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特開2024-102015通信チャンネルの特性評価方法及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102015
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】通信チャンネルの特性評価方法及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20240723BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240723BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240723BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALN20240723BHJP
   H01Q 3/34 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
H04B7/0413
H04W16/28 130
H04W24/02
H01Q15/14 Z
H01Q3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004946
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】63/439,846
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/412,151
(32)【優先日】2024-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(72)【発明者】
【氏名】キース・アール・ティンズリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(57)【要約】
【課題】再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)の素子に関する最適化された設定をより速く決定する。
【解決手段】通信チャンネルの特性を評価する方法は、反射チャンネルに沿って反射された送信機のセットからの第1信号をRIS12のセットの各素子から公称角度で受信する処理と、反射チャンネルで反射された第2信号をRIS12のセットの各素子から調整された角度で受信する処理と、第1及び第2信号を使用して、反射チャンネルと直接チャンネルとから構成される合成チャンネルの伝達関数を決定する処理と、上記伝達関数を機械学習ネットワーク26への入力として使用して、RIS12の素子に関する最適化された設定を決定する処理とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信チャンネルの特性を評価する方法であって、
公称角度に設定された再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)の素子の夫々から、反射チャンネルに沿って反射された送信機のセットからの第1信号を1つ以上の受信機で受信する処理と、
調整された角度に設定された上記RISの上記素子の夫々から上記反射チャンネルに反射された第2信号を受信する処理と、
上記反射チャンネルと、上記送信機と上記1つ以上の受信機との間の直接チャンネルとで構成される合成チャンネルに関する伝達関数を第1及び第2信号を使用して決定する処理と、
上記伝達関数を機械学習ネットワークへの入力として使用して、上記RISの上記素子に関する最適化された設定を決定する処理と
を具える通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項2】
上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理を更に具え、該反復する処理は、
上記送信機のセットの中の夫々に関して上記RISの1つの素子から上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理と、
上記RISの上記素子の夫々について上記RISの1つの素子から上記第1信号と上記第2信号を受信する処理を反復する処理と
を有する請求項1に記載の通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項3】
上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理と、
上記複数の行列を使用して、合成行列及び受信側合成ベクトルを生成する処理と、
上記合成行列と受信側合成ベクトルを使用して、上記反射チャンネルの最小平均二乗(LMS)の結果を生成する処理と、
上記LMSの結果を使用して、上記合成チャンネルの中の上記反射チャンネルの伝達関数を生成する処理と
を更に具える請求項1に記載の通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項4】
上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理と、
上記複数の行列を使用して上記合成チャンネルに関する複数の伝達関数を生成する処理と、
上記合成チャンネルに関する上記複数の伝達関数を使用して、上記直接チャンネルに関する平均伝達関数を生成する処理と、
上記合成チャンネルの中の上記直接チャンネルに関する上記平均伝達関数を使用する処理と
を更に具える請求項1に記載の通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項5】
上記機械学習ネットワークを使用する処理は、教師付き学習ネットワークを使用する処理を有し、
該教師付き学習ネットワークを使用する処理は、
複数の条件について複数のチャンネルの夫々についての最適化された位相角を得る処理と、
上記教師付き機械学習ネットワーク用のデータ・セットとして、上記複数のチャンネルにわたって上記最適化された位相角でラベル付けされたデータ・セットとしての上記チャンネル夫々の上記複数の条件を使用する処理と
を有する請求項1に記載の通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項6】
上記RISの上記素子に関する最適化された設定を決定する処理は、
上記合成チャンネルに関する上記伝達関数を決定する際に用いられる受信ベクトルについて、より大きな領域内のいくつかの異なる領域のそれぞれについての重みを決定する処理と、
上記領域夫々の上記重みを使用して、その領域の上記RISの上記素子に関する上記最適化された設定を決定する処理と
を有する請求項1に記載の通信チャンネルの特性評価方法。
【請求項7】
送信機のセットと、
素子の配列を有する再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)と、
上記RISによって反射された上記送信機のセットからの信号を受信するように配置された1つ以上の受信機と、
上記通信システムのスペクトル効率を最大化するために、上記RISの上記素子に関する最適化された角度を生成するように構成された機械学習システムと
を具える通信システム。
【請求項8】
上記1つ以上の受信機のうちの1つは、上記信号を受信する試験測定装置を有し、該試験測定装置は、1つ以上のプロセッサを有し、該1つ以上のプロセッサは、
公称角度に設定された上記再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)の上記素子の夫々から反射チャンネルにおいて反射された上記送信機のセットからの第1信号を1つ以上の受信機で受信する処理と、
調整された角度に設定された上記RISの上記素子の夫々から上記反射チャンネルで反射された第2信号を受信する処理と、
上記反射チャンネルと、上記送信機と上記1つ以上の受信機との間の直接チャンネルとから構成される合成チャンネルの伝達関数を上記第1及び第2信号を使用して決定する処理と、
上記伝達関数を上記機械学習システムへの入力として使用する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
上記1つ以上のプロセッサが、
上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理と、
上記複数の行列を使用して合成行列及び受信側合成ベクトルを生成する処理と、
上記合成行列及び上記受信側合成ベクトルを使用して上記反射チャンネルに関する最小平均二乗(LMS)解を生成する処理と、
上記LMS解を使用して、上記合成チャンネルの中の上記反射チャンネルの伝達関数を生成する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう更に構成される請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
上記1つ以上のプロセッサが、
上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理と、
上記複数の行列を使用して上記合成チャンネルに関する複数の伝達関数を生成する処理と、
上記合成チャンネルの上記複数の伝達関数を使用して上記直接チャンネルに関する平均伝達関数を生成する処理と、
上記合成チャンネルの中の上記直接チャンネルに関する上記平均伝達関数を使用する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう更に構成される請求項8に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システムに関し、より詳細には、限定するものではないが、無線通信システムを含めたチャンネルの自動的な特性評価のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS:reconfigurable intelligent surface)テクノロジーは、無線通信システム向けのスペクトル効率とコスト効率に優れたアプローチである。RISの位相は、RIS支援型MIMO(Multiple Input Multiple Output)システムのスペクトル効率(SE:spectrum efficiency)を最適化する鍵(key:キー)となるチューニング・パラメータである。
【0003】
図1は、通信システムの実施形態を示す。送信機の位置10には、複数の送信機が有り、RIS12は、複数の素子(elements:要素)を有し、受信システム14は、複数の移動基地局(mobile stations)のような複数の受信機から構成されても良いし、又は、チャンネルの特性評価を行うシステムの場合には、スペクトル・アナライザなどの試験測定装置又はモジュール16であっても良い。通信システムは、伝達関数Htを有する送信機とRISとの間の伝送経路と、伝達関数Hrを有するRISと受信機との間の受信経路と、伝達関数Hdを有する送信機と受信機との間の直接経路とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-117980号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Machine Learning-based Reconfigurable Intelligent Surface-aided MIMO Systems」、Nhan Thanh Nguyen, Ly V. Nguyen, Thien Huynh-The, Duy H. N. Nguyen, A. Lee Swindlehurst, Markku Juntti、arXiv, 2021,[online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://arxiv.org/abs/2105.00347>
【非特許文献2】「Capacity Characterization for Intelligent Reflecting Surface aided MIMO Communication」 Shuowen Zhang and Rui Zhang, IEEE Journal on Selected Areas Communications, vol. 38, No. 8, pp. 1823-1838, 2020, [online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://ieeexplore.ieee.org/document/9110912>
【非特許文献3】「Matrix-Calibration-Based Cascaded Channel Estimation for Reconfigurable Intelligent Surface Assisted Multiuser MIMO」 Hang Liu, Xiaojun Yuan, Ying-Jun Angela Zhang, IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 38, no. 11, pp. 2621-2636, Nov. 2020, [online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://ieeexplore.ieee.org/document/9133156>
【非特許文献4】「Deep Compressed Sensing-Based Cascaded Channel Estimation for RIS-Aided Communication Systems」Wenwu Xie, Jian Xiao, Peng Zhu, Chao Yu; Liang Yang, IEEE Wireless Communications Letters, vol. 11, no. 4, pp. 846-850, April 2022, [online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://ieeexplore.ieee.org/document/9697063>
【非特許文献5】「Communication THrough a Large Reflecting Surface With Phase Errors」, Mihai-Alin Badiu, Justin P. Coon, IEEE Wireless Communications Letters, vol. 9, no. 2, pp. 184-188, Feb. 2020, [online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/8869792>
【非特許文献6】「メタサーフェスによる伝搬路制御技術の考案と実証」、NTTアクセスサービスシステム研究所、[online]、[2024年1月16日検索]、インターネット<https://www.rd.ntt/as/history/wireless/wi0518.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械学習ベースの再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)支援型MIMOシステムは、N. T. Nguyen, Ly V. Nguyen, T. Huynh-The, D. H. N. Nguyen, A. L. Swindlehurst, and M. Juntti, “Machine Learning-based Reconfigurable Intelligent Surface-aided MIMO Systems” arXiv, 2021, URL: (以下、「Nguyen等」)で紹介されている。このアプローチは、チャンネル状態情報(CSI:channel state information)が既知であることを前提としている。機械学習(ML)アプローチによれば、最適なRIS位相を取得する速度が向上する。最適化問題は、非凸最適化問題である。
【0007】
このアプローチでは、完全なチャンネル状態情報(CSI)を使用して、位相最適化問題を機械学習を使用して解くことができる形式に定式化する。このアプローチにおける深層ニューラル・ネットワークへの入力の中の反射経路に関連する部分は、送信機からRISへの経路の伝達関数Htと、RISから受信機への経路の伝達関数Hrとの組み合わせである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の実施形態は、直接経路及び反射経路の両方について伝達関数の特性を自動的に評価する方法を含む。送信機からRISへのチャンネル伝達関数Htと、RISから受信機へのチャンネル伝達関数Hrとを別々に取得する代わりに、本実施形態は、反射経路に関する合成された伝達関数のみを使用する。反射経路の合成伝達関数には、送信機からRISへのチャンネルと、RISの位相と、RISから受信機へのチャンネルとが含まれる。AWGN(additive white Gaussian noise:加算性ホワイト・ガウス・ノイズ)の影響を軽減するために、チャンネルの特性評価用に最小平均二乗法(LMS:least mean squares)アプローチが設計されている。このため、MLベースのRIS位相の最適化問題に、合成チャンネルの特性評価を利用でき、このとき、この合成チャンネルは、RISから受信機へのチャンネルと直接チャンネルの組み合わせである。
【0009】
本願の実施形態は、MLベースのRIS支援型MIMOシステムのための単純化されたチャンネル特性評価プロセスを含む、従来とは異なる新しいアプローチを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、通信システムの一実施形態を示す。
図2図2は、合成チャンネルの特性を評価する方法の実施形態の図を示す。
図3図3は、合成チャンネルの特性を評価する方法の一部の別の実施形態の図を示す。
図4図4は、合成チャンネルの特性を評価するための伝達関数を求める方法の実施形態のフローチャートを示す。
図5図5は、複数の領域についてスペクトル効率を最適化する通信システムを図式化した表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
このプロセスは、公称位相からRIS位相を調整することから始まる。図1に示すRIS支援型MIMOシステムでは、受信機(例えば、移動基地局)における受信信号ベクトルは、次のように表すことができる。

y=Hdx+HrΦHtx+n=Hx+n (1)

ここで、y∈CNr×1は、受信ベクトルである。Hd∈CNr×Ntは、送信機(例えば、基地局(BS:base station))から受信機への直接チャンネルの伝達関数である。Ht∈CN×Ntは、送信機からRISへのチャンネルの伝達関数である。Hr∈CNr×Nは、RISから受信機へのチャンネルの伝達関数である。Φ=diag{α1,α2,…,αN}の項は、RISの対角反射行列から構成される。n~CN(0,σ2Nr)の項は、受信機における複素加算性ホワイト・ガウス・ノイズ(AWGN)から構成される。x∈CNt×1の項は、送信ベクトルから構成される。パッシブ・ビーム・フォーミング設計では、電力の割り当てが均一であること、つまり、E{xxH}=PBSNtという前提があり、ここで、PBSは、基地局の送信電力である。Hは、次のように、合成実効チャンネルの伝達関数である。

H:=Hd+HrΦHt (2)
【0012】
反射行列の要素αiは、位相θiで表すことができる。

αi=ejθi i=1,2,…,N (3)
【0013】
対角行列は、RISの反射行列を表し、i=j(iは、要素の行インデックス、jは要素の列インデックス)以外の全ての要素が0に等しい行列を意味する。RISの素子には、iのインデックスが付けられる。合成された実効チャンネルは、次のように書き換えることができる。
【数4】

θ0=0、H (0)=Hdなら、H (i)は、i=1,2,…,Nについて、Hrのi番目の列に、Htのi番目の行をかけたものに等しい。Hdは、上述したように、送信機と受信機の間の直接チャンネルの伝達関数を表す。
【0014】
スペクトル効率(SE)を最適化する位相を見つけるには、Nguyen等によって代表される現在の先端技術のようにしてHr及びHtを個々に知るまでもなく、数式4中のH (i)の値があれば十分である。問題を更に単純化するために、θ iが、RISの素子iの初期位相(公称位相)を表すとする。位相が、この初期位相から、Δθiだけ位相を調整すると、位相は次のようになる。

【数5】
【0015】
従って、結合された有効チャンネルは次のように書き換えることができる。
【数5-2】

ここで、この説明では、伝達関数H (i)を、RISのi番目の反射素子に関連付けられた反射経路の伝達関数と呼ぶことにする。
【0016】
【数6】

ここで、この説明では、伝達関数H (i)を、RISのi番目の反射素子に関する、公称角度を有するチャンネルの伝達関数と呼ぶことにする。

【数7】

ここで、直接経路については、H (0)=Hd、Δθ0=0である。図2は、RIS支援型システムを表す。xの指定は、送信機1からNt(送信機の数)までの送信機ベクトルを特定する。RISには、1から個数Nまでの反射素子というiでインデックスを付けた素子がある。yの指定は、受信機1からNr(受信機の数)までの受信機ベクトルを特定する。行列Hが、送信機、受信機及び反射素子の夫々について入力されると、これは、合成されたチャンネルの伝達関数になる。
【0017】
Nguyen等に言及があるように、RIS支援型MIMOシステムのスペクトル効率(SE)は、次のように表すことができる。

SE({αi})=log2 det(INr+ρHHH) (8)

ここで、{αi}={α1,α2,…,αN}は、最適化が必要なRISにおける位相の集合(セット)であり、ρ=PBS2である。等価的に、Hは、数式7中の{Δθi}の関数であり、SEは、次のように書き直すことができる。

SE({Δθi})=log2 det(INr+ρHHH) (9)

SEを最大化するポリシー・ベースド・フォワーディング(PBF:policy-based forwarding )設計は、次のように定式化できる。
【数10】
{Δθi}は、RIS支援型システムの公称位相から許容される位相調整範囲内にある。
【0018】
このプロセスは、次に、最小平均二乗法(LMS)アプローチによる自動チャンネル特性評価(ACC:automated channel characterization)の取得に移る。最適なRIS位相を得るには、数式6のH (i)の特性を評価する必要がある。同じ送信ベクトルxについて、RISの位相が変更されると、受信ベクトルyが変化する。H (i)の特性を評価するには、送信機の1つ、例えば、p番目の送信機をオンにして既知の信号vpを送信し、他の全ての送信機はオフにする。送信される信号vpは、事前に特性を評価できる。この送信ベクトルは、次のようになる。
【数10-2】
【0019】
RISを公称位相θで設定すると、受信ベクトルは次のようになる。
【数11】
【0020】
次に、RISのi番目の位相をΔθi,1だけ調整すると、受信信号は次のようになる。
【数12】
【0021】
図3は、第1送信機をオンにして、RISの第1素子の位相を調整した例を示す。灰色のボックスは、アクティブな送信機、適用された伝達関数、そして、受信機を表す。
【0022】
数式12から数式11を減算すると、次が得られる。
【数13】
【0023】
p,1-np,0は、AWGNなので、H (i)のp番目の列は、次式で推定できる。
【数14】
【0024】
図4は、この処理のフローチャートで表したものである。送信機のインデックスpを、1からNtまで掃引(sweep)することにより、公称伝達関数H (i)の全ての列が数式14から得られる。そして、RIS素子のインデックスiを1からNまで掃引することにより、i=1,2,…,Nに関する全てのH (i)が得られる。図4の実施形態では、プロセスは、ステップ30で、変数iでインデックスが付されたRISの1つの素子を選択する。このプロセスは、ステップ32で1つの送信機のみをオンにすることによって開始されるが、最初は変数pでインデックスが付された第1送信機である。RIS素子は、その公称角度に設定され、第1送信機から信号を受信し、ステップ34で第1受信信号を生成する。次に、プロセスは、RISをその調整された角度に設定し、ステップ36で、このプロセスを繰り返す。現在の送信機がステップ38で最後の送信機でない場合、プロセスはステップ40で次の送信機を選択し、繰り返す。現在の送信機が最後の送信機である場合、プロセスは、ステップ42で、もっと多数のRIS素子があるかどうかを判断し、ステップ44で次のRIS素子を選択し、プロセスを繰り返す。また、このプロセスでは、1つの送信機を選択し、アレイ全体を通してRIS素子を変更してから、次の送信機に変更しても良い。送信機又はRIS素子が外側のループ内で循環するかどうかに制限はなく、そのような限定を示唆するものでもない。全ての送信機とRIS素子が選択されると、ステップ46に示すようにプロセスが終了する。
【0025】
上記のプロセスでは、送信機が列の値を提供し、受信機が行の値を提供し、RIS素子がi番目の伝達関数行列の値を提供するというサイクルによって、伝達関数行列の成分を得る。このプロセスは、ここで停止しても良いが、結果の精度を改善させるために続けても良い。
【0026】
AWGNの影響を軽減してチャンネル特性評価の精度を向上させるために、次のようにしてLMSアプローチを利用するようにする。i番目の位相を、複数の位相Δθi,1,Δθi,2,…,Δθi,kで回転させることにより、数式13のk個の事例(instances)が得られ、次のように行列形式で記述できる。
【数15】
【0027】
【数15-2】
及び
【数15-3】
とする。
【0028】
(i)のp番目の列は、LMSから次のように計算できる。
【数16】
なお、数式14は、数式16のk=1の特殊な場合である。
要約すると、LMS解法を使用したACCには、3つのループが含まれている。図4に関して説明したように、第1ループは、iを1からNまで反復して、RIS H (i)中のN個の素子を横断しても良い。各素子内では、2番目のループが、pを1からNtまで反復して、H (i)(:,p)の列を横断しても良い。上述したように、これらは交換されても良い。直接経路の伝達関数の精度を高めるために、プロセスは、オプションで、1からkまで反復して、複数のデータ・セットを作成し、H (i)(:,p)に関する数式16のLMSの解法で、AWGNの影響を低減することによって精度を向上させることができるようにしても良い。数式15における行列の各行は、1つの条件を表し、各行列は、条件1~kを表す。数式16のLMSの解法は、行列形式でこれらに解を与え、単一の解が得られる。LMS解法は、数式16中の合成行列Mpと、受信側の合成ベクトルYpを使用して、LMSの解に到達する。これにより、合成されたチャンネルの一部である反射チャンネルの伝達関数が与えられる。
【0029】
i=1,2,…,NについてH (i)が得られたら、直接経路Hd=H (0)の伝達関数が、数式11から計算できる。
【数17】
【0030】
dの結果に対するAWGNノイズの影響を軽減するため、次のようにHdを計算するのに数式12も使用しても良い。
【数18】
【0031】
3つのループの全ての反復の各事例は、i=1,2,…,Nについての既知のH (i)とΔθi,:とを用いて、Hdを計算するのに利用できる条件を生成するので、これら全ての事例に基づくHdの平均化処理により、上記のLMSの解法とある程度同等の正確な結果が得られる。この場合、数式18の条件夫々の解が得られ、次いで、これら解が平均化されて、直接チャンネルの結果が生成される。H (i)の展開の説明に戻ると、H (0)=Hdなので、Hdは、H (i)の第1項であり、そのため、第1項の精度を上げれば、全体の精度が上がる。Hdの精度のその他の側面については、ベクトル入力に関して以下で説明する。
【0032】
この特性評価が完了すると、その結果により、機械学習を採用して自動的なチャンネル特性評価を使用し、スペクトル効率を最大化するように素子を設定するためのRIS素子の適切な設定を決定できる。
【0033】
Nguyen等におけるような機械学習の仕組みはACCの結果を使用するように修正される。ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN:deep neural network)への入力は、次のように構成される。
【数19】
N+1の項は、全ての反射素子(reflecting element)と直接経路を表す。図1を参照すると、直接経路は、Hdである。上述したように、より正確なHdがあれば、より正確な結果が得られる。
【0034】
教師付きトレーニングと教師なしトレーニングの両方を使用できる。教師付き学習の場合、そのラベル(データの正解を示す情報)は、最適化位相Δθであって、これは、Nguyen等の従来の方法を使用して取得できる。上記のベクトルは、機械学習ネットワークへの入力として平坦化される。教師付き学習用のデータ・セットは、チャンネル毎の様々なチャンネル条件から得られる。得られたベクトルの夫々には、最適化された位相角でラベルが付される。
【0035】
教師なし学習の場合、ニューラル・ネットワークのトレーニング用の損失関数は、次のように設定される。
【数20】
ここで、ρtrainは、[-ρ0,ρ0]dbの範囲内の乱数(random number)であって、例えば、Nguyen等では、ρ0が30dBに設定され、そして、次のようになる。
【数21】
【0036】
d,trainと、H trainのN個の成分(elements)の夫々との両方は正規化され、それらの入力は、平均ゼロと分散1を持つようになる。
【0037】
図1に戻ると、受信システム14は、試験測定装置若しくはモジュール16、又は、試験測定を実行することができる装置から構成されても良い。受信システム14は、22で表される1つ以上のプロセッサと、信号を受信可能にする受信機20と、メモリ24とを有しても良く、メモリ24は、受信信号を測定し、実施形態の方法を実行するためにプロセッサによって実行可能なコード(プログラム)を収容していても良い。受信システム14は、また、機械学習ネットワーク(又は、機械学習ネットワークへの接続)26を有していても良い。更に、プロセッサは、送信機及びRISのうちの一方又は両方に制御信号を送信しても良い。
【0038】
様々なエリアをカバーする無線通信システムでは、エリアに最適なスペクトル効率(SE)を取得することが目標である。例えば、図5に示すように、SEは、K×Kの領域に対して最適化される必要がある。K×K領域内の各領域は、より大きな領域内の他の領域とは異なるSEを有しても良い。これは、領域全体をカバーするのに十分な大きさの次元Nrを持つ受信機ベクトルを作成することにより、数学フレームワークを一般化することによってサポートされる。受信機の数Nrを柔軟にすることで、領域の最適化の解は、単一位置の解と同じままである。実際には、Nrは、制御パラメータの1つとして機能する。重み付け関数は、合成チャネルの伝達関数を決定するために上記で使用したベクトルyを加算できる。設計者は様々な場所に様々な重みを付けることができるため、RIS位相最適化では重みが考慮される。重み付け関数は、前のセクションで説明した正規化ステップに組み込まれる。
【0039】
従って、実施形態は、MLベースのRIS支援型MIMOシステムのためのチャンネル特性評価プロセスを簡素化する、これまでのものに代わる新しいアプローチを提供する。特性評価プロセスは完全に自動化でき、LMSアプローチはチャンネル特性評価の精度を向上させる。これにより、基地局(BS)、RIS及びユーザ機器のMIMOシステム間の最適なビーム・アライメントを保証する組み込み型コンスタント校正手法が提供される。実施形態及び関連サービスのプロセスは、既存の名目上の通信処理の前に又は並行して利用される。これにより、最適な性能指標の監視と維持を保証するハードウェア、ソフトウェア及びサービスを提供する独自のプラットフォームが実現する。
【0040】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0041】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0042】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0043】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。

実施例
【0044】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0045】
実施例1は、通信チャンネルの特性を評価する方法であって、
公称角度に設定された再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)の素子の夫々から、反射チャンネルに沿って反射された送信機のセットからの第1信号を1つ以上の受信機で受信する処理と、
調整された角度に設定された上記RISの上記素子の夫々から上記反射チャンネルに反射された第2信号を受信する処理と、
上記反射チャンネルと、上記送信機と上記1つ以上の受信機との間の直接チャンネルとで構成される合成チャンネルに関する伝達関数を第1及び第2信号を使用して決定する処理と、
上記伝達関数を機械学習ネットワークへの入力として使用して、上記RISの上記素子に関する最適化された設定を決定する処理と
を具える。
【0046】
実施例2は、実施例1の方法であって、上記RISの素子を最適化された設定に設定する処理を更に具える。
【0047】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの方法であって、上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理を更に具え、該反復する処理は、上記送信機のセットの中の夫々に関して上記RISの1つの素子から上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理と、上記RISの上記素子の夫々について上記RISの1つの素子から上記第1信号と上記第2信号を受信する処理を反復する処理とを有する。
【0048】
実施例4は、実施例3の方法であって、上記送信機の夫々について上記RISの1つの素子から上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理は、上記RISの上記素子の夫々について1つの素子から受信する処理を反復する前に生じる。
【0049】
実施例5は、実施例3の方法であって、上記RISの上記素子の夫々に対する上記第1信号及び上記第2信号を受信する処理は、上記送信機夫々に関する受信する処理の前に生じる。
【0050】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの方法であって、上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理とを更に具える。
【0051】
実施例7は、実施例6の方法であって、更に、上記複数の行列を使用して、合成行列及び受信側合成ベクトルを生成する処理と、上記合成行列と受信側合成ベクトルを使用して、上記反射チャンネルの最小平均二乗(LMS)の結果を生成する処理と、上記LMSの結果を使用して、上記合成チャンネルの中の上記反射チャンネルの伝達関数を生成する処理とを具える。
【0052】
実施例8は、実施例6の方法であって、更に、上記複数の行列を使用して上記合成チャンネルに関する複数の伝達関数を生成する処理と、上記合成チャンネルに関する上記複数の伝達関数を使用して、上記直接チャンネルに関する平均伝達関数を生成する処理と、上記合成チャンネルの中の上記直接チャンネルに関する上記平均伝達関数を使用する処理とを具える。
【0053】
実施例9は、実施例1から9のいずれかの方法であって、上記機械学習ネットワークを使用する処理は、教師付き(supervised)学習ネットワークを使用する処理を有する。
【0054】
実施例10は、実施例8の方法であって、教師付き学習ネットワークを使用する処理は、複数の条件について複数のチャンネルの夫々についての最適化された位相角を得る処理と、上記教師付き機械学習ネットワーク用のデータ・セットとして、上記複数のチャンネルにわたって上記最適化された位相角でラベル付けされたデータ・セットとしての上記チャンネル夫々の上記複数の条件を使用する処理とを有する。
【0055】
実施例11は、実施例1から10のいずれかの方法であって、上記機械学習ネットワークを使用する処理は、上記合成チャンネルの上記伝達関数から導出されたベクトルを入力として用いる教師なし学習を用いる処理を有する。
【0056】
実施例12は、実施例11の方法であって、上記ベクトルは、直接チャンネルの平均伝達関数又は最小平均二乗(LMS)の結果のいずれかを使用する。
【0057】
実施例13は、実施例1から12のいずれかの方法であって、上記RISの上記素子に関する最適化された設定を決定する処理は、上記合成チャンネルに関する上記伝達関数を決定する際に用いられる受信ベクトルについて、より大きな領域内のいくつかの異なる領域のそれぞれについての重みを決定する処理と、上記領域夫々の上記重みを使用して、その領域の上記RISの上記素子に関する上記最適化された設定を決定する処理とを有する。
【0058】
実施例14は、通信システムであって、送信機のセットと、素子の配列を有する再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)と、上記RISによって反射された上記送信機のセットからの信号を受信するように配置された1つ以上の受信機と、上記通信システムのスペクトル効率を最大化するために、上記RISの上記素子に関する最適化された角度を生成するように構成された機械学習システムとを具える。
【0059】
実施例15は、実施例14の通信システムであって、上記1つ以上の受信機のうちの1つは、上記信号を受信する試験測定装置から構成され、該試験測定装置は、1つ以上のプロセッサを有し、該1つ以上のプロセッサは、
公称角度に設定された再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)の素子の夫々から反射チャンネルにおいて反射された上記送信機のセットからの第1信号を1つ以上の受信機で受信する処理と、
調整された角度に設定された上記RISの上記素子の夫々から上記反射チャンネルで反射された第2信号を受信する処理と、
上記反射チャンネルと、上記送信機と上記1つ以上の受信機との間の直接チャンネルとから構成される合成チャンネルの伝達関数を上記第1及び第2信号を使用して決定する処理と、
上記伝達関数を上記機械学習システムへの入力として使用する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される。
【0060】
実施例16は、実施例15の通信システムにおいて、上記1つ以上のプロセッサが、上記第1信号を受信する処理及び上記第2信号を受信する処理を反復する処理と、複数の調整された角度に関する上記第1及び第2信号を使用して複数の行列を生成する処理とを上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成される。
【0061】
実施例17は、実施例16の通信システムであって、上記1つ以上のプロセッサは、上記複数の行列を使用して合成行列及び受信側合成ベクトルを生成する処理と、上記合成行列及び上記受信側合成ベクトルを使用して上記反射チャンネルに関する最小平均二乗(LMS)解を生成する処理と、上記LMS解を使用して、上記合成チャンネルの中の上記反射チャンネルの伝達関数を生成する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを更に実行する。
【0062】
実施例18は、実施例16の通信システムであって、上記1つ以上のプロセッサは、上記複数の行列を使用して上記合成チャンネルに関する複数の伝達関数を生成する処理と、上記合成チャンネルの複数の伝達関数を使用して上記直接チャンネルに関する平均伝達関数を生成する処理と、上記合成チャンネルの中の上記直接チャンネルに関する上記平均伝達関数を使用する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう更に構成される。
【0063】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0064】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0065】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0066】
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0067】
10 送信機の位置
12 再構成可能なインテリジェント・サーフェス(RIS)
14 受信システム
16 試験測定装置又はモジュール
20 受信機
22 プロセッサ
24 メモリ
26 機械学習ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】