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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101959
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置及び異物検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240723BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20240723BHJP
   B65H 31/32 20060101ALI20240723BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20240723BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H3/06 A
B65H31/32
G07D11/235
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006212
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 佑太
【テーマコード(参考)】
3E141
3F048
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA02
3E141BA06
3E141DA06
3E141FD01
3E141FG01
3F048AA06
3F048AB03
3F048BA10
3F048BB02
3F048BB09
3F048BC03
3F048DA01
3F048DC17
3F048EA02
3F048EA12
3F054AA03
3F054AB01
3F054AC06
3F054BA02
3F054BA08
3F054BB03
3F054BD02
3F054BE09
3F054BJ02
3F054CA21
3F054CA32
3F054CA37
3F343FA04
3F343FB07
3F343FC18
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA16
3F343KB17
3F343KB20
3F343LA03
3F343LA12
(57)【要約】
【課題】紙葉類の束に混入した異物の有無の検出精度を高める。
【解決手段】紙葉類取扱装置は、紙葉類の束を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送された紙葉類の束から紙葉類を繰り出す繰出し機構と、紙葉類の束に混入した異物の有無を検出する検出部と、を備える。検出部は、繰出し機構によって繰り出されて落下した紙葉類が接触する振動体と、振動体に生じる振動を検出する検出器と、を有し、検出器の検出結果に基づいて異物の有無を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の束を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された前記紙葉類の束から紙葉類を繰り出す繰出し機構と、
前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、前記繰出し機構によって繰り出されて落下した紙葉類が接触する振動体と、前記振動体に生じる振動を検出する検出器と、を有し、前記検出器の検出結果に基づいて前記異物の有無を検出する、紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記繰出し機構は、前記紙葉類の束から紙葉類を1枚ずつ叩いて前記振動体の上に落下させる叩き落とし部材を有する、
請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記検出部から送られた紙葉類が収容される収容部を更に備え、
前記振動体は、紙葉類が接触する接触面を有し、前記接触面上に落下した紙葉類が、前記接触面上を滑り落ちて前記収容部へ送られるように、前記接触面が鉛直方向に対して傾斜されている、
請求項1または2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記振動体の前記接触面上から送られた紙葉類が載置される載置台を有し、
前記載置台は、前記振動体から前記載置台に送られた前記異物を前記収容部から排出する排出部を有する、
請求項3に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記排出部は、前記載置台に形成された排出口と、前記排出口から前記紙葉類取扱装置の外部へ前記異物を送る排出路と、を有する、
請求項4に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
紙葉類の束を搬送機構によって搬送し、
前記搬送機構によって搬送された紙葉類の束から紙葉類を振動体の上へ落下させるように繰出し機構によって繰り出し、
前記振動体に生じる振動の検出結果に基づいて、前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検出する、異物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置及び異物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類取扱装置としては、例えば、現金自動預払機(Automated Teller Machine)等の紙幣取扱装置が知られている。この種の紙幣取扱装置には、例えば、紙幣を束ねる紙幣用のクリップや、硬貨等の異物が、入金される紙幣に混入する場合があり、紙幣に混入した異物の有無を検出する検出部を備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-142741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の検出部としては、紙幣に混入した金属量に基づいて異物を検出する金属センサを有するものがある。しかし、例えば、磁気印刷等が施された紙幣自身の金属含有量が多い紙幣を取り扱う場合、金属センサは、異物の混入が無い紙幣に対しても異物が混入したと誤検出するおそれがある。また、金属センサは、紙幣取扱装置において、金属センサが配置された箇所の周囲に存在する金属板等を異物として誤検出するおそれがある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、紙葉類の束に混入した異物の有無の検出精度を高めることができる紙葉類取扱装置及び異物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様は、紙葉類の束を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送された前記紙葉類の束から紙葉類を繰り出す繰出し機構と、前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記繰出し機構によって繰り出されて落下した紙葉類が接触する振動体と、前記振動体に生じる振動を検出する検出器と、を有し、前記検出器の検出結果に基づいて前記異物の有無を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様によれば、紙葉類の束に混入した異物の有無の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式的な縦断面図である。
図2図2は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式的な平面図である。
図3図3は、実施例における検出部が検出した加速度の変化を示す図である。
図4図4は、異物なしの場合の固有振動を示す図である。
図5図5は、異物ありの場合の固有振動を示す図である。
図6図6は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図7図7は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図8図8は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図9図9は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図10図10は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図11図11は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図12図12は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図13図13は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図14図14は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図15図15は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するための模式的な縦断面図である。
図16図16は、実施例の紙幣取扱装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する紙葉類取扱装置及び異物検出方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類取扱装置及び異物検出方法が限定されるものではない。
【実施例0010】
(紙幣取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式的な縦断面図である。図2は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式的な平面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、入金する紙幣束2Aが挿入される挿入口(入金口)4と、挿入口4から入金された紙幣束2Aを搬送する搬送機構6と、搬送機構6によって搬送された紙幣束2Aから紙幣2を繰り出す繰出し機構7と、紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検出する検出部8と、を備える。また、紙幣取扱装置1は、検出部8から送られた紙幣2が収容される収容部9と、収容部9から送られた紙幣2の真贋を鑑別する鑑別部10と、各部6~10の制御を行う制御部11と、を備える。
【0012】
説明の便宜上、図1において紙幣取扱装置1を挿入口4が位置する前面側から見て、紙幣取扱装置1の幅方向をX方向、紙幣取扱装置1の前後方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。図1以降の図面においても、図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。また、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣2を用いるが、紙幣2に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0013】
また、本実施例において紙幣束2Aとは、例えば、100枚~200枚程度の紙幣2が重ねられた束を指すが、紙幣束2Aにおける紙幣2の枚数が限定されるものではない。実施例における紙幣束2Aには、例えば、2枚の紙幣2が重ねられた束が含まれる。検出部8が検出する対象となる異物3には、紙幣束2Aの内部に存在する硬貨、クリップ等に限定されず、紙幣束2Aの紙面2s上の載せられた硬貨や、紙幣束2Aの紙面2s上に位置するクリップ等が含まれる。ここで紙幣束2Aの紙面2sとは、紙幣束2Aにおける最も上に配置された紙幣2の印刷面を指す。
【0014】
(搬送機構)
搬送機構6は、挿入口4から収容部9へ紙幣束2Aが搬送される搬送路12と、搬送路12に沿って往復移動するシャトルトレイ13と、シャトルトレイ13に対して紙幣束2AをY方向に移動させる移送ベルト14と、シャトルトレイ13を搬送路5に沿ってY方向に搬送する搬送ベルト15と、を有する。また、搬送機構6は、シャトルトレイ13が有する後述の上シャトル部材13Bを昇降させるシャトル昇降機構(不図示)と、シャトルトレイ13が有する後述のストッパ部材13Cを開閉するストッパ開閉機構(不図示)と、を有する。
【0015】
紙幣束2Aは、利用者により、矩形状の紙幣2の短辺に沿って挿入口4へ挿入される。搬送路12は、挿入口4に対する紙幣束2Aの挿入方向(Y方向)に沿って設けられている。したがって、紙幣束2Aは、紙幣2の短辺に沿って搬送路12を搬送される。
【0016】
シャトルトレイ13は、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対してこの紙幣束2Aを挟んで搬送する一対の下シャトル部材13A及び上シャトル部材13Bと、下シャトル部材13Aに載せられた紙幣束2Aの位置を規制するストッパ部材13Cと、を有する。
【0017】
下シャトル部材13Aは、挿入口4から挿入された紙幣束2Aが載せられる載置面16を有する。上シャトル部材13Bは、下シャトル部材13Aの載置面16との間に紙幣束2Aを挟むように上下方向(Z方向)に昇降可能に設けられている。シャトルトレイ13には、シャトルトレイ13への紙幣束2Aの挿入を検出する挿入センサ(不図示)が設けられており、挿入口4からの紙幣束2Aの挿入を検出したときに、シャトル昇降機構(不図示)によって上シャトル部材13Bが下シャトル部材13A側へ下降される。これにより、搬送機構6は、上シャトル部材13Bと下シャトル部材13Aによって、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対して紙幣束2Aを挟んだ状態で搬送する。
【0018】
ストッパ部材13Cは、シャトルトレイ13における収容部9側の端部に、シャトルトレイ13に対して上下方向(Z方向)にスライド可能に設けられている。ストッパ部材13Cは、シャトルトレイ13が収容部9側へ移動したときにシャトルトレイ13における収容部9側の端部の開口を開くことで、この開口を通して、シャトルトレイ13内から収容部9内へ紙幣束2Aを繰り出し可能になる。
【0019】
移送ベルト14は、下シャトル部材13Aの載置面16に沿って搬送方向(Y方向)に移動するように、下シャトル部材13Aに設けられている。移送ベルト14は、載置面16に載せられた紙幣束2Aを、シャトルトレイ13内における奥側(収容部9側)へ引き込むように移動させる。
【0020】
搬送ベルト15は、搬送路5の幅方向(X方向)の両側に、搬送方向(Y方向)に沿って配置されている。搬送機構6は、紙幣束2Aが載せられたシャトルトレイ13を搬送ベルト15によって送ることで、挿入口4から挿入された紙幣束2Aを搬送路5に沿って収容部9へ搬送する。シャトルトレイ13が収容部9へ搬送された後、搬送機構6は、移送ベルト14によって紙幣束2Aをシャトルトレイ13に対して収容部9側へ移動させることで、紙幣束2Aにおける収容部9側の端部(以下、紙幣束2Aの前端部とも称する。)を、シャトルトレイ13の開口から送り出す。
【0021】
(繰出し機構)
繰出し機構7は、シャトルトレイ13上の紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ繰り出すピックローラ17と、紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ叩いて後述する振動板21の上に落下させる叩き落とし部材としての羽根車18と、ピックローラ17を回転させるローラ駆動機構(不図示)と、羽根車18を回転させる叩き落とし機構(不図示)と、を有する。
【0022】
ピックローラ17は、シャトルトレイ13から送り出される紙幣束2Aの前端部の上方に、紙幣束2Aの紙面2sに接するように配置されている。羽根車18は、回転軸18aに回転可能に支持されており、Y-Z平面に沿って回転する複数の板状の羽根18bを有する。羽根車18の各羽根18bは、ピックローラ17によって紙幣束2Aから繰り出された紙幣2の前端部に接するように配置されている。
【0023】
繰出し機構7は、羽根車18の羽根18bによって紙幣2を叩き落とすことにより、紙幣束2Aから繰り出された紙幣2を速やかに落下させ、かつ、所定の位置へ落下させることが可能になる。なお、叩き落とし部材としては、羽根車18に限定されず、紙幣2を叩き落とすことが可能な部材であれば他の形状であってもよい。また、繰出し機構7は、叩き落とし部材を備える構成に限定されず、叩き落とし部材を用いずにシャトルトレイ13から紙幣2を振動板21の近傍へ繰り出すように構成されてもよい。
【0024】
なお、繰出し機構7は、紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ繰り出すものに限定されず、2枚以上の紙幣2を同時に繰り出してもよい。例えば、紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ繰り出す場合であっても、クリップで束ねられた複数枚の紙幣2を繰り出す場合については、紙幣2を1枚ずつ繰り出す場合に含む。
【0025】
(検出部)
検出部8は、繰出し機構7によって繰り出されて落下した紙幣2が接触する振動体としての振動板21と、振動板21に生じる振動を検出する検出器22と、を有しており、検出器22の検出結果に基づいて異物3の有無を検出する。
【0026】
振動板21は、紙幣2が接触する接触面21aを有しており、シャトルトレイ13から接触面21a上に落下した紙幣2や異物3が、接触面21a上を滑り落ちて収容部9へ送られるように、接触面21aが鉛直方向(Z方向)に対して傾斜されている。このように紙幣2や異物3が自重で振動板21上から収容部9へ送り出されることで、紙幣2や異物3を振動板21上から収容部9へ送り出す機構が不要となるので、紙幣取扱装置1の構造を簡素化できる。
【0027】
検出器22は、例えば、加速度センサ(振動センサ)が用いられており、振動板21の接触面21aの裏面に固定されている。検出器22は、制御部11と電気的に接続されており、紙幣2や異物3の接触によって振動板21に生じた加速度の検出値を制御部11へ送信する。
【0028】
(収容部)
収容部9は、検出部8から送られた紙幣2が載置される載置台としてのステージ25と、ステージ25上に載置された紙幣2をその厚さ方向(Z方向)へ押圧するプッシャ26と、プッシャ26と共にステージ25を昇降させる昇降機構27と、ステージ25上から紙幣2を鑑別部10へ送り出す送出機構28と、を有する。
【0029】
ステージ25には、振動板21の接触面21aに接触した紙幣2が載置される載置面25aを有しており、載置面25a上に紙幣2が集積されて載置される。ステージ25の外周部には、振動板21上からステージ25上へ送られた紙幣2の位置を規制する規制壁(不図示)が、振動板21に隣り合う側を除く周囲に形成されており、ステージ25上へ送られた紙幣2の位置が乱れることが規制壁(不図示)によって抑えられている。図示しないが、ステージ25に規制壁を形成する代わりに、収容部9の周壁が規制壁を兼ねてもよい。
【0030】
また、ステージ25は、振動板21上からステージ25上に送られた異物3を、収容部9から紙幣取扱装置1の外部へ排出する排出部31を有する。排出部31は、ステージ25上に形成された排出口31aと、排出口31aから紙幣取扱装置1の外部へ異物3を送る排出路31bと、排出路31bと接続されて紙幣取扱装置1の外側に配置された返却口(不図示)と、を有する。これにより、紙幣束2Aに混入した異物3を収容部9から容易に回収することが可能になり、紙幣取扱装置1の外側の返却口(不図示)から異物3を容易に回収できる。
【0031】
なお、実施例における収容部9は、異物3の排出部31を備えるが、この構成に限定されない。紙幣取扱装置1は、検出部8によって異物3が検出された場合に、例えば、紙幣取扱装置1を停止させると共に、図示しない表示パネル等の報知部によって異物3の検出を保守作業員へ報知することにより、保守作業員によって紙幣取扱装置1の内部から異物3が取り除かれるように構成されてもよい。
【0032】
送出機構28は、ステージ25上の紙幣2を1枚ずつ送り出す送出ローラ28aを有する。ステージ25が送出機構28に隣接する位置まで下降された後、送出機構28は、ステージ25上から紙幣2を1枚ずつ送り出す。
【0033】
鑑別部10は、収容部9の送出機構28によって送り出された紙幣2が送られる搬送路10aと、搬送路10aに沿って送られる紙幣2を鑑別するイメージセンサ10bと、を有する。
【0034】
制御部11としては、紙幣取扱装置1の内部に設けられた制御基板の制御回路が用いられるが、これに限定されず、紙幣取扱装置1と接続された外部コンピュータが用いられてもよい。
【0035】
(紙幣束に混入した異物の検出原理)
図3は、実施例における検出部8が検出した加速度の変化を示す図である。図4は、異物なしの場合の固有振動を示す図である。図5は、異物ありの場合の固有振動を示す図である。
【0036】
図3に示すように、検出部8は、搬送機構6のシャトルトレイ13から落下した紙幣2や異物3が、検出部8の振動板21に接触したときに、振動板21に生じた加速度の変化を検出する。検出部8は、例えば、加速度の検出値を制御部11へ送信し、加速度の検出値に基づいて制御部11が振動板21に生じた固有振動数を算出し、固有振動数に基づいて振動板21に紙幣2と異物3のいずれが接触したかを判断する。なお、制御部11が固有振動数の算出及び判断を行う構成に限定されず、例えば、固有振動数の算出及び判断の少なくともいずれか一方を行う処理回路を検出部8が備えるように構成されてもよい。
【0037】
図4に示すように、振動板21に生じた固有振動における振幅が閾値T以下となって、振幅が緩やかに減衰する場合、振動板21に紙幣2が接触したと制御部11が判断し、紙幣束2Aに混入した異物3が検出されず、異物なしと判断される。
【0038】
図5に示すように、振動板21に生じた固有振動における振幅が閾値Tを超えて、振幅が急激に減衰する場合、振動板21に異物3が接触したと制御部11が判断し、紙幣束2Aに混入した異物3が検出され、異物ありと判断される。
【0039】
(紙幣取扱装置の動作)
以上のように構成された実施例の紙幣取扱装置1の動作について説明する。図6図15は、実施例の紙幣取扱装置1の動作を説明するための模式的な縦断面図である。図16は、実施例の紙幣取扱装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
紙幣取扱装置1は、図6及び図16に示すように、利用者によって挿入口4に紙幣束2Aが挿入される(ステップS1)。紙幣取扱装置1は、図7及び図16に示すように、挿入口4へ挿入された紙幣束2Aをシャトルトレイ13内へ引き込み、上シャトル部材13Bを下シャトル部材13A側へ下降させることでシャトルトレイ13に紙幣束2Aを挟み込む(ステップS2)。
【0041】
続いて、紙幣取扱装置1は、搬送機構6によってシャトルトレイ13を紙幣取扱装置1の内部へ移動し(ステップS3)、紙幣束2Aを収容部9側へ送る。紙幣束2Aを収容部9側へ送った後、紙幣取扱装置1は、図8及び図16に示すように、ストッパ部材13Cを下降させて、シャトルトレイ13における収容部9側の開口を開く(ステップS4)。続いて、紙幣取扱装置1は、移送ベルト14によって紙幣束2Aの前端部をシャトルトレイ13内から繰り出し、紙幣束2Aをピックローラ17に接する位置まで移動させる(ステップS5)。
【0042】
次に、紙幣取扱装置1は、繰出し機構7のピックローラ17で紙幣束2Aの紙幣2を1枚ずつに分離しながら、シャトルトレイ13から紙幣2を1枚ずつ繰り出す(ステップS6)。紙幣取扱装置1は、図9図10及び図16に示すように、シャトルトレイ13から繰り出された紙幣2を、羽根車18の羽根18bで叩き落とし、振動板21の接触面21aに接するように振動板21へ落下させる(ステップS7)。
【0043】
紙幣取扱装置1は、紙幣2が振動板21へ落下したときに、検出部8の検出器22によって振動板21に生じた加速度を検出することにより、紙幣2の落下時の振動を計測する(ステップS8)。これと同様に、シャトルトレイ13からの紙幣2の繰り出しに伴って、紙幣束2Aに混入した異物3が振動板21へ落下した場合も、紙幣取扱装置1は、検出部8の検出器22によって振動板21に生じた加速度を検出することにより、異物3の落下時の振動を計測する。
【0044】
続いて、紙幣取扱装置1の制御部11は、検出部8から送信された測定データを変換し(ステップS9)、固有振動数を算出する。次に、紙幣取扱装置1は、測定データから得られた固有振動の振動が閾値T以下であるか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において、固有振動の振幅が閾値T以下の場合(Yes)、制御部11は、振動板21へ紙幣2が落下したと判断、すなわち、異物なしと判断する。
【0045】
また、図10及び図11に示すように、振動板21へ落下した紙幣2は、振動板21の接触面21a上を滑り落ちてステージ25上へ送られる。続いて、紙幣取扱装置1は、例えば、昇降機構27を駆動してステージ25を揺らすことで、ステージ25上の紙幣2が所定位置になるように整頓する(ステップS11)。紙幣取扱装置1の収容部9は、ステージ25上に載置された紙幣2を揺らして紙幣2の位置を整えるための揺動機構(不図示)を備えてもよい。
【0046】
そして、紙幣取扱装置1は、図12に示すように、シャトルトレイ13上の紙幣束2Aが全てステージ25上に集積されたとき、図13に示すように、プッシャ26を下降させ、ステージ25上の紙幣束2Aをプッシャ26との間に挟み込む。続いて、紙幣取扱装置1は、図14及び図16に示すように、プッシャ26とステージ25を送出機構28の位置まで下降させ(ステップS12)、送出機構28によってステージ25上の紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ鑑別部10へ送り出す。紙幣取扱装置1は、ステージ25上の紙幣束2Aを全て鑑別部10へ送り出した後、次の取扱処理を開始する(ステップS13)。
【0047】
また、上述したステップS10において、固有振動の振幅が閾値Tを超えた場合(No)、制御部11は、振動板21へ異物3が落下したと判断、すなわち、異物ありと判断する。紙幣取扱装置1は、異物ありと判断した場合、例えば、紙幣束2Aの取扱処理のエラー終了となり(ステップS14)、取扱処理を停止して保守作業員による点検作業等を待機する。なお、実施例では、振動板21へ落下した異物3は、振動板21の接触面21a上を滑り落ちてステージ25上へ送られ、例えば、ステージ25の排出部31から返却口(不図示)へ排出される。
【0048】
(異物検出方法)
以上のように構成された実施例の紙幣取扱装置1において、紙幣束2Aに混入した異物3を検出する異物検出方法について説明する。実施例の異物検出方法は、紙幣束2Aを搬送機構6によって搬送し、搬送機構6によって搬送された紙幣束2Aから紙幣2を振動板21の上へ落下させるように繰出し機構7によって繰り出し、振動板21に生じる振動の検出結果に基づいて、紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検出する。
【0049】
(実施例の効果)
上述したように実施例の紙幣取扱装置1は、紙幣束2Aを搬送する搬送機構6と、搬送機構6によって搬送された紙幣束2Aから紙幣2を繰り出す繰出し機構7と、紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検出する検出部8と、を備える。検出部8は、繰出し機構7によって繰り出されて落下した紙幣2が接触する振動板21と、振動板21に生じる振動を検出する検出器22と、を有し、検出器22の検出結果に基づいて異物3の有無を検出する。これにより、異物3を検出する金属センサを用いる場合と比べて、紙幣束2Aに混入した異物3の有無の検出精度を高めることができる。
【0050】
また、実施例の紙幣取扱装置1の繰出し機構7は、紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ叩いて振動板21の上に落下させる羽根車18を有する。これにより、紙幣束2Aから繰り出された紙幣2を速やかに落下させ、かつ、所定の位置へ落下させることが可能になる。その結果、紙幣取扱装置1の取扱処理の効率を高めると共に、検出部8の検出精度を高めることができる。
【0051】
また、実施例の紙幣取扱装置1の検出部8の振動板21は、紙幣2が接触する接触面21aを有し、接触面21a上に落下した紙幣2が、接触面21a上を滑り落ちて収容部9へ送られるように、接触面21aが鉛直方向(Z方向)に対して傾斜されている。このように紙幣2や異物3が自重で振動板21上から収容部9へ送り出されることで、紙幣2や異物3を振動板21上から収容部9へ送り出す機構が不要となるので、紙幣取扱装置1の構造を簡素化できる。
【0052】
また、実施例の紙幣取扱装置1の収容部9は、振動板21の接触面21a上から送られた紙幣2が載置されるステージ25を有しており、ステージ25が、振動板21からステージ25に送られた異物3を収容部9から排出する排出部31を有する。これにより、紙幣束2Aに混入した異物3を収容部9から容易に回収することができる。
【0053】
また、実施例の紙幣取扱装置1の収容部9におけるステージ25の排出部31は、ステージ25に形成された排出口31aと、排出口31aから紙幣取扱装置1の外部へ異物3を送る排出路31bと、を有する。これにより、紙幣取扱装置1の外部から異物3を容易に回収することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 紙幣取扱装置(紙葉類取扱装置)
2 紙幣(紙葉類)
2A 紙幣束(紙葉類の束)
3 異物
6 搬送機構
7 繰出し機構
8 検出部
9 収容部
18 羽根車
21 振動板(振動体)
21a 接触面
22 検出器
25 ステージ(載置台)
31 排出部
31a 排出口
31b 排出路
図1
図2
図3
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図10
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