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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101870
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006042
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】上原 耕
(72)【発明者】
【氏名】日詰 真由美
(72)【発明者】
【氏名】西原 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊輔
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001PA00
(57)【要約】
【課題】木造棟と鉄筋コンクリート造の連結棟との連結部分に損壊が生じることを抑制可能な建築物を提供することである。
【解決手段】複数の木造棟11、12、13、14と、隣り合う木造棟11、12、13、14の間に設けられ、それぞれの木造棟11、12、13、14に連結された鉄筋コンクリート造の連結棟21、22、23、24と、を有する建築物1であって、木造棟11、12、13、14と連結棟21、22、23、24との間にエキスパンションジョイント40が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の木造棟と、
隣り合う前記木造棟の間に設けられ、それぞれの前記木造棟に連結された鉄筋コンクリート造の連結棟と、を有する建築物であって、
前記木造棟と前記連結棟との間にエキスパンションジョイントが設けられていることを特徴とする建築物。
【請求項2】
前記木造棟の前記エキスパンションジョイントの側を向く外壁の外面に、断熱材が設置されている、請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
複数の前記木造棟が、それぞれ鉄筋コンクリート造部分の上に設けられている、請求項1または2に記載の建築物。
【請求項4】
複数の前記木造棟が、それぞれユニット工法で構築されている、請求項1または2に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造部分を有する建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境対策のために、例えば社員寮、集合住宅、オフィス、工場などの比較的大きな建築物を木造とすることが検討されている。
【0003】
例えば特許文献1には、それぞれCLT(Cross Laminated Timber)などの木質の積層板材で形成された分割ユニットを用いたユニット工法により多数の住戸を有する集合住宅に構成された木造の建築物が開示されている。
【0004】
一方、木造の建築物は、鉄筋コンクリート造の建築物に比べて耐火性が低いので、火災の際に延焼ないし被害が拡大することを防止する観点から大きな延べ床面積を有するものとすることが困難である、という問題点がある。
【0005】
これに対し、例えば非特許文献1に示されるように、建築物を、複数の木造棟と、隣り合う木造棟の間に設けられ、それぞれの木造棟に連結された鉄筋コンクリート造の連結棟と、を有する構成とする技術が知られている。この技術によれば、建築物を、大きな延べ床面積の木造部分を有しつつ高い耐火性を備えたものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-44501号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“建設省住宅局建築防災課長から各都道府県建築主務部長あて”,[online],昭和26年3月6日,住防発第一四号,[令和4年12月14日検索],インターネット<URL:https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/096/81000005/81000005.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、複数の木造棟の間に鉄筋コンクリート造の連結棟を連結した構成の建築物では、地震による建物変形を不均等に制限した場合、地震や地盤が不均一なために生じる不同沈下が発生した場合、温度変化による伸縮が生じた場合などにおいて、木造棟に生じる変位と連結棟に生じる変位とに差が生じて、木造棟と連結棟との連結部分に損壊が生じるおそれがある、という問題点があった。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、木造棟と鉄筋コンクリート造の連結棟との連結部分に損壊が生じることを抑制可能な建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の建築物は、複数の木造棟と、隣り合う前記木造棟の間に設けられ、それぞれの前記木造棟に連結された鉄筋コンクリート造の連結棟と、を有する建築物であって、前記木造棟と前記連結棟との間にエキスパンションジョイントが設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の建築物は、上記構成において、前記木造棟の前記エキスパンションジョイントの側を向く外壁の外面に、断熱材が設置されているのが好ましい。
【0012】
本発明の建築物は、上記構成において、複数の前記木造棟が、それぞれ鉄筋コンクリート造部分の上に設けられているのが好ましい。
【0013】
本発明の建築物は、上記構成において、複数の前記木造棟が、それぞれユニット工法で構築されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、木造棟と鉄筋コンクリート造の連結棟との連結部分に損壊が生じることを抑制可能な建築物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る建築物の斜視図である。
図2図1に示す建築物の2階部分の平面図である。
図3図1に示す建築物の一部のユニット構造の軸線方向に垂直な断面図である。
図4図3に示すユニット構造の分解斜視図である。
図5】エキスパンションジョイントの詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る建築物1について、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
【0017】
図1に示す本発明の一実施形態に係る建築物1は、例えば社員寮として用いられるものであり、鉄筋コンクリート造(RC造)の1階部分(鉄筋コンクリート造部分)2と、それぞれ1階部分2の上に構築された第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14と、第1の連結棟21、第2の連結棟22、第3の連結棟23及び第4の連結棟24を有している。
【0018】
1階部分2は、例えば、建築物1のエントランス3、複数の車庫4を有するとともに、その内部に食堂、ラウンジなどの共用スペースが設けられた構成とすることができる。本実施形態では、1階部分2は平面視でロ字形状となっており、その内側は中庭5となっている。
【0019】
第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれ構造耐力上主要な部分に木材が用いられた木造部分である。本実施形態では、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれCLT(Cross Laminated Timber)パネルにより形成されている。また、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれ火災の際に延焼ないし被害が拡大することを防止することができる程度の延べ床面積(準防火地域における建築基準法上の準耐火建築物の条件を満たす延べ床面積1500m以下)を有する大きさとされている。
【0020】
第1の木造棟11、第2の木造棟12及び第3の木造棟13は、それぞれ建築物1の2階部分及び3階部分を構成し、第4の木造棟14は建築物1の2階部分を構成している。図2に示すように、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれその2階部分の内部に廊下11a、12a、13a、14a及び階段室11b、12b、13b、14bを有するとともに、それぞれ廊下11a、12a、13a、14aに面して並べて配置された複数の居室(住戸)11c、12c、13c、14cを有している。なお、図2においては、便宜上、1つの居室にのみ符号11c、12c、13c、14cを付してある。また、詳細は図示しないが、第1の木造棟11、第2の木造棟12及び第3の木造棟13は、それぞれその3階部分の内部にも廊下、階段室及び複数の居室(住戸)を有している。
【0021】
第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、上記した廊下11a、12a、13a、14a、階段室11b、12b、13b、14b及び複数の居室(住戸)11c、12c、13c、14cを有する構成に限らず、例えば、より広い会議スペースや収納室を有する構成などであってよい。
【0022】
第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれユニット工法を用いて構築されたものとすることができる。本実施形態では、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、図3に第1の木造棟11の場合について例示するように、それぞれ木質の積層板材(例えばCLTパネル)で形成されたユニット構造30を図3において上下方向及び左右方向に組み合わせた構成とされている。それぞれのユニット構造30は、例えば、木質の積層板材により、一対の壁部31と、一対の壁部31の上端に連なる天井部32と、一対の壁部31の中央に平行に設けられた隔壁33とを有する形状に形成され、一対の壁部31の間に隔壁33により区画された2つの居室11cを有する構成とすることができる。なお、ユニット構造30は、上記形状に限らず、例えば断面がU字形状、ロ字形状のものなど種々変更可能である。
【0023】
図4に示すように、それぞれのユニット構造30は、複数(図4に示す場合には3つ)の分割ユニット30a、30b、30cと、廊下11aを構成する分割ユニット30dと、を軸方向(水平方向)に連結して構成されたものとすることができる。この場合、分割ユニット30a、30b、30cは、それぞれ一対の壁部31の分割壁部31a、31b、31c、天井部32の分割天井部32a、32b、32c及び隔壁33の分割隔壁部33b、33cを有する構成とされている。また、分割ユニット30aは、ユニット構造30の端部を構成する端壁34を備え、端壁34に2つの居室11cに対応した2つの開口部(窓)35が設けられた構成とされている。さらに、分割ユニット30dは、天井部32の分割天井部32dとユニット構造30の反対側の端部を構成する端壁36とを備え、端壁36に2つの居室11cに対応した2つの開口部(ドア)37が設けられた構成とされている。
【0024】
なお、ユニット構造30を構成する分割ユニットの数は4つに限らず、任意に設定することができる。また、詳細は図示しないが、分割ユニット30a、30b、30cは、天井部32の分割天井部32a、32b、32cに替えて床部の分割床部を備えた構成とすることもできる。
【0025】
図1図2に示すように、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14は、それぞれ平面視でロ字形状となる1階部分2の対応する辺部分に沿って全体として平面視でロ字形状に配置されている。そして、隣り合う第1の木造棟11と第2の木造棟12との間には第1の連結棟21が設けられ、隣り合う第1の木造棟11と第3の木造棟13との間には第2の連結棟22が設けられ、隣り合う第2の木造棟12と第4の木造棟14との間には第3の連結棟23が設けられ、隣り合う第3の木造棟13と第4の木造棟14との間には第4の連結棟24が設けられている。
【0026】
第1の連結棟21、第2の連結棟22、第3の連結棟23及び第4の連結棟24は、それぞれ構造耐力上主要な部分に鉄筋コンクリートが用いられた鉄筋コンクリート造部分であり、第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14に対して高い耐火性を有している。
【0027】
図2に示すように、第1の連結棟21は隣り合う第1の木造棟11と第2の木造棟12との間に配置されて第1の木造棟11と第2の木造棟12とに連結されている。同様に、第2の連結棟22は隣り合う第1の木造棟11と第3の木造棟13との間に配置されて第1の木造棟11と第3の木造棟13とに連結され、第3の連結棟23は隣り合う第2の木造棟12と第4の木造棟14との間に配置されて第2の木造棟12と第4の木造棟14とに連結され、第4の連結棟24は隣り合う第3の木造棟13と第4の木造棟14との間に配置されて第3の木造棟13と第4の木造棟14とに連結されている。
【0028】
例えば、第1の連結棟21は、廊下21aと廊下21aに面する収納庫21bとを有する構成とすることができる。廊下21aの一端は第1の木造棟11の廊下11aに接続され、廊下21aの他端は第2の木造棟12の廊下12aに接続されており、建築物1の住人等は廊下21aを通って第1の木造棟11と第2の木造棟12との間を行き来することができる。
【0029】
同様に、第2の連結棟22は、廊下22aと廊下22aの両側に面する2つの収納庫22bとを有する構成とすることができる。廊下22aの一端は第1の木造棟11の廊下11aに接続され、廊下21aの他端は第3の木造棟13の廊下13aに接続されており、建築物1の住人等は廊下22aを通って第1の木造棟11と第3の木造棟13との間を行き来することができる。
【0030】
第3の連結棟23は、廊下23aと廊下23aに面するエレベータ室23bとを有する構成とすることができる。2階部分において廊下23aの一端は第2の木造棟12の廊下12aに接続され、廊下23aの他端は第4の木造棟14の廊下14aに接続されており、建築物1の住人等は廊下23aを通って第2の木造棟12と第4の木造棟14との2階部分の間を行き来することができる。3階部分においては、廊下23aの一端は第2の木造棟12の廊下12aにのみ接続されている。また、建築物1の住人等は廊下23aからエレベータ室23bに設置されたエレベータに乗降することができる。
【0031】
第4の連結棟24は、廊下24aと廊下24aの両側に面する2つの収納庫24bとを有する構成とすることができる。廊下24aの一端は第3の木造棟13の廊下13aに接続され、廊下24aの他端は第4の木造棟14の廊下14aに接続されており、建築物1の住人等は廊下24aを通って第3の木造棟13と第4の木造棟14との間を行き来することができる。
【0032】
なお、詳細は図示しないが、第1の連結棟21の廊下21aの両端、第2の連結棟22の廊下22aの両端、第3の連結棟23の廊下23aの両端及び第4の連結棟24の廊下24aの両端に、それぞれ火災時等において当該廊下21a、22a、23a、24aを閉じる防火扉(耐火扉)を設けるようにしてもよい。
【0033】
また、第1の連結棟21、第2の連結棟22、第3の連結棟23及び第4の連結棟24は、上記した構成に限らず、隣り合う第1の木造棟11、第2の木造棟12、第3の木造棟13及び第4の木造棟14の間に配置されてこれらを連結するものであれば、例えば廊下と階段室を有する構成など、種々の構成とすることができる。
【0034】
上記の通り、建築物1は、複数の木造棟11、12、13、14と、隣り合う木造棟11、12、13、14の間に設けられて隣り合う木造棟11、12、13、14に連結された鉄筋コンクリート造の連結棟と、を有する構成となっている。このような構成を有する建築物1では、複数の木造棟11、12、13、14のそれぞれを、火災の際に延焼ないし被害が拡大することを防止することができる程度の延べ床面積のみを有する比較的小さなものとしても、複数の木造棟11、12、13、14を有することによって建築物1の全体として木造部分を大きな延べ床面積を有するものとして環境対策に貢献することができるとともに、隣り合う木造棟11、12、13、14の間に設けられた鉄筋コンクリート造の連結棟21、22、23、24により隣り合う木造棟11、12、13、14の間における火災の延焼が阻止されるようにして建築物1の耐火性を高めることができる。したがって、建築物1を、大きな延べ床面積の木造部分を有しつつ高い耐火性を備えたものとすることができる。
【0035】
また、本実施形態の建築物1では、複数の木造棟11、12、13、14を、それぞれ鉄筋コンクリート造部分である1階部分2の上に設けられた構成としたので、複数の木造棟11、12、13、14の間での火災の延焼をさらに効果的に阻止しつつ、複数の木造棟11、12、13、14の間の遮音性及び構造的な安定性を高めることができる。
【0036】
さらに、本実施形態の建築物1では、複数の木造棟11、12、13、14を、それぞれユニット工法で構築されたものとしたので、複数の木造棟11、12、13、14を容易に構築することができるようにして建築物1のコストを低減しつつ建築物1の耐火性を高めることができる。
【0037】
図2に示すように、本実施形態の建築物1では、木造棟11、12、13、14と、対応する連結棟21、22、23、24との間に、それぞれエキスパンションジョイント40が設けられている。すなわち、木造棟11、12、13、14は、対応する連結棟21、22、23、24に対してそれぞれエキスパンションジョイント40を介して連結されている。
【0038】
より具体的には、木造棟11と連結棟21との間、木造棟11と連結棟22との間、連結棟21と木造棟12との間、連結棟22と木造棟13との間、木造棟12と連結棟23との間、木造棟13と連結棟24との間、連結棟23と木造棟14との間及び連結棟24と木造棟14との間に、それぞれエキスパンションジョイント40が設けられている。
【0039】
建築物1の上記複数個所に設けられるエキスパンションジョイント40の基本的な構成は全て同一であるので、以下では、木造棟11と連結棟21との間に設けられたエキスパンションジョイント40を例示して、当該エキスパンションジョイント40の構成について説明する。
【0040】
図5に示すように、エキスパンションジョイント40は、木造棟11の連結棟21に隣接する外壁11dと連結棟21の木造棟11に隣接する外壁21cとの間に、所定の間隔を有する継目(隙間)41として設けられている。木造棟11の外壁11dと連結棟21の外壁21dとは互いに平行であり、継目41における木造棟11の外壁11dと連結棟21の外壁21cとの間隔すなわち継目41の幅は一定である。継目41の幅は、地震や地盤が不均一なために生じる不同沈下が発生した場合、温度変化による伸縮が生じた場合などにおいて、木造棟11ないし連結棟21に生じる変位が想定し得る最大となったときにも、木造棟11の外壁11dと連結棟21の外壁21cとが互いに接触しない程度の幅に設定される。
【0041】
エキスパンションジョイント40は、木造棟11の外壁11dの外面に断熱材42が設置された構成とすることができる。断熱材42は、例えば石膏ボードなどの板材により構成されたものであり、外壁11dの外面に重ねて設置されている。断熱材42は外壁11dの外面の全体を覆うのが好ましい。
【0042】
本実施形態では、木造棟11の外壁11dと連結棟21の外壁21cとの間隔は100mm、断熱材42の厚みは50mmであり、継目41の幅は50mmとされているが、こららの寸法は適宜変更可能である。
【0043】
詳細は図示しないが、エキスパンションジョイント40は、木造棟11、12、13、14及び対応する連結棟21、22、23、24の少なくとも一方側に取り付けられて、継目41を閉塞するカバーを備えた構成とするのが好ましい。
【0044】
上記の通り、本実施形態の建築物1は、木造棟11、12、13、14と、対応する連結棟21、22、23、24との間に、それぞれエキスパンションジョイント40を備えているので、地震や地盤が不均一なために生じる不同沈下が発生した場合、温度変化による伸縮が生じた場合などにおいて、木造棟11、12、13、14に生じる変位と、対応する連結棟21、22、23、24に生じる変位とに差が生じた場合であっても、この変位の差をエキスパンションジョイント40により吸収して、木造棟11、12、13、14と対応する連結棟21、22、23、24との連結部分に損壊が生じることを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態の建築物1は、木造棟11、12、13、14の、対応する連結棟21、22、23、24の側を向く外壁11dの外面に断熱材42が設置された構成であるので、木造棟11、12、13、14と、対応する連結棟21、22、23、24との間に、継目41を有するエキスパンションジョイント40を設けた構成としても、木造棟11、12、13、14の熱が継目41を通して外部に放熱されることを抑制して、木造棟11、12、13、14の断熱性を高めることができる。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0047】
例えば、前記実施の形態では、建築物1は、4つの木造棟11、12、13、14と4つの連結棟21、22、23、24とを有する構成とされているが、これに限らず、少なくとも2つの木造棟とこれらの木造棟の間に配置された1つの連結棟を備えていれば、木造棟の棟数及び連結棟の棟数は、それぞれ種々変更可能である。
【0048】
また、前記実施の形態では、4つの木造棟11、12、13、14及び4つの連結棟21、22、23、24が平面視でロの字形状に配置された構成とされているが、これに限らず、例えば1つの木造棟に3つ以上の木造棟が連結棟を介して連結された構成とするなど、複数の木造棟及び連結棟の配置は種々変更可能である。
【0049】
さらに、前記実施の形態では、複数の木造棟11、12、13、14をユニット工法で構築されたものとしているが、これに限らず、他の工法によって構築されたものとしてもよい。
【0050】
さらに、前記実施の形態では、建築物1を社員寮に用いられるものとしたが、これに限らず、例えば集合住宅、オフィス、工場など、社員寮以外の用途に用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 建築物
2 1階部分
3 エントランス
4 車庫
5 中庭
11 第1の木造棟
11a 廊下
11b 階段室
11c 居室
11d 外壁
12 第2の木造棟
12a 廊下
12b 階段室
12c 居室
13 第3の木造棟
13a 廊下
13b 階段室
13c 居室
14 第4の木造棟
14a 廊下
14b 階段室
14c 居室
21 第1の連結棟
21a 廊下
21b 収納庫
21c 外壁
22 第2の連結棟
22a 廊下
22b 収納庫
23 第3の連結棟
23a 廊下
23b エレベータ室
24 第4の連結棟
30 ユニット構造
30a 分割ユニット
30b 分割ユニット
30c 分割ユニット
30d 分割ユニット
31 壁部
31a 分割壁部
31b 分割壁部
31c 分割壁部
32 天井部
32a 分割天井部
32b 分割天井部
32c 分割天井部
33 隔壁
33a、33b、33c 分割隔壁部
33a、33b、33c 分割隔壁部
33a、33b、33c 分割隔壁部
34 端壁
35 開口部
36 端壁
37 開口部
40 エキスパンションジョイント
41 継目
42 断熱材
図1
図2
図3
図4
図5