(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101961
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電位治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A61N1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006216
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】304062432
【氏名又は名称】株式会社 リブレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 宗敬
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徹
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ15
4C053JJ18
(57)【要約】
【課題】本体の近傍において高圧配線が邪魔にならず、本体及び高圧導子の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器を提供する。
【解決手段】交流の出力電圧を人体に印加して治療を行う電位治療器1であって、出力電圧を生成する回路が設けられた本体2と、一端に設けられたプラグ32を介して本体2の外側から回路に接続される高圧配線4と、高圧配線4の他端に接続され出力電圧を人体に印加する高圧導子3と、を具備し、本体2の外面16には、プラグ32が差し込まれる差込穴25が形成されており、差込穴25の軸は、プラグ32が斜め下方から差し込まれるよう傾斜している。これにより、本体2に接続された高圧配線4を本体2の近傍の狭い領域で容易に曲げることができる。よって、高圧配線4が邪魔にならず、本体2及び高圧導子3の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器1が得られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流の出力電圧を人体に印加して治療を行う電位治療器であって、
前記出力電圧を生成する回路が設けられた本体と、
一端に設けられたプラグを介して前記本体の外側から前記回路に接続される高圧配線と、
前記高圧配線の他端に接続され前記出力電圧を人体に印加する高圧導子と、を具備し、
前記本体の外面には、前記プラグが差し込まれる差込穴が形成されており、
前記差込穴の軸は、前記プラグが斜め下方から差し込まれるよう傾斜していることを特徴とする電位治療器。
【請求項2】
前記外面には、凹部が形成されており、
前記差込穴は、前記凹部内の上部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電位治療器。
【請求項3】
前記プラグの把持部は、前記プラグが前記差込穴に差し込まれた状態において、前記凹部内に収納されることを特徴とする請求項2に記載の電位治療器。
【請求項4】
前記凹部が形成された前記外面の下部両隅には、前記高圧配線が通過可能となるよう凹む配線避け部が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電位治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に交流の高電圧を印加して治療を行う電位治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電位治療器として、例えば、特許文献1には、インバータによって生成される交流電圧を昇圧トランスにて出力電圧まで昇圧し、コネクタ、高圧配線及び高圧導子等を介して人体に印加する電位治療器が開示されている。
【0003】
また例えば、特許文献2には、高電圧を生成する電位治療器の本体に、高圧配線を介して、局所ペン及び通電シート等の高圧導子が接続された電位治療器が開示されている。具体的には、電位治療器の本体ケースの前面には、端子を内部に有する差込穴が形成されている。該差込穴には、それぞれ対応する局所ペン及び通電シートのプラグが挿入され、プラグと端子とが接続されて、高圧配線を介して局所ペン及び通電シートに高電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-73372号公報
【特許文献2】特開2001-137356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術の電位治療器は、人体に対して高電圧を安全に印加することができるよう安全性を確保しつつ、電位治療器本体及び高圧導子の配置自由度を高めて電位治療器の使い勝手を良くするために改善すべき点があった。
【0006】
具体的には、従来技術の電位治療器は、高電圧を生成する電位治療器の本体と、利用者の近くに配置され高電圧が印加される高圧導子と、を接続する高圧配線が邪魔になり、本体や高圧導子の配置が制限される場合があった。また、本体から水平に出されたプラグが利用者等によって踏みつけられたり、室内の壁等にぶつけられたりして、本体及びプラグ等が破損されるケースが散見された。
【0007】
図14及び
図15は、従来技術の電位治療器101の高圧配線104の例を示す図である。
図14及び
図15に示すように、電位治療器101は、本体102の外面114、例えば左側の側面116等、に差込穴125が形成されている。その差込穴125に高圧配線104の接続プラグ132が差し込まれて、高圧配線104を介して高圧導子103が本体102に接続される構成である。
【0008】
具体的には、高圧配線104の接続プラグ132は、略方体状の形態をなす本体102の側面116等に対して略直角に差し込まれる。即ち、高圧配線104は、その端部が本体102の外面114に直交するよう略水平に接続されている。
【0009】
ところが、高電圧を印加する高圧配線104は、安全性の観点から導体が絶縁性材料によって厚く覆われた構造であるので、太くて硬く曲がり難く、曲げた場合の曲げ半径が大きい。そのため、本体102の周囲近傍が、高圧配線104の曲げ部143等によって占有され、高圧配線104が邪魔をして、電位治療器101を部屋の壁等の近くに配置できないことがある。
【0010】
また、電位治療器101は、高圧配線104が硬くて曲がり難いので、本体102の近くに高圧導子103を配置することが難しい。高圧導子103を本体102の近傍に配置するために高圧配線104を折り曲げて曲げ部143を形成した場合には、高圧配線104が広い領域を占有することになる。そのため、本体102の周囲の曲げ部143近傍等において、他の物を配置することが阻害される。
【0011】
また例えば、
図15に示すように、電位治療器101の本体102の左側の側面116に接続された高圧配線104を、反対側、即ち本体102の右側、に配置された高圧導子103に接続する場合には、本体102の側面116から突出する高圧配線104を略180度折り返した曲げ部143が必要である。
【0012】
そのため、折り返した曲げ部143を形成するための配線長さに相当する分、本体102から高圧導子103までの高圧配線104の長さが制限され、高圧導子103を本体102から遠く離れた位置に配置できないことがある。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高圧配線が邪魔にならず、本体及び高圧導子の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電位治療器は、交流の出力電圧を人体に印加して治療を行う電位治療器であって、前記出力電圧を生成する回路が設けられた本体と、一端に設けられたプラグを介して前記本体の外側から前記回路に接続される高圧配線と、前記高圧配線の他端に接続され前記出力電圧を人体に印加する高圧導子と、を具備し、前記本体の外面には、前記プラグが差し込まれる差込穴が形成されており、前記差込穴の軸は、前記プラグが斜め下方から差し込まれるよう傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電位治療器は、交流の出力電圧を人体に印加して治療を行う電位治療器であって、前記出力電圧を生成する回路が設けられた本体と、一端に設けられたプラグを介して前記本体の外側から前記回路に接続される高圧配線と、前記高圧配線の他端に接続され前記出力電圧を人体に印加する高圧導子と、を具備し、前記本体の外面には、前記プラグが差し込まれる差込穴が形成されており、前記差込穴の軸は、前記プラグが斜め下方から差し込まれるよう傾斜している。このような構成により、本体に接続された高圧配線を本体の近傍の狭い領域で容易に曲げることができる。よって、太くて硬い高圧配線を使用しても、高圧配線の曲げ部等によって占有される本体近傍の領域を狭くすることができ、高圧配線が邪魔にならず、本体及び高圧導子の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器が得られる。
【0016】
また、本発明の電位治療器は、前記外面には、凹部が形成されており、前記差込穴は、前記凹部内の上部に形成されても良い。これにより、凹部内にプラグの硬い把持部の一部や高圧配線の一端近傍等を収納することができる。よって、本体の外面近傍において邪魔になる高圧配線の領域を狭くすることができる。
【0017】
また、本発明の電位治療器では、前記プラグの把持部は、前記プラグが前記差込穴に差し込まれた状態において、前記凹部内に収納されても良い。これにより、プラグの把持部が本体の外面から外側に突出することを無くして、本体近傍の高圧配線等によって占有される領域を更に狭くすることができる。
【0018】
また、本発明の電位治療器は、前記凹部が形成された前記外面の下部両隅には、前記高圧配線が通過可能となるよう凹む配線避け部が形成されても良い。これにより、高圧配線を、その曲げ部等による占領領域の拡大を抑えつつ、プラグが接続された本体の外面からその外面の両側面方向に導くことができる。よって、本体及び高圧導子の配置自由度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る電位治療器の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電位治療器の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグの概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電位治療器の差込穴の概略構造を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグ支持部を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグ支持部の他の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグ支持部の更に他の例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグの接続部及びコネクタを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る電位治療器のプラグの接続部の他の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る電位治療器の差込穴及び凹部の概略を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る電位治療器の差込穴の変形例を示す断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る電位治療器の差込穴近傍を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る電位治療器の指掛部の他の例を示す図である。
【
図14】従来技術の電位治療器の高圧配線の例を示す斜視図である。
【
図15】従来技術の電位治療器の高圧配線の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る電位治療器1を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電位治療器1の概略構成を示すブロック図である。電位治療器1は、交流の出力電圧を人体に印加して治療を行う装置である。
【0021】
図1に示すように、電位治療器1は、高電圧の出力電圧を生成する回路を有する本体2と、生成された高電圧を利用者の体に印加する高圧導子3と、を有し、本体2と高圧導子3とは、高圧配線4によって接続されている。
【0022】
本体2には、電源回路5と、インバータ6と、制御装置7と、操作部8と、トランス9と、が設けられている。
電源回路5は、交流電源50に接続されて、交流電源50の交流電圧をインバータ6で利用できる安定した直流電圧に変換するものである。
【0023】
インバータ6は、制御装置7及び電源回路5の出力側に接続される。インバータ6は、制御装置7からの命令を受け取り、電源回路5から供給される直流電圧を基に所定の交流電圧または直流電圧を出力する。なお、インバータ6に、異常時に出力を停止するための図示しない過電流保護回路や保護ヒューズ等が設けられても良い。また、電位治療器1は、インバータ6を使用せず、商用電源を供給する電源回路5がトランス9に直接的に接続される構成でも良い。
【0024】
制御装置7は、電源回路5及びインバータ6に接続されている。制御装置7は、操作部8の入力及び各種設定値等に基づき所定の演算を実行して電源回路5及びインバータ6の制御及び監視を行う。具体的には、制御装置7は、出力電圧の波形制御、タイマ制御、表示制御、過負荷監視及び電圧監視等を行う。
【0025】
操作部8は、制御装置7に接続されており、利用者による操作を受け付けて、その受け付けた命令を制御装置7に伝える。即ち、利用者は、操作部8を介して、電源のオン・オフ、治療の開始及び終了、出力電圧を決定する各種パラメータの設定、出力パターンの選択等を行うことができる。なお、操作部8は、本体2から離れて設けられても良い。また、操作部8と制御装置7との接続は、無線接続でも良い。
【0026】
トランス9は、インバータ6の出力側に接続され、インバータ6によって生成される交流電圧を出力電圧まで昇圧する。トランス9は、コネクタ10、プラグ32、図示しないその他の保護回路等を介して高圧配線4の一端に接続されている。
【0027】
高圧配線4は、本体2の回路で生成された高電圧を高圧導子3に伝達するものである。高圧配線4の他端は高圧導子3に接続されている。即ち、トランス9で昇圧された出力電圧は、高圧配線4を介して高圧導子3に伝達される。
【0028】
高圧導子3は、高圧配線4を介して本体2から伝達された交流の高電圧を人体に印加するものである。即ち、高圧導子3による高電圧の印加によって利用者患部の電位治療が行われる。
【0029】
図2は、電位治療器1の概略構成を示す斜視図であり、電位治療器1の本体2を正面17に向かって左斜め上から視た図である。
図2に示すように、本体2の外面14を構成する本体ケース13は、例えば、略方体状の形態をなす。
【0030】
本体ケース13の例えば上面15には、制御装置7に接続された操作部8が設けられている。また、本体ケース13の例えば上面15には、各種設定値や運転状況等を表示するための図示しない表示部が設けられても良い。
【0031】
本体ケース13の左右両側面16の上部には、利用者が本体2を持ち上げる際に手を掛ける把手穴19が形成されている。これにより利用者は、両手指先を把手穴19に入れて本体2を容易に持ち上げて移動することができる。
【0032】
本体2の外面14、詳しくは左右両側面16の把手穴19の下方には、外面14が本体2の内側に向かって凹んだ凹部20が形成されている。外面14の凹部20内には、高圧配線4を本体2内の回路に接続するための差込穴25、即ちプラグジャックが設けられている。
【0033】
具体的には、凹部20は、本体ケース13の側面16が凹部20内の壁面21まで略円弧状若しくは略コ字状に凹んだ箇所である。凹部20内の上部面22及び下部面23は、凹部20の外側が広くなるよう傾斜している。即ち、上部面22は、外側に向かって斜め上方に傾斜するよう形成され、下部面23は、外側に向かって斜め下方に傾斜するよう形成されている。
【0034】
凹部20内の壁面21と、上部面22及び下部面23と、をつなぐ辺部近傍、並びに、凹部20内の上部面22及び下部面23と、外面14と、をつなぐ辺部近傍等は、曲面状に形成されている。これにより、本体ケース13の凹部20周囲の角部等に高圧配線4が接触して損傷すること、及び利用者の手指等が接触して怪我をすることが防止される。
【0035】
差込穴25は、凹部20内の上部、詳しくは凹部20内の上部面22に形成されている。凹部20内の上部面22には、所定の角度で傾斜し上部面22から突出する略円筒状の差込穴用凸部24が形成されても良い。差込穴25は、差込穴用凸部24と略同軸に形成されている。
【0036】
具体的には、差込穴25の軸は、高圧配線4の一端に設けられたプラグ32が下方から斜めに挿入されるよう傾斜している。よって、高圧配線4のプラグ32は、下方から差込穴25に差し込まれ、高圧配線4は、本体2の側面16から下方に傾斜するように本体2に接続される。
【0037】
このように高圧配線4が本体2から斜め下方に傾斜する構成により、本体2に接続された高圧配線4を本体2の近傍の狭い領域で容易に曲げることができる。よって、太くて硬い高圧配線4を使用しても、高圧配線4の曲げ部43等によって占有される本体2近傍の領域を狭くすることができる。そのため、高圧配線4が邪魔にならず、本体2及び高圧導子3の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器1が得られる。
【0038】
また、高圧配線4が本体2から斜め下方に傾斜する構成により、本体ケース13から水平方向に突出するプラグ32の領域を狭くすることができ、プラグ32が利用者等に不用意に踏みつけられる危険を回避することができる。よって、予期せぬ踏みつけ等の回数を減らし、踏みつけに起因するプラグ32、高圧配線4等の破損を防止することができる。
【0039】
また、プラグ32は、斜め下方から傾斜して本体2に差し込まれているので、仮にプラグ32や高圧配線4が利用者等に踏みつけられたとしても、破損することなく自動的に本体2から引き抜かれる。よって、このような安全な引き抜き性能によっても本体2、プラグ32及び高圧配線4等の破損を防ぐことができる。
【0040】
なお、本実施形態では、本体2の左右両側面16に凹部20及び差込穴25が形成された例を示したが、凹部20及び差込穴25は、本体2の左右何れか一方の側面16に設けられても良い。また、凹部20及び差込穴25は、本体2の正面17及び背面18の何れか一方若しくは両方に設けられても良い。
【0041】
前述のとおり、高圧配線4の他端には、高圧導子3が接続されている。高圧導子3は、高電圧が印加される導体材料から形成され、合成繊維、合成樹脂及びセラミック等からなる絶縁性材料で覆われている。高圧導子3の形態としては、例えば、布団等の下に敷かれて利用者の体に下方から高電圧を印加するシート型、身体の治療が必要な部位近傍に高電圧を印加するパッド型、利用者等に把持され治療部近傍に当てられるプローブ型、インピーダンスを介して接地電位を供給するパッド型、ヒータや振動子を内蔵したパッド型、その他各種形態がある。
【0042】
高圧導子3に高電圧を送る高圧配線4は、本体2の外面14から斜め下方に傾斜するよう設けられているので、本体2近傍に高圧配線4の曲げ部43を形成しても邪魔にならない。よって、本体2及び高圧導子3をそれぞれ好適な位置に配置することができる。
【0043】
図3は、プラグ32の概略構成を示す図である。
図3に示すように、プラグ32は、接続部33と、差込軸部37と、把持部38と、を有する。
接続部33は、プラグ32の先端に設けられコネクタ10(
図8参照)に接続される部分である。
差込軸部37は、接続部33の後端側に設けられ、略円柱状の形態をなし、差込穴25(
図4参照)に差し込まれる。
【0044】
把持部38は、差込軸部37の後端側に形成された略円柱状の部分であり、差込軸部37よりも大径に形成され、プラグ32を差込穴25に差し込む際及び引き抜く際に利用者が把持する部分である。
【0045】
差込軸部37及び把持部38は、内部に導電性材料からなる図示しない導体を有し、内部の導体は、差込軸部37に接続されていると共に絶縁性材料によって覆われている。また、把持部38の外周には、プラグ32を握る手の滑りを防止する複数の滑止部39が形成されている。滑止部39は、把持部38の外周に形成された凹凸形状等であり、例えば、複数の大径部等である。これにより、プラグ32の差し込み及び取り外しを容易に行うことができる。
【0046】
把持部38の後端側は、徐々に小径となるよう略テーパ状に形成されており、その後端に高圧配線4が設けられている。高圧配線4は、本体2の回路で生成された高電圧を高圧導子3に伝達する配線部材である。高圧配線4は、高電圧を伝達する軟鋼撚線とからなる内部導体40を有し、内部導体40は、把持部38及び差込軸部37の内部の図示しない導体を介して接続部33に接続されている。
【0047】
高圧配線4の内部導体40は、ポリエチレン等の絶縁体41で覆われ更にポリ塩化ビニル樹脂等からなるシース42で覆われている。前述のとおり、高圧配線4は、太く、硬くて曲げ難い。高圧配線4の直径D1は、約φ7.6mm以上であり、最小曲げ半径R1は、約100mm以上である。このような高圧配線4が用いられることにより、高圧配線4からの漏電等が防止され、電位治療器1の安全性が高められる。
【0048】
ここで、プラグ32の接続部33、差込軸部37及び把持部38は、使用時に折り曲げることができない硬質部であり、プラグ32の把持部38の後端近傍及び高圧配線4は、利用時に折り曲げ可能な軟質部である。
【0049】
接続部33の長さL1は、約17mmであり、接続部33には、溝部35が形成されている。差込軸部37の直径D2は、φ約9mm、差込軸部37の長さL2は、電位治療器1が9000Vの高電圧を安全に印加できるよう80mm以上である。また、把持部38は、安全な把持ができるよう直径D3がφ約15~30mmであり、把持部38の長さL3は、約40~150mm、好ましくは、約40~80mmである。
【0050】
図4は、本体2の差込穴25の概略構成を示す図である。
図4に示すように、差込穴25の差込口26近傍には、把持部38の先端近傍が嵌入される把持部穴27が形成されている。即ち、プラグ32の差込軸部37が差込穴25に嵌入され、把持部38の先端近傍が把持部穴27に嵌入され支持される。
【0051】
差込穴25には、差し込まれたプラグ32の差込穴25及び把持部38の少なくとも一方を支持するプラグ支持部28が設けられている。プラグ支持部28は、嵌合されたプラグ32の外周に接してプラグ32を回動自在に支持する。
【0052】
図5は、プラグ支持部28近傍を示す断面図である。
図5に示すように、プラグ支持部28は、差込穴25の内周に形成された略環状の凸形状である。プラグ支持部28の内周面は、断面略円弧状若しくは略V字状に形成されており、プラグ32の外周面に対して円周方向に沿って線接触する。これにより、差込穴25に差し込まれプラグ支持部28に支持されたプラグ32を容易に回動することができる。
【0053】
図6は、プラグ支持部28の他の例を示す図であり、差込穴25及びプラグ32の横断面図である。
図6に示すようにプラグ支持部28は、差込穴25の内周に複数、詳しくは少なくとも3点以上、形成され、それぞれプラグ32の外周面に点接触若しくはプラグ32の軸方向に沿って線接触する凸形状でも良い。このような構成によっても、回動が容易なプラグ32のサポート構造が得られる。
【0054】
図7は、プラグ支持部28の更に他の例を示す断面図である。
図7に示すように、差込穴25の内周には、環状の支持溝29が形成されており、支持溝29にプラグ支持部28を構成する摺動リングが設けられても良い。プラグ支持部28としての摺動リングは、例えば、フッ素樹脂等の摺動性の良い材料から形成され、支持溝29に内嵌され支持されると共に、その内周がプラグ32の外周面に面接触若しくは周方向に沿って線接触してプラグ32を回動自在に支持する。
【0055】
以上説明の如く、差込穴25に差し込まれたプラグ32は、回動自在に支持されている。従って、利用者は、高圧配線4の配置及び曲げに応じてプラグ32を容易に好適な回動位置に調整することができる。即ち、高圧配線4が邪魔にならないようプラグ32の回転位置を調整して、本体2及び高圧導子3を好適な位置に置いて利用することができる。
【0056】
図4に示すように、本体2の差込穴25の内部には、プラグ32の先端近傍の接続部33が接続されるコネクタ10が設けられている。コネクタ10は、例えば、略C字状に曲折されて形成された板バネ電極等である。差込穴25に嵌入されたプラグ32は、接続部33がコネクタ10に嵌め込まれ支持される。
【0057】
図8は、プラグ32の接続部33及びコネクタ10を示す図である。
図8に示すように、コネクタ10の差込穴25(
図4参照)側、即ちプラグ32側には、プラグ32の接続部33が挿入される間隙である接点差込部11が形成されている。接点差込部11近傍は、対向する辺部近傍が外側に折り返され、プラグ32側の開口面積が広くなるよう形成されている。
【0058】
プラグ32の接続部33は、先端が略半球曲面状に形成されると共に、溝部35の先端側の側面36が略テーパ状に傾斜するよう形成され、溝部35の外周角部等にはR面取りが施されている。このような形態により、コネクタ10へのプラグ32の接続部33の挿入及び抜去を容易に行うことができると共に、利用時には、コネクタ10に接続されたプラグ32の抜け落ちを防止することができる。よって、高圧配線4の接続及び取り外しが容易であり、且つ、安全な電位治療を行うことができる。
【0059】
図9は、プラグ32の接続部33の他の例を示す図である。
図9に示すように、接続部33は、先端側が小径となる略テーパ形状のテーパ部34が形成されても良い。このような形態によってもプラグ32の接続部33をコネクタ10に、容易に挿入して接続することができる。
【0060】
ここで、先端側のテーパ部34のテーパ比は、溝部35の側面36のテーパ比よりも小さい。換言すれば、先端側のテーパ部34のテーパ角αは、溝部35の側面36のテーパ角βよりも小さい。これにより、プラグ32をコネクタ10に接続する際の差込力を、プラグ32をコネクタ10から引き抜く際の引抜力よりも小さくすることができる。
【0061】
よって、利用者は小さな力でプラグ32をコネクタ10に差し込むことができ、プラグ32の取り付けが容易になる。そして、プラグ32の引き抜きには差し込み時よりも大きな引抜力を必要とするので、使用時のプラグ32の抜けを防止することができ、電位治療器1の安全性を高めることができる。
【0062】
具体的には、プラグ32の差込力は、1~2kg、引抜力は、差込力よりも強く、1.5~3.5kg、好ましくは、2~3kgである。これにより、一般的な利用者であれば、プラグ32の差し込み及び引き抜きの何れの作業についても容易に行うことができる。そして、前述のとおり、差込力よりも大きな引抜力を必要とするので、利用時のプラグ32の抜けを防止することができる。
【0063】
図10は、本体2の差込穴25及び凹部20の概略を示す断面図である。
図10を参照して、本体2の外面14に対する差込穴25の傾斜角度θ、即ち差し込まれたプラグ32の傾斜角度θは、5~45度、好ましくは、15~35度である。
【0064】
傾斜角度θが約90度、即ち水平に近いと、プラグ32の把持部38及び高圧配線4の突出が大きくなり高圧配線4が邪魔になる。また、傾斜角度θが90度以上、即ちプラグ32が本体2の斜め上方から差し込まれる構成においても、高圧配線4が本体2から斜め上方に延在して邪魔になる。また、プラグ32が本体2の斜め上方から差し込まれる構成では、差込穴25の内部にゴミが溜まり易くプラグ32の接点機能が損なわれる恐れもある。また逆に、傾斜角度θが小さ過ぎて、約0度、即ち外面14と略平行であって垂直に近いと、プラグ32の挿入及び抜去が難しくなる。
【0065】
よって、上述の5~45度の傾斜角度θを採用することにより、プラグ32及び高圧配線4が邪魔にならないように、プラグ32を本体2に近づけることができ、且つ、プラグ32の差し込み及び引き抜き作業を容易に行うことができる。
【0066】
また、プラグ32が差込穴25に差し込まれた状態において、プラグ32の把持部38は、凹部20内に収納される。即ち、プラグ32が差込穴25に差し込まれた状態において、プラグ32の後端は、凹部20内に位置する。
【0067】
具体的には、本体2の外面14の最外部からプラグ32の後端までの距離L4は、1~15mm、好ましくは、4~10mmである。これにより、高圧配線4の曲げ部43(
図2参照)等を凹部20内若しくは近傍に設けることができるようになり、邪魔となる高圧配線4の領域を狭くし、電位治療器1を使い易くすることができる。例えば、本体2を図示しない室内の壁等に接近させて配置することができる。
【0068】
本体2の下端から差込穴25の差込口26の中心位置までの高さ寸法L5、即ち、本体2が載置される床面等である設置面51から差込口26の中心位置までの高さ寸法L5は、180mm以上、好ましくは、240mm以上が望ましい。これにより、太くて硬い高圧配線4が接続されたプラグ32を、差込穴25の斜め下方から差込穴25に容易に挿入することができ、また、容易に引き抜くことができる。
【0069】
図2及び
図10を参照して、凹部20が形成された外面14の下部及びその両隅には、高圧配線4が通過可能となるよう凹む配線避け部31が形成されている。具体的には、配線避け部31は、外面14よりも本体2の内側に凹む形態であって、外面14の最外部から配線避け部31の内側までの深さ寸法L6は、3.8~20mm、好ましくは、7.6~15mmである。
【0070】
このような配線避け部31か形成されていることにより、高圧配線4を、その曲げ部43等による占領領域の拡大を抑えつつ、プラグ32が接続された本体2の外面14からその外面14の左右両側方向に導くことができる。
【0071】
具体的には、高圧配線4のプラグ32が側面16に形成された差込穴25に差し込まれている場合、配線避け部31を経由して高圧配線4を側面16から正面17方向及び背面18方向に導くことができる。よって、本体2及び高圧導子3の配置自由度を高めることができる。
【0072】
図11は、電位治療器1の差込穴25の変形例を示す断面図である。
図11に示すように、差込穴25の差込口26側、即ち把持部穴27側には、差込穴25の断面形状を変形した変形穴部25aが形成されても良い。
【0073】
具体的には、変形穴部25aは、差込穴25の差込口26近傍において、差込口26側の方が本体2の内側に向かう径が大きくなるよう、断面略楕円形状若しくは略長円形状に形成されている。
【0074】
このような変形穴部25aが形成されることにより、プラグ32の挿入及び抜去作業において、プラグ32の傾きにゆとりを持たせることができ、差し込み作業及び引き抜き作業を安全に効率良く行うことができる。
【0075】
具体的には、プラグ32を差込穴25に挿入する際の挿入開始時、及びプラグ32を差込穴25から引き抜く際の引き抜き完了直前等において、プラグ32の傾きを水平に近づけることができる。詳しくは、本体2の外面14に対するプラグ32の傾き角度θ´を、差込穴25の傾斜角度θより大きくできる。これにより、利用者は、プラグ32の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0076】
図12は、電位治療器1の差込穴25近傍を示す図である。
図12を参照して、差込穴25は、凹部20内の上部近傍、即ち上部面22に形成され、凹部20内の壁面21から差込口26の中心位置までの距離L7は、約18mm以上が望ましい。これにより、利用者は、凹部20内の壁面21とプラグ32の把持部38との間に手指を挿入することができ、把持部38をしっかりと把持した状態でプラグ32の挿入及び抜去を容易に行うことができる。
【0077】
また、凹部20の上方の外面14には、利用者がプラグ32を差込穴25に差し込む際及び引き抜く際に親指を掛けることができる指掛部30が形成されている。指掛部30は、例えば、外面14に形成された断面略コ字状若しくは略円弧状の複数の凹形状及び凸形状が外面14に沿って水平方向に延在する形態である。
【0078】
なお、差込穴25の軸から指掛部30の最上部までの距離L8は、約15~30mmが好ましい。指掛部30がこのような位置に設けられることにより、把持部38を把持した状態で、親指を指掛部30に掛けて指掛部30を押す力若しくは引く力を加え易い。
【0079】
このような指掛部30が形成されることにより、電位治療器1は、差込穴25にプラグ32を差し込み易く、また、引き抜き易くなる。即ち、利用者は、プラグ32を差込穴25に挿入する際には、把持部38を握る手の親指を指掛部30に掛けて指掛部30を近づけるよう親指を曲げ方向に力を加えながら、プラグ32を挿入方向に押して差込穴25に容易に差し込むことができる。プラグ32を差込穴25から抜去する際には、把持部38を握る手の親指を指掛部30に掛けて指掛部30を遠ざけるように押しながら、プラグ32を下方に引いて差込穴25から容易に抜くことができる。
【0080】
図13は、指掛部30の他の例を示す図である。
図13に示すように、指掛部30の形態は、断面略円弧状で水平方向に延在する凹形状でも良い。また、指掛部30は、外側から視て略円形状、略楕円形状、略長円形状等の凹形状でも良い。このような形状の指掛部30によっても、利用者は、親指を掛け易く、プラグ32を挿入及び抜去するための力を加え易い。よって、差込穴25にプラグ32の差し込む作業及び引き抜く作業が容易になる。
【0081】
以上説明の如く、本実施形態に係る電位治療器1は、本体2の外面14に形成された凹部20内に差込穴25が形成されており、高圧配線4のプラグ32を斜め下方から容易に接続することができる。そのため、安全性を高めるために太くて硬い高圧配線4を使用しても、高圧配線4を本体2近傍の狭い領域で容易に曲げることができ、高圧配線4の曲げ部43等によって占有される本体2近傍の領域を狭くすることができる。よって、高圧配線4が邪魔にならず、本体2及び高圧導子3の配置自由度が高い安全で使い易い電位治療器1が得られる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 電位治療器
2 本体
3 高圧導子
4 高圧配線
5 電源回路
6 インバータ
7 制御装置
8 操作部
9 トランス
10 コネクタ
11 接点差込部
13 本体ケース
14 外面
15 上面
16 側面
17 正面
18 背面
19 把手穴
20 凹部
21 壁面
22 上部面
23 下部面
24 差込穴用凸部
25 差込穴
25a 変形穴部
26 差込口
27 把持部穴
28 プラグ支持部
29 支持溝
30 指掛部
31 配線避け部
32 プラグ
33 接続部
34 テーパ部
35 溝部
36 側面
37 差込軸部
38 把持部
39 滑止部
40 内部導体
41 絶縁体
42 シース
43 曲げ部
50 交流電源
51 設置面