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特開2024-101882カメラが備えられた放射線撮像装置、および、画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101882
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】カメラが備えられた放射線撮像装置、および、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240723BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006065
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093EC02
4C093EC12
4C093ED01
4C093EE16
4C093FB12
4C093FG01
4C093FG12
4C093FG13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医師が内視鏡等の操作を中断することなく、麻酔切れを認識することができる放射線撮像装置を提供する。
【解決手段】放射線検出装置には、被検体を撮像するカメラが備えられている。カメラが撮像した画像から、被検体の複数の部位の画像を抽出し、それぞれの部位について動き量を算出する。算出した部位ごとの動き量を、複数の部位ごとに予め定めておいた重みにより重み付けし、重み付け後の動き量が予め定めた閾値を超える場合、そのことを操作者に報知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を搭載する天板と、前記被検体に放射線を照射する放射線源と、前記放射線源から照射され、前記被検体を透過した放射線を検出する放射線検出器と、前記被検体を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像を処理して被検体の動き量を算出する動き量算出部とを有し、
前記動き量算出部は、前記カメラが撮像したが画像から予め定めた被検体の複数の部位の画像を抽出し、それぞれの部位について動き量を算出し、算出した部位ごとの動き量を、前記複数の部位ごとに予め定めておいた重みにより重み付けし、重み付け後の動き量が予め定めた閾値を超える場合、そのことを操作者に報知することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記動き量算出部は、前記被検体の複数の部位として、前記被検体の頭、胴、腕、足の部位の動きを検出し、重み付けする前記重みは、
足の動き量の重み値>頭の動き量の重み値≧胴の動き量の重み値≧腕の動き量の重み値
の関係にあることを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記動き量算出部は、前記重みを、前記天板に現在搭載されている被検体の身長、および、予め定めた被検体の体の大きさを表す指標の少なくとも一方に応じて、補正することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記動き量算出部は、前記被検体の身長、または、前記被検体の体の大きさを表す指標を、前記カメラが撮像した被検体の画像を用いて算出することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記動き量算出部は、前記操作者への報知を実現するために、アラーム音を接続されているスピーカから発することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記動き量算出部は、前記操作者への報知を実現するために、前記部位の前記重みを乗じた動き量を色で表したマップ、または、前記重みを乗じた動き量を表す計量器の画像を表示装置に表示することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記天板の位置を移動させる機構部をさらに備え、
前記動き量算出部は、前記機構部が稼働していることを検出した場合、前記動き量の算出を中断することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記天板の位置を移動させる機構部をさらに備え、
前記動き量算出部は、前記機構部が前記天板を移動させていることを検出した場合、前記部位について算出した動き量を前記天板の移動量に応じて補正することを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項9】
請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記放射線源を支持する支持部をさらに備え、
前記カメラは、前記支持部に備えられていることを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置。
【請求項10】
カメラが備えられた放射線撮像装置の画像処理方法であって、
前記カメラが撮像したが画像から予め定めた被検体の複数の部位の画像を抽出して前記複数の部位のそれぞれについて動き量を算出する工程と、
算出した部位ごとの動き量を、前記複数の部位ごとに予め定めておいた重みにより重み付けする工程と、
重み付け後の動き量が予め定めた閾値を超える場合、そのことを操作者に報知する工程とを含む
ことを特徴とするカメラが備えられた放射線撮像装置の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に放射線を照射して画像を取得する放射線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線撮像装置から患者に放射線を照射して透視画像を取得しながら、内視鏡やカテーテルを患者に挿入し、患者に対して種々の手技をするIVR((Interventional Radiology)が知られている。IVRにおいて、医師が患者の状況を確認する場合、カテーテルや内視鏡の操作を一旦止め、患者の顔や足や手を目視して確認する。一般的に、内視鏡で撮影された画像を表示するモニター、及び、透視画像を表示するモニターは、医師の前面に配置され、被検体は、医師の横に配置されている。このため、患者の状況を確認するには、モニターから患者へと視線を移動させる必要がある。
【0003】
特許文献1には、ガントリ室に配置されたX線CT装置により患者の様子を撮影しながら、撮影室の隣のコンソール室でX線CT装置を操作している医師や技師が、患者の様子を確認するためのシステムが開示されている。このシステムでは、X線CT装置またはその近傍に設置したカメラで患者を撮影し、撮影した画像を、コンソール室の操作画面の一部に表示する。具体的には、複数のカメラを使って患者の複数の部位を撮影し、操作画面に複数の表示領域を設けて、複数の画像を表示する態様や、一つの画像を表示する態様が開示されている(特許文献1の図3(a),(b)参照)。また、画像の患者の像のエッジを検出し、その幅方向や厚み方向の変化から体動の有無を検出し、画像と共に表示することも開示している。これにより、操作者は、操作コンソールで操作中に、操作画面の一部に表示される画像により患者の様子を確認することができるとともに、体動の有無も知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-208954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医師がIVRの途中で患者の様子を視認する目的の一つは、麻酔が切れかけていないかを確認することにあるが、医師が患者の様子を直接視認するためには、内視鏡等の操作を一旦停止して、視線をモニターから患者へ移動させる必要がある。
【0006】
また、特許文献1の技術では、複数のカメラで撮影した患者の複数の部位の画像を操作コンソールの操作画面に表示するため、操作画面において内視鏡で撮影された画像を表示する領域、及び、透視画像を表示する領域が小さくなる。一方、表示する患者の部位を一つに限定すると、その部位のみで麻酔が切れかけているかどうかを医師が判断するのが困難になる。
【0007】
本発明の目的は、医師が内視鏡等の操作を中断することなく、麻酔切れを認識することができる放射線撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によれば、被検体を搭載する天板と、被検体に放射線を照射する放射線源と、放射線源から照射され、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出器と、被検体を撮像するカメラと、カメラが撮像した画像を処理して被検体の動き量を算出する動き量算出部とを有する放射線撮像装置が提供される。動き量算出部は、カメラが撮像したが画像から予め定めた被検体の複数の部位の画像を抽出し、それぞれの部位について動き量を算出する。動き量算出部は、算出した部位ごとの動き量に、複数の部位ごとに予め定めておいた重みにより重み付けし、重み付け後の動き量が予め定めた閾値を超える場合、そのことを操作者に報知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、医師が内視鏡等の操作を中断することなく、麻酔切れを認識することができる放射線撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の実施形態1の放射線照射装置1の正面図。
図2】実施形態1の放射線照射装置1の機能ブロック図。
図3】実施形態1の放射線照射装置1の動作を示すフローチャート。
図4】実施形態1の放射線照射装置1の表示モニターの画像例を示す図。
図5】実施形態1の放射線照射装置1の表示画面例を示す図。
図6】実施形態2の放射線照射装置の動作を示すフローチャート。
図7】実施形態3の放射線照射装置の動作を示すフローチャート。
図8】実施形態3の放射線照射装置の表示モニターの画像例を示す図。
図9】実施形態4の放射線照射装置の動作を示すフローチャート。
図10】実施形態4の放射線照射装置の表示モニターの画像例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の放射線照射装置について図面を用いて説明する。
【0012】
<実施形態1>
実施形態1の放射線照射装置1について図1図3を用いて説明する。図1は、放射線照射装置1の正面図であり、図2は、放射線照射装置1の機能ブロック図であり、図3は、放射線照射装置1の動作を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、放射線照射装置1は、被検体10を搭載する天板80と、被検体10にX線を照射する放射線源11を備えている。放射線源11は、放射線源支持部50によってスタンド70に対して支持されている。また、スタンド70には、支持部50を上下動させる放射線源機構部60がスタンド70には備えられている。
【0014】
一方、天板80は、天板支持部81によりスタンド70に対してされている。天板支持部81の内部には、天板80の位置を、天板80の長手方向に移動させる機構部82が内蔵されている。
【0015】
天板支持部81の内部には、放射線検出器12が配置されている。放射線検出器12は、放射線検出素子が2次元に配置されており、放射線源11から照射され、被検体10を透過したX線を検出する。
【0016】
放射線源支持部50には、被検体10を撮像する監視カメラ21が支持されている。監視カメラ21は、図4に示すように、天板80上の被検体10の全身が撮像されるように画角が設定されている。監視カメラ21は、放射線源11のカバー(筐体)に固定されていてもよい。
【0017】
図2に示すように、X線検出器12には、画像処理部13が接続されており、X線検出器12の各放射線検出素子がX線を検出して出力する信号を受け取ってX線画像(ここでは透視画像)を所定のフレームレートで生成する。画像処理部13には、表示モニター14が接続されている。
【0018】
図5は、表示モニター14の表示画面の例を示す。透視画像は、表示画面の領域14aに表示される。
【0019】
一方、監視カメラ21には、動き量算出部20が接続されている。動き量算出部20は、監視カメラ21が撮像した画像を処理して被検体10の動き量を算出する。
【0020】
動き量算出部20は、画像取り込み部22、姿勢検出部23、動き量検出部24、重み記憶部26、重み付け部25、判定部27、および、動き量マップ生成部28を含む。
【0021】
画像受け取り部22は、監視カメラ21が出力する画像21aを、予め定めた時間間隔で取り込む。予め定めた時間間隔としては、画像処理部13が生成する透視画像のフレームレートと同程度に設定することができる。
【0022】
姿勢検出部23は、画像21aの被検体10の像の予め定めた関節等の複数の特徴点(頭、背骨、右肩、右肘、右手首、左肩、左肘、左手首、右腰、右膝、右足首、左腰、左膝、左足首等)を抽出し、それらの2次元座標を検出することにより、被検体10の姿勢を検出する。姿勢検出部23は、公知の姿勢検出アルゴリズムにより実現できる。例えば、Intel Corp提供のOpen VINO(登録商標)に含まれる姿勢推定アルゴリズムOpen Pose(登録商標)を用いることができる。
【0023】
動き量検出部24は、姿勢検出部23が検出した被検体10の特徴点の座標から、被検体10の予め定めた複数の部位(頭、胴、右腕、左腕、右足、左足)についての動き量をそれぞれ算出する。例えば、画像取り込み部22が今回取り込んだ画像21aと、前回取り込んだ画像21aの複数の特徴点(頭、背骨、右肩、右肘、右手首、左肩、左肘、左手首、右腰、右膝、右足首、左腰、左膝、左足首等)の座標の差を算出し、各部位の動き量とすることができる。例えば、前回と今回の画像21aの頭の座標の差を、頭の動き量とする。前回と今回の画像21aの背骨の座標の差を、胴の動き量とする。前回と今回の画像21aの右肩、右肘および右手首のそれぞれ座標の差のうちの最大値を、右腕の動き量とし、左肩、左肘および左手首のそれぞれの座標の差のうちの最大値を、左腕の動き量とする。また、前回と今回の画像21aの右腰、右膝および右足首のそれぞれの座標の差のうちの最大値を、右足の動き量とし、左腰、左膝および左足首のそれぞれの座標の差のうちの最大値を、左足の動き量とする。
【0024】
重み付け部25は、動き量検出部24が検出した各部位(頭、胴、右腕、左腕、右足、左足)の動き量を、重み記憶部26に部位ごとに予め格納されている重みにより重み付けする。重み記憶部26に格納されている各部位の重みは、
足の動き量の重み値>頭の動き量の重み値≧胴の動き量の重み値≧腕の動き量の重み値
の関係にある。一例としては、右足および左足の動きの重み値=1.2、頭の動きの重み値=0.8、胴の動きの重み値=0.8、右腕および左腕の動きの重み値=0.8、と定められている。
【0025】
このように、足の重みを他の部位よりも大きく設定しているのは、体の末端に近づくほど、麻酔の切れかけの際の動き量が大きくなるためである。そのため、末端部(腕、足)の重みを大きくすることにより、麻酔が切れかけているかどうかを容易に判定できる。一方、術中の画像21aにおいて、被検体10の腕や胴の像には、医師の像がオーバーラップすることが多く、姿勢検出部23において、腕や胴の特徴点を精度よく検出することができないことがある。そのため、腕は末端部であるが、腕の動き量の重み値を、胴の動き量の重み値と同程度に低下させている。結果的に、足の動き量の重み値が、他の部位よりも大きく設定され、足の動き量に重点を置いて、麻酔切れの判定を行う。
【0026】
なお、重み付け部25は、重み記憶部26に格納されている重みを、天板80に現在搭載されている被検体10の身長、および、予め定めた被検体10の体の大きさを表す指標の少なくとも一方に応じて、補正して用いることも可能である。例えば、体の小さな子供の場合、頭の動き量の重み値を足の動き量と同程度に大きくするように補正してもよい。その際、カメラ21で撮像した画像21aから被検体10の身長を検出し、身長が予め定めた閾値(例えば130cm)よりも小さければ、子供であると判定して、頭の動き量の重み値を大きくするように補正することができる。また、身長のみならず、画像21a被検体10の表面積が予め定めた閾値よりも小さければ子供であると判定することも可能である。また、子供だけでなく、身長または体の表面積が、平均的な成人よりも値よりも大幅に大きい被検体10の場合には、例えば足の重み値を、腕と同程度に下げる等の補正をしてもよい。
【0027】
判定部27は、各部位の重み付け後の動き量のうち1以上が、予め定めた閾値を超える場合、そのことを操作者に報知する。例えば、判定部27は、アラーム音を接続されているスピーカ29から発することにより、麻酔切れへの注意喚起を報知する。なお、報知する方法は、アラーム音に限定されるものではなく、表示モニター14に警告を表示する等他の方法を用いることももちろん可能である。
【0028】
動き量マップ生成部28は、重み付け部25が算出した重み付け後の各部位ごとに、動き量に対応させて予め定めておいた色を選択し、被検体10の形状を示すマップを部位ごとに着色する。これにより、各部位の動き量を色で表したマップを生成する。選択する色は、動き量に応じて予め定められた、色相または明度の異なる色である。
【0029】
動き量マップ生成部28は、生成したマップを表示モニター14の所定の領域14bに図4のように表示する。これにより、操作者は、透視画像が表示されている表示モニター14をみながら、各部位の動き量をマップの色で把握することができ、視線移動の必要がない。
【0030】
以下、動き量算出部20の各部の動作を、図3のフローを用いて説明する。
【0031】
(ステップ101)
医師が内視鏡やカテーテルの被検体10への挿入を開始したならば、画像取り込み部22は、監視カメラ21から画像を所定の時間間隔で取り込む動作を開始する。なお、医師が内視鏡やカテーテルの被検体10への挿入を開始したことは、画像取り込み部22が、取り込んだ画像を処理して、医師の動きから判定してもよいし、放射線源11からX線の放射が開始されたことを画像取り込み部22が検出したならば、内視鏡等の挿入開始と判定してもよい。
【0032】
(ステップ102)
画像取り込み部22は、ステップ101で画像の取り込みを開始してから、所定の時間が経過するまで待機し、所定時間が経過したならば、ステップ103に進む。ここで所定時間の経過するまで待機するのは、内視鏡等の挿入開始直後は、麻酔を投与した直後であるので、麻酔切れを判定する必要がないためである。
【0033】
(ステップ103)
所定時間が経過したならば、画像取り込み部22は、取り込んだ画像21aを姿勢検出部23に出力する。姿勢検出部23は、画像21aの被検体10の像の複数の特徴点(頭、背骨、右肩、右肘、右手首、左肩、左肘、左手首、右腰、右膝、右足首、左腰、左膝、左足首等)を抽出し、それらの2次元座標を検出する。
【0034】
(ステップ104)
動き量検出部24は、姿勢検出部23が検出した被検体10の特徴点の座標から、被検体10の予め定めた複数の部位(頭、胴、右腕、左腕、右足、左足)についての動き量をそれぞれ検出する。
【0035】
(ステップ105、106)
ここで、動き量検出部24は、天板80の機構部82が動作しているかどうかを検出し、動作している場合、動き量の検出を中断し、機構部82が停止するまで待機する。
【0036】
(ステップ107)
重み付け部25は、ステップ104において動き量検出部24が検出した各部位(頭、胴、右腕、左腕、右足、左足)の動き量を、重み記憶部26に部位ごとに予め格納されている重みにより重み付けする。
【0037】
この際、重み付け部25は、被検体10の身長等を検出し、検出結果に応じて重み記憶部26の重みを補正してから重み付けしてもよい。
【0038】
(ステップ108)
動き量マップ生成部28は、ステップ107で重み付けした各部位の動き量を、色で表したマップを生成する。
【0039】
(ステップ109)
判定部27は、各部位の重み付け後の動き量が、予め定めた閾値を超えるかどうかを判定する。各部位の重み付け後の動き量のうちの1以上が、閾値を超える場合、ステップ110に進む。
【0040】
(ステップ110)
判定部27は、接続されているスピーカ29からアラーム音を発動する。これにより、麻酔切れが生じる可能性を操作者に報知する。
【0041】
上記ステップ103~110は、画像取り込み部22が所定のレートで画像を取り込むたびに繰り返し実行する。
【0042】
上述してきたように、実施形態1の放射線撮像装置を用いることにより、医師は内視鏡等の操作を中断することなく、アラーム音や、表示画面により麻酔切れを認識することができる。
【0043】
また、実施形態1の放射線撮像装置は、IVRの全工程ではなく、開始から所定時間が経過し麻酔切れの恐れが生じる時間帯のみ被検体10の動き量をセンシングし、動き量を算出し、マップを表示することができる。また、動き量が閾値を超えた場合アラームを発することができる。よって、麻酔切れに特化した動き検出が可能となる。
【0044】
また、医師は、透視画像が表示される表示モニターから視線を移動することなく、患者の動き量を把握する事ができる。
【0045】
また、監視カメラ21の撮像した画像21aの動き量に、部位に応じた重みで重み付けするため、被検体10の末端部、特に、足の動き量に重みを大きくでき、かつ、他の部位の動き量も判定材料として、麻酔が切れ始めているかどうかを判定して医師に示すことができる。監視カメラ21の画像において、足は、医師の像が被ることが少なく、腕と比較すると、検出精度の低下が少ないため、精度よく麻酔切れを判定することができる。
【0046】
<実施形態2>
実施形態2の放射線照射装置について図6のフローを用いて説明する。
【0047】
実施形態2の放射線照射装置の構成は、実施形態1の放射線照射装置と同様であるが、動作の一部が異なっている。異なる部分のみ、図6のフローを用いて以下説明する。
【0048】
実施形態1では、図3のフローのステップ105、106のように、動き量検出部24は、天板80の機構部82が動作しているかどうかを検出し、機構部82が動作している場合、動き量の検出を中断し、機構部82が停止するまで待機する構成であった。
【0049】
実施形態2では、ステップ105において、動き量検出部24は、天板80の機構部82が動作しているかどうかを検出し、機構部82が動作している場合、ステップ116に進む。
【0050】
ステップ116において、動き量検出部24は、機構部82が天板80を移動させた方向と、移動量をさらに検出し、ステップ104が検出した動き量から、天板80の移動により生じた被検体10の各部位(頭、胴、右腕、左腕、右足、左足)の動き量を差し引いて補正する。
【0051】
ステップ107では、重み付け部25は、ステップ116において動き量検出部24が補正後の各部位の動き量を、重み記憶部26に部位ごとに予め格納されている重みにより重み付けする。
【0052】
他のステップは、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0053】
このように、実施形態2の放射線検出装置は、天板80が移動している間も、動き量の検出を中断することなく、天板80の移動により生じる被検体10の動き量を補正により除去して、補正後の動き量により動き量マップを作成して表示できる。また、補正後の動き量が閾値を超えた場合には、麻酔切れの可能性をアラームにより医師に知らせることができる。
【0054】
よって、天板を頻繁に移動させる手術であっても、中断させることなく各部位の動き量を算出して表示できる。また、麻酔切れの可能性を報知できる。
【0055】
<実施形態3>
実施形態3の放射線照射装置について図7のフローと、図8の表示画面例を用いて説明する。
【0056】
実施形態3の放射線照射装置の構成は、実施形態1の放射線照射装置と同様であるが、動き量の表示モニター14への表示方法が異なっている。異なる部分のみ、図7および図を用いて以下説明する。
【0057】
実施形態1では、図3のステップ108において各部位の動き量を色で表したマップを生成し、表示モニター14の領域14bに表示する構成であったが、実施形態3では、ステップ108に代えてステップ118において、重み付け後の動き量を表す計量器(メーター)の画像を、表示モニター14の領域14bに図8のように表示する。
【0058】
図8の例では、メーターの画像として、動き量の値を示す横長のバーに、ステップ107で算出した重み付け後の重み量を示す縦線を表示したものを示しているが、他の形状のメーターであってもよい。
【0059】
図8のように、一つのメーターのみを表示モニター14に表示し、各部位の動き量のうちの最大値を表示してもよいし、各部位ごとにメーターを表示してもよい。
【0060】
実施形態3のように、メーターにより動き量を表すことにより、動き量の大きさを医師が把握しやすいというメリットがある。
【0061】
<実施形態4>
実施形態4の放射線照射装置について図9のフローと、図10の表示画面例を用いて説明する。
【0062】
実施形態4の放射線照射装置の構成は、実施形態1の放射線照射装置と同様であるが、動き量の表示モニター14への表示方法が異なっている。
【0063】
実施形態3では、図9のフローのように、実施形態1のステップ108に代えてステップ128を実行し、重み付け後の動き量を、被検体10の画像21a上の部位を示す枠線201a,201bの太さによって図10のように表示する。
【0064】
例えば、図10の例では、左腕と、左足の重み付け後の動き量が、ステップ107において算出されており、左足の動き量の方が、左腕の動き量よりも大きいため、画像21a上には、左足の位置に太い枠線201aが表示され、左腕の位置に左足よりも細い枠線201bが表示されている。
【0065】
また、図10の例では、画像21aは、単独で表示されているため、被検体10の動き量を大きな画像21aにより容易に把握できるというメリットがある。なお、枠線201a、201bが表示された画像21aを、透視画像の並べて表示することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 放射線照射装置
10 被検体
11 放射線源
12 線検出器
13 画像処理部
14 表示モニター
14a 領域
14b 領域
20 動き量算出部
21 カメラ
21a 画像
22 画像取り込み部
23 姿勢検出部
24 動き量検出部
25 重み付け部
26 記憶部
27 判定部
28 動き量マップ生成部
29 スピーカ
50 放射線源支持部
60 放射線源機構部
70 スタンド
80 天板
82 機構部
201a 枠線
201b 枠線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10