(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101917
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20240723BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240723BHJP
F24F 1/028 20190101ALI20240723BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20240723BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/77
F24F1/028
F24F1/0358
F24F7/007 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006138
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】川田 航大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 芳美
(72)【発明者】
【氏名】花島 翔大
【テーマコード(参考)】
3L049
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L049BB07
3L049BC01
3L049BD05
3L056BG01
3L260AB05
3L260AB11
3L260AB20
3L260BA05
3L260BA80
3L260CA29
3L260CB54
3L260CB87
3L260DA02
3L260EA12
3L260FA02
3L260FC05
(57)【要約】
【課題】好適に運転制御できる空気調和機を提供する。
【解決手段】空調ユニットと、空調ユニットに対して一体または分離して運転する送風ユニットと、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、空調ユニットおよび送風ユニットが一体であるかまたは分離しているかを示す着脱状態を検出する状態検出部と、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、着脱状態を空調ユニットおよび送風ユニットの他方に送信する送信部と、空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、送信部から送信された着脱状態を受信する受信部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニットと、
前記空調ユニットに対して一体または分離して運転する送風ユニットと、
前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの一方に配置され、前記空調ユニットおよび前記送風ユニットが一体であるかまたは分離しているかを示す着脱状態を検出する状態検出部と、
前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの前記一方に配置され、前記着脱状態を前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの他方に送信する送信部と、
前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの前記他方に配置され、前記送信部から送信された前記着脱状態を受信する受信部と、を備える、空気調和機。
【請求項2】
前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの前記一方に配置され、前記一体時に実行される一体時運転と、前記分離時に実行される分離時運転とを前記着脱状態に基づいて実行する第一制御部と、
前記空調ユニットおよび前記送風ユニットの前記他方に配置され、前記一体時運転と、前記分離時運転とを前記受信部が受信した前記着脱状態に基づいて実行する第二制御部と、をさらに備える、請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記状態検出部は、前記空調ユニットに配置され、前記送風ユニットの近接の有無を検出する近接センサである、請求項1または2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記送風ユニットは、前記一体時においては第一姿勢で運転し、前記分離時においては前記第一姿勢と異なる第二姿勢で運転し、
前記状態検出部は、前記送風ユニットに配置され、前記送風ユニットが前記第一姿勢であるか前記第二姿勢であるかを検出する姿勢センサである、請求項1または2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な送風ユニットを有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却ユニットに着脱できる送風機部を設けた空気調和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気調和装置は、冷却ユニットに対する送風機部の取り付け位置を異ならせることにより、冷房運転または除湿運転を行うことができる。また、特許文献1の空気調和装置は、冷却ユニットに対して送風機部を取り外して独立して動作させることができるものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、冷却ユニットに対して送風機部を取り付け、または取り外すことによる用途の拡大について開示されているのみで、取付時および取外時のそれぞれの状態を取得して、状態に適した運転制御をすることについては考慮されていなかった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、好適に運転制御できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気調和機は、上述した課題を解決するために、空調ユニットと、空調ユニットに対して一体または分離して運転する送風ユニットと、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、空調ユニットおよび送風ユニットが一体であるかまたは分離しているかを示す着脱状態を検出する状態検出部と、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、着脱状態を空調ユニットおよび送風ユニットの他方に送信する送信部と、空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、送信部から送信された着脱状態を受信する受信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空気調和機においては、好適に運転制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態における除湿機の一体時における正面から見た外観斜視図。
【
図2】本実施形態における除湿機の一体時における背面から見た外観斜視図。
【
図3】サーキュレータ付除湿機の一体時における縦断面図。
【
図4】サーキュレータ付除湿機の一体時における分解斜視図。
【
図5】サーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図6】
図5の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
【
図7】分離時におけるサーキュレータの正面から見た外観斜視図。
【
図8】分離時におけるサーキュレータの背面から見た外観斜視図。
【
図9】分離時における除湿機の使用状態の一例を示す外観斜視図。
【
図10】除湿ユニットにおいて除湿ユニット側制御部により実行される運転制御処理を説明するフローチャート。
【
図12】サーキュレータにおいてサーキュレータ側制御部により実行される運転制御処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿し、送風するサーキュレータ付除湿機に適用して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における正面から見た外観斜視図である。
図2は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における背面から見た外観斜視図である。
図3は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における縦断面図である。
図4は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における分解斜視図である。
図5は、サーキュレータ付除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図6は、
図5の機能ブロックのうち、各電源部83、183を特に説明するための概略的な機能ブロック図である。
図7は、分離時におけるサーキュレータ3の正面から見た外観斜視図である。
図8は、分離時におけるサーキュレータ3の背面から見た外観斜視図である。
図9は、分離時における除湿機1の使用状態の一例を示す外観斜視図である。
【0012】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。除湿ユニット側操作部74が設けられている前方を向く面を正面、後方を向く正面と反対の面を背面という場合がある。また、前後左右方向に沿う方向を、水平方向とする。サーキュレータ3の前後上下左右の定義は、サーキュレータ3が除湿ユニット2へ取り付けられた場合(以下単に「一体時」という。)と、除湿ユニット2から分離された場合(以下単に「分離時」という。)とで、異なる場合があり、一体時においては
図1から4の定義に従い、分離時においては
図7および8に従う場合がある。
【0013】
サーキュレータ付除湿機1(以下単に「除湿機1」という。)は、除湿(調和)した空気を吹き出す除湿ユニット2(空調ユニット)と、除湿ユニット2の上方に配置され、周囲の空気を吸い込んで送風するサーキュレータ3(送風ユニット)と、を有する。サーキュレータ3は、
図4に示すように、除湿ユニット2(筐体10)に対して着脱可能であり、除湿ユニット2と連動または独立して送風可能である。また、サーキュレータ3は、除湿ユニット2に対して一体または分離して運転可能である。
【0014】
除湿ユニット2は、除湿ユニット2の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0015】
前枠11および後枠12は、筐体10の前後方向のほぼ中央位置において上下方向に延びる接続線13を介して組み合わされ、筐体10の上面21および底面22を繋ぐ、四面を有するほぼ角柱状の側面23をなす。前枠11および後枠12は、それぞれ上端から水平方向内側に折れ曲がり形成される上面枠部24を有する。また、右側面23c、左側面23dとしての前枠11および後枠12は、取っ手43が配置されるための取っ手切欠25を有する。取っ手切欠25は、右側面23c、左側面23dの上端かつ前後方向ほぼ中央位置に形成される。前枠11の前方を向く面は、側面23のうちの正面23aとなる。
【0016】
図2および3に示すように、後枠12(背面23b)は、吸込口31と、タンク挿入口32と、電源コード口34と、を有する。吸込口31は、複数のスリット36を有し、外表面にフィルタ37およびフィルタケース38を有する。フィルタ37は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース38は、フィルタ37を吸込口31に固定する。タンク挿入口32は、吸込口31の下方に配置され、ここからドレンタンク69が挿入され、また取り出される。電源コード口34は、後枠12の右下方に配置され、除湿ユニット側制御部70に接続された電源コード4が電源コード口34から筐体10外部に引き回される。
【0017】
上面板14は、上方に面する基部14aと、基部14aの周縁から下方に延びる周壁部14bと、を有する。上面板14は、上面枠部24の内縁が形成する開口24a(
図3)を覆うように配置される。基部14aは、上述した上面枠部24とともに、筐体10の上方に面する面である上面21をなす。上面21においては、周壁部14bが上面枠部24に対する段差を形成することにより、基部14aが上面枠部24に対して上方に凸となる上面側凸部90(
図4)として機能する。
【0018】
また、上面板14は、吹出口41と、導風壁42と、取っ手43と、左右吸込口凹部45と、を有する。
【0019】
図3および4に示すように、吹出口41は、基部14aのほぼ中央位置に矩形状に形成される。吹出口41には、乾燥空気の吹出方向を制御可能なルーバ48と、ルーバ48を駆動するルーバモータ49(
図5)と、が配置される。
【0020】
導風壁42は、上方視における吹出口41の外側で吹出口41を囲むようにして、基部14aに対して上方に所定量立ち上がる壁である。導風壁42は、吹出口41から吹き出される空気を上方のサーキュレータ3方向に導く。導風壁42は、筐体10の内部と接続された、吹出口41から吹き出される空気の通り道となる空間を形成する。
【0021】
取っ手43は、上面板14の左方および右方の、前枠11および後枠12の取っ手切欠25に対応する位置であって、右側面23c、左側面23dの上方に形成される。取っ手43は、右側面23c、左側面23dから左右方向内側に凹んだ取っ手凹部51および指掛部52を有し、ユーザが除湿機1を運搬する際に利用される。
【0022】
左右吸込口凹部45は、後述する左右吸込口121を形成するための凹部である。左右吸込口凹部45は、指掛部52に関して取っ手凹部51(取っ手43)と左右方向において重なり合う位置に形成される。
【0023】
図3に示すように、ベース15は、組み合わされた前枠11および後枠12が下方に形成する開口22aを覆うように配置される。ベース15は、除湿機1の土台となり、床などの設置面に直接、または脚部などを有する場合には間隙を介して面して設置される底面22となる。
【0024】
除湿ユニット2は、筐体10に収容される主な内部部品として、
図3に示すように、ファンケース61と、シロッコファン62と、送風モータ63と、圧縮機65と、熱交換器66と、加熱ヒータ67と、ドレンパン68と、ドレンタンク69と、を有する。
【0025】
ファンケース61は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン62、送風モータ63、およびドレンタンク69を支持したり位置決めしたりする。
【0026】
シロッコファン62は、送風モータ63の回転により回転し、吸込口31から空気を吸い込み、吹出口41から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン62および送風モータ63は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース61に取り付けられている。
【0027】
圧縮機65は、ベース15上に固定されており、配管65aおよび減圧装置を介して熱交換器66に接続される。
【0028】
熱交換器66は、吸込口31から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器66は、吸込口31に近い位置に配置される蒸発器66aと、蒸発器66aよりも前方に配置される凝縮器66bと、を有する。蒸発器66aおよび凝縮器66bは、U字状の冷媒管66cにフィン66dが取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管66cは、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部と、上下方向にU字に曲り2本の直線部をつなげる曲げ部と、を有し、この直線部と曲げ部とが冷媒管66cの長さ方向に渡って連続して現われる。
【0029】
圧縮機65、配管65a、減圧装置および熱交換器66は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機65、凝縮器66b、減圧装置、蒸発器66aを有する。冷媒は、蒸発器66aを流れる際に、蒸発器66aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器66bを流れる際に、凝縮器66bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口31から吸い込まれた空気は、フィルタ37で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器66aで冷却、除湿され、次いで凝縮器66bで加熱されて、低湿度の空気となる。
【0030】
加熱ヒータ67は、凝縮器66bを通過した低湿度の空気を、吹出口41の前段で加熱する。
【0031】
ドレンパン68は、排水口を有し、蒸発器66aで発生し落下するドレン水を受け、この排水口から排出する。ドレンパン68は、熱交換器66を下方で支持し、固定する。
【0032】
ドレンタンク69は、ドレンパン68の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク69は、タンク挿入口32から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク69は、ファンケース61により形成されたタンク室に配置される。
【0033】
ドレンタンク69は、タンク蓋69aと、浮き収容部69bと、を有する。タンク蓋69aは、ドレンパン68の排水口からのドレン水をドレンタンク69内に落下させる。浮き収容部69bは、ドレンタンク69内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮きを収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、除湿ユニット側制御部70などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)などの水位センサ69cにより検出され、ドレンタンク69の満水をユーザに通知する。
【0034】
除湿ユニット2は、
図5に示すように、さらに除湿ユニット側制御部70と、温度センサ71と、湿度センサ72と、報知部73と、除湿ユニット側操作部74と、表示部75と、を有する。
【0035】
除湿ユニット側制御部70は、ファンケース61の前方に、所要のケースに支持されて配置される制御基板である。本実施形態においては、除湿ユニット側制御部70は、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、一体時に実行される一体時運転と、分離時に実行される分離時運転とを着脱状態に基づいて実行する第一制御部または空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、一体時運転と、分離時運転とを受信部が受信した着脱状態に基づいて実行する第二制御部として機能する。
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側操作部74からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ49、送風モータ63や圧縮機65、加熱ヒータ67、表示部75などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。除湿ユニット側制御部70は、一体時および分離時において、サーキュレータ3の首振りモータ138などの各部も赤外線信号の送信により制御する。
【0036】
除湿ユニット側制御部70は、記憶部77およびタイマ78を有する。記憶部77は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ78は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0037】
温度センサ71および湿度センサ72は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度および湿度を計測する。除湿ユニット側制御部70は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部73は、除湿ユニット側制御部70の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音などを出力する。
【0038】
除湿ユニット側操作部74および表示部75は、筐体10の正面23a(側面23、前枠11)側における上方であって、左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。除湿ユニット側操作部74および表示部75は、除湿ユニット側操作部74、表示部75および除湿ユニット側通信部82用の、正面23aにほぼ平行に配置される制御基板70a上に配置される。除湿ユニット側操作部74は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチ、サーキュレータ3の動作を設定するためのスイッチ、などを実現する複数の入力ボタンを有する。表示部75は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0039】
除湿ユニット2は、さらに、サーキュレータ検出センサ81と、除湿ユニット側通信部82と、除湿ユニット側電源部83と、電源切替部84と、を有する。
【0040】
サーキュレータ検出センサ81(状態検出部)は、除湿ユニット2(除湿ユニット2およびサーキュレータ3の一方)に配置され、除湿ユニット2およびサーキュレータ3が一体であるかまたは分離しているかを示す着脱状態を検出する。サーキュレータ検出センサ81は、例えばサーキュレータ3の所定位置に配置された磁石の磁界を検出することによりサーキュレータ3の近接の有無を検出するリードスイッチ(近接センサ)である。
【0041】
サーキュレータ検出センサ81は、磁界の検出の有無を除湿ユニット側制御部70に出力する。除湿ユニット側制御部70は、取得した検出結果に基づいて、磁界の検出がある場合にはサーキュレータ3は一体となっており、検出がない場合には分離しているとみなして着脱状態を取得する。
【0042】
除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3のサーキュレータ側通信部182と所要の赤外線信号(無線信号)を送受信する赤外線アンテナである。本実施形態においては、除湿ユニット側通信部82は、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、着脱状態を空調ユニットおよび送風ユニットの他方に送信する送信部または空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、送信部から送信された着脱状態を受信する受信部として機能する。除湿ユニット側通信部82は、
図1に示すように、除湿ユニット側操作部74が形成されるパネル76内に設けられた赤外線を透過させる除湿ユニット側透過窓86から赤外線を送受信する。
【0043】
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を介して、所要の情報をサーキュレータ3に送信する。具体的には、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ検出センサ81の検出結果から取得した着脱状態に関する情報や、サーキュレータ3の運転を除湿ユニット2の運転に連動させるために必要な情報を除湿ユニット側通信部82に送信させる。
【0044】
図6に示すように、除湿ユニット側電源部83は、商用電源と接続された電源コード4から供給される交流電流を直流電流に変換し、除湿ユニット2の各部に供給する。
【0045】
電源切替部84は、商用電源から供給される交流電流を、電源出力端子87に供給するか否かを切り替える。電源出力端子87は、
図4に示すように、サーキュレータ3の取付箇所となる上面21から上方に露出している。除湿ユニット側制御部70は、一体時においては、電源切替部84を閉じて電源出力端子87からサーキュレータ3の電源入力端子187に電源を供給する。一方、除湿ユニット側制御部70は、分離時においては、電源切替部84を開き、電源出力端子87に電源を供給しない。
【0046】
サーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、また分離時においては、周囲の空気を吸い込み、これらの空気を送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。
【0047】
サーキュレータ3は、台座部110と、送風部130と、を有する。送風部130は、台座部110に対して一体時における左右方向に沿う軸周りに首振り可能に支持されている。
【0048】
台座部110は、
図1、7および8などに示すように、台座部110内側に送風部130を収容可能な空間(一体時における上下方向に貫通する貫通孔)を形成する筒状のケーシングである。台座部110は、台座部底面111と、台座部側面112と、台座部上面113と、を有する。台座部側面112は、外側面および内側面からなり、台座部底面111、台座部側面112および台座部上面113で閉じて形成される内部空間115は、
図3に示すように一部または全てが中空である。
【0049】
台座部底面111は、上面枠部24が形成する上面21とほぼ同一の形状を有する枠状面である。台座部底面111は、一体時においては、上面枠部24に設置され上面枠部24に接触する面となる。
【0050】
また、台座部底面111は、
図3および8に示すように、台座部底面111の内周縁111aより内側に、サーキュレータ側凹部190を有する。サーキュレータ側凹部190は、上面板14の周壁部14bの上下方向長さに対応し、かつ上面側凸部90の形状に対応して、上方に凹んだ凹空間である。サーキュレータ側凹部190は、上面側凸部90の形状に対応しているため、一体時においては上面側凸部90と掛かり合う。この結果、台座部110は、上面側凸部90により設置面に平行な水平方向の移動、すなわち上面21上での移動が規制される。また、サーキュレータ3は単純な凹凸の掛かり合いにより筐体10に支持されているため、上方に持ち上げることにより簡単に取り外される。
【0051】
台座部側面112は、外周面の形状が筐体10の側面23の外周面の形状とほぼ同一である。すなわち、サーキュレータ3の台座部側面112は、一体時においては、除湿ユニット2の側面23と面一になり、筐体10と一体であるような外観を有する。台座部側面112は、左右吸込口121と、後吸込口122と、を有する。
【0052】
左右吸込口121は、台座部左右側面112cの、前後方向ほぼ中央位置に配置され、台座部左右側面112cの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。左右吸込口121は、
図2などに示すように、筐体10の側面23の取っ手43に対して、指掛部52に関して、または上面枠部24と台座部底面111との境界線5に関してほぼ上下対称となる形状を有する。上述したように、上面板14には左右吸込口凹部45が形成されており、この左右吸込口凹部45に形成された空間と、左右吸込口121とが作用して、左右吸込口121を介して除湿機1の周囲と台座部110(台座部側面112)の内側とを接続する。
【0053】
台座部側面112は、
図1に示すように、一体時において正面23aと同方向である前方に面し、台座部110の正面となる台座部正面112aを有する。また、一体時において後方に面し、台座部110の背面となる台座部背面112bを有する。
【0054】
後吸込口122は、台座部背面112bの、左右方向におけるほぼ中央位置に配置され、台座部背面112bの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。後吸込口122は、筐体10の上面21の形状と作用して、後吸込口122を介して周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0055】
台座部上面113は、前後方向において、後方からほぼ中央位置まで水平方向に平行な面113aと、ほぼ中央位置から前方にかけて下方に曲線的に傾斜する面113bと、からなる。台座部上面113は、このような構成から、一体時において台座部底面111の上方に位置し、上方(ほぼ上方)に面する面となる。台座部上面113は、後方に、曲線的な凹部113cを有する。凹部113cは、一体時におけるサーキュレータ3からの送風を台座部110が妨げることなく、送風路を形成するために形成される。
【0056】
送風部130は、カバー131と、ファンモータ135と、ファン136と、を有する。
【0057】
カバー131は、ユーザの指などをファン136から保護するための骨状の部材である。カバー131は、ファン136の吸込側(上流側)を覆い吸込面となる、例えばほぼ半球状の吸込側カバー131aと、ファン136の吹出側(下流側)を覆い吹出面となる平面状の吹出側カバー131bと、を有する。吸込側カバー131aおよび吹出側カバー131bは、組み合わされて一体となる。一体時において吹出側カバー131bがほぼ水平方向に沿う送風部130の姿勢であって、ファン136の回転軸が上下方向に沿う姿勢である
図3の姿勢(以下単に「停止姿勢という」。)において、吸込側カバー131aは、下方に面する中心位置に上方に凹となり形成されるモータ支持部131cを有する。
【0058】
ファンモータ135およびファン136は、停止姿勢において、ファンモータ135(ファン136)の回転軸が上下方向に沿い、カバー131をなす球体の中心を通るようにカバー131の内部に収容される。ファンモータ135は、回転軸周りにファン136を回転させる。ファン136は、吸込側カバー131aから吸い込まれた吹出口41から吹き出される空気や除湿機1の外側から吸込側カバー131aに吸い込まれた空気を吹出側カバー131bから送風する。
【0059】
送風部130は、台座部110に対して、ファン136からの吹出方向が吹出口41から吹き出された空気の吹出方向であるほぼ上方にほぼ一致する、停止姿勢で支持される。また、送風部130は、首振りモータ138により一体時の停止姿勢から左右方向(所定方向)に沿う首振り軸周りに所定範囲内の角度で首振り可能なように、台座部110に支持されている。首振りモータ138は、台座部110の内部空間115に配置される。首振りモータ138は、首振り軸をサーキュレータ3の前後方向のほぼ中央位置に配置する。また首振り軸は、半球状の吸込側カバー131aをなす球体の中心を通る。また、首振り軸は、ファン136の回転軸に直交する。
【0060】
サーキュレータ3は、さらに、サーキュレータ側制御部170と、サーキュレータ側操作部174と、サーキュレータ側通信部182と、サーキュレータ側電源部183と、を有する。
【0061】
サーキュレータ側制御部170は、台座部110の内部空間115に配置される制御基板170(
図3)である。本実施形態においては、サーキュレータ側制御部170は、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、一体時に実行される一体時運転と、分離時に実行される分離時運転とを着脱状態に基づいて実行する第一制御部または空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、一体時運転と、分離時運転とを受信部が受信した着脱状態に基づいて実行する第二制御部として機能する。サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70またはサーキュレータ側操作部174からの指示に基づいてファンモータ135および首振りモータ138を電気的に制御し得る。
【0062】
サーキュレータ側操作部174は、台座部正面112aの左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、除湿ユニット側操作部74同様に、台座部正面112aにほぼ平行に配置される制御基板170a上に配置される。制御基板170aは、サーキュレータ側操作部174およびサーキュレータ側通信部182用の制御基板である。サーキュレータ側操作部174の制御基板170aは、除湿ユニット側操作部74の制御基板70aに対して上方視においてほぼ重なり合う位置または可能な限り近い位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、例えば、運転スイッチおよび首振りスイッチなどを実現する複数の入力ボタンを有する。
【0063】
サーキュレータ側制御部170は、記憶部177およびタイマ178を有する。記憶部177は、各部を制御するために必要なプログラムや情報などを記憶する。タイマ78は、サーキュレータ3のタイマ運転などのための計時を行う。
【0064】
サーキュレータ側通信部182は、サーキュレータ側制御部170の制御に基づいて除湿ユニット側通信部82と所要の赤外線信号(無線信号)を送受信する赤外線アンテナである。本実施形態においては、サーキュレータ側通信部182は、空調ユニットおよび送風ユニットの一方に配置され、着脱状態を空調ユニットおよび送風ユニットの他方に送信する送信部、または空調ユニットおよび送風ユニットの他方に配置され、送信部から送信された着脱状態を受信する受信部として機能する。サーキュレータ側通信部182は、例えば台座部110の台座部上面113に設けられた赤外線を透過させるサーキュレータ側透過窓186から赤外線を送受信する。サーキュレータ側透過窓186および除湿ユニット側透過窓86は、例えば台座部上面113および前枠11のサーキュレータ側透過窓186および除湿ユニット側透過窓86が形成される領域を薄肉にするまたは赤外線の透過率の高い材料で形成することなどにより実現される。
【0065】
図6に示すように、サーキュレータ側電源部183は、電源入力端子187から供給される交流電流を直流電流に変換し、サーキュレータ3の各部に供給する。電源入力端子187は、
図8に示すように、一体時において除湿ユニット2の上面21から露出した電源出力端子87に直接接続可能な位置に配置される。
【0066】
サーキュレータ側電源部183は、一体時においては、除湿ユニット2の電源出力端子87と直接接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。また、分離時においては、商用電源に接続された電源コード8(
図9)と接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。電源入力端子187への電源出力端子87および電源コード8の端子の接続は、例えば磁力を利用して引き合うことによりユーザの端子接続動作を容易にすることができる。
【0067】
このようなサーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、これらの空気を上方に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに交互に前後方向に吹出面を向けるように首振りしながら運転する。
【0068】
また、サーキュレータ3は、分離時においては、除湿ユニット2に対して所定距離を隔てて配置される(
図9)。その際、サーキュレータ3は、台座部背面112bが床などの設置面に面し(設置され)、台座部正面112aが上方に面し、また台座部上面113が除湿ユニット2に面するように、一体時から90度起立させて配置され使用される。このように配置されたサーキュレータ3は、周囲の空気を背面となる台座部底面111側から吸い込み、これらの空気を正面となる台座部上面113側に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに上下方向に首振りしながら運転する。
【0069】
このような除湿機1は、サーキュレータ3を一体にして運転することにより、除湿ユニット2で除湿されたほとんどの空気をサーキュレータ3が吸い込み、除湿空気を好適に送風することができることから、除湿効率を向上させることができる。また、除湿機1は、サーキュレータ3を分離して運転することにより、例えば以下のような用途において好適に使用される。
【0070】
室内に干された洗濯物を乾燥させるために除湿機1が使用される場合、除湿機1を洗濯物の直下において使用することにより洗濯物を効率的に乾燥させることができる。その際、除湿機1と洗濯物が重なり合わないように除湿機1を配置することが好ましい。しかしながら、物干しの高さの都合や洗濯物の種類によっては、除湿機1を洗濯物の直下に配置することが困難となる場合があり、洗濯物に重なり合わないように洗濯物から離れた位置に除湿機1を配置しなければならない。これに対し本実施形態における除湿機1は、除湿機1の上方に配置されたサーキュレータ3を取り外し、設置面に別途配置することができる。このため、除湿機1が洗濯物と重なり合う場合には、サーキュレータ3を分離し、除湿機1の高さを低くしての使用が可能であり、状況に応じて使い勝手のよい除湿機1を実現できる。
【0071】
ここで、本実施形態における除湿機1は、上述したように一体時および分離時で異なる態様で運転する。具体的には、一体時においてはサーキュレータ3が除湿ユニット2の吹出口41近傍で空気を吸い込むため、除湿ユニット2の空気の吸込量をアシストする作用も奏する。一方、分離時においては、除湿ユニット2単独の吸込性能、すなわち送風モータ63の吸込性能に依存するため、除湿性能は一体時に比べて低下してしまう。また、一体時においては、サーキュレータ3が除湿された空気の大部分を吸い込み、送風しながら空気を循環、撹拌するため、除湿効率を除湿ユニット2単独で使用する場合に比べて向上することができる。しかしながら、分離時においては、除湿された空気の送風は除湿ユニット2単独の送風性能に依存するため、一体時に比べると送風性能は低下し、その結果除湿効率が低下してしまう。
【0072】
そこで、本実施形態における除湿機1は、より一層の除湿効率の向上を目的として、一体時と分離時において運転条件を異ならせることが空調機能を発揮するために必要であるといえる。また、運転条件を着脱状態に応じて異ならせるためには、除湿機1は着脱状態を精度よく把握する必要がある。
【0073】
除湿機1が着脱状態を把握するためには、例えば除湿ユニット2およびサーキュレータ3にそれぞれ着脱状態の検出が可能なセンサを設け、除湿ユニット2およびサーキュレータ3のそれぞれが独立して着脱状態を把握する方法が考えられる。しかしながら、各センサが故障した場合や、検出結果が異なる場合には、除湿ユニット2およびサーキュレータ3の把握する状態にばらつきが生じるおそれがある。この場合には、上述したように、一体時および分離時において除湿ユニット2およびサーキュレータ3を連動させて状態に応じた、適した運転制御が困難となり、分離時における上述の除湿効率の維持が図れないおそれがある。また、除湿ユニット2およびサーキュレータ3にそれぞれセンサを設けることは、除湿機1の装置の複雑化や製造コストの上昇を招く。
【0074】
そこで、本実施形態における除湿機1は、除湿ユニット2がサーキュレータ検出センサ81を有することにより着脱状態を検出し、取得した着脱状態を除湿ユニット2がサーキュレータ3に共有するようにした。これにより、除湿機1は除湿ユニット2およびサーキュレータ3が把握する着脱状態のばらつきを解消し、着脱状態を精度よく把握することができる。以下、具体的に説明する。
【0075】
図10は、除湿ユニット2において除湿ユニット側制御部70により実行される運転制御処理を説明するフローチャートである。
【0076】
図11は、
図10および
図12の処理に対応する除湿機1において実行されるシーケンス図である。
【0077】
この運転制御処理は、例えば除湿ユニット2の除湿ユニット側操作部74を介して運転を開始する指示を受け付けた後に開始される。ステップS1において、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ検出センサ81より検出結果を取得する(
図11のステップS21)。ステップS2において、除湿ユニット側制御部70は、得られた検出結果に基づいてサーキュレータ3の着脱状態を取得する(ステップS22)。ステップS3において、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を介して、取得した着脱状態をサーキュレータ3に送信する(ステップS23、S24)。
【0078】
ステップS4において、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ3が一体であるか否かを判定する。除湿ユニット側制御部70は一体であると判定した場合(ステップS4のYES)、ステップS5において予め規定された除湿側一体時条件に従う一体時運転で除湿ユニット2を運転する(ステップS25)。一方、除湿ユニット側制御部70は分離していると判定した場合(ステップS4のNO)、ステップS6において、除湿側一体時条件とは異なる、分離時に適した除湿側分離時条件に従う分離時運転で除湿ユニット2を運転する(ステップS25)。
【0079】
ここで、除湿側一体時条件および除湿側分離時条件は、除湿ユニット2を運転するために必要な種々の条件を含み得る。例えば、除湿側一体時条件および除湿側分離時条件は、除湿ユニット2から送風される除湿空気の送風量、安全の観点から除湿ユニット2を停止させる温度、または除湿ユニット2の自動停止までの時間に関するものである。
【0080】
具体的には、除湿ユニット2から送風される除湿空気の送風量については、除湿側分離時条件は除湿側一体時条件よりも除湿した空気の送風量を大きくするように規定される。分離時においては、一体時に比べて上述したとおり除湿ユニット2への空気の吸込量が低下するためであり、これを補うために送風モータ63の回転数を増加して送風量を大きくする。
【0081】
また、除湿ユニット2を停止させる温度は、例えば除湿ユニット2の周囲の温度を計測するための温度センサ71により計測される温度や除湿ユニット2の筐体10内に設けられた温度センサ(図示せず)により計測される温度が、安全の観点から設定された基準値よりも高くなった場合には、なんらかの不具合が生じている可能性がある。このような場合には、除湿ユニット2(除湿機1)は運転を停止する必要があるが、除湿側分離時条件は除湿側一体時条件よりも除湿ユニット2を停止させる温度を大きくするように規定される。分離時においては、除湿ユニット2およびサーキュレータ3の接触がなく放熱性が高いため、一体時よりも停止させる温度を高く設定しても安全性を損ねる可能性が高くなく、停止頻度の低下によるユーザに対する使用性と安全性の両立が図れるためである。なお、除湿ユニット2が停止する場合には、除湿ユニット側制御部70はサーキュレータ3側に除湿ユニット側通信部82を介してサーキュレータ3を停止する制御信号を送信し、サーキュレータ3も同時に停止してもよい。
【0082】
また、除湿ユニット2の自動停止までの時間については、例えば除湿機1は、除湿ユニット2に設けられる温度センサ71や湿度センサ72の検出結果に基づいて、所要の湿度が得られた場合に自動的に除湿ユニット2(除湿機1)の運転を停止する機能を有し得る。このとき、除湿側分離時条件は、除湿側一体時条件よりも自動停止までの時間を大きくするように規定される。分離時においては、一体時に比べて除湿空気の送風性能が少なからず低下するため、所要の湿度が得られるまでの時間が大きいと考えられるためである。
【0083】
除湿ユニット側制御部70は、これらの条件以外にも、除湿ユニット2を運転するために用いられる条件を、除湿側一体時条件および除湿側分離時条件として用い得る。
【0084】
ステップS7において、除湿ユニット側制御部70は、センサ検出結果取得ステップS1同様に、サーキュレータ検出センサ81より検出結果を取得する(ステップS26)。ステップS8において、除湿ユニット側制御部70は、状態取得ステップS2同様に、得られた検出結果に基づいてサーキュレータ3の着脱状態を取得する(ステップS27)。ステップS9において、除湿ユニット側制御部70は、着脱状態が状態取得ステップS2で得られたものから変化したか否かを判定する。除湿ユニット側制御部70は、着脱状態が変化しないと判定した場合(ステップS9のNO)、センサ検出結果取得ステップS7に戻り以降の処理を繰り返す。一方、除湿ユニット側制御部70は、着脱状態が変化したと判定した場合(ステップS9のYES、ステップS28)、ステップS10において除湿ユニット2の運転を停止する(ステップS29)。また、ステップS11において、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を介してサーキュレータ3へ運転の停止を指示する制御信号を送信する(ステップS30、S3131)。
【0085】
次に、
図10の運転制御処理と並行してサーキュレータ3で実行される着脱状態に応じた運転制御処理を具体的に説明する。
【0086】
図12は、サーキュレータ3においてサーキュレータ側制御部170により実行される運転制御処理を説明するフローチャートである。
【0087】
この運転制御処理は、例えば除湿ユニット2の除湿ユニット側操作部74を介して運転を開始する指示を受け付けた後に開始される。また、本処理の開始後においては、サーキュレータ側制御部170は、分離または一体を着脱状態の初期値として保有している。これにより、通信の不具合などにより着脱状態が送受信できない場合であっても、サーキュレータ3は分離または一体のいずれかの態様で運転をできる。
【0088】
ステップS41において、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット2よりサーキュレータ側通信部182を介して着脱状態を受信し取得する(
図11のステップS51)。ステップS42において、サーキュレータ側制御部170は、取得した着脱状態に基づいてサーキュレータ3が除湿ユニット2に対して一体であるか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、一体であると判定した場合(ステップS42のYES)、ステップS43において、予め規定されたサーキュレータ側一体時条件に従う一体時運転でサーキュレータ3を運転する(ステップS52)。一方、サーキュレータ側制御部170は分離していると判定した場合(ステップS42のNO)、ステップS44において、分離時に適したサーキュレータ側一体時条件とは異なる、サーキュレータ側分離時条件に従う分離時運転でサーキュレータ3を運転する(ステップS52)。
【0089】
ここで、サーキュレータ側一体時条件およびサーキュレータ側分離時条件は、サーキュレータ3を運転するために必要な種々の条件を含み得る。例えば、サーキュレータ側一体時条件およびサーキュレータ側分離時条件は、送風部130の首振りの範囲に関するものである。
【0090】
具体的には、サーキュレータ3の送風部130の首振り範囲を、サーキュレータ側分離時条件はサーキュレータ側一体時条件よりも大きくするように規定される。一体時においては、送風部130が主に吹出口41から吹き出される除湿空気を吸い込む目的などから、首振りの範囲に制約が生じる。一方、分離時においてはこれらを考慮しなくてよいため、首振り範囲を一体時に比べて大きくすることができる。サーキュレータ3は、首振り範囲の拡大に伴い、除湿ユニット2から吹き出された除湿空気の送風範囲を大きくすることで、送風能力を確保することができる。また、サーキュレータ3は、一体時は除湿ユニット2の上方に配置される一方、分離時においては、一体時に対して台座部110を90度起立させて配置される。これにより、送風部130が空気を吸い込むことのできる範囲が大きくなることからも、サーキュレータ側分離時条件は、サーキュレータ側一体時条件に比べて首振り範囲が大きく設定され得る。
【0091】
サーキュレータ側制御部170は、この条件以外にも、サーキュレータ3を運転するために用いられる条件を、サーキュレータ側一体時条件およびサーキュレータ側分離時条件として用い得る。
【0092】
ステップS45において、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット2より着脱状態の変化に伴い運転を停止する指示を受け付けたか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、運転を停止する指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS45のNO)、指示を受け付けるまで待機する。一方、サーキュレータ側制御部170は、運転を停止する指示を受け付けたと判定した場合(ステップS45のYES、ステップS53)、ステップS46において、サーキュレータ3の運転を停止する(ステップS54)。
【0093】
除湿機1は、このような運転制御処理を実行するにあたり、除湿ユニット2がサーキュレータ検出センサ81を有することにより着脱状態を検出する。また、取得した着脱状態を、除湿ユニット2がサーキュレータ3に共有する。これにより、除湿機1は、除湿ユニット2およびサーキュレータ3が把握する着脱状態にばらつきが生じることを抑制することができる。ゆえに、除湿機1は、運転状態を好適に把握することができ、好適な運転制御を実現できる。
【0094】
また、除湿機1は、上述したとおり精度よく着脱状態を検出できるため、検出結果に基づいて、一体時および分離時に適した運転制御を行うことができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
例えば、本発明に係る空気調和機は、空調ユニットが除湿機1である例を用いて説明したが、除湿機1以外にも空気の湿度、温度、清浄度などを調整可能な加湿機、乾燥機、冷暖房装置、空気清浄機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0097】
状態検出部として、除湿ユニット2がサーキュレータ検出センサ81を有し、除湿ユニット2が着脱状態を判定してサーキュレータ3に送信することにより共有する例を用いて説明した。しかしながら、除湿ユニット2およびサーキュレータ3がそれぞれ状態検出部を有して着脱状態を検出してもよいし、サーキュレータ3のみが状態検出部を有しサーキュレータ3が検出した着脱状態を除湿ユニット2に共有してもよい。例えば、サーキュレータ3が、状態検出部として、サーキュレータ3が一体時の姿勢(台座部底面111が下方を向く姿勢、第一姿勢)であるか、分離時の姿勢であるか(台座部背面112bが下方を向く(設置面に設置される)姿勢、第二姿勢)であるかを検出するための姿勢センサを有することにより、着脱状態を検出してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 サーキュレータ付除湿機(除湿機)
2 除湿ユニット
3 サーキュレータ
10 筐体
14 上面板
15 ベース
31 吸込口
41 吹出口
70 除湿ユニット側制御部
71 温度センサ
72 湿度センサ
74 除湿ユニット側操作部
81 サーキュレータ検出センサ
82 除湿ユニット側通信部
110 台座部
111 台座部底面
112 台座部側面
113 台座部上面
130 送風部
170 サーキュレータ側制御部
174 サーキュレータ側操作部
177 記憶部
178 タイマ
182 サーキュレータ側通信部