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特開2024-101986アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置
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  • 特開-アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置 図1
  • 特開-アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置 図2
  • 特開-アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置 図3
  • 特開-アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置 図4
  • 特開-アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101986
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置
(51)【国際特許分類】
   B44D 3/18 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B44D3/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188476
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2023-0007045
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523416977
【氏名又は名称】キム、キボム
【氏名又は名称原語表記】Kim ki bum
【住所又は居所原語表記】986-90, Cheongang-ro, Gangdong-myeon, Gyeongju-si, Gyeongsangbuk-do, (38004) South KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、キボム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】木材の使用を排除することのできるアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置を提供する。
【解決手段】軽量金属により押出成形されて内側に中空部11を有し、背面に固定溝12を、かつ固定溝12の上入口に受け突部121を形成し、固定溝12の下側に係合溝13を形成し、係合溝の下入口に係止突部131を形成し、固定溝12と係合溝13との間に受け壁体14を背面よりも低く構成したキャンバスフレーム枠体1と、薄い板材を成形して上側を固定突部21とくさび突部211とから構成し、下側は折り曲げて受け片と弾性片221とを有する弾性部22から構成し、弾性片の終端に係止爪222と延長突部223とを有する固定ピン2と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量金属により押出成形されて内側に中空部(11)を有し、背面に固定溝(12)を、かつ固定溝(12)の上入口に受け突部(121)を形成し、固定溝(12)の下側に係合溝(13)を形成し、係合溝の下入口に係止突部(131)を形成し、固定溝(12)と係合溝(13)との間に受け壁体(14)を背面よりも低く構成したキャンバスフレーム枠体(1)と、
薄い板材を成形して上側を固定突部(21)とくさび突部(211)とから構成し、下側は折り曲げて受け片(226)と弾性片(221)とを有する弾性部(22)から構成し、弾性片(221)の終端に係止爪(222)と延長突部(223)とを有する固定ピンと、
を備えて、
キャンバスフレーム枠体(1)を包み込んでいるキャンパス生地(3)の周縁部の外側において固定ピン(2)のくさび突部(211)の終端がキャンパス生地を突き通してその終端がキャンパス生地(3)の他方の側に突出するようにして固定溝(12)の内側に投入し、下側の弾性部(22)を係合溝(13)に投入して固定ピン(2)の係止爪(222)が係止突部(131)に係止されるようにしてキャンパス生地(3)がキャンバスフレーム(P)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置。
【請求項2】
固定ピン(2)は、受け片(226)の折曲げ部に除去溝(225)を形成したものであることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置。
【請求項3】
固定ピン(2)は、本体を撓ませて形成したものであることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置に係り、より詳細には、アルミニウム製キャンバスフレームにキャンパス生地を固定するために設けられる木材を排除し、弾性ピンを用いて固定できるようにするアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャンバスフレームは、西洋画や油画などの絵画を描くときに布地の一種である油画用のキャンパス(帆布)生地をキャンバスフレームに固定して絵画を描くようになっている。
【0003】
すなわち、キャンバスフレームに前記キャンパス生地の外周縁を引っ張って固定することにより、キャンパス生地がピンと引っ張られた状態を保持するように固定し、キャンパス生地を四角い枠体に固定する手段として釘、鉄芯及び押しピンなどが用いられる。
【0004】
以上述べたように、釘、鉄芯及び押しピンなどを手軽に打ち込むために、従来のキャンバスフレームは、主として木材から作製されていたが、木材製のキャンバスフレームは、大気中の湿度に応じて含水率が異なり、これは、キャンバスフレームのねじれ・ゆがみを生じ易くする原因となり、木材が含有している水気は、外部の環境の影響を受けて湿気を排出してしまうが、排出される湿気とともに樹液などが排出されてキャンパス生地に染み込んでしまい、これは、絵画を損なう原因となる。
【0005】
すなわち、キャンパス生地とキャンバスフレームとの密着部には上記の木材から排出される湿気などによってキャンバスフレームとキャンパス生地がまつわり付き、カビなどが生じるなど絵画の価値を甚だしくき損してしまうという問題があった。
【0006】
したがって、近頃には、上記のような木材製のキャンバスフレームの問題を解決するために、軽量金属であるアルミニウムを用いてキャンバスフレームを製造したものが多数提案されて実用化のレベルに至っており、これらの例としては、大韓民国特許登録第1226698号及び大韓民国特許登録第2319322号に記載のものが挙げられる。同公報を参照すると、軽量金属製であり、内部に中空部を有するパイプ構造の横棒及び縦棒と、横棒と縦棒とをつないで四角い枠体の形状に形成し、四角い枠体の背面の周りに木材を固定してキャンバスフレームを形成した構成を有するものが開示されている。
【0007】
したがって、絵画が描かれるキャンパス生地は、金属製のキャンバスフレームの前面に密着して位置し、キャンパス生地の外周縁は、キャンバスフレームの背面に位置する木材に周りが固定されるようになっていて、絵画が描かれるキャンパス生地が金属製のキャンバスフレームの前面に接することから、木材が排出する湿気によるカビ及び樹液から分離されてキャンパス生地の汚れを低減することができるという効果がある。
【0008】
しかしながら、上記のような構成のキャンバスフレームも、既存のものと同様に、キャンパス生地を固定するための木材を完全に排除することができないため、汚れの度合い及び汚れの時間の差があるだけであり、時間が経つにつれてキャンバスフレームの背面の木材から排出される湿気と樹液及びカビなどが生じてしまい、この汚れはどんどん広がってキャンパス生地の全面に亘って行き渡り、その結果、絵画を汚してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許登録第1226698号
【特許文献2】大韓民国特許登録第2319322号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の従来の技術の問題を解消するために案出されたものであって、アルミニウム製キャンバスフレームにキャンパス生地を固定するために設けられる木材を排除し、金属製のピンにてキャンバスフレーム枠体にキャンパス生地を直接的に固定できるようにして木材の使用を排除することのできるアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置を提供することにその目的がある。
【0011】
また、キャンパス生地を強固に固定できるのみならず、キャンパス生地をキャンバスフレームに取り付けたり、キャンバスフレームから取り外したりすることを簡単に行うことのできるアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置を提供することに本発明の他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明のアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置は、軽量金属により押出成形されて内側に中空部11を有し、背面に固定溝12を、かつ固定溝12の上入口に受け突部121を形成し、固定溝12の下側に係合溝13を形成し、係合溝の下入口に係止突部131を形成し、固定溝12と係合溝13との間に受け壁体14を背面よりも低く構成したキャンバスフレーム枠体1と、薄い板材を成形して上側を固定突部21とくさび突部211とから構成し、下側は折り曲げて受け片226と弾性片221とを有する弾性部22から構成し、弾性片221の終端に係止爪222と延長突部223とを有する固定ピンと、を備えて、キャンバスフレーム枠体1を包み込んでいるキャンパス生地3の周縁部の外側において固定ピン2のくさび突部211の終端がキャンパス生地を突き通してその終端がキャンパス生地3の他方の側に突出するようにして固定溝12の内側に投入し、下側の弾性部22を係合溝13に投入して固定ピン2の係止爪222が係止突部131に係止されるようにしてキャンパス生地3がキャンバスフレームPに固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明によるアルミニウム製キャンバスフレームにおけるキャンパス生地の固定装置は、枠体を切断して長方形の形状に組み立てられるキャンバスフレームの背面に固定溝と係合溝が露出され、キャンバスフレームにキャンパス生地を包み込んだ形状にキャンパス生地の外周縁を引っ張りながら、キャンパス生地の外側から固定ピンのくさび突部をキャンパス生地に押し付けてくさび突部の終端がキャンパス生地を突き通して終端がキャンパス生地の押付部の他方の側に突出するようにして受け突部に係止されるように固定ピンの下端の弾性部を係合溝に投入すれば、弾性部の弾力によって固定ピンが固定されるので、アルミニウム製キャンバスフレームにキャンパス生地を固定するための木材を排除し、キャンバスフレームにキャンパス生地を簡単に固定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】キャンバスフレーム枠体に固定ピンを結合した実施形態を示す例示図。
図2】(A)と(B)は、キャンバスフレームへのキャンパス生地の取り付け状態を示す断面例示図。
図3】本発明の固定ピンを示す例示図。
図4】(E)と(F)は、固定ピンの実施形態を示す例示図。
図5】本発明のキャンバスフレームを示す例示図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づいて、本発明の望ましい実施形態について詳しく説明する。
【0016】
まず、図1は、キャンバスフレーム枠体に固定ピンを結合した実施形態を示す例示図であって、本発明のキャンバスフレーム枠体の断面構成が示されている。
【0017】
本発明のキャンバスフレーム枠体1は、内側に中空部11を有し、押出成形されて製造され、背面に固定溝12と係合溝13が後側に露出されるように形成される。
【0018】
上記において、固定溝12は、後側に入口を有する半円形の形状に、または一方の側が傾斜面を有する台形の形状に形成することが好ましく、固定溝12の上入口に受け突部121を形成してなる。
【0019】
上記において、係合溝13は、固定溝12の下側と隣り合って後側に入口を有する長方形であることが好ましく、係合溝13の一方の側の入口に係止突部131を形成する。
【0020】
上記において、固定溝12と係合溝13、及び受け突部121と係止突部131は、キャンバスフレーム枠体1の長手方向に連設され、固定溝12と係合溝13は受け壁体14により連結され、受け壁体14はキャンバスフレーム枠体1の背面壁体である枠体壁体15よりも低く形成され、受け突部121及び固定突部21は、受け壁体14が連結される固定溝12と係合溝13の外側である枠体壁体15の端部において向かい合うように形成される。
【0021】
図3及び図4に本発明の固定ピンが示されている。
【0022】
本発明の固定ピン2は、弾性を有する薄い板材を成形して形成するものであって、上側が固定突部21と突出するくさび突部211とから形成され、下側は折り曲げられて弾性部22を構成する。
【0023】
上記において、固定突部21は、薄い板材から作製される固定ピン2の上側の端部が固定突部21となり、図4の(E)に示すように、先端が先鋭状に尖って突設される多数本のくさび突部211を有する。
【0024】
上記において、弾性部22は、固定ピン2の下部を折り曲げて受け片226を形成し、受け片226の終端を折り曲げて弾性片221を形成して受け片226と弾性片221との間の折曲げ部は弾性力を有する。
【0025】
また、弾性部22は、弾性片221をさらに伸ばして折り曲げることにより、係止爪222付き延長突部223を形成し、図4の(E)に示すように、固定ピン2の受け片226を形成するための折曲げ部に除去溝225を形成してもよいし、図4の(F)に示すように、固定ピン本体を撓ませて形成してもよい。
【0026】
以上のように構成される本発明は、まず、キャンバスフレーム枠体1を切断し、これを組み立てて、図5に示すように、四角い形状のキャンバスフレームPを形成すれば、キャンバスフレームPの背面に固定ピン2を結合してキャンパス生地3を固定することができる。
【0027】
すなわち、図2に示すように、キャンバスフレーム枠体1を包み込んでいるキャンパス生地3の外周縁の外側から固定ピン2のくさび突部211をキャンパス生地3に押し付けてくさび突部211の終端がキャンパス生地を突き通してその終端がキャンパス生地の他方の側に突出するようにして固定溝12の内側に投入し、下側の弾性部22を係合溝13に投入して固定ピン2の係止爪222が係止突部131に係止されるようにすれば、キャンパス生地の他方の側に突出したくさび突部211の終端が受け突部121に係止されるため、キャンパス生地3がキャンバスフレームPに固定されるわけであり、これについて詳述すれば、固定ピン2の弾性部22を構成する受け片226及び弾性片221がなす角度が弾力性よく縮まりながら弾性部22が固定溝12に投入され、係止突部131の内面に係止爪222が密着して固定ピン2の弾性部22がキャンバスフレーム枠体1に固定されるのである。
【0028】
また、このときに生じる弾性部22の弾性力は、固定ピン本体を上向きに、すなわち、キャンバスフレーム枠体1の固定溝12に向かって押すことになるため、キャンパス生地3を突き通して突出した固定ピン2の上側のくさび突部211は固定溝12の入口に形成される受け突部121の底面に投入されて係止されて固定されるのである。
【0029】
したがって、キャンバスフレーム枠体1の受け突部121及び係止突部131に固定ピン2の上下の両側が係止されて固定ピンがキャンバスフレーム枠体1の外側に係脱されなくなり、これと同様に、固定ピン2に固定されたキャンパス生地3もその位置が固定されるのである。
【0030】
また、キャンバスフレーム枠体1に結合された固定ピン2は、延長突部223を受け片226に向かって押して受け片226から弾性片221がなす角度を縮めて係止爪222と係止突部131との係合を解放することにより、弾性部22を係合溝13から係脱させて固定ピン2をキャンバスフレーム枠体1から取り外すことができる。
【0031】
さらに、固定ピン2は、受け片226を形成する折曲げ部に除去溝225を形成することにより、掛けかぎ(図示せず)などの器具を投入して引っ張って固定ピン2をキャンバスフレーム枠体1から取り外すこともできる。
【0032】
さらにまた、固定ピン2は、固定ピン本体を撓ませて弾力性よく構成することにより、キャンパス生地3を固定する際に固定ピン本体がキャンパス生地3の周縁を押し付けてさらに強固にキャンパス生地3を固定し、係合溝13に投入された弾性片221の係止爪222が係止突部131から離れると、撓んだ固定ピン本体の復元力により弾性部22が係合溝13から手軽に係脱して離れるように構成してもよい。
【0033】
一方、キャンバスフレーム枠体1は、背面の壁体である枠体壁体15よりも低く受け壁体14が形成されることにより、受け壁体14に密着して結合する固定ピン2は、キャンバスフレーム枠体の枠体壁体15の外側に突出することがない。
【符号の説明】
【0034】
P キャンバスフレーム
1 キャンバスフレーム枠体
11 中空部
12 固定溝
121 受け突部
13 係合溝
131 係止突部
14 受け壁体
15 枠体壁体
2 固定ピン
21 固定突部
211 くさび突部
22 弾性部
221 弾性片
222 係止爪
223 延長突部
225 除去溝
226 受け片
3 キャンパス生地
図1
図2
図3
図4
図5