(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101928
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】外筆対応不動産推定システム、外筆対応不動産推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006155
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】598040488
【氏名又は名称】株式会社JON
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 元
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC28
5L050CC28
(57)【要約】
【課題】外筆情報に対応する不動産を推定できる外筆対応不動産推定システム、外筆対応不動産推定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】登記申請情報取得部26は、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する。外筆対応不動産推定部30は、登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定する。外筆対応不動産推定部30は、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する。外筆対応不動産推定部30は、対応情報において対応不動産に対応付けられている、特定不動産とは異なる第1種類の不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、
前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定する特定不動産特定手段と、
互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する対応不動産特定手段と、
前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定システム。
【請求項2】
前記第1種類は土地であり、
前記第2種類は建物であり、
前記対応情報は、土地と、当該土地と上物関係にある建物と、の対応を示す情報であり、
前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地と上物関係にある建物を前記対応不動産として特定し、
前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である建物の敷地に含まれる複数の土地のうちの、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の外筆対応不動産推定システム。
【請求項3】
前記第1種類は建物であり、
前記第2種類は土地であり、
前記対応情報は、土地と、当該土地と上物関係にある建物と、の対応を示す情報であり、
前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である建物の敷地である少なくとも1つの土地を前記対応不動産として特定し、
前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産であるいずれかの土地と上物関係にある、前記特定不動産である建物とは異なる建物を、前記外筆情報に対応付けられる建物として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の外筆対応不動産推定システム。
【請求項4】
前記第1種類は土地であり、
前記第2種類は耕作区域であり、
前記対応情報は、耕作区域と、当該耕作区域に含まれる土地と、の対応を示す情報であり、
前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地を含む耕作区域を前記対応不動産として特定し、
前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である耕作区域に含まれる、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の外筆対応不動産推定システム。
【請求項5】
前記第1種類は土地であり、
前記第2種類は小班であり、
前記対応情報は、小班と、当該小班に含まれる土地と、の対応を示す情報であり、
前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地を含む小班を前記対応不動産として特定し、
前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である小班に含まれる、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の外筆対応不動産推定システム。
【請求項6】
外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、
複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する登記情報特定手段と、
前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定する所有者住所特定手段と、
前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定システム。
【請求項7】
外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、
複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する登記情報特定手段と、
前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定する登記申請特定手段と、
特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定システム。
【請求項8】
外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、
前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定する特定不動産特定手段と、
前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定する登記申請情報特定手段と、
前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定システム。
【請求項9】
前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定される不動産の現況の不動産登記全部事項を確認する現況確認手段と、
確認される前記現況に基づいて、登記情報記憶手段に記憶されている、前記外筆情報に対応付けられる登記情報として推定される登記情報を更新する登記情報更新手段と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の外筆対応不動産推定システム。
【請求項10】
登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得するステップと、
特定不動産特定手段が、前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定するステップと、
対応不動産特定手段が、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定するステップと、
外筆対応不動産推定手段が、前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定方法。
【請求項11】
登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得するステップと、
登記情報特定手段が、複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定するステップと、
所有者住所特定手段が、前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定するステップと、
外筆対応不動産推定手段が、前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定方法。
【請求項12】
登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得するステップと、
登記情報特定手段が、複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定するステップと、
登記申請特定手段が、前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定するステップと、
外筆対応不動産推定手段が、特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定方法。
【請求項13】
登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得するステップと、
特定不動産特定手段が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定するステップと、
登記申請情報特定手段が、前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定するステップと、
外筆対応不動産推定手段が、前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、
を含むことを特徴とする外筆対応不動産推定方法。
【請求項14】
外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する手順、
前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定する手順、
互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する手順、
前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する手順、
複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する手順、
前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定する手順、
前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する手順、
複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する手順、
前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定する手順、
特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する手順、
前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定する手順、
前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定する手順、
前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外筆対応不動産推定システム、外筆対応不動産推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産業者や金融機関などといった事業者のなかには、法務省等から入手可能な不動産登記全部事項等の不動産登記情報のデータが記録されたデータベースによって顧客が所有する不動産を管理しているものがいる。不動産登記情報は、例えば特許文献1に記載されているような不動産登記情報提供サーバにアクセスすることによって取得可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不動産登記全部事項が変更されたとしても、上述の事業者にそのことは通知されない。そのため上述の事業者は、データベースで管理している不動産登記情報を現況の不動産登記全部事項に整合させるためには、管理している全ての不動産登記情報のそれぞれについて、現況の不動産登記全部事項と照合させる必要があり手間がかかっていた。
【0005】
ここで法務局の不動産登記受付簿の記載内容を表す登記申請情報を参照することにより、管理している不動産登記情報のうちから、対応する不動産登記全部事項が変更された一部を推定できれば、不動産登記情報の管理の手間の軽減が期待できる。
【0006】
ところが複数の不動産についての不動産登記申請がまとめて行われた場合は、代表となる不動産以外の不動産については所在、地番、家屋番号などといった対応する不動産を示す情報が登記申請情報として登録されない。そのため登記申請情報だけからでは、代表となる不動産以外の不動産を特定できない。
【0007】
しかしこの場合は、代表となる不動産を示す情報とともに、「外1」、「外2」などといった、代表となる不動産以外の不動産の登記申請の存在を示す外筆情報が登記申請情報として記録される。ここで外筆情報に対応する不動産が推定できれば、登記申請情報を参照することによって、対応する不動産登記全部事項が変更された不動産登記情報をより多く推定できる。そうなれば不動産登記情報の管理の手間のさらなる軽減が期待できる。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、外筆情報に対応する不動産を推定できる外筆対応不動産推定システム、外筆対応不動産推定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る外筆対応不動産推定システムは、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定する特定不動産特定手段と、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する対応不動産特定手段と、前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、を含む。
【0010】
本発明の一態様では、前記第1種類は土地であり、前記第2種類は建物であり、前記対応情報は、土地と、当該土地と上物関係にある建物と、の対応を示す情報であり、前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地と上物関係にある建物を前記対応不動産として特定し、前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である建物の敷地に含まれる複数の土地のうちの、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記第1種類は建物であり、前記第2種類は土地であり、前記対応情報は、土地と、当該土地と上物関係にある建物と、の対応を示す情報であり、前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である建物の敷地である少なくとも1つの土地を前記対応不動産として特定し、前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産であるいずれかの土地と上物関係にある、前記特定不動産である建物とは異なる建物を、前記外筆情報に対応付けられる建物として推定する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記第1種類は土地であり、前記第2種類は耕作区域であり、前記対応情報は、耕作区域と、当該耕作区域に含まれる土地と、の対応を示す情報であり、前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地を含む耕作区域を前記対応不動産として特定し、前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である耕作区域に含まれる、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1種類は土地であり、前記第2種類は小班であり、前記対応情報は、小班と、当該小班に含まれる土地と、の対応を示す情報であり、前記対応不動産特定手段は、前記特定不動産である土地を含む小班を前記対応不動産として特定し、前記外筆対応不動産推定手段は、前記対応不動産である小班に含まれる、前記特定不動産である土地とは異なる土地を、前記外筆情報に対応付けられる土地として推定する。
【0014】
また、本発明に係る別の外筆対応不動産推定システムは、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する登記情報特定手段と、前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定する所有者住所特定手段と、前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、を含む。
【0015】
また、本発明に係るさらに別の外筆対応不動産推定システムは、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する登記情報特定手段と、前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定する登記申請特定手段と、特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、を含む。
【0016】
また、本発明に係るさらに別の外筆対応不動産推定システムは、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する登記申請情報取得手段と、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定する特定不動産特定手段と、前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定する登記申請情報特定手段と、前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する外筆対応不動産推定手段と、を含む。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定される不動産の現況の不動産登記全部事項を確認する現況確認手段と、確認される前記現況に基づいて、登記情報記憶手段に記憶されている、前記外筆情報に対応付けられる登記情報として推定される登記情報を更新する登記情報更新手段と、をさらに含む。
【0018】
また、本発明に係る外筆対応不動産推定方法は、登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得するステップと、特定不動産特定手段が、前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定するステップと、対応不動産特定手段が、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定するステップと、外筆対応不動産推定手段が、前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、を含む。
【0019】
また、本発明に係る別の外筆対応不動産推定方法は、登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得するステップと、登記情報特定手段が、複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定するステップと、所有者住所特定手段が、前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定するステップと、外筆対応不動産推定手段が、前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、を含む。
【0020】
また、本発明に係るさらに別の外筆対応不動産推定方法は、登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得するステップと、登記情報特定手段が、複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定するステップと、登記申請特定手段が、前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定するステップと、外筆対応不動産推定手段が、特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、を含む。
【0021】
また、本発明に係るさらに別の外筆対応不動産推定方法は、登記申請情報取得手段が、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得するステップと、特定不動産特定手段が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定するステップと、登記申請情報特定手段が、前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定するステップと、外筆対応不動産推定手段が、前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定するステップと、を含む。
【0022】
また、本発明に係るプログラムは、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する手順、前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている第1種類の不動産を、特定不動産として特定する手順、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において前記特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する手順、前記対応情報において前記対応不動産に対応付けられている、前記特定不動産とは異なる前記第1種類の不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【0023】
また、本発明に係る別のプログラムは、外筆情報が記録されている登記申請情報を取得する手順、複数の登記情報のうちから前記登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する手順、前記登記情報に示されている、前記不動産の所有者の住所を特定する手順、前記登記情報の表題部に示されている不動産と、前記住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、前記住所に基づいて特定される不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【0024】
また、本発明に係るさらに別のプログラムは、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する手順、複数の登記情報のうちから前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する手順、前記登記情報に示されている、前記第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定する手順、特定される前記受付年月日及び前記受付番号により識別される第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なる場合に、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【0025】
また、本発明に係るさらに別のプログラムは、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報を取得する手順、前記第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている特定不動産を特定する手順、前記特定不動産を特定可能な情報が示されている、前記第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定する手順、前記第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、前記外筆情報に対応付けられる不動産として推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成の一例を示す図である。
【
図3】登記申請情報のデータの一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る登記情報データ管理システムで実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る登記情報データ管理システムにおいて行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、インターネットなどのコンピュータネットワーク18には、いずれもコンピュータを中心に構成された登記情報データ管理システム10、登記申請情報データ提供システム12、登記情報提供システム14、対応情報データベース16が接続されている。
【0029】
登記情報データ管理システム10は、例えば不動産業者や金融機関などといったユーザが利用するコンピュータシステムである。本実施形態に係る登記情報データ管理システム10には、例えばユーザの顧客が所有する不動産の登記情報や、当該ユーザが関係する法務局の管轄する地域に属するすべての不動産の登記情報などといった登記情報が登録されている。なお以下の説明では、登記情報データ管理システム10には、ユーザの顧客が所有する不動産の登記情報のデータが登録されていることとする。
【0030】
図1に示すように、登記情報データ管理システム10には、プロセッサ10a、記憶部10b、通信部10c、出力部10d、入力部10eが含まれる。
【0031】
プロセッサ10aは、例えばCPU等のプログラム制御デバイスであって、記憶部10bに記憶されたプログラムに従って各種の情報処理を実行する。
【0032】
記憶部10bは、例えばROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部10bには、プロセッサ10aによって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0033】
通信部10cは、例えばコンピュータネットワーク18を介して登記申請情報データ提供システム12や登記情報提供システム14や対応情報データベース16との間でデータを授受するための通信インタフェースである。登記情報データ管理システム10は、通信部10cを経由して登記申請情報データ提供システム12や登記情報提供システム14や対応情報データベース16との間で情報の送受信を行う。
【0034】
出力部10dは、例えばプロセッサ10aから入力される指示に従って情報を表示出力するディスプレイ等の表示部や音声出力するスピーカ等の音声出力部である。
【0035】
入力部10eは、例えばユーザが行った操作の内容をプロセッサ10aに出力するゲームコントローラ、タッチパッド、マウス、キーボード、マイク等である。
【0036】
登記申請情報データ提供システム12は、例えば法務局で管理されている不動産登記受付帳の記載内容に相当する登記申請情報がデータとして登録されたコンピュータシステムである。登記申請情報データ提供システム12は、例えば登記情報データ管理システム10等のコンピュータシステムからの要求に応じて、要求された登記申請情報のデータを当該コンピュータシステムに提供する。
【0037】
登記情報提供システム14は、例えば一般財団法人民事法務協会などによる登記情報提供サービスを提供するコンピュータシステムである。登記情報提供システム14は、例えば登記情報データ管理システム10等のコンピュータシステムからの要求に応じて、要求された不動産登記全部事項等の登記情報を当該コンピュータシステムに提供する。
【0038】
本実施形態に係る登記情報提供システム14は、不動産登記全部事項の情報を、例えばPDF形式のファイルで登記情報データ管理システム10に提供する。そして本実施形態では登記情報データ管理システム10が、当該ファイルに対してテキスト化処理を実行する。そして本実施形態では、テキスト化処理により生成されたテキストの内容に応じた登記情報のデータが登記情報データ管理システム10に登録される。
【0039】
本実施形態に係る対応情報データベース16は、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報を複数記憶している。
【0040】
以下の説明では、対応情報データベース16は、建物の所在を表す文字列と当該建物の家屋番号との組合せと、当該建物の敷地の所在を表す文字列と当該敷地の地番との組合せと、が対応づけられた地番家屋情報対照データを複数記憶していることとする。地番家屋情報対照データは、上述の対応情報の一例に相当する。地番家屋情報対照データは、言い換えれば、土地の所在を表す文字列と当該土地の地番との組合せと、当該土地と上物関係にある建物の所在を表す文字列と当該建物の家屋番号との組合せと、が対応づけられたデータであるとも言える。
【0041】
以下、ある建物の敷地の地番を、当該建物の敷地地番と呼ぶこととする。本実施形態に係る対応情報データベース16には、現存する建物だけではなく、既に滅失した建物についても、建物の所在を表す文字列と当該建物の家屋番号との組合せと、当該建物の敷地の所在を表す文字列と当該建物の敷地地番との組合せと、が対応付けられた地番家屋情報対照データが記憶されている。以下、建物の所在を表す文字列と当該建物の家屋番号との組合せを「建物所在+家屋番号」と表現し、当該建物の敷地の所在を表す文字列と当該建物の敷地地番との組合せを、「敷地所在+敷地地番」と表現することとする。
【0042】
本実施形態に係る対応情報データベース16は、登記情報データ管理システム10から送信される「建物所在+家屋番号」の受付に応じて、当該「建物所在+家屋番号」により識別される建物に対応付けられる1又は複数の土地についての、「敷地所在+敷地地番」を登記情報データ管理システム10に返信する。
【0043】
なお、1つの家屋番号に対応付けられる建物の敷地が互いに隣接する複数の土地であることがある。例えば、互いに隣接する複数の敷地地番のそれぞれにより識別される土地をまたいで建物が建っている場合がこのような状況に相当する。このような場合は、対応情報データベース16は、「建物所在+家屋番号」の受付に応じて、当該「建物所在+家屋番号」に対応付けられる、複数の「敷地所在+敷地地番」を登記情報データ管理システム10に返信する。
【0044】
また、本実施形態に係る対応情報データベース16は、登記情報データ管理システム10から送信される「敷地所在+敷地地番」の受付に応じて、当該「敷地所在+敷地地番」により識別される土地に対応付けられる1又は複数の建物についての、「建物所在+家屋番号」を登記情報データ管理システム10に返信する。
【0045】
なお、1つの敷地地番に対応付けられる土地に複数の建物が対応付けられていることがある。例えば、1つの敷地地番に対応付けられる土地に複数の建物が建っている場合や、1つの敷地地番に対応付けられる土地に建っていた建物の建替が行われ、当該土地に新築建物が建てられた場合がこのような状況に相当する。このような場合は、対応情報データベース16は、「敷地所在+敷地地番」の受付に応じて、当該「敷地所在+敷地地番」に対応付けられる、複数の「建物所在+家屋番号」を登記情報データ管理システム10に返信する。
【0046】
なお、本実施形態において、対応情報データベース16が、登記情報提供システム14に含まれていてもよい。例えば、対応情報データベース16が、一般財団法人民事法務協会などによる登記情報提供サービスを提供するコンピュータシステムに含まれていてもよい。
【0047】
図2A、及び、
図2Bは、登記情報データ管理システム10に登録される登記情報のデータの一例である登記情報データを示す図である。なお1個の登記情報データが
図2A、及び、
図2Bの全体で表現されていることとする。
【0048】
本実施形態に係る登記情報データは、登記情報提供システム14が提供する、1の不動産についての不動産登記全部事項の情報に対応付けられる。なお、
図2A、及び、
図2Bには、土地の不動産登記全部事項の情報に対応付けられる登記情報データが示されている。
図2A、及び、
図2Bに示すように、本実施形態に係る登記情報データには、顧客ID、表題部データ、権利部(甲区)データ、権利部(乙区)データが含まれる。なお登記情報データでは、抹消された値に下線が引かれている。
【0049】
図2Aに示す顧客IDは、登記情報データ管理システム10のユーザの顧客の識別情報である。本実施形態に係る登記情報データ管理システム10に登録される登記情報データは、顧客IDによって名寄せされている。すなわち本実施形態では同一の顧客が所有する不動産の登記情報データには、同一の顧客IDが設定される。本実施形態では、顧客IDはユーザによって設定されることとする。
【0050】
図2Aに示す表題部データは、対応する不動産登記全部事項の表題部の記載内容に相当するデータである。表題部データには、表示種別データ、調製年月日データ、不動産番号データ、地図番号データ、筆界特定データ、所在データ、が含まれる。
【0051】
表示種別データは、不動産登記全部事項の表題部との記載の右側に括弧書きで記載されている、不動産の種別を示すデータである。調製年月日データ、不動産番号データ、地図番号データ、筆界特定データ、所在データは、それぞれ、不動産登記全部事項の表題部の調製、不動産番号、地図番号、筆界特定、所在の記載内容を示すデータである。
【0052】
なお、建物についての不動産登記全部事項の情報に対応付けられる登記情報データについては、地図番号データの代わりに、不動産登記全部事項の表題部の所在図番号の記載内容を示す所在図番号データが含まれる。
【0053】
また、表題部データには、地番データ、地目データ、地積データ、原因及びその日付[登記の日付]データの組合せが1又は複数含まれる。
【0054】
地番データ、地目データ、地積データ、原因及びその日付[登記の日付]データは、それぞれ、不動産登記全部事項の表題部の地番、地目、地積、原因及びその日付[登記の日付]の記載内容を示すデータである。
【0055】
なお、建物についての不動産登記全部事項の情報に対応付けられる登記情報データについては、表題部データに、地番データ、地目データ、地積データ、原因及びその日付[登記の日付]データの組合せの代わりに、家屋番号データ、種類データ、構造データ、床面積データ、原因及びその日付[登記の日付]データの組合せが1又は複数含まれる。家屋番号データ、種類データ、構造データ、床面積データ、原因及びその日付[登記の日付]データは、それぞれ、不動産登記全部事項の表題部の家屋番号、種類、構造、床面積、原因及びその日付[登記の日付]の記載内容を示すデータである。
【0056】
図2Bに示す権利部(甲区)データは、対応する不動産登記全部事項の権利部(甲区)の記載内容に相当するデータである。権利部(甲区)データには、順位番号、登記の目的データ、受付年月日データ、受付番号、権利者その他の事項データの組合せが1又は複数含まれる。
【0057】
順位番号、登記の目的データは、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の順位番号、登記の目的の記載内容を示すデータである。受付年月日データ、受付番号は、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の受付年月日・受付番号に含まれる受付年月日、受付番号の記載内容を示すデータである。権利者その他の事項データは、不動産登記全部事項の権利部(甲区)の権利者その他の事項の記載内容を示すデータである。
【0058】
図2Bに示す権利部(乙区)データは、対応する不動産登記全部事項の権利部(乙区)の記載内容に相当するデータである。権利部(乙区)データには、順位番号、登記の目的データ、受付年月日データ、受付番号、権利者その他の事項データの組合せが1又は複数含まれる。
【0059】
順位番号、登記の目的データは、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の順位番号、登記の目的の記載内容を示すデータである。受付年月日データ、受付番号は、それぞれ、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の受付年月日・受付番号に含まれる受付年月日、受付番号の記載内容を示すデータである。権利者その他の事項データは、不動産登記全部事項の権利部(乙区)の権利者その他の事項の記載内容を示すデータである。
【0060】
なお、本実施形態に係る登記情報データに、対応する不動産登記全部事項の共同担保目録の記載内容に相当する共同担保目録データが含まれていてもよい。
【0061】
図3は、登記申請情報データの一例を示す図である。
図3に例示する登記申請情報データは、それぞれ、1の不動産登記申請に対応付けられる。本実施形態に係る登記申請情報データには、受付年月日データ、受付番号、物件特定データ、申請単位データ、登記目的データ、不動産種別データ、外筆データが含まれる。
【0062】
受付年月日データは、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請の受付年月日を示すデータである。
【0063】
受付番号は、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請がされた年における、当該登記申請の受付順序に従って設定される番号である。
【0064】
物件特定データは、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請の対象となる不動産を特定するためのデータである。
図3に示すように物件特定データには、都道府県名データ、市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データ、地番家屋番号データ、が含まれる。
【0065】
都道府県名データ、市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データ、地番家屋番号データは、それぞれ、登記申請の対象となる不動産の都道府県名、市区町村名、大字名又は町名、字名又は丁目、地番又は家屋番号を示すデータである。
【0066】
地番家屋番号データは、登記申請の対象となる不動産が土地である場合は、当該不動産の地番を示すデータである。また、地番家屋番号データは、登記申請の対象となる不動産が建物である場合は、当該不動産の家屋番号を示すデータである。
【0067】
本実施形態では、物件特定データに基づいて、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請の対象となる不動産の所在が特定できるようになっている。例えば、都道府県名データ、市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データの値を結合した文字列が当該不動産の所在を表す文字列に相当する。
【0068】
申請単位データは、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請が単独申請によってされたか連件申請によってされたかを示すデータである。不動産登記受付帳における「単独」、「連先」、「連続」との記載内容に相当する。連件申請によってされた登記申請の最初の登記申請に対応付けられる登記申請情報データの申請単位データには「連先」との値が設定される。当該申請単位データとともにされた登記申請に対応付けられる登記申請情報データの申請単位データには「連続」との値が設定される。また、単独申請によってされた登記申請に対応付けられる登記申請情報データの申請単位データには「単独」との値が設定される。
【0069】
登記目的データは、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請の目的を示すデータである。なお、登記申請情報データに含まれる登記目的データの値の文字列と、当該登記申請情報データに対応付けられる不動産登記受付帳における登記目的を表す文字列とは、必ずしも一致していなくてもよい。
【0070】
不動産種別データは、例えば、当該登記申請情報データに対応付けられる登記申請に係る不動産の種別を示すデータである。当該登記申請に係る不動産が土地である場合は、不動産種別データには「土地」との値が設定される。また、当該登記申請に係る不動産が建物である場合は、不動産種別データには「建物」との値が設定される。
【0071】
外筆データは、物件特定データにより特定される不動産ととともに1の登記申請により登記申請がされた不動産の存在の有無や数を示すデータである。以下、2以上の不動産についての1の登記申請による登記申請を、一括申請と呼ぶこととする。
【0072】
一括申請がされた他の不動産が存在する場合は、登記申請情報に「外1」、「外2」などいった外筆情報が記録される。ここで「外1」は、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた不動産が1つ存在することを意味する。また「外2」は、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請された不動産が2つ存在することを意味する。
【0073】
本実施形態では外筆情報が記録されている登記申請情報については、外筆データに1以上の値が設定される。本実施形態では例えば「外1」との外筆情報が記録されている登記申請情報に相当する登記申請情報データの外筆データには値として1が設定されることとする。また、「外2」との外筆情報が記録されている登記申請情報に相当する登記申請情報データの外筆データには値として2が設定されることとする。また本実施形態では、外筆情報が記録されていない登記申請情報に相当する登記申請情報データの外筆データには値として0が設定されることとする。
【0074】
法務局が不動産の登記申請を受け付けると、当該登記申請の内容に応じて、当該不動産の不動産登記全部事項などといった登記情報が更新される。ここで不動産登記全部事項が更新されてもそのことはユーザには通知されないが、登記申請情報データを用いれば、更新された不動産登記全部事項を的確に推定できるものと期待できる。例えば登記申請情報データの物件特定データの値に相当する所在データの値及び地番データの値を含む登記情報データを、更新された不動産登記全部事項に対応付けられる登記情報データとして推定することが考えられる。あるいは例えば、登記申請情報データの物件特定データの値に相当する所在データの値及び家屋番号データの値を含む登記情報データを、更新された不動産登記全部事項に対応付けられる登記情報データとして推定することが考えられる。
【0075】
しかしこのようにしても、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた、登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が登記申請情報データに示されていない不動産については、登記申請情報データだけからは特定できない。
【0076】
そこで本実施形態では以下のようにして、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた、登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が登記申請情報データに示されていない不動産を推定できるようにした。
【0077】
以下、物件特定データにより特定される不動産ととともに一括申請がされた不動産の推定を中心に、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10の機能及び登記情報データ管理システム10で行われる処理についてさらに説明する。
【0078】
図4は、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10で、
図4に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、
図4に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0079】
図4に示すように、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10は、機能的には例えば、登記情報記憶部20、登記申請情報記憶部22、登記申請情報要求部24、登記申請情報取得部26、登記情報特定部28、外筆対応不動産推定部30、現況確認部32、登記情報更新部34、を含んでいる。登記情報記憶部20、登記申請情報記憶部22は、記憶部10bを主として実装される。登記申請情報要求部24は、プロセッサ10a、通信部10c、出力部10d、入力部10eを主として実装される。登記申請情報取得部26、現況確認部32は、通信部10cを主として実装される。登記情報特定部28、登記情報更新部34は、プロセッサ10aを主として実装される。外筆対応不動産推定部30は、プロセッサ10a、及び、通信部10cを主として実装される。登記情報データ管理システム10は、本実施形態において、外筆データに対応付けられる不動産を推定する外筆対応不動産推定システムとしての役割を担うこととなる。
【0080】
以上の機能は、コンピュータである登記情報データ管理システム10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ10aで実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して登記情報データ管理システム10に供給されてもよい。
【0081】
登記情報記憶部20は、本実施形態では例えば、
図2A及び
図2Bに例示されている登記情報データなどといった登記情報を記憶する。
【0082】
登記申請情報記憶部22は、本実施形態では例えば、
図3に例示されている登記申請情報データなどといった登記申請情報を記憶する。
【0083】
登記申請情報要求部24は、本実施形態では例えば、登記申請情報を要求する。登記申請情報要求部24は例えば、出力部10dに表示される検索画面(図示せず)に入力部10eを介してユーザにより入力される検索条件に関連付けられた検索コマンドを登記申請情報データ提供システム12に送信する。ここで検索条件の一例としては、受付年月日データの値の範囲や物件特定データの値の範囲などが挙げられる。
【0084】
すると登記申請情報データ提供システム12は、登記申請情報要求部24が送信する検索コマンドの受信に応じて、当該検索コマンドに関連付けられた検索条件を満足する1又は複数の登記申請情報データを特定する。そして登記申請情報データ提供システム12は特定された登記申請情報データを登記情報データ管理システム10に送信する。
【0085】
登記申請情報取得部26は、本実施形態では例えば、登記申請情報を取得する。登記申請情報取得部26は例えば、登記申請情報データ提供システム12が送信する登記申請情報データを受信して、登記申請情報記憶部22に記憶させる。なお本実施形態において登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報には、外筆情報が記録されている登記申請情報が含まれていることとする。
【0086】
登記情報特定部28は、本実施形態では例えば、登記情報記憶部20に記憶されている複数の登記情報のうちから、登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報を特定する。ここでは、登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報データに示されている不動産の登記情報データが特定される。ここで登記情報特定部28は、例えば、登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報データに含まれる市区町村名データ、大字名町名データ、字名丁目データのそれぞれの値を結合した結合所在文字列を特定する。また登記情報特定部28は、地番家屋番号データの値に含まれるハイフンを「番」に置換する。そして登記情報特定部28は、特定された結合所在文字列の値を所在データの値として含み、置換された地番家屋番号データの値を地番データ又は家屋番号データの値として含む登記情報データを特定する。なお登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報の特定方法はこの方法に限定されない。他の方法によって登記申請情報取得部26が取得する登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の登記情報が特定されてもよい。
【0087】
外筆対応不動産推定部30は、本実施形態では例えば、登記申請情報取得部26が取得する、外筆情報が記録されている登記申請情報について、当該外筆情報に対応付けられる不動産を推定する。
【0088】
そして、外筆対応不動産推定部30は、本実施形態では例えば、登記申請情報取得部26が取得する、外筆情報が記録されている登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、特定不動産として特定する。
図3に例示されている登記申請情報については、物件特定データ(A県B市大字C字D763-1)により識別される土地が特定不動産に相当する。また、以下、特定不動産の種類を、第1種類と呼ぶこととする。例えば、
図3に例示されている登記申請情報については、第1種類は土地であることとなる。
【0089】
そして、外筆対応不動産推定部30は、本実施形態では例えば、互いに異なる2つの種類の不動産の対応が示されている対応情報において、第1種類の不動産である特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を、対応不動産として特定する。
【0090】
例えば、上述のように、対応情報データベース16に、建物の所在を表す文字列と当該建物の家屋番号との組合せと、当該建物の敷地の所在を表す文字列と当該敷地の地番との組合せと、が対応づけられている地番家屋情報対照データが記憶されていることとする。ここで、上述のように第1種類が土地であるとすると、第2種類は建物であることとなる。
【0091】
この場合、外筆対応不動産推定部30は、特定不動産である土地と上物関係にある建物を対応不動産として特定してもよい。ここで例えば、外筆対応不動産推定部30は、土地である特定不動産の所在及び地番に相当する文字列である「敷地所在+敷地地番」を、対応情報データベース16に送信してもよい。そして、当該送信に応じて対応情報データベース16から返信される、当該特定不動産が敷地である1又は複数の建物についての、「建物所在+家屋番号」により識別される建物を、対応不動産として特定してもよい。
【0092】
そして、外筆対応不動産推定部30は、本実施形態では例えば、対応情報において対応不動産に対応付けられている、特定不動産とは異なる第1種類の不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定する。
【0093】
ここで例えば、対応不動産が1又は複数の建物である場合に、外筆対応不動産推定部30は、当該1又は複数のそれぞれの建物について、当該建物の敷地である土地を特定してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30は、このようにして特定される複数の土地のうちの、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる土地として推定してもよい。例えば、外筆対応不動産推定部30は、1又は複数の対応不動産(建物)のそれぞれについて、当該対応不動産の所在及び家屋番号に相当する文字列である「建物所在+家屋番号」を、対応情報データベース16に送信してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30は、当該送信に応じて対応情報データベース16から返信される、当該対応不動産の敷地である1又は複数の土地についての、「敷地所在+敷地地番」により識別される土地を特定してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30は、このようにして1又は複数の対応不動産(建物)のそれぞれについて特定される土地のうち、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。
【0094】
現況確認部32は、本実施形態では例えば、登記情報に対応付けられる不動産の現況の不動産登記全部事項を確認する。ここで現況確認部32は、外筆情報に対応付けられる不動産の現況の不動産登記全部事項を確認してもよい。現況確認部32は例えば、外筆情報に対応付けられる不動産として推定される不動産の「敷地所在+敷地地番」に基づいて特定される不動産登記全部事項の情報のファイルを、登記情報提供システム14から取得してもよい。
【0095】
登記情報更新部34は、本実施形態では例えば、現況確認部32により確認される現況に基づいて、登記情報記憶部20に記憶されている登記情報を更新する。ここで登記情報更新部34は、現況確認部32により確認される現況に基づいて、登記情報記憶部20に記憶されている、外筆情報に対応付けられる不動産として推定される不動産の登記情報を更新してもよい。登記情報更新部34は例えば、現況確認部32が受信した不動産登記全部事項の情報のファイルに対してテキスト化処理を実行する。そして登記情報更新部34は例えば、テキスト化処理により生成されたテキストの内容を登記情報データの値に反映させることにより、登記情報データを更新する。
【0096】
以下、本実施形態に係る登記情報データ管理システム10において行われる処理の流れの一例を、
図5に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0097】
まず登記申請情報要求部24が、検索条件に関連付けられた検索コマンドを登記申請情報データ提供システム12に送信する(S101)。
【0098】
そして登記申請情報取得部26が、S101に示す処理で送信された検索コマンドの受信に応じて登記申請情報データ提供システム12が送信する1又は複数の登記申請情報データを受信する(S102)。
【0099】
そして登記情報特定部28が、S102に示す処理で取得された登記申請情報データのうちから以下のS104~S111に示す処理が実行されていない1の登記申請情報データを選択する(S103)。本処理例では、S103に示す処理で選択された登記申請情報データに登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を特定不動産と呼ぶこととする。また、特定不動産の種類を第1種類と呼ぶこととする。
【0100】
そして登記情報特定部28が、S103に示す処理で選択された登記申請情報データに対応する、登記情報記憶部20に記憶されている登記情報データを特定する(S104)。
【0101】
そして外筆対応不動産推定部30は、S103に示す処理で選択された登記申請情報データに含まれる外筆データの値を確認する(S105)。
【0102】
ここで外筆データの値が1以上であることが確認されたとする。この場合、外筆対応不動産推定部30は、対応情報データベース16にアクセスすることで、S103に示す処理で選択された登記申請情報に対応付けられる第1種類の特定不動産に対応付けられている第2種類の不動産を対応不動産として特定する(S106)。
【0103】
そして、外筆対応不動産推定部30が、対応情報データベース16にアクセスすることで、S106に示す処理で特定された対応不動産に対応付けられる、S103に示す処理で選択された登記申請情報に対応付けられる特定不動産とは異なる第1種類の不動産を、当該特定不動産の登記申請情報データの外筆情報に対応付けられる不動産として推定する(S107)。
【0104】
そして、登記情報特定部28が、登記情報記憶部20に記憶されている、S107に示す処理で外筆情報に対応付けられる不動産として推定された不動産の登記情報データを特定する(S108)。
【0105】
S105に示す処理で外筆データの値が0であることが確認された(S105:N)、あるいは、S108に示す処理が終了したとする。この場合、現況確認部32が、S104、及び、S108に示す処理で特定された登記情報データに対応する不動産登記全部事項の情報の送信要求を登記情報提供システム14に送信する(S109)。そして現況確認部32が、不動産登記全部事項の送信要求の受信に応じて登記情報提供システム14が送信する不動産登記全部事項の情報を受信する(S110)。
【0106】
そして登記情報更新部34は、S110に示す処理で受信した不動産登記全部事項に基づいて、S104、及び、S108に示す処理で特定された登記情報データを更新する(S111)。
【0107】
そして登記情報特定部28が、S102に示す処理で取得された登記申請情報データのすべてがS103に示す処理で選択されたか否かを確認する(S112)。登記申請情報データのすべてがS103に示す処理で選択されていない場合は(S112:N)、S103に示す処理に戻る。登記申請情報データのすべてがS103に示す処理で選択されている場合は(S112:Y)、本処理例に示す処理が終了される。
【0108】
不動産登記の実務上、同一の登記所の管轄区域内にある2以上の不動産について申請する「登記の目的」、「登記原因」、当該登記原因の「日付」が同一であるときは、一括申請が可能となっている。なお登記申請の申請人の同一性がない場合は、一括申請の対象とはならない。
【0109】
そして、特定不動産が土地である場合、この土地が敷地である建物はこの土地と所有者が同じである可能性が高く、また、この建物の敷地である複数の土地(互いに隣接する複数の土地)は所有者が同じである可能性が高い。
【0110】
本実施形態では以上の点に着目して、対応不動産である建物に対応付けられている、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0111】
また、本実施形態において、外筆情報が記録されている登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産の種類が建物であることがある。例えば、登記申請情報データに含まれる不動産種別データの値が「建物」である場合がこの場合に相当する。
【0112】
この場合に、外筆対応不動産推定部30は、特定不動産である建物の敷地である少なくとも1つの土地を対応不動産として特定してもよい。ここで例えば、外筆対応不動産推定部30は、建物である特定不動産の所在及び家屋番号に相当する文字列である「建物所在+家屋番号」を、対応情報データベース16に送信してもよい。そして、当該送信に応じて対応情報データベース16から返信される、当該特定不動産の敷地である1又は複数の土地についての、「敷地所在+敷地地番」により識別される土地を、対応不動産として特定してもよい。
【0113】
そして、外筆対応不動産推定部30は、対応不動産であるいずれかの土地と上物関係にある、特定不動産である建物とは異なる建物を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。例えば、外筆対応不動産推定部30は、1又は複数の対応不動産(土地)のそれぞれについて、当該対応不動産の所在及び地番に相当する文字列である「敷地所在+敷地地番」を、対応情報データベース16に送信してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30は、当該送信に応じて対応情報データベース16から返信される、当該対応不動産が敷地である1又は複数の建物についての、「建物所在+家屋番号」により識別される建物を特定してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30は、このようにして1又は複数の対応不動産(土地)のそれぞれについて特定される建物のうち、特定不動産である建物とは異なる建物を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。
【0114】
この場合、現況確認部32が、外筆情報に対応付けられる不動産として推定される建物の「建物所在+家屋番号」に基づいて特定される不動産登記全部事項の情報のファイルを、登記情報提供システム14から取得してもよい。そして、登記情報更新部34が、このようにして取得されるファイルに対して実行されるテキスト化処理により生成されたテキストの内容を登記情報データの値に反映させることにより、登記情報記憶部20に記憶されている、外筆情報に対応付けられる不動産として推定される不動産の登記情報を更新してもよい。
【0115】
特定不動産が建物である場合、この建物の敷地である土地はこの建物と所有者が同じである可能性が高く、また、この土地が敷地である複数の建物は所有者が同じである可能性が高い。
【0116】
以上の点に着目して、この場合については、対応不動産である土地に対応付けられている、特定不動産である建物とは異なる建物を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0117】
また、本実施形態において、対応情報データベース16に記憶される対応情報は、上述の地番家屋情報対照データには限定されない。例えば、郊外地域の農地エリアなどについては、対応情報データベース16に記憶される対応情報が、耕作区域と、当該耕作区域に含まれる土地と、の対応を示す耕作区域土地対照データであってもよい。具体的には例えば、予め整備されている、耕作区域の識別子(ID)に関連付けられた耕作区域の地理的範囲を示す耕作区域ポリゴンと、所在及び地番に関連付けられた筆界に囲まれた土地の地理的範囲を示すポリゴンと、が重畳された耕作区域土地対照データが、対応情報データベース16に記憶されていてもよい。
【0118】
耕作区域土地対照データを参照することで、所在及び地番により識別される土地が属する耕作区域のIDを特定することが可能となる。また、耕作区域土地対照データを参照することで、指定されたIDにより識別される耕作区域の範囲内の土地の所在及び地番を特定することが可能となる。
【0119】
そして、対応情報データベース16に上述の耕作区域土地対照データが記憶されており、上述の特定不動産の種類が土地である場合に、外筆対応不動産推定部30は、対応情報データベース16にアクセスすることで、特定不動産である土地を含む耕作区域を対応不動産として特定してもよい。
【0120】
そして、外筆対応不動産推定部30は、対応不動産である耕作区域に含まれる、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる土地として推定してもよい。
【0121】
特定不動産が土地である場合、この土地の所有者と、この土地を含む耕作地域に含まれる当該土地とは異なる土地の所有者が同じである可能性が高い。
【0122】
以上の点に着目して、この場合については、対応不動産である耕作地域に対応付けられている、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0123】
また、例えば、山林地域などについては、対応情報データベース16に記憶される対応情報が、小班と、当該小班に含まれる土地と、の対応を示す小班土地対照データであってもよい。具体的には例えば、予め整備されている、小班の識別子(ID)に関連付けられた小班の地理的範囲を示す小班ポリゴンと、所在及び地番に関連付けられた筆界に囲まれた土地の地理的範囲を示すポリゴンと、が重畳された小班土地対照データが、対応情報データベース16に記憶されていてもよい。
【0124】
小班土地対照データを参照することで、所在及び地番により識別される土地が属する小班のIDを特定することが可能となる。また、小班土地対照データを参照することで、指定されたIDにより識別される小班の範囲内の土地の所在及び地番を特定することが可能となる。
【0125】
そして、対応情報データベース16に上述の小班土地対照データが記憶されており、上述の特定不動産の種類が土地である場合に、外筆対応不動産推定部30は、対応情報データベース16にアクセスすることで、特定不動産である土地を含む小班を対応不動産として特定してもよい。
【0126】
そして、外筆対応不動産推定部30は、対応不動産である小班に含まれる、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる土地として推定してもよい。
【0127】
特定不動産が土地である場合、この土地の所有者と、この土地を含む小班に含まれる当該父とは異なる土地の所有者が同じである可能性が高い。
【0128】
以上の点に着目して、この場合については、対応不動産である小班に対応付けられている、特定不動産である土地とは異なる土地を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0129】
また、本実施形態において、外筆対応不動産推定部30が、上述の特定不動産の登記情報に基づいて、外筆情報に対応付けられる不動産を推定してもよい。
【0130】
例えば、外筆対応不動産推定部30が、登記情報に示されている、当該特定不動産の所有者の住所を特定してもよい。ここで例えば、特定不動産の登記情報データの権利部(甲区)データの権利者その他の事項データにおける所有者に示されている住所が、特定不動産の所有者の住所として特定されてもよい。また、例えば、特定不動産の登記情報データの権利部(甲区)データの権利者その他の事項データにおける最下段の所有者に示されている住所(当該特定不動産の最新の所有者の住所)が、特定不動産の所有者の住所として特定されてもよい。
【0131】
そして、外筆対応不動産推定部30は、特定不動産の登記情報の表題部に示されている不動産(例えば、特定不動産の登記情報データの表題部データに含まれる所在データにより識別される不動産)と、特定不動産の所有者の住所に基づいて特定される不動産と、が異なる場合に、特定不動産の所有者の住所に基づいて特定される不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。
【0132】
例えば、
図2A及び
図2Bが特定不動産の登記情報データである場合は、「E市F町1丁目2番3号」が特定不動産の所有者の住所として特定される。そして、特定不動産の登記情報の表題部に示されている不動産と、特定不動産の所有者の住所に基づいて特定される不動産と、は異なっている。そのため、この場合は、特定不動産の所有者の住所(E市F町1丁目2番3号)により識別される不動産が、外筆情報に対応付けられる不動産として推定されることとなる。
【0133】
特定不動産の所有者と、当該特定不動産の所有者の住所により識別される不動産の所有者と、は同じである可能性が高い。
【0134】
以上の点に着目して、この場合については、特定不動産の所有者の住所に基づいて特定される不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0135】
また、本実施形態において、外筆対応不動産推定部30が、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を特定不動産として特定してもよい。そして、登記情報特定部28が、このようにして特定される特定不動産の登記情報を特定してもよい。そして、外筆対応不動産推定部30が、特定不動産の登記情報に示されている、当該第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請の受付年月日及び受付番号を特定してもよい。例えば、
図2Bの例では、特定不動産の登記情報データの権利部(甲区)データ、又は、権利部(乙区)データに含まれる受付年月日データの値及び受付番号の値の組合せ、のうちから、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報に含まれる受付年月日データの値及び受付番号の値の組合せと異なるものが特定されてもよい。
【0136】
そして、外筆対応不動産推定部30が、特定される受付年月日及び受付番号により識別される第2の登記申請情報を特定してもよい。
【0137】
ここで例えば、登記申請情報要求部24が、第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請に係る受付年月日データの値及び受付番号の値の組合せを含む登記申請情報データを登記申請情報データ提供システム12に要求してもよい。そして、登記申請情報取得部26が、当該要求に応じて登記申請情報データ提供システム12から送信される登記申請情報データを取得してもよい。当該登記申請情報データが、上述の第2の登記申請情報に相当する。
【0138】
ここで、第2の登記申請情報に外筆情報が記録されており、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が、第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産と異なるとする。この場合、外筆対応不動産推定部30は、当該第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。例えば、第2の登記申請情報の物件特定データにより識別される不動産が外筆情報に対応付けられる不動産として推定されてもよい。
【0139】
特定不動産の所有者と、当該特定不動産の登記情報に示されている別の登記申請に係る不動産の所有者と、は同じである可能性が高い。
【0140】
以上の点に着目して、この場合については、第1の登記申請情報に対応付けられる登記情報に示されている、当該第1の登記申請情報に係る登記申請とは異なる登記申請に係る第2の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0141】
また、本実施形態において、外筆情報が記録されている第1の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産が特定不動産であることとする。
【0142】
この場合、外筆対応不動産推定部30が、特定不動産を特定可能な情報が示されている、第1の登記申請情報とは異なる登記申請情報である、連件申請に係る第2の登記申請情報を特定してもよい。例えば、物件特定データの値が第1の登記申請情報データと同じである、申請単位データの値が「連先」又は「連続」である第2の登記申請情報データが特定されてもよい。
【0143】
そして、外筆対応不動産推定部30が、第2の登記申請情報に係る登記申請とともに連件申請によって行われた登記申請に係る第3の登記申請情報に登記申請の対象となる不動産を特定可能な情報が示されている不動産を、外筆情報に対応付けられる不動産として推定してもよい。
【0144】
ここで例えば、登記申請情報記憶部22に記憶されている登記申請情報データにおいて、連件申請された登記申請に係る登記申請情報データ同士が関連付けられていてもよい。例えば、連件申請された登記申請に係る登記申請情報データには、同じグループIDが付与されていてもよい。
【0145】
例えば、申請単位データの値が「連先」である登記申請情報データと、受付番号が当該登記申請情報データに後続する、1又は複数の、申請単位データの値が「連続」である登記申請情報データと、に同じグループIDが付与されていてもよい。
【0146】
そして、第2の登記申請情報データと同じグループIDが付与されている、当該第2の登記申請情報データとは異なる登記申請情報データが、第3の登記申請情報データとして特定されてもよい。
【0147】
そして、第3の登記申請情報データの物件特定データに基づいて特定される不動産が、外筆情報に対応付けられる不動産として推定されてもよい。
【0148】
特定不動産の所有者と、当該特定不動産の登記申請と連件申請された、当該登記申請とは異なる登記申請に係る不動産の所有者と、は同じである可能性が高い。
【0149】
以上の点に着目して、この場合については、特定不動産を特定可能な情報が示されている第2の登記申請情報に係る登記申請と連件申請された登記申請に係る第3の登記申請情報に係る不動産を、当該特定不動産を特定可能な情報が示されている第1の登記申請情報に記録されている外筆情報に対応付けられる不動産として推定することとした。
【0150】
以上で説明したようにして、本実施形態によれば、外筆情報に対応する不動産を的確に推定できることとなる。そして不動産登記全部事項が更新されたと推定される不動産の登記情報データに絞って現況の不動産登記全部事項の内容の確認、及び当該内容に基づく登記情報データの更新が行われる。このようにして本実施形態によれば、登記情報記憶部20に記憶されている登記情報データのすべてにつき現況の不動産登記全部事項と照合して登記情報データの更新を行う場合よりも、登記情報データの管理の手間を軽減できることとなる。
【0151】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0152】
また例えば登記情報データ管理システム10、登記申請情報データ提供システム12、登記情報提供システム14、対応情報データベース16の役割分担は上述のものに限定されない。例えば、上述の実施形態では登記申請情報データ提供システム12に登録される登記申請情報データが登記情報データ管理システム10に記憶されてもよい。そして登記申請情報取得部26は、登記情報データ管理システム10に記憶されている登記申請情報データを取得してもよい。
【0153】
また、上述の具体的な文字列や数値、並びに、図面中の具体的な文字列は例示であり、
これらの文字列や数値には限定されない。
【符号の説明】
【0154】
10 登記情報データ管理システム、10a プロセッサ、10b 記憶部、10c 通信部、10d 出力部、10e 入力部、12 登記申請情報データ提供システム、14 登記情報提供システム、16 対応情報データベース、18 コンピュータネットワーク、20 登記情報記憶部、22 登記申請情報記憶部、24 登記申請情報要求部、26 登記申請情報取得部、28 登記情報特定部、30 外筆対応不動産推定部、32 現況確認部、34 登記情報更新部。