IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2024-102000バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置
<>
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図1
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図2
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図3
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図4
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図5
  • 特開-バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102000
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】バルブ装置、およびバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240723BHJP
   F16K 1/44 20060101ALI20240723BHJP
   B25J 15/06 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
F16K31/06 305J
F16K1/44 A
B25J15/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220809
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】10 2023 101 130.8
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ガウス
【テーマコード(参考)】
3C707
3H052
3H106
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707FS01
3C707FU04
3C707FU05
3H052AA01
3H052BA25
3H052CA12
3H052CA24
3H052CA34
3H052CD01
3H052EA09
3H106DA07
3H106DA22
3H106DB12
3H106DB22
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC18
3H106DD02
3H106EE34
3H106GA15
3H106GB08
3H106GB10
3H106KK24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトな設計を有し、バキューム源の信頼性、高速、及びエネルギー効率の良い制御を可能にし、作動的にも信頼性のあるバルブ装置を提供すること。
【解決手段】バルブチャンバ(22)を区切るバルブハウジング(20)を備え、前記バルブチャンバは、バキューム供給開口(28)、吸引開口(32)、及び換気開口(36)を備え、前記バルブチャンバに配置され、吸引位置と換気位置との間で切換軸(38)に沿って変位可能なバルブ本体(40)を備え、前記吸引位置にある前記バルブ本体は、前記換気開口を閉塞し、前記換気位置にある前記バルブ本体は、前記バキューム供給開口を閉塞するアクチュエータ(50)と、前記バルブ本体の変位運動を駆動する電機子(52)と、前記電機子の変位運動を駆動する電磁コイル(54)を備え、前記バキューム供給開口(28)を開閉するスイングチェックバルブ(74)を備えたバルブ装置(10)である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バキューム適用のためのバルブ装置(10)であって、
バルブチャンバ(22)を区切るバルブハウジング(20)であって、
外部バキューム源を接続するためのバキューム接続部(12)に流体的に接続されるバキューム供給開口(28)と、
吸引グリップ装置(16)を接続するための吸引接続部(14)に流体的に接続される吸引開口(32)と、
前記バルブチャンバ(22)を換気するための換気開口(36)と、を含む前記バルブチャンバ(22)を備える、バルブハウジング(20)と、
前記バルブチャンバ(22)に配置され、吸引位置と換気位置との間で切換軸(38)に沿って動かすことが可能であり、前記吸引位置において前記換気開口(36)を閉鎖し、換気位置においてバキューム供給口(28)を閉鎖する、バルブ本体(40)と、
前記吸引位置と前記換気位置との間で前記バルブ本体(40)の変位運動を駆動するための双安定のアクチュエータ(50)であって、
前記バルブ本体(40)に接続され、前記切換軸(38)に沿って変位可能な電機子(52)と、
前記切換軸(38)に沿って前記電機子(52)の変位運動を駆動するための電磁コイル(54)と、を備える、双安定のアクチュエータ(50)と、
前記バキューム供給開口(28)を開閉するためのスイングチェックバルブ(74)であって、前記スイングチェックバルブ(74)が閉位置と開位置とを仮定することができ、前記スイングチェックバルブ(74)が、前記バキューム接続部(12)にバキュームを適用することにより、前記開位置に移送されることが可能な、スイングチェックバルブ(74)と、
を備えるバルブ装置(10)。
【請求項2】
前記スイングチェックバルブ(74)が、前記バキューム供給開口(28)と前記バキューム接続部(12)との間で前記バルブハウジング(20)に配置される、請求項1に記載のバルブ装置(10)。
【請求項3】
前記バルブハウジング(20)が、前記バルブチャンバ(22)を区切る内側ハウジング(24)と、前記バキューム接続部(12)と前記吸引接続部(14)とを提供する外側ハウジング(26)と、を備える、請求項1または2に記載のバルブ装置(10)。
【請求項4】
前記スイングチェックバルブ(74)は、前記内側ハウジング(24)の外壁(76)に配置され、特に、前記バキューム接続部(12)にバキュームが適用される結果として、少なくとも一部において、前記スイングチェックバルブ(74)を前記外壁(76)から持ち上げることができるように配置される、請求項3に記載のバルブ装置(10)。
【請求項5】
前記電機子(52)は、前記換気開口(36)を通って前記バルブチャンバ(22)に貫通している、請求項1~4のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項6】
前記電機子(52)は、換気隙間(60)が形成されるように、前記換気開口(36)の領域で半径方向でテーパしており、特に、前記電機子(52)を前記切換軸(38)の周りに完全に囲んでいる、請求項5に記載のバルブ装置(10)。
【請求項7】
前記換気開口(36)が、大気の換気接続部(18)に流体的に接続されており、換気接続部(18)が、特に、フィルタシリンダの形態で、前記切換軸(38)を包囲するフィルタ(62)を備え、特に、電機子(52)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項8】
前記フィルタ(62)が、特に、フィルタシリンダが、周囲フィルタ面(64)と、前記換気開口(36)に流体的に接続された軸方向フィルタ開口(66)とを有し、前記バルブハウジング(20)は、前記フィルタ(62)の領域に凹部(68)を有し、周囲空気が前記切換軸(38)の周囲の大部分に沿って、しかし、好ましくは前記切換軸(38)の周囲全体に沿って、前記周囲フィルタ面(64)を流れることが可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項9】
前記バキューム供給開口(28)と前記換気開口(36)とが、前記バルブチャンバ(22)に互いに対向して配置され、および/または前記バキューム供給開口(28)と前記吸引開口(32)とが、互いに直交してオフセットされて配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項10】
前記双安定のアクチュエータ(50)は、さらに、
前記切換軸(38)に沿って、特にバルブ本体(40)の換気位置の方向で、前記電機子(52)に支持されるばね装置(70)と、
前記ばね装置(70)の力に抗して前記電機子(52)を前記吸引位置又は前記換気位置に保持する永久磁石(72)と、
を備える請求項1~9のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項11】
前記電磁コイル(54)と、前記ばね装置(70)と、前記アクチュエータ(50)の前記永久磁石(72)とは、前記バルブチャンバ(22)の外側に配置される、請求項1~10のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項12】
前記双安定のアクチュエータ(50)は、さらに、
前記電機子(52)を前記吸引位置に保持する第1の永久磁石と、
前記電機子(52)を前記換気位置に保持する第2の永久磁石と、
を備える請求項1~9のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項13】
前記バルブチャンバ(22)に抗する圧力を検出するように設計されたセンサ装置(78)をさらに備え、前記バルブチャンバ(22)が、前記センサ装置(78)に流体的に接続されたセンサ開口(80)を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項14】
前記センサ装置(78)と協働し、前記バルブチャンバ(22)において、前記センサ装置(78)によって検出された圧力の関数として、前記吸引接続部(14)に接続された前記吸引グリップ装置(16)の吸引状態を表す信号を生成するように構成された評価装置(84)をさらに備え、特に、前記評価装置(84)が、前記バルブチャンバ(22)において前記センサ装置(78)によって検出された圧力と、前記評価装置(84)に格納されているか、貯蔵され得る圧力閾値と、を比較するように構成され、前記バルブチャンバ(22)の圧力が圧力閾値を下回るか上回るかの関数として、対応する信号を生成する、請求項1~13のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項15】
バルブ制御装置(82)と、特に前記センサ装置(78)及び/又は前記評価装置(84)と一緒に機能し、バルブハウジング(20)に配置され、特にセンサ装置(78)及び/又は評価装置の信号の関数としてアクチュエータ(50)を制御するように設計された制御回路基板と、を更に備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のバルブ装置(10)。
【請求項16】
バキュームハンドリング装置(100)であって、
特に、共用されるバキューム生成装置 (104)と、
各々が吸引グリップ装置(16-1、16-2、16-3、16-4)を備える1つ以上のグリップ装置(102-1、102-2、102-3、102-4)と、請求項1~15のいずれか1項に記載のバルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)と、を備え、
前記吸引グリップ装置(16-1、16-2、16-3、16-4)が、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)の前記吸引接続部(14)に流体的に接続され、
前記バキューム生成装置(104)が、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)の前記バキューム接続部(12)に流体的に接続され、
前記バキューム生成装置(104)が、通信接続部(110)を介して、特にデータ線を介して、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)に接続される、
バキュームハンドリング装置(100)。
【請求項17】
各々のバルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-3、10-4)が、個別のバルブ制御装置(82-1、82-3、82-3、82-4)を有し、前記バキューム生成装置(104)が、主制御装置(106)を有し、対応するバルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)の前記バルブ制御装置(82-1、82-2、82-3、82-4)が、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)の処理及び/又は状態データを前記バキューム生成装置(104)の前記主制御装置(106)に送信するように構成され、前記主制御装置(106)が、処理及び/又は状態データを処理するように、特に評価するように構成され、前記主制御装置(106)が、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)を作動させるため、特にバルブ装置の前記アクチュエータ(50)を作動させるため、前記バルブ装置(10-1、10-2、10-3、10-4)の対応するバルブ制御装置(82-1、82-2、82-3、82-4)に、直接、制御信号を送信するように構成される、
請求項1~16のいずれか1項に記載のバキュームハンドリング装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バキューム適用のためのバルブ装置、およびそのようなバルブ装置を有するバキュームハンドリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バキュームハンドリング装置は、物体をバキュームによってグリップし、ハンドリングするのに役立つ。このようなバキュームハンドリング装置は、多数の応用分野で使用され、通常、吸引で物体をグリップするための1つ以上の吸引グリップ装置と、吸引グリップ装置にバキュームを供給するバキューム生成装置とを備えている。吸引グリップ装置は、特に、マニピュレータ、例えばロボットに保持することができ、それによって移動させることができる。
【0003】
吸引グリップ装置のバキューム源、したがってグリッププロセスを制御するために、必要に応じてバキューム生成装置と吸引グリップ装置との間の流体接続を確立または遮断するバルブ装置が一般に提供される。公知のバルブ装置は、通常、空気圧によって、特に圧縮空気によって作動される。しかしながら、このような圧縮空気制御プロセスは、比較的コスト集約的でエネルギー集約的な圧縮空気供給ネットワークを維持することを必要とする。さらに、圧縮空気の供給は、必ずしも実現可能ではなく、あるいは、例えば、移動式バキュームハンドリング装置(例えば、ドライバレス輸送システム、シャトル、バッテリ作動システム)の場合には、多大な努力によってのみ実現可能である。
【0004】
公知のバキューム処理装置における更なる改善の可能性は、吸引グリップ装置がしばしばセンサによって個別に監視されないという事実から生じ、その代わりに、それら全てによって共用されるバキューム回路のみである。これは、例えば、吸引グリップ装置のどれが故障、例えば、漏れがあるかを明確に識別することができないという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点を克服する目的に基づいている。特に、本発明の目的は、コンパクトな設計を有し、バキューム源の信頼性、高速、及びエネルギー効率の良い制御を可能にし、作動的にも信頼性のあるバルブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するバルブ装置によって、本発明により達成される。このバルブ装置は、バキューム用途、特に、バキュームの適用または切断のために設計されている。この点において、バルブ装置は、特に、バキュームを適用または切断するための切換バルブ、より詳細には、バキューム源を制御するための制御バルブとすることができる。
【0007】
バルブ装置は、バルブチャンバを区切るバルブハウジングを含む。特に、バルブハウジングは、バルブチャンバを形成する内部のバルブ空間を囲む。バルブチャンバは、バキューム供給開口を備える。バキューム供給開口は、外部バキューム源、特にバキューム生成装置を接続するためのバキューム接続部に流体的に接続されている。特に、流路、好ましくはバルブハウジング、をバキューム供給開口とバキューム接続部との間に設けることができる。バキューム接続部は、例えば、プラグブッシングとして設計することができ、又はねじ込みねじ山を備えることができる。
【0008】
また、バルブチャンバは、吸引開口を備える。吸引開口は、吸引グリップ装置を接続するために使用される吸引接続部に流体的に接続される。特に、流路、好ましくはバルブハウジング、を吸引開口と吸引接続部との間に設けることができる。吸引接続部は、特に、吸引グリップ装置の吸引要素、例えばエラストマー吸引要素への直接接続のために設計することができる。吸引接続部は、吸引グリップ装置のバキュームディストリビューターラインに接続するように設計されることも考えられる。吸引接続部は、例えば、プラグブッシングとして設計することができ、又はねじ込みねじ山を備えることができる。さらに、吸引接続部は保護フィルタ、特に圧入保護フィルタを有することができる。
【0009】
また、バルブチャンバは、バルブチャンバを換気するための換気開口を備える。換気開口は、好ましくは、バルブ装置の周囲環境に流体的に接続され、周囲空気が換気のためにバルブチャンバに流入できるようにする。
【0010】
また、バルブ装置は、バルブチャンバに配置され、吸引位置と換気位置との間の切換軸に沿って変位させることができるバルブ本体を備える。バルブ本体は、吸引位置において、それが換気開口を閉鎖する、すなわちシールし、特にバキューム供給開口と吸引開口との間の流体接続部を開放するように設計される。この点に関し、吸引位置において、バキュームが、バルブチャンバ、したがって、吸引開口および吸引接続部に適用され得る。
【0011】
バルブ本体は、それが、換気位置において、バキューム供給開口を閉じる、すなわちシールするように設計され、特に、換気開口と吸引開口との間の流体接続部を開く。この点において、バルブチャンバは、換気開口を介して換気することができ、特に、バルブチャンバで優勢になるバキュームは、換気開口を通って流入する周囲空気によって減少させることができる。
【0012】
バルブ装置は、特に、バルブ本体が吸引位置に静止する第1のバルブシートと、バルブ本体が換気位置に静止する第2のバルブシートとを有することができる。第1および/または第2のバルブシートは、例えば、プレートシート、フラットシート、またはボールシートとして設計され得る。
【0013】
また、バルブ装置は、吸引位置と換気位置との間の切換軸に沿ったバルブ本体の変位運動を駆動するアクチュエータを備える。
【0014】
アクチュエータは、バルブ本体に接続された電機子、特に磁気電機子を備え、この電機子は、切換軸に沿って変位させることができる。特に、電機子は、磁気的に分極可能な、好ましくは強磁性の材料を含む。しかし、電機子は複数の部品で形成することもできる。電機子は、バルブ本体と一体で、特にモノリシックに設計することができる。電機子は、バルブハウジングおよび/またはアクチュエータのランニングスリーブに案内されることが好ましい。
【0015】
また、アクチュエータは、切換軸に沿って、電機子、したがってバルブ本体の変位運動を駆動するための電磁コイルを備える。特に、電磁コイルに通電することにより、電機子、すなわち、バルブ本体を切換軸に沿って変位させることができる。
【0016】
アクチュエータは双安定となるように設計される。特に、アクチュエータは、電機子が対応する終端位置に固定されている手段による装置を備えている。以下に詳細に説明するように、アクチュエータは、例えば、ばね装置および/または1つ以上の永久磁石を備えることができる。
【0017】
また、バルブ装置は、バキューム供給開口を開閉するためのスイングチェックバルブを備える。スイングチェックバルブは、スイングチェックバルブによってバキューム供給開口が覆われる閉位置と、少なくとも部分的にバキューム供給開口が開いている開位置とを想定できるように設計され、配置される。特に、閉位置から開始して、スイングチェックバルブは開くことが可能に、および/または開位置の方向にバルブチャンバから離れるように。スイングすることができる。スイングチェックバルブは、バキューム接続部にバキュームを適用することによって開位置に移送できるように、また特にバキューム供給開口からバキューム接続部に接続された空気流によって、特に、バルブチャンバから離れる方向にスイング開くことができるように設計され配置されている。
【0018】
スイングチェックバルブを備えた提案されたバルブ装置は、信頼性があり、動作上安全な機能を可能にする。特に、スイングチェックバルブにより、バキューム接続部での停電やバキューム低下(例えば、バキューム生成装置の不良や停電)時にも、バルブチャンバのバキューム、すなわち、バルブ装置に接続される吸引グリップ装置のバキュームを維持することができるので、安全機能を実現することができる。この安全機能は、双安定アクチュエータとしてのアクチュエータの設計によってもサポートされているため、この目的のためにコイルに通電する必要がなく、バルブ本体がその2つの終端位置、吸引位置と換気位置、で固定されたままになっている。このようにして、停電時でも対応する切換位置にバルブ本体を確実に保持することもできる。電気的に制御可能なアクチュエータを備えた本提案の実施形態はまた、特に、追加の圧縮空気供給を必要とすることなく、バルブ装置の切換を特に迅速かつエネルギー効率的に行うことを可能にする。アクチュエータは双安定に設計されているため、吸引位置と換気位置の切換えのためだけコイルに通電する必要がある。したがって、アクチュエータは比較的コンパクトに設計することができ、切換中の通電が短いため、コイルは過熱することなく高い過電流にさらすことができる。
【0019】
スイングチェックバルブは、特にバルブハウジングに配置することができる。この点において、スイングチェックバルブは、環境の影響から保護することができ、これは、バルブ装置の信頼できる機能に有利である。スイングチェックバルブは、前記バルブチャンバの外側に配置されることが好ましい。特に、スイングチェックバルブは、バキューム供給開口とバキューム接続部との間の流体接続部、例えば流路に配置することができる。例えば、スイングチェックバルブをバルブチャンバを区切る壁の外側に配置し、特にバキューム接続部にバキュームが適用される結果として少なくとも部分的にスイングチェックバルブを壁から持ち上げることができるように配置することが考えられる。スイングチェックバルブはエラストマーから形成することができる。スイングチェックバルブはボールチェックバルブとしても設計できる。
【0020】
バルブハウジングは、ワンピースで、特に単一ピースとして設計することができる。また、バルブハウジングは、多部品設計とすることができる。有利な開発の文脈では、バルブ装置は、バルブチャンバを区切る内側ハウジングと、バキューム接続および吸引接続を提供する外側ハウジングとを有することができる。特に、外側ハウジングは、内側ハウジングを外側に向けて結合することができ、好ましくは包囲することができる。この接続において、例えば、内側ハウジング及びバルブチャンバが、外側ハウジングに挿入されるカートリッジバルブの一部であることが考えられる。外側ハウジングは、例えば射出成形部品とすることができる。
【0021】
内側ハウジングを備えたバルブ装置の実施形態では、次に、スイングチェックバルブは、例えば、内側ハウジングの外壁に、特に、バキューム接続部にバキュームが加えられることによって、少なくとも部分的に、流れ圧力によって、特に、バルブチャンバから離れる方向に、スイングチェックバルブを外壁から持ち上げることができるような方法で、配置することができる。外側ハウジングは、オプションとして、スイングチェックバルブのためのストップを形成することができる。
【0022】
有利な開発の文脈では、アクチュエータは、特にバルブハウジングに配置することができ、その結果、電機子は、換気開口を通ってバルブチャンバに貫通する。このような実施形態は、電機子をシールするために追加のシールリングを必要としないので、シールを容易にすることができる。このようにして、電機子の移動中の摩擦力も減らすことができ、これにより必要な切換力を減少させることができる。したがって、アクチュエータは、特に小さく寸法決めすることができ、このことは、バルブ装置の全体寸法をさらに減少させる。特に、換気開口は切換軸と同軸に配置することができる。
【0023】
この関連では、電機子が換気開口の領域で半径方向でテーパを付けられ、特に、電機子とバルブハウジングの壁部との間に、例えば内側ハウジングの-換気開口を区切る、換気隙間が、特に、完全に、開閉軸の周りで半径方向に電機子を取り囲む、ように、換気隙間が形成されるなら、有利であることもできる。この点に関し、換気開口は、周囲空気が電機子の周りをバルブチャンバに流れることができるように設計することができる。このような実施形態とすれば、設置スペースが小さいにもかかわらず、比較的高い風量をバルブチャンバに供給することが可能となり、迅速な切換(特に、吸引グリップ装置によって保持される物体をセットダウンするため)に有利となると同時に、コンパクトな構造とすることができる。
【0024】
さらに、換気開口が、切換軸の周りで電機子を包囲する大気換気接続部に流体的に接続されている場合に有利である。換気接続部は、有利には、バルブチャンバとコイルとの間の切換軸に沿って配置することができる。
【0025】
有利な開発の文脈では、換気接続部は、フィルタ、特に、切換軸、特に電機子を半径方向に囲む一体型フィルタを備えることができる。フィルタは、好ましくは、フィルタシリンダの形態で設計することができる。特に、フィルタシリンダ及び電機子は切換軸と同軸に配置することができる。
【0026】
好ましくは、フィルタおよび/またはフィルタシリンダは、周囲フィルタ面と、換気開口と、特に流体接続部とに連通する軸方向フィルタ開口(シリンダ開口)とを備える。その後、電機子はシリンダ開口に貫通することができる。有利な開発の文脈では、バルブハウジングは、フィルタの領域に凹部を有することができ、その結果、周囲空気は、切換軸の周囲の大部分に沿って、好ましくは切換軸の周囲全体に沿って、周囲フィルタ面を流れることができる。このようにして、比較的小さな設置スペースで大きな送風路面が形成される。
【0027】
バキューム供給開口と換気開口とがバルブチャンバで互いに反対に配置されている場合には、バルブ開口の特に有利な配置が生じ得る。前記換気開口及び前記バキューム供給開口は、前記切換軸と同軸に配置されていることが好ましい。これにより、バルブ本体の簡単な直線的なガイドが可能になる。さらに、バキューム供給開口と吸引開口とが互いに直交してオフセットされて配置されていれば有利である。
【0028】
有利な開発の文脈において、アクチュエータの双安定設計は、ばね装置および永久磁石を設けることによって実現することができる。具体的には、アクチュエータは、切換軸に沿って電機子にベアリングを有するばね装置と、ばね装置の力に抗してアクチュエータを吸引位置又は換気位置に保持する永久磁石とを備えることができる。そのような実施形態は、停電の場合でも、バルブ装置を安全なバルブ状態(吸引位置または換気位置)に保持することを可能にする。前記ばね装置が、前記バルブ本体の換気位置の方向に前記電機子に付勢するように設計されることが好ましい。次に、永久磁石は、ばね装置の力に抗して電機子を吸引位置に停止させるように設計することができる。永久磁石は、吸引位置において電機子に掛かる磁気保持力が、ばね装置によるばね力と、バキューム供給開口に適用されるバキュームから生じる吸引力との和よりも大きくなるように設計され、配置されることが好ましい。
【0029】
永久磁石は、有利には、鉄に包囲され、および/またはコイルの内部に配置され得る。このようにして、力を電機子に加えた時の磁力と機械的安定性の効果を改善できる。さらに、コイルの内部における配置によって、アクチュエータの特にコンパクトな設計が可能になる。
【0030】
さらに、ばね装置および永久磁石、特にコイルがバルブチャンバの外側に配置されていれば有利である。この点において、バルブチャンバは特に小さく設計することができ、これはデッドボリュームを減少させ、したがって(より少ない容積を排気するか換気する必要があるので)切換時間を減少させる。
【0031】
代替の有利な実施形態の文脈において、アクチュエータの双安定設計を実現するために、アクチュエータは、吸引位置に電機子を保持する第1の永久磁石と、換気位置に電機子を保持する第2の永久磁石とを備えることができる。そのような実施形態では、次に、ばね装置は、任意に省略することができる。
【0032】
さらなる別の有利な実施形態の文脈において、アクチュエータの双安定設計を実現するために、アクチュエータは、永久磁石と、永久磁石の磁束を伝導するための1つ以上の磁束伝導構造、特に磁気ブラケットとを備えることができる。特に、少なくとも1つの磁束伝導構造は、電機子の一方または両方の端部位置(吸引位置および/または換気位置)において、端部位置からの変位に対して電機子を保持する磁気保持力が電機子に働くように、永久磁石の磁界を導くように設計することができる。永久磁石は、好ましくは、電機子の長手方向の延長線に関して、切り換え軸に沿って中央に配置され得る。また、永久磁石は、切換軸を中心として電機子を包囲することができる。一般的な態様の文脈において、バルブ装置はまた、センサ装置を含むことができる。センサ装置は、バルブハウジング、例えば外側ハウジングに配置されることが好ましい。センサ装置は、特に、バルブチャンバに抗する圧力を検出するように設計することができる。次いで、バルブチャンバは、センサ装置に流体的に接続されるセンサ開口を有することができる。
【0033】
さらに、バルブ装置は、バルブ制御装置、特に、センサ装置と一緒に機能する制御回路基板を有することができる。バルブ制御装置は、特に、アクチュエータ、特にコイルを制御するように、特に、センサ装置の信号の関数として構成される。バルブ制御装置、特に制御回路基板は、バルブハウジングに配置されることが好ましい。
【0034】
また、バルブ装置は、センサ装置および/またはバルブ制御装置と一緒に機能する評価装置を備えることができる。評価装置は、特に、センサ装置によって検出された圧力の関数として、バルブチャンバで、吸引接続部で接続された吸引グリップ装置の吸引状態を表す信号を生成するように設計することができる。例えば、評価装置が、圧力を比較するように構成されることが考えられ、バルブチャンバでセンサ装置によって検出された圧力を、評価装置に格納される、または格納され得る圧力閾値と比較し、バルブチャンバの圧力が圧力閾値を下回るか上回るかの関数として、対応する信号を生成することが考えられる。例えば、バルブチャンバに抗する絶対圧力が圧力閾値(適切なバキューム度)未満である場合、物体が吸引グリップ装置によってしっかりと保持されていることを示す信号を生成することができ、次いで、絶対圧力が圧力閾値(バキューム度が低すぎる)を超えると、物体が吸引されなくなったこと、または吸引グリップ装置によって確実に吸引されなくなったことを示す信号が生成される。このようにして、状態監視が可能である。
【0035】
これに加えて又はこれに代えて、評価装置は、センサ装置が提供するセンサ信号の関数として評価信号を生成するように構成することができ、この評価信号は、センサ装置にアクチュエータ、特にコイルを制御させる。例えば、バルブチャンバの圧力を表すセンサ装置によって提供されるセンサ信号を分析するように評価装置を構成し、バルブチャンバに抗する圧力が、格納される、または格納され得る圧力閾値を下回るかまたは上回るかどうかを決定するように構成することが考えられる。例えば、バルブチャンバで抗う(絶対)圧力が圧力閾値値より大きい(バキュームが低すぎる)場合、評価信号が生成され得、その結果、バルブ制御装置は、バルブ本体が換気位置に移行するような方法でアクチュエータを制御する。
【0036】
さらに、バルブ装置は、上述のセンサ装置に加えて、バルブ装置のプロセスおよび/または状態データを検出するためのセンサ、例えば、温度センサ、電圧センサ、コイルの電流センサ、および/または電機子位置センサ(例えば、触覚センサまたはホールセンサ)、をさらに備えることが考えられる。次いで、評価装置は、センサ装置および/またはさらなるセンサのうちの1つ以上によって決定されたデータを評価し、例えば、(例えば、ある期間にわたって変化するバルブ装置の切換え時間を検出することによって)そこから汚染または摩耗状態を決定するように設計され得る。
【0037】
また、バルブ装置は、1つ以上の状態ディスプレイ、例えば、ライトディスプレイ(例えば、LEDまたはスクリーン)の形態、を備えることができる。状態表示は、例えば、種々の状態またはプロセス情報をオペレータに表示するように設計され得る。例えば、バルブのスイッチオン状態、エラー状態、バルブの切換状態、吸引グリップ装置に保持されている工作物の吸引状態、および/またはバルブチャンバの現在のバキューム値等である。
【0038】
バルブ装置はまた、通信インタフェースを備えることができる。通信インタフェースは、センサ装置、バルブ制御装置、および/または評価装置によって提供された情報を送信するように、また、特に、バルブ装置のプロセスおよび状態情報を外部評価または制御ユニットに送信するように、および/または、例えば、圧力閾値のための制御信号または設定値などの情報を外部評価または制御ユニットから受信するように構成することができる。通信インタフェースは、例えばNFCインタフェースを介して、および/または有線通信のために、無線通信のために設計することができる。
【0039】
また、上記目的は、バキューム生成装置及び1つ以上のグリップ装置を備えるバキュームハンドリング装置によって達成される。グリップ装置の各々は、吸引グリップ装置および上述のバルブ装置を備える。各吸引グリップ装置にバルブ装置が割り当てられている。各吸引グリップ装置は、それに割り当てられたバルブ装置の吸引接続部に流体的に接続される。各バルブ装置は、共用されるバキューム生成装置に流体的に接続される。特に、バキューム生成装置は、対応する流体ラインを介して対応するバルブ装置のバキューム接続部に流体的に接続される。
【0040】
この関連では、バルブ装置が、バキューム生成装置よりも、それに割り当てられた吸引グリップ装置の近くに配置される場合に特に有利であることが分かっている。このようにして、バルブ装置と吸引グリップ装置との間のデッドボリュームを減少させることができ、これは、切換時間にプラスの効果をもたらす(切換の間、より少ないボリュームを吸引し切るか、換気しなければならない)。
【0041】
各バルブ装置はまた、バキューム生成装置に、特に、対応する、通信接続部、特に、データの交換のために、を介して接続される。例えば、バキューム生成装置は、対応するバルブ装置の上述の通信インタフェースを介して通信することができる。
【0042】
吸引グリップ装置は、例えば、単一吸引装置、バキュームグリップ、または吸引スパイダであり得る。
【0043】
有利な開発の文脈では、バキューム生成装置は、主制御装置を有することができる。主制御装置は、特に、バルブ装置の処理、及び/又は状態データの評価、処理、及び/又は評価を行うように構成することができる。この関連では、対応するバルブ装置のバルブ制御装置が、それに割り当てられたバルブ装置の処理および/または状態データを送信し、特にバキューム生成装置の主制御装置に直接送信するように構成されていれば有利であり得る。これに加えて又はこれに代えて、主制御装置は、バルブ装置又はバルブ装置を作動させるための制御信号をバルブ装置の対応するバルブ制御ユニットに伝達するように構成することができる。制御信号は、特に、アクチュエータを制御し、したがって、バルブ装置を切換えるための信号とすることができる。このような実施形態では、共用されるバキューム生成装置は、したがって、バルブ装置の状態を監視し、必要に応じて、例えば、危険な状況では、バルブ装置を個別に作動させることができる。また、このような主制御装置は、状態データを一元的に読み出して処理することができるため、誤動作を一元的に評価することができるという利点もある。
【0044】
本発明を、図を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、斜視図におけるバルブ装置の実施形態の略図である。
図2図2は、図1によるバルブ装置の吸引位置における概略断面図である。
図3図3は、図1によるバルブ装置のバルブ本体が換気位置にある概略断面図である。
図4図4は、バキュームハンドリング装置の例示的な実施形態の概略回路図である。
図5図5は、図4に係るバキュームハンドリング装置の代表的な動作状況を説明するための略図である。
図6図6は、図4にかかるバキュームハンドリング装置の代表的な動作状況を説明するための略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の説明および図において、同一の参照符号は、それぞれの場合において、同一または対応する特徴に使用される。
【0047】
図1は、全体を参照符号10で示すバルブ装置の実施形態を示す。バルブ装置10は、外部バキューム源を接続するためのバキューム接続部12と、吸引グリップ装置16(図4参照)に接続するための吸引接続部14と、バルブ装置10を換気するための換気接続部18とを備える。バルブ装置10は、バキューム接続部12と吸引接続部14との間、または換気接続部18と吸引接続部14との間に流体接続を選択的に確立するように設計される。
【0048】
このバルブ装置10は、バルブチャンバ22(図2参照)を囲むバルブハウジング20を有している。図示の例では、バルブハウジング20は、バルブチャンバ22を区切る内側ハウジング24と、内側ハウジング24を取り囲む外側ハウジング26とを備えている。既に述べたように、例えば、内側ハウジング24を外側ハウジング26に挿入することが考えられる。図示しない実施形態では、バルブハウジング20を一体に形成することも考えられる。
【0049】
図2から分かるように、バルブチャンバ22は、流路30を介してバキューム接続部12に流体的に接続されるバキューム供給開口28を備える。バルブチャンバ22はまた、流路34を介して吸引接続部14に流体的に接続される吸引開口32を備える。また、バルブチャンバ22は、バルブチャンバ22を換気するための換気開口36を備える。換気開口36には、換気接続部18(以下に詳細に説明する)を介して周囲空気を供給することができる。
【0050】
図示の例では、バキューム供給開口28、吸引開口32、及び換気開口36はそれぞれ、内側ハウジング24の凹部によって形成されている。
【0051】
一例として、好ましくは、バキューム供給開口28および換気開口36は、バルブ装置10の切換軸38(以下に詳細に説明する)と同軸に配置される。一例として、吸引開口32は、バキューム供給開口28および換気開口36に対して直交するように配向される。
【0052】
また、バルブ装置10は、バルブチャンバ22に配置されるバルブ本体40をさらに備えている。バルブ本体40は、吸引位置(図2参照)と換気位置(図3参照)との間で切換軸38に沿って変位させることができる。
【0053】
吸引位置において、バルブ本体40は、換気開口36を閉鎖するように配置され、同時にバキューム供給開口28と吸引開口32との間の流体接続が確立される(図2参照)。このバルブ装置10の切換位置において、吸引接続部14に接続された吸引グリップ装置16にバキュームを供給することができ、したがって、例えば、物体を吸引することができる。具体的な例では、吸引位置にあるバルブ本体40は、第1のバルブシート42に対してシールで静止している。この目的のために、図示の例では、バルブ本体40は、例えばOリングの形態の第1のシール手段44を備える。
【0054】
換気位置(図3参照)では、バルブ本体40は、バキューム供給開口28を閉鎖すると同時に、換気開口36と吸引開口流体接続を可能にするように配置される。このバルブ装置10の切換位置において、吸引接続部14に接続された吸引グリップ装置16は、換気開口36を介して再び換気することができ、例えば、物体をこのようにして下向きにセットすることができる。具体的な例では、換気位置にあるバルブ本体40は、第2のバルブシート46に対してシールで静止している。この目的のために、バルブ本体40は、例えばOリングの形態の第2のシール手段48を備える。
【0055】
また、バルブ装置10は、切換軸38に沿ったバルブ本体40の変位運動を駆動するアクチュエータ50を備える。アクチュエータ50は、この点において、バルブ装置10を切換えるように設計されている。
【0056】
アクチュエータ50は、切換軸38に沿った電機子52の変位運動を駆動するための電機子52および電磁コイル54を備える。電機子52は、特に磁気的に分極可能な、特に強磁性の材料を含む。この点において、電機子52は、特に磁石電機子である。電磁コイル54に通電することによって、電機子52、すなわち、バルブ本体40は、吸引位置(図2参照)と換気位置(図3参照)との間で変位させることができる。図2から分かるように、電機子は、好ましくは、バルブハウジング20のランニングスリーブ56に案内される。
【0057】
具体例では、電機子52は、バルブ本体40と一体に形成されている。しかしながら、図示されていない実施形態では、電機子52とバルブ本体とが互いに接続される構成要素を別々に設けることも考えられる。
【0058】
一例を挙げて説明すると、好ましくは、電機子52は、換気開口36を通ってバルブチャンバ22に貫通する。好ましくは、電機子52は、換気開口36の領域で半径方向でテーパして、電機子52と、換気開口36を区切る壁58との間に換気隙間60が形成され、この換気隙間が、切換軸38のまわりで電機子52を完全に囲んでいる(図2参照)。
【0059】
図2から分かるように、換気接続部18は、流入する周囲空気をろ過するために、フィルタ62を備える。一例として、好ましくは、フィルタ62は、切換軸38及び電機子52を半径方向に取り囲むフィルタシリンダの形態に設計される。具体的には、フィルタ62は、周囲フィルタ面64と、換気開口36に流体的に接続された軸方向フィルタ開口66とを有する。図2から分かるように、バルブハウジング20は、フィルタ62の領域に凹部68を有し、周囲の空気が切換軸38の周りのその大部分の円周、例では切換軸38の周りのその全円周に沿って周囲フィルタ面64を通って流れることができるようになっている。
【0060】
アクチュエータ50は双安定となるように設計されており、その結果、電機子52、すなわち、バルブ本体40は、電磁コイル54が通電されることなく、2つの端位置(吸引位置および換気位置)に固定される。具体的な例では、アクチュエータ50は、例えば、螺旋ばねの形態のばね装置70を備え、このばね装置は、電機子52、したがって、換気位置の方向にバルブ本体40に作用する(図3参照)。また、アクチュエータ50は、電機子52、すなわち、バルブ本体40をばね装置70のばね力(図2参照)に抗して吸引位置に保持するように設計された永久磁石72を備える。この点において、電磁コイル54は、バルブ装置10を切換えるために短時間だけ通電されなければならない。
【0061】
図示しない実施形態では、アクチュエータ50が、電機子52を吸引位置に保持する第1の永久磁石と、電機子52を換気位置に保持する第2の永久磁石とを備えることも考えられる。
【0062】
図2から分かるように、バルブ装置10はまた、バキューム供給開口28を開閉するためのスイングチェックバルブ74を備える。具体例では、スイングチェックバルブ74は、内側ハウジング24の外壁76に配置されている。図2は、スイングチェックバルブ74がバキューム供給開口28を閉じる閉位置のスイングチェックバルブ74を示す。スイングチェックバルブ74は、この閉位置からバキューム供給開口28が少なくとも部分的に開いている開位置に移送できるように設計されている。具体的には、スイングチェックバルブ74は、バキューム接続部12へのバキュームの適用によって、バルブチャンバ22の方向にスイングオープンすることができ、それに伴い、バキューム供給開口28から吸引接続部14へ接続された空気の流れが、このようにして、開位置へ移送されるように、特に設計されている。
【0063】
バルブ装置10はまた、バルブチャンバ22に抗する圧力を検出するように設計されたセンサ装置78を備える。この目的のために、センサ装置78は、センサ開口80を介してバルブチャンバ22に流体的に接続される。
【0064】
また、バルブ装置10は、センサ装置78と一緒に機能し、特にセンサ装置78の信号に応じてアクチュエータ50を制御するように設計された制御装置82を備えることが好ましい。
【0065】
上述したように、バルブ装置10はまた、センサ装置78及び制御装置82と相互作用する評価装置84を備えることが好ましい。
【0066】
図2から分かるように、センサ装置78、制御装置82、および評価装置84は、バルブハウジング20に配置されることが好ましく、したがって、環境の影響から保護される。任意に、状態を表示し、オペレータに情報を処理するように設計された、例えばLEDまたはスクリーンの形態の状態表示装置86を設けることもできる。
【0067】
センサ装置78、制御装置82、評価装置84、および/または状態表示器86は、制御回路基板の一部とすることができる。
【0068】
上述したように、バルブ装置10はまた、外部の評価または制御ユニット(例えば、バキューム生成装置104の主制御装置106;下記参照)と通信するための通信インタフェース88を備える。特定の例では、通信インタフェース88はプラグ接続90を含む。代替的又は付加的に、通信インタフェース88は、例えば、NFCアンテナの形態の無線通信装置を有することもできる。
【0069】
バキュームハンドリング装置100における上記のバルブ装置10の使用を、図4から図6を参照して以下に説明する。
【0070】
図4は、全体に参照符号100で示されるバキュームハンドリング装置の概略回路図である。バキュームハンドリング装置100は、1以上の、例では、4つの、グリップ装置102-1、102-2、102-3、102-4を備える。各グリップ装置102-1、102-2、102-3、102-4は、上述のバルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4および吸引グリップ装置16-1、16-2、16-3、16-4を備える。吸引グリップ装置16-1、16-2、16-3、16-4は、例として、それぞれ2つの吸引点を有する。
【0071】
バキュームハンドリング装置100はまた、全てのグリップ装置102-1、102-2、102-3、102-4に共通の中央のバキューム生成装置104を備える。バキューム生成装置104は、例えば、送風機等の電気バキューム生成装置104とすることができる。バキューム生成装置104は、バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4を制御するように設計された主制御装置106を備える。
【0072】
図4に示すように、バキューム生成装置104は、対応する流体ライン108を介して、バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4のバキューム接続部12に流体的に接続される。バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4は、吸引グリップの近傍に配置することが好ましく、これにより、バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4と吸引グリップ装置16との間のデッドボリュームが減少し、したがって、切換時間も減少する。
【0073】
さらに、個々のバルブ制御装置82-1、82-2、82-3、82-4は、主制御装置106に、特にデータ交換のために、対応する通信接続部110(図4に破線で示す)を介して、無線または有線で接続される。例えば、バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4を上述した対応する通信インタフェース88を介して主制御装置106に接続することが考えられる。
【0074】
上述したように、主制御装置106は、バルブ制御装置82-1、82-2、82-3、82-4によって主制御装置106に送信されるバルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4のプロセスおよび/または状態データを評価するように構成される。さらに、主制御装置106は、バルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4を作動させるための制御信号をバルブ装置10-1、10-2、10-3、10-4のバルブ制御装置82-1、82-2、82-3、82-4に伝達するように構成される。
【0075】
バキュームハンドリング装置100の例示的な適用状況を、図5および図6を参照して以下により詳細に説明する。
【0076】
図5は、バキュームハンドリング装置100の例示的な動作状態を示し、ここでは、例えば、物体112の意図しない落下の結果として、吸引点92(例では、第3のグリップ装置102-3の吸引グリップ装置16-3の吸引点92のうちの1つで)で漏れが生じる。この漏れにより、バルブ装置10-3のバルブチャンバ22のバキュームが崩壊するか、バルブチャンバ22の絶対圧力が上昇する。
【0077】
グリップ装置102-1、102-2、102-3、102-4は、共用される流体ライン108を介して互いに流体的に接続されているので、このようにして作られた圧力差は、最初に、対応する閉位置に移送されている更なるバルブ装置10-1、10-2、10-4のスイングチェックバルブ74に導き、その結果、これらのバルブ装置10-1、10-2、10-4と一緒に働く吸引グリップ装置16-1、16-2、16-4は、物体112を確実にグリップし続けることができる。
【0078】
このバルブ装置10-3における意図しない圧力変化は、このバルブ装置10-3のセンサ装置78によって検出され、最終的にこのバルブ装置10-3のバルブ制御装置82-3によってバキューム生成装置104の主制御装置106に報告される。次に、主制御装置106は、バルブ装置10-3を換気するために、対応する通信接続部110を介してこのバルブ装置10-3のバルブ制御装置82-3に制御信号を送信することができる。すなわち、バルブ装置10-3を換気するために、すなわち、バルブ本体40を吸引位置から換気位置に移送する(図6参照)。換気位置では、次に、バキューム供給開口28がシールされ、その結果、吸引グリップ装置10-3での漏洩はもはや流体ライン108に伝わらず、更なるグリップ装置102-1、102-2、102-4にはもはや伝わらないので、これらのグリップ装置102-1、102-2、102-4(図6の黒いチェックマークで図示)のために、再び安全なグリップ状態が生成される。例のように、さらなる物体112が、漏れやすい吸引グリップ装置16-3に保持される場合、任意に犠牲にして、他のすべての保持された物体112を保護することができる。
【0079】
上述したように、バルブ装置10-3の計画外の圧力変化をこのバルブ装置10-3のセンサ装置78によって検出し、このバルブ装置10-3の制御装置82-3がアクチュエータを直接、すなわち主制御装置106の介在なしに制御することも考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6