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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102004
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003479
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2023006200の分割
【原出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】518388498
【氏名又は名称】株式会社MaaS Tech Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】日高 洋祐
(57)【要約】
【課題】移動手段を利用するユーザに対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する十分な動機付けを与える。
【解決手段】プログラムがコンピュータを、ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段52、取得された移動情報に応じて、ユーザに対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段54、ユーザに対して、二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段56、として機能させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段、
前記取得された移動情報に応じて、前記ユーザに対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段、
前記ユーザに対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段、
として機能させる、
プログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
組織に所属する各ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段、
前記取得された移動情報に応じて、前記組織に対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段、
前記組織に対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段、
として機能させる、
プログラム。
【請求項3】
前記組織には、少なくとも自治体、企業、教育機関、団体の何れか一つが含まれ、
前記移動情報は、前記ユーザが所属する組織に移動する際に利用する移動手段を含む、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記提供情報は、前記二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザの情報を含む、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザに特典を付与する、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に基づき、前記ユーザから他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を当該ユーザに付与する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に基づき、前記組織から他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を前記一又は複数のユーザに付与する、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記移動情報は、移動経路を含み、
前記制御手段は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、
前記提供情報は、前記抽出された共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を含む、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項9】
前記移動情報は、移動経路を含み、
前記制御手段は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、
前記制御手段は、前記抽出した共通する移動経路における運行計画を交通事業者に提案する、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項10】
前記取得手段は、前記ユーザが所持する端末装置から、自動的に前記移動情報を取得する、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項11】
ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段と、
前記取得された移動情報に応じて、前記ユーザに対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段と、
前記ユーザに対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項12】
組織に所属する各ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段と、
前記取得された移動情報に応じて、前記組織に対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段と、
前記組織に対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段と、
を備える、
情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二酸化炭素排出量を考慮した移動経路を検索する検索システムが知られている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、二酸化炭素排出量が少ない移動手段を利用するユーザに対して、多くのポイントを付与する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6860941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、移動手段を利用するユーザ(個人)や複数のユーザ(例えば、従業者や学生等)が所属する組織(例えば、自治体や企業、教育機関、団体等の法人)に対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを十分に与えることができなかった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動手段を利用するユーザ又は複数のユーザが所属する組織に対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができるプログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段、前記取得された移動情報に応じて、前記ユーザに対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段、前記ユーザに対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段、として機能させる。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第二態様に係るプログラムは、コンピュータを、組織に所属する各ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段、前記取得された移動情報に応じて、前記組織に対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段、前記組織に対して、前記二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段、として機能させる。
【0009】
また、本発明の第三態様では、前記組織には、少なくとも自治体、企業、教育機関、団体の何れか一つが含まれ、前記移動情報は、前記ユーザが所属する組織に移動する際に利用する移動手段を含む。
【0010】
また、本発明の第四態様では、前記提供情報は、前記二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザの情報を含む。
【0011】
また、本発明の第五態様では、前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザに特典を付与する。
【0012】
また、本発明の第六態様では、前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に基づき、前記ユーザから他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を当該ユーザに付与する。
【0013】
また、本発明の第七態様では、前記制御手段は、前記二酸化炭素排出量の削減に基づき、前記組織から他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を前記一又は複数のユーザに付与する。
【0014】
また、本発明の第八態様では、前記移動情報は、移動経路を含み、前記制御手段は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、前記提供情報は、前記抽出された共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を含む。
【0015】
また、本発明の第九態様では、前記移動情報は、移動経路を含み、前記制御手段は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、前記制御手段は、前記抽出した共通する移動経路における運行計画を交通事業者に提案する。
【0016】
また、本発明の第十態様では、前記取得手段は、前記ユーザが所持する端末装置から、自動的に前記移動情報を取得する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動手段を利用するユーザ又は複数のユーザが所属する組織に対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の本実施形態に係るデータ提供システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示すサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図1に示すサーバ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係るデータ提供システムにおいて、組織に所属するユーザの移動情報を登録する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る移動情報登録画面の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係るデータ提供システムにおいて、組織に対して提供情報を提供する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】ユーザ(個人)に対応する二酸化炭素排出量が削減された場合の提供情報画面の一例を示す図である。
図8】ユーザ(個人)に対応する二酸化炭素排出量が削減されなかった場合の提供情報画面の一例を示す図である。
図9】組織に対応する二酸化炭素排出量が削減された場合の提供情報画面の一例を示す図である。
図10】組織に対応する二酸化炭素排出量が削減されなかった場合の提供情報画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
<全体構成>
図1は、本発明の本実施形態に係るデータ提供システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、データ提供システム1は、サーバ装置10と、複数の端末装置12と、を備える。これらの装置は、インターネットや電話回線網等の通信ネットワークNTを介して互いに通信可能に構成されている。
【0022】
サーバ装置10は、ユーザや組織、交通事業者等に提供する各種情報を生成する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、この組織には、少なくとも自治体、企業、教育機関、団体の何れか一つが含まれる。
【0023】
複数の端末装置12は、それぞれのユーザが所持又は管理する情報処理装置である。これら複数の端末装置12は、例えば、第一端末装置12Aと、第二端末装置12Bと、第三端末装置12Cと、を含む。端末装置12としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0024】
第一端末装置12Aは、例えば、ユーザ(個人)又は組織に所属する各ユーザ(従業者や学生等)が所持(操作)する装置である。
【0025】
第二端末装置12Bは、例えば、組織が管理する装置である。
【0026】
第三端末装置12Cは、例えば、交通事業者が管理する装置である。
【0027】
<ハードウェア構成>
図2は、図1に示すサーバ装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、サーバ装置10は、制御装置20と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)22及びメモリ24を主に備えて構成される。
【0029】
制御装置20では、CPU22がメモリ24或いは記憶装置28等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0030】
通信装置26は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置26は、例えば、端末装置12との間で各種の情報を送受信する。
【0031】
記憶装置28は、ハードディスク等で構成される。記憶装置28は、制御装置20における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0032】
なお、サーバ装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、サーバ装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、通信ネットワークNT上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、図2は、サーバ装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、サーバ装置10は、サーバが一般的に備える他の構成を備えることができる。また、複数の端末装置12のハードウェア構成も、例えば操作手段や表示装置等を備える他は、サーバ装置10と同様の構成を備えることができる。
【0033】
<二酸化炭素クレジットの概要>
現在、各国において、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みが行われている。例えば、日本では、J-クレジット制度が活用されている。この制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による二酸化炭素等の排出削減量や、適切な森林管理による二酸化炭素等の吸収量を、クレジット(二酸化炭素クレジット)として国が認証する制度である。この制度は、国により運営されている。このクレジットは、カーボンニュートラル行動計画の目標達成や、カーボンオフセットなど、様々な用途に活用できる。
【0034】
例えば、ユーザ(個人)や組織(例えば中小企業等)における二酸化炭素等の温室効果ガスの削減量や吸収量は、クレジット(二酸化炭素クレジット)として、他のユーザ(個人)や他の組織(例えば大企業)に売却可能である。例えば、組織は、設備投資(例えば、乗合バスの運行等)の一部をクレジットの売却益によって補い、投資費用の回収やさらなる省エネ投資に活用することができる。また、クレジットを購入するユーザや組織(例えば大企業)としては、当該クレジットの購入によって、別のユーザや別の組織(例えば中小企業等)の省エネ活動を後押しすることができる。
本実施形態に係るデータ提供システム1は、二酸化炭素クレジットの認証(発行)や、ユーザ間又は組織間における二酸化炭素クレジットの売買(取引)を代行及び支援することができるシステムである。
【0035】
<機能的構成>
図3は、図1に示すサーバ装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、サーバ装置10は、機能的構成として、記憶手段50と、取得手段52、算出手段54と、制御手段56と、を備える。
【0037】
記憶手段50は、ウェブページ50Aや、二酸化炭素情報50Bと、ユーザ情報50Cと、組織情報50Dと、交通事業者情報50Eを記憶する。
【0038】
ウェブページ50Aは、ログインページや移動情報登録ページ等を含む。このログインページは、ユーザが第一端末装置12Aを用いて、データ提供システム1にログインするためのページである。例えば、ログインページには、ユーザIDや、パスワードを入力するための入力欄等が設けられている。移動情報登録ページは、ユーザが第一端末装置12Aを用いて、所定期間(例えば1ヶ月間)におけるユーザの移動情報(移動スケジュール)を入力するためのページである。この移動情報登録ページに入力される情報は、過去の移動情報(移動スケジュール)であってもよいし、将来の移動情報(移動スケジュール)であってもよい。例えば、移動情報登録ページには、利用する移動手段に対応付けて、出発地点や到着地点、経由地点等を入力するための入力欄等が設けられている。なお、移動手段が自動車(自家用車やタクシー)である場合、移動情報登録ページには、同乗人数(同乗するユーザ数)を入力するための入力欄が設けられる。
【0039】
二酸化炭素情報50Bは、移動手段毎の二酸化炭素排出量を含む。移動手段としては、自動車(自家用車やタクシー)やバス、電車、飛行機、徒歩、自転車等が挙げられる。例えば、自動車は140g/km、バスは60g/km、電車は20g/km、飛行機は90g/km、徒歩及び自転車は0g/kmである。
【0040】
ユーザ情報50Cは、ユーザそれぞれのユーザIDや、パスワード、ユーザ名、所属組織、生年月日、スケジュール、二酸化炭素排出量、クレジット情報等を含む。所属組織は、例えば、組織IDを含む。スケジュールは、例えば、ユーザによるプライベートな移動や、組織に移動(通勤又は通学)する日の移動情報を含む。移動情報は、例えば、利用する移動手段それぞれに対応付けて、出発地点や到着地点(リンク)、移動距離等を含む。二酸化炭素排出量は、時期毎に、ユーザが利用する移動手段によって排出されるユーザ1人あたりの二酸化炭素排出量を含む。この二酸化炭素排出量は、例えば、ユーザが出発地点と到着地点(組織を含む)を往復する際に、当該ユーザが利用する移動手段から排出されるユーザ1人あたりの二酸化炭素量である。例えば、ユーザが利用する移動手段が自動車(自家用車やタクシー)であって、同乗者(同乗するユーザ)がいる場合、この二酸化炭素排出量は、ユーザと同乗者とで按分される。
【0041】
クレジット情報は、各時期におけるユーザ(個人)に対応する二酸化炭素クレジットの所有量や売却量、購入量等を含む。
【0042】
組織情報50Dは、組織それぞれの組織IDや、パスワード、組織名、連絡先、所在地、総排出量情報、クレジット情報等を含む。
【0043】
総排出量情報は、時期毎に、組織に対応する二酸化炭素排出量を含む。例えば、排出量情報は、組織に所属する全ユーザ(従業者や学生等)が当該組織に移動(通勤又は通学)することにより排出される二酸化炭素排出量の総量を含む。この総排出量情報は、例えば、組織に所属する全ユーザが組織を往復する際に、当該全ユーザが利用する移動手段から排出される二酸化炭素量の総量である。この時期の間隔としては、例えば、1日毎や1週間毎、1ヶ月毎、6ヶ月毎、1年毎等が挙げられるが、任意の期間毎であってもよい。
【0044】
クレジット情報は、各時期における組織に対応する二酸化炭素クレジットの所有量や売却量、購入量等を含む。
【0045】
交通事業者情報50Eは、交通事業者それぞれの事業者IDや、事業者名、経路情報、連絡先、運行エリア、所在地等を含む。経路情報は、交通事業者が移動手段を運行する区間(範囲)の各ノード(例えば、駅やバス停、交差点)をそれぞれ接続するリンク毎のリンクIDに対応付けて、移動手段と、リンク情報を含む。リンク情報は、リンク名(例えば路線名や道路名)や、向き(出発ノードと到着ノード)、リンク長(例えば距離)、位置情報(例えば各ノードの緯度経度)、移動速度、所要時間、料金、混雑予想等の情報を含む。
【0046】
取得手段52は、ユーザから各種情報を取得する機能手段である。本実施形態では、取得手段52は、ユーザ(個人)又は組織に所属する各ユーザが当該組織への移動(通勤又は通学)で利用する移動手段や、当該移動手段での移動距離等を含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する。例えば、取得手段52は、少なくとも二つの異なる時期において、各ユーザによって移動情報登録ページ(移動情報登録画面)に入力された入力情報を取得する。続いて、取得手段52は、交通事業者情報50Eの経路情報を参照して、入力情報からユーザが利用する移動手段それぞれの移動距離を取得する。そして、取得手段52は、ユーザ情報50Cのスケジュールに、各ユーザの移動情報を格納する。
【0047】
なお、取得手段52は、ユーザが所持する第一端末装置12Aから、各時期において、自動的に移動情報を取得してもよい。言い換えれば、取得手段52は、移動情報登録ページによって登録された情報を用いずに、移動情報を取得してもよい。例えば、取得手段52は、第一端末装置12Aの位置情報を逐次検出することにより、利用した一又は複数の移動手段を含む移動経路や移動手段それぞれの移動距離を推定し、自動的に移動情報を取得する。具体的には、取得手段52は、交通事業者情報50Eの路線情報を参照して、第一端末装置12Aの位置情報が当該路線情報のリンク上(ノード間)にあり、第一端末装置12Aの移動速度が当該リンクの移動速度と近似している場合、当該リンクを運行する移動手段を利用した移動手段とし、当該リンク長を移動距離として取得(推定)する。
一方、取得手段52は、第一端末装置12Aの位置情報が当該路線情報のリンク上ない場合、第一端末装置12Aの移動速度(例えば平均値)に応じた移動手段と、当該移動速度が継続した区間を移動距離として取得(推定)する。例えば、取得手段52は、第一端末装置12Aの移動速度が時速2~7kmである場合、移動手段を徒歩とし、当該移動速度が継続した区間を移動距離として取得(推定)する。また、例えば、取得手段52は、第一端末装置12Aの移動速度が時速8~29kmである場合、移動手段を自転車とし、当該移動速度が継続した区間を移動距離として取得(推定)する。また、例えば、取得手段52は、第一端末装置12Aの移動速度が時速30~100kmである場合、移動手段を自動車(自家用車やタクシー)とし、当該移動速度が継続した区間を移動距離として取得(推定)する。
【0048】
算出手段54は、各種情報を算出する機能手段である。本実施形態では、算出手段54は、取得手段52によって取得された移動情報に応じて、ユーザ(個人)又は組織に対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する。
【0049】
例えば、算出手段54は、二酸化炭素情報50Bを参照して、ユーザ(個人)又は組織に所属する各ユーザのスケジュール(移動情報)に含まれる一又は複数の移動手段と、当該移動手段それぞれによる移動距離とに応じた二酸化炭素排出量を算出する。具体的には、算出手段54は、第一のユーザの移動情報に含まれる移動手段が自家用車(同乗者数は0名)であって、当該自家用車による移動距離が50km(往路)である場合、自動車の二酸化炭素排出量である140g/kmと、移動距離である50km×2(往復)と、を乗算した14kgを二酸化炭素排出量として算出する。また、算出手段54は、第二のユーザの移動情報に含まれる移動手段がバスであって、当該バスによる移動距離が30km(往路)である場合、バスの二酸化炭素排出量である60g/kmと、移動距離である30km×2(往復)と、を乗算した3.6kgを二酸化炭素排出量として算出する。続いて、算出手段54は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量に、算出した時期と二酸化炭素排出量を格納する。
また、算出手段54は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量を参照して、組織に所属する全ユーザの二酸化炭素排出量の総和を、組織に対応する二酸化炭素排出量として算出する。続いて、算出手段54は、組織情報50Dの総排出量情報に、算出した時期と、組織に対応する二酸化炭素排出量を格納する。
【0050】
制御手段56は、データ提供システム1の全体を制御する機能手段である。本実施形態では、制御手段56は、ユーザ(個人)又は組織に対して、二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する。例えば、制御手段56は、ユーザが所持する第一端末装置12Aに推移データを含む提供情報を送信する。また、例えば、制御手段56は、組織が管理する第二端末装置12Bに推移データを含む提供情報を送信する。この推移データは、例えば、各時期におけるユーザ(個人)又は組織に対応する二酸化炭素排出量を示すグラフである。
【0051】
また、提供情報は、例えば、各ユーザ(個人)や組織に対応する二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザの情報を含む。例えば、制御手段56は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量を参照して、所定時期(例えば1ヶ月前)と比較して、二酸化炭素排出量の削減量が所定量よりも多い所定数のユーザを特定し、当該特定したユーザ名やユーザIDを示す情報を提供情報に含める。
【0052】
また、制御手段56は、各ユーザ(個人)や組織に対応する二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザに特典を付与する。例えば、制御手段56は、所定時期(例えば1ヶ月前)と比較して、二酸化炭素排出量の削減量が所定量よりも多い所定数のユーザに対して、移動手段(電車やバス)の支払いに利用可能なICカード等にチャージできるポイントを付与する。
【0053】
また、制御手段56は、ユーザに対応する二酸化炭素排出量の削減に基づき、当該ユーザから他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を当該ユーザに付与する。例えば、制御手段56は、他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量が多いほど、ユーザに多くのポイントを付与する。具体的には、制御手段56は、二酸化炭素クレジットの売却額の30%に相当するポイントをユーザに付与する。
【0054】
また、制御手段56は、組織に対応する二酸化炭素排出量の削減に基づき、当該組織から他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を一又は複数のユーザ(当該組織に所属するユーザ)に付与する。例えば、制御手段56は、他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量が多いほど、ユーザに多くのポイントを付与する。
【0055】
また、制御手段56は、複数のユーザ(個人)又は組織に所属するユーザのうち、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出する。そして、制御手段56がユーザ(個人)又は組織に提供する提供情報は、抽出された共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を含む。
【0056】
例えば、制御手段56は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量を参照して、直近の二酸化炭素排出量が上位のユーザを特定する。続いて、制御手段56は、ユーザ情報50Cの移動情報を参照して、特定された複数のユーザの移動経路から、一部又は全部のユーザに共通する移動経路(例えば、一又は複数のリンク)を抽出する。続いて、制御手段56は、抽出した共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動(例えば、バスや電車、モノレール等)の利用や新規運行を提案する提案情報を提供情報に含める。この提案情報には、乗り合い移動を行う区間や、想定利用者数(ユーザ数)、乗り合い移動によって削減できる二酸化炭素量(削減量)等を含めてもよい。
【0057】
また、制御手段56は、抽出した共通する移動経路における運行計画を交通事業者に提案してもよい。例えば、制御手段56は、抽出した共通する移動経路を運行エリアに含む交通事業者を特定し、当該交通事業者が管理する第三端末装置12Cに当該運行計画を含む提案情報を送信する。この提案情報には、想定利用者数(ユーザ数)や、採算が取れる運賃等を含めてもよい。
【0058】
<登録処理の流れ>
図4は、本実施形態に係るデータ提供システム1において、ユーザ(個人)又は組織に所属するユーザの移動情報を登録する処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、以下のステップの処理は、例えば、ユーザがデータ提供システム1にログインした後、移動情報登録メニューを選択したタイミングで開始される。この移動情報の登録は、例えば、一定時期(例えば月初)毎に行われる。なお、以下のステップの順番及び内容は、適宜、変更することができる。
【0059】
(ステップSP10)
制御手段56は、ウェブページ50Aのうち移動情報登録ページを含む移動情報登録画面をユーザの所持する第一端末装置12Aに表示させる。
【0060】
図5は、本実施形態に係る移動情報登録画面70の一例を示す図である。
【0061】
図5に示すように、移動情報登録画面70は、移動情報入力領域72と、経由地追加ボタン74と、移動情報追加ボタン76と、登録ボタン78と、が設けられている。
移動情報入力領域72には、ユーザが移動(例えば平日の通勤や通学)に利用する移動手段の利用情報を入力する入力欄が表されている。例えば、この移動手段は、プルダウンメニューとして、自動車(自家用車)、自動車(タクシー)、バス、電車、飛行機、自転車、徒歩から選択可能である。また、例えば、移動情報入力領域72には、利用情報として、当該移動手段の出発地点と到着地点等を入力する入力欄が表されている。
経由地追加ボタン74は、経由地点を追加する指示を行うためのボタンである。例えば、経由地追加ボタン74が押下された場合、出発地点と到着地点の入力欄の間に、経由地点の入力欄が表される。
移動情報追加ボタン76は、ユーザが複数の移動手段を利用する場合に、次の移動手段の利用情報を入力する領域を表示させる指示を行うためのボタンである。例えば、移動情報追加ボタン76が押下された場合、移動情報登録領域72と同様の入力領域が追加で表される。
登録ボタン78は、入力した入力情報を登録する指示(登録指示)を行うためのボタンである。
【0062】
図4に戻り、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
【0063】
(ステップSP12)
制御手段56は、移動情報登録ページ(移動情報登録画面)において登録指示が行われたか否かを判定する。例えば、制御手段56は、ユーザによって登録ボタンが押下されたか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には、処理は、ステップSP14の処理に移行する。一方、当該判定が否定判定された場合には、処理は、ステップSP10の処理に移行する。
【0064】
(ステップSP14)
取得手段52は、移動情報登録ページ(移動情報登録画面)に入力された入力情報を取得する。続いて、取得手段52は、交通事業者情報50Eの経路情報を参照して、当該入力情報からユーザが利用する移動手段それぞれの移動距離を取得する。そして、処理は、ステップSP16の処理に移行する。
【0065】
(ステップSP16)
取得手段52は、ユーザ情報50Cのスケジュールに、取得した入力情報と移動手段それぞれの移動距離を移動情報として格納する。そして、処理は、図4に示す一連の処理を終了する。
【0066】
<提供処理の流れ>
図6は、本実施形態に係るデータ提供システム1において、ユーザ(個人)又は組織に対して提供情報を提供する処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、以下のステップの処理は、例えば、一定時期(例えば月初)毎において、ユーザ(個人)又は組織に所属する全ユーザによる移動情報の登録が終了した後に開始される。なお、以下のステップの順番及び内容は、適宜、変更することができる。
【0067】
(ステップSP20)
算出手段54は、二酸化炭素情報50Bを参照して、ユーザ(個人)又は組織に所属する各ユーザのスケジュール(移動情報)に含まれる一又は複数の移動手段と、当該移動手段それぞれによる移動距離とに応じた二酸化炭素排出量を算出する。続いて、算出手段54は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量に、算出した時期(例えば現在時刻)と二酸化炭素排出量を格納する。そして、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0068】
(ステップSP22)
算出手段54は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量を参照して、組織に所属する全ユーザの二酸化炭素排出量の総和を、組織に対応する二酸化炭素排出量として算出する。続いて、算出手段54は、組織情報50Dの総排出量情報に、算出した時期(例えば現在時刻)と組織に対応する二酸化炭素排出量を格納する。そして、処理は、ステップSP24の処理に移行する。
【0069】
(ステップSP24)
制御手段56は、ユーザ情報50Cの二酸化炭素排出量や組織情報50Dの総排出量情報を参照して、所定期間(例えば1年間)における二酸化炭素排出量の推移データを生成する。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0070】
(ステップSP26)
制御手段56は、ステップSP24において生成した推移データにおいて、直近の二酸化炭素排出量が、所定時期(例えば1ヶ月前)の二酸化炭素排出量よりも削減されているか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には、処理は、ステップSP28の処理に移行する。一方、当該判定が否定判定された場合には、処理は、ステップSP32の処理に移行する。
【0071】
(ステップSP28)
算出手段54は、ステップSP26において削減された二酸化炭素排出量に応じて、他のユーザ又は他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットを算出する。続いて、制御手段56は、算出された二酸化炭素クレジットを発行する。具体的には、制御手段56は、ユーザ情報50Cのクレジット情報や組織情報50Dのクレジット情報(所有量)に、算出された二酸化炭素クレジットを加算する。そして、処理は、ステップSP30の処理に移行する。
【0072】
(ステップSP30)
制御手段56は、所定時期(例えば1ヶ月前)と比較して、二酸化炭素排出量の削減量が所定量よりも多いユーザに対して、特典を付与する。例えば、制御手段56は、当該ユーザに対して、ステップSP28において算出された売却可能な二酸化炭素クレジットに応じたポイントを付与する。そして、処理は、ステップSP36の処理に移行する。
【0073】
(ステップSP32)
制御手段56は、複数のユーザ(個人)や組織に所属するユーザのうち、二酸化炭素排出量が所定量よりも高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出する。そして、処理は、ステップSP34の処理に移行する。
【0074】
(ステップSP34)
制御手段56は、ステップSP32において抽出された共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を生成する。そして、処理は、ステップSP36の処理に移行する。
【0075】
(ステップSP36)
制御手段56は、ステップSP34において生成した推移データに応じて、ユーザ(個人)や組織に提供するコメント(二酸化炭素排出量に関するコメント)を生成する。続いて、制御手段56は、推移データや当該コメントを含む提供情報画面を組織が管理する第二端末装置12Bに表示させる。
【0076】
図7は、ユーザ(個人)に対応する二酸化炭素排出量が削減された場合の提供情報画面80の一例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、提供情報画面80は、提供情報領域82と、確認ボタン84と、が設けられている。
提供情報領域82には、推移データや、二酸化炭素排出量に関するコメント、当該二酸化炭素排出量の削減に貢献したユーザ(個人)に関する情報等が表されている。
確認ボタン84は、提供情報を確認済みにするためのボタンである。
【0078】
図8は、ユーザ(個人)に対応する二酸化炭素排出量が削減されなかった場合の提供情報画面90の一例を示す図である。
【0079】
図8に示すように、提供情報画面90は、提供情報領域92と、提案情報領域94と、確認ボタン96と、が設けられている。
提供情報領域92には、推移データや、二酸化炭素排出量に関するコメント等が表されている。
提案情報領域94には、複数のユーザ(個人)による乗り合い移動を提案する提案情報等が表されている。例えば、提案情報には、乗り合い移動を利用すべき区間や、乗り合い移動によって削減できる二酸化炭素量(削減量)等が表されている。
【0080】
図9は、組織に対応する二酸化炭素排出量が削減された場合の提供情報画面100の一例を示す図である。
【0081】
図9に示すように、提供情報画面100は、提供情報領域102と、確認ボタン104と、が設けられている。
提供情報領域102には、推移データや、二酸化炭素排出量に関するコメント、当該二酸化炭素排出量の削減に貢献したユーザに関する情報等が表されている。
【0082】
図10は、組織に対応する二酸化炭素排出量が削減されなかった場合の提供情報画面110の一例を示す図である。
【0083】
図10に示すように、提供情報画面110は、提供情報領域112と、提案情報領域114と、確認ボタン116と、が設けられている。
提供情報領域112には、推移データや、二酸化炭素排出量に関するコメント等が表されている。
提案情報領域114には、複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報等が表されている。例えば、提案情報には、乗り合い移動を新規に運行すべき区間(想定運行区間)や、想定利用者数、乗り合い移動によって削減できる二酸化炭素量(削減量)等が表されている。
【0084】
そして、処理は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0085】
<効果>
以上、本実施形態では、コンピュータを、ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段52、取得された移動情報に応じて、ユーザに対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段54、ユーザに対して、二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段56、として機能させる。
【0086】
この構成によれば、移動手段を利用するユーザに対して、二酸化炭素排出量の推移データを提供することができる。このため、ユーザに対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができる。
【0087】
また、本実施形態では、コンピュータを、組織に所属する各ユーザが利用する移動手段と当該移動手段による移動距離とを含む移動情報を、少なくとも二つの異なる時期において取得する取得手段52、取得された移動情報に応じて、組織に対応する二酸化炭素排出量を各時期において算出する算出手段54、組織に対して、二酸化炭素排出量の推移データを含む提供情報を提供する制御手段56、として機能させる。
【0088】
この構成によれば、移動手段を利用する複数のユーザが所属する組織に対して、二酸化炭素排出量の推移データを提供することができる。このため、組織に対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができる。
【0089】
また、本実施形態では、組織には、少なくとも自治体、企業、教育機関、団体の何れか一つが含まれ、移動情報は、ユーザが所属する組織に移動する際に利用する移動手段を含む。
【0090】
この構成によれば、ユーザが組織に移動する際に利用する移動手段の二酸化炭素排出量の推移データが提供されるため、組織に対して、当該移動手段に基づく二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができる。
【0091】
また、本実施形態では、提供情報は、二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザの情報を含む。
【0092】
この構成によれば、二酸化炭素排出量の削減に貢献したユーザの情報が提供されるため、例えば、ユーザ(個人)に対して、二酸化炭素排出量を削減する動機付けを与えることができる。また、組織においては、当該情報に基づいて、ユーザに特典等を付与することができる。
【0093】
また、本実施形態では、制御手段56は、二酸化炭素排出量の削減に貢献した一又は複数のユーザに特典を付与する。
【0094】
この構成によれば、二酸化炭素排出量の削減に貢献したユーザに特典を付与するため、例えば、ユーザ(個人)に対して、二酸化炭素排出量が少ない移動手段を利用する動機付けを与えることができる。また、組織においては、ユーザに特典を付与する手間を軽減することができる。
【0095】
また、本実施形態では、制御手段56は、二酸化炭素排出量の削減に基づき、ユーザから他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を当該ユーザに付与する。
【0096】
この構成によれば、他のユーザに売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典をユーザ(個人)に付与するため、ユーザに対して、二酸化炭素排出量が少ない移動手段を利用する動機付けを与えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、制御手段56は、二酸化炭素排出量の削減に基づき、組織から他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典を一又は複数のユーザに付与する。
【0098】
この構成によれば、他の組織に売却可能な二酸化炭素クレジットの量に応じた特典をユーザに付与するため、ユーザ(個人)や組織に所属する各ユーザに対して、二酸化炭素排出量が少ない移動手段を利用する動機付けを与えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、移動情報は、移動経路を含み、制御手段56は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、提供情報は、抽出された共通する移動経路における複数のユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を含む。
【0100】
この構成によれば、ユーザ(個人)や組織に対して、二酸化炭素排出量を削減する具体的な施策を提案することができる。
【0101】
また、本実施形態では、移動情報は、移動経路を含み、制御手段56は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出し、制御手段56は、抽出した共通する移動経路における運行計画を交通事業者に提案する。
【0102】
この構成によれば、交通事業者に対して新たな運行計画を提案することができるため、組織における二酸化炭素排出量を削減できるとともに、交通事業者に新たな事業を提案することができる。
【0103】
また、本実施形態では、取得手段52は、ユーザが所持する端末装置から、自動的に移動情報を取得する。
【0104】
この構成によれば、ユーザの所持する端末装置から、自動的に移動情報を取得するため、ユーザの手間を軽減することができる。
【0105】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0106】
例えば、上記実施形態では、取得手段52は、組織に所属するユーザが当該組織への移動(通勤又は通学)で利用する移動手段を含む移動情報を取得する場合を説明したが、組織に関連する移動(例えば、出張や外出、旅行等)で利用する移動手段を含む移動情報を取得してもよい。
また、取得手段52は、組織に所属するユーザによるプライベートな移動と、当該組織に関連する移動を区別して、移動情報を取得してもよい。この区別は、ユーザによるプライベートな移動か組織に関連する移動であるか登録による区別であってもよいし、組織の所在地や組織の関連先(例えば、関連会社や得意先等)が到着地点である場合には自動的に取得手段52が区別してもよい。この場合、例えば、算出手段54は、組織に対応する二酸化炭素排出量に、ユーザのプライベートな移動による二酸化炭素排出量を含めないこととする。
【0107】
また、上記実施形態では、制御手段56は、二酸化炭素排出量の削減量が所定量よりも多い所定数のユーザに対して、特典を付与する場合を説明したが、二酸化炭素排出量が少ないユーザに特典を付与してもよい。例えば、制御手段56は、自転車や徒歩で組織に通勤又は通学を行っているユーザに特典を付与してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、移動情報登録ページにおいて、ユーザに出勤予定時間や退勤予定時間を入力させる入力欄を設けてもよい。例えば、制御手段56は、二酸化炭素排出量が高い複数のユーザそれぞれに共通する移動経路を抽出する際、出勤予定時間や退勤予定時間が共通するユーザを抽出し、当該共通するユーザによる乗り合い移動を提案する提案情報を生成してもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、移動情報登録ページにおいて、ユーザに平日の移動情報(利用情報)を入力させる場合を説明したが、日毎や曜日毎の移動情報を入力させることとしてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、制御手段56は、直近のユーザ(個人)や組織に対応する二酸化炭素排出量が、所定時期(例えば1ヶ月前)の二酸化炭素排出量よりも削減されている場合、二酸化炭素排出量の削減に貢献しているユーザに関する情報を提供情報に含める場合を説明したが、二酸化炭素クレジットを売却する売却先(他の組織)を提案してもよい。例えば、制御手段56は、組織情報50Dの総排出量情報を参照して、直近の二酸化炭素排出量が所定量以上である他のユーザや他の組織を抽出して、当該抽出された他のユーザや他の組織に二酸化炭素クレジットを売却する提案を提供情報に含める。
【0111】
また、上記実施形態では、制御手段56は、直近のユーザ(個人)や組織に対応する二酸化炭素排出量が、所定時期(例えば1ヶ月前)の二酸化炭素排出量よりも削減されていない場合、乗り合い移動を提案する場合を説明したが、二酸化炭素クレジットを購入する購入先(他のユーザや他の組織)を提案してもよい。例えば、制御手段56は、ユーザ情報50Cのクレジット情報や組織情報50Dのクレジット情報を参照して、所定量以上の二酸化炭素クレジットを現在所有している他のユーザや他の組織を抽出して、当該抽出された他のユーザや他の組織から二酸化炭素クレジットを購入する提案を提供情報に含める。
【符号の説明】
【0112】
10…サーバ装置(コンピュータ)
12…端末装置
50…記憶手段
52…取得手段
54…算出手段
56…制御手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10