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特開2024-101880平板拡散光照明装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101880
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】平板拡散光照明装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240723BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240723BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006062
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】302047880
【氏名又は名称】株式会社パパラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】日野 都
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA07
3K244BA19
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA14
3K244ED19
3K244ED27
3K244LA02
(57)【要約】
【課題】撮像した画像に生じるビートを防止し、的確な色彩測定を実現する。
【解決手段】平板拡散光照明装置1は、導光板2と、導光板2に設けられるLED3а~3dと、を備え、導光板2は、4面の側周端面2cと、平面2aと、裏面2bとを備え、平面2aが、16個の領域に分割された分割領域5a~5pと、導光板2の平面2aに設けられ、各分割領域5a~5pに対して、少なくとも、光の減衰率が異なる2階調が設定された複数の反射部6と、を備え、LED3а~3dからの光が導光板2を介して反射部6に照射されて、1つの領域の反射部6の階調の減衰率が特定の範囲内になるように設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の厚みを有する導光板と、
該導光板に設けられる照明光源と、を備え、
前記導光板の主面の一方の面が、特定の数の領域に分割された分割領域と、
前記導光板の主面の一方の面に設けられ、前記各分割領域に対して、少なくとも、光の減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部と、を有し、
前記照明光源からの光が前記導光板を介して前記反射部に照射されて、各々の前記分割領域の反射部の光の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内になるように設定される平板拡散光照明装置。
【請求項2】
前記導光板の主面の面積が特定値以下の場合には、前記全ての反射部の減衰率の総和又は平均値を用いる請求項1に記載の平板拡散光照明装置。
【請求項3】
前記導光板の主面の面積が特定値以上の場合には、前記全ての反射部の減衰率の総和又は平均値を減少させる請求項1に記載の平板拡散光照明装置。
【請求項4】
前記反射部が、透明又は半透明なインクが凸曲面状に凝固した塊体を複数、等間隔又は不等間隔を置いて並べることによって前記導光板の表面に設けられる請求項1に記載の平板拡散光照明装置。
【請求項5】
前記反射部の階調が、前記各分割領域においてランダムに選択される請求項1に記載の平板拡散光照明装置。
【請求項6】
前記反射部の位置が、前記導光板の主面の一方の面の前記各分割領域においてランダムに設けられる請求項1に記載の平板拡散光照明装置。
【請求項7】
特定の厚みを有する導光板と、
該導光板に設けられる照明光源と、を備え、
前記導光板の主面の一方の面に、少なくとも、光の減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部が設けられ、
前記照明光源からの光が前記導光板を介して前記反射部に照射されて、前記特定の数の反射部の光の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内になるように設定される平板拡散光照明装置。
【請求項8】
導光板の主面の一方の面に設けられる反射部と、
該反射部を印刷する前記一方の面が、特定の数の領域に分割された分割領域と、
前記各分割領域に対して、減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部と、を用い、
前記特定の数の分割領域のすべてに階調を設定したかどうかを判定する判定ステップと、
該判定ステップにて、否定判定される場合、前記特定の数の分割領域の中からランダムに1つの領域を、一度ランダムに選択した領域を除いて、選択する選択ステップと、
該選択ステップにて選択した領域に前記複数の階調の中からいずれかの階調を選択して設定する設定ステップと、
前記各々の領域内の反射部の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内か否かを判定する範囲内ステップと、
該範囲内ステップにて、肯定判定である場合、処理を終了する第1終了ステップと、を備えることを特徴とする平板拡散光照明の製造方法。
【請求項9】
前記範囲内ステップにて、否定判定である場合、前記すべての領域に階調を設定するまで、前記選択ステップと、設定ステップと、範囲内ステップとを処理するセット処理ステップと、
前記セット処理ステップにおいて、すべての領域に階調を設定したと判定される場合、前記特定の数の領域の中から特定の階調が入力された領域の中から1つの領域をランダムに選択するランダム選択ステップと、
該ランダム選択ステップにおいて、前記特定の階調よりも高い階調を有する階調のいずれかを前記1つの領域に前記特定の階調よりも高い階調を設定する階調設定ステップと、
前記各々の領域内の反射部の減衰率の総和又は平均値が、前記特定の範囲内になるまで、前記ランダム選択ステップ及び階調設定ステップの処理を行い、処理を終了する第2終了ステップと、を備える請求項5に記載の平板拡散光照明の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板拡散導光板の片面に設ける多数の反射部で反射した光を測定対象物に照射可能であり、測定対象物で反射した光を反射部の隙間を通して反対側に透過可能である平板拡散光照明装置及びその方法に関する。本発明は、例えば工場等において製品等の測定対象物に光を照射するものであって、その外観検査や表面に記載された記号読取の際に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に示す通り、平板拡散光照明を行う平板拡散光照明装置におけるモアレの軽減装置が、種々、提案されている。
【0003】
特許文献1に示す平板拡散光照明装置は、多数の反射部で反射した光を測定対象物に照射可能に構成するとともに、測定対象物で反射した光を隙間を通して反対側に透過可能に構成された平板拡散光照明装置において、複数の反射部により生じるモアレを軽減する。導光板に互いの間に隙間が形成されるように並び設けられた多数の反射部を備え、多数の反射部で反射した光を測定対象物に照射可能に構成するとともに、測定対象物で反射した光を隙間を通して反対側に透過可能に構成された平板拡散光照明装置であって、2つの反射部の間の距離と、所定の基準線に対する2つの反部を結ぶ直線のなす角度とを相対位置情報としたときに、複数の反射部6により得られる複数の相対位置情報のうち互いに異なる相対位置情報の種類数と、複数の反射部により得られる複数の距離のばらつきを示すばらつき量との積が所定値以上となるように、複数の反射部が並び設けられている。
【0004】
特許文献2に示す平板拡散光照明装置及び光学部材は、一方の面を測定対象物対向面として、光の照射対象である製品等の測定対象物に向けて設置される所定厚みを有した導光板と、前記導光板における他方の面に、光反射面が測定対象物側を向き、なおかつ互いの間に微細な隙間が形成されるように並べ設けた多数の反射部と、射出した光の少なくとも一部が前記導光板内を透過して前記光反射面に到達し、そこで反射して前記測定対象物対向面から射出される位置に設けた光源部と、前記測定対象物対向面を被覆する反射防止膜と、を備えるようにすることで、コンパクト性等を犠牲にすることなく、モアレを簡単な構成で、なおかつ低コストで軽減できる平板拡散光照明装置を提供するようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-65839号公報
【特許文献2】国際公開第2007/023894号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の平板拡散照明のモアレ防止に関する発明は、平板拡散照明のドット反射部に関する発明であり、反射部のインクの印刷ピッチとサイズが一定である。また、特許文献2は、平板拡散照明のモアレ防止のために、同一サイズのインクの印刷ピッチを変更するものである。
【0007】
しかしながら、反射部の印刷ピッチとサイズの一定なもの、又は同一サイズの反射部を不均一なピッチで並べたものであっても、撮像装置の空間サンプリング周波数と光源のピッチ周波数とのずれによって、ビート(撮像した画像が不透明となること。)が発生する。撮像装置に応じて、撮像した画像に生じるビートを検査等に影響を及ぼさない程度に軽減可能な反射部の配置や設計、及びその製作には、非常に時間とコストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、撮像画面に生じるビートが各種検査等に影響を及ぼさない程度にビートを防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ビートは、反射部を設ける位置の縦横の画素周波数と、これを撮影する撮像装置100のCOMSセンサのピッチに依存する画素周波数により発生すると思料される。すなわち、ビートは、反射部の規則性と、CMOSセンサのピッチと、が、その原因であると思料される。
【0010】
上記事情に鑑み、本願発明者は、ビートを所定未満に軽減する、又は解消するために、反射部の配置設計について鋭意検討を重ねた結果、各反射部の光の減衰率と、撮像画面に生じるビートとの間に相関があることを初めて見い出し、本発明をなしたものである。
【0011】
すなわち、本発明者は、上記困難な問題の解決法として、導光板(アクリル板等)に、下記2つの構成を見出し、本発明を完成した。すなわち、(1)導光板に設ける反射部のサイズ(印刷するインク等のサイズ)を一定にしない、(2)平均で見ると反射部の光の減衰率の総和が特定の範囲内になるように印刷することに着眼し、上記条件を満たす反射部の構造を発明した。
【0012】
すなわち、本発明の平板拡散光照明装置は、特定の厚みを有する導光板と、該導光板に設けられる照明光源と、を備え、前記導光板の主面の一方の面が、特定の数の領域に分割された分割領域と、前記導光板の主面の一方の面に設けられ、前記各分割領域に対して、少なくとも、光の減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部と、を有し、前記照明光源からの光が前記導光板を介して前記反射部に照射されて、各々の分割領域の反射部の光の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内になるように設定されるものである。特定の範囲とは、撮像時にビートを生じさせない範囲であり、この範囲内であれば、各分割領域における反射部からの反射光の光量を平均化することができる。この特定の範囲は、使用する機器や対象物、撮像時の条件に依存する。
【0013】
前記導光板の主面の面積が特定値以上の場合には、前記全ての反射部の減衰率の総和又は平均値を用いることが好ましい。
【0014】
前記導光板の主面の面積が特定値以上の場合には、前記全ての反射部の減衰率の総和又は平均値を減少させることが好ましい。
【0015】
前記反射部が、透明又は半透明なインクが凸曲面状に凝固した塊体を複数、等間隔又は不等間隔を置いて並べることによって前記導光板の表面に設けられることが好ましい。
【0016】
前記反射部の階調が、前記各分割領域においてランダムに選択されることが好ましい。反射部の階調がランダムであることにより、撮像装置の空間サンプリング周波数と光源のピッチ周波数が整合しやすくなり、ビートの発生を軽減することができる。
【0017】
前記反射部の位置が、前記導光板の主面の一方の面の前記各分割領域においてランダムに設けられることが好ましい。
【0018】
本発明の別の発明は、特定の厚みを有する導光板と、該導光板に設けられる照明光源と、を有し、前記導光板の主面の一方の面に、少なくとも、光の減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部が設けられ、前記照明光源からの光が前記導光板を介して前記反射部に照射されて、前記特定の数の反射部の光の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内になるように設定される平板拡散光照明装置である。この発明では、導光板の主面の一方の面を一つの領域として取り扱う。
【0019】
本発明の別の発明は、導光板の主面の一方の面に設けられる反射部と、該反射部を印刷する前記一方の面が、特定の数の領域に分割された分割領域と、前記各分割領域に対して、減衰率が異なる複数の階調が設定された特定の数の反射部と、を用い、前記特定の数の分割領域のすべてに階調を設定したかどうかを判定する判定ステップと、該判定ステップにて、否定判定される場合、特定の数の分割領域の中からランダムに1つの領域を、一度ランダムに選択した領域を除いて、選択する選択ステップと、該選択ステップにて選択した領域に前記複数の階調の中からいずれかの階調を選択して設定する設定ステップと、前記各々の領域内の反射部の減衰率の総和又は平均値が、特定の範囲内か否かを判定する範囲内ステップと、該範囲内ステップにて、肯定判定である場合、処理を終了する第1終了ステップと、を備える平板拡散光照明の製造方法である。
【0020】
さらに、本発明の平板拡散光照明の製造方法は、前記範囲内ステップにて、否定判定である場合、前記すべての領域に階調を設定するまで、前記選択ステップと、設定ステップと、範囲内ステップとを処理するセット処理ステップと、前記セット処理ステップにおいて、すべての領域に階調を設定したと判定される場合、前記特定の数の領域の中から特定の階調が入力された領域の中から1つの領域をランダムに選択するランダム選択ステップと、該ランダム選択ステップにおいて、前記特定の階調よりも高い階調を有する階調のいずれかを前記1つの領域に前記特定の階調よりも高い階調を設定する階調設定ステップと、前記各々の領域内の反射部の減衰率の総和又は平均値が、前記特定の範囲内になるまで、前記ランダム選択ステップ及び階調設定ステップの処理を行い、処理を終了する第2終了ステップと、を備えることとが好ましい。
【0021】
「反射部の光の減衰率」とは、特定の階調の反射部1つに対して1方向の光源から照射した光の光量が、反射部によって減衰する割合である(図14参照)。
【0022】
「光の減衰率」は、導光板(アクリル板等)の導波路の内部での減衰はほぼゼロであり、導光板上部に印刷された印刷物の界面に拡散光が発生し、導光板の下方にある測定対象物(照明対象物)に向かう光量により外部へ拡散する拡散光と、対向する照明光源(LED等)に直接入射して吸収された光の合計量の、照明光源から出射される光量に対する割合である。
【0023】
例えば、導光板(アクリル板本体)にインクが印刷等により設けられる反射部では、反射部のインクのサイズに応じて減衰率が異なっている。
【0024】
「反射部」の原料となるインクは、透明体に限定することはなく、白いシルク印刷の特定形状(例えば、円形パターン、角形等)でも可能である。
【0025】
「反射部」の「サイズ」はインクが導光板に貼り付けられる等の領域のサイズである。直サイズでも半サイズでもどちらでも採択できる。
【0026】
「反射部」の縦横の位置は均一でもよいが、「反射部」のピッチ(反射部間の間隔)に揺らぎ(不等間隔)を持たせることもできる。
【0027】
「反射部」の形状は平面視及び側面視で実質的に半円形ないし弧形状が好ましい。
【0028】
なお、導光板のサイズには大小様々な製品が提供されているが、大きなサイズの導光板の場合、反射部のサイズによっては、平面拡散光の導光板中央部での光量の枯渇が生じる。照明光源から撮像装置へ入る光量の枯渇は、導光板のサイズと、導光板に描画する反射部の量(数と面積の両方である。)と、サイズに依存して拡散することに関係がある。光量の枯渇については、反射部のサイズが中心で、光量が枯渇しないようなレイアウトで反射部を設ける(例えば、印刷等)することで解決可能である。例えば、導光板のサイズの小さなものは、反射部のサイズの大きなものを採用できるが、導光板のサイズの大きなものは、反射部の大きなものを採用すると、前記光量の枯渇の解消が困難となり、平板拡散光装置の設計が困難となるので、減衰率の総和を減少させ、光量を増加させる。
【0029】
「導光板」の主面の面積がどの程度で、中央部の光量が枯渇するのかは、アクリル板で確認したところでは、例えば、導光板の寸法が、縦300mmx横300mmx厚さ5mmでは、サイズが階調2では、枯渇していくので、中央で光量がへこんでゆく。このサイズでは、サイズの階調1と階調2の間で光量が枯渇すると予測している。そのため、光量の枯渇を防止する階調の設定を行う。
【0030】
「反射部」の導光板への設置面積のサイズがどのくらいで、導光板における、照明中央の光量が枯渇するのかどうかは、導光板の主面の面積(平面視での面積)の大きさと、「反射部」のサイズで決まる。
【0031】
「領域」の「分割」の数は、例えば、縦4、横4の16マスの正方形の例が挙げられるが、数は適宜選択が可能である。
【0032】
「階調」の例としては、0,1,2,3の3種類、0,1,2,3,4,5の5種類等、種類は適宜選択が可能である。
【0033】
「反射部」の1つ当たりの「減衰率」の例として、階調1が7.257×10-5、階調3が2.096×10-4、階調5が3.199×10-4が挙げられる。
【0034】
「特定の範囲」の下限値の例としては、光の減衰率116.112×10-5が挙げられる。上限値は適宜設定可能である。
【0035】
「光の減衰率」を設定する方式については、導光板(アクリル板等)に透明インクでインクジェット方式でボールレンズを印刷するものが挙げられる。
【0036】
本発明は、平板拡散光照明において、色彩計で撮像した画像にビートを生じさせないことを企図している。「反射部」の階調を指定し、反射部の、導光板における縦横の位置は、一定の規則性を持たせた均一な位置に打つことが好ましいが、これに限定されることはない。
【0037】
ここで、大型の平板拡散光照明では、例えば、4方向から導光板に対して発生する光は、反射部のドットサイズが大きいと、導光板中央で光が枯渇してしまうので、減衰率の総和をコントロールしている。大きな導光板(アクリル板等)になればなるほど、反射部の減衰率の総和を小さく抑え、光の減衰を抑制する必要が出てくる。そのため、大型のパネルでは、光の平均減衰率を一定以下になることが好ましい。
【0038】
「撮像装置」は、物体の色度分布を2次元で計測する装置等である。株式会社パパラボのPPLB-400、PPLB-600等が例示され、測定範囲内の色差ΔEの変化と、L値の各値を示したグラフを表示できる。始点からの色差ΔEを得られることで、対象物における発色の違いや色ムラ等を検証・検査ができる。L系の場合、L値、a値、b値のグラフ変化から、どのように色が変化しているのかを読み取ることができる。
【0039】
「撮像装置」は、例えば、図*6に示す三つの特定の規格化感度(S(λ),S(λ),S(λ))により、三つのチャンネルに分けて撮像対象物を撮像するものが例示される。これらの分光感度を得るために設定された光学フィルタ又はダイクロイックミラーもしくはダイクロイックプリズム等のいずれであるかを問わず用いることができる。
【0040】
「撮像装置」の分光感度(S(λ)、S(λ)、S(λ))は、CIEXYZ分光感度から負の値を持たない、単独ピークを持つ山形であり、それぞれの分光感度曲線のピーク値が等しく、分光感度の曲線の重なりは最小限にするという条件から等価変換したものが例示される。例えば、分光感度Sのカーブは、ピーク波長が582nmであり、半値幅が523~629nmであり、1/10幅が491~663nmである。分光感度Sのカーブは、ピーク波長が543nmであり、半値幅が506~589nmであり、1/10幅が464~632nmである。分光感度Sのカーブは、ピーク波長が446nmであり、半値幅が423~478nmであり、1/10幅が409~508nmである。
【0041】
「測色値」は、三刺激値XYZを色差計算式を用いることで、求められる。
【0042】
「XYZ表色系」には、例えば、Yxy、XYZ、Lab、Luv等のCIE表色系を含み、2次元色度図又は3次元色空間を含む概念である。
【0043】
「XYZ表色系」には、2次元座標と3次元座標で規定される色空間が含まれる。色空間の代表例としては、XYZ色空間と、Lab色空間等の構成例がある。2次元の色空間の場合、例えば、Yxy色空間、Luv色空間の場合、2次元平面であるxy色度図(Yxy色空間で正規化したxy色度値(平面))、uv色度図、u’v’色度図が挙げられる。平面上での2次元色度図の画素の密度として表現されるxy色度ヒストグラム分布又はLuv色度ヒストグラム分布等が対応する。3次元の色空間の場合、例えば、XYZ色空間、Lab色空間の場合、3次元空間であるXYZ色空間、Lab色空間が挙げられる。3次元での色空間上の画素の密度として表現されるXYZ色空間ヒストグラム、又はLab色空間ヒストグラム分布等が対応する。
【0044】
2次元のxy色度平面、uv色度図、u’v’色度図での色と質感の分離に対して、他のXYZ色空間とLab色空間等は3次元色空間上で色と質感の分離となる。xy色度ヒストグラムに対して、XYZ色空間ヒストグラム、Lab色空間ヒストグラム等のように、区別して定義している。
【0045】
xyY表色系(Yxy表色系ともいう)とは、XYZ表色系では数値と色の関連がわかりにくいので、XYZ表色系から絶対的な色合いを表現するために定められたものである。
【0046】
Luv表色系とは、CIEが1976年に定めた均等色空間のひとつであり、CIELuvは光の波長を基礎に、XYZ表色系のxy色度図の波長間隔の均等性を改善したものであり、日本ではJISZ8518に規定されている。
【0047】
Lab表色系とは、CIELabなどがあり、XYZ表色系から知覚と装置の違いによる色差を測定するために派生したものであり、日本ではJISZ8729に規定されている。L表色系が例示される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の一実施形態における平板拡散光照明装置の平面図である。
図2】同実施形態における平板拡散光照明装置の縦断面図である。
図3図1の部分拡大平面図である。
図4】本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置の測色値演算部の回路構成のブロック図である。
図5】(a)~(c)は、本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置100の光学系の説明図である。本発明実施形態において三つの分光感度S(S(λ)、S(λ)、S(λ))に従って画像情報を取得する方式の具体例である。(a)はダイクロイックミラーを用いる場合の説明図である。(b)はフィルタターレットを用いる場合の説明図である。(c)は光学フィルタを撮像素子に微視的に貼着した場合の説明図である。
図6】本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置の波長と規格化感度との関係を示すグラフである。
図7】本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置の一例の回路構成を示すブロック図である。
図8】本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置の演算処理を示すフローチャート1である。
図9】本発明実施形態の平板拡散光照明を用いる撮像装置の演算処理を示すフローチャート2である。
図10】平板拡散光照明装置と、撮像装置と、測定対象物の位置関係と光の経路を示す説明図である。
図11】本発明の一実施形態の変形例における平板拡散光照明装置の平面図である。
図12】(a)、(b)は、本発明実施形態の計測環境を示す説明図である。
図13図12に示す計測環境を用いて計測した結果を示す一覧図表である。
図14】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時)を示す説明図2である。
図15】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図3である。
図16】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図4である。
図17】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図5である。
図18】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図6である。
図19】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図7である。
図20】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図8である。
図21】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図9である。
図22】プロファイル計測結果(4方向LED点灯時/1方向LED点灯時)を示す説明図10である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1図22を参照して、撮像装置100を用いて撮像をする際に照明を行う、本発明実施形態1の平板拡散光照明装置1を説明する。
【0050】
本発明実施形態1の平板拡散光照明装置1は、図1~3に示す通り、全体として薄い板状をなすもので、特定の厚みを有する矩形板状をなす導光板2と、導光板2に設けられる照明光源であるLED3а~3dと、LED3а~3dを支持する支持部材4と、を備えている。導光板2は、4面の側周端面2cと、平面2aと、裏面2bとを備えている。平面2aが、16個の領域に分割された分割領域5a~5pと、導光板2の平面2aに設けられ、各分割領域5a~5pに対して、少なくとも、光の減衰率が異なる2階調(2階調に限定されるものではない。)が設定された複数の反射部6と、を備えている。図1に示す通り、複数の反射部6は、各分割領域5a~5pにおいて、階調0、1、3のものがランダムに配置されていている。ここで、反射部6の位置は、各分割領域5a~5pにおいて均一のピッチPで規則的に設けられているが、これに限定されない。各分割領域5a~5pにおいて、反射部6の位置をランダムとしてもよい。LED3а~3dからの光が導光板2を介して反射部6に照射されて、各反射部6の階調1と3の減衰率αが特定の範囲内になるように設定される。すなわち、光の減衰率を特定の範囲内として、光量を適切な範囲とし、反射部6の階調のランダム性からビートを防止することになる。ここでは、単純な例として16個の領域である分割領域5a~5pで説明している。この各分割領域において反射部6で占める面積の平均値は、一定である。なお、平面2aに分割領域を設けず、平面2aを一つの領域としてもよい。
【0051】
本実施形態1は、導光板の平面2aの面積が大きく、かつ、階調が1及び3を用いる場合である。例えば、導光板の縦300mm×横300mm×厚さ5mmの場合である。このときは、中央部でのLED3а~3dから入る光量の枯渇を防止するように、減衰率の総和又は平均値を減少させ光量を増加することで、ビートの防止とともに、導光板2の中央部の光量の確保も行う。
【0052】
導光板2は、等厚で平面視正方形状の板状をなす無色透明のものであり、例えばアクリルやガラスなどを素材としている。
【0053】
導光板2の平面2aの面積がどの程度で、中央部の光量が枯渇するのかは、現状のアクリル板で確認した。例えば、導光板の寸法が、縦300mmx横300mmx厚さ5mmでは、サイズが階調3、5では、枯渇していくので、中央で光量を示すL値の値が低下する。そのため、光量の枯渇を防止する階調の設定を行う。
【0054】
導光板2の平面2aの面積が特定値以上の場合には、階調0,1,3,5のうち、特定値以上の小さな減衰率を有する階調0,1,3を反射部6として用いる。
【0055】
LED3a~3dは、導光板2の4つの側周端面2cにそれぞれ対応する4つのユニットからなる。各ユニットは、帯状をなす1つの配線基板(図示略)とその配線基板に等間隔1列で搭載した複数のLEDからなり、それらLEDが、導光板2の側周端面2cに臨むように配置され、側周端面2cから導光板2の内部に向かって光を照射する。
【0056】
支持部材4は、矩形(正方形)環状をなし、例えば内周面に開口する周回溝を有した金属製のもので、その周回溝の中に前記LED3a~3dを保持収容する。またその溝の開口縁部で、導光板2の側周縁部を厚み方向から挟み込んで保持する。
【0057】
反射部6は、透明又は半透明なインクが凸曲面状に凝固した塊体を複数、間隔を置いて並べることによって導光板2の表面に設けられる。
【0058】
光の減衰率は、導光板2の導波路の内部での減衰はほぼゼロであり、外部への拡散による光量と、対向するLED3а~3dに直接入射して吸収された光量による合計量の、光源から出される光量に対する減衰する割合である。
【0059】
導光板2の分割領域5a~5pの分割の数は、例えば、縦4、横4の16マスの正方形の例が挙げられるが、数は適宜選択が可能である。
【0060】
導光板2は、光を導光するため、ほとんど減衰しないが、インクが印刷等により貼り付けられた反射部6では、上下に拡散光が発生する。このインクの印刷で上下に拡散していく光が、インクのサイズに応じて減衰率αが異なっている。これらの異なった光の導光板2の中で減衰する率を減衰率として用いている。
【0061】
反射部6のインクは透明体に限定することはなく、白いシルク印刷の円形パターンでも可能である。
【0062】
反射部6のサイズはインクが導光板と接する面積に関連するサイズである。円形の場合には、直径でも半径のどちらでも採択できる。円形以外の非定型の場合、接触面積で規定することができる。
【0063】
反射部6の縦横の位置は均一でよいが、反射部6のピッチPに揺らぎを持たせることもできる。反射部6のインクの形状は平面視及び側面視で実質的に弧形状である。
【0064】
反射部6のドットサイズがどのくらいで、照明中央の光量が枯渇するのかどうかは、導光板2の平面2aの面積の大きさと、印刷するインクのドットサイズで決まる。
【0065】
階調の例としては、0,1,3の3種類、0,1,3,5の4種類等、種類の数は適宜に選択が可能である。
【0066】
反射部6の1つ当たりの階調の減衰率の例として、階調1がD=32.5μm、減衰率=7.257×10-5、階調3がD=50.0μm、減衰率=2.096×10-4、階調5がD=60.5μm、減衰率=3.199×10-4が挙げられる。反射部6のピッチP(反射部6の中心間の距離)は例えば84.5μmが挙げられる。
【0067】
特定の範囲の下限値の例としては、光の減衰率=116.112×10-5が挙げられる。上限値は適宜設定可能である。
【0068】
光の減衰率を設定する方式については、導光板(アクリル板等)に透明インクでインクジェット方式でボールレンズを印刷する例等、表面形状が丸形、角形等、種々のものが挙げられる。
【0069】
平板拡散光照明装置1の製造を容易で簡素にするため、塊体状の反射部6の階調を指定し、反射部6の縦横の位置は、一定の均一な位置に打つ。
【0070】
大型の平板拡散光照明では、例えば、LED3a~3dにより、4方向から導光板2に対して発生する光は、反射部6のドットサイズが大きいと、導光板2中央で光が枯渇してしまうので、反射部6の減衰率の総和をコントロールしている。大きな導光板2になればなるほど、減衰率の総和を小さく抑え、光の減衰を抑制する必要が出てくる。そのため、大型のパネルでは、中央部での光の枯渇を防止するため、すべての反射部6の光の減衰率の総和又は全部のマスの平均値を抑制し、光量を増加させることとする。
【0071】
光は、導光板2の中を全反射しながら進行するが、そのうちの一部は、反射部6で反射して導光板2から測定対象物Mに向かって照射される。撮像装置100は、反射部6の間に隙間7があるため、反射部6にほとんど影響されることなく、測定対象物Mを撮像することができる。
【0072】
図10に示す通り、裏面2bが光照射対象である測定対象物Mに対向する測定対象物対向面となる導光板2と、導光板2の上面である平面2aに、互いの間に隙間7が形成されるように設けられた多数の反射部6と、射出した光が導光板2内を通り複数の反射部6に到達する位置に設けられたLED3a~3dを備えているので、LED3a~3dから射出された光Lが多数の反射部6で反射した光Lを発生させ、光Lが測定対象物Mに照射可能に構成するとともに、測定対象物Mで反射した光Lを隙間7を通して、光Lが反射部6に対向するレンズ40を透過可能に構成されている。
【0073】
このように構成した本発明によれば、階調の異なる複数の反射部6を分割領域5a~5pに配置させることで、複数の反射部6により、撮像装置100のセンサに生じるビートを防止することができる。また、階調1,3というサイズの小さな反射部6を用いることで、中央部の光量の枯渇を防止できる。
【0074】
反射部6は、前記実施形態の他、導光板2の裏面に設けた、例えば凹部などでもよく、要は導光板端面から入射した光が測定対象物側に向かって反射するように構成したドットであればよい。
【0075】
本実施形態1に係る平板拡散光照明装置1は、図10に示すように、測定対象物Mと撮像装置100との間の撮像軸上に直交して配置され、測定対象物Mを照明するとともに、測定対象物Mからの光の一部を導光板2を透過させて、撮像装置100による測定対象物Mの撮像を可能とする。
【0076】
図4を参照して測色値演算部50を説明する。測色値演算部50は、反射部6から入る光を受光し分光するフィルタ50Aと、分光された光を信号に変換するセンサ部50Bと、センサ部50Bからの信号をデジタル信号に変換する演算部50Cと、を備えている。
【0077】
測定対象物Mの特定領域Nを画角θで撮像し、フィルタ50Aで入力した光を赤(S1)、緑(S2)、青(S3)に分離し、センサ部50Bがフィルタ50Aを介して、センサ部50Bからの三帯域視覚感度値である出力信号S(S11、S21、S31)を演算部50Cで処理する。
【0078】
図5を参照して、フィルタ50A及びセンサ部50Bを説明する。フィルタ50Aとしては、光を赤(S1)、緑(S2)、青(S3)に分離するダイクロイックミラーが例示される。これはダイクロイックミラー52c´により特定の波長の光を反射し、透過した残りの光について、さらに別のダイクロイックミラー52a´により別の特定の波長の光を反射して分光し、撮像素子53a、53b、53cを三つ並列にして読み出す方式である。ダイクロイックミラー52a´が光学フィルタ52a、52bに相当し、ダイクロイックミラー52c´が光学フィルタ52cに相当する。撮影レンズ51から入射する光はダイクロイックミラー52c´により分光感度Sに従う光が反射され、残りの光は透過する。ダイクロイックミラー52c´により反射された光を反射鏡56により反射して撮像素子53cから分光感度Sを得る。一方、ダイクロイックミラー52c´を透過した光は、ダイクロイックミラー52a´において、分光感度Sに従う光が反射され、残りの分光感度Sに従う光は透過するため、それぞれ撮像素子53a、撮像素子53bにより撮像して分光感度S、Sを得る。ダイクロイックミラーに代えて同様な特性を有するダイクロイックプリズムを用いて三つに分光し、それぞれの光が透過する位置に撮像素子53a、53b、53cを接着してもよい。
【0079】
図5(b)はフィルタターレット57を用いる方式を示す。撮影レンズ51からの入射光と同じ方向を回転軸に持つフィルタターレット57に、光学フィルタ52a、52b、52cを設けて、これらを機械的に回転させ、順次透過する光について撮像素子53により三つの分光感度S、S、Sを得る。
【0080】
図5(c)に示すものは光学フィルタ52a、52b、52cを撮像素子53に微視的に貼着する方式である。撮像素子53上における光学フィルタ52a、52b、52cは、ベイヤー配列型に設けられる。この配列は、格子状に分けた撮像素子53上の領域のうち半分に光学フィルタ52bを設け、残りの半分の領域に光学フィルタ52aと光学フィルタ52cとをそれぞれ均等に配置するものである。すなわち、配置量は光学フィルタ52a:光学フィルタ52b:光学フィルタ52c=1:2:1となる。光学フィルタ52a、52b、52cの配列をベイヤー配列以外のものとすることは本実施形態において特に妨げられない。個々の光学フィルタ52a、52b、52cは非常に微細であるため、印刷により撮像素子53に貼着される。本発明はこの配列に意味があるのではなく、分光感度S(S(λ)、S(λ)、S(λ))の特性のフィルタを撮像素子に貼着することにある。
【0081】
センサ部50Bとしては、光を電気信号に変換しデータ転送するCMOSセンサが例示される。センサ部50Bは光源反射光L図10参照)を検出する検出構造を備えている。撮像装置100は、光源反射光Lを受光して測色値L値を検出する構成である。ダイクロイックミラーは、まず、所望の感度を有する、緑(S2)を直進させるS2フィルタ、青(S3)を反射するS3フィルタ、及び赤(S1)を反射するS1フィルタ、を設計する。設計したフィルタとなる膜を、ダイクロイックミラーを構成するプリズムに蒸着させる。プリズムを組み上げてダイクロイックミラーができ上がる。最後に、CMOSセンサをダイクロイックミラーに貼り合わせて光学系となる。
【0082】
設計例としては、CMOSセンサの駆動回路、CMOSセンサで電気信号を読み出す回路、信号を処理する画像信号処理回路、PCへ信号を伝送するためのI/F回路等を含む画像処理回路が挙げられる。動画が1秒間に何枚の画像で構成されているかを示すフレームレート(fps)は、映画と同じ24fpsとする。この動画の構成データを時間的に蓄積する場合がある。これらの回路は、駆動クロックが1GHz超と極めて高いため、信号の反射やノイズへの対応を考慮して設計する。高精細かつ動画対応のため、大量の信号を高速に同時処理することができる。CMOSセンサの貼り合わせ精度は、±1.4μm以内が好ましい。
【0083】
前記の画像信号処理回路において、CMOSのフォトダイオードセルに溜っているチャージ電荷を測定する。このチャージ電荷をデジタル信号に処理する際に、ビートが問題となる。デジタル信号処理する場合、そのビートの発生を防止するため、正確な測色処理を正確に行う目的で、以下の図8図9の処理を行う。これについては後述する。
【0084】
図6は、代表的な光学系から出力されるS1、S2、S3の感度曲線を示す。結像光学系は色収差を極力抑えたものを選定する。結像位置ズレ、フィルタ50Aの透過ムラ、CMOSセンサの感度ムラなどの様々な阻害要因は排除され、人の3つの錐体感度に相当するS1、S2、S3が同じ感度で出力されるように設計する。
【0085】
撮像装置100の分光感度はルータ条件を満たすものであって、その分光感度(S(λ)、S(λ)、S(λ))は、図6に示す通り、XYZ等色関数から、負の値を持たず、単独ピークを持つ山形であり、それぞれの分光感度曲線のピーク値が等しく、かつ分光感度の曲線の重なりはできるだけ少なくするという条件から等価変換したものである。分光感度(S(λ)、S(λ)、S(λ))は具体的には以下の特性を持つ。
【0086】
ピーク波長 半値幅 1/10幅
582nm 523~629nm 491~663nm
543nm 506~589nm 464~632nm
446nm 423~478nm 409~508nm
【0087】
上記の分光感度Sのピーク波長を580±4nm、分光感度Sのピーク波長を543±3nm、分光感度Sのピーク波長を446±7nmとして取り扱うこともできる。
【0088】
三つの分光感度(S(λ)、S(λ)、S(λ))は次の数式1を用いて求められるものである。分光感度自体についての詳細は特開2005-257827号公報等を参照されたい。
【数1】
【0089】
本実施形態においては、測定対象物Mの特定領域Nの画像の画素の3次元座標に基づく測色値、La値を演算する。測色値K(La)は、測色値(x,y,L,a,b)でもよく、適宜の測色値が採択可能であることは無論である。
【0090】
図7を参照して測色値、補正演算等を司る制御部60を説明する。この制御部60は、CPU61、RAM62、ROM63、カウンタ64、タイマ65、入出力インタ-フェース68をバス69により相互に接続したものである。入出力インタ-フェース68には、センサ部50B、シャッター部20、測色値(L,a,b)を出力する出力端子70、表示部12等が接続されている。CPU61が初期設定、或いは入力信号を受けて特定の演算等を行い、それらに対して、制御信号が送信されるようになっている。
【0091】
CPU61は、各部に出力する制御信号を生成し、プログラム制御によって、制御信号を出力することで、測色値、補正演算等を実行する。RAM62は、測色値、補正演算などのデータを一時的に読み書きするものである。ROM63に測色値、補正演算などのプログラムが読み出し専用で格納されている。CPU61の内部演算は、64ビットの浮動小数点で演算する。途中の演算でオーバーフロ-等のトラブルがない。プログラム制御に代えて、LSIロジック等のハードウェア制御によっても実施が可能である。
【0092】
カウンタ64は、閾値、画素数、XYZ、xy、L等のカウント値や累計値等を示す計数部等として機能するものであり、電源投入後、カウンタ64のカウント値、累計値の初期値を「0」とし、各種入力信号を参照して、カウントやインクリメントするものである。
【0093】
タイマ65はシャッター速度SPの時間演算処理等を行なうものである。
【0094】
表示部12は制御部60と接続され、制御部60で処理された画像信号を受信して、画像を画面に表示するようになっている。制御部60又は表示部12は、適宜、入力手段(図示略)等を備える。入力手段はキーボード、マウス、表示部12に設けられるタッチパネル等である。
【0095】
撮像装置100の高解像度は、4K解像度、8K解像度以上の解像度を有する。撮像装置100は、通常の4K解像度では、800万画素となり、最大1200万画素まで対応することができる。4K解像度とは、横4,000×縦2,000前後の画面解像度に対応することをいう。例えば、撮像装置100の仕様は、有効頻度値約800万画素、有効面積9.93mm×8.7mm、画像サイズ3.45μm×3.45μm、ビデオ出力12bit、撮像装置100のインターフェイスGigE、フレームレート30フレーム/sec、シャッタースピード1/15,600sec~1/15sec、積算時間3秒まで、S/N比60DB以上、レンズマウントFマウント、動作温度0℃~40℃、動作湿度20%~80%が例示される。
【0096】
3刺激値XYZ、L、明度ヒストグラム作成等については、特開2016-194449、特開2019-20311、特開2018-141687、特開2018-115877等も併せて参照されたい。
【0097】
次に実施形態1の平板拡散光照明装置1の製造方法を説明する。図8に示す通り、ステップS801で、16マスの領域すべてに階調をセットしたか否かを判定する。ステップS802で、16領域(4*4ブロック)の中から1マスをランダムに選択する。ただし、一度選択したマスは除外する。ステップS803で、選択したマスに0,1,3階調の中からいずれかの階調をセットする。ステップS804で、1マス内の減衰率の総和又は平均値が特定の範囲内か否かを判定する。
【0098】
ステップS804で否定判定される場合、ステップS801に戻り、16マスのすべてに階調をセットするまで、ステップS802→ステップS803→ステップS804→ステップS801→ステップS802・・・の処理を繰り返す。
【0099】
前記の繰り返し処理の途中でも、ステップS804で肯定判定される場合、処理は終了する。ステップS801で肯定判定される場合には、ステップS805に処理は移行し、16領域(4*4ブロック)の中から階調0が入力されたマスの中から1マス、ランダムに選択する。ステップS806で、選択したマスに1,3階調の中からいずれかの階調をセットする。ステップS804に移行し、1マス内の反射部6の減衰率の総和又は平均値が特定の範囲内か否かを判定し、肯定判定の場合、処理は終了する。ステップS804で否定判定の場合、ステップS804で肯定判定になるまで、ステップS801→ステップS805→ステップS806→ステップS804の処理を繰り返す。
【0100】
本発明実施形態2を説明する。実施形態1では、導光板の寸法が、縦300mmx横300mmx厚さ5mmであったが、実施形態2は、これよりも小型のサイズの導光板2を用いる例であり、光量の枯渇は考慮しなくてもよい実施形態であるので、階調1,3の他に、階調5を追加している。他の説明及び図示は実施形態1を援用する。
【0101】
図11は、各分割領域5a~5pにおいて、階調0、1、3、5の反射部6がランダムに配置されていている平板拡散光照明装置1の平面図である。反射部6の位置は、各分割領域5a~5pにおいて均一のピッチPで規則的に設けられているが、これに限定されず、各分割領域5a~5pにおいて、ランダムとしてもよい。
【0102】
実施形態2の平板拡散光照明装置1の製造方法を説明する。導光板2の主面の面積である平面2aが小さく、反射部6の減衰率の総和又は平均値が特定の範囲内となるような設計方法を、図9に示す。階調のうち、0、1、3、5を用いる。平面2aのすべてのマスの反射部6の減衰率の総和又は全部の反射部6の減衰率の平均値が大きくても、階調5はインクサイズが大きいので、光量の枯渇は防止できる。
【0103】
図9の説明は図8の説明を援用する。ただし、相違する点は、ステップS903で階調5を追加し、ステップS906で階調5を追加したものである。
【0104】
次に、このように構成し製造する平板拡散光照明装置1の作用について、図10を参照して説明する。まず、測定対象物Mと撮像装置100とを対向させて設置し、その間に、平板拡散光照明装置1を、その裏面2bが測定対象物Mに向くようにして、撮像軸上に設置する。
【0105】
この状態で、LED3a~3dから光が照射されると、その光は、導光板2の側周端面2cから内部に進入し、図2に示すように、中央部に向かって、平面2aと裏面2bとの間で全反射しながら進行する。その過程で、平面2aに貼り付けられた反射部6に到達した光は、そこで乱反射し、均一化された拡散光として裏面2bから出て、測定対象物Mに向かって照射される。この光で、測定対象物Mは一様に照明される。
【0106】
一方、撮像装置100は、測定対象物Mで反射し、反射部6の間の隙間7を通って導光板2を通過した光を捕捉することにより、測定対象物Mを撮像し、測定対象物Mの表面検査や記号読取を行う。反射部6は微細であるために、この反射部6が撮像の邪魔にはなることは基本的にはない。反射部6での反射光により撮像装置100の観測軸と同軸方向からの照明が行え、測定対象物Mを、隙間7を介して撮像装置100で撮像し、検査等を行うことができる。
【0107】
複数の分割領域5a~5pにおいて、異なるサイズの複数の反射部6が、等しいピッチP(反射部6の中心から等間隔を意味する)で縦横に多数並べ設けたものである。
【0108】
以上の通り、ビートの防止については、実施形態1、2の構成により解消できる効果がある。照明光源から撮像装置へ入る光量の枯渇は、実施形態1の構成により解消できる効果がある。反射部6を設ける位置の縦横の画像周波数と、これを撮影する撮像装置100のCMOSセンサのピッチの画像周波数に依存しないからである。すなわち、印刷ドットの規則性と、CMOSセンサのピッチとの影響を受けず、ビートが解消できるという効果がある。
【0109】
上記実施形態による試作品を測定した結果を図12図22を参照して説明する。まず、図12に示す計測環境を説明する。300mmx300mm×5mmのアクリル板に、ドットを階調1と階調3と階調5を均等配置で入れた試作品を撮像装置100で撮像した結果、本実施形態はビートが解消されていることが分かった。
【0110】
ビートと光量の枯渇に関して、図12図22を参照し、本発明試作品の実験結果を説明する。図中、「折り返したデータ」は、LED1方向点灯時のプロファイルデータをCSSのL値から折り返して、鏡写しのデータをCSV出力し、L値を中間地点から折り返して鏡写しのデータにしたものである。左側のデータはLの測定値と、導光板2とLED3a~3dが光る様子を示す平面図を含む。横軸がLED3a~3dの画素数、縦軸がL値である。
【0111】
図12示すように、筐体8内の上部空間に撮像装置100(2次元色彩計)が配置され、下部空間にコロ付きの移動式の台車9が配置されている。台車9上に黒いプラスチック段ボール10が固定され、その上に測定対象物Mが配置されている。図12(a)は、測定対象物Mの真上に平板拡散光照明装置1が水平に配置されている。図12(b)は、測定対象物Mと間隔を置いて平板拡散光照明装置1が水平に配置されている。
【0112】
図13は、使用筐体の種類と、照明位置、導光板2の種類、シャッタースピード、光量の一覧表を示す。試作品(1階調)は、階調1の直径32.5μmの反射部6をピッチPが84.5μmで導光板2の平面2aの全面に設けたものである。試作品(3階調)は、階調3の直径50.0μmの反射部6をピッチPが84.5μmで導光板2の平面2aの全面に設けたものである。試作品(5階調)は、階調5の直径60.5μmの反射部6をピッチPが84.5μmで導光板2の平面2aの全面に設けたものである。
【0113】
ビート発生の検証、ビートの発生について図14図22を検討すると、筐体8の内壁にはLEDが配置されていて、高演色性と低演色性の2種類がある。低演色性にするほど、ビートは減少する傾向にある。また、平板拡散光照明装置1と測定対象物Mの距離は短いほどビートは低くなる。出願人作成の試作品は、印刷階調(インクの印刷サイズ)が大きい程、不透明な板になる。
【0114】
画像のプロファイルを解析すると、L値を中間地点から折り返して鏡写しのデータにしたものである。プロファイル計測結果としては、プロファイル結果で、階調1では、平面がフラットであるが、階調3、5では、明るさを示すL値の中心が凹んでいて、中心の光量が枯渇していることがわかる。この点、本発明実施形態1、2により、かかる問題は、解消できている。
【0115】
本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができ、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、階調の数値や数、導光板の分割数は適宜設定できるので、本実施形態において挙げた方式は具体例に過ぎないものであって、これらに限られず、その他の方式によっても本発明の技術的思想は実施される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
2次元色彩計の撮像画像に生じるビートを防止し、正確な測色を可能とするので、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0117】
100・・・撮像装置
1・・・平板拡散光照明装置
2・・・導光板
2a・・・平面(測定対象物反対面)
2b・・・裏面(測定対象物対向面)
3a~3d・・・LED
4・・・支持部材
5а~5p・・・分割領域(マス、又はブロック)
6・・・反射部
7・・・隙間
8・・・筐体
9・・・台車
10・・・プラスチック段ボール
θ・・・画角
M・・・測定対象物
α・・・減衰率
P・・・ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22