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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101922
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】着脱襟及び着脱襟を備える衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/18 20060101AFI20240723BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A41D27/18 A
A41D27/18 Z
A41D3/00 L
A41D3/00 N
A41D3/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006145
(22)【出願日】2023-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】523021450
【氏名又は名称】株式会社 超撥水 RELORE Function & Design Lab
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】川端 基幹
【テーマコード(参考)】
3B031
3B035
【Fターム(参考)】
3B031AA08
3B031AB13
3B031AC06
3B031AC15
3B031AD08
3B035AA02
3B035AA11
3B035AB09
3B035AC20
(57)【要約】
【課題】着脱による襟の有無に関わらず、衣服の意匠性を保つことができる着脱襟及び、着脱襟を備える衣服を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、衣服Yに取付け可能な取付手段を有する着脱襟Xであって、着脱襟Xは、襟部1と、襟部1から垂れ下がる垂部2と、を一体にして備え、垂部2は、取付手段によって衣服Yの前身頃に取付け可能であり、好ましくは、取付手段がファスナーであり、ファスナーは、頭合わせファスナーを形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服に取付け可能な取付手段を有する着脱襟であって、
前記着脱襟は、襟部と、前記襟部から垂れ下がる垂部と、を一体にして備え、
前記垂部は、前記取付手段によって前記衣服の前身頃に取付け可能な着脱襟。
【請求項2】
前記取付手段は、ファスナーであり、
前記ファスナーは、頭合わせファスナーを形成する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項3】
前記襟部は、襟本体と、前記襟本体の下縁から張り出す襞部を有し、
前記襞部は、前記取付手段を有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項4】
前記垂部は、前記取付手段を複数有し、前記取付手段の間に正中ファスナーを有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項5】
前記襟部は、フードと、前記フードを収納可能な首周収納部を有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の着脱襟を取付可能な衣服。
【請求項7】
前記衣服は、右前身頃と、左前身頃と、後見頃と、を有し、
前記右前身頃及び前記左前身頃は、前記取付手段を介して、それぞれ前記着脱襟と接続可能な、
請求項6に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服は、前記着脱襟を収納可能な収納部を有する、
請求項6に記載の衣服。
【請求項9】
前記衣服は、前記右前身頃と、前記左前身頃とを接続可能な係止具を有する、
請求項7に記載の衣服。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性を保ちながら、襟を着脱することができる着脱襟及び、着脱襟を備える衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
アウトドア用品において、多くの機能を有する製品は荷物の削減という観点からしばしば重要視される。これにおいて、外套については、季節、気候を問わず使用可能である方が望ましく、その一例として気温に応じて着用者が襟部を着脱可能な衣服が開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-162200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、襟部を着脱可能な多目的上着が開示されている。しかしながら、襟部のみを取り外す形態では、ファスナーやボタンなどの取付具が首周りに一周残る、首周りが不自然に開くなどして、衣服としての意匠性を損ねてしまう。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、着脱による襟の有無に関わらず、衣服の意匠性を保つことができる着脱襟及び、着脱襟を備える衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、衣服に取付け可能な取付手段を有する着脱襟であって、該着脱襟は、襟部と、該襟部から垂れ下がる垂部と、を一体にして備え、該垂部は、該取付手段によって該衣服の前身頃に取付け可能な着脱襟である。
このような構成によって、着脱による襟の有無に関わらず、衣服の意匠性を保つことができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、該取付手段は、ファスナーであり、該ファスナーは、頭合わせファスナーを形成する。
このような構成によって、着脱襟を取付けた状態の衣服の意匠性を高めることができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、該襟部は、襟本体と、該襟本体の下縁から張り出す襞部を有し、該襞部は、該取付手段を有する。
このような構成によって、着脱襟がない状態の衣服でも、取付手段が着用者の首に当たらず、快適に衣服を着ることができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、該垂部は、該取付手段を複数有し、該取付手段の間に正中ファスナーを有する。
このような構成によって、着脱襟を付けた状態でも、衣服の前を開けることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、該襟部は、フードと、該フードを収納可能な首周収納部を有する。
このような構成によって、使用者の体感温度を調節することができる。
【0011】
上記課題を解決する本願発明は、該着脱襟を取付可能な衣服である。
このような構成によって、気候に合わせて衣服を調整して着ることができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、該衣服は、右前身頃と、左前身頃と、後見頃と、を有し、該右前身頃及び該左前身頃は、該取付手段を介して、それぞれ該着脱襟と接続可能である。
このような構成によって、着脱襟がない状態でも、衣服の右前身頃と左前身頃とをファスナーで閉めることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、該衣服は、該着脱襟を収納可能な収納部を有する。
このような構成によって、取り外した着脱襟を、使用者の手を煩わせずに持ち運ぶことができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、該衣服は、該右前身頃と、該左前身頃とを接続可能な係止具を有する、
このような構成によって、垂部の有無による衣服の身幅の変化によらず、衣服の前を閉めることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記課題を解決する本発明は、着脱による襟の有無に関わらず、衣服の意匠性を保つことができる着脱襟及び、着脱襟を備える衣服を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟の斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟の正面図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟を正面側から展開した展開図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟の平面、底面、左右側面図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟の背面図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟を取り付けた衣服の正面図である。
図7】本発明の第一の実施形態に係る、着脱襟を取り付けた衣服の背面図及び拡大領域Bの拡大図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る、着脱襟及び袖部を分解した衣服の正面図である。
図9】本発明の第二の実施形態に係る、着脱襟を取り付けた衣服の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る着脱襟及び着脱襟を備える衣服について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。また、各実施形態の説明における、前後、左右、「前」側、及び「背」側の方向は図1の記載を基準とする。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0018】
≪第一の実施形態≫
以下、図1~7を用いて、本発明の第一の実施形態に係る着脱襟X及び衣服Yについて詳述する。
着脱襟Xは、襟部1と、襟部1から垂れ下がる垂部2と、を一体に備え、衣服Yと接続可能な接続手段を有する。
ここにおいて、図1は着脱襟Xの斜視図、図2は着脱襟Xの正面図、図3は着脱襟Xを図2の向きから展開した展開図、図4において、(a)は着脱襟Xの平面(上面)図、(b)は着脱襟Xの底面図、(c)は着脱襟Xの右側面(左から右に見る)図、(d)は着脱襟Xの左側面(右から左に見る)図、図5は着脱襟Xの背面図、図6は着脱襟Xを衣服Yに取付けた状態の正面図、図7において、(a)は着脱襟Xを衣服Yに取付けた状態の背面図、(b)は図7(a)の拡大領域Bにおける拡大図である。なお、図2、5、6の色付きの部分は、影を表している。
【0019】
襟部1は、図1に示すように、立襟を形成する襟本体11と、襟本体11の周囲に張り出す襞部12と、を有する。
【0020】
襟本体11は、使用者の首の略全体を覆うことができる幅の立襟を形成する帯状の部材であり、根元に相当する(下側の)縁に襞部12が縫合されて接続される。また、襟本体11は、表地と裏地を有する構成が好ましい。
【0021】
襞部12は、襟本体11の下側の縁から、その周囲に張り出すように延設される環状の部材であり、好ましくは、後述する垂部2と一体の布地である構成である。また、好ましくは、前側の張り出しが他方向の張り出しよりも大きい構成である。このような構成によって、図2に示すように垂部2との接続の形状が滑らかになり、意匠性を高めることができる。
【0022】
垂部2は、垂本体21と、衣服Yと接続可能な取付手段として、右ファスナー22、及び左ファスナー23を有し、形態によっては正中線Aに沿う正中ファスナー24を有する。
【0023】
垂本体21は、襟部1の前側から下方向に垂れ下がる帯状の部材であり、衣服Yに取付けた状態では前立てになる。また、左右両側に、衣服Yと接続可能な右ファスナー22、及び左ファスナー23が設けられる。好ましくは、垂本体21と、襞部12と、の縁が滑らかな曲線で接続し、右ファスナー22及び左ファスナー23がそれぞれ一続きのまま垂部2から襟部1、特に襞部12の外周に渡って設けられる構成である。このような構成によって、着脱襟Xを衣服Yに取付けるための部品点数を抑えることができる。以下、右ファスナー22と、左ファスナー23と、をまとめて着脱ファスナーPと呼称する。
【0024】
着脱ファスナーPは、垂本体21の最下部にそれぞれの開具を有し、垂部2から襞部12の縁まで設けられ、図4に示すように、襞部12の背側まで回り込み、正中線A上において上止を有し、頭合わせファスナーを形成する。この上止は、右ファスナー22の上端である右上止222と、左ファスナー23の上端である左上止231からなり、以下、これらをまとめて境界部Qと呼称する。また、右ファスナー22及び左ファスナー23は、互いに同一のファスナーを用いる。
【0025】
正中ファスナー24は、右ファスナー22と左ファスナー23の間、特に垂本体21の正中線Aに沿って、左右に分割可能となるように設けられ、好ましくは、垂部2からさらに上に延び、襟部1の最上部に上止を有し、襟部1の前側も左右に分割可能な構成である。このような構成によって、着脱襟Xを衣服Yに取付けた状態でも、正中ファスナー24によって前側を開けることができる。また、正中ファスナー24から着脱襟Xの前側を開け、図3に示すように展開すると、U字型をなすような形状となる。
【0026】
図6に示すように、着脱襟Xは、着脱ファスナーPを介して衣服Yに接続され、立襟付の衣服(特に外套)を形成する。衣服Yは、右前身頃3、左前身頃4、後身頃5、(形態によっては)袖部6を含み、各部に着脱ファスナーPと対応し、係合するファスナーを有する。以下、右前身頃3、左前身頃4、及び後身頃5をまとめて衣服本体Rと呼称する。
【0027】
衣服本体Rは、右前身頃3、及び左前身頃4の合わせの縁と、後身頃5を含む首周りの縁にファスナーを有し、このファスナーと着脱ファスナーPが係合して着脱襟Xと接続する。
【0028】
右前身頃3は、右ファスナー22と係合する衣服側右ファスナー31を有し、衣服側右ファスナー31は、図7に示すように後身頃5の首周りの縁まで延び、境界部Qに相当する位置に衣服側右上止311を有する。
【0029】
左前身頃4は、左ファスナー23と係合する衣服側左ファスナー41を有し、衣服側左ファスナー41は、衣服側右ファスナー31と同様、後身頃5の首周りの縁まで延び、境界部Qに相当する位置に衣服側左上止412を有し、着脱ファスナーPと合わせて頭合わせファスナーを形成する。以下、衣服側右ファスナー31、及び衣服側左ファスナー41をまとめて前立てファスナーSと呼称する。
【0030】
着脱ファスナーPと、前立てファスナーSは、互いに係合するため同一の務歯(図示は省略、以下同じ)を有し、好ましくは、右ファスナー22が右スライダー221を、衣服側左ファスナー41が左スライダー411を有する構成である。このような構成によって、着脱襟Xがない衣服Yのみの状態であっても、前立てファスナーSで衣服Yの前を閉じることができる。
【0031】
着脱襟X及び衣服Yは、以下の構成を有してもよい。但し、以下の構成はあくまで一例であり、各構成の有無はそれぞれ独立かつ任意に決定できる。
【0032】
着脱襟X及び衣服Yが有する各ファスナーは、務歯の係合しない面が外部から見えなくなるように覆う、革やゴム製などの覆いを有してもよい。このような構成によって、衣服Yの外部からファスナーの務歯が見えなくなり、意匠性を向上できるほか、使用者の身体に務歯が当たることによる着用時の不快感を軽減することができる。
【0033】
衣服Yは、表地と裏地を有する構成が好ましい。このような構成によって、着脱襟Xをファスナーで着脱するときに、スライダーが衣服Yの布を巻き込んだ場合でも、裏地によって表地を保護することができる。また、この場合の裏地は、網目状など通気性が高い生地である構成が好ましい。
【0034】
襟部1の全体の形状は、図4(c)、(d)に示すように、背側に向かって全体が上がり、前側に起き上がる形状であってもよく、使用者の肩の形状に合わせて襟本体11の下縁及び襞部12が側面視で上に凸の形状に湾曲していてもよい。
【0035】
襟本体11は、立襟ではなく、ワイシャツのような折返した形状の襟でもよい。このような構成によって、使用者の首周りの圧迫感を軽減し、快適に着用することができる。このほか、襟本体11は、フードを一体に設ける構成でもよい。
【0036】
正中ファスナー24は、着脱ファスナーP及び前立てファスナーSと同一のファスナーを有する構成としてもよい。このような構成によって、右スライダー221、左スライダー411、及び正中ファスナー24を開閉操作する正中スライダー241を同一の外観にでき、意匠性を高めることができる。但し、正中ファスナー24のみ異なるファスナーの場合は、図3のように着脱襟Xを展開した状態でも、使用者が各ファスナーの判別を容易に行うことができるため、特に限定はされない。また、正中ファスナー24の代わりに面ファスナーやボタンで開閉可能な構成を有してもよい。
【0037】
垂部2の左右方向の幅は、ファスナーの耳の幅を確保できる最小限の幅であることが好ましい。このような構成によって、着脱襟Xの有無による衣服Yの胴回りの変化を抑え、一定の着心地を保つことができる。
【0038】
各ファスナーの開具は、スライダー、務歯、耳とは異なる、パステルカラーや蛍光色等の目立つ色の部品であることが好ましい。このような構成によって、使用者は、各ファスナーの向きを容易に判別することができる。
【0039】
以下、図面を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0040】
使用者は、図6の状態の衣服Yから着脱襟Xを取り外すとき、右スライダー221と、左スライダー411と、を順番に境界部Qから最下部までスライドさせる。
【0041】
使用者は、衣服Yを着用した状態で着脱襟Xを取り外すとき、右スライダー221と、左スライダー411と、をそれぞれ片手ずつで持ち、境界部Qからスライドさせてもよい。この場合は、使用者は正中ファスナー24を適切な位置まで下げ、最下部まで開くなどして着脱襟Xを身体から外す。
【0042】
使用者は、着脱襟Xを衣服Yに取付けるとき、まず右ファスナー22と、衣服側右ファスナー31と、を開具で合わせ、右スライダー221を境界部Qまでスライドさせる。その後、左ファスナー23と、衣服側左ファスナー41と、を開具で合わせ、左スライダー411を境界部Qまでスライドさせる。但し、左右の順番は逆でもよい。
【0043】
以下、図面を用いて、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態と同様の構成は同じ符号を用いて説明を省略する。また、上下、左右、「前」側、及び「背」側の方向は第一の実施形態の説明で用いた図1の方向を準用する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
ここにおいて、図8は着脱襟X及び衣服Yを分解したときの正面図、図9は着脱襟X及び衣服Yを全て取り付けたときの背面図である。なお、図8の色付きの部分は、影を表している。
【0044】
≪第二の実施形態≫
襟本体11は、図8に示すように、使用者の首に巻き付く方向に延びる首周収納部111を有する。首周収納部111は、長手方向にファスナーを備えて開閉可能とし、内部にはフードを折り畳んで収納する。このような構成によって、使用者は必要に応じてフードを出し入れし、使用することができる。
【0045】
衣服Yは、袖部6を備え、袖部6は、左右それぞれで使用者の上腕を覆う上腕袖部61と、使用者の前腕を覆う前腕袖部62と、を有する。
【0046】
上腕袖部61は、図9に示すように、衣服本体Rと接続する筒状の部材であり、衣服本体Rとの接続部分、すなわち使用者の肩や脇に相当する位置に肩部ファスナー611を設ける。衣服本体Rにも、これと対応する務歯が設けられ、衣服本体Rと上腕袖部61が、着脱可能に接続される。このような構成によって、使用者は必要に応じて図8に示すように袖部6を取り外し、天候や用途に合わせて衣服Yを使用することができる。
【0047】
前腕袖部62は、上腕袖部61と接続する筒状の部材であり、上腕袖部61との接続部分、すなわち使用者の肘に相当する位置に肘部ファスナー621を設ける。上腕袖部61にも、これと対応する務歯が設けられ、上腕袖部61と前腕袖部62が、着脱可能に接続される。このような構成によって、使用者は必要に応じて衣服Yを半袖と長袖で切替え、天候や用途に合わせて使用することができる。
【0048】
肩部ファスナー611、及び肘部ファスナー621の上止及び開具は、下側、すなわち使用者の脇側に設けられる構成が好ましい。このような構成によって、袖部6を取付けた状態で使用者が衣服Yを着用するときに邪魔になりにくく、またスライダーが使用者の外部にある物体に引っ掛かりにくい位置にあるため、使用者が意図せずに袖部6が外れる事態を防ぐことができる。
【0049】
衣服本体Rは、図8に示すように、収納部7を複数設ける。収納部7は、フラップとマチがついたポケットでも、ファスナー或いは面ファスナーで開閉可能なポケットでも、ボタンで開口部を留められるポケットでも、係止や押さえ付けによる支持が可能な帯でもよい。好ましくは、衣服本体Rは、表地と裏地を有し、収納部7が、表地の外側、裏地の内側、表地と裏地の間に、互いに重なるように設けられる構成である。このような構成によって、衣服Yの収容量を可能な限り増やすことができ、使用者は、衣服Yを着るだけで必要な荷物の大半を持ち運ぶことができる。
【0050】
収納部7のうちの一つは、着脱襟Xや袖部6をファスナーが破損しない程度に折り畳んだときの大きさ、例えば襟本体11の幅方向のマチと、襟本体11の長さ方向の半分以上の長さの開口部と、を有する程度の大きさである構成が好ましい。このような構成によって、取り外した着脱襟X、袖部6などを容易に収納部7に入れ、外出先で着脱襟Xや袖部6を取り外したときも使用者の手を煩わせずに、着脱襟Xや袖部6を携帯することができる。
【0051】
収納部7は、上側に設けるものが小さく、下側に設けるものほど大きい構成が好ましい。このような構成によって、大きくて重いものを下側に収納することになり、衣服Yの重心が安定する。
【0052】
収納部7のうちファスナーで開閉可能なものにおいて、スライダー及びスライダーに追加される紐は、右前身頃3及び左前身頃4にあるものは使用者が手で握れる程度に大きく、後身頃5にあるものは指先で摘まむ程度に小さい構成が好ましい。このような構成によって、衣服Yの着用時に、使用者の手が届きにくい後身頃5のファスナーが意図せず開いてしまう事態を防ぐことができる。
【0053】
収納部7は、名刺入れや携帯用音楽プレイヤー等の大きさのポケットや、ペンのフックを係止する帯や、ポケットと帯の組み合わせで水筒など細長いものを支持する構成などがあってもよい。また、後身頃5の下側の凡そ半分をファスナーで開閉可能なポケットとし、ノートパソコンや衣類等を収納可能な大きさの構成を有してもよい。このような構成によって、使用者が外出先での使用を想定する物品を、リュックサック等の鞄を用いることなく収納し、持ち運ぶことができる。また、このとき、鞄よりも近く、衣服本体Rの形状によってより使用者の身体に密着し、安定した状態で物品を運ぶことができるため、物品の重量をより軽く感じさせることができる。
【0054】
収納部7のうち、最も内側、すなわち使用者の身体に最も近い位置にあるものは、網目状など通気性が高い生地で構成されるのが好ましい。このような構成によって、物品の収納に関わらず、衣服Yの着用時の快適性を向上することができる。
【0055】
収納部7のうちの一つは、後身頃5の腰の位置に、外側に向く開口部を持つように設け、内部からフラップのように反射材の帯を出すことが可能な構成が好ましい。このような構成によって、使用者が衣服Yを着用して二輪車に乗るとき、適切な位置に反射材があることで、より安全に走行することができる。
【0056】
前腕袖部62は、ファスナーで開閉可能な収納部7を袖口付近に設けてもよい。このような構成によって、収納部7にICチップ内蔵カードなどを入れ、使用者が腕をかざすだけで決済などの操作が可能になる。
【0057】
衣服Yは、表地が撥水素材であってもよい。また、この場合は縫合部分の表地と裏地とを互い違いに重ねる、又は3枚以上になるように折り重ねるなどして、内側の液密性を高める構成とするのが好ましい。このような構成によって、水場での使用や天候の変化にも対応でき、また収納部7の中に入れた物品を水分から保護することができる。
【0058】
衣服Yは、表地が難燃素材であってもよい。このような構成によって、火を使うアウトドアや、災害時であっても、衣服Yを着用することで安全に活動することができる。
【0059】
後身頃5は、表地の一部がファスナーや金属製のボタンなどによって接続され、必要に応じて取り外しが可能で穴あきの状態(開口部)にできる背面着脱部51を有する構成が好ましい。このような構成によって、特に衣服Yが撥水素材で形成されるとき、使用者の汗が穴あき部分から蒸発できるようになる。また、使用者がリュックサックなどを背負うとき、背中に当たる布を少なくすることで、着用時の快適性を向上することができる。また、使用者が首周りの日焼けを防ぐ目的で着脱襟Xを衣服Yに取付けている状態でも、背中を開けることで、衣服Yの内側に熱がこもらず、体感温度を調節することができる。また、裏地が通気性の高い生地であり、背面着脱部51を取り外した時に裏地が露出する構成の場合は、衣服Yの形状を保ちながら、高温や多湿の状況下でも快適に着用することができる。
【0060】
垂部2は、正中ファスナー24を前側から覆う前立て覆い25を有してもよい。前立て覆い25は、ボタン等で片端を留めることが可能なフラップのような構成が好ましく、また正中ファスナー24の長さに合わせ、襟本体11の最上部まで設けられてもよい。このような構成によって、正中ファスナー24を隠し、着脱襟Xの意匠性を高めることができる。また、衣服Yが撥水素材で形成される場合には、正中ファスナー24の務歯から水が入り、衣服Y全体としての撥水性を損ねる事態を防ぐことができる。このほか、正中ファスナー24の背側(衣服Yの内側)を覆い、前立て覆い25と対になる覆いを有してもよい。
【0061】
着脱襟Xは、正中ファスナー24の左右の務歯の間に割り込み、垂部2の左右方向の幅を追加することが可能な拡張垂部を有してもよい。この拡張垂部は、正中ファスナー24と同一の務歯を左右両端の辺に設ける帯状の部材であり、正中ファスナー24を介して着脱襟Xに取付けられ、さらにその状態で衣服Yに取付けることで、衣服Yの胴回りを拡大することができる。このような構成によって、使用者の体型の変化に合わせることができるほか、収納部7に多くの物品を収納するための空間に余裕を持たせることができる。
【0062】
着脱ファスナーPは、スライダーを使用するファスナーと、面ファスナーとを組み合わせてもよい。例えば、右ファスナー22及び左ファスナー23を垂部2の側部に設け、前立てファスナーSを、衣服本体Rの対応する部分に設け、さらに襞部12の表面或いは裏面、及び衣服本体Rの対応する部分に面ファスナーを設け、これらにより衣服Yに着脱襟Xを取付ける構成としてもよい。
【0063】
衣服Yは、右前身頃3と、左前身頃4とを前立てファスナーSの代わりに正中線Aに沿って接続可能な係止具を有してもよい。この係止具は、図8に示すように、例えばバックル8であり、帯状の部材によって、右前身頃3及び左前身頃4にそれぞれ固定され、好ましくは、非使用時に右前身頃3及び左前身頃4の内ポケット内に収納される。使用時には、バックル8を該内ポケットから帯ごと伸ばすように出して互いに係止する。また、該帯状の部材は、前立てファスナーSの間が空いていても、係止具を係止可能な長さである。これにより、着脱襟Xがない状態での衣服Yの前を閉める。このような構成によって、垂部2の分だけ衣服Yの身幅が小さくなっても、使用者の身体を圧迫せずに衣服Yの前を閉めることができる。また、係止具はバックル8に限らず、ホックやボタンで留める構成、ループや市販のベルトを利用する構成など、留め具であれば特に限定されない。
【0064】
衣服Yは、右前身頃3及び/又は左前身頃4と、後身頃5の境界部、すなわち使用者の脇にあたる部分を開閉可能な留め具を有してもよい。この留め具は、例えばファスナーやボタンであり、衣服本体Rの最下部から袖部6の根元までを分離可能な構成としてもよい。このような構成によって、使用者が留め具を適宜外すことで衣服Yの脇を開け、座る際に腰回りの圧迫を回避することができる。特に二輪車の搭乗時には、衣服Yの前を開けると体感温度が大きく下がるため、使用者の体感温度を保ちながら快適に座ることができる。また、収納部7に物品を収納するとき、腰回りに大きくて重いものを入れる構成が好ましいため、物品を収納したまま動きやすくすることができる。
【符号の説明】
【0065】
X 着脱襟
Y 衣服
1 襟部
11 襟本体
111 首周収納部
12 襞部
2 垂部
21 垂本体
22 右ファスナー
221 右スライダー
222 右上止
23 左ファスナー
231 左上止
24 正中ファスナー
241 正中スライダー
25 前立て覆い
3 右前身頃
31 衣服側右ファスナー
311 衣服側右上止
4 左前身頃
41 衣服側左ファスナー
411 左スライダー
412 衣服側左上止
5 後身頃
51 背面着脱部
6 袖部
61 上腕袖部
611 肩部ファスナー
62 前腕袖部
621 肘部ファスナー
7 収納部
8 バックル
A 正中線
B 拡大領域
P 着脱ファスナー
Q 境界部
R 衣服本体
S 前立てファスナー


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服に取付け可能なファスナーを有する着脱襟であって、
前記着脱襟は、襟本体と、前記襟本体の下縁に縫合され、前記下縁から張り出して設けられる襞部と、を有する襟部と、前記襞部から一体にして垂れ下がる垂部と、を備え、
前記襞部は、張り出す外周に前記ファスナーを有し、
前記ファスナーは、頭合わせファスナーを形成する着脱襟。
【請求項2】
前記垂部は、左右方向の幅が略一定であり、
前記襞部は、前記外周が正面視で曲折して前記垂部と滑らかに接続する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項3】
前記垂部は、前記ファスナーを複数有し、前記ファスナーの間に正中ファスナーを有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項4】
前記襟部は、フードと、前記フードを収納可能な首周収納部を有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の着脱襟を取付可能な衣服。
【請求項6】
前記衣服は、右前身頃と、左前身頃と、後見頃と、を有し、
前記右前身頃及び前記左前身頃は、前記ファスナーを介して、それぞれ前記垂部と接続可能な、
請求項に記載の衣服。
【請求項7】
前記衣服は、前記着脱襟を収納可能な収納部を有する、
請求項に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服は、前記右前身頃と、前記左前身頃とを接続可能な係止具を有する、
請求項に記載の衣服。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーを操作するスライダーを有する衣服に取付け可能な着脱襟であって、
前記着脱襟は、襟本体と、前記襟本体の下縁に縫合され、前記下縁から張り出して設けられる襞部と、を有する襟部と、前記襞部から一体にして垂れ下がる垂部と、を備え、
前記襞部は、張り出す外周に、前記衣服の前記ファスナーと接続する着脱ファスナーを有し、
前記着脱ファスナーのスライダーは、前記衣服が有するスライダーと合わせて頭合わせファスナーを形成する着脱襟。
【請求項2】
前記垂部は、左右方向の幅が略一定であり、
前記襞部は、前記外周が正面視で曲折して前記垂部と滑らかに接続する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項3】
前記垂部は、前記着脱ファスナーを複数有し、前記着脱ファスナーの間に正中ファスナーを有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項4】
前記襟部は、フードと、前記フードを収納可能な首周収納部を有する、
請求項1に記載の着脱襟。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の着脱襟を取付可能な衣服。
【請求項6】
前記衣服は、右前身頃と、左前身頃と、後身頃と、を有し、
前記右前身頃及び前記左前身頃は、前記着脱ファスナーを介して、それぞれ前記垂部と接続可能な、
請求項5に記載の衣服。
【請求項7】
前記衣服は、前記着脱襟を収納可能な収納部を有する、
請求項5に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服は、前記右前身頃と、前記左前身頃とを接続可能な係止具を有する、
請求項6に記載の衣服。