(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102020
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】粉末洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20240723BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20240723BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20240723BHJP
C11D 3/39 20060101ALI20240723BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240723BHJP
D06L 1/12 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D1/28
C11D1/22
C11D3/39
C11D1/29
D06L1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005363
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2023005624
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】齊川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】上野 渉
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB21
4H003AB31
4H003AC08
4H003BA09
4H003DA01
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA20
4H003EA27
4H003EA28
4H003EB19
4H003EB30
4H003EB36
4H003EB42
4H003EC01
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA09
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】ドラム式洗濯機を用いた場合でも泡溢れを抑制することができ、且つ洗濯機を用いて繊維製品に付着した皮脂汚れの洗浄性及び黄ばみの漂白性に優れる粉末洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法を提供する。
【解決手段】下記成分(a)を5.0質量%以上20.0質量%以下、下記成分(b)を1.0質量%以上20.0質量%以下、及び下記成分(c)を0.1質量%以上5.0質量%以下含有する、粉末洗浄剤組成物。
成分(a):ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、α-スルホ脂肪酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤(以下、成分(a11)という)を含む界面活性剤であり、成分(a)中の成分(a11)の含有割合が20質量%以上である、界面活性剤(但し、成分(c)を除く)
成分(b):過炭酸塩
成分(c):アルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸、又はその塩
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)を5.0質量%以上20.0質量%以下、下記成分(b)を1.0質量%以上20.0質量%以下、及び下記成分(c)を0.1質量%以上5.0質量%以下含有する、粉末洗浄剤組成物。
成分(a):ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、α-スルホ脂肪酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤(以下、成分(a11)という)を含む界面活性剤であり、成分(a)中の成分(a11)の含有割合が20質量%以上である、界面活性剤(但し、成分(c)を除く)
成分(b):過炭酸塩
成分(c):アルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸、又はその塩
【請求項2】
成分(a)中のアニオン界面活性剤の含有割合が50質量%以上である、請求項1に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(a)中の成分(a11)の含有割合が50質量%以上である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(a11)がポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(b)及び成分(c)の合計含有量と、成分(a)の含有量との質量比[(b)+(c)]/(a)が0.2以上である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(b)の含有量と成分(c)の含有量との質量比(b)/(c)が3.0以上である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記粉末洗浄剤組成物1gをイオン交換水で1000gに希釈した場合の25℃におけるpHが9.0以上である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項8】
繊維製品用である、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物と水とを混合した洗浄液を用いて、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品の洗濯方法には、大きく分けて手洗い洗濯と洗濯機洗濯の2種類がある。近年では、アジア地域においても洗濯機が普及しており、更にはドラム式洗濯機の普及が増加する傾向にある。
またアジア地域においては、汚れた衣料、特に学生服などの白いシャツに付着した皮脂汚れや黄ばみを白く洗い上げるために、洗濯機で洗う前に粉末洗浄剤組成物でつけ置き、手もみ洗いが行なわれている。
【0003】
特許文献1には、過炭酸塩、一般式(I)又は(II)で表される化合物及び界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、該組成物25gを20℃の水30リットルに溶解させたときの1分後の有効酸素濃度が0.5~5ppm、且つ有機過酸濃度が1~20ppmである洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、汚れ放出剤として有用であるオリゴマーまたは低分子量重合体エステル組成物を含有する粒状洗剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-129290号公報
【特許文献2】特開平03-169847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗濯機で洗う前に粉末洗浄剤組成物でつけ置き、手もみ洗いを行うことは、肉体的、精神的疲労感を伴う作業であり、つけ置き、手もみ洗いを行うことなく、洗濯機で汚れた衣料、特に学生服などの白いシャツに付着した皮脂汚れや黄ばみを白く洗い上げる粉末洗浄剤組成物が求められる。一般的に、粉末洗浄剤組成物に高い洗浄力を付与するためには界面活性剤含有量を増やす必要があるものの、ドラム式洗濯機を用いた場合、界面活性剤含有量の増加は洗濯槽中の泡溢れが懸念され、粉末洗浄剤組成物中の界面活性剤の含有量を減らす必要があり、ドラム式洗濯機での泡溢れを抑制しながら、皮脂汚れの洗浄性及び黄ばみの漂白性に優れる、アジア地域におけるドラム式洗濯機の普及に対応した粉末洗浄剤組成物が求められる。
【0006】
本発明は、ドラム式洗濯機を用いた場合でも泡溢れを抑制することができ、且つ洗濯機を用いて繊維製品に付着した皮脂汚れの洗浄性及び黄ばみの漂白性に優れる粉末洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記成分(a)を5.0質量%以上20.0質量%以下、下記成分(b)を1.0質量%以上20.0質量%以下、及び下記成分(c)を0.1質量%以上5.0質量%以下含有する、粉末洗浄剤組成物に関する。
成分(a):ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、α-スルホ脂肪酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤(以下、成分(a11)という)を含む界面活性剤であり、成分(a)中の成分(a11)の含有割合が20質量%以上である、界面活性剤(但し、成分(c)を除く)
成分(b):過炭酸塩
成分(c):アルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸、又はその塩
【0008】
また、本発明は、本発明の粉末洗浄剤組成物と水とを混合した洗浄液を用いて、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドラム式洗濯機を用いた場合でも泡溢れを抑制することができ、且つ洗濯機を用いて繊維製品に付着した皮脂汚れの洗浄性及び黄ばみの漂白性に優れる粉末洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[粉末洗浄剤組成物]
<成分(a)>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(a)として、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、α-スルホ脂肪酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤(以下、成分(a11)という)を含む界面活性剤であり、成分(a)中の成分(a11)の含有割合が20質量%以上である、界面活性剤(但し、成分(c)を除く)を含有する。
【0011】
成分(a)の界面活性剤は、成分(a11)として、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、α-スルホ脂肪酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含む。成分(a11)は、皮脂汚れ洗浄力の観点から、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、又はその塩が好ましい。
【0012】
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステルは、炭素数が、皮脂汚れ洗浄力の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を有する。
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステルのオキシアルキレン基は、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基である。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、皮脂洗浄力の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステルが塩の場合、アニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0013】
α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩としては、より具体的には下記一般式(a11)で表される化合物が好ましい。
R11a-CH(COOR12a)-SO3M (a11)
〔式中、R11aは炭素数8以上18以下の炭化水素基であり、R12aはメチル基又はエチル基であり、Mは対イオンである。〕
【0014】
一般式(a11)中、R11aは、皮脂汚れ洗浄力の観点から、炭素数が、好ましくは7以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは11以上、より更に好ましくは13以上、そして、好ましくは17以下、より好ましくは16以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
R12aは、洗浄力の観点から、メチル基が好ましい。
Mの対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0015】
成分(a)は、成分(a12)として、成分(a11)以外のアニオン界面活性剤(但し、成分(c)を除く)を含んでよい。
成分(a12)としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、及びスルホコハク酸エステルから選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤のアルキル基又はアルケニル基は、例えば、炭素数8以上22以下である。
これらのアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0016】
成分(a12)は、皮脂汚れ洗浄力の観点から、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸、及びアルキル又はアルケニル硫酸エステル、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤であり、より好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸、又はその塩である。
アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは14以下であり、アルキル基は直鎖が好ましい。
アルキル又はアルケニル硫酸エステルのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは14以下である。
【0017】
成分(a)は、ノニオン界面活性剤(以下、成分(a2)という)、カチオン界面活性剤(以下、成分(a3)という)、及び両性界面活性剤(以下、成分(a4)という)から選ばれる1種以上を含んでよい。
【0018】
成分(a2)のノニオン界面活性剤としては、アルキレンオキシ基を含み、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1以上30以下である、ノニオン界面活性剤(以下、成分(a21)という)が好ましい。
成分(a21)のアルキレンオキシ基は、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が好ましい。炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が好ましい。
成分(a21)のアルキレンオキシ基の平均付加モル数は、洗浄力の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。
【0019】
成分(a21)は、下記一般式(a21)で表されるノニオン界面活性剤が好ましい。
R21a(CO)mO-(A21aO)n-R22a (a21)
〔式中、R21aは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R22aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、mは0又は1の数である。A21aO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。nは平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。〕
【0020】
一般式(a21)中、R21aの炭素数は、洗浄力の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。R21aは、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である。
【0021】
一般式(a21)中、A21aO基は、エチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基を含む炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくはエチレンオキシ基である。A21aO基は、エチレンオキシ基と他のアルキレンオキシ基、例えばプロピレンオキシ基とを含むアルキレンオキシ基でもよい。他のアルキレンオキシ基は、プロピレンオキシ基が好ましい。A21aO基が、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。
【0022】
一般式(a21)中、nは、A21aO基の平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。一般式(a21)中、nは、洗浄力の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。
【0023】
成分(a21)以外のアルキレンオキシ基を有さないノニオン界面活性剤の具体例としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、及びグリセリルモノエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0024】
成分(a3)のカチオン界面活性剤としては、(a31)下記一般式(a31)で表される化合物(以下、成分(a31)という)、及び(a32)下記一般式(a32)で表される化合物(以下、成分(a32)という)から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が好ましい。
【0025】
【0026】
〔式中、R31aは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R32aは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、R33a及びR34aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0027】
【0028】
〔式中、R35aは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R36a及びR37aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0029】
一般式(a31)において、R31aの炭素数は、洗浄力の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。R31aは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
一般式(a31)において、R32aは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。
R32aが、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である場合、R32aは、洗浄力の観点から、炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0030】
一般式(a31)において、R33a及びR34aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R33a及びR34aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0031】
一般式(a31)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられる。また、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0032】
一般式(a32)において、R35aは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である。R35aの炭素数は、洗浄力の観点から、8以上、好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。R35aは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0033】
一般式(a32)において、R36a及びR37aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R36a及びR37aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0034】
一般式(a32)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられる。また炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0035】
成分(a4)の両性界面活性剤としてはN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタインを挙げることができる。これらにおいて、アルカノイル基は例えばラウロイル又はミリスチロイルである。また、これらにおいて、アルキル基は例えばラウリル基又はミリスチル基である。
【0036】
<成分(b)>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(b)として、過炭酸塩を含有する。
成分(b)は、皮脂汚れ洗浄力、黄ばみ漂白性、及び保存安定性の観点から、好ましくは過炭酸アルカリ金属塩であり、より好ましくは過炭酸ナトリウム、及び過炭酸カリウムから選ばれる1種以上であり、更に好ましくは過炭酸ナトリウムである。なお、過炭酸塩は、炭酸塩の過酸化水素化物の慣用名であり、例えば、過炭酸ナトリウムの化学式は、2Na2CO3・3H2O2と表される。
【0037】
<成分(c)>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(c)として、アルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸、又はその塩を含有する。
成分(c)は、黄ばみ漂白性の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルカノイル基又はアルケノイル基、好ましくはアルカノイル基を有する。
成分(c)が塩の場合、アニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0038】
<組成等>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(a)を、皮脂汚れ洗浄力と洗濯槽中の泡溢れ防止の観点から、組成物中、5.0質量%以上、好ましくは8.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、そして、20.0質量%以下、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下含有する。
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)に含まれる成分(a11)の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)として、成分(a12)を含む場合、成分(a12)の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)として、成分(a3)を含有する場合、成分(a3)の質量は、塩化物に換算した値を用いるものとする。
【0039】
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)中の成分(a11)の含有割合は、皮脂汚れ洗浄性と粉末製剤化適性の観点から、20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下である。
【0040】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(但し、成分(c)を除く)を、皮脂洗浄力と漂白性の観点から、組成物中、好ましくは1.6質量%以上、より好ましくは1.8質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは18質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは12質量%以下含有する。
すなわち、本発明の粉末洗浄剤組成物は、皮脂洗浄力と漂白性の観点から、組成物中、成分(a11)及び成分(a12)を合計で、好ましくは1.6質量%以上、より好ましくは1.8質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは18質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは12質量%以下含有する。
【0041】
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)として、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)から選ばれる1以上を含む場合、本発明の粉末洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤を、安定性の観点から、組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する。
すなわち、本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)として、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)から選ばれる1以上を含む場合、本発明の粉末洗浄剤組成物は、安定性の観点から、組成物中、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)を合計で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する。
【0042】
本発明の粉末洗浄剤組成物において、該粉末洗浄剤組成物中の全界面活性剤(但し、成分(c)を除く)の割合は、皮脂汚れ洗浄力と洗濯槽中の泡溢れ防止の観点から、5.0質量%以上、好ましくは8.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、そして、20.0質量%以下、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下含有する。
すなわち、本発明の粉末洗浄剤組成物は、皮脂汚れ洗浄力と洗濯槽中の泡溢れ防止の観点から、組成物中、成分(a11)、成分(a12)、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)を合計で、5.0質量%以上、好ましくは8.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、そして、20.0質量%以下、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下含有する。
【0043】
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)として、成分(a12)を含む場合、成分(a)中の成分(a11)の含有量と成分(a12)の含有量との質量比(a11)/(a12)は、皮脂汚れ洗浄性、黄ばみ漂白性、及び粉末製剤化適性の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.6以上、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.75以下である。
【0044】
成分(a11)の含有量と成分(a12)の含有量との質量比(a11)/(a12)を、前記の好ましい範囲で用いると、本発明の粉末洗浄剤組成物中の成分(a11)の含有量と成分(a12)の含有量の合計含有量が、好ましくは18質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは14質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、そして、例えば1.6質量%以上、更には1.8質量%以上、更には2質量%以上、更には8質量%以上の低含有量においても、本発明の成分(b)である過炭酸塩と成分(c)のアルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸、又はその塩による、黄ばみ漂白率をより向上することができる点から好ましい。
【0045】
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(a)中のアニオン界面活性剤の含有割合(成分(a11)と成分(a12)の合計含有割合)は、皮脂汚れの洗浄性、及び黄ばみ漂白性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0046】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(b)を、皮脂汚れの洗浄性、黄ばみ漂白性、及び保存安定性の観点から、組成物中、1.0質量%以上、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、そして、20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは4.0質量%以下含有する。
【0047】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(c)を、黄ばみ漂白性の観点から、組成物中、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、そして、5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下含有する。
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(c)の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0048】
本発明の粉末洗浄剤組成物中、成分(b)及び成分(c)の合計含有量と、成分(a)の含有量との質量比[(b)+(c)]/(a)は、皮脂汚れの洗浄性と黄ばみ漂白性の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.3以上、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下、より更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.4以下である。
【0049】
本発明の粉末洗浄剤組成物中、成分(b)及び成分(c)の合計含有量と、成分(a11)の含有量との質量比[(b)+(c)]/(a11)は、皮脂汚れの洗浄性と黄ばみ漂白性の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.2以下、より更に好ましくは1.0以下である。
【0050】
本発明の粉末洗浄剤組成物中、成分(b)の含有量と成分(c)の含有量との質量比(b)/(c)は、黄ばみ漂白性の観点から、好ましくは3.0以上、そして、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下、更に好ましくは10.0以下、より更に好ましくは8.0以下、より更に好ましくは7.0以下、より更に好ましくは6.5以下である。
【0051】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、成分(d)として、アルカリ剤を含有することができる。成分(d)としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤が挙げられる。
【0052】
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが挙げられる。
トリポリリン酸塩としては、トリポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0053】
成分(d)は、洗浄力の観点から、好ましくはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤であり、より好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及びケイ酸ナトリウムから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0054】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(d)を含有する場合、成分(d)を、洗浄力の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下含有する。
【0055】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤組成物の流動性の観点から、成分(e)として、ゼオライト及びベントナイトから選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
【0056】
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩とも呼ばれる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を含有できる。その平均一次粒子径は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JISK 5101法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60~150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」;Degussa社製;吸油能80~100mL/100g)、国際公開第98/42622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0057】
ベントナイトは、50~100meq/100gのイオン交換能力を有するものが好ましい。ベントナイトとしては、(e1)アルカリ金属又はアルカリ土類金属モンモリロナイト、サポナイト又はヘクトライトからなる群から選択されるモンモリロン石群鉱物粘土(smectitic clay)、(e2)イライト、(e3)アタパルジャイト(attapulgite)及び(e4)カオリナイトから選ばれる1種以上が挙げられる。ベントナイトは、粒状化したものを用いることができる。例えば、特開2008-189719号公報の粘土鉱物の造粒物を参照することができる。
【0058】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(e)を含有する場合、成分(e)を、粉末洗浄剤組成物の流動性の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは18質量%以下含有する。
【0059】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(f)として、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。成分(f)は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。成分(f)は、水和物であっても無水物であっても良い。
【0060】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(f)を含有する場合、成分(f)を、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下含有する。
【0061】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、成分(g)として、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマーを含有することができる。
成分(g)としては、ポリアクリル酸又はその塩、及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマー(以下、成分(g1)という)、並びにカルボキシメチルセルロース又はその塩(以下、成分(g2)という)から選ばれる1種以上が挙げられる。
ポリアクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムが挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等が挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩が挙げられる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、好ましくは1/99以上、より好ましくは10/90以上、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下である。
【0062】
成分(g1)は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの成分(g1)中のモル比は、成分(g1)中に、好ましくは0モル%以上、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であり、0モル%であることが更に好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0モル%以上5モル%以下の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0063】
成分(g1)の重量平均分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは35000以上、更に好ましくは40000以上、より更に好ましくは50000以上、より更に好ましくは60000以上、より更に好ましくは70000以上、より更に好ましくは80000以上、より更に好ましくは90000以上、そして、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下、更に好ましくは200000以下である。
成分(g2)の重量平均分子量は、好ましくは100000以上、より好ましくは300000以上、そして、好ましくは2000000以下、より好ましくは1000000以下、更に好ましくは500000以下である。
成分(g2)のエーテル化度は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、そして、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。
この重量平均分子量は、下記の重量平均分子量の測定方法に従って測定することができる。
<重量平均分子量の測定方法>
成分(g)の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
以下に、GPCの測定条件を示す。
・カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL guard PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G4000 PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G2500 PWXL
・移動相:0.1mol/Lリン二水素カリウム及び0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウムの水溶液/アセトニトリル=90/10(体積比)
・検出器:示差屈折率検出器
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・換算標準物質:ポリアクリル酸〔アメリカン・スタンダード・コーポレーション(AMERICANSTANDARDCORP)社製〕
・試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製し、この調製液から10μLを分取してカラムに注入する。
【0064】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(g)を含有する場合、成分(g)を、洗浄性と安定性の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは3.0質量%以下含有する。
本発明の粉末洗浄剤組成物において、成分(g)を含有する場合、成分(g)の質量は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0065】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、安定性の観点から、成分(h)として、重量平均分子量が100以上100000以下のポリアルキレングリコールを含有することができる。
成分(h)としては、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールから選ばれる1種以上が挙げられる。
成分(h)の重量平均分子量は、100以上、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上、そして、100000以下、好ましくは50000以下、より好ましくは20000以下である。
ここで成分(h)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値である。
【0066】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、成分(h)を含有する場合、成分(h)を、安定性の観点から、粉末洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下含有する。
【0067】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、水を含有することができる。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や、次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。
本発明の粉末洗浄剤組成物は、水を含有する場合、水を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、そして、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下含有する。
【0068】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、その他の成分として、衣料用洗剤の分野で公知の他の成分、例えば漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤(例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)等)、抑泡剤(シリコーン等)、有機溶剤、酵素(セルラーゼ、プロテアーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ等)、香料、着色剤等(但し、成分(a)~成分(h)に該当するものは除く)を任意に含有することができる。
【0069】
本発明の粉末洗浄剤組成物1gをイオン交換水で1000gに希釈した場合の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは10.5以上、そして、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.0以下、更に好ましくは11.0以下である。
pHは、下記に記載のpHの測定法に従って測定する。
<pHの測定法>
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプルを25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0070】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤組成物の使用性の観点から、JIS K 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度が、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは950g/L以下、更に好ましくは900g/L以下、そして、好ましくは300g/L以上、より好ましくは400g/L以上、更に好ましくは500g/L以上、より更に好ましくは600g/L以上、より更に好ましくは800g/L以上である。
【0071】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤組成物の流動性の観点から、平均粒子径が、好ましくは200μm以上、より好ましくは250μm以上、更に好ましくは300μm以上であり、そして、好ましくは650μm以下、より好ましくは600μm以下、更に好ましくは550μm以下である。ここで、当該平均粒子径は、JISZ 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0072】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、噴霧乾燥法、ドライ中和法、乾燥造粒法、ドライブレンド法、流動層乾燥法、薄膜乾燥法、押出し造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、圧密造粒法、界面活性剤担持法又はこれらから選択して組み合わせた方法を適用して、製造することができる。
【0073】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、繊維製品用、更には洗濯機を用いた繊維製品洗浄用として好適に用いることができる。特に本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗濯槽中の泡溢れを抑制することができるから、ドラム式洗濯機を用いた繊維製品洗浄用として好適に用いることができる。
【0074】
本発明の粉末洗浄剤組成物で洗浄する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
繊維は、仕上がり性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、繊維の仕上がり性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0075】
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
【0076】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明は、本発明の粉末洗浄剤組成物と水とを混合した洗浄液(以下、本発明の洗浄液という)を用いて、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
本発明の繊維製品の洗浄方法は、本発明の粉末洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。
【0077】
本発明の繊維製品の洗浄方法において、本発明の洗浄剤物品と水とを混合する際の水の量は、水1Lに対して、本発明の粉末洗浄剤組成物の総量が、洗浄性能及びすすぎ性の観点から、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.2g以上、更に好ましくは0.3g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは1.0g以下の濃度となるように調製する。
【0078】
本発明の繊維製品の洗浄方法において、水の温度は、洗浄性能の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
また、本発明の洗浄液は、温度が前記範囲であってよい。また、洗浄方法に用いる水、例えばすすぎに用いる水などの水の温度も、前記範囲であってよい。
【0079】
本発明の洗浄液の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは10.5以上、そして、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.0以下、更に好ましくは11.0以下である。
pHは、上記の粉末洗浄剤組成物に記載のpHの測定法に従って測定する。
【0080】
本発明の繊維製品の洗浄方法において、繊維製品の質量(kg)と、本発明の粉末洗浄剤組成物と水を含有する洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち本発明の洗浄液の水量(リットル)/繊維製品の質量(kg)の値は、洗浄性及び経済性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは15以上、そして、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0081】
本発明の繊維製品の洗浄方法において、本発明の粉末洗浄剤組成物と、繊維製品と、水とを接触させる洗浄時間(すなわち本発明の洗浄液と繊維製品を接触させる洗浄時間)は、洗浄性能の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、衣類損傷の観点から、好ましくは1時間以下、より好ましくは45分以下、更に好ましくは30分以下である。
【0082】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維製品が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明の洗濯方法では、繊維製品がよりきれいに仕上げる点で、前記した繊維製品の洗浄を、洗濯機、特には回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。特に本発明の繊維製品の洗浄方法は、洗濯槽中の泡溢れを抑制することができるから、ドラム式洗濯機を用いた繊維製品の洗浄方法に好適に用いることができる。
【0083】
繊維製品の洗浄後は、濯ぎ、及び脱水を行うことができる。濯ぎ、及び脱水は、洗濯機を用いてことができる。濯ぎ及び脱水は交互に複数回行うことができる。
濯ぎ、及び脱水後は、乾燥を行うことができる。乾燥は自然乾燥、加熱乾燥の何れでも良い。乾燥は、それぞれ、複数行うことができる。
【実施例0084】
[配合成分]
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
<成分(a)>
・AES:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム(オキシエチレン基の平均付加モル数は2モル)、成分(a11)、エマール270J、花王(株)製
・α-sfe:α-スルホステアリン酸メチルエステルナトリウムとα-スルホパルミチン酸メチルエステルナトリウムとを質量比で8/2の比率で含むα-スルホ脂肪酸エステル、成分(a11)
・LAS-Na:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ネオペレックスFS、花王(株)製、成分(a12)
・C12EO10:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数は10モル)、エマルゲン110、花王(株)製、成分(a2)
・C16TMAC:一般式(a31)中、R31aが炭素数16のアルキル基、R32a、R33a及びR34aがメチル基、X-が塩化物イオンである化合物、成分(a3)
【0085】
<成分(b)>
・PC:過炭酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
<成分(c)>
・GA-10B:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、日東化成工業(株)製
<成分(d)>
・Sodium Carbonate:炭酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
・Sodium Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
・Sodium Silicate:ケイ酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
<成分(e)>
・Zeolite:ゼオライト、合成ゼオライトA-4、富士フイルム和光純薬(株)製
・Bentonite:ベントナイト、クニピアF、クニミネ工業(株)製
【0086】
<成分(f)>
・Sodium Sulfate:硫酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製
<成分(g)>
・CMC:カルボキシメチルセルロース、重量平均分子量480000、エーテル化度0.5、日本製紙(株)製
・Oligomer DT:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量100000、花王(株)製
<成分(h)>
・PEG:ポリエチレングリコール、重量平均分子量13000、PEG-13000、三井化学(株)製
【0087】
<その他成分>
・Water:イオン交換水
・CBS:蛍光増白剤、チノパールCBS、チバスペシャリティケミカルズ製
・Savinase 8T:酵素(プロテアーゼ)、Novozymes(株)製
・Perfume:香料(サリチル酸メチル)、富士フイルム和光純薬(株)製
【0088】
[粉末洗浄剤組成物の調製]
上記の配合成分を用いて下記の方法で表1に示す粉末洗浄剤組成物を調製した。表中の配合量は、純分量である。
噴霧乾燥粒子を形成する成分である、成分(a)、成分(d)、成分(f)、成分(g)、及び成分(h)を混合して、スラリーを調製し、噴霧乾燥してベース顆粒を調製した。調製したベース顆粒をハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に投入し、残りのアフターブレンド成分である成分(b)、成分(c)、成分(e)、及びその他成分を乾式混合することにより、表1に記載の配合の各粉末洗浄剤組成物を得た。また調製した各粉末洗浄剤組成物のJISK 3362:2008により規定された方法で測定する嵩密度が700~900g/Lであり、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める平均粒子径は300μmであった。
また調製した各粉末洗浄剤組成物1gをイオン交換水で1000gに希釈した場合の25℃におけるpHを表1に示した。
【0089】
[皮脂洗浄力評価]
<モデル皮脂汚れの調製>
以下の組成を有するモデル皮脂汚れを調製し、モデル皮脂汚れを含む人工汚布及の作製に用いた。
・モデル皮脂汚れ組成:ラウリン酸0.44質量%、ミリスチン酸3.15質量%、ペンタデカン酸2.35質量%、パルチミチン酸6.31質量%、ヘプタデカン酸0.44質量%、ステアリン酸1.6質量%、オレイン酸7.91質量%、トリオレイン13.33質量%、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.22質量%、スクアレン6.66質量%、及び残部の水(合計100質量%)
【0090】
<モデル皮脂汚れ人工汚染布の作製>
6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡布(木綿/ポリエステル比=35/65 谷頭商店より購入)に、上記組成から成るモデル皮脂汚れを1枚当り100mgになるようグラビア塗工して、モデル皮脂汚れ人工汚染布を作製した。
【0091】
<皮脂汚れ洗浄試験>
作製したモデル皮脂汚れ人工汚染布5枚を1組として、ターゴトメーター(Ueshima社製MS-8212、内径12cm、高さ17.5cm)に、表1に記載の各粉末洗浄剤組成物にイオン交換水を混合した洗浄液1Lを入れ、モデル皮脂汚れ人工汚染布1組を加え、次の条件で洗浄試験を行った。
・洗浄条件
洗浄時間:10分
粉末洗浄剤組成物濃度:1質量%
水の硬度:4°dH
水の温度:30℃
すすぎ:30℃の水道水にて5分間流水すすぎ
【0092】
洗浄後、モデル皮脂汚れ人工汚染布1組から4枚を取り出し、皮脂洗浄率を下記の方法にて測定した。汚染前の原布、及びモデル皮脂汚れ人工汚染布の洗浄前後の550nmにおける反射率を、分光色彩計(日本電色(株)製、SE-2000)にて測定し、次式によって皮脂洗浄率(%)を求め、4枚の平均値を算出した。結果を表1に示す。
皮脂洗浄率(%)=100×[(洗浄後の人工汚染布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)]
【0093】
[黄ばみ漂白力評価]
<モデル黄ばみ汚れ人工汚染布の作製
モデル黄ばみ汚れとして、クルクミン1gをメタノール/クロロホルム=1/1の溶媒1Lに溶解させた。6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡布(木綿/ポリエステル比=35/65 谷頭商店より購入)に、上記組成から成るモデル黄ばみ汚れを1枚当り200μL添加し、モデル黄ばみ汚れ人工汚染布を作製した。
【0094】
<黄ばみ汚れ漂白試験>
作製したモデル黄ばみ汚れ人工汚染布5枚を1組として、ターゴトメーター(Ueshima社製MS-8212、内径12cm、高さ17.5cm)に、表1に記載の各粉末洗浄剤組成物にイオン交換水を混合した洗浄液1Lを入れ、モデル皮脂汚れ人工汚染布1組を加え、次の条件で洗浄試験を行った。
・洗浄条件
洗浄時間:10分
粉末洗浄剤組成物濃度:1質量%
水の硬度:4°dH
水の温度:30℃
すすぎ:30℃の水道水にて5分間流水すすぎ
【0095】
洗浄後、モデル黄ばみ汚れ人工汚染布1組から4枚を取り出し、黄ばみ漂白率を下記の方法にて測定した。
汚染前の原布、及びモデル黄ばみ汚れ人工汚染布の洗浄前後の550nmにおける反射率を分光色彩計(日本電色(株)製、SE-2000)にて測定し、次式によって黄ばみ漂白率(%)を求め、4枚の平均値を算出した。結果を表1に示す。
黄ばみ漂白率(%)=100×[(洗浄後の人工汚染布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)]
【0096】
[ドラム式洗濯機泡溢れ評価]
ドラム式洗濯機(Directr Drive(LG社製))に衣類4kg、表1に記載の各粉末洗浄剤組成物30gを投入し、通常コースにて洗濯を行った。洗濯中の洗濯槽を目視にて確認し、洗濯槽から泡が溢れない場合を「〇」、洗濯槽から泡が溢れた場合を「×」とした。結果を表1に示す。
【0097】