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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101987
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】センシング装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240723BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G01D11/30 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188843
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2023006150
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】宮原 里代子
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 隆之
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BC13
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】生産性の高いセンシング装置の提供。
【解決手段】車両に対して装置ベースが固定可能に構成されるセンシング装置は、車両の外界をセンシングする複数のセンサユニット40と、各センサユニット40を装置ベースに対して個別に装着するための複数の装着ブラケット41とを、備える。各センサユニット40は、個別のセンサ識別子を設定するための設定回路400を、有する。各装着ブラケット41は、対応するセンサユニット40の設定回路400との電気接続状態に応じて、対応するセンサユニット40のセンサ識別子を選択するパターン構造P1,P2を、個別に形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)に対して装置ベース(3)が固定可能に構成されるセンシング装置(1)であって、
前記車両の外界をセンシングする複数のセンサユニット(40,2040,3040,4040,5040,6040)と、
各前記センサユニットを前記装置ベースに対して個別に装着するための複数の装着ブラケット(41,2041,3041,4041,5041,6041)とを、備え、
各前記センサユニットは、個別のセンサ識別子(ID1,ID2,ID3,ID4)を設定するための設定回路(400,2400,3400)を、有し、
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットの前記設定回路との電気接続状態に応じて、対応する前記センサユニットの前記センサ識別子を選択するパターン構造(P1,P2,P3,P4)を、個別に形成するセンシング装置。
【請求項2】
各前記装着ブラケット(41,2041)は、対応する前記センサユニット(40,2040)と螺着される螺子部(411a,2411a,2411b)を、有し、対応する前記センサユニットの前記設定回路(400,2400)との電気接続状態を相異ならせる個別の当該螺子部により、前記パターン構造を形成する請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項3】
各前記装着ブラケットは、前記螺子部の長さに応じて前記設定回路との電気接続状態を相異ならせる前記パターン構造を、形成する請求項2に記載のセンシング装置。
【請求項4】
各前記装着ブラケットは、複数ずつの前記螺子部(2411a,2411b)を有し、各前記螺子部の長さの組み合わせに応じて前記設定回路(2400)との電気接続状態を相異ならせる前記パターン構造を、形成する請求項3に記載のセンシング装置。
【請求項5】
各前記装着ブラケット(3041,4041,5041,6041)は、対応する前記センサユニット(3040,4040,5040,6040)のグランド部(3401c)に電気接続されるグランドターミナル(3411c,4411c)、及び対応する前記センサユニットの前記設定回路(3400)に電気接続される接続ターミナル(3411a,3411b,4411a,4411b)のうち、少なくとも前記グランドターミナルを、有し、前記グランドターミナルと前記接続ターミナルとの相異なる個別の電気接続パターンにより、前記パターン構造を形成する請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項6】
各前記装着ブラケットは、複数ずつの前記接続ターミナルを有し、前記グランドターミナルと各前記接続ターミナルとの電気接続パターンが相異なる前記パターン構造を、形成する請求項5に記載のセンシング装置。
【請求項7】
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットに対して筒状に嵌着されるコネクタ部(3411,4411,5411)を、有し、対応する前記パターン構造を、当該コネクタ部に内包する請求項5に記載のセンシング装置。
【請求項8】
各前記装着ブラケット(3041)は、対応する前記センサユニット(3040)と前記装置ベースとの間を連結するブラケット本体(41a)を、前記コネクタ部(3411)と一体に有する請求項7に記載のセンシング装置。
【請求項9】
各前記装着ブラケット(4041,5041,6041)は、対応する前記センサユニット(4040,5040,6040)と前記装置ベースとの間を連結するブラケット本体(41a)を、前記コネクタ部(4411,5411)と別体に有する請求項7に記載のセンシング装置。
【請求項10】
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットとの間における前記コネクタ部の挟持状態で、対応する前記センサユニットに対して前記ブラケット本体を螺子留めする挟持螺子部(4413)を、有する請求項9に記載のセンシング装置。
【請求項11】
各前記装着ブラケットにおいて前記コネクタ部は、対応する前記センサユニットと前記挟持螺子部との間に、弾性変形状態に挟持される請求項10に記載のセンシング装置。
【請求項12】
各前記センサユニットは、設定した前記センサ識別子を個別に記憶する記憶部(402b)を、有する請求項1~11のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【請求項13】
少なくとも二つの前記センサユニットは、共通構成に構築される請求項1~11のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【請求項14】
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットの前記設定回路と前記パターン構造との電気接続箇所を前記外界に対してシールするシール部(412)を、有する請求項1~11のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【請求項15】
各前記センサユニットを制御する制御ユニット(5)を、さらに備え、
各前記センサユニットの前記設定回路は、設定した前記センサ識別子を含むセンサ信号(Ss)を、前記制御ユニットへ出力し、
前記制御ユニットは、各前記センサユニットからの前記センサ信号を、対応する前記センサ識別子により識別して統合処理する請求項1~11のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用のセンシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の外界をセンシングする複数のセンサユニットを備えたセンシング装置は、広く知られている。このようなセンシング装置の一種として特許文献1には、車両に対して固定可能に構成される装置ベースとなるハウジングに、各センサユニットが装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10099630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示装置では、各センサユニットからのセンサ信号を識別して処理するためには、それら各センサユニットに個別のセンサ識別子を設定する必要がある。こうした各センサユニットのセンサ識別子を設定するには、センシング装置の生産時において装置ベースに装着された各センサユニットに対して、さらなる後処理によりセンサ識別子を記憶させる手法が、考えられる。しかし、この手法では、センシング装置の生産性が低下してしまう。
【0005】
本開示の課題は、生産性の高いセンシング装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の一態様は、
車両(2)に対して装置ベース(3)が固定可能に構成されるセンシング装置(1)であって、
車両の外界をセンシングする複数のセンサユニット(40,2040,3040,4040,5040,6040)と、
各センサユニットを装置ベースに対して個別に装着するための複数の装着ブラケット(41,2041,3041,4041,5041,6041)とを、備え、
各センサユニットは、個別のセンサ識別子(ID1,ID2,ID3,ID4)を設定するための設定回路(400,2400,3400)を、有し、
各装着ブラケットは、対応するセンサユニットの設定回路との電気接続状態に応じて、対応するセンサユニットのセンサ識別子を選択するパターン構造(P1,P2,P3,P4)を、個別に形成する。
【0008】
このように本開示の一態様では、各センサユニットを装置ベースに対して個別に装着するための複数装着ブラケットが、個別のセンサ識別子を設定するための設定回路を、有する。そこで一態様の各装着ブラケットによると、対応するセンサユニットの設定回路との電気接続状態に応じて、対応するセンサユニットのセンサ識別子を選択するパターン構造が、個別に形成される。これにより各センサユニットでは、対応する装着ブラケットを介した装置ベースへの装着処理に伴って、それぞれ個別なパターン構造と設定回路との電気接続状態に応じたセンサ識別子が、選択され得る。故に、センシング装置の生産性を高めることが、可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態によるセンシング装置の車両への搭載状態を模式的に示す斜視図である。
図2】第一実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図3】第一実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図4】第一実施形態によるセンシング装置の電気的構成を示す回路図である。
図5】第一実施形態によるセンシング装置の電気的構成を示す回路図である。
図6】第二実施形態によるセンシング装置の車両への搭載状態を模式的に示す斜視図である。
図7】第二実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図8】第二実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図9】第二実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図10】第二実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図11】第二実施形態によるセンシング装置の電気的構成を示す回路図である。
図12】第二実施形態によるセンシング装置の電気的構成を示す回路図である。
図13】第二実施形態によるセンシング装置系の電気的構成を示す回路図である。
図14】第二実施形態によるセンシング装置の電気的構成を示す回路図である。
図15】第三実施形態によるセンシング装置の車両への搭載状態を模式的に示す斜視図である。
図16】第三実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図17】第三実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図18】第三実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図19】第三実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図20】第四実施形態によるセンシング装置の車両への搭載状態を模式的に示す斜視図である。
図21】第四実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図22】第四実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図23】第四実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図24】第四実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図25図21のXXV-XXV線断面図である。
図26】第五実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図27】第五実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図28】第五実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図29】第五実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図30図26のXXX-XXX線断面図である。
図31】第六実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図32】第六実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図33】第六実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
図34】第六実施形態によるセンシング装置の機械的構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態を図面に基づき説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0011】
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態のセンシング装置1は、車両2に搭載される。車両2は、乗員の搭乗状態において走行路を走行可能な、例えば自動車等の移動体である。そこで車両2は、自動運転制御モードにおいて定常的又は一時的に自動走行可能となっている。ここで自動運転制御モードは、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運自動化といった、作動時のシステムが全ての運行タスクを実行する自律運転制御により、実現されてもよい。自動運転制御モードは、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員が一部又は全ての運転タスクを実行する高度運転支援制御において、実現されてもよい。自動運転制御モードは、それら自律運転制御と高度運転支援制御との組み合わせ又は切り替えにより、実現されてもよい。
【0012】
まず、第一実施形態によるセンシング装置1の基本構造を、説明する。センシング装置1は、装置ベース3、センサ系4、及び制御ユニット5を含んで構成されている。尚、以下の説明においてセンシング装置1に関する前、後、左、及び右とは、水平面上の車両2を基準に定義されている。
【0013】
装置ベース3は、例えば複数の樹脂部材、複数の金属部材又はそれら部材の組み合わせ等により、全体としてはハウジング状又はケーシング状に構成されている。装置ベース3は、略矩形環状のフレーム部材30を有している。フレーム部材30は、車両2のルーフ20上に固定可能に構成されている。これによりフレーム部材30の四辺がルーフ20の四辺に沿う姿勢にて、装置ベース3は車両2に搭載される。
【0014】
センサ系4は、センサユニット40及び装着ブラケット41を複数ずつ含んで構成されている。各センサユニット40は、フレーム部材30の少なくとも二辺に対応する位置において、装置ベース3に装着されている。特に第一実施形態による各センサユニット40の装着位置は、フレーム部材30の四辺のうち、車両2における前方及び後方の各辺にそれぞれ一つずつ対応している。
【0015】
各装着ブラケット41は、樹脂部材又は金属部材により形成されたブラケット本体41aを主体に、構成されている。各装着ブラケット41においてブラケット本体41aは、それぞれ個別に対応するセンサユニット40と、フレーム部材30においてそれぞれ個別に対応する装着位置との間を、連結する。これにより各センサユニット40は、個別の装着ブラケット41を介して装置ベース3に装着されている。
【0016】
各センサユニット40は、例えばカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、及びソナー等のうち、それぞれ個別の一種類により構成される。ここで種類とは、同一機能のセンサでも構成の違いを含めて区別されるとすると、センサユニット40のうち少なくとも二つ同士が同一種類の共通構成に構築されていてもよいし、センサユニット40の全てが相異なる種類の相違構成に構築されていてもよい。こうした各センサユニット40には、車両2の外界をセンシングするセンシング領域が、それぞれ装着ブラケット41による装着位置に応じて個別に設定されている。特に第一実施形態による各センサユニット40のセンシング領域は、車両2の外界のうち、前方及び後方の各空間領域にそれぞれ対応している。
【0017】
制御ユニット5は、装置ベース3の内部に収容されている。制御ユニット5は、少なくとも一つのマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御ユニット5は、例えばLAN(Local Area Network)、被覆配線、ワイヤハーネス、及び内部バス等のうち少なくとも一種類を介して、各センサユニット40と接続されている。制御ユニット5は、各センサユニット40によるセンシング及びセンサ信号Ss(後述の図4,5参照)の出力を制御する。制御ユニット5は、各センサユニット40のセンサ信号Ssに基づくことで、自動運転制御モードを含む制御モードを、車両2内部の制御系と共同して管理してもよい。
【0018】
(詳細構成)
次に、第一実施形態によるセンシング装置1の詳細構成を、説明する。
【0019】
図1に示すように各装着ブラケット41は、装置ベース3のフレーム部材30に対して螺着される金属製の螺子部410を、複数ずつ雄螺子状に有している。それと共に各装着ブラケット41は、それぞれ対応する個別のセンサユニット40に対してブラケット本体41aを螺子留めするために、当該対応センサユニット40に螺着される金属製の螺子部411を、複数ずつ雄螺子状に有している。
【0020】
そこで、図1~3に示すように第一実施形態では、各装着ブラケット41毎でのセンサユニット40に対する複数螺子部411のうちそれぞれ一つずつが、それら装着ブラケット41同士で長さの相異なる特定螺子部411aに、設定されている。ここで、各装着ブラケット41において特定螺子部411aは、それぞれ対応するセンサユニット40の外郭をなす金属製のセンサケーシング40aとの機械的螺合により、グランド電位を与えられている。
【0021】
図2~5に示すように各センサユニット40は、判定ブロック401及び選択ブロック402の組から構成される設定回路400を、それぞれ個別に有している。具体的に各センサユニット40において判定ブロック401は、それぞれ個別に対応する特定螺子部411aとの電気接続状態に応じてオンオフする、金属製の接続部401aを有している。
【0022】
ここで、特定螺子部411aの長さがオン長さとなる図2,4の場合に接続部401aは、当該オン長さの特定螺子部411aと機械的接触により電気接続されることで、オンする。一方、特定螺子部411aの長さがオン長さよりも短いオフ長さとなる図3,5の場合に接続部401aは、当該オフ長さの特定螺子部411aと機械的非接触により電気接続が解除されることで、オフする。
【0023】
このように第一実施形態の各装着ブラケット41では、各センサユニット40における設定回路400との電気接続状態を長さに応じて相異ならせる個別の特定螺子部411aにより、図2,3の如く当該相異の電気接続状態を与えるパターン構造P1,P2が、それぞれ形成される。そこで各装着ブラケット41は、対応するセンサユニット40の設定回路400とパターン構造P1,P2との電気接続箇所を外界に対して個別にシールするために、例えば合成ゴム等により形成された円環状のシール部412を、有している。
【0024】
以上より、図4の如くスイッチング素子403としてのPNP型トランジスタのベース電圧が接続部401aのオンによりローレベルLにプルダウンされる判定ブロック401は、ハイレベルHの判定信号を同一センサユニット40の選択ブロック402へ出力する。一方、図5の如くスイッチング素子403のベース電圧が接続部401aのオフによりハイレベルHにプルアップされる判定ブロック401は、ローレベルLの判定信号を同一センサユニット40の選択ブロック402へ出力する。
【0025】
図4,5に示すように各センサユニット40において選択ブロック402は、プロセッサ402a及びメモリ402bを有する、例えばマイクロコンピュータ等のICチップを主体に構成されている。ここで選択ブロック402を構成するICチップは、センサユニット40を制御する制御回路チップであってもよい。選択ブロック402を構成するICチップは、例えばカメラ等のセンサユニット40を駆動する駆動回路チップであってもよい。選択ブロック402を構成するICチップは、センサユニット40と制御ユニット5との間の通信を管理する通信回路チップであってもよい。尚、選択ブロック402は、センサユニット40の数に対応した二種電圧のうち、ICチップへと入力してセンサ識別子ID1,ID2のいずれかを選択(この選択は後に詳述)させるための入力電圧を、判定ブロック401からの判定信号に基づき設定するように、例えばマルチプレクサ等のセレクタ回路を含んで構成されてもよい。
【0026】
各センサユニット40では、選択ブロック402がそれぞれ対応の判定ブロック401から出力される判定信号の電圧レベルに応じて、それぞれ個別のセンサ識別子ID1,ID2を選択的に設定する。ここで図4に示すように、ハイレベルHの判定信号に応じたセンサ識別子ID1としては、例えば「0x10」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部411aと接続部401aとが電気接続されるパターン構造P1(図2参照)に応じて、センサ識別子ID1が前方センシングのセンサユニット40に対して設定されることを、意味する。一方で図5に示すように、ローレベルLの判定信号に応じたセンサ識別子ID2としては、例えば「0x20」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部411aと接続部401aとの電気接続が解除されるパターン構造P2(図3参照)に応じて、センサ識別子ID2が後方センシングのセンサユニット40に対して設定されることを、意味する。
【0027】
各センサユニット40において選択ブロック402は、それぞれ図4,5の如く制御ユニット5へ出力するセンサ信号Ssを、それぞれ設定したセンサ識別子ID1,ID2を含めるように生成してもよい。これにより制御ユニット5は、各センサユニット40からの各センサ信号Ssを、それぞれ個別に対応するセンサ識別子ID1,ID2により識別して統合処理するとよい。各センサユニット40において選択ブロック402は、それぞれ設定したセンサ識別子ID1,ID2を、それぞれ個別の記憶部となるメモリ402bに、図4,5の如く記憶してもよい。これにより各センサユニット40の選択ブロック402は、例えば車両2のラインオフ時又は各回起動時等に一旦センサ識別子ID1,ID2を選択すれば、その後はメモリ402bの記憶情報に基づきセンサ識別子ID1,ID2を随時設定可能としてもよい。
【0028】
(作用効果)
ここまで説明の第一実施形態による作用効果を、以下に説明する。
【0029】
このように第一実施形態では、各センサユニット40を装置ベース3に対して個別に装着するための複数装着ブラケット41が、個別のセンサ識別子ID1,ID2を設定するための設定回路400を、有する。そこで第一実施形態の各装着ブラケット41によると、対応するセンサユニット40の設定回路400との電気接続状態に応じて、対応するセンサユニット40のセンサ識別子ID1,ID2を選択するパターン構造P1,P2が、個別に形成される。これにより各センサユニット40では、対応する装着ブラケット41を介した装置ベース3への装着処理に伴って、それぞれ個別なパターン構造P1,P2と設定回路400との電気接続状態に応じたセンサ識別子ID1,ID2が、選択され得る。故に、センシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0030】
第一実施形態による各装着ブラケット41では、対応するセンサユニット40と螺着される個別の特定螺子部411aが、対応するセンサユニット40の設定回路400との電気接続状態を相異ならせることで、パターン構造P1,P2を形成する。ここで特に、第一実施形態による各装着ブラケット41では、対応するセンサユニット40と螺着される特定螺子部411aの長さに応じて、設定回路400との電気接続状態を相異ならせるパターン構造P1,P2が形成される。これにより各センサユニット40では、対応する装着ブラケット41を介した装着処理のうち特定螺子部411aの螺着に伴って、それぞれ個別なパターン構造P1,P2と設定回路400との電気接続状態に応じたセンサ識別子ID1,ID2が、選択され得る。故に、各装着ブラケット41の装着用螺子部411である特定螺子部411aを利用してセンシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0031】
第一実施形態による各センサユニット40では、設定されたセンサ識別子ID1,ID2が個別のメモリ402bに記憶されてもよい。この場合、パターン構造P1,P2と設定回路400との電気接続状態が車両2の走行中に例えば振動等に起因して変動したとしても、各センサユニット40にユニークな個別のセンサ識別子ID1,ID2を設定し続けることができる。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが、可能となる。
【0032】
第一実施形態では共通構成に構築されることで、例えば製造IDが同一等の二つのセンサユニット40にあっても、それぞれにユニークな個別のセンサ識別子ID1,ID2が、パターン構造P1,P2の電気接続状態に応じて適正に設定され得る。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが、可能となる。
【0033】
第一実施形態による各装着ブラケット41では、対応するセンサユニット40の設定回路400とパターン構造P1,P2との電気接続箇所が、シール部412により車両2の外界に対してシールされる。これによれば、設定回路400とパターン構造P1,P2との電気接続状態が外界からの例えば水等の侵入によりショートして、各センサユニット40に対して誤ったセンサ識別子ID2,ID1が選択されるのを抑止することができる。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが、可能となる。
【0034】
第一実施形態によると、各センサユニット40において設定回路400が設定したセンサ識別子ID1,ID2を含むセンサ信号Ssは、それら各センサユニット40を制御する制御ユニット5へと出力されてもよい。この場合に制御ユニット5は、各センサユニット40からのセンサ信号Ssを、対応するセンサ識別子ID1,ID2により正確に識別して統合処理することができる。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが、可能となる。
【0035】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0036】
図6に示すように、第二実施形態による各センサユニット2040の装置ベース3に対する装着位置は、フレーム部材30の四辺のうち、車両2における前方、後方、左方、及び右方の各辺にそれぞれ一つずつ対応している。そこで各センサユニット2040のセンシング領域は、車両2の外界のうち、前方、後方、左方、及び右方の各空間領域にそれぞれ対応している。
【0037】
図6~10に示すように第二実施形態では、各装着ブラケット2041毎でのセンサユニット2040に対する複数螺子部411のうちそれぞれ二つずつが、それら装着ブラケット2041同士では長さの組み合わせの相異なる、グランド電位の特定螺子部2411a,2411bに設定されている。そこで図7~14に示すように、各センサユニット2040の設定回路2400における判定ブロック2401は、それぞれ個別に対応する特定螺子部2411a,2411bの組との電気接続状態に応じてオンオフする、金属製の接続部2401a,2401bを一対ずつ有している。
【0038】
ここで、特定螺子部2411aの長さがオン長さ且つ特定螺子部2411bの長さもオン長さとなる図7の場合には、それらオン長さの特定螺子部2411a,2411bがそれぞれ接続部2401a,2401bと電気接続される。これにより、図7,11の如く接続部2401a,2401bの双方がオンする。
【0039】
一方、特定螺子部2411aの長さがオフ長さ且つ特定螺子部2411bの長さがオン長さとなる図8の場合には、オフ長さの特定螺子部2411aが接続部2401aとの電気接続を解除され且つオン長さの特定螺子部2411bが接続部2401bと電気接続される。これにより、図8,12の如く接続部2401aがオフ且つ接続部2401bがオンする。
【0040】
また、特定螺子部2411aの長さがオン長さ且つ特定螺子部2411bの長さがオフ長さとなる図9の場合には、オン長さの特定螺子部2411aが接続部2401aと電気接続され且つオフ長さの特定螺子部2411bが接続部2401bとの電気接続を解除される。これにより、図9,13の如く接続部2401aがオン且つ接続部2401bがオフする。
【0041】
さらに、特定螺子部2411aの長さがオフ長さ且つ特定螺子部2411bの長さもオフ長さとなる図10の場合には、それらオフ長さの特定螺子部2411a,2411bがそれぞれ接続部2401a,2401bとの電気接続を解除される。これにより、図10,14の如く接続部2401a,2401bの双方がオフする。
【0042】
このように第二実施形態の各装着ブラケット2041では、各センサユニット2040における設定回路2400との電気接続状態を長さの組み合わせに応じて相異ならせる個別の特定螺子部2411a,2411bにより、図7~10の如く当該相異の電気接続状態を与えるパターン構造P1,P2,P3,P4が、それぞれ形成されている。
【0043】
そこで、図11の如くスイッチング素子403のベース電圧が接続部2401aのオンによりローレベルLにプルダウンされる判定ブロック2401は、ハイレベルHの第一判定信号を同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。この場合、スイッチング素子403のベース電圧が接続部2401bのオンによりローレベルLにプルダウンされる判定ブロック2401は、ハイレベルHの第二判定信号も同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。
【0044】
一方、図12の如くスイッチング素子403のベース電圧が接続部2401aのオフによりハイレベルHにプルアップされる判定ブロック2401は、ローレベルLの第一判定信号を同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。この場合、スイッチング素子403のベース電圧が接続部2401bのオンによりローレベルLにプルダウンされる判定ブロック2401は、ハイレベルHの第二判定信号も同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。
【0045】
また、図13の如くスイッチング素子403のベース電圧が接続部2401aのオンによりローレベルLにプルダウンされる判定ブロック2401は、ハイレベルHの第一判定信号を同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。この場合、スイッチング素子403のベース電圧が接続部2401bのオフによりハイレベルHにプルアップされる判定ブロック2401は、ローレベルLの第二判定信号も同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。
【0046】
さらに、図14の如くスイッチング素子403のベース電圧が接続部2401aのオフによりハイレベルHにプルアップされる判定ブロック2401は、ローレベルLの第一判定信号を同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。この場合、スイッチング素子403のベース電圧が接続部2401bのオフによりハイレベルHにプルアップされる判定ブロック2401は、ローレベルLの第二判定信号も同一センサユニット2040の選択ブロック2402へ出力する。
【0047】
以上より各センサユニット2040では、選択ブロック2402がそれぞれ対応の判定ブロック2401から出力される第一及び第二判定信号の各電圧レベルの組み合わせに応じて、それぞれ個別のセンサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を選択的に設定する。ここで図11に示すように、共にハイレベルHの第一及び第二判定信号に応じたセンサ識別子ID1としては、例えば「0x10」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部2411a,2411bと接続部2401a,2401bとがそれぞれ電気接続されるパターン構造P1(図7参照)に応じて、センサ識別子ID1が前方センシングのセンサユニット2040に対して設定されることを、意味する。
【0048】
一方で図12に示すように、ローレベルLの第一判定信号且つハイレベルHの第二判定信号に応じたセンサ識別子ID2としては、例えば「0x20」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部2411aと接続部2401aとの電気接続が解除され且つ特定螺子部2411bと接続部2401bとが電気接続されるパターン構造P2(図8参照)に応じて、センサ識別子ID2が後方センシングのセンサユニット2040に対して設定されることを、意味する。
【0049】
また図13に示すように、ハイレベルHの第一判定信号且つローレベルLの第二判定信号に応じたセンサ識別子ID3としては、例えば「0x30」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部2411aと接続部2401aとが電気接続且つ特定螺子部2411bと接続部2401bとの電気接続が解除されるパターン構造P3(図9参照)に応じて、センサ識別子ID3が左方センシングのセンサユニット2040に対して設定されることを、意味する。
【0050】
さらに図14に示すように、共にローレベルLの第一及び第二判定信号に応じたセンサ識別子ID4としては、例えば「0x40」等のユニークなセンサアドレスが選択される。これは、特定螺子部2411a,2411bと接続部2401a,2401bとの電気接続状態がそれぞれ解除されるパターン構造P4(図10参照)に応じて、センサ識別子ID4が右方センシングのセンサユニット2040に対して設定されることを、意味する。
【0051】
ここで、第二実施形態においても各センサユニット2040の選択ブロック2402は、それぞれ図11~14の如く制御ユニット5へ出力するセンサ信号Ssを、それぞれ設定したセンサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を含めるように生成してもよい。また、第二実施形態においても各センサユニット2040の選択ブロック2402は、それぞれ設定したセンサ識別子ID1,ID2を、それぞれ個別のメモリ402bに図11~14の如く記憶してもよい
【0052】
ここまで説明の第二実施形態による各装着ブラケット2041では、対応するセンサユニット2040と複数ずつ螺着される特定螺子部2411a,2411bの長さの組み合わせに応じて、電気接続状態を相異ならせるパターン構造P1,P2,P3,P4が形成される。これによれば、センサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を選択するためのパターン構造P1,P2,P3,P4は、センサユニット40の総数を満たす状態数の電気接続状態を複数螺子部2411a,2411bの組み合わせによって確実に与えることができる。故に、センサユニット40の数を可及的に増大させたセンシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0053】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。
【0054】
図15に示すように、第三実施形態による各センサユニット3040の装置ベース3に対する装着位置及びセンシング領域は、第二実施形態に準ずる。また一方で、第三実施形態による各装着ブラケット3041は、それぞれ対応する個別のセンサユニット3040におけるセンサケーシング40aに対し、第二実施形態の螺子部411に代えて、嵌着される樹脂製又は金属製のコネクタ部3411を一つずつ、ブラケット本体41aと一体に円筒状に有している。そこで第三実施形態において、各装着ブラケット3041毎でのセンサユニット3040に対してコネクタ部3411は、それぞれ図16~19に示すように金属製のターミナル3411c,3411a,3411b同士での電気接続パターンが相異なるパターン構造P1,P2,P3,P4を、内包している。
【0055】
具体的に各装着ブラケット3041においては、単一のグランドターミナル3411cと、複数である一対の接続ターミナル3411a,3411bとが、設けられている。各装着ブラケット3041において矩形柱状のグランドターミナル3411cは、各センサユニット3040の設定回路3400における判定ブロック3401に設けられてグランド電位の与えられる矩形筒状のグランド部3401cに対して、機械的嵌合により電気接続される。各装着ブラケット3041において矩形柱状の接続ターミナル3411aは、各センサユニット3040の設定回路3400における判定ブロック3401に設けられた矩形筒状の接続部2401aに対して、機械的嵌合により電気接続される。各装着ブラケット3041において矩形柱状の接続ターミナル3411bは、各センサユニット3040の設定回路3400における判定ブロック3401に設けられた矩形筒状の接続部2401bに対して、機械的嵌合により電気接続される。
【0056】
ここで、図16のパターン構造P1を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411a,3411bの双方がグランドターミナル3411cに対して、機械的連結により電気接続される。これにより、接続部2401a,2401bの双方がオンする。
【0057】
一方、図17のパターン構造P2を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411aがグランドターミナル3411cに対して、機械的非連結により電気接続を解除される。それと共に、パターン構造P2を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411bがグランドターミナル3411cに対して、機械的連結により電気接続される。これらにより、接続部2401aがオフ且つ接続部2401bがオンする。
【0058】
また、図18のパターン構造P3を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411aがグランドターミナル3411cに対して、機械的連結により電気接続される。それと共に、パターン構造P3を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411bがグランドターミナル3411cに対して、機械的非連結により電気接続を解除される。これらにより、接続部2401aがオン且つ接続部2401bがオフする。
【0059】
さらに、図19のパターン構造P4を形成する装着ブラケット3041では、接続ターミナル3411a,3411bの双方がグランドターミナル3411cに対して、機械的非連結により電気接続を解除される。これにより、接続部2401a,2401bの双方がオフする。
【0060】
以上より各センサユニット3040では、判定ブロック3401が第二実施形態に準じて、それぞれパターン構造P1,P2,P3,P4に応じた第一及び第二判定信号を出力する。そこで各センサユニット3040では、選択ブロック2402が第二実施形態に準じて、それぞれパターン構造P1,P2,P3,P4に応じたセンサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を選択的に設定する。
【0061】
ここまで説明の第三実施形態による各装着ブラケット3041では、対応するセンサユニット3040のグランド部3401cに電気接続されるグランドターミナル3411cと、対応するセンサユニット3040の設定回路3400に電気接続される接続ターミナル3411a,3411bとの、相異なる個別の電気接続パターンによりパターン構造P1,P2,P3,P4が形成される。これにより各センサユニット3040では、対応する装着ブラケット3041を介した装着処理に伴って、個別な電気接続パターンのターミナル3411c,3411a,3411bと設定回路3400との電気接続状態も相異ならされて、当該相異の電気接続状態に応じてセンサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4が選択され得る。故に、電気接続状態の違いを装着と同時的に現出させ得るターミナル3411c,3411a,3411bの組を利用してセンシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0062】
第三実施形態による各装着ブラケット3041は、対応するグランドターミナル3411cと複数接続ターミナル3411a,3411bとの電気接続パターンが相異なるパターン構造P1,P2,P3,P4を、形成する。これによれば、センサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を選択するためのパターン構造P1,P2,P3,P4は、センサユニット3040の数を満たす状態数の電気接続状態を複数接続ターミナル3411a,3411bによる電気接続パターン数によって確実に与えることができる。故に、センサユニット3040の数を可及的に増大させたセンシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0063】
第三実施形態による各装着ブラケット3041では、対応するセンサユニット3040に対して筒状に嵌着されるコネクタ部3411に、対応するパターン構造P1,P2,P3,P4が内包される。これにより各センサユニット3040では、対応する装着ブラケット3041を介した装着処理のうちコネクタ部3411の嵌着に伴って、個別な電気接続パターンのターミナル3411c,3411a,3411bと設定回路3400との相異なる電気接続状態に応じて、センサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4が選択され得る。故に、電気接続状態の違いをコネクタ部3411の嵌着と同時的に現出させ得るターミナル3411c,3411a,3411bの組を利用してセンシング装置1の生産性を高めることが、可能となる。
【0064】
第三実施形態による各装着ブラケット3041では、対応するセンサユニット3040と装置ベース3との間を連結するブラケット本体41aがコネクタ部3411と一体となっているので、各装着ブラケット3041の組付作業が簡素化され得る。故に、センシング装置1の生産性を高めることへの貢献が可能となる。
【0065】
(第四実施形態)
第四実施形態は、第三実施形態の変形例である。
【0066】
図20~24に示すように、第四実施形態による各装着ブラケット4041は、それぞれ対応する個別のセンサユニット4040におけるセンサケーシング4040aに対して、嵌着されるエラストマー製のコネクタ部4411を一つずつ、ブラケット本体41aとは別体に有底円筒状に有している。そこで図25に示すように、各装着ブラケット4041におけるコネクタ部4411のセンサケーシング4040aとの間には、径方向の凹凸嵌合により嵌着界面の周方向にコネクタ部4411を位置決めするための回り止め構造4414が、設けられている。
【0067】
図20~24に示すように、第四実施形態による各装着ブラケット4041は、それぞれ対応する個別のセンサユニット4040におけるセンサケーシング4040aに対して、螺着される金属製の挟持螺子部4413を一つずつ、ブラケット本体41a及びコネクタ部4411とは別体に雄螺子状に有している。これにより各装着ブラケット4041では、センサユニット4040と挟持螺子部4413との間においてコネクタ部4411が、弾性変形した状態に挟持されている。
【0068】
さらに第四実施形態において、各装着ブラケット4041毎でのセンサユニット4040に対してコネクタ部4411は、それぞれ図21~24に示すようにターミナル4411c,4411a,4411b同士での電気接続パターンが相異なるパターン構造P1,P2,P3,P4を、内包している。具体的に各装着ブラケット4041においては、単一のグランドターミナル4411cと、複数である一対の接続ターミナル4411a,4411bとのうち、少なくともグランドターミナル4411cが設けられている。
【0069】
各パターン構造P1,P2,P3,P4を形成する装着ブラケット4041において矩形凹状のグランドターミナル4411cは、各センサユニット4040における矩形柱状のグランド部3401cに対して、機械的嵌合により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P3を形成する装着ブラケット4041において矩形凹状の接続ターミナル4411aは、各センサユニット4040における矩形柱状の接続部2401aに対して、機械的嵌合により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P2を形成する装着ブラケット4041において矩形凹状の接続ターミナル4411bは、各センサユニット4040における矩形柱状の接続部2401bに対して、機械的嵌合により電気接続される。
【0070】
ここで、図21に示すパターン構造P1の装着ブラケット4041では、接続ターミナル4411a,4411bの双方がグランドターミナル4411cに対して、機械的連結により電気接続される。これにより、接続部2401a,2401bの双方がオンする。
【0071】
一方、図22に示すパターン構造P2の装着ブラケット4041では、接続ターミナル4411bがグランドターミナル4411cに対して、機械的連結により電気接続される。それと共に、パターン構造P2の装着ブラケット4041では、グランドターミナル4411cに対して機械的連結により電気接続される接続ターミナル4411aが、省かれている。これらにより、接続部2401aがオフ且つ接続部2401bがオンする。
【0072】
また、図23に示すパターン構造P3の装着ブラケット4041では、接続ターミナル4411aがグランドターミナル4411cに対して、機械的連結により電気接続される。それと共に、パターン構造P3の装着ブラケット4041では、グランドターミナル4411cに対して機械的連結により電気接続される接続ターミナル4411bが、省かれている。これらにより、接続部2401aがオン且つ接続部2401bがオフする。
【0073】
さらに、図24に示すパターン構造P4の装着ブラケット4041では、グランドターミナル4411cに対して機械的連結により電気接続される接続ターミナル4411a,4441bが、いずれも省かれている。これにより、接続部2401a,2401bの双方がオフする。
【0074】
以上より各センサユニット4040では、第二実施形態の説明に準じて判定ブロック3401が、それぞれパターン構造P1,P2,P3,P4に応じた第一及び第二判定信号を出力する。そこで各センサユニット4040では、第二実施形態の説明に準じて選択ブロック2402が、それぞれパターン構造P1,P2,P3,P4に応じたセンサ識別子ID1,ID2,ID3,ID4を選択的に設定する。
【0075】
ここまで説明の第四実施形態による各装着ブラケット4041では、対応するセンサユニット4040と装置ベース3との間を連結するブラケット本体41aがコネクタ部4411と別体となっているので、それら各要素41a,4411が個別に製造し易くなる。故に、センシング装置1の生産性を高めることへの貢献が可能となる。
【0076】
第四実施形態による各装着ブラケット4041では、対応するセンサユニット4040との間にてコネクタ部4411の挟持状態にある挟持螺子部4413により、ブラケット本体41aが当該対応センサユニット4040に対して螺子留めされる。これによれば、各パターン構造P1,P2,P3,P4を内包するコネクタ部4411が適正位置に保持され得るので、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが可能となる。
【0077】
第四実施形態による各装着ブラケット4041では、対応するセンサユニット4040と挟持螺子部4413との間に、コネクタ部4411が弾性変形状態に挟持される。これによれば、各パターン構造P1,P2,P3,P4を内包するコネクタ部4411は、それぞれ弾性変形による復原力をセンサユニット4040及び挟持螺子部4413に作用させた状態に維持されることで、車両2の振動下にあっても適正位置に保持され得る。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが可能となる。
【0078】
(第五実施形態)
第五実施形態は、第四実施形態の変形例である。
【0079】
図26~30に示すように、第五実施形態による各装着ブラケット5041では、円筒状のコネクタ部5411と、それぞれ対応するセンサユニット5040のセンサケーシング5040aとの間に、第四実施形態の如き回り止め構造4414(図26参照)が不要となっている。
【0080】
そこで、各パターン構造P1,P2,P3,P4を形成する装着ブラケット5041において円形凹状のグランドターミナル4411cは、各センサユニット5040における円形柱状のグランド部3401cに対して、機械的嵌合により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P3を形成する装着ブラケット5041においてグランドターミナル4411cの外周側を同心上に延びる円環凹状の接続ターミナル4411aは、各センサユニット5040においてグランド部3401cの外周側を同心上に囲む円筒状の接続部2401aに対して、機械的嵌合により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P2を形成する装着ブラケット5041においてグランドターミナル4411c又は接続ターミナル4411aの外周側を同心上に延びる円環凹状の接続ターミナル4411bは、各センサユニット5040においてグランド部3401c又は接続部2401aの外周側を同心上に囲む円筒状の接続部2401bに対して、機械的嵌合により電気接続される。
【0081】
このような第五実施形態によれば、各装着ブラケット5041においてブラケット本体41aとは別体円筒状のコネクタ部5411が嵌着先のセンサユニット5040に対して、車両2の振動により周方向に位置ずれしたとしても、各パターン構造P1,P2,P3,P4における電気接続状態は維持され得る。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが可能となる。
【0082】
(第六実施形態)
第六実施形態は、第五実施形態の変形例である。
【0083】
図31~34に示すように第六実施形態では、各パターン構造P1,P2,P3,P4を形成する装着ブラケット6041において円形凸面状のグランドターミナル4411cが、各センサユニット6040における円形プリント配線状のグランド部3401cに対して、機械的押圧により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P3を形成する装着ブラケット6041においてグランドターミナル4411cの外周側を同心上に広がる円環凸面状の接続ターミナル4411aは、各センサユニット6040においてグランド部3401cの外周側を同心上に囲む円環プリント配線状の接続部2401aに対して、機械的押圧により電気接続される。全パターン構造P1,P2,P3,P4のうち、構造P1,P2を形成する装着ブラケット6041においてグランドターミナル4411c又は接続ターミナル4411aの外周側を同心上に広がる円環凸面状の接続ターミナル4411bは、各センサユニット6040においてグランド部3401c又は接続部2401aを同心上に囲む円環プリント配線状の接続部2401bに対して、機械的押圧により電気接続される。
【0084】
このような第六実施形態によっても、各装着ブラケット6041においてブラケット本体41aとは別体円筒状のコネクタ部5411が嵌着先のセンサユニット6040に対して、車両2の振動により周方向に位置ずれしたとしても、各パターン構造P1,P2,P3,P4での電気接続状態は維持され得る。故に、センシング装置1の生産性だけでなく、センシング装置1の信頼性を高めることが可能となる。
【0085】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0086】
第一~第六実施形態の変形例では、シール部412が省かれていてもよい。第三実施形態の変形例では、コネクタ部3411が省かれることで、第一実施形態の螺子部411により各装着ブラケット3041が装置ベース3に螺着されてもよい。この場合、パターン構造P1,P2,P3,P4が螺子部411の周囲において形成されるとよい。
【0087】
第三~第六実施形態の変形例では、各装着ブラケット3041において単一に限定した接続ターミナル3411a,4411aが第一実施形態の各センサユニット40における接続部401aに電気接続されてもよい。この場合、第三~第六実施形態によるパターン構造P1,P2の各々において接続部401a側のみの電気接続パターンが実現されることで、センサ識別子ID1,ID2が設定されるとよい。
【0088】
ここまでの説明形態の他に、上述の実施形態及び変形例においてセンシング装置1の適用される車両は、例えば自律走行又はリモート走行により荷物搬送若しくは情報収集等の可能な、自律走行ロボットであってもよい。
【0089】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0090】
(技術的思想1)
車両(2)に対して装置ベース(3)が固定可能に構成されるセンシング装置(1)であって、
前記車両の外界をセンシングする複数のセンサユニット(40,2040,3040,4040,5040,6040)と、
各前記センサユニットを前記装置ベースに対して個別に装着するための複数の装着ブラケット(41,2041,3041,4041,5041,6041)とを、備え、
各前記センサユニットは、個別のセンサ識別子(ID1,ID2,ID3,ID4)を設定するための設定回路(400,2400,3400)を、有し、
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットの前記設定回路との電気接続状態に応じて、対応する前記センサユニットの前記センサ識別子を選択するパターン構造(P1,P2,P3,P4)を、個別に形成するセンシング装置。
【0091】
(技術的思想2)
各前記装着ブラケット(41,2041)は、対応する前記センサユニット(40,2040)と螺着される螺子部(411a,2411a,2411b)を、有し、対応する前記センサユニットの前記設定回路(400,2400)との電気接続状態を相異ならせる個別の当該螺子部により、前記パターン構造を形成する技術的思想1に記載のセンシング装置。
【0092】
(技術的思想3)
各前記装着ブラケットは、前記螺子部の長さに応じて前記設定回路との電気接続状態を相異ならせる前記パターン構造を、形成する技術的思想2に記載のセンシング装置。
【0093】
(技術的思想4)
各前記装着ブラケットは、複数ずつの前記螺子部(2411a,2411b)を有し、各前記螺子部の長さの組み合わせに応じて前記設定回路(2400)との電気接続状態を相異ならせる前記パターン構造を、形成する技術的思想3に記載のセンシング装置。
【0094】
(技術的思想5)
各前記装着ブラケット(3041,4041,5041,6041)は、対応する前記センサユニット(3040,4040,5040,6040)のグランド部(3401c)に電気接続されるグランドターミナル(3411c,4411c)、及び対応する前記センサユニットの前記設定回路(3400)に電気接続される接続ターミナル(3411a,3411b,4411a,4411b)のうち、少なくとも前記グランドターミナルを、有し、前記グランドターミナルと前記接続ターミナルとの相異なる個別の電気接続パターンにより、前記パターン構造を形成する技術的思想1に記載のセンシング装置。
【0095】
(技術的思想6)
各前記装着ブラケットは、複数ずつの前記接続ターミナルを有し、前記グランドターミナルと各前記接続ターミナルとの電気接続パターンが相異なる前記パターン構造を、形成する技術的思想5に記載のセンシング装置。
【0096】
(技術的思想7)
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットに対して筒状に嵌着されるコネクタ部(3411,4411,5411)を、有し、対応する前記パターン構造を、当該コネクタ部に内包する技術的思想5又は6に記載のセンシング装置。
【0097】
(技術的思想8)
各前記装着ブラケット(3041)は、対応する前記センサユニット(3040)と前記装置ベースとの間を連結するブラケット本体(41a)を、前記コネクタ部(3411)と一体に有する技術的思想7に記載のセンシング装置。
【0098】
(技術的思想9)
各前記装着ブラケット(4041,5041,6041)は、対応する前記センサユニット(4040,5040,6040)と前記装置ベースとの間を連結するブラケット本体(41a)を、前記コネクタ部(4411,5411)と別体に有する技術的思想7に記載のセンシング装置。
【0099】
(技術的思想10)
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットとの間における前記コネクタ部の挟持状態で、対応する前記センサユニットに対して前記ブラケット本体を螺子留めする挟持螺子部(4413)を、有する技術的思想9に記載のセンシング装置。
【0100】
(技術的思想11)
各前記装着ブラケットにおいて前記コネクタ部は、対応する前記センサユニットと前記挟持螺子部との間に、弾性変形状態に挟持される技術的思想10に記載のセンシング装置。
【0101】
(技術的思想12)
各前記センサユニットは、設定した前記センサ識別子を個別に記憶する記憶部(402b)を、有する技術的思想1~11のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【0102】
(技術的思想13)
少なくとも二つの前記センサユニットは、共通構成に構築される技術的思想1~12のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【0103】
(技術的思想14)
各前記装着ブラケットは、対応する前記センサユニットの前記設定回路と前記パターン構造との電気接続箇所をシールするシール部(412)を、有する技術的思想1~13のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【0104】
(技術的思想15)
各前記センサユニットを制御する制御ユニット(5)を、さらに備え、
各前記センサユニットの前記設定回路は、設定した前記センサ識別子を含むセンサ信号(Ss)を、前記制御ユニットへ出力し、
前記制御ユニットは、各前記センサユニットからの前記センサ信号を、対応する前記センサ識別子により識別して統合処理する技術的思想1~14のいずれか一項に記載のセンシング装置。
【符号の説明】
【0105】
1:センシング装置、2:車両、3:装置ベース、5:制御ユニット、40,2040,3040,4040,5040,6040:センサユニット、41,2041,3041,4041,5041,6041:装着ブラケット、41a:ブラケット本体、400,2400,3400:設定回路、402b:メモリ、411a,2411a,2411b:特定螺子部、412:シール部、3401c:グランド部、3411,4411,5411:コネクタ部、3411a,3411b,4411a,4411b:接続ターミナル、3411c,4411c:グランドターミナル、4413:挟持螺子部、ID1,ID2,ID3,ID4:センサ識別子、P1,P2,P3,P4:パターン構造、Ss:センサ信号
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