(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101984
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】コンデンサ、コンデンサ装置および通信装置
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 201N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123552
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2023006002
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】畠中 英文
(72)【発明者】
【氏名】土門 浩
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AC07
5E001AC10
5E001AD02
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ23
5E082PP08
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】 高い信頼性を備えたコンデンサを提供する。
【解決手段】 コンデンサは、第1積層体と第2積層体と外部電極と、を備える。第1積層体は、複数の第1内部電極層と複数の第1誘電体層が第1方向に積層される。第2積層体は複数の第2内部電極層と複数の第2誘電体層が前記第1方向と交差する第2方向に積層される。外部電極は、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向において、前記第1積層体及び前記第2積層体の両端部側に位置する。前記複数の第1内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第1電極と、他方の前記外部電極と接続される第2電極と、を有する。前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極は重なり合う。前記複数の第2内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第3電極と、他方の前記外部電極と接続される第4電極と、を有する。前記第2方向において、前記第3電極と前記第4電極は重なり合う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1内部電極層と複数の第1誘電体層が第1方向に積層された第1積層体と、
複数の第2内部電極層と複数の第2誘電体層が前記第1方向と交差する第2方向に積層された第2積層体と、
前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向において、前記第1積層体及び前記第2積層体の両端部側に位置する外部電極と、
を備え、
前記複数の第1内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第1電極と、他方の前記外部電極と接続される第2電極と、を有し、
前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極は重なり合い、
前記複数の第2内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第3電極と、他方の前記外部電極と接続される第4電極と、を有し、
前記第2方向において、前記第3電極と前記第4電極は重なり合う、
コンデンサ。
【請求項2】
前記第2積層体は、第3内部電極層と第3誘電体層が前記第2方向に積層された第3積層体と、第4内部電極層と第4誘電体層が前記第2方向に積層された第4積層体を含み、
前記第2方向において、前記第3積層体と前記第4積層体の間に前記第1積層体が位置する、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2積層体は、第3内部電極層と第3誘電体層が前記第2方向に積層された第3積層体と、第4内部電極層と第4誘電体層が前記第2方向に積層された第4積層体を含み、
前記第1方向において、前記第3積層体と前記第4積層体の間に前記第1積層体が位置する、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記複数の第1内部電極層の数は、前記複数の第2内部電極層の数の0.8倍~1.2倍の範囲である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第3積層体の体積は、前記第4積層体の体積の0.8倍~1.2倍の範囲である、
請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第3積層体の体積は、前記第1積層体の体積の0.4倍~0.6倍の範囲であり、
前記第4積層体の体積は、前記第1積層体の体積の0.4倍~0.6倍の範囲である、
請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1積層体は、
前記第3積層体および前記第4積層体よりも、前記第3方向の両側に突出する突出部と、
誘電体を含み、前記突出部の前記第3方向に垂直な端面を覆う第1マージン部と、
を有し、
前記外部電極は、
前記突出部の前記第2方向に垂直な側面、前記第3積層体の前記第3方向に垂直な端面および前記第4積層体の前記第3方向に垂直な端面に位置する、
請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第3積層体は、前記第3積層体の前記第3方向に垂直な端面を覆い、誘電体を含む
第2マージン部を有し、
前記第4積層体は、前記第4積層体の前記第3方向に垂直な端面を覆い、誘電体を含む第3マージン部を有し、
前記外部電極は、
前記複数の第1内部電極層と接続し、前記第1積層体の前記第3方向に垂直な端面に位置する第1外部電極と、
前記第1外部電極と分離し、前記複数の第3内部電極層と接続し、前記第3積層体の前記第1方向に垂直な主面もしくは前記第2方向に垂直な側面の少なくとも一方に位置する第2外部電極と、
前記第1外部電極と分離し、前記複数の第4内部電極層と接続し、前記第4積層体の前記第1方向に垂直な主面もしくは前記第2方向に垂直な側面の少なくとも一方に位置する第3外部電極と、
を有する、
請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記複数の第2内部電極層は、
幅狭部と、
前記幅狭部よりも前記第1方向における幅が広い幅広部と、を有し、
前記幅広部は、前記第2積層体の前記第1方向に垂直な主面において、前記外部電極と接続される、
請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記複数の第1内部電極層は、
幅狭部と、
前記幅狭部よりも前記第2方向における幅が広い幅広部と、を有し、
前記幅広部は、前記第1積層体の前記第2方向に垂直な側面において、前記外部電極と接続される、
請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項11】
請求項7に記載のコンデンサと、
実装基板電極を有する実装基板と、
前記外部電極と前記実装基板電極とを接続するはんだと、
を備える、コンデンサ装置。
【請求項12】
請求項1に記載のコンデンサを備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサ、コンデンサ装置および通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の配線基板に搭載されるコンデンサには小型化とともに、外部から応力が印加されても破損し難いといった、高い信頼性を有するコンデンサが要求されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、セラミックシート上にセラミックパターンが印刷された補強パターンをマージン部に設けることで、キャパシタ部品の機械的強度が向上し、クラックの発生を防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い実装信頼性を備えたコンデンサ、コンデンサ装置および通信装置が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、複数の第1内部電極層と複数の第1誘電体層が第1方向に積層された第1積層体と、複数の第2内部電極層と複数の第2誘電体層が前記第1方向と交差する第2方向に積層された第2積層体と、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向において、前記第1積層体及び前記第2積層体の両端部側に位置する外部電極と、を備え、前記複数の第1内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第1電極と、他方の前記外部電極と接続される第2電極と、を有し、前記第1方向において、前記第1電極と前記第2電極は重なり合い、前記複数の第2内部電極層は、一方の前記外部電極と接続される第3電極と、他方の前記外部電極と接続される第4電極と、を有し、前記第2方向において、前記第3電極と前記第4電極は重なり合う。
【0007】
(2)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(1)に記載のコンデンサであって、前記第2積層体は、第3内部電極層と第3誘電体層が前記第2方向に積層された第3積層体と、第4内部電極層と第4誘電体層が前記第2方向に積層された第4積層体を含み、前記第2方向において、前記第3積層体と前記第4積層体の間に前記第1積層体が位置する。
【0008】
(3)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(1)または(2)に記載のコンデンサであって、前記第2積層体は、第3内部電極層と第3誘電体層が前記第2方向に積層された第3積層体と、第4内部電極層と第4誘電体層が前記第2方向に積層された第4積層体を含み、前記第1方向において、前記第3積層体と前記第4積層体の間に前記第1積層体が位置する。
【0009】
(4)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のコ
ンデンサであって、前記複数の第1内部電極層の数は、前記複数の第2内部電極層の数の0.8倍~1.2倍の範囲である。
【0010】
(5)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(4)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記第3積層体の体積は、前記第4積層体の体積の0.8倍~1.2倍の範囲である。
【0011】
(6)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(5)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記第3積層体の体積は、前記第1積層体の体積の0.4倍~0.6倍の範囲であり、前記第4積層体の体積は、前記第1積層体の体積の0.4倍~0.6倍の範囲である。
【0012】
(7)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(6)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記第1積層体は、前記第3積層体および前記第4積層体よりも、前記第3方向の両側に突出する突出部と、誘電体を含み、前記突出部の前記第3方向に垂直な端面を覆う第1マージン部と、を有し、前記外部電極は、前記突出部の前記第2方向に垂直な側面、前記第3積層体の前記第3方向に垂直な端面および前記第4積層体の前記第3方向に垂直な端面に位置する。
【0013】
(8)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(7)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記第3積層体は、前記第3積層体の前記第3方向に垂直な端面を覆い、誘電体を含む第2マージン部を有し、前記第4積層体は、前記第4積層体の前記第3方向に垂直な端面を覆い、誘電体を含む第3マージン部を有し、前記外部電極は、前記複数の第1内部電極層と接続し、前記第1積層体の前記第3方向に垂直な端面に位置する第1外部電極と、前記第1外部電極と分離し、前記複数の第3内部電極層と接続し、前記第3積層体の前記第1方向に垂直な主面もしくは前記第2方向に垂直な側面の少なくとも一方に位置する第2外部電極と、前記第1外部電極と分離し、前記複数の第4内部電極層と接続し、前記第4積層体の前記第1方向に垂直な主面もしくは前記第2方向に垂直な側面の少なくとも一方に位置する第3外部電極と、を有する。
【0014】
(9)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(8)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記複数の第2内部電極層は、幅狭部と、前記幅狭部よりも前記第1方向における幅が広い幅広部と、を有し、前記幅広部は、前記第2積層体の前記第1方向に垂直な主面において、前記外部電極と接続される。
【0015】
(10)
本開示の一実施形態に係るコンデンサは、上記(2)乃至(8)のいずれかに記載のコンデンサであって、前記複数の第1内部電極層は、幅狭部と、前記幅狭部よりも前記第2方向における幅が広い幅広部と、を有し、前記幅広部は、前記第1積層体の前記第2方向に垂直な側面において、前記外部電極と接続される。
【0016】
(11)
本開示の一実施形態に係るコンデンサ装置は、上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のコンデンサと、実装基板電極を有する実装基板と、前記外部電極と前記実装基板電極とを接続するはんだとを備える。
【0017】
(12)
本開示の一実施形態に係る通信装置は、上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のコンデンサを備える。
【発明の効果】
【0018】
上記のような実施形態によれば、高い実装信頼性を備えたコンデンサ、コンデンサ装置および通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態のコンデンサの模式的な断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図4】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図5】本開示の一実施形態のコンデンサの模式的な断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態のコンデンサの模式的な断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態のコンデンサの一部を透視した模式図である。
【
図8】本開示の一実施形態のコンデンサの一部を透視した模式図である。
【
図9】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図10】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図11】本開示の一実施形態のコンデンサの模式図である。
【
図12】本開示の一実施形態のコンデンサの一部を透視した模式図である。
【
図13】本開示の一実施形態のコンデンサ装置の模式図である。
【
図14】本開示の一実施形態のコンデンサ装置の模式図である。
【
図15】本開示の一実施形態のコンデンサ装置の模式図である。
【
図16】本開示の一実施形態のコンデンサ装置の模式図である。
【
図17】本開示の一実施形態の通信装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本開示の一実施形態に係るコンデンサ100および、当該コンデンサ100を備えるコンデンサ装置110および当該コンデンサ100を備える通信装置111について説明する。なお、以下では、コンデンサ100の一例として積層セラミックコンデンサについて説明するが、本開示の対象となるコンデンサ100は、積層セラミックコンデンサに限られず、積層型圧電素子、積層型フィルムコンデンサ、積層サーミスタ素子、積層チップコイル、および積層セラミック多層基板等の様々な積層型電子部品に適用することができる。
【0021】
なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、本明細書に記載する各実施形態は例示的なものであり、異なる実施形態および変更例間において部分的に置換してもよい。また、異なる実施形態および変更例間において部分的に組み合わせてもよい。
【0022】
図面には、便宜上、第1方向、第2方向、第3方向からなる直交座標系を付すことがある。本開示に係るコンデンサ100は、いずれの方向が第1方向、第2方向、第3方向とされてもよい。ただし、便宜上、後述する第1内部電極層11と第1誘電体層12の積層方向を第1方向と定義する。また、第1方向と交差する方向であって、後述する第2内部電極層21と第2誘電体層22の積層方向を第2方向と定義する。また第1方向および第2方向に交差する方向を第3方向と定義する。第3方向は、例えば略直方体状の形状であるコンデンサ100の長辺に略平行な方向である。また、便宜上、第1方向を上下方向、第2方向を左右方向、第3方向を前後方向とすることがある。なお、「交差する」とは、
任意な角度で交差していてもよく、例えば直交していてもよい。「直交」とは必ずしも正確に直交している必要はなく、おおよそ直交であると認識できる態様であれば足りる。
【0023】
略直方体状の形状であるコンデンサ100は6つの面を有している。第1方向においてコンデンサ100の上下に位置する面を主面、第2方向においてコンデンサ100の左右に位置する面を側面、第3方向においてコンデンサ100の前後に位置する面を端面と定義する。なお本開示において、一例として主面は第1方向に垂直であり、側面は第2方向に垂直であり、端面は第3方向に垂直である。なお、「垂直」とは必ずしも正確に垂直である必要はなく、おおよそ垂直であると認識できる態様であれば足りる。
【0024】
主面、側面、端面の定義は、コンデンサ100を構成する後述の第1積層体1および第2積層体2においても、それぞれ同じく定義することができる。また、主面、側面、端面の定義は、第2積層体2に含まれる後述の第3積層体32および第4積層体42においても、それぞれ同様に定義する。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図である。
図1Aに記載のように、本開示の一実施形態のコンデンサ100は、第1積層体1と第2積層体2を備えている。また、本開示の一実施形態のコンデンサ100は、第3方向において、第1積層体1及び第2積層体2の両端部側に位置する外部電極5を備えている。「両端部」とは、例えばコンデンサ100を第3方向に四等分割した場合における、両端に位置する部分(以下、両端部という)のことを言う。したがって、外部電極5が第1積層体1及び第2積層体2の両端部側に位置するとは、外部電極5が必ずしも第1積層体1および第2積層体2の端面に位置している必要はなく、上述したコンデンサ100を第3方向に四等分割した場合における、両端部に少なくとも位置していればよい。一例として、
図1に記載の一実施形態では、外部電極5は第1積層体1および第2積層体2の端面および該端面に隣接するその他の面にまで回り込んで形成されている。なお、
図1Aに記載のように、外部電極5のうち、一方の端部側に位置するものを外部電極5aとし、他方の端部側に位置するものを外部電極5bとする。
【0026】
外部電極5は、下地層と下地層よりも外部に位置するめっき外層を有していてもよい。下地層は、後述する第1積層体1および第2積層体2の内部電極層と接続する。めっき外層は、外部電極5の外部配線へのはんだ実装を容易にする。下地層の材料は特に限定されないが、例えば銅(Cu)を含んでいる。めっき外層の材料は特に限定されないが、例えばCu、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)および金(Au)を含んでいてもよい。また、めっき外層は、互いに異なる材料を含む複数の層を有していてもよい。
【0027】
外部電極5の形成方法の一例について説明する。下地層は、例えば、Cuを主成分とする導電性ペーストを第1積層体1および第2積層体2の両端面側に塗布し、その後焼付けを行うことで形成される。ただし下地層の形成方法はこの例に限定されない。例えば下地層は、後述する第1積層体1および第2積層体2が備える内部電極層の露出部を核にして、Cuなどの金属めっきを成長させることで形成されてもよい。この場合の金属めっきは無電解めっきであってもよいし、電解めっきであってもよいし、直接めっきであってもよい。めっき外層は、例えば、下地層よりもよりも外部に、さらにNiを含む電解めっき層を形成し、さらにその外部にSnを含む電解めっき層が形成される。なお、外部電極5の下地層の形成方法はこの例に限定されない。例えば、下地層は、ローラーを用いて導電性ペーストを第1積層体1および第2積層体2に転写して塗布し、その後に焼き付けることで形成されてもよい。
【0028】
図1Bは、本開示の一実施形態のコンデンサ100の外部電極5を省略して表した模式図である。なお、本明細書では、本開示の実施形態に係るコンデンサ100について説明
する際、外部電極5を省略して説明することがある。
図1Bに示すように、第1積層体1は、第1方向に積層された複数の第1内部電極層11と複数の第1誘電体層12を有する。また、第2積層体2は、第2方向に積層された複数の第2内部電極層21と複数の第2誘電体層22を有する。
【0029】
第1誘電体層12および第2誘電体層22は、種々のセラミック誘電体を含む。セラミック誘電体の例として、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)などが挙げられる。なお、第1誘電体層12と第2誘電体層22は、異なるセラミック誘電体を含んでいてもよい。一例として、第1誘電体層12および第2誘電体層22は、BaTiO3を含んでいる。
【0030】
第1内部電極層11および第2内部電極層21は、種々の金属を含む。金属の例としてNi、Cu、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、などが挙げられる。なお、第1内部電極層11と第2内部電極層21は、異なる金属を含んでいてもよい。一例として、第1内部電極層11および第2内部電極層21は、Niを含んでいる。
【0031】
図2は
図1Aに記載の一実施形態を、切断線II-IIで切断した時の断面を模式的に示した図である。
【0032】
複数の第1内部電極層11は、第1電極11aと第2電極11bを備える。第1電極11aは一方の外部電極5aと接続され、第2電極11bは他方の外部電極5bと接続される。また、第1方向において、第1電極11aと第2電極11bは重なり合う。この場合、異なる電位となる第1電極11aと第2電極11bの間に第1誘電体層12が位置するため、第1積層体1において容量を発生させることができる。
【0033】
複数の第2内部電極層21は、第3電極21aと第4電極21bを備える。第3電極21aは一方の外部電極5aと接続され、第4電極21bは他方の外部電極5bと接続される。また、第2方向において、第3電極21aと第4電極21bは重なり合う。この場合、異なる電位となる第3電極21aと第4電極21bの間に第2誘電体層22が位置するため、第2積層体2において容量を発生させることができる。
【0034】
図2に記載の一実施形態によれば、コンデンサ100は、互いに交差する方向に積層された第1積層体1と第2積層体2を有している。換言すると、本開示の一実施形態によれば、第1積層体1が有する複数の第1内部電極層11と複数の第1誘電体層12の積層方向と第2積層体2が有する複数の第2内部電極層21と複数の第2誘電体層22の積層方向は交差する。
【0035】
例えばコンデンサがねじれた場合に、コンデンサのある一部分には圧縮力が加わり、ある一部分には引張力が加わる。誘電体セラミックは脆性材料のため、引張応力により引き延ばされるように変形すると、クラックが発生しやすくなる。また、一般的なコンデンサにおいて、内部電極層が積層する方向は一方向に限られるため、積層方向に垂直な方向への引張力に対しては変形しにくいが、積層方向と平行な方向への引張力に対しては変形しやすい。一方で、
図2に記載の一実施形態によれば、第1方向に第1内部電極層11が積層し、第1方向とは異なる第2方向に第2内部電極層21が積層するため、第1方向および第2方向のいずれの方向への引張応力に対しても変形を低減できる構造となる。したがって本開示の本開示の一実施形態によれば、たわみを含むねじれ応力によるクラックの発生を低減することができる。
【0036】
また、
図2に記載の一実施形態では、第1方向において、第1電極11aと第2電極1
1bは重なり合い、第2方向において、第3電極21aと第4電極21bは重なり合ため、第1積層体1および第2積層体2の両方において、容量が発生する。したがって、本開示の一実施形態によれば、体積当たりに発生する容量を保ちつつ、機械的強度および信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0037】
また、
図2に記載の一実施形態において、第1積層体1と第2積層体2の構造は略同一としてもよい。例えば一例として、第1積層体1が有する第1内部電極層11の数と第2積層体2が有する第2内部電極層21の数は同一であってもよい。または第1積層体1が有する第1内部電極層11の数が、第2積層体2が有する第2内部電極層21の数の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。もしくは一例として、第1積層体1の体積と第2積層体2の体積は同一であってもよい。または第1積層体1の体積が、第2積層体2の体積の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。このように、第1積層体1と第2積層体2の構造が略同一の場合、第1積層体1と第2積層体2の間での構造のばらつきが低減する。したがって、積層方向に垂直および積層方向に平行のいずれの方向への引張応力に対しても同程度に変形を低減できる構造となり、より信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0038】
図3は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の外部電極5を省略して表した模式図である。
図3に記載の一実施形態では、第2積層体2は、第3積層体32と第4積層体42を含んでいる。また、第2方向において、第3積層体32と第4積層体42の間に第1積層体1が位置している。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の外部電極5を省略して表した模式図である。
図4に記載の一実施形態では、第2積層体2は、第3積層体32と第4積層体42を含んでいる。また、第1方向において、第3積層体32と第4積層体42の間に第1積層体1が位置している。
【0040】
図5は、
図3に記載の一実施形態を、切断線V-Vで切断した断面を第1方向から見た時の模式図である。
図6は、
図4に記載の一実施形態を、切断線VI-VIで切断した断面を第2方向から見た時の模式図である。
【0041】
図5および
図6に記載の一実施形態では、第3積層体32は、複数の第3内部電極層321と複数の第3誘電体層322を有する。複数の第3内部電極層321は、第5電極321aと第6電極321bを備える。第5電極321aは一方の外部電極5aと接続され、第6電極321bは他方の外部電極5bと接続される。また、第2方向において、第5電極321aと第6電極321bは重なり合う。この場合、異なる電位となる第5電極321aと第6電極321bの間に第3誘電体層322が位置するため、第3積層体32において容量を発生させることができる。
【0042】
図5および
図6に記載の一実施形態では、第4積層体42は、複数の第4内部電極層421と複数の第4誘電体層422を有する。複数の第4内部電極層421は、第7電極421aと第8電極421bを備える。第7電極421aは一方の外部電極5aと接続され、第8電極421bは他方の外部電極5bと接続される。また、第2方向において、第7電極421aと第8電極421bは重なり合う。この場合、異なる電位となる第7電極421aと第8電極421bの間に第4誘電体層422が位置するため、第4積層体42において容量を発生させることができる。
【0043】
なお、第3内部電極層321と第4内部電極層421は第2内部電極層21に含まれると解釈でき、また第3誘電体層322と第4誘電体層422は第2誘電体層22に含まれると解釈できる。
【0044】
図5および
図6に記載の一実施形態によれば、コンデンサ100は、互いに交差する方向に積層された第1積層体1と第2積層体2を有するのに加え、左右方向もしくは上下方向において第1積層体1と第2積層体2が略対称に配置されることとなる。換言すると、第1積層体1に対して第3積層体32と第4積層体42が上下方向もしくは左右方向において略対称的に配置される。結果として、コンデンサ全体として構造の対称性が向上する。したがって、ねじれによりコンデンサ100に対し、いずれの方向から引張力が加わったとしても変形の可能性を低減することができる。したがって本開示の一実施形態によれば、より機械的強度および信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0045】
また、
図5および
図6に記載の一実施形態において、第3積層体32と第4積層体42の構造は略同一としてもよい。例えば一例として、第3積層体32が有する第3内部電極層321の数と第4積層体42が有する第4内部電極層421の数は同一であってもよい。または第3積層体32が有する31内部電極層321の数が、第4積層体42が有する第4内部電極層421の数の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。もしくは一例として、第3積層体32の体積と第4積層体42の体積は同一であってもよい。または第3積層体32の体積が、第4積層体42の体積の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。このように、第3積層体32と第4積層体42の構造が略同一の場合、第3積層体32と第4積層体42の間での構造のばらつきが低減し、コンデンサ全体としての構造の対称性が向上する。したがって、積層方向に垂直および積層方向に平行のいずれの方向への引張力に対しても同程度に変形を低減できる構造となり、より信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0046】
図5に記載の一実施形態において、一例として、第1積層体1が有する第1内部電極層11の数と第2積層体2が有する第2内部電極層21の数は同一であってもよい。換言すると、第3積層体32が有する第3内部電極層321の数と第4積層体42が有する第4内部電極層421の数の合計と第1積層体1が有する第1内部電極層11の数が同一であってもよい。または第1積層体1が有する第1内部電極層11の数が、第3積層体32が有する第3内部電極層321の数と第4積層体42が有する第4内部電極層421の数の合計数の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。もしくは一例として、第1積層体1の体積と第2積層体2の体積は同一であってもよい。または第3積層体32の体積が、第4積層体42の体積の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。換言すると、第3積層体32の体積と第4積層体42の体積の合計と第1積層体1の体積が同一であってもよい。または第1積層体1の体積が、第3積層体32の体積と第4積層体42の体積の合計の0.8倍~1.2倍の範囲であってもよい。この場合、第1積層体1と第2積層体2の間での構造のばらつきが低減し、コンデンサ全体としての対称性が向上する。したがって、積層方向に垂直および積層方向に平行のいずれの方向への引張力に対しても同程度に変形を低減できる構造となり、より信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0047】
また
図5および
図6に記載の一実施形態において、一例として、第3積層体32が有する第3内部電極層321の数と第4積層体42が有する第4内部電極層421の数は、それぞれ第1積層体1が有する第1内部電極層11の数の半分であってもよい。または第3積層体32が有する第3内部電極層321の数と第4積層体42が有する第4内部電極層421の数は、それぞれ第1積層体1が有する第1内部電極層11の数の0.4倍~0.6倍の範囲であってもよい。もしくは一例として、第3積層体32の体積と第4積層体42の体積は、それぞれ第1積層体1の体積の半分であってもよい。または第3積層体32の体積と第4積層体42の体積は、第1積層体1の体積の0.4倍~0.6倍の範囲であってもよい。この場合、第1積層体1と第2積層体2の間での構造のばらつきが低減し、コンデンサ全体としての対称性が向上する。したがって、積層方向に垂直および積層方向に平行のいずれの方向への引張力に対しても同程度に変形を低減できる構造となり、より
信頼性の高いコンデンサを提供することができる。
【0048】
また、
図5に記載の一実施形態において、第2方向における第3積層体32の厚みと、第2方向における第4積層体42の厚みは、第2方向における第1積層体1の厚みに比べて小さくてもよい。例えば第3積層体32と第4積層体42は、第1積層体1のサイドマージン部として機能してもよい。換言すると、第1積層体1が有する第1内部電極層11は、第2方向において、第3積層体が有する第2誘電体層22および第4積層体42が有する第2誘電体層22と接触する。このような構成の場合、第1積層体1のサイドマージン部においても容量を発生する有効領域を形成することができ、コンデンサの体積当たりの容量を増やすことができる。
【0049】
以上説明した実施形態では、第1内部電極層11の形状は矩形状である例を示したが、この例に限定されない。第1内部電極層11の形状は適宜設計されてもよい。例えば第1内部電極層11の全部または一部が円形状であってもよい。また、複数の第1内部電極層11が全て同じ形状である必要はない。例えば、複数の第1内部電極層11のうち、第1方向において中央側に位置する第1内部電極層11と外側に位置する第1内部電極層11で、形状が異なっていてもよい。上記のような電極形状の自由度は、第2内部電極層21にも同じく適用できる。また、第1内部電極層11と第2内部電極層21の形状は同じである必要はなく、互いに異なる形状であってもよい。
【0050】
第2内部電極層21は、幅広部213と幅狭部214を有していてもよい。
図7は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図を示す。
図7において、第3積層体32の内部に位置する第3内部電極層321をハッチングにより表している。
図7に記載の一実施形態において、第3内部電極層321と第4内部電極層421は、幅広部213と幅狭部214を有する。幅広部213は、幅狭部214よりも第1方向における幅が広い。幅広部213は、例えば、第2積層体2の主面において露出し、外部電極5と接続していてもよい。この場合、外部電極5と第2内部電極層21が接触する面積が増え、接触信頼性を向上させることができる。
【0051】
第1内部電極層11は、幅広部113と幅狭部114を有していてもよい。
図8は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図を示す。
図8において、第1積層体1の内部に位置する第1内部電極層11をハッチングにより表している。
図8に記載の一実施形態において、第1内部電極層11は、幅広部113と幅狭部114を有する。幅広部113は、幅狭部114よりも第2方向における幅が広い。幅広部113は、例えば、第1積層体1の側面において露出し、外部電極5と接続していてもよい。この場合、外部電極5と第1内部電極層11が接触する面積が増え、接触信頼性を向上させることができる。
【0052】
以上説明した実施形態では、コンデンサ100の形状は略直方体形状である例を示したが、この例に限定されない。
図9は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図である。
図9Aは外部電極5を含めて表したコンデンサ100の模式図であり、
図9Bは外部電極5を省略して表したコンデンサ100の模式図である。
【0053】
図9に記載の一実施形態では、第1積層体1は、突出部6を有する。突出部6は、第3積層体32および第4積層体42よりも、第3方向の両側に突出している。突出部6のうち、第3方向において外部電極5aと同じ側に位置するものを突出部6aとし、外部電極5bと同じ側に位置するものを突出部6bとする。
【0054】
図9に記載の一実施形態では、外部電極5は、第3方向において、第1積層体1及び第2積層体2の両端部側に位置する。換言すると、外部電極5は、第3方向において、第1積層体1、第3積層体32および第4積層体42の両端部側に位置する。具体的に、外部
電極5は、第1積層体1の突出部6を覆い、該突出部6に隣接するその他の面にまで回り込んで形成されている。この場合、第1内部電極層11は、突出部6の端面側からおよび側面側から露出し、外部電極5と接続する。したがって、本開示の一実施形態によれば、外部電極5と第1内部電極層11が接触する面積が増え、接触信頼性を向上させることができる。
【0055】
図10は、本開示の一実施形態に係るコンデンサ100の模式図である。
図10Aは外部電極5を含めて表したコンデンサ100の模式図であり、
図10Bは外部電極5を省略して表したコンデンサ100の模式図である。
図10に記載の一実施形態では、突出部6の第3方向に垂直な端面を覆う第1マージン部61を有する。第1マージン部61は、誘電体を含む。第1マージン部の材料は適宜設定されてもよいが、例えば第1マージン部61は第1誘電体層12もしくは第2誘電体層22と同じ材料であってもよい。
【0056】
また、
図10に記載の一実施形態では、外部電極5は、突出部6の第2方向に垂直な側面、第3積層体32の第3方向に垂直な端面および第4積層体42の第3方向に垂直な端面に形成される。第1内部電極層11は突出部6の側面側から露出し、外部電極5と接続する。一方で突出部6の端面側には第1マージン部61が位置しているため、突出部6の側面には外部電極5は形成されない。この場合、外部電極5と第1内部電極層11が接触する面積が増え、接触信頼性を向上させることができる。外部電極5はさらに、第1積層体1、第3積層体32および第4積層体42の第1方向に垂直な主面にも形成されていてもよい。
【0057】
図5に記載の一実施形態では、コンデンサ100は、第1内部電極層11、第3内部電極層321および第4内部電極層421は、同じ外部電極5と接続する例を示したが、この例に限定されない。例えば第1内部電極層11、第3内部電極層321および第4内部電極層421は互いに異なる外部電極5と接続されていてもよい。
図11は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図である。
図11Aは外部電極5を含めて表したコンデンサ100の模式図であり、
図11Bは外部電極5を省略して表したコンデンサ100の模式図である。
【0058】
図11に記載の一実施形態では、外部電極5は互いに分離する第1外部電極51、第2外部電極52および第3外部電極53を有する。
【0059】
第1外部電極51は、複数の第1内部電極層21と接続する。また、第1外部電極51は、第1積層体1の両端面に位置する。なお、第1外部電極51は、第1電極11aと接続する第1外部電極51aと、第2電極11bと接続する第1外部電極51bを含んでいる。
【0060】
第2外部電極52は、第3積層体32が有する複数の第3内部電極層321と接続する。また、第2外部電極52は、少なくとも第3積層体32の主面もしくは側面の一方に位置する。または、第2外部電極52は第3積層体32の主面および側面の両方に位置していてもよい。第2外部電極52は、第5電極321aと接続する第2外部電極52aと、第6電極321bと接続する第2外部電極52bを含んでいる。
【0061】
第3外部電極53は、第4積層体42が有する複数の第4内部電極層421と接続する。また、第3外部電極53は、少なくとも第4積層体42の主面もしくは側面の一方に位置する。または、第2外部電極52は第3積層体32の主面および側面の両方に位置していてもよい。第3外部電極53は、第7電極421aと接続する第3外部電極53aと、第8電極421bと接続する第3外部電極53bを含んでいる。
【0062】
第3内部電極層321と第4内部電極層421は、それぞれ、幅広部213と幅狭部214を有していてもよい。
図12は、本開示の一実施形態のコンデンサ100の模式図を示す。
図12において、第3積層体32の内部に位置する第3内部電極層321をハッチングにより表している。
図12に記載の一実施形態において、第3内部電極層321と第4内部電極層421は、幅広部213と幅狭部214を有する。幅広部213は、幅狭部214よりも第1方向における幅が広い。
【0063】
図12に記載の一実施形態において、第3内部電極層321が有する幅広部213は、第3積層体32の主面において露出し、第2外部電極52と接続する。また第4内部電極層421が有する幅広部213は、第4積層体42の主面において露出し、第3外部電極53と接続する。
【0064】
図12に記載の一実施例において、第3積層体32は、第3方向に垂直な端面を覆う第2マージン部62を有する。また、第4積層体42は、第3方向に垂直な端面を覆う第3マージン部63を有する。第2マージン部62および第3マージン部63は、誘電体を含む。第2マージン部62および第3マージン部63の材料は適宜設定されてもよいが、例えば第3誘電体層322もしくは第4誘電体層422と同じ材料であってもよい。
【0065】
第2マージン部62が第3積層体32の端面に位置することにより、第3内部電極層321が第3積層体32の端面において外部電極5と接続されない。また第3マージン部63が第4積層体42の端面に位置することにより、第4内部電極層421が第4積層体42の端面において外部電極5と接続されない。結果として、第3内部電極層321は、第2外部電極52と接続され、第1外部電極51とは接続されない。また第4内部電極層421は、第3外部電極53と接続され、第1外部電極51とは接続されない。
【0066】
図13は、本開示のコンデンサ100の一利用例としてのコンデンサ装置110の模式図である。本開示の一実施形態のコンデンサ装置110は、コンデンサ100、実装基板7およびはんだ8を有する。実装基板7は実装基板電極71を備えている。実装基板電極71は異なる電位となる実装基板電極71aと実装基板電極71bを有する。はんだ8は、コンデンサ100の外部電極5と実装基板電極71とを接続する。なお、
図13に記載のコンデンサ100は一例として
図5に記載のコンデンサ100である。
図13に記載のコンデンサ装置110を特にコンデンサ装置110aとする。
【0067】
コンデンサ装置110aにおいて、コンデンサ100は、互いに交差する方向に積層された第1積層体1と第2積層体2を有するため、ねじれ応力による変形を低減できる構造となる。したがって、本開示の一実施形態のコンデンサ装置110によれば、実装基板7のねじれもしくは撓みにより、コンデンサ100に応力が加わってとしても、コンデンサ100の破損を低減することができる。
【0068】
図13では、コンデンサ100として、
図5に記載のコンデンサ100を示したがこの例に限定されない。例えば、本開示のコンデンサ装置110が有するコンデンサ100は、本明細書に記載する各実施形態のいずれかであってもよいし、異なる実施形態間において部分的に組み合わせてもよい。
【0069】
図14は、本開示のコンデンサ100の一利用例としてのコンデンサ装置110の模式図である。本開示の一実施形態のコンデンサ装置110は、コンデンサ100、実装基板7およびはんだ8を有する。実装基板7は実装基板電極71を備えている。実装基板電極71は異なる電位となる実装基板電極71aと実装基板電極71bを有する。はんだ8は、コンデンサ100aの外部電極5と実装基板電極71とを接続する。なお、
図14に記載のコンデンサ100は一例として
図10に記載のコンデンサ100である。
図14に記
載のコンデンサ装置110を特にコンデンサ装置110bとする。
【0070】
コンデンサ装置110bにおいて、コンデンサ装置100の外部電極5は、突出部6の第2方向に垂直な側面、第3積層体32の第3方向に垂直な端面および第4積層体42の第3方向に垂直な端面に形成されている。一方で、第1マージン部61が突出部6の第3方向に垂直な端面を覆っているため、該端面には外部電極5は形成されていない。したがって、外部電極5とはんだ8はコンデンサ100の四隅のみで接触するため、外部電極5とはんだ8の接触面積を比較的小さくすることができる。したがって、本開示の一実施形態に係るコンデンサ装置110bによれば、実装基板7のねじれもしくは撓みによってコンデンサ100に伝わる応力が低減するため、コンデンサ100の破損を低減することができる。
【0071】
また、コンデンサ装置110bにおいて、コンデンサ装置100の外部電極5は、第3積層体32の第3方向に垂直な端面に形成されている。したがって、例えばコンデンサ装置110bは、コンデンサ装置110aに比べて、第3方向において両側に位置するはんだ8の重心距離が近くなる。また、コンデンサ装置100の外部電極5は、突出部6の第2方向に垂直な側面に形成されている。したがって、例えばコンデンサ装置110bは、コンデンサ装置110aに比べて、第2方向において両側に位置するはんだ8の重心距離が近くなる。このように、はんだ8の重心距離が近づくことで、コンデンサ100の実装基板7に対する固定点の距離が近くなる。したがって、本開示の一実施形態のコンデンサ装置110bによれば、実装基板7のねじれもしくは撓みによって、コンデンサ100に加わる慣性モーメントが小さくなり、コンデンサ100に加わる負荷を低減することができる。
【0072】
また、コンデンサ装置110bを製造する際、装基板電極71と外部電極5を接続するために、はんだ付けによりはんだ8を形成する。はんだ8は外部電極5に接触しながら濡れあがる。コンデンサ装置110bは、外部電極5が突出部6の第2方向に垂直な側面および第3積層体32の第3方向に垂直な端面に形成されるため、はんだ8と外部電極5の接触面積がコンデンサ装置110aに比べて大きくなる。したがって、本開示の一実施形態のコンデンサ装置110bによれば、はんだ8が濡れ上がり量を増やすことができる。
【0073】
図15は、本開示のコンデンサ100の一利用例としてのコンデンサ装置110の模式図である。本開示の一実施形態のコンデンサ装置110は、コンデンサ100、実装基板7およびはんだ8を有する。実装基板7は実装基板電極71を備えている。実装基板電極71は異なる電位となる実装基板電極71aと実装基板電極71bを有する。はんだ8は、コンデンサ100aの外部電極5と実装基板電極71とを接続する。なお、
図15に記載のコンデンサ100は一例として
図11に記載のコンデンサ100である。
図15に記載のコンデンサ装置110を特にコンデンサ装置110cとする。
【0074】
コンデンサ装置110cにおいて、コンデンサ装置100の第1外部電極51、第2外部電極52および第3外部電極53は、同一の実装基板電極71に接続される。上述したように、
図11に記載のコンデンサ100は、第1積層体1の第1内部電極層11は第1外部電極51のみと接続し、第3積層体32の第3内部電極層321は第2外部電極52のみと接続し、第4積層体42の第4内部電極層421は、第3外部電極53のみと接続する。
【0075】
この場合、第1内部電極層11の第1電極11a、第3内部電極層321の第5電極321aおよび第4内部電極層421の第7電極421aが同一の実装基板電極71aに電気的に接続される。結果として、第1電極11a、第5電極321aおよび第7電極421aが同電位となる。また、第1電極11aと対向する第2電極11b、第5電極321
aに対向する第6電極321b、第7電極421aに対向する第8電極421bは、他方の実装基板電極71bに接続される。結果として、第12電極11b、第6電極321bおよび第8電極421bが同電位となる。
【0076】
よって、コンデンサ装置110cにおいて、第1積層体1における容量、第3積層体32における容量および第4積層体4における容量は並列接続された状態となる。したがって本開示の一実施形態に係るコンデンサ装置110cによれば、三種類の容量の合成容量を出力することが可能となる。
【0077】
なお、コンデンサ装置110cはこの例に限定されない。コンデンサ装置110cの変更例としてのコンデンサ装置110dを
図16に示す。コンデンサ装置110dに含まれるコンデンサ100は、コンデンサ装置110cと同じく
図11に記載のコンデンサ100であり、第1積層体1の第1内部電極層11は第1外部電極51のみと接続し、第3積層体32の第3内部電極層321は第2外部電極52のみと接続し、第4積層体42の第4内部電極層421は、第3外部電極53のみと接続する。
【0078】
コンデンサ装置110dは、複数の実装基板電極71を備え、コンデンサ装置100の第1外部電極51、第2外部電極52および第3外部電極53は、それぞれ異なる実装基板電極71と接続されていてもよい。このような構成の場合、コンデンサ装置110dにおいて、第1積層体1における容量、第3積層体32における容量および第4積層体42における容量は、それぞれ独立のものとして機能する。したがって本開示の一実施形態に係るコンデンサ装置110dによれば、それぞれ独立した三種類の容量を出力することが可能となる。なお、実装基板電極71のレイアウトは適宜変更されてもよい。例えば、第2外部電極52と第3外部電極53は互いに同一の実装基板電極71に接続され、第1外部電極51のみ異なる実装基板電極71に接続されてもよい。
【0079】
図17は、本開示のコンデンサ100の一利用例としての通信装置111の模式図である。本開示の一実施形態の通信装置111は、上述した本開示の一実施形態に係るコンデンサ100を備える。なお、本開示の一実施形態に係る通信装置111が備えるコンデンサ100は、本明細書に記載する各実施形態のいずれかであってもよいし、異なる実施形態間において部分的に組み合わせてもよい。また、本開示の一実施形態の通信装置111は、上述した本開示の一実施形態に係るコンデンサ装置110を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1:第1積層体
11:第1内部電極層
11a:第1電極
11b:第2電極
113:幅広部
114:幅狭部
12:第1誘電体層
2:第2積層体
21:第2内部電極層
21a:第3電極
21b:第4電極
213:幅広部
214:幅狭部
22:第2誘電体層
32:第3積層体
321:第3内部電極層
321a:第5電極
321b:第6電極
322:第3誘電体層
42:第4積層体
421:第4内部電極層
421a:第7電極
421b:第8電極
422:第4誘電体層
5、5a、5b:外部電極
51:第1外部電極
52:第2外部電極
53:第3外部電極
6、6a、6b:突出部
61:第1マージン部
62:第2マージン部
63:第3マージン部
7:実装基板
71:実装基板電極
8:はんだ
100:コンデンサ
110、110a、110b、110c、110d:コンデンサ装置
111:通信装置