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特開2024-10196設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010196
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240116BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20240116BHJP
   G06F 111/02 20200101ALN20240116BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06F111:02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190702
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019109188の分割
【原出願日】2019-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】米倉 孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 一郎
(57)【要約】
【課題】免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮することのできる、設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムを提供すること。
【解決手段】属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援装置50であって、格納部560と判定部540と表示部550とを少なくとも有し、格納部560には、オブジェクトの一つとして免震装置が格納され、免震装置に関する属性情報として、免震装置の稼働域が格納されており、判定部540において、稼働域に他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、表示部550にエラーが表示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援装置であって、
前記設計支援装置は、格納部と判定部と表示部とを少なくとも有し、
前記格納部には、前記オブジェクトの一つとして免震装置が格納され、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域が格納されており、
前記判定部において、前記稼働域に他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、前記表示部にエラーが表示されることを特徴とする、設計支援装置。
【請求項2】
前記格納部には、前記免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材と、が前記オブジェクトとして格納されており、
前記判定部において、前記連絡部材が変形可能部材であることが確認できないと判定された際に、前記表示部にエラーが表示されることを特徴とする、請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記格納部には、前記連絡部材の稼働域が前記属性情報として格納されており、
前記判定部において、前記連絡部材の稼働域に前記他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、前記表示部にエラーが表示されることを特徴とする、請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記オブジェクトの属性情報として、隣接する他のオブジェクトとの間の最小離間長さが含まれており、
前記判定部において、隣接する二つの前記オブジェクトの離間長さが前記最小離間長さ未満であると判定された際に、前記表示部にエラーが表示されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の設計支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の設計支援装置と、通信装置と、を備える複数のユーザ端末と、
複数の前記ユーザ端末がネットワークを介して通信可能に接続され、前記BIMモデルに関するデータを格納する共有サーバと、を有することを特徴とする、設計支援システム。
【請求項6】
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援方法であって、
前記オブジェクトの一つとして免震装置を格納し、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域を格納する格納工程と、
前記稼働域と他のオブジェクトの干渉の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記稼働域に前記他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、表示部においてエラーを表示する表示工程と、を有することを特徴とする、設計支援方法。
【請求項7】
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援プログラムであって、
前記オブジェクトの一つとして免震装置を格納し、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域を格納する格納工程と、
前記稼働域と他のオブジェクトの干渉の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記稼働域に前記他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、表示部においてエラーを表示する表示工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の設計において、BIM(Building Information Modeling)を実現するCAD(Computer aided design)を用いることにより、建築物のBIMを実現する三次元図面や二次元図面といったCAD図面が作成される。建築物のBIMは、建築物を構成する梁や柱、床版等の構造躯体や、配管、各種機器等を含む様々なオブジェクトにより構成され、各オブジェクトには、三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報等、様々な属性情報が紐付けされている。BIMを実現するCAD図面を用いることにより、建築物の意匠設計から構造設計、設備設計といった各種の設計段階から、実施工段階、さらには、施工後のメンテナンス段階に至る建築物のライフサイクルにおいて、建築物を構成する各オブジェクトに蓄積された情報を活用することができ、都度効率的な業務を行うことが可能になる。
【0003】
例えば、建築物の三次元モデルであるベースモデルを生成し、建築設計担当者、構造設計担当者、設備設計担当者、積算担当者等の複数の職能が、ベースモデルから得られる各情報を参照して、三次元モデルである職能モデルを生成すると共に、建築主の要求事項に関する情報から定まる、建築物の各要素の属性情報をベースモデルに付与する建築設計施工計画方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-230577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のBIMを用いた建築物のCAD図面の作成においては、実在するオブジェクト同士の干渉の有無がチェックされ、干渉が生じる場合は、一方のオブジェクトの配設位置を変更したり、一方のオブジェクトに貫通孔を設けることにより、他方のオブジェクトを当該貫通孔に貫通させて干渉を回避する等の措置を講じている。
【0006】
ところで、建築物の基礎に免震装置が配設されている基礎免震建物や、建築物の中間層に免震装置が配設されている中間層免震建物、建築物の架構と屋根の間に免震装置が配設されている屋根免震建物といった各種の免震建物においては、地震時に免震装置が稼働することにより、地盤の揺れの周期と建築物の揺れの周期を相違させ、地震エネルギを免震装置にて吸収することができる。このように免震装置が稼働することから、免震装置の稼働域内において、免震装置から独立して存在する(免震装置の変位の際に免震装置との間で相対変位が生じる)オブジェクトが存在する場合、当該オブジェクトと変位する免震装置との間で干渉が生じ得る。
【0007】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮することのできる、設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による設計支援装置の一態様は、
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援装置であって、
前記設計支援装置は、格納部と判定部と表示部とを少なくとも有し、
前記格納部には、前記オブジェクトの一つとして免震装置が格納され、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域が格納されており、
前記判定部において、前記稼働域に他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、前記表示部にエラーが表示されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による設計支援システムの一態様は、
前記設計支援装置と、通信装置と、を備える複数のユーザ端末と、
複数の前記ユーザ端末がネットワークを介して通信可能に接続され、前記BIMモデルに関するデータを格納する共有サーバと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による設計支援方法の一態様は、
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援方法であって、
前記オブジェクトの一つとして免震装置を格納し、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域を格納する格納工程と、
前記稼働域と他のオブジェクトの干渉の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記稼働域に前記他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、表示部においてエラーを表示する表示工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明による設計支援プログラムの一態様は、
属性情報を含む複数のオブジェクトを有する建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援プログラムであって、
前記オブジェクトの一つとして免震装置を格納し、該免震装置に関する前記属性情報として、該免震装置の稼働域を格納する格納工程と、
前記稼働域と他のオブジェクトの干渉の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記稼働域に前記他のオブジェクトが干渉すると判定された際に、表示部においてエラーを表示する表示工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムによれば、免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る設計支援装置を備える、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】共有サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】設計支援装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】設計支援システムにおいて用いられるデータ構成の一例を示す図である。
図6】価格表データの一例を示す図である。
図7】コストデータの一例を示す図である。
図8】CADデータの一例を示す図である。
図9】免震装置の属性情報の一例を示す図である。
図10】施工計画データの一例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。
図12】ベース躯体と上載躯体の間の免震層の一例を示す側面図である。
図13】第2の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。
図14】免震配管の様々な例を示す図である。
図15】免震層におけるケーブルの設置例を示す斜視図である。
図16】第3の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。
図17】フレキシブル配管の一例の稼働域を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のb方向矢視図であり、(c)は(a)のc方向矢視図である。
図18】フレキシブル配管の他例の稼働域を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のb方向矢視図である。
図19】フレキシブル配管のさらに他例の稼働域を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のb方向矢視図である。
図20】フレキシブル配管のさらに他例の稼働域を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のb方向矢視図である。
図21】第4の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。
図22】制約の一例を示す図である。
図23】制約の他例を示す図である。
図24】制約のさらに他例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムの一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0015】
[実施形態に係る設計支援システム]
はじめに、図1を参照して、実施形態に係る設計支援システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【0016】
設計支援システム40は、ユーザ端末10が、ネットワーク30を介して共有サーバ20と通信可能に接続されることにより形成される。ユーザ端末10は、構造設計ユーザ端末10A、設備設計ユーザ端末10B等を有し、さらに、積算ユーザ端末、施工計画ユーザ端末、実施工ユーザ端末(いずれも図示せず)等、様々なユーザ端末を含み得る。また、設備設計や施工計画等の段階で協同して作業を行う、資機材供給会社等の有する資機材供給会社端末(図示せず)等を含み得る。
【0017】
ネットワーク30には、有線通信、無線通信、携帯電話回線などにより構築される、インターネットやLAN(Local Area Network)、VAN(Value Added Network)等が適用される。尚、図示例の設計支援システム40は、一つのメーカー等の会社内部のみで情報共有がなされるクローズドネットワークであってもよいし、外部機関との間においても情報共有が可能なオープンネットワークを有する形態であってもよい。
【0018】
共有サーバ20は、ワークステーションやパーソナルコンピュータにより形成され、ユーザ端末10等から送信されてきた各種のコマンド(リクエスト)に応じて、当該ユーザ端末10等からの各種情報を受信して格納するとともに、当該ユーザ端末10等に対して格納されている各種情報を送信する。
【0019】
尚、共有サーバ20は、データ保管の他にも、各種のアプリケーションソフトウェアを複数のユーザが共有できるクラウドサーバであってもよい。
【0020】
構造設計ユーザ端末10Aと設備設計ユーザ端末10Bはそれぞれ、構造設計担当者と設備設計担当者が使用する端末であり、パーソナルコンピュータやタブレット等により形成される。
【0021】
設計支援システム40は、ユーザ端末10が建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成し、作成されたCAD図面を共有サーバ20に格納することにより各ユーザがCAD図面を共有するとともに、共有サーバ20に格納されている様々なデータがユーザ端末10に送信されるシステムである。
【0022】
例えば、構造設計ユーザは、構造設計ユーザ端末10Aにおいて、建築物を構成する複数のオブジェクトである、梁や柱、壁等に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報(これらをまとめて、「属性情報」と称する)を有する三次元モデルを作成し、作成された建築物のBIMモデルを共有サーバ20に格納する。設備設計ユーザは、共有サーバ20において格納されている建築物のBIMモデルを設備設計ユーザ端末10Bに取り込み、設備設計ユーザ端末10Bにおいて、建築物のBIMモデル内に各種の機器を設置していくことができる。設備設計ユーザが配管や各種の機器を組み込んでできる新たなBIMモデルは、共有サーバ20に格納され、構造設計ユーザは、荷重条件等が変更された新たなBIMモデルに対して、必要に応じて再度構造計算を実行し、梁や柱等のオブジェクトの仕様変更の有無を確認することができる。
【0023】
[実施形態に係る設計支援装置]
次に、図2及び図4を参照して、実施形態に係る設計支援装置の一例を説明するとともに、図3を参照して、共有サーバの一例について説明する。ここで、図2は、設計支援装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、図3は、共有サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。また、図4は、設計支援装置の機能構成の一例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、パーソナルコンピュータにより形成されるユーザ端末10は、設計支援装置50と、通信装置512とを有する。設計支援装置50は、CPU(Central Processing Unit)502、NVRAM(Non-Volatile RAM)504、RAM(Random Access Memory)506、ROM(Read Only Memory)508、及びHDD(Hard Disc Drive)510等を有し、各部はバスを介してデータを送受信可能に接続されている。
【0025】
ROM508には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM506は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU502は、RAM506にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD510には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM504には、各種の設定情報等が記憶される。
【0026】
通信装置512は、共有サーバ20と通信を行う装置であり、共有サーバ20から送信される各種データや信号を受信する受信部として機能するとともに、CPU502の指令に応じて設計支援装置50からの各種データや信号を共有サーバ20へ送信する送信部として機能する。
【0027】
また、図3に示すように、ワークステーションやパーソナルコンピュータにより形成される共有サーバ20は、CPU202、NVRAM204、RAM206、ROM208、HDD210、及び通信装置212等を有し、各部はバスを介してデータを送受信可能に接続されている。通信装置221は、ユーザ端末10等と通信を行う装置であり、ユーザ端末10から送信される各種データや信号を受信する受信部として機能するとともに、CPU202の指令に応じて各種データや信号をユーザ端末10へ送信する送信部として機能する。
【0028】
次に、設計支援装置50の有する各部の機能を、図4の他に、図5乃至図10を参照して説明する。ここで、図5は、設計支援システムにおいて用いられるデータ構成の一例を示す図である。
【0029】
図4に示すように、設計支援装置50は、入力部520、加工部530、判定部540、表示部550、及び格納部560を有する。
【0030】
入力部520は、キーボードやマウス、タッチパネル等により形成されており、ユーザは様々なデータを入力することができる。
【0031】
加工部530には、BIMソフトウェアが含まれており、例えば、構造設計ユーザは、加工部530において、予め構造計算されている計算モデルに基づいて、建築物に関するBIMモデルを作成する。ここで、構造計算は、不図示の構造計算部において実行される。構造計算部には、市販の構造計算ソフトウェアが含まれており、この構造計算に用いられている計算モデル(非BIMモデル)を、構造計算ソフトウェアとBIMソフトウェアを繋ぐ不図示の変換部においてBIMモデルに変換することにより、構造計算後のBIMモデルが作成される。ユーザが入力部520を操作することにより、BIMモデルに基づいたCAD図面を作成することができる。BIMモデルに基づいたCAD図面には、様々な角度から見た三次元図面の他、各階の平面図(伏図を含む)、立面図(軸組図を含む)、設備設計図等が含まれる。
【0032】
格納部560には、入力部520を介して入力された各種のデータや、共有サーバ20から受信された各種のデータが格納されるようになっている。格納部560に格納されるデータ構成の一例を図5に示す。
【0033】
格納部560には、例えば、設計データD01、施工データD02、運用データD03
、ライブラリデータD04、価格表データD05、仕様書データD06、設備データD0
7、及び属性情報データD08等が入力される。
【0034】
設計データD01、施工データD02、及び運用データD03は、図5に示すように、例えば、「意匠」、「構造」、「空調」、「衛生」及び「電気」等のように、各ユーザが各自のユーザ端末により作成されたデータを含む。例えば、設計データD01における「意匠」のデータには、建築物の意匠設計ユーザにより作成された、建築物のデザインに関する設計図等に関するデータが含まれる。
【0035】
ライブラリデータD04には、例えば、建築物を構成する複数のオブジェクトである、梁や柱、壁等に関する、仮想の三次元空間における「形状」に関するデータや、材質、寸法、配設位置等に関する「属性」に関するデータが含まれる。尚、本明細書において、「属性情報」には、オブジェクトに関する様々な情報が含まれ、「形状」に関する情報も「属性」に含まれるとしてよい。
【0036】
価格表データD05には、建築物の施工に際して調達される各種のオブジェクト(梁や柱、壁、床版等の資材、配管や各種機器等の設備)の価格を示すデータが含まれる。例えば、図6は、価格表データの一例を示す図である。図示するように、「オブジェクト1」、「オブジェクト2」及び「オブジェクト3」のように、それぞれの価格がオブジェクト名等に対応して入力され、格納部560に格納される。尚、図示する「オブジェクト2」のように、同一のオブジェクトに対して複数の価格が入力される場合もある。例えば、同一のオブジェクトであっても、調達先の相違や、大量購入等の仕入れ条件の相違により、価格が異なる場合があるため、価格表データD05には、図示する「オブジェクト2」のように、1つのオブジェクトに対して複数の価格が入力され得る。
【0037】
仕様書データD06と設備データD07には、建築物に設置される設備や部品等のオブジェクトの仕様に関するデータが含まれる。
【0038】
属性情報データD08には、例えば、BIMモデルについての様々な設定や、様々なオブジェクトに関する属性情報を示すデータが含まれる。具体的には、図示するように、「プロパティ(各種設定)」、「ID(Identification)」、「ソースファイル名」、「プロジェクト情報」、「ブロック名」、「計画書名」、「寸法」、「設置日」、「気温等の設置条件」、「領域情報(面積タイプ及び領域名等)」、「含有物等の素材情報」、「タイプのパラメータ」及び「作業データ」等、様々な属性に関する情報が含まれる。
【0039】
建築物を構成する各オブジェクト、設備や部品等の各オブジェクトに関する仕様等の情報は、文書データD10、スケルトンデータD11、及びテーブルデータD12等の形式で格納部560に格納される。
【0040】
BIMモデルは、少なくとも、CADデータD13と属性情報データD08により構成される。ここで、BIMモデルを利用するに当たり、例えば、文書データD10、スケルトンデータD11、もしくはテーブルデータD12等の他のデータが参照されてもよい。
【0041】
また、価格表データD05等により、例えば、コストデータD09が生成される。例えば、図7は、コストデータの一例を示す図である。図示するように、コストデータD09は、例えば、原価計算等に用いられるデータを含み、価格表データD05等により、各オブジェクトの価格を把握することができる。そして、BIMモデルにより、建築物に用いられる各オブジェクトの数量を把握することができる。また、「価格×数量」を計算することにより、「材料費」の内訳となる各オブジェクトのコストを把握することができる。
【0042】
設計データD01等が入力されることにより、例えば、設計図面であるCADデータD13等が格納部560に格納される。
【0043】
図8は、CADデータの一例を示す図である。図示するCADデータD13は、免震建物を構成する免震装置ISに関する3Dデータを示す。尚、CADデータD13は、3Dデータを様々な面で切断することにより形成される2D断面データや、CADデータD13を正面、上面、側面、及び底面から視認した2Dデータ等であってもよい。
【0044】
実施形態に係る設計支援装置50は、建築物の中でも主として免震装置ISを備えた免震建物に関するBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する、設計支援装置である。この免震建物には、建築物の基礎に免震装置が配設されている基礎免震建物や、建築物の中間層に免震装置が配設されている中間層免震建物、建築物の架構と屋根の間に免震装置が配設されている屋根免震建物といった各種の免震建物が含まれる。
【0045】
図示する免震装置ISは、ゴム板RPと鋼板SPを交互に積層し、加硫接着した積層ゴム体に鉛プラグを埋め込んで一体化した、鉛プラグ入りの積層ゴム免震支承を示しており、レベル2やレベル3といった大地震の際の最大変位がδと規定されている免震装置である。尚、免震装置としては、その他、ゴムと鋼板を交互に積層し、加硫接着した積層ゴム体の下端の鋼板にフッ素系樹脂滑り板が設けられた滑り材と、この滑り材がスライドするフッ素系樹脂コートを有する滑り相手材とからなる、弾性滑り装置であってもよい。また、下部構造体に設けられた十字型や井型のレール内に多数のボールベアリングが収容され、これら多数のボールベアリングで上部構造体を支持する転がり免震装置であってもよい。さらに、曲率を有する摺動面を備えた上沓及び下沓と、上沓と下沓の間で摺動するスライダーとからなる球面滑り装置であってもよい。さらに、免震装置は、ダンパーを内蔵する形態であってもよいし、免震層において、免震装置(免震支承)とは別に、ダンパーが設置される形態であってもよい。
【0046】
図9に示すように、格納部560には、IDがIS1,IS2といった複数の免震装置に関する属性情報が格納されている。例えば免震装置IS1は、設置場所が基礎上、すなわち、ベース躯体(基礎)と上載躯体(床梁)の間に設置される基礎免震建物を構成する免震装置であり、基礎伏図において、X1通りとY1通りの交点に設置されることが規定されている。また、平面視円形であり、その外径がφ1000mmであることが規定されている。
【0047】
さらに、免震装置の属性情報には稼働域に関する情報が含まれ、図示例の属性情報では、免震装置IS1の稼働域は、外径に対してさらに1000mmが付加された、稼働径φ2000mmが規定されている。免震装置は、構造設計ユーザもしくは設備設計ユーザにより、BIMモデルに導入されて、免震装置が組み込まれた免震建物に関するBIMモデルが作成される。
【0048】
BIMモデル等に基づいて、例えば、技術検討データD14、施工計画データD15、及び施工管理データD16等が生成される。図5に示すように、コストデータD09に基づいて、例えば、見積処理PS01、原価管理処理PS02、及び予算管理処理PS03等が実行される。これらの処理が実行されることにより、設計支援装置50は、例えば、設計図書FL1、請求書FL2、又は見積書FL3といった書類を作成することができる。具体的には、見積処理PS01に基づいて、請求書FL2と見積書FL3等に記載される金額等を算出することができる。
【0049】
原価管理処理PS02により、変動費及び固定費等といった原価管理に用いられる金額等が計算され、設計図書FL1等の書類に記載される金額等が算出される。
【0050】
予算管理処理PS03により、予算を管理するのに用いる金額等が計算される。例えば、予算の作成に際して用いる予想費用や工事進行基準における管理に用いられる進行度等が計算される。このように、予算管理処理PS03により、見積書FL3に記載される金額等を算出することができる。
【0051】
技術検討データD14により、例えば、熱・気流シミュレーションPS04や、静圧計算、揚程計算PS05等の処理が実行される。また、技術検討データD14により、架台、鋼材、吊・アンカー等の配置シミュレーションPS06等の処理が実行される。さらに、技術検討データD14により、騒音、消音、及び遮音といった音のシミュレーションPS07が実行される。他にも、技術検討データD14により、風量及び水量の分配計算、並びに風及び水等の漏れ量計算PS08等の処理が実行される。
【0052】
このように、技術検討データD14により、設計支援装置50は、様々なシミュレーション又は科学技術計算等の処理を実行でき、シミュレーション結果等を出力できる。
【0053】
施工計画データD15により、例えば、工程計画立案PS09、安全計画立案PS10、人工計画立案PS11、工法計画立案PS12、搬入計画立案PS13、及び試運転計画立案PS14等のような様々な計画を作成することができる。例えば、図10は、施工計画データの一例を示す図である。
【0054】
図示するように、施工計画データD15は、例えば、いわゆるガントチャート等の形式で日程等を示すデータであり、建築物の施工における作業日程を示すデータである。施工計画データD15により、施工計画データD15が示す各工程のスケジュール等に基づいて、工程計画を立案する工程計画立案PS09の処理等が実行される。
【0055】
同様に、各工程における安全についての計画、各工程における人員についての計画、各工程における工法についての計画、設備等を搬入する計画、及び試運転についての計画等が、安全計画立案PS10、人工計画立案PS11、工法計画立案PS12、搬入計画立案PS13、及び試運転計画立案PS14等の処理によって立案される。
【0056】
施工管理データD16は、建築物の施工における様々な管理に用いられるデータである。例えば、建築現場では、進捗、現品及び原価等が管理される。これらのうち、例えば、進捗及び現品を管理する際に施工管理データD16が用いられる。具体的には、施工管理データD16により、進捗管理PS15、発注・納品管理PS16、及び検査・記録管理PS17等の処理が実行される。例えば、進捗管理PS15、発注・納品管理PS16、及び検査・記録管理PS17等の処理により、管理表や記録等が作成される。
【0057】
変更データD17は、CADデータD13等に基づいて表示されるVR(Virtual Reality)上において、建築物に設置される資機材を変更する操作が行われることにより生成されるデータである。具体的には、建築物が設計され、CADデータD13等に設計内容等が入力されと、CADデータD13には、建築物における資機材の配置も入力される。このようなCADデータD13のVR表示等により、例えば、建築物の完成した様子等を仮想的に表示することができる。従って、ユーザは、仮想空間上において、建築物の完成した様子や建築物における資機材の配置等を設計段階でも見ることができる。このように、VR表示を利用して建築物の完成予想等を見せることにより、例えば、建築物の依頼者と、設計者との間の齟齬の発生が解消される。さらに、設備設計ユーザ等は、自身の意図と資機材の配置が異なる場合に、VR表示処理PS19にて表示されるVR表示を見て資機材の配置を変更する操作を行うことができる。
【0058】
このように、変更操作受付処理PS18により、資機材の配置を変更する操作が入力されると、操作内容、すなわち、配置が変更される資機材及び変更した後の資機材の位置等を示す変更データD17が生成される。そして、変更データD17に基づいて、CADデータD13等が変更される。その他、各情報をテーブル形式等で表示する「表出力」等が行われてもよい。さらに、CADデータD13を変換等することにより、2D図面で設計図等を表示する「2D図面出力」等が行われてもよい。また、各情報を携帯端末等に送受信する「現場等と情報共有」等が行われてもよい。さらに、建築物の建築に用いられる各情報を送受信する「製作情報の入出力」等が行われてもよい。
【0059】
図4に戻り、設計支援装置50は、格納部560において、上記する各種のデータを格納する。そして、設計支援装置50が主として設計対象とする、免震建物に関する図9に一例として示す属性情報が格納されている。
【0060】
加工部530において作成されたBIMモデルは、格納部560に格納されるとともに、表示部550に表示される。表示部550は、CPU502からの指令に基づいてユーザ用の操作画面を表示する機能を有し、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等により形成される。
【0061】
判定部540では、免震装置の稼働域と他のオブジェクトの干渉の有無が判定されるようになっている。例えば、構造設計ユーザにより作成された免震建物のBIMモデルに対して、設備設計ユーザが、免震装置が設けられている免震層において各種の配管や機器(他のオブジェクトに相当)を設置するに当たり、他のオブジェクトと免震装置の稼働域との干渉の有無が判定部540において判定される。
【0062】
判定部540において、他のオブジェクトと免震装置の稼働域とが干渉すると判定された場合は、表示部550にエラーが表示される。このエラー表示は、点灯表示、大文字表示、ブザー等の警報音声表示や、これらが組み合わされた表示を含む。
【0063】
表示部550にエラーが表示された場合、設備設計ユーザは、他のオブジェクトの配置位置を変更し、他のオブジェクトと免震装置の稼働域とが干渉しないように設置位置の見直しを行う。
【0064】
[第1の実施形態に係る設計支援方法]
次に、図11及び図12を参照して、第1の実施形態に係る設計支援方法の一例を説明する。ここで、図11は、第1の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートであり、図12は、ベース躯体と上載躯体の間の免震層の一例を示す側面図である。
【0065】
実施形態に係る設計支援方法の開始に当たり、構造設計ユーザによる免震建物に関する構造計算が実行され、構造計算結果に基づいて所定の耐震性能を有する免震建物(図示例は基礎免震建物)に関するBIMモデルが既に作成されているものとする。
【0066】
図12に示すように、基礎免震建物は、基礎を構成するベース躯体S1と、上載躯体S2との間に免震層SLを有しており、ベース躯体S1の上に固定されている免震装置ISが上載躯体S2を支持している。尚、免震層SLには複数の免震装置ISが存在するが、図示例はそのうちの一つの免震装置ISとその周辺を拡大して示している。実際には、例えば、基礎伏図等における、X1通り乃至Xn通りと、これらに直交するY1通り乃至Yn通りとの各格点に免震装置ISが取り付けられる。図12に示すように、床梁等により構成される上載躯体S2において、免震装置ISの直上位置には柱Cや壁(図示せず)が配設されており、上載躯体S2は、これらの床梁や柱C,壁等を含む建物の架構全体を指称する。
【0067】
図12に示すように、免震層SLには、冷水や空気等の流体が流通する各種の配管が取り付けられており、図示する配管や不図示の各種機器は免震建物に関するBIMモデルのオブジェクトに含まれ、設備設計ユーザにより、BIMモデルに組み込まれる。
【0068】
図12において、ベース躯体S1の上面には、基礎側架台R1が不図示のアンカーボルト等により固定され、上載躯体S2の下面には、上載躯体側架台R2が不図示のアンカーボルト等により固定されている。直管Pやベント管BP(エルボ)を相互にボルト接合することにより、所望する線形の配管(連絡部材の一例)が構成されるとともに、基礎側架台R1と上載躯体側架台R2に配管の一部を固定することにより、上載躯体S2からベース躯体S1に跨る配管(配管システム)が配設される。
【0069】
ここで、免震建物を構成する配管には、例えば大地震時に免震装置ISが変形した際に、この変形に追随する変形自在なフレキシブル配管FP1,FP2がその途中位置に介在している。配管の適所にフレキシブル配管FP1,FP2が介在することにより、例えば上載躯体S2に対してベース躯体S1が大きく振動し、この振動に起因して免震装置ISが大きく変形した場合において、配管全体が破損することなくベース躯体S1等の変形に追随することが可能になる。
【0070】
図11に示すフローチャートにおいては、図12に示す免震層SLにおいて、さらに別途の配管や各種機器等のオブジェクトを配置する(ステップS10)。
【0071】
ステップS10においてオブジェクトを配置した際に、このオブジェクトが免震装置の稼働域に存在するか否かが判定部540において判定される。図12に示すように、免震装置ISはその周囲(360度方向)に稼働域を有しており、図9に一例として示す属性情報が格納部560に格納されている(格納工程)。
【0072】
判定部540では、格納部560に格納されている免震装置ISの属性情報に含まれる稼働域を参照し、追加されたオブジェクトがこの稼働域に干渉するか否かを判定する(ステップS12、判定工程)。
【0073】
判定部540による判定の結果、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないと判定された場合は、オブジェクトの配置が確定される(ステップS14)。一方、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉すると判定された場合は、CPU502からの指令に基づいて表示部550にエラー表示が実行される(ステップS16、表示工程)。
【0074】
表示部550にエラーが表示された場合、設備設計ユーザは、オブジェクトの配置位置を変更し、オブジェクトと免震装置ISの稼働域とが干渉しないように設置位置の変更を行う(ステップS18)。そして、オブジェクトの再配置後、ステップS12が再度実行され、オブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないと判定された場合は、オブジェクトの配置が確定される(ステップS14)。
【0075】
尚、図11に示す設計支援方法は、設計支援装置50において実行される一連の処理フローでもあるが、この一連の処理フローを含むプログラムがコンピュータにインストールされることにより、設計支援装置50が形成されてもよい。
【0076】
[第2の実施形態に係る設計支援方法]
次に、図13乃至図15を参照して、第2の実施形態に係る設計支援方法の一例を説明する。ここで、図13は、第2の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。また、図14は、免震配管の様々な例を示す図であり、図15は、免震層におけるケーブルの設置例を示す斜視図である。
【0077】
図13に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートに続いて実行される。すなわち、第2の実施形態に係る設計支援方法は、第1の実施形態に係る設計支援方法を前提とし、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないことが判定された後、さらに、別の判定を実行する設計支援方法である。
【0078】
具体的には、判定部540において、追加されたオブジェクトが連絡部材か否かが判定される(ステップS20)。ここで、連絡部材とは、ベース躯体S1と上載躯体S2とに跨る配管等の部材である。例えば、連絡部材の属性情報に基づいて、その設置位置がベース躯体S1の一部と上載躯体S2の一部を示すこと、すなわち、ベース躯体S1の一部から上載躯体S2の一部に亘って延設していることが判定部540において判定された際には、当該オブジェクトが連絡部材であると判定される。
【0079】
追加されたオブジェクトが連絡部材であると判定された場合、さらに続いて、判定部540において、連絡部材が変形可能部材であるか否かが判定される(ステップS22)。
【0080】
ここで、図14は、変形可能部材の一例として、様々なフレキシブル配管を示している。図14において、(A)は、水平一本タイプで直線状のSUS製のフレキシブル配管FP11と、水平に湾曲したゴム製のフレキシブル配管FP12、さらには、鉛直に湾曲したゴム製のフレキシブル配管FP13を示しており、いずれも、基礎側架台R1と上載躯体側架台R2に固定されている状態を示している。ここで、「フレキシブル配管」には、フレキシブルホース、フレキシブル継手等が含まれる。
【0081】
また、(B)は、水平方向に直交する線形を有するフレキシブル配管FP14に対して、水平ダンパーHDが取り付けられている形態を示す。水平ダンパーHDにより、フレキシブル配管FP14が水平方向に過度に変形することが抑制され、また、変形を速やかに収束させることができる。
【0082】
また、(C)は、水平方向に直交する線形を有するフレキシブル配管FP15に対して、鉛直ダンパーVDが取り付けられている形態を示す。鉛直ダンパーHDにより、フレキシブル配管FP14が鉛直方向に過度に変形することが抑制され、また、変形を速やかに収束させることができる。尚、水平方向や鉛直方向に延設するフレキシブル配管に対して、水平ダンパーHDと鉛直ダンパーHDの双方が取り付けられていてもよい。
【0083】
さらに、(D)は、垂直一本タイプで直線状のSUS製のフレキシブル配管FP16と、鉛直方向に湾曲したゴム製のフレキシブル配管FP17を示している。
【0084】
このように、連絡部材が配管(配管システム)である場合において、配管が変形可能部材である形態には様々な形態が存在する。図示を省略するが、オブジェクトである連絡部材の属性情報として、ゴム製やSUS製といった材料種、変形可能である旨の表記、最大変形量等の表記の有無が判定部540において判定される。
【0085】
一方、図15には、連絡部材がケーブルの場合の設置例を示している。図示する免震層SLには、ケーブルCBの延設する方向に架け渡された複数のケーブルラックCRが設けられており、それぞれのケーブルラックCRの上にケーブルCBが配設される。そして、ケーブルCBの途中位置には余長部ELが存在しており、余長部ELにより、免震装置ISが変形した際にケーブルCBに過度の張力が作用してケーブルCBが破損するのを解消することができる。従って、連絡部材であるオブジェクトがケーブルである場合は、その属性情報として、余長部ELが存在する旨や、余長部ELの長さ等の表記の有無が判定部540において判定される。
【0086】
判定部540において、連絡部材が変形可能部材であることが確認された場合は、実施形態に係る設計支援方法は終了する。一方、判定部540において、連絡部材が変形可能部材であることが確認できない場合は、CPU502からの指令に基づいて表示部550にエラー表示が実行される(ステップS24)。
【0087】
ここで、「連絡部材が変形可能部材であることが確認できない場合」とは、連絡部材の属性情報として、上記例のように変形可能であることを示す何らかの情報が存在しない場合や、変形可能であることを示す情報の存在の真偽が不明な場合を含んでいる。
【0088】
表示部550にエラーが表示された場合、設備設計ユーザは、連絡部材の属性情報を確認し、必要に応じて、属性情報に対して、材料種や変形可能である旨の表記、最大変形量、余長部の長さ等の表記を追記する(ステップS26)。
【0089】
尚、図13に示す設計支援方法(より詳細には、図11に続く図13に示す設計支援方法)は、設計支援装置50において実行される一連の処理フローでもあるが、この一連の処理フローを含むプログラムがコンピュータにインストールされることにより、設計支援装置50が形成されてもよい。
【0090】
[第3の実施形態に係る設計支援方法]
次に、図16乃至図20を参照して、第3の実施形態に係る設計支援方法の一例を説明する。ここで、図16は、第3の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。また、図17乃至図20は、様々なフレキシブル配管における稼働域を示す図である。
【0091】
図16に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートや図13に示すフローチャートに続いて実行される。図示例は図11に示すフローチャートに続いて実行される形態を示しており、第3の実施形態に係る設計支援方法は、第1の実施形態に係る設計支援方法を前提とし、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないことが判定された後、さらに、別の判定を実行する設計支援方法である。尚、第3の実施形態に係る設計支援方法は、第1の実施形態に係る設計支援方法と、次いで第2の実施形態に係る設計支援方法を前提とし、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないことが判定され、さらに、連絡部材が変形可能部材であることが確認された後、さらに、別の判定を実行する設計支援方法であってもよい。
【0092】
具体的には、判定部540において、追加されたオブジェクトが連絡部材の稼働域に存在するか否かが判定される(ステップS30)。
【0093】
ここで、既述するようにフレキシブル配管には様々な形態が存在しており、各形態に応じて連絡部材の稼働域の設定も相違する。
【0094】
図17乃至図20に示す各配管はいずれも、給水、冷水、冷却水等を流通させる配管である。まず、図17に示す配管は、二つのフレキシブル配管FP20,FP21がエルボBPを介して接続され、水平方向に屈曲しながら延設しており、図17(b)、(c)に示すようにその上下において上載躯体側架台R2と基礎側架台R1に固定されるとともに、鉛直ダンパーVDにて上載架台S2から垂下されている。図17(a)、(b)、(c)における平面図、二方向の側面図における一点鎖線範囲が配管の稼働域SPとなる。フレキシブル配管FP20,FP21とエルボBPからなる配管(配管システム)の属性情報には、この三次元の稼働域SPに関する情報が記載されており、判定部540は、この稼働域SPに関する情報を確認することができる。尚、図17において、「L」は、例えばフレキシブル配管の長さであり、「A」には、例えば免震量+配管同士を繋ぐフランジの外径×0.5+100mmが設定でき、「B」には、例えばフレキシブル配管の長さ+ベント管(エルボ)の長さが設定でき、「C」には、例えばフレキシブル配管の端部からの免震量を設定できる。また、「H」には、例えば最小配管取り付け高さを設定できる。
【0095】
また、図18に示す配管は、鉛直方向に延設するSUS製のフレキシブル配管FP22の上下端にエルボBPが接続されており、それぞれのエルボBPに水平方向に延設する直管Pが接続されている。フレキシブル配管FP22は360度方向に変形自在であることから、図18(a)のb方向矢視図であって、平面図でもある図18(b)に示すように、基礎側架台R1の360度方向の移動に対してレキシブル配管FP22は追随することができる。従って、側面的に見た際の稼働域SPは、図18(a)に示す三角形の範囲となり、平面的に見た際の稼働域SPは、図18(b)に示すように直径φDの円形範囲となる。
【0096】
また、図19に示す配管は、鉛直方向に延設するゴム製で湾曲したフレキシブル配管FP23の上下端にエルボBPが接続されており、それぞれのエルボBPに水平方向に延設する直管Pが接続されている。フレキシブル配管FP23は360度方向に変形自在であることから、図19(a)のb方向矢視図であって、平面図でもある図19(b)に示すように、基礎側架台R1の360度方向の移動に対してフレキシブル配管FP23は追随することができる。従って、側面的に見た際の稼働域SPは、図19(a)に示す三角形の範囲となり、平面的に見た際の稼働域SPは、図19(b)に示すように直径φDの円形範囲となる。
【0097】
さらに、図20に示す配管は、水平方向に延設するU型のフレキシブル配管FP24の両端に水平方向に延設する直管P,エルボBP,及び鉛直方向に延設する直管Pが接続されている。図20(b)に示すように、ベース躯体S1と上載躯体S2が鉛直方向に遠近するように振動した際に、フレキシブル配管FP24は、例えば鉛直方向に幅Mだけ縮むと同時に水平方向にM/2だけ伸長し、これらを加味して稼働域が設定される。
【0098】
このように、適用される配管(もしくは配管システム)に応じた稼働域に関する情報が、その属性情報として記載される。
【0099】
図16に戻り、図16に示すフローチャートにおいては、例えば、図12に示す免震層SLにおいて、さらに別途の配管や各種機器等のオブジェクトを配置した際に、このオブジェクトが既に設置されている連絡部材(例えば配管)の稼働域に存在するか否かが判定部540において判定される。
【0100】
判定部540では、格納部560に格納されている配管(もしくは配管システム)の属性情報に含まれる稼働域を参照し、追加されたオブジェクトがこの稼働域に干渉するか否かを判定する(ステップS30)。
【0101】
判定部540による判定の結果、追加されたオブジェクトが既に設置されている連絡部材の稼働域に干渉しないと判定された場合は、オブジェクトの配置が確定される(ステップS32)。一方、追加されたオブジェクトが既に設置されている連絡部材の稼働域に干渉すると判定された場合は、CPU502からの指令に基づいて表示部550にエラー表示が実行される(ステップS34)。
【0102】
表示部550にエラーが表示された場合、設備設計ユーザは、オブジェクトの配置位置を変更し、オブジェクトと既に設置されている連絡部材の稼働域とが干渉しないように設置位置の変更を行う(ステップS36)。そして、オブジェクトの再配置後、ステップS30が再度実行され、オブジェクトが既に設置されている連絡部材の稼働域に干渉しないと判定された場合は、オブジェクトの配置が確定される(ステップS32)。
【0103】
尚、図16に示す設計支援方法(より詳細には、図11に続く図16に示す設計支援方法や、図11図13に続く図16に示す設計支援方法)は、設計支援装置50において実行される一連の処理フローでもあるが、この一連の処理フローを含むプログラムがコンピュータにインストールされることにより、設計支援装置50が形成されてもよい。
【0104】
[第4の実施形態に係る設計支援方法]
次に、図21乃至図24を参照して、第4の実施形態に係る設計支援方法の一例を説明する。ここで、図21は、第4の実施形態に係る設計支援方法の一例を示すフローチャートである。また、図22乃至図24は、様々な制約の例を示す図である。
【0105】
図21に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートに続いて実行される。すなわち、第4の実施形態に係る設計支援方法は、第1の実施形態に係る設計支援方法を前提とし、追加されたオブジェクトが免震装置ISの稼働域に干渉しないことが判定された後、さらに、別の判定を実行する設計支援方法である。
【0106】
具体的には、判定部540において、追加されたオブジェクトと、隣接するオブジェクトとの間の離間長さが最小離間長さ未満か否かが判定される(ステップS40)。
【0107】
ここで、図22に示すように、一方の配管P10と他方の配管20の二つの配管が間隔を置いて配置されるとする。そして、配管の最小離間長さは、様々な制約条件に基づいて設定されている。この条件としては、法規(消防法等)や、保湿材を施工するためのスペース、他の機器等への接続位置、社内ルール等が挙げられる。この配管の最小離間長さも、配管の属性情報に記載されており、判定部540はこの属性情報を確認することができる。
【0108】
例えば、図22(A)に示すように、配管P10と配管20とが最小離間長さ以上の離間DS1を確保している場合は、判定部540において、追加されたオブジェクトと、隣接するオブジェクトとの間の離間長さが最小離間長さ以上であると判定し、追加のオブジェクトの配置が確定する(ステップS42)。
【0109】
一方、図22(B)に示すように、配管P10と配管P20とが最小離間長さ未満の離間DS2しか確保していない場合は、判定部540において、追加されたオブジェクトと、隣接するオブジェクトとの間の離間長さが最小離間長さ未満であると判定し、CPU502からの指令に基づいて表示部550にエラー表示が実行される(ステップS44)。尚、図22(B)では、「間隔がルール違反である」旨の警報表示MEが表示されている。
【0110】
表示部550にエラーが表示された場合、設備設計ユーザは、オブジェクトの配置位置を変更し、オブジェクトと既に設置されているオブジェクトとの間の離間長さが最小離間長さ以上となるように設置位置の変更を行う(ステップS46)。そして、オブジェクトの再配置後、ステップS40が再度実行され、オブジェクトと既に設置されているオブジェクトとの間の離間長さが最小離間長さ以上と判定された場合は、オブジェクトの配置が確定される(ステップS42)。
【0111】
尚、図21に示す設計支援方法(より詳細には、図11に続く図21に示す設計支援方法)は、設計支援装置50において実行される一連の処理フローでもあるが、この一連の処理フローを含むプログラムがコンピュータにインストールされることにより、設計支援装置50が形成されてもよい。
【0112】
また、図23及び図24に示すような制約条件の設定が行われてもよい。図23に示す制約例は、ダクトが変更の対象に選択され、かつ、サイズ変更が選択された場合等において、図示するようなダクトの種類を変更するためのGUI(Graphical User Interface)が表示される例である。すなわち、GUIは、ダクトについて様々な仕様を変更できる設定画面PSET等である。具体的には、設定画面PSETは、設定できるパラメータごとに、いわゆるプルダウンメニュー等が設けられることにより構成される。
【0113】
図示する設定画面PSETの例では、「丸ダクト」のように、形状等を選ぶ設定ができる。同様に、図示する設定画面PSETの例では、「給気ダクト」のように、種類等を選ぶ設定ができる。また、図示する設定画面PSETの例では、「1,100m/h」のように、単位時間に送る流体の体積等を選ぶ設定ができる。また、図示する設定画面PSETの例では、「300」のようにサイズ等を選ぶ設定ができる。尚、設定できる種類等は図示例に限定されない。
【0114】
次に、図23を参照して、「サイズ」を選択するGUIの例であるプルダウンメニューPL1を説明する。この例においては、まず、ルールにより、ダクトの設置に関して単位圧損が1.0Pa/m以下が規定されているとする。このルールに基づいて、「300」未満のサイズはルール違反であるとする。このような場合には、プルダウンメニューPL1において、「300」未満のサイズを選択できないように設定される。すなわち、ルールのチェック結果として、「300」未満のサイズは、ルール違反であると判断される。このチェック結果を反映させて、「300」未満のサイズが仕入れ可能等である場合でも、図示するようにメニュー上に表示させない。このように、ルールのチェック結果がGUI等に反映されることにより、ユーザがルール違反となる変更を実行することが解消される。
【0115】
一方、図24に示す制約例は、図23と同様に、ダクトを設置するルールに基づいて、「300」未満のサイズはルール違反とする例である。しかしながら、図23とはチェック結果を反映させる方法が異なり、図示するように、色分けでルール違反となるサイズを知らせる制約例である。図示するように、「300」未満のサイズである「200」及び「250」には、「300」以上のサイズとは異なる色が付けられて表示される。このように、ルール違反となるサイズが色分け等によって区別されることにより、ユーザは、ルール違反となる変更を把握することができる。尚、複数のルールが設定される場合には、チェック結果も異なる場合がある。例えば、あるルールでは、「200」のサイズがルール違反となるチェック結果(以下「第1チェック結果」という。)であるとし、一方で、他のルールでは、「250」のサイズがルール違反となるチェック結果(以下「第2チェック結果」という。)であるとする。このように、ルールごとにチェック結果が異なる場合には、図示するように、それぞれのチェック結果を異なる色で分けて表示してもよい。
【0116】
図示例は、第1チェック結果を第1色C1で表示し、第2チェック結果を第2色C2で表示する例である。この例のように、チェック結果ごとに第1色C1や第2色C2に色分けされることにより、異なるルールに基づいて違反であると判断されたことが分かる。尚、制約方法は、図示するように、ルール違反となる項目を色分けすることに限定されず、例えば、ルール違反となる項目が選ばれた際にエラーを表示したり、ルール違反となる項目を強調したり、又は、ハッチングしたり、グレーアウトさせたりしてもよい。
【0117】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0118】
10 :ユーザ端末
10A :構造設計ユーザ端末
10B :設備設計ユーザ端末
20 :共有サーバ
30 :ネットワーク
40 :設計支援システム
50 :設計支援装置
520 :入力部
530 :加工部
540 :判定部
550 :表示部
560 :格納部
IS :免震装置
S1 :ベース躯体(基礎)
S2 :上載躯体(床梁)
SL :免震層
FP1,FP2: :フレキシブル配管(連絡部材)
FP11乃至FP24 :フレキシブル配管(連絡部材)
R1 :基礎側架台
R2 :上載躯体側架台
HD :水平ダンパー
VD :垂直ダンバー
CB :ケーブル(連絡部材)
EL :余長部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援装置であって、
前記設計支援装置は、格納部と判定部と表示部とを少なくとも有し、
前記格納部には、前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とが格納され、該免震装置の稼働域が特定可能に格納されており、
前記判定部は、少なくとも一つのオブジェクトの間隔に関するルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定し、
前記表示部は、前記ルールに違反すると判定された間隔を知らせることを特徴とする、設計支援装置。
【請求項2】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援装置であって、
前記設計支援装置は、格納部と判定部と表示部とを少なくとも有し、
前記格納部には、前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とが格納され、該免震装置の稼働域が特定可能に格納されており、
前記判定部は、少なくとも一つのオブジェクトの間隔を所定以上取るルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定し、
前記表示部は、前記ルールに違反する旨を報知することを特徴とする、設計支援装置。
【請求項3】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援方法であって、
前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とを格納し、該免震装置の稼働域を特定可能に格納する格納工程と、
少なくとも一つのオブジェクトの間隔に関するルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定する判定工程と、
前記ルールに違反すると判定された間隔を知らせる表示工程と、を有することを特徴とする、設計支援方法。
【請求項4】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援方法であって、
前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とを格納し、該免震装置の稼働域を特定可能に格納する格納工程と、
少なくとも一つのオブジェクトの間隔を所定以上取るルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定する判定工程と、
前記ルールに違反する旨を報知する表示工程と、を有することを特徴とする、設計支援方法。
【請求項5】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援プログラムであって、
前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とを格納し、該免震装置の稼働域を特定可能に格納する格納工程と、
少なくとも一つのオブジェクトの間隔に関するルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定する判定工程と、
前記ルールに違反すると判定された間隔を知らせる表示工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
【請求項6】
複数のオブジェクトを有する建築物の三次元モデルに基づいて図面を作成する、設計支援プログラムであって、
前記オブジェクトとして免震装置と、該免震装置を支持するベース躯体と、該免震装置により支持される上載躯体と、該ベース躯体と該上載躯体とに跨る連絡部材とを格納し、該免震装置の稼働域を特定可能に格納する格納工程と、
少なくとも一つのオブジェクトの間隔を所定以上取るルールを設定し、前記少なくとも一つのオブジェクトの間隔がルールに違反するか否かを判定する判定工程と、
前記ルールに違反する旨を報知する表示工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮することのできる、設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラムを提供することを目的としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラムによれば、免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮することができる。