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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101887
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240723BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006081
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】日比野 義光
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃佑
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081FA03
3L081FC01
3L211BA01
(57)【要約】
【課題】細長い空気吹出口を備えたレジスタであっても、風をより遠くまで減衰させずに送風することができるレジスタを提供する。
【解決手段】後可動ルーバ1は、リテーナ8内の中央部に位置した中央後フィン11と中央後フィンの両側に位置する端側後フィン12とを備える。後可動ルーバの中央後フィンと端側後フィンの向きを変えるために、風向調整用の操作ノブ7が設けられる。操作ノブを操作して後可動ルーバ1の向きをニュートラル方向に調整したとき、中央後フィン11はニュートラル方向を向き、端側後フィン12は、各々、斜め中央側を向く。端側後フィン12の両側面には、補助フィン群20が突設され、補助フィン群には、複数の傾斜補助フィン22,23が、通風路6内の中央を通る中央軸線の両側に位置し、各々、その下流側端部を、斜め中央軸線側に向けて配設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通風路を有したリテーナと、該リテーナの前部に嵌着され、空気吹出口を有したベゼルと、
該空気吹出口の内側に、支軸を介して、回動可能に配設された1枚または複数の前フィンを設けた前可動ルーバと、
該前可動ルーバの上流側に、支軸を介して、該前可動ルーバとは直交方向に回動可能に配設された複数の後フィンを設けた後可動ルーバと、
を備えたレジスタにおいて、
該後可動ルーバは、該リテーナ内の中央部に位置した中央後フィンと該中央後フィンの両側に位置する端側後フィンとを有し、
該後可動ルーバの該中央後フィンと該端側後フィンの向きを変えるために、風向調整用の操作ノブが、該前可動ルーバの該前フィン上に設けられ、
該操作ノブを操作して該後可動ルーバの向きをニュートラル方向に調整したとき、該中央後フィンはニュートラル方向を向き、該端側後フィンは、各々、斜め中央側を向き、
該端側後フィンの両側面には、補助フィン群が突設され、
該補助フィン群は、少なくとも複数の傾斜補助フィンを有し、該傾斜補助フィンは、該通風路内の中央を通る中央軸線の両側に位置するとともに、各々、その下流側端部を、斜め該中央軸線側を向いて配設されたことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記補助フィン群には、該傾斜補助フィン間の略中央に、中央補助フィンが配設されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項3】
前記後可動ルーバは、前記通風路内の中央に位置した前記中央後フィンと該中央後フィンの両側に位置する各々2枚の前記端側後フィンとを有することを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項4】
前記ベゼルに設けられた前記空気吹出口の短手方向の高さ幅は、前記通風路内の高さ幅より短く形成されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項5】
前記端側後フィンの両側に設けた前記傾斜補助フィンの平面形状は、略、ひし形であることを特徴とする請求項1記載のレジスタ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の空調装置の吹出口に使用されるレジスタに関し、特に、空気吹出口内に前可動ルーバと後可動ルーバを、前後してかつ相互に直交方向に配設した空気吹出調整用のレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するリテーナ内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後して、且つ相互に直交方向に配設し、ベゼルに設けた空気吹出口から空気を吹き出す際、前後の可動ルーバの各フィンの角度を変えて、空気の吹出し方向を上下左右に調整するクロスフィン型のレジスタが、広く使用されている。
【0003】
また、このようなレジスタとして、細長で長方形状の空気吹出口を有し、空気吹出口の内側に、少数の可動フィンを設けたレジスタが、下記特許文献1、特許文献2などで知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-206068号公報
【特許文献2】国際公開WO2018050034号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のレジスタは、主にデザイン性の要望から、細長い空気吹出口の内側に、1~3枚程度の長尺の前フィンを、短手方向に回動可能に軸支し、多数の後フィンを、間隔をおいて、長手方向に回動可能に軸支して構成され、特にレジスタの空気吹出口の形状が、長手方向により長く、短手方向により短くなる薄型のレジスタとして構成される場合がある。
【0006】
しかし、この種の薄型のレジスタは、例えば車室内のインストゥルメントパネルの正面に設置され、風向の調整操作に応じて、後部座席まで効果的に送風を行うことが要求されるが、細長い形状の空気吹出口のため、送風が途中で乱れて、減衰しやすく、後部座席まで十分な風速と風量の送風を行うことが難しいという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、細長い空気吹出口を備えたレジスタであっても、風をより遠くまで減衰させずに送風することができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のレジスタは、
内部に通風路を有したリテーナと、該リテーナの前部に嵌着され、空気吹出口を有したベゼルと、
該空気吹出口の内側に、支軸を介して、回動可能に配設された1枚または複数の前フィンを設けた前可動ルーバと、
該前可動ルーバの上流側に、支軸を介して、該前可動ルーバとは直交方向に回動可能に配設された複数の後フィンを設けた後可動ルーバと、
を備えたレジスタにおいて、
該後可動ルーバは、該リテーナ内の中央部に位置した中央後フィンと該中央後フィンの両側に位置する両側後フィンとを有し、
該後可動ルーバの該中央後フィンと該両側後フィンの向きを変えるために、風向調整用の操作ノブが、該前可動ルーバの該前フィン上に設けられ、
該操作ノブを操作して後可動ルーバの向きをニュートラル方向に調整したとき、該中央後フィンはニュートラル方向を向き、該両側後フィンは、各々、斜め中央側を向き、
該両側後フィンの両側面には、補助フィン群が突設され、
該補助フィン群は、少なくとも複数の両側補助フィンを有し、該両側補助フィンは、該通風路内の中央を通る中央軸線の両側に位置するとともに、各々、その下流側端部を、斜め該中央軸線側を向いて配設されたことを特徴とする。
なお、上記ニュートラル方向とは、可動ルーバを左右または上下に振らずに、中立位置として、正面方向に送風するときの方向を意味する。また、この明細書で使用する前・後は、レジスタの送風時の上流側が後、下流側が前であり、正面方向はレジスタの空気吹出口の前方である。
【0009】
この発明によれば、後可動ルーバをニュートラル方向に調整した際、中央後フィンの近傍を通過した空気流は、正面方向に進み、その外側の両端側後フィン近傍を通過した空気流は、中央を正面方向に進む空気流を、両側から抑えて縮流するように進む。さらに、両端側後フィン近傍を通過した空気流は、端側後フィンの両側に突設した補助フィン群により、中央を進む空気流を、上下からも抑えて縮流するように進む。
【0010】
これにより、正面方向に進む空気流の乱れは抑制され、減衰することなく、より遠くまで到達し、例えば、車室内の前部から後部座席の位置まで、効果的に送風を行い、十分な風速と風量の送風を後部座席の乗客まで送ることができ、冷房時の冷風を効率よく後部座席まで送ることができる。
【0011】
また、この発明のレジスタは、後可動ルーバの両端側後フィンの形状角度を変更し、そこに補助フィン群を設けるのみで、実現することができるため、従来のレジスタと同数の部品点数で、簡単に低コストで、優れた性能のレジスタを製造することができる。
【0012】
ここで、上記補助フィン群には、該両側の傾斜補助フィン間の中央に、中央補助フィンが配設された構成とすることができる。
【0013】
またここで、上記後可動ルーバは、上記通風路内の中央に位置した中央後フィンと該中央後フィンの両側に位置する各々2枚の端側後フィンとを有した構成とすることができる。
【0014】
またここで、上記ベゼルに設けられた空気吹出口の短手方向の高さ幅は、上記通風路内の高さ幅より短く細長く形成することができる。これにより、通風路を流れる空気流は、空気吹出口で狭窄されて送風され、より遠くまで空気流を乱さずに、十分な風速で送風することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明のレジスタによれば、細長い空気吹出口を備えたレジスタであっても、ニュートラル方向への送風時、風をより遠くまで、減衰させずに送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示すレジスタの正面図である。
図2図1のII-II 断面図である。
図3図1のIII-III 断面図である。
図4図1のIV-IV 断面図である。
図5】同レジスタの斜視図である。
図6】同レジスタの背面側からの斜視図である。
図7】同レジスタの分解斜視図である。
図8】後可動ルーバの斜視図である。
図9】Aは後可動ルーバの正面図、Bは同左側面図、Cは同底面図である。
図10】Aは端側後フィンの正面図、Bは同左側面図、Cは同平面図、D、Eは同斜視図である。
図11】後可動ルーバを右に振った状態のII-II断面図である。
図12】前可動ルーバを下に振った状態のIII-III断面図である。
図13】他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。レジスタは、図1図7に示すように、細長い長方形の開口部を持つダクト状に形成されたリテーナ8と、リテーナ8の前部に嵌着されるベゼル9を有し、ベゼル9の前面に、横方向に細長い長方形状の空気吹出口5が形成され、リテーナ8内に形成された通風路6内の前部下流側に、前可動ルーバ30が配設され、その上流側に後可動ルーバ1が配設される。ここで、上流側、下流側は、レジスタからの送風時、空気流の上流、下流側であり、レジスタの前部は下流側、後部は上流側である。
【0018】
ベゼル9の正面に形成された空気吹出口5は、図1図4のように、長手方向に長く短手方向に短い横長の長方形に形成される。また、ベゼル9に設けられた空気吹出口5の短手方向の高さ幅は、通風路6内の高さ幅より短く細長く形成される。これにより、図4に示す如く、通風路6を通過した空気流を、空気吹出口5の手前で上下に縮流させ、送風することができる。
空気吹出口5のすぐ内側に、前フィン31を有する前可動ルーバ30が、長手方向(横方向)と平行に配される。前可動ルーバ30は、図7に示すように、両側に配置した軸受部33,34の間に、1枚の前フィン31を軸支して構成され、前フィン31の両側端部に突設した支軸32が軸受部33,34に設けた軸穴に嵌入され、上下に回動可能に軸支される。
【0019】
前フィン31には、図7のように、操作ノブ7が左右に摺動可能に外嵌され、操作ノブ7の上流側端部に、フォーク部19が設けられる。前可動ルーバ30のアッセンブリは、リテーナ8内の前部に組み付けられた状態で、そのフォーク部19が後可動ルーバ1の中央後フィン11の係合部18と係合し、操作ノブ7の左右への摺動操作に応じて、後可動ルーバ1の向きを左右に変える。
さらに、図2のように、前可動ルーバ30の上流側の通風路6内には、前可動ルーバ30と直交方向に、後可動ルーバ1が配設される。
後可動ルーバ1は、図7図8に示すように、5枚の後フィンを、左右に間隔を置いて並設して構成され、中央に、中央後フィン11が配置され、中央後フィン11の両側に、各々、2枚の端側後フィン12が一定間隔をおいて配置される。また、図2の如く、中央後フィン11は、リテーナ8内の通風路6の中央に、通風方向に沿って位置する中央軸線C(図2)の上に配置される。
【0020】
この実施形態では、中央後フィン11を1枚とし、端側後フィン12をその両側に、2枚づつ配置したが、中央後フィンを2枚並設することもでき、端側後フィンを両側に1枚づつ配置し、あるいは端側後フィンを両側に3枚づつ並設して構成することもできる。
図8に示すように、中央後フィン11の下流側先端部には、開口部とともに縦棒状の係合部18が設けられ、前可動ルーバ30に設けた操作ノブ7のフォーク部19(図3)が、係合部18に係合し、操作ノブ7のスライド操作に応じて、後可動ルーバ1の中央後フィン11と端側後フィン12が左右に回動するようになっている。係合部18の上下には、制限板18aが水平に設けられ、図12に示すように、前フィン31を上下に回動操作したとき、フォーク部19と係合部18の係合外れを防止する。
【0021】
後可動ルーバ1には、図8に示す如く、1本のリンクバー15が、並設配置された中央後フィン11と端側後フィン12の、上部に突設された各連結軸14に、軸と穴の嵌合により連結される。図8の状態の後可動ルーバ1のアッセンブリは、図7に示すごとく、各後フィンの上部と下部に突設した支軸13を、上軸受部16と下軸受部17の各軸穴に嵌め込み、その状態で、上軸受部16と下軸受部17をリテーナ8内に嵌め込み、通風路6内の定位置に取り付けられる。
【0022】
リテーナ8の通風路6内の奥に組み付けられた後可動ルーバ1は、操作ノブ7の摺動操作に応じて、リンクバー15により、中央後フィン11とその両側の端側後フィン12が、同期連動して回動可能である。さらに、図2のように、後可動ルーバ1をニュートラル方向に向けたとき、中央後フィン11は中央のニュートラル方向を向き、両外側の端側後フィン12は、各々、斜め中央側(斜め中央後フィン11側)を向くように組み付けられる。
【0023】
通風路6内に取り付けられた状態の後可動ルーバ1は、図1に示すように、中央後フィン11とその外側の端側後フィン12が、空気吹出口5の短手方向(縦方向)と平行に配置され、長手方向に所定の間隔をあけて並設される。さらに、後可動ルーバ1は、操作ノブ7を操作して後可動ルーバ1の向きをニュートラル方向に調整したとき、図2のように、中央後フィン11はニュートラル方向(空気吹出口5の正面方向)を向き、両外側の端側後フィン12は、各々、斜め中央側(斜め中央後フィン側)を向く。
つまり、図2図9Cに示すように、左右両側の端側後フィン12は、正面方向を向く中央後フィン11の側を向くように、角度αだけ傾斜した状態で、リンクバー15により連結され、後可動ルーバ1をニュートラル状態としたとき、斜め中央側(中央後フィン11側)を向くようになっている。
【0024】
ここで、端側後フィン12の傾斜角度αは、10°~20°とすることができ、望ましくは、13°~17°とするとよい。なお、ニュートラル方向とは、後可動ルーバ1を左右または上下に振らずに、中立位置として、正面方向に送風するときの方向を意味する。これにより、図2に示すように、ニュートラル方向調整時、中央側を流れる空気流を、左右横方向に効率よく縮流させることができる。
【0025】
さらに、図10に示すように、端側後フィン12の両側面に、補助フィン群20が突設される。補助フィン群20は、両側に、各々2枚の傾斜補助フィン22,23と1枚の中央補助フィン21を備える。傾斜補助フィン22,23は、通風路6内の中央を通る中央軸線S(図4)の両側に位置するとともに、各々、その下流側端部を、斜め中央軸線S側、つまり中央補助フィン21側を向いて配設される。
【0026】
ここで、傾斜補助フィン22の中央補助フィン21(中央軸線S)に対する傾斜角度β(図10)は、10°~20°とすることができ、望ましくは、13°~17°とするとよい。中央補助フィン21は、傾斜補助フィン22,23間の中央軸線S上に沿って配設される。これらの、端側後フィン12の両側に設けた傾斜補助フィン22,23と中央補助フィン21の平面形状は、図10Cに示す如く、略ひし形を呈し、個々の傾斜補助フィン22,23と中央補助フィン21の平面形状は、略鋭角三角形である。
【0027】
このように、各端側後フィン12の両側面に、補助フィン群20を突設し、補助フィン群20には、各々2枚の傾斜補助フィン22,23と、その中央に1枚の中央補助フィン21を設け、傾斜補助フィン22,23の下流側端部の向きを、中央軸線S側つまり中央補助フィン21側に向けることにより、通風路6から空気吹出口5に流れる空気流を、上下方向に効率よく縮流させることができる。また、補助フィンの平面形状をひし形にすることにより、中央後フィン11,端側後フィン12の表面を流れる空気流に生じやすい剥離現象が抑制され、空気抵抗を減少させ、送風時の風速を向上させることができる。
【0028】
なお、図13に示すように、端側後フィン12の両側の補助フィン群20Aは、中央補助フィンをなくし、2枚の傾斜補助フィン22,23のみから構成することもできる。この場合でも、傾斜補助フィン22,23の間を通過する空気流を、上下方向に効率よく縮流させることができる。
【0029】
また、上記レジスタの中央後フィン11は、1枚とし、その両側の端側後フィン12は各2枚としたが、それらを、中央後フィン11は2枚とし、端側後フィン12は両側に1枚づつ、あるいは両側に3枚以上の端側後フィン12を配設することもできる。
【0030】
また、上記実施形態では、レジスタの空気吹出口5は横方向に細長く長手方向を横方向として形成され、前可動ルーバ30はその長手方向と平行に配され、後可動ルーバ1は空気吹出口5の短手方向と平行にその後フィンを配しているが、当該レジスタの正面形状を90度回転させ、空気吹出口を縦方向に細長い形状とし、前可動ルーバを空気吹出口の長尺方向(縦方向)と平行に配し、後可動ルーバを空気吹出口の短手方向(横方向)と平行に配設するように、レジスタを構成してもよい。
【0031】
上記構成のレジスタは、車室内の、例えばインストルメントパネルに或いはその近傍に装着され、リテーナ8の後部には図示しない通風ダクトが接続される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ8内の通風路6から空気吹出口5を通して吹き出される。
【0032】
図2に示すように、操作ノブ7を操作して送風方向をニュートラル方向としたとき、送風は、通風路6内の後可動ルーバ1と前可動ルーバ30の間を直進し、空気吹出口5から前方に吹き出される。このとき、後可動ルーバ1において、中央後フィン11の周囲を流れる空気流は、図2に示すように、正面に向けて直進し、両外側の端側後フィン12の間を流れる空気流は、中央を正面方向に進む空気流を、両側から抑えて縮流するように流れる。
【0033】
また、図4に示すように、端側後フィン12の両側の傾斜補助フィン22,23の下流側端部が、中央軸線S側つまり中央補助フィン21側に傾斜するため、通風路6から空気吹出口5に流れる空気流を、上下方向にも効率よく縮流させる。これにより、ニュートラル調整時、あるいは多少の左右上下方向調整時でも、十分な風速で送風する際には、空気流を中央側に縮流させ、空気流の両側部分に生じやすい乱れを抑制し、空気流は減衰することなく、より遠くまで到達させることができる。
【0034】
したがって、例えば、インストルメントパネルの位置から、比較的遠い後部座席まで効率よく送風を行って、後部座席に冷房時の冷風を送りたい場合、レジスタの操作ノブ7を操作して、後可動ルーバ1の向きをニュートラル方向とし、十分な風速と風量の送風を行えば、冷房時の冷風をあるいは暖房時の温風を、後部座席の乗客まで、充分な風速と風量で効率よく送ることができる。
【0035】
送風を例えば斜め下側に向ける場合、図12に示すように、操作ノブ7を下側に操作し、前フィン31を下側に傾動させる。これにより、送風は下側に変えられる。また、後可動ルーバ1は、操作ノブ7のスライド操作に応じて、図11に示すように、左右に回動する。このため、例えば前席の乗員などが、両側の操作ノブ7を振って任意の左右方向に、送風を行うこともできる。
【0036】
このように、上記レジスタによれば、後可動ルーバ1をニュートラル方向に調整した際、中央後フィン11の近傍を通過した空気流は、正面方向に進み、その外側の両端側後フィン12近傍を通過した空気流は、中央を正面方向に進む空気流を、両側から抑えて縮流するように進む。さらに、両端側後フィン12の両側面に、補助フィン群20が突設されるため、両端側後フィン12近傍を通過した空気流は、中央を進む空気流を、上下からも抑えて縮流するように進む。これにより、正面方向に進む空気流の乱れは抑制され、減衰することなく、より遠くまで到達し、例えば、車室内の前部から後部座席の位置まで、効果的に送風を行い、十分な風速と風量の送風を後部座席の乗客まで送ることができ、冷房時の冷風を効率よく後部座席まで送ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 後可動ルーバ
5 空気吹出口
6 通風路
7 操作ノブ
8 リテーナ
9 ベゼル
11 中央後フィン
12 端側後フィン
13 支軸
14 連結軸
15 リンクバー
16 上軸受部
17 下軸受部
18 係合部
18a 制限板
19 フォーク部
20 補助フィン群
20A 補助フィン群
21 中央補助フィン
22 傾斜補助フィン
30 前可動ルーバ
31 前フィン
32 支軸
33 軸受部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13