかしながら、本願の発明者は、第1不活性ガスGA1の流量を調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まったとしても、第1不活性ガスGA1の流量の調節が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼす可能性があることの知見を得た。つまり、本願の発明者は、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量が異なると、基板Wの面内における処理の均一性が異なったり、複数の基板W間での処理の均一性が異なったりする場合があり得るとの知見を得た。
【0096】
この点は、基板処理装置100が複数の処理槽105を備える場合において、複数の処理槽105間においても同様であり、また、複数の基板処理装置100が異なる地域に設置されている場合において、複数の処理槽105間においても同様である。例えば、基板処理装置100の処理槽105における第1不活性ガスGA1の流量が、同一の基板処理装置100の別の処理槽105における第1不活性ガスGA1の流量と異なる場合は、複数の処理槽105間において、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性が異なる場合がある。例えば、基板処理装置100の処理槽105における第1不活性ガスGA1の流量が、別の基板処理装置100の処理槽105における第1不活性ガスGA1の流量と異なる場合は、異なる地域に設置される複数の基板処理装置100間において、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性が異なる場合がある。
【0097】
そこで、本実施形態では、基板処理装置100は、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する。そして、基板処理装置100は、第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス供給部230に供給する混合ガスGA(つまり、第2ガス供給部230から処理液LQに供給する混合ガスGA)の流量を調節することで、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。その結果、本実施形態によれば、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0098】
また、本実施形態では、基板処理装置100が複数の処理槽105を備える場合に、複数の処理槽105間において、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性を確保しつつ、エッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めることができる。更に、異なる地域に複数の基板処理装置100が設置される場合に、異なる基板処理装置100間において、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性を確保しつつ、エッチング量又はエッチングレートを目標範囲内に収めることができる。
【0099】
なお、処理液LQは、処理液導入部125(図1)によって、外槽110と処理槽105との間を循環する。従って、外槽110において溶存酸素濃度が調節された処理液LQは、処理槽105に導入される。その結果、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度は、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度を調節することによって調節される。
【0100】
引き続き図5図7を参照して第2ガス供給部230及び第2ガス調節部240の詳細を説明する。
【0101】
第2ガス供給部230は、外槽110の内部に配置される。第2ガス供給部230は少なくとも1つの第2ガス供給管70を含む。本実施形態では、第2ガス供給部230は、1本の第2ガス供給管70を含む。第2ガス供給管70は外槽110の底部側に配置される。第2ガス供給管70は処理液LQに浸かっている。第2ガス供給管70は、第2方向D20に沿って延びている。
【0102】
第2ガス供給管70は複数の第2吐出孔H2を有する。複数の第2吐出孔H2は、第2ガス供給管70の上部に設けられる。この場合、例えば、第2吐出孔H2は、鉛直方向D上側を向いている。複数の第2吐出孔H2は、第2方向D20に間隔をあけて略一直線上に配置される。
【0103】
第2ガス供給管70は、複数の第2吐出孔H2の各々から混合ガスGAを吐出することで、各第2吐出孔H2から処理液LQに混合ガスGAの気泡BB2を供給する。
【0104】
第2ガス供給管70は、例えば、バブラー管である。第2ガス供給管70の材質は、例えば、石英、又は、樹脂である。樹脂は、例えば、PEEK、PFA、およびPTFEなどの耐腐食性のある樹脂である。第2ガス供給管70の管径は、特に限定はされないが、例えば、約6.0mmである。第2吐出孔H2の直径は、特に限定はされないが、例えば、約0.2mmである。好ましくは、第2吐出孔H2の直径は、第1吐出孔H1(図1)の直径よりも小さい。好ましい理由は、第2吐出孔H2の直径が小さい程、気泡BB2が小さくなるからである。この場合、例えば、第2吐出孔H2の直径は、約0.1mm以上約0.15mm以下である。
【0105】
第2ガス供給管70は、第1貯留部117a~第4貯留部117dのうち最も容量の大きい第1貯留部117aに配置される。具体的には、第2ガス供給管70は、第1貯留部117aの底部側に配置される。そして、第2ガス供給管70は、第1貯留部117aに貯留された処理液LQに混合ガスGAを供給する。具体的には、第2ガス供給管70は、各第2吐出孔H2から、第1貯留部117aに貯留された処理液LQに混合ガスGAの気泡BB2を供給する。従って、最も容量の大きな第1貯留部117aに貯留された処理液LQの溶存酸素濃度が、混合ガスGA(気泡BB2)によって集中して調節される。そして、溶存酸素濃度が調節された処理液LQが処理槽105に導入される。その結果、本実施形態によれば、より短時間で、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に調節できる。
【0106】
また、循環配管141が第1貯留部117aの底部に接続される。具体的には、循環配管141の上流端が、第1貯留部117aの底部に設けられた処理液供給口147に接続される。従って、外槽110の処理液LQは、処理液供給口147を通って循環配管141に供給される。一方、第2ガス供給管70は、第1貯留部117aの底部の側から、各第2吐出孔H2を通して処理液LQの液面に向けて混合ガスGA(気泡BB2)を供給する。つまり、第2ガス供給管70は、第1貯留部117aの底部の側から、各第2吐出孔H2を通して鉛直方向D上側に向けて混合ガスGA(気泡BB2)を供給する。従って、本実施形態によれば、気泡BB2が処理液供給口147に入り込むことを抑制できる。その結果、第1貯留部117aの処理液LQに接触する気泡BB2の数が減少することが抑制されて、気泡BB2によって第1貯留部117aの処理液LQの溶存酸素濃度を効果的に調節できる。
【0107】
更に、図6に示すように、第2ガス供給管70は、第1貯留部117aの底部側において、第1方向D10の略中央部に配置される。従って、本実施形態によれば、気泡BB2が、第1壁105c及び第1貯留部117aの壁面117eに接触することを抑制できる。その結果、気泡BB2がより多く処理液LQに接触するため、気泡BB2によって処理液LQの溶存酸素濃度を効果的に調節できる。
【0108】
また、外槽110は、排液口250を有する。排液口250は、外槽110の上部に配置される。具体的には、排液口250は、第1貯留部117aの上部に配置される。また、基板処理装置100は配管251を更に備える。配管251は、排液口250に接続される。排液口250に達した処理液LQは、排液口250及び配管251から外槽110の外部に排出される。従って、処理液LQが外槽110から溢れることを抑制できる。特に、本実施形態では、多数の気泡BB2が第1貯留部117aの処理液LQに供給されるため、気泡BB2を供給しない場合と比べて、処理液LQが外槽110から溢れ易い可能性がある。従って、本実施形態では、排液口250及び配管251による排液は、外槽110からの処理液LQの溢れ抑制のために特に有効である。
【0109】
また、図7に示すように、第2ガス供給部230は、管71を更に含む。管71は鉛直方向Dに沿って延びる。管71の一端(下端)は、第2ガス供給管70の第2方向D20の一端に接続される。第2ガス供給管70の第2方向D20の他端は閉塞される。管71の他端(上端)は、配管74に接続される。従って、配管74から供給される混合ガスGAは、管71を通って第2ガス供給管70に供給される。
【0110】
特に、本実施形態では、図5に示す第2ガス調節部240は、第2ガス供給部230に供給する混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、第2ガス供給部230が処理液LQに供給する混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節する。つまり、第2ガス調節部240は、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。つまり、比率RAを調節することで外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が調節され、処理液LQの循環によって処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度が調整される。従って、本実施形態によれば、比率RAを調節するという簡易な操作によって、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を容易に調節できる。
【0111】
具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内でない場合は、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240を制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内になるように、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節する。つまり、第2制御部A2は、フィードバック制御によって比率RAを調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。なお、第2制御部A2及び第2ガス調節部240は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内である場合は、比率RAを維持する。
【0112】
更に具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を大きくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240を制御する。その結果、第2ガス調節部240は、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における第2不活性ガスGA2の流量の割合(現状の第2不活性ガスGA2の流量の割合)よりも大きくする。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が減少して、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。なお、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合とは、溶存酸素濃度が目標濃度範囲の上限値を超えていることを示す。
【0113】
ここで、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を大きくすることで、処理液LQの溶存酸素濃度が減少することは、図3に示すグラフから推測できる。
【0114】
なお、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合に、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を小さくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240を制御してもよい。この場合は、第2ガス調節部240は、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における空気ARの流量の割合(現状の空気ARの流量の割合)よりも小さくする。この場合、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合が大きくなる。
【0115】
ここで、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を小さくすることは、混合ガスGAにおける酸素の割合を小さくすることに相当する。なぜなら、空気ARには、約20%の酸素が含まれるからである。このため、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を小さくすることで、混合ガスGAにおける酸素の流量の割合が小さくなって、処理液LQの溶存酸素濃度が減少する。
【0116】
一方、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を小さくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240を制御する。その結果、第2ガス調節部240は、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における第2不活性ガスGA2の流量の割合(現状の第2不活性ガスGA2の流量の割合)よりも小さくする。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が増加して、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。なお、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合とは、溶存酸素濃度が目標濃度範囲の下限値未満であることを示す。
【0117】
ここで、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を小さくすることで、処理液LQの溶存酸素濃度が増加することは、図3に示すグラフから推測できる。
【0118】
なお、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合に、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を大きくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240を制御してもよい。この場合は、第2ガス調節部240は、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における空気ARの流量の割合(現状の空気ARの流量の割合)よりも大きくする。
【0119】
ここで、空気ARは約20%の酸素を含むため、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を大きくすることで、混合ガスGAにおける酸素の流量の割合が大きくなる。その結果、処理液LQの溶存酸素濃度が増加する。
【0120】
引き続き図5を参照して第2ガス調節部240の詳細を説明する。第2ガス調節部240は、逆止弁72と、フィルター73と、不活性ガス調節機構80と、空気調節機構90とを含む。フィルター73及び逆止弁72は、この順番に配管74の上流から下流に向かって配置される。フィルター73は、配管74を流れる混合ガスGAから異物を除去する。逆止弁72は、混合ガスGAの逆流を防止する。
【0121】
不活性ガス調節機構80は配管86に配置される。不活性ガス調節機構80は、第2不活性ガス供給源K2から配管86に供給される第2不活性ガスGA2の流量及び圧力を調節する。
【0122】
具体的には、不活性ガス調節機構80は、バルブ81と、調節バルブ82と、流量計83と、圧力計84と、レギュレーター85とを含む。レギュレーター85、圧力計84、流量計83、調節バルブ82、及び、バルブ81は、この順番に配管86の上流から下流に向かって、配管86に配置される。
【0123】
レギュレーター85は、配管86内の第2不活性ガスGA2の圧力を調節する。レギュレーター85は、例えば、電空レギュレーターである。圧力計84は、配管86内の第2不活性ガスGA2の圧力を測定する。流量計83は、配管86を流れる第2不活性ガスGA2の流量を測定する。調節バルブ82は、調節バルブ82の開度が調節されることで、配管86に流れる第2不活性ガスGA2の流量を調節して、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を調節する。なお、例えば、調節バルブ82及び流量計83に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。バルブ81は、配管86を開閉する。つまり、バルブ81は、配管86から配管74及び第2ガス供給管70への第2不活性ガスGA2の供給と供給停止とを切り替える。
【0124】
また、空気調節機構90は、バルブ91と、調節バルブ92と、流量計93と、圧力計94と、レギュレーター95とを含む。レギュレーター95、圧力計94、流量計93、調節バルブ92、及び、バルブ91は、この順番に配管96の上流から下流に向かって、配管96に配置される。
【0125】
レギュレーター95は、配管96内の空気ARの圧力を調節する。レギュレーター95は、例えば、電空レギュレーターである。圧力計94は、配管96内の空気ARの圧力を測定する。流量計93は、配管96を流れる空気ARの流量を測定する。調節バルブ92は、調節バルブ92の開度が調節されることで、配管96に流れる空気ARの流量を調節して、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を調節する。なお、例えば、調節バルブ92及び流量計93に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。バルブ91は、配管96を開閉する。つまり、バルブ91は、配管96から配管74及び第2ガス供給管70への空気ARの供給と供給停止とを切り替える。
【0126】
第2制御部A2は、流量計83が計測する第2不活性ガスGA2の流量を監視しながら、不活性ガス調節機構80を制御することで、配管86を流れる第2不活性ガスGA2の流量を調節する。一方、第2制御部A2は、流量計93が計測する空気ARの流量を監視しながら、空気調節機構90を制御することで、配管96を流れる空気ARの流量を調節する。
【0127】
例えば、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、第2不活性ガスGA2の流量を増加するように、不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御するとともに、空気ARの流量を維持する。つまり、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、第2不活性ガスGA2の流量を増加するように不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御することで、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を大きくして処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0128】
なお、例えば、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合に、空気ARの流量を減少するように、空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御するとともに、第2不活性ガスGA2の流量を維持してもよい。つまり、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、空気ARの流量を減少するように空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御することで、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を小さくして処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めてもよい。
【0129】
一方、例えば、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、第2不活性ガスGA2の流量を減少するように、不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御するとともに、空気ARの流量を維持する。つまり、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、第2不活性ガスGA2の流量を減少するように不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御することで、混合ガスGAにおける第2不活性ガスGA2の流量の割合を小さくして処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0130】
なお、例えば、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合に、空気ARの流量を増加するように、空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御するとともに、第2不活性ガスGA2の流量を維持してもよい。つまり、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、空気ARの流量を増加するように空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御することで、混合ガスGAにおける空気ARの流量の割合を大きくして処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めてもよい。
【0131】
次に、図5及び図6を参照して、第3ガス供給部210(図1)を説明する。図5に示すように、第3ガス供給部210は、第3ガス供給管25と、バルブ26とを含む。第3ガス供給管25は、外槽110の内部に配置される。第3ガス供給管25は、処理槽105を囲む。具体的には、第3ガス供給管25は、第1配管部25aと、第2配管部25bと、第3配管部25cと、第4配管部25dと、第5配管部25eと、第6配管部25fとを含む。
【0132】
第1配管部25aは、第1貯留部117aの内部において、上側領域に配置される。第1配管部25aは第1方向D10に沿って延びる。第1配管部25aは、外槽110の内部から外部に延びる。
【0133】
第2配管部25bは、第1貯留部117aの内部において、上側領域に配置される。第2配管部25bは、第1配管部25aの下流端から屈曲し、第1壁105cに沿って延びる。第2配管部25bは、第2方向D20に沿って延びる。
【0134】
第3配管部25cは、第3貯留部117cの内部において、上側領域に配置される。第3配管部25cは、第2配管部25bの下流端から屈曲し、側壁105aに沿って延びる。第3配管部25cは、第1方向D10に沿って延びる。
【0135】
第4配管部25dは、第2貯留部117bの内部において、上側領域に配置される。第4配管部25dは、第3配管部25cの下流端から屈曲し、第2壁105dに沿って延びる。第4配管部25dは、第2方向D20に沿って延びる。
【0136】
第5配管部25eは、第4貯留部117dの内部において、上側領域に配置される。第5配管部25eは、第4配管部25dの下流端から屈曲し、側壁105bに沿って延びる。第5配管部25eは、第1方向D10に沿って延びる。
【0137】
第6配管部25fは、第1貯留部117aの内部において、上側領域に配置される。第6配管部25fは、第5配管部25eの下流端から屈曲し、第1壁105cに沿って延びる。第6配管部25fは、第2方向D20に沿って延びる。第6配管部25fの下流端は閉塞されている。
【0138】
第1配管部25a~第6配管部25fの各々に、複数の第3吐出孔H3(図1)が設けられる。従って、第1貯留部117a~第4貯留部117dのいずれにおいても、処理液LQに酸素が溶解することを抑制できる。
【0139】
基板処理装置100は配管185を更に備える。配管185は、第3ガス供給管25(具体的には第1配管部25a)と第3不活性ガス供給源K3とをバルブ26を介して接続する。第3不活性ガス供給源K3は、第3不活性ガスGA3を貯留する。
【0140】
バルブ26は、処理槽105及び外槽110の外側において、配管185に配置される。バルブ26は、配管185の流路を開放することで、第3ガス供給管25に対して、第3不活性ガス供給源K3から第3不活性ガスGA3を供給する。一方、バルブ26は、配管185の流路を閉塞することで、第3不活性ガス供給源K3から第3ガス供給管25への第3不活性ガスGA3の供給を停止する。
【0141】
図6に示すように、第3ガス供給管25において、複数の第3吐出孔H3は、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。そして、複数の第3吐出孔H3は、鉛直方向D下側に向けて開口し、処理液LQの液面に対して鉛直方向Dに対向している。第3ガス供給管25は、複数の第3吐出孔H3から、外槽110内の処理液LQの液面に向けて第3不活性ガスGA3を吐出する。
【0142】
図5及び図6に示すように、第3制御部A3は、第3ガス供給管25に第3不活性ガスGA3を供給するように、バルブ26を制御する。その結果、バルブ26が配管185の流路を開放することで、第3ガス供給管25に第3不活性ガスGA3が供給される。よって、第3ガス供給管25は、各第3吐出孔H3から外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を吐出する。
【0143】
次に、図8を参照して、第1ガス供給部200を説明する。図8は、第1ガス供給部200を示す模式的平面図である。図8に示すように、複数の第1ガス供給管21は、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。図8の例では、複数の第1ガス供給管21は、仮想中心線CLに対して対称に配置される。仮想中心線CLは、各基板Wの中心を通り、第1方向D10に沿って延びる。
【0144】
具体的には、複数の第1ガス供給管21は、処理槽105において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。第1ガス供給管21は、第1方向D10に沿って延びている。複数の第1ガス供給管21の各々において、複数の第1吐出孔H1は、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。
【0145】
複数のガス流量調節機構182の各々は、バルブ41と、フィルター42と、流量計43と、調節バルブ44とを含む。バルブ41、フィルター42、流量計43、及び、調節バルブ44は、この順番に配管181の下流から上流に向かって、配管181に配置される。
【0146】
調節バルブ44は、調節バルブ44の開度が調節されることで、配管181に供給する第1不活性ガスGA1の流量を調節して、第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の流量を調節することが可能である。流量計43は、配管181を流れる第1不活性ガスGA1の流量を測定する。調節バルブ44は、流量計43の測定結果に基づいて第1不活性ガスGA1の流量を調節する。なお、例えば、調節バルブ44及び流量計43に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。
【0147】
本実施形態では、調節バルブ44は、調節バルブ44が一定の開度に設定されることで、配管181に供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に設定して、第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の流量(個別流量)を一定に保持する。つまり、調節バルブ44は、第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の流量(個別流量)を目標個別流量に設定する。なお、複数の第1ガス供給管21において、目標個別流量は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0148】
具体的には、第1制御部A1は、第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の流量(個別流量)が一定に保持されるように、ガス流量調節機構182(具体的には調節バルブ44)を制御する。つまり、第1制御部A1は、第1ガス供給管21に供給する第1不活性ガスGA1の流量(個別流量)が目標個別流量に設定されるように、ガス流量調節機構182(具体的には調節バルブ44)を制御する。
【0149】
複数の第1ガス供給管21の各々に供給する第1不活性ガスGA1の流量(個別流量)が一定に保持されるため、複数の第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の合計流量もまた一定に保持される。つまり、複数の第1ガス供給管21に供給される第1不活性ガスGA1の合計流量が目標合計流量に設定される。
【0150】
フィルター42は、配管181を流れる第1不活性ガスGA1から異物を除去する。バルブ41は、配管181を開閉する。つまり、バルブ41は、配管181からの第1ガス供給管21に対する第1不活性ガスGA1の供給と供給停止とを切り替える。バルブ41の開閉は第1制御部A1によって制御される。
【0151】
次に、図9を参照して、導入部130を説明する。図9は、導入部130を示す模式的裏面図である。図9に示すように、導入部130は、複数の吐出部131と、複数の分散板132とを含む。図9の例では、導入部130は、2個の吐出部131と、2個の分散板132とを含む。複数の吐出部131は、第1方向D10に間隔をあけて配置される。複数の分散板132は、第1方向D10に間隔をあけて配置される。複数の分散板132は、それぞれ、複数の吐出部131に対応する。複数の分散板132は、プレート31の下方に配置される。図9の例では、分散板132は、略円板形状を有する。複数の吐出部131は、それぞれ、複数の分散板132の下方に配置される。
【0152】
吐出部131及び分散板132は、裏面視において、第2方向D20におけるプレート31の中央領域31aに対応して配置される。中央領域31aは第1方向D10に沿って延びる。
【0153】
循環配管141(図1)は、配管133を含む。配管133は、プレート31の第1方向D10の一方端側から他方端側に向かって延びる。配管133は第1方向D10に沿って延びる。配管133は、プレート31の裏面に対向する。つまり、配管133は、プレート31の下方に配置される。具体的には、配管133は、分散板132よりも下方に配置される。
【0154】
吐出部131は、配管133の上面に接続される。吐出部131と配管133とは連通している。そして、吐出部131は、分散板132に向かって、配管133から鉛直上方に突出する。配管133には、循環部140(図1)から処理液LQが供給される。その結果、吐出部131は、処理液LQを分散板132に向かって吐出する。よって、処理液LQの圧力が分散され、処理液LQが水平方向に拡がる。そして、処理液LQは、複数の処理液孔Pから上昇して層流を形成する。
【0155】
次に、図1図5図6、及び、図10を参照して、本実施形態に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、処理槽105と外槽110との間で処理液LQが循環される基板処理装置100において実行される。図10は、本実施形態に係る基板処理方法の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。なお、一例として、工程S1の開始前では、全てのバルブ41(図8)、及び、バルブ81、91、26(図5)が閉じられている。
【0156】
図1及び図10に示すように、まず、工程S1において、基板処理装置100は、外槽110と処理槽105との間で処理液LQを循環させる。具体的には、制御部221は、外槽110から処理槽105に処理液LQを導入するように、処理液導入部125を制御する。その結果、処理液導入部125は、外槽110から処理槽105に処理液LQを導入することで、外槽110と処理槽105との間で処理液LQを循環させる。
【0157】
次に、工程S2において、基板処理装置100は、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105に貯留された処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する。具体的には、第1制御部A1は、第1ガス供給部200に供給する第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持されるように、第1ガス調節部180を制御する。その結果、第1ガス供給部200は、第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、処理槽105の処理液LQに第1不活性ガスGA1を供給する。なお、工程S2では、全てのバルブ41(図8)は開かれる。
【0158】
次に、工程S3において、基板処理装置100は、外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を供給する。具体的には、第3制御部A3は、第3不活性ガスGA3を供給するように、第3ガス供給部210を制御する。その結果、第3ガス供給部210は、外槽110の内部に第3不活性ガスGA3を供給する。なお、工程S3では、バルブ26は開かれる。
【0159】
次に、工程S4において、基板処理装置100は、処理槽105に貯留された処理液LQに基板Wを浸漬する。具体的には、制御部221は、処理槽105の処理液LQに基板Wを浸漬するように、基板保持部120を制御する。その結果、基板保持部120は、下降することで、処理槽105の処理液LQに基板Wを浸漬する。
【0160】
次に、工程S5において、基板処理装置100は、処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。具体的には、測定部245は、処理液LQの溶存酸素濃度を測定する。そして、第2制御部A2は、測定部245から、処理液LQの溶存酸素濃度を示す情報を取得する。
【0161】
次に、工程S6において、基板処理装置100(具体的には、第2制御部A2)は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内か否かを判定する。
【0162】
工程S6で処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内であると判定された場合(Yes)、処理は工程S8に進む。
【0163】
一方、工程S6で処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内でないと判定された場合(No)、処理は工程S7に進む。
【0164】
次に、工程S7において、基板処理装置100は、外槽110に貯留された処理液LQにガス(図6の例では混合ガスGA)を供給する。具体的には、第2ガス供給部230は、第1貯留部117a~第4貯留部117dのうち最も容量の大きな第1貯留部117aに貯留された処理液LQにガス(図6の例では混合ガスGA)を供給する。更に具体的には、第2ガス供給部230は、最も容量の大きな第1貯留部117aの底部の側から、処理液LQの液面に向けてガス(図6の例では混合ガスGA)を供給する。本実施形態では、外槽110の処理液LQに供給するガスは、第2不活性ガスGA2と空気ARとが混合された混合ガスGAである。つまり、ガスとして、第2不活性ガスGA2と空気ARとが使用される。従って、工程S7では、第2制御部A2は、混合ガスGAを第2ガス供給部230に供給するように、第2ガス調節部240を制御する。その結果、第2ガス供給部230は、外槽110の処理液LQに混合ガスGAを供給する。なお、工程S7では、第2制御部A2の制御によって、バルブ81及び/又はバルブ91が開かれる。
【0165】
特に、本実施形態では、工程S7において、基板処理装置100は、処理槽105の処理液LQに供給される第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて外槽110の処理液LQへのガス(図6の例では混合ガスGA)の流量を調節することで、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。本実施形態では、ガスは、第2不活性ガスGA2と空気ARとが混合された混合ガスGAである。従って、工程S7では、第2制御部A2は、第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240を制御することで、外槽110の処理液LQに供給する混合ガスGAの流量を調節して、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。具体的には、第2制御部A2は、第2ガス調節部240によって第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。そして、処理は工程S8に進む。
【0166】
工程S7の後、又は、工程S6で処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内であると判定された後、工程S8において、基板処理装置100(具体的には、制御部221)は、基板Wが処理液LQに浸漬されてから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0167】
工程S8で所定時間が経過していないと判定された場合(No)、処理は工程S5に進む。
【0168】
一方、工程S8で所定時間が経過したと判定された場合(Yes)、処理は工程S9に進む。
【0169】
次に、工程S9において、基板処理装置100は、処理槽105に貯留された処理液LQから基板Wを引き上げる。具体的には、制御部221は、処理槽105の処理液LQから基板Wを引き上げるように、基板保持部120を制御する。その結果、基板保持部120は、上昇することで、処理槽105の処理液LQから基板Wを引き上げる。
【0170】
次に、工程S10において、基板処理装置100(具体的には、制御部221)は、全ロットに対して処理液LQによる処理が完了したか否かを判定する。
【0171】
工程S10で全ロットに対して処理が完了していないと判定された場合(No)、処理は工程S4に進む。
【0172】
一方、工程S10で全ロットに対して処理が完了したと判定された場合(Yes)、基板処理方法は終了する。この場合、例えば、基板処理装置100は、第1不活性ガスGA1、ガス(図6の例では、混合ガスGA)、及び、第3不活性ガスGA3の供給を停止する。
【0173】
以上、図10を参照して説明したように、本実施形態に係る基板処理方法よれば、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、外槽110の処理液LQに供給するガス(図6の例では、混合ガスGA)の流量を処理液LQの溶存酸素濃度の測定結果に基づいて調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。従って、本実施形態によれば、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0174】
(第1変形例)
図10及び図11を参照して、本実施形態の第1変形例を説明する。第1変形例では、第2不活性ガスGA2及び空気ARをそれぞれ個別に外槽110の処理液LQに供給する点で、上記実施形態と主に異なる。以下、第1変形例が上記実施形態と異なる点を主に説明する。
【0175】
図11は、本実施形態の第1変形例に係る基板処理装置100を示す模式的平面図である。図11に示すように、基板処理装置100は、第2ガス供給部230A及び第2ガス調節部240Aを備える。第1変形例では、第2ガス供給部230Aが外槽110の処理液LQに供給するガスとして、第2不活性ガスGA2と空気ARとが使用される。
【0176】
第2ガス供給部230Aは、第2不活性ガスGA2及び空気ARをそれぞれ個別に外槽110の処理液LQに供給する。第2ガス供給部230Aは、第1貯留部117aにおいて、第1方向D10の略中央部に配置される。
【0177】
第2ガス供給部230Aは、少なくとも1つの第2ガス供給管70aと、少なくとも1つの第2ガス供給管70bとを含む。第1変形例では、第2ガス供給部230Aは、1本の第2ガス供給管70aと、1本の第2ガス供給管70bとを含む。第2ガス供給管70a、70bは外槽110の底部側に配置される。第2ガス供給管70a、70bは処理液LQに浸かっている。第2ガス供給管70a、70bは、第2方向D20に沿って延びている。第2ガス供給管70aと第2ガス供給管70bとは、第1方向D10に並んでいる。例えば、第2ガス供給管70aと第2ガス供給管70bとは、第1方向D10に隣接している。
【0178】
第2ガス供給管70aは複数の第2吐出孔H2aを有する。例えば、第2吐出孔H2aは、鉛直方向D上側を向いている。複数の第2吐出孔H2aは、第2方向D20に間隔をあけて略一直線上に配置される。
【0179】
第2ガス供給管70aは、複数の第2吐出孔H2aの各々から第2不活性ガスGA2を吐出することで、各第2吐出孔H2aから外槽110の処理液LQに第2不活性ガスGA2の気泡BB2a(不図示)を供給する。
【0180】
第2ガス供給管70bは複数の第2吐出孔H2bを有する。例えば、第2吐出孔H2bは、鉛直方向D上側を向いている。複数の第2吐出孔H2bは、第2方向D20に間隔をあけて略一直線上に配置される。
【0181】
第2ガス供給管70bは、複数の第2吐出孔H2bの各々から空気ARを吐出することで、各第2吐出孔H2bから外槽110の処理液LQに空気ARの気泡BB2b(不図示)を供給する。
【0182】
その他、第2ガス供給管70a、70bの構成及び材質は、第2ガス供給管70(図5)の構成及び材質と同様である。
【0183】
第2ガス供給部230Aは、管71a、71bを更に含む。管71aは鉛直方向Dに沿って延びる。管71aの一端(下端)は、第2ガス供給管70aの第2方向D20の一端に接続される。管71aの他端(上端)は、配管86に接続される。従って、配管86から供給される第2不活性ガスGA2は、管71aを通って第2ガス供給管70aに供給される。一方、管71bは鉛直方向Dに沿って延びる。管71bの一端(下端)は、第2ガス供給管70bの第2方向D20の一端に接続される。管71bの他端(上端)は、配管96に接続される。従って、配管96から供給される空気ARは、管71bを通って第2ガス供給管70bに供給される。
【0184】
第2ガス調節部240Aは、逆止弁72a、72bと、フィルター73a、73bと、不活性ガス調節機構80と、空気調節機構90とを含む。フィルター73aは、配管86を流れる第2不活性ガスGA2から異物を除去する。逆止弁72aは、第2不活性ガスGA2の逆流を防止する。フィルター73bは、配管96を流れる空気ARから異物を除去する。逆止弁72bは、空気ARの逆流を防止する。
【0185】
特に、第1変形例では、第2ガス調節部240Aは、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、第2ガス供給部230が処理液LQに供給する第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節する。つまり、第2ガス調節部240Aは、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、第2ガス供給管70aが処理液LQに供給する第2不活性ガスGA2の流量と第2ガス供給管70bが処理液LQに供給する空気ARの流量との比率RAを調節する。このように、第2ガス調節部240Aは、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。従って、第1変形例によれば、比率RAを調節するという簡易な操作によって、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を容易に調節できる。
【0186】
具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内でない場合は、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240Aを制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内になるように、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との比率RAを調節する。
【0187】
更に具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合、第2ガス供給管70aに供給する第2不活性ガスGA2の流量の割合を大きくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Aを制御する。ここで、「第2不活性ガスGA2の流量の割合」は、第2不活性ガスGA2の流量と空気ARの流量との合計流量のうちの第2不活性ガスGA2の流量の割合を示す。なお、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合、第2ガス供給管70bに供給する空気ARの流量の割合を小さくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Aを制御してもよい。ここで、「空気ARの流量の割合」は、第2不活性ガスGA2の流量及び空気ARの流量の合計流量のうちの空気ARの流量の割合を示す。
【0188】
その他、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合の第2制御部A2及び第2ガス調節部240Aの動作は、図5図7を参照して説明した、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合の第2制御部A2及び第2ガス調節部240の動作と同様である。
【0189】
一方、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、第2ガス供給管70aに供給する第2不活性ガスGA2の流量の割合を小さくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Aを制御する。なお、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合、第2ガス供給管70bに供給する空気ARの流量の割合を大きくして溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Aを制御してもよい。
【0190】
その他、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合の第2制御部A2及び第2ガス調節部240Aの動作は、図5図7を参照して説明した、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合の第2制御部A2及び第2ガス調節部240の動作と同様である。
【0191】
次に、図10及び図11を参照して、第1変形例に係る基板処理方法を説明する。第1変形例に係る基板処理方法は、図10を参照して説明した基板処理方法と同様である。従って、図10を参照しながら、相違点を主に説明する。
【0192】
図10及び図11に示すように、第1変形例に係る基板処理方法では、工程S7において、基板処理装置100は、外槽110(具体的には第1貯留部117a)に貯留された処理液LQにガス(図11の例では第2不活性ガスGA2及び空気AR)を供給する。具体的には、第2ガス供給部230Aは、第1貯留部117aの底部の側から、処理液LQの液面に向けてガス(図11の例では第2不活性ガスGA2及び空気AR)を供給する。第1変形例では、外槽110の処理液LQに供給するガスとして、第2不活性ガスGA2と空気ARとが使用される。従って、工程S7では、第2制御部A2は、第2不活性ガスGA2及び空気ARをそれぞれ個別に第2ガス供給部230Aに供給するように、第2ガス調節部240Aを制御する。その結果、第2ガス供給部230Aは、外槽110の処理液LQに対して、第2不活性ガスGA2及び空気ARをそれぞれ個別に供給する。つまり、第2ガス供給管70aが第2不活性ガスGA2を外槽110の処理液LQに供給し、第2ガス供給管70bが空気ARを外槽110の処理液LQに供給する。
【0193】
特に、第1変形例では、工程S7において、基板処理装置100は、処理槽105の処理液LQに供給される第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて外槽110の処理液LQへのガス(図11の例では第2不活性ガスGA2及び空気AR)の流量を調節することで、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。第1変形例では、ガスとして、第2不活性ガスGA2と空気ARとが使用される。従って、工程S7では、第2制御部A2は、第2ガス調節部240Aによって、第2ガス供給管70aに供給する第2不活性ガスGA2の流量と、第2ガス供給管70bに供給する空気ARの流量との比率RAを調節することで、処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。
【0194】
以上、図10を参照して説明したように、第1変形例に係る基板処理方法よれば、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、外槽110の処理液LQに供給するガス(図11の例では第2不活性ガスGA2及び空気AR)の流量を処理液LQの溶存酸素濃度の測定結果に基づいて調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。従って、第1変形例によれば、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0195】
(第2変形例)
図10及び図12を参照して、本実施形態の第2変形例を説明する。第2変形例では、空気ARを供給するための第2ガス供給管70bを備えず、第2不活性ガスGA2を供給するための第2ガス供給管70aを備える点で、第1変形例と主に異なる。以下、第2変形例が第1変形例と異なる点を主に説明する。
【0196】
図12は、本実施形態の第2変形例に係る基板処理装置100を示す模式的平面図である。図12に示すように、第2変形例に係る基板処理装置100は、第1変形例に係る基板処理装置100(図11)から、第2ガス供給管70b、管71b、配管96、逆止弁72b、フィルター73b、及び、空気調節機構90を取り除いた構成を有する。
【0197】
すなわち、第2変形例に係る基板処理装置100は、第2ガス供給部230B及び第2ガス調節部240Bを備える。第2変形例では、第2ガス供給部230Bが外槽110の処理液LQに供給するガスは、第2不活性ガスGA2である。
【0198】
第2ガス供給部230Bは、第2不活性ガスGA2を外槽110の処理液LQに供給する。第2ガス供給部230Bは、第1貯留部117aにおいて、第1方向D10の略中央部に配置される。
【0199】
第2ガス供給部230Bは、少なくとも1つの第2ガス供給管70aを含む。第2変形例では、第2ガス供給部230Aは、1本の第2ガス供給管70aを含む。
【0200】
特に、第2変形例では、第2ガス調節部240Bは、第2不活性ガスGA2の流量を増加させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を減少させ、第2不活性ガスGA2の流量を減少させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を増加させる。従って、第2変形例によれば、第2不活性ガスGA2の流量を増加又は減少させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を容易に調節できる。
【0201】
具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内でない場合は、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240Bを制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内になるように、第2不活性ガスGA2の流量を調節する。
【0202】
更に具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、第2不活性ガスGA2の流量を増加して溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Bを制御する。その結果、第2ガス調節部240Bは、第2不活性ガスGA2の流量を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における第2不活性ガスGA2の流量(現状の第2不活性ガスGA2の流量)よりも増加する。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が減少して、溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。
【0203】
例えば、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、第2不活性ガスGA2の流量を増加するように不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0204】
一方、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、第2不活性ガスGA2の流量を減少させて溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Bを制御する。その結果、第2ガス調節部240Bは、第2不活性ガスGA2の流量を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における第2不活性ガスGA2の流量(現状の第2不活性ガスGA2の流量)よりも減少させる。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が増加して、溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。
【0205】
例えば、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、第2不活性ガスGA2の流量を減少するように不活性ガス調節機構80(具体的には調節バルブ82)を制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0206】
次に、図10及び図12を参照して、第2変形例に係る基板処理方法を説明する。第2変形例に係る基板処理方法は、図10を参照して説明した基板処理方法と同様である。従って、図10を参照しながら、相違点を主に説明する。
【0207】
図10及び図12に示すように、第2変形例に係る基板処理方法では、工程S7において、基板処理装置100は、外槽110(具体的には第1貯留部117a)に貯留された処理液LQにガス(図12の例では第2不活性ガスGA2)を供給する。具体的には、第2ガス供給部230Bは、第1貯留部117aの底部の側から、処理液LQの液面に向けてガス(図12の例では第2不活性ガスGA2)を供給する。第2変形例では、外槽110の処理液LQに供給するガスは、第2不活性ガスGA2である。従って、工程S74では、第2制御部A2は、第2不活性ガスGA2を第2ガス供給部230Bに供給するように、第2ガス調節部240Bを制御する。その結果、第2ガス供給部230Bは、外槽110の処理液LQに対して、第2不活性ガスGA2を供給する。つまり、第2ガス供給管70aが、外槽110の処理液LQに対して、第2不活性ガスGA2を供給する。
【0208】
特に、第2変形例では、工程S7において、基板処理装置100は、処理槽105の処理液LQに供給される第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて外槽110の処理液LQへのガス(図12の例では第2不活性ガスGA2)の流量を調節することで、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。第2変形例では、ガスは第2不活性ガスGA2である。従って、工程S7では、第2制御部A2は、第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240Bを制御することで、外槽110の処理液LQに供給する第2不活性ガスGA2の流量を調節して、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。具体的には、第2制御部A2は、第2ガス供給管70aに供給する第2不活性ガスGA2の流量を増加させることで、処理液LQの溶存酸素濃度を減少させ、第2ガス供給管70aに供給する第2不活性ガスGA2の流量を減少させることで、処理液LQの溶存酸素濃度を増加させる。
【0209】
以上、図10を参照して説明したように、第2変形例に係る基板処理方法よれば、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、外槽110の処理液LQに供給するガス(図12の例では第2不活性ガスGA2)の流量を処理液LQの溶存酸素濃度の測定結果に基づいて調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。従って、第2変形例によれば、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0210】
なお、図5においてバルブ91を閉じることで、図5の基板処理装置100は、第2変形例に係る基板処理装置100と同様に動作することができる。
【0211】
(第3変形例)
図10及び図13を参照して、本実施形態の第3変形例を説明する。第3変形例では、第2不活性ガスGA2を供給するための第2ガス供給管70aを備えず、空気ARを供給するための第2ガス供給管70bを備える点で、第1変形例と主に異なる。以下、第3変形例が第1変形例と異なる点を主に説明する。
【0212】
図13は、本実施形態の第3変形例に係る基板処理装置100を示す模式的平面図である。図13に示すように、第3変形例に係る基板処理装置100は、第1変形例に係る基板処理装置100(図11)から、第2ガス供給管70a、管71a、配管86、逆止弁72a、フィルター73a、及び、不活性ガス調節機構80を取り除いた構成を有する。
【0213】
すなわち、第3変形例に係る基板処理装置100は、第2ガス供給部230C及び第2ガス調節部240Cを備える。第3変形例では、第2ガス供給部230Cが外槽110の処理液LQに供給するガスは、空気ARである。
【0214】
第2ガス供給部230Cは、空気ARを外槽110の処理液LQに供給する。第2ガス供給部230Cは、第1貯留部117aにおいて、第1方向D10の略中央部に配置される。
【0215】
第2ガス供給部230Cは、少なくとも1つの第2ガス供給管70bを含む。第3変形例では、第2ガス供給部230Cは、1本の第2ガス供給管70bを含む。
【0216】
特に、第3変形例では、第2ガス調節部240Cは、空気ARの流量を減少させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を減少させ、空気ARの流量を増加させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を増加させる。従って、第3変形例によれば、空気ARの流量を増加又は減少させることで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を容易に調節できる。
【0217】
具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内でない場合は、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240Cを制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲内になるように、空気ARの流量を調節する。
【0218】
更に具体的には、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、空気ARの流量を減少して溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Cを制御する。その結果、第2ガス調節部240Cは、空気ARの流量を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における空気ARの流量(現状の空気ARの流量)よりも減少させる。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が減少して、溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。
【0219】
例えば、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲を超えている場合は、空気ARの流量を減少するように空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0220】
一方、第2制御部A2は、測定部245から取得した処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、空気ARの流量を増加させて溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まるように、第2ガス調節部240Cを制御する。その結果、第2ガス調節部240Cは、空気ARの流量を、測定部245による溶存酸素濃度の測定時における空気ARの流量(現状の空気ARの流量)よりも増加させる。よって、外槽110の処理液LQの溶存酸素濃度が増加して、溶存酸素濃度が目標濃度範囲内に収まる。
【0221】
例えば、第2制御部A2は、処理液LQの溶存酸素濃度が目標濃度範囲に満たない場合は、空気ARの流量を増加するように空気調節機構90(具体的には調節バルブ92)を制御することで、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収める。
【0222】
次に、図10及び図13を参照して、第3変形例に係る基板処理方法を説明する。第3変形例に係る基板処理方法は、図10を参照して説明した基板処理方法と同様である。従って、図10を参照しながら、相違点を主に説明する。
【0223】
図10及び図13に示すように、第3変形例に係る基板処理方法では、工程S7において、基板処理装置100は、外槽110(具体的には第1貯留部117a)に貯留された処理液LQにガス(図13の例では空気AR)を供給する。具体的には、第2ガス供給部230Cは、第1貯留部117aの底部の側から、処理液LQの液面に向けてガス(図13の例では空気AR)を供給する。第3変形例では、外槽110の処理液LQに供給するガスは、空気ARである。従って、工程S7では、第2制御部A2は、空気ARを第2ガス供給部230Cに供給するように、第2ガス調節部240Cを制御する。その結果、第2ガス供給部230Cは、外槽110の処理液LQに対して、空気ARを供給する。つまり、第2ガス供給管70bが、外槽110の処理液LQに対して、空気ARを供給する。
【0224】
特に、第3変形例では、工程S7において、基板処理装置100は、処理槽105の処理液LQに供給される第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて外槽110の処理液LQへのガス(図13の例では空気AR)の流量を調節することで、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。第3変形例では、ガスは空気ARである。従って、工程S7では、第2制御部A2は、第1不活性ガスGA1の流量が一定に保持された状態において、処理液LQの溶存酸素濃度に基づいて第2ガス調節部240Cを制御することで、外槽110の処理液LQに供給する空気ARの流量を調節して、処理槽105に貯留された処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。具体的には、第2制御部A2は、第2ガス供給管70bに供給する空気ARの流量を減少させることで、処理液LQの溶存酸素濃度を減少させ、第2ガス供給管70bに供給する空気ARの流量を増加させることで、処理液LQの溶存酸素濃度を増加させる。
【0225】
以上、図10を参照して説明したように、第3変形例に係る基板処理方法よれば、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1の流量を一定に保持しつつ、外槽110の処理液LQに供給するガス(図13の例では空気AR)の流量を処理液LQの溶存酸素濃度の測定結果に基づいて調節することで、処理槽105の処理液LQの溶存酸素濃度を調節する。従って、第3変形例によれば、処理液LQの溶存酸素濃度を目標濃度範囲内に収めつつ、処理槽105の処理液LQに供給する第1不活性ガスGA1が、基板Wの面内における処理の均一性及び/又は複数の基板W間での処理の均一性に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0226】
なお、図5においてバルブ81を閉じることで、図5の基板処理装置100は、第3変形例に係る基板処理装置100と同様に動作することができる。
【0227】
以上、図面を参照して本発明の実施形態(変形例を含む)について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0228】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0229】
(1)図5において、複数の第2ガス供給管70が配管74に接続されていてもよい。図11において、複数の第2ガス供給管70aが配管86に接続されていてもよい。また、複数の第2ガス供給管70bが配管96に接続されていてもよい。更に、図12において、複数の第2ガス供給管70aが配管86に接続されていてもよい。更に、図13において、複数の第2ガス供給管70bが配管96に接続されていてもよい。
【0230】
(2)図6において、第3ガス供給管25は、外槽110の処理液LQ中に配置されてもよい。つまり、第3ガス供給管25は処理液LQに浸かっていてもよい。この場合は、第3ガス供給管25の第3吐出孔H3は、例えば、鉛直方向D上側を向く。
【0231】
(3)図10において、工程S1~工程S8の順番は、特に限定されず、任意の順番を取り得る。
【産業上の利用可能性】
【0232】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0233】
100 基板処理装置
105 処理槽
110 外槽
117a 第1貯留部(貯留部)
125 処理液導入部
141 循環配管(配管)
200 第1ガス供給部
230、230A~230C 第2ガス供給部
240、240A~240C 第2ガス調節部(ガス調節部)
A1 第1制御部
A2 第2制御部(ガス制御部)
A3 第3制御部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13