(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101964
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】冷却ユニット、冷却システム及び冷却方法
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240723BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006219
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】591219393
【氏名又は名称】株式会社梓設計
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】文野 義久
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045CA03
3L045DA02
3L045MA20
3L045PA03
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】余剰電力を効果的に活用可能とする。
【解決手段】冷却システム1は、構造物10と、冷却ユニット20と、を備え、構造物10は、コンクリートによる躯体で形成され、それぞれ冷凍庫等が配置された複数階で形成され、冷却ユニット20は、構造物10に配置された複数の冷凍庫等の内部を冷却し、太陽光により発電した電力により、冷凍庫等の内部を冷却し、複数の冷凍庫等が所定の室温となった後に発電された余剰電力により、複数の冷凍庫等のうち、構造物10において、上下に他の冷凍庫等が配置されている中間階に配置され特定冷凍庫13を冷却することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する冷却ユニットであって、
太陽光により発電した電力により、前記冷凍庫の内部を冷却し、
複数の前記冷凍庫が所定の室温となった後に発電された余剰電力により、複数の前記冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却することを特徴とする冷却ユニット。
【請求項2】
前記余剰電力を蓄電する蓄電池を備え、
前記蓄電池を満充電した後に、前記特定冷凍庫を冷却することを特徴とする請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却ユニットと、前記構造物と、を備える冷却システム。
【請求項4】
前記構造物は、コンクリートによる躯体で形成され、それぞれ前記冷凍庫が配置された複数階で形成され、
前記特定冷凍庫は、前記構造物において、上下に他の冷凍庫が配置されている中間階に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
構造物に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する冷却ユニットが実行する冷却方法であって、
太陽光により発電した電力により、前記冷凍庫の内部を冷却するステップと、
複数の前記冷凍庫の全てが所定の室温以下となった後に発電された余剰電力により、複数の前記冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却するステップと、を含むことを特徴とする冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ユニット、冷却システム及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光により発電した電力により、冷凍庫の内部を冷却する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冷凍サイクルが、太陽電池の発電した直流電力で作動する圧縮機と、ガスクーラと、減圧器又は膨張弁と、蒸発器とで構成され、蒸発器と冷凍・冷蔵庫とを接続し、蒸発器で発生する冷熱と、冷凍・冷蔵庫内の冷気との間で熱交換させて冷気を冷却する太陽電池駆動式温冷熱ユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷凍庫が所定の室温以下となった後に、太陽電池の発電した電力は余剰電力となる。このような余剰電力は蓄電池に充電される。
しかしながら、蓄電池に充電できる電力量は限りがあり、蓄電池が満充電した後に、発電した電力は無駄になっていた。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、余剰電力を効果的に活用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 構造物に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する冷却ユニットであって、
太陽光により発電した電力により、前記冷凍庫の内部を冷却し、
複数の前記冷凍庫が所定の室温となった後に発電された余剰電力により、複数の前記冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却することを特徴とする冷却ユニット。
【0008】
(1)の発明では、冷却ユニットは、構造物に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却し、太陽光により発電した電力により、冷凍庫の内部を冷却する。
そして、冷却ユニットは、複数の冷凍庫が所定の室温となった後に発電された余剰電力により、複数の冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却する。
【0009】
ここで、従来、冷凍庫は、所定の室温まで、太陽光により発電した電力により冷却される。冷却ユニットは、所定の室温まで冷却された冷凍庫については冷却を停止する。
ところが、このような場合でも、例えば、太陽光パネルにおいて、太陽光を受光していれば、発電され、電力が供給され、このような電力は余剰電力となる。
【0010】
(1)の発明によれば、冷却ユニットは、太陽光により発電した電力により、構造物(例えば、冷凍倉庫等)に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する。そして、複数の冷凍庫の全てが所定の室温以下となった後に、余剰電力が発生した場合には、この余剰電力により、複数の冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却する。即ち、余剰電力で、特定冷凍庫や、特定冷凍庫に保管されている物品に蓄冷することが可能となる。
したがって、余剰電力を効果的に活用することが可能となる。
【0011】
(2) 前記余剰電力を蓄電する蓄電池を備え、
前記蓄電池を満充電した後に、前記特定冷凍庫を冷却することを特徴とする(1)に記載の冷却ユニット。
【0012】
(2)の発明によれば、余剰電力は、蓄電池に満充電された後、特定冷凍庫の冷却に使用される。
これにより、蓄電池の容量以上の余剰電力が発生しても、無駄にすることなく、特定冷凍庫の冷却に使用することができるので、余剰電力をより効果的に活用することが可能となる。
【0013】
(3) (1)に記載の冷却ユニットと、前記構造物と、を備える冷却システム。
(3)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【0014】
(4) 前記構造物は、コンクリートによる躯体で形成され、それぞれ前記冷凍庫が配置された複数階で形成され、
前記特定冷凍庫は、前記構造物において、上下に他の冷凍庫が配置されている中間階に配置されていることを特徴とする(3)に記載の冷却システム。
【0015】
(4)の発明では、冷却システムは、(1)に記載の冷却ユニットと、構造物と、を備える。
構造物は、コンクリートによる躯体で形成され、それぞれ冷凍庫が配置された複数階で形成されている。
そして、特定冷凍庫は、構造物において、上下に他の冷凍庫が配置されている中間階に配置されている。
【0016】
(4)の発明によれば、構造物は、熱容量が、他の構造体(例えば、木造、鉄骨造等)より熱容量が大きいコンクリートによる躯体(RC造、SRC造、HRC造等)で形成されている。
そして、余剰電力により蓄冷する特定冷凍庫は、比較的外皮負荷の小さい中間階に設けられている。
【0017】
これにより、外気の熱が、特定冷凍庫内部に伝達されるのを抑えることが可能になり、特定冷凍庫における蓄冷効果をより持続させることが可能となる。また、特定冷凍庫を中間階に設けることで、特定冷凍庫の上下に配置された冷凍庫を、特定冷凍庫により冷やすことが可能となる。
【0018】
(5) 構造物に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する冷却ユニットが実行する冷却方法であって、
太陽光により発電した電力により、前記冷凍庫の内部を冷却するステップと、
複数の前記冷凍庫の全てが所定の室温となった後に発電された余剰電力により、複数の前記冷凍庫のうちの特定冷凍庫を冷却するステップと、を含むことを特徴とする冷却方法。
【0019】
(5)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、余剰電力を効果的に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷却システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る構造物10の中間階の平面図の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷却装置22の制御部が実行する冷却処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ又は同類の要素には同じ番号または符号を付している。
【0023】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る冷却システムの概要を説明する図である。
本発明の実施形態に係る冷却システム1は、構造物10(例えば、冷凍倉庫等)に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する。
冷却システム1は、構造物10と、冷却ユニット20と、を備える。
【0024】
構造物10は、コンクリートによる躯体(RC造、SRC造、HRC造等)で形成され、それぞれ冷凍庫が配置された複数階で形成されている。構造物10は、複数階のうち、上下に他の冷凍庫が配置されている中間階に、特定冷凍庫が配置されている。
【0025】
冷却ユニット20は、少なくとも、太陽光を受光して電力を発生する太陽光パネル21と、太陽光パネル21により発電した電力により駆動し、構造物10に配置された複数の冷凍庫内部を冷却する冷却装置22と、を備える。
【0026】
冷却装置22は、構造物10の複数の冷凍庫から、それぞれから室温を示す情報を受信し、冷媒管を介して、各冷凍庫にそれぞれ冷媒を供給し、冷凍庫の室温を制御する。
【0027】
冷却装置22は、太陽光パネル21から供給される電力により、構造物10の複数の冷凍庫の室温が所定の室温となるまで、複数の冷凍庫の内部を冷却する。そして、複数の冷凍庫が所定の室温以下となった後に、太陽光パネル21で発電した電力は余剰電力となる。
【0028】
このような場合、冷却装置22は、複数の冷凍庫のうち、構造物10の中間階に配置された特定冷凍庫を、さらに冷却する。即ち、冷却システム1は、余剰電力で、特定冷凍庫や、特定冷凍庫に保管されている物品に蓄冷する。
したがって、冷却システム1によれば、余剰電力を効果的に活用することが可能となる。
【0029】
[機能構成]
図2は、本発明の実施形態に係る冷却システムの機能構成を示す図である。
冷却システム1は、構造物10と、冷却ユニット20と、を備え、構造物10に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する。
【0030】
構造物10は、コンクリートによる躯体(RC造、SRC造、HRC造等)で形成された、冷蔵・冷凍倉庫等であり、冷蔵庫11、冷凍庫12、余剰電力により蓄冷される特定冷凍庫13が配置されている。構造物10は、冷蔵庫11、冷凍庫12又は特定冷凍庫13が配置された複数階で形成されている。構造物10は、冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13の他、冷蔵・冷凍倉庫を維持管理するために必要な設備(事務室、トイレ、冷却ユニット20を設置するための設備等)を備える。本実施形態において、構造物10は、冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13を、それぞれ1つ備えてもよいし、それぞれ複数備えてもよいし、冷蔵庫11を備えなくてもよい。以下、冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13のいずれにも該当する構成を説明する場合、冷蔵庫11、冷凍庫12又は特定冷凍庫13を特定せずに「冷凍庫等」ともいう。
【0031】
冷蔵庫11は、凍結させずに、比較的低温で保管する物品が収容される部屋である。
冷凍庫12は、凍結させて保管する物品が収容される部屋である。
特定冷凍庫13は、凍結させて保管する物品が収容される部屋であり、冷凍庫12に保管する物品より、より低温で凍結させることが可能な物品を保管するのが望ましい。
【0032】
構造物10は、複数階のうち、上下に他の冷凍庫12が配置されている中間階に、特定冷凍庫13が配置されている。構造物10は、冷凍庫等と外気とを仕切る壁の外気側に断熱材を配置した外断熱仕様とすることが望ましい。これにより、外気の熱が冷凍庫の内部に伝達されることを防止することが可能となり、冷却効果が向上する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係る構造物10の中間階の平面図の一例を示す図である。
図3に示すように、構造物10は、各階において、複数の冷凍庫(特定冷凍庫を含む)が配置されていてもよい。なお、
図3に示す例では、構造物10の中間階に配置されている複数の冷凍庫を全て特定冷凍庫としているが、これに限らず、構造物10の中間階に配置されている複数の冷凍庫の一部を特定冷凍庫としてもよい。なお、
図3に示す例において、構造物10は、3階建てであるが、これに限らず、上下に冷凍庫12が配置された中間階を形成できれば、3階建て以上でもよいし、地階を有する建物でもよい。
【0034】
図2に戻って、冷却ユニット20は、太陽光パネル21と、冷却装置22と、蓄電池23と、を備え、構造物10に配置された複数の冷凍庫の内部を冷却する。
【0035】
太陽光パネル21は、例えば、構造物10の屋上に設置され、太陽光により発電し、発電した電力を冷却装置22に供給する。太陽光パネル21は、公知の構成であり、例えば、シリコン半導体で太陽光を受光し、発電する。
【0036】
冷却装置22は、太陽光パネル21で発電された電力や、商用電力により、構造物10の冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13をそれぞれ冷却する。
【0037】
冷却装置22は、冷却装置22の動作を制御する制御部と、圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器と、を備える。圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器(以下、「冷却設備」ともいう。)は、公知の構成であり、互いに冷媒が流通する冷媒管により接続されている。冷却装置22は、コンピュータで構成された制御部の制御により、圧縮機により冷媒を圧縮し、次に凝縮器で冷媒の熱を放出し、次に減圧器で冷媒を減圧し、次に、蒸発器で各冷凍庫等の熱を奪った冷媒を、圧縮機に戻す循環を繰り返す冷凍サイクルを形成する。なお、冷却設備は、圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器に限らず、冷凍庫等を冷却できれば、任意の構成とすることができる。
【0038】
また、冷却装置22は、各冷凍庫等にそれぞれ設置された温度センセから、各冷凍庫等の室温を示す室温情報を、随時取得する。
【0039】
冷却装置22は、制御部の制御により、冷蔵庫11を、その室温が、予め設定されている温度範囲(例えば、2℃~5℃等)になるように冷却する。
【0040】
冷却装置22は、制御部の制御により、冷凍庫12を、その室温が、予め設定されている温度範囲(-18℃前後(例えば、-15℃~-25℃等))になるように冷却する。
【0041】
冷却装置22は、制御部の制御により、特定冷凍庫13を、その室温が、予め設定されている温度範囲(-18℃前後(例えば、-15℃~-25℃等))になるように冷却し、余剰電力により、さらに冷却する。なお、冷却装置22は、特定冷凍庫13を、余剰電力によりさらに冷却する場合、予め設定された室温の下限(例えば、冷凍庫12や特定冷凍庫13で保証する室温(冷凍庫12に設定されている室温)より1℃~10℃低い室温)まで冷却してもよい。
【0042】
冷却装置22は、冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13毎の冷凍サイクルを実行するそれぞれの経路を備え、経路毎に室温の制御(冷却の制御)を行ってもよい。また、冷却装置22は、さらに、経路に設けられる電磁弁を備え、制御部により、電磁弁を制御することで、ある経路(例えば、特定冷凍庫13を冷却する経路等)の冷却を継続し、他の経路(例えば、冷凍庫12を冷却する経路等)の冷却を停止してもよい。なお、冷却装置22の制御部による冷凍庫等の冷却処理の詳細については、後述する。
【0043】
冷却装置22は、制御部の制御により、冷凍庫等を、各冷凍庫等毎に予め設定されている第1室温(例えば、予め設定されている温度範囲の最低温度や、最低温度より僅かに高い温度(例えば、1℃~5℃等)まで冷却を継続し、その後、冷却を停止する。そして、冷却装置22は、制御部の制御により、冷凍庫等の室温が、各冷凍庫等毎に予め設定されている第2室温(例えば、予め設定されている温度範囲の最高温度や、最高温度より僅かに低い温度(例えば、1℃~5℃等)になったら、冷却を再開する。
【0044】
蓄電池23は、太陽光パネル21により発電された電力のうち、冷却装置22の制御部により、余剰電力と判定された電力を蓄電する。蓄電池23は、公知の構成であり、例えば、リチウムイオン電池等である。
【0045】
冷却装置22の制御部は、内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや、CPUに実行させるソフトウェア等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって、その他の構成を制御して、冷凍庫等の冷却処理を実行する。
【0046】
[処理フロー]
図4は、本発明の実施形態に係る冷却装置22の制御部が実行する冷却処理フローを示す図である。
【0047】
冷却装置22には、継続的に太陽光パネル21で発電された電力が供給されている。
このような状態における冷却装置22の制御部が実行する冷却処理フローを説明する。
【0048】
ステップS1において、制御部は、冷却設備を制御して、通常冷却として、冷蔵庫11、冷凍庫12及び特定冷凍庫13を、それぞれ、予め設定された温度範囲になるように冷却する。
【0049】
ステップS2において、制御部は、全ての冷凍庫等が、予め設定されている第1室温になっているか否かを判定し、全ての冷凍庫等が第1室温になっていると判定した場合には、ステップS3に処理を移し、全ての冷凍庫等が第1室温になっていないと判定した場合には、ステップS1に処理を戻し、第1室温になっていない冷凍庫等を第1室温まで冷却する。全ての冷凍庫等が、予め設定されている第1室温になった後に、太陽光パネル21から供給された電力は、余剰電力となる。
【0050】
ステップS3において、制御部は、太陽光パネル21から供給された電力(余剰電力)を、蓄電池23に充電する。
【0051】
ステップS4において、制御部は、蓄電池23が満充電されているか否かを判定し、満充電されていると判定した場合には、ステップS5に処理を移し、満充電されていないと判定した場合には、ステップS3に処理を戻す。
【0052】
ステップS5において、制御部は、太陽光パネル21から供給された電力(余剰電力、詳細には、蓄電池23が満充電後の余剰電力)により、特定冷凍庫13のみを冷却する。制御部は、例えば、
図3に示す例のように、構造物10の中間層に、複数の特定冷凍庫13が配置されていた場合、これら複数の特定冷凍庫13に、冷却する優先順位を設定し、優先順位の高いものから、第2室温まで冷却してもよい。例えば、
図3に示す例において、両隣に他の特定冷凍庫13が配置されている特定冷凍庫13から冷却することで、仮に、全ての特定冷凍庫13が第2室温まで冷却する前に、余剰電力が途絶えても(例えば、太陽が沈み、太陽光の受光ができなくなった場合等)、冷却していた特定冷凍庫13で、当該特定冷凍庫13の両隣の特定冷凍庫13に冷却効果を付与することが可能となる。
【0053】
このような冷却システム1によれば、冷却ユニット20が、太陽光により発電した電力により、構造物10に配置された複数の冷凍庫等の内部を冷却する。そして、複数の冷凍庫等の全てが所定の室温(第1室温)となった後に、余剰電力が発生した場合には、この余剰電力により、複数の冷凍庫等のうちの特定冷凍庫13を冷却する。即ち、余剰電力で、特定冷凍庫13や、特定冷凍庫13に保管されている物品に蓄冷することが可能となる。
したがって、余剰電力を効果的に活用することが可能となる。
【0054】
また、冷却システム1によれば、余剰電力は、蓄電池23に満充電された後、特定冷凍庫13の冷却に使用される。
これにより、蓄電池23の容量以上の余剰電力が発生しても、無駄にすることなく、特定冷凍庫13の冷却に使用することができるので、余剰電力をより効果的に活用することが可能となる。
【0055】
また、冷却システム1によれば、構造物10は、コンクリートによる躯体で形成され、それぞれ冷凍庫等が配置された複数階で形成されている。
そして、特定冷凍庫13は、構造物10において、上下に他の冷凍庫12が配置されている中間階に配置されている。
【0056】
また、構造物10は、熱容量が、他の構造体(例えば、木造、鉄骨造等)より熱容量が大きいコンクリートによる躯体(RC造、SRC造、HRC造等)で形成されている。
そして、余剰電力により蓄冷する特定冷凍庫13は、比較的外皮負荷の小さい中間階に設けられている。
【0057】
これにより、外気の熱が、特定冷凍庫13内部に伝達されるのを抑えることが可能になり、特定冷凍庫13における蓄冷効果をより持続させることが可能となる。また、特定冷凍庫13を中間階に設けることで、特定冷凍庫13の上下に配置された冷凍庫等を、特定冷凍庫13により冷やすことが可能となる。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
1 冷却システム
10 構造物
11 冷蔵庫
12 冷凍庫
13 特定冷凍庫
20 冷却ユニット
21 太陽光パネル
22 冷却装置
23 蓄電池