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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102024
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】管内清掃機器
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/043 20060101AFI20240723BHJP
   B08B 9/045 20060101ALI20240723BHJP
   B08B 9/047 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B08B9/043
B08B9/045
B08B9/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005673
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2023005728
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521212786
【氏名又は名称】株式会社TOWING
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 晴都
(72)【発明者】
【氏名】川口 恭太
(72)【発明者】
【氏名】町野 文哉
(72)【発明者】
【氏名】出口 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴嗣
(72)【発明者】
【氏名】都築 正孝
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA08
3B116BA15
3B116BA32
(57)【要約】
【課題】 前方と後方とで回転体を逆方向に回転させることにより管の内壁面全体をまんべんなく清掃する清掃機器を提供すること。
【解決手段】 管内を清掃する管内清掃機器は、本体部と、本体部の中心であり本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、本体部の進行方向の前方に位置し、第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、第1回転部材と本体部の間に位置し、第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、第1軸部及び第2軸部を回転させて第1回転部材と第2回転部材とは互いに逆方向に回転させるモータと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内を清掃する管内清掃機器であって、
本体部と、
前記本体部の中心であり前記本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、
前記本体部の進行方向の前方に位置し、前記第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、
前記第1回転部材と前記本体部の間に位置し、前記第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、
前記第1軸部及び前記第2軸部を回転させて前記第1回転部材と前記第2回転部材とは互いに逆方向に回転させるモータと、を備える
ことを特徴とする、管内清掃機器。
【請求項2】
管内を清掃する管内清掃機器であって、
本体部と、
前記本体部の中心であり前記本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、
前記本体部の進行方向の前方に位置し、前記第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、
前記第1回転部材と前記本体部の間に位置し、前記第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、を備え、
前記本体部は、
前記第1軸部を回転させて前記第1回転部材を回転させる第1モータと、
前記第2軸部を回転させて前記第1回転部材を回転させる第2モータと、
を備え、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とは互いに逆方向に回転する
ことを特徴とする、管内清掃機器。
【請求項3】
前記第1回転部材は第1プロペラを有し、前記第2回転部材は第2プロペラを有する請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項4】
前記第1プロペラと前記第2プロペラとは羽根の向きが逆であることを特徴とする請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項5】
前記第1軸部に軸着される第1軸歯車と、
前記第2軸部に軸着される第2軸歯車と、
前記第1モータに軸着され前記第1軸歯車と噛合する第1ピニオンと、
前記第2モータに軸着され前記第2軸歯車と噛合される第2ピニオンと、
を備える請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項6】
前記第1軸部の外周に前記第2軸部が挿通されている請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項7】
前記本体部と配線を介して接続されるウインチ機構が取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項8】
前記第1回転部材及び前記第2回転部材の外周にブラシが取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項9】
前記第1回転部材及び前記第2回転部材の外周にスポンジが取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項10】
前記第1モータ及び前記第2モータは、スイッチ部により起動及び停止されることを特徴とする請求項1または2に記載の管内清掃機器。
【請求項11】
前記モータの回転を前記第1軸部または前記第2軸部に伝達するシャフトに偏心カムが装着される請求項1に記載の管内清掃機器。
【請求項12】
前記第1モータの回転を前記第1軸部に伝達する第1シャフトに第1偏心カムが装着され、前記第2モータの回転を前記第2軸部に伝達する第2シャフトに第2偏心カムが装着される請求項2に記載の管内清掃機器。
【請求項13】
前記第1回転部材及び前記第2回転部材の外周に突起部が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の管内清掃機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内清掃機器に関する。特に、二重反転プロペラによる管内清掃機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭の水道管、ガス管、排水管等の管内を清掃するために、管内清掃ロボットが用いられていた。しかし、これらの管内清掃ロボットは大型のものが多く、小型円管の清掃には適していなかった。
【0003】
そこで、小径円管の清掃が可能な簡素且つ小型の管内清掃ロボットが考案された(特許文献1参照)。この管内清掃ロボットによると、前方と後方とに配置された振動モータと螺旋状になったブラシを回転させることによって管内の清掃が行われる。
【0004】
しかし、この特許文献1に開示の管内清掃ロボットによる管内清掃では、前方と後方とに配置された振動モータが同一方向に回転する。このような同一方向の回転では、例えば右回転なら管内の右側ばかりを重点的に清掃することになり、左回転なら管内の左側ばかりを重点的に清掃することになり、管内の片側のみが清掃され、清掃された側と反対側の清掃は不十分になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-114163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本開示は、前方と後方とで回転部材を逆方向に回転させることにより管の内壁面全体をまんべんなく清掃することが可能になる管内清掃機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、第1の態様に係る管内を清掃する管内清掃機器は、本体部と、本体部の中心であり本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、本体部の進行方向の前方に位置し、第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、第1回転部材と本体部の間に位置し、第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、第1軸部及び第2軸部を回転させて第1回転部材と第2回転部材とは互いに逆方向に回転させるモータと、を備える。
【0008】
すなわち、第2の態様に係る管内を清掃する管内清掃機器は、本体部と、本体部の中心であり前記本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、本体部の進行方向の前方に位置し、第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、第1回転部材と本体部の間に位置し、第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、を備え、本体部は、第1軸部を回転させて第1回転部材を回転させる第1モータと、第2軸部を回転させて前記第1回転部材を回転させる第2モータと、を備え、第1回転部材と第2回転部材とは互いに逆方向に回転する。
【0009】
第3の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1回転部材は第1プロペラを有し、第2回転部材は第2プロペラを有してもよい。
【0010】
第4の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1プロペラと第2プロペラとは羽根の向きが逆であってもよい。
【0011】
第5の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1軸部に軸着される第1軸歯車と、第2軸部に軸着される第2軸歯車と、第1モータに軸着され第1軸歯車と噛合する第1ピニオンと、第2モータに軸着され第2軸歯車と噛合される第2ピニオンと、を備えてもよい。
【0012】
第6の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1軸部の外周に第2軸部が挿通されていてもよい。
【0013】
第7の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、本体部と配線を介して接続されるウインチ機構が取り付けられてもよい。
【0014】
第8の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1回転部材及び第2回転部材の外周にブラシが取り付けられてもよい。
【0015】
第9の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1回転部材及び第2回転部材の外周にスポンジが取り付けられてもよい。
【0016】
第10の態様は、第1の態様に係る管内清掃機器において、第1モータ及び第2モータは、スイッチ部により起動及び停止されてもよい。
【0017】
第11の態様は、モータの回転を前記第1軸部または前記第2軸部に伝達するシャフトに偏心カムが装着されてもよい。
【0018】
第12の態様は、第1モータの回転を前記第1軸部に伝達する第1シャフトに第1偏心カムが装着され、前記第2モータの回転を前記第2軸部に伝達する第2シャフトに第2偏心カムが装着されてもよい。
【0019】
第13の態様は、第1回転部材及び第2回転部材の外周に突起部が取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本開示に係る管内を清掃する管内清掃機器は、本体部と、本体部の中心であり本体部の長手方向に配される第1軸部及び第2軸部と、本体部の進行方向の前方に位置し、第1軸部に軸着されて回転する第1回転部材と、第1回転部材と本体部の間に位置し、第2軸部に軸着されて回転する第2回転部材と、第1軸部及び第2軸部を回転させて第1回転部材と第2回転部材とは互いに逆方向に回転させるモータと、を備え、第1回転部材と第2回転部材とは互いに逆方向に回転するため、前方と後方とで回転体が逆方向に回転させることにより管の内壁面全体をまんべんなく清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る管内清掃機器とウインチ機構とが接続されていることを示す図である。
図2】第1実施形態に係る管内清掃機器とウインチ機構との関係を示すブロック図である。
図3】(a)第1実施形態に係る管内清掃機器を示す平面図である。(b)第1実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図である。(c)第1実施形態に係る管内清掃機器の回転部材がブラシである場合を示す図である。(d)第1実施形態に係る管内清掃機器の回転部材がスポンジである場合を示す図である。
図4】(a)第1実施形態に係る管内清掃機器の第1回転部材を示す断面図である。(b)第1実施形態に係る管内清掃機器の第2回転部材を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る管内清掃機器における水流を示すブロック図である。
図6】他の実施形態に係る管内清掃機器における水流を示すブロック図である。
図7A】(a)他の実施形態に係る管内清掃機器を示す平面図である。(b)他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図である。(c)他の実施形態に係る本体部の構造を表す透視斜視図である。(d)他の実施形態に係る本体部の前端を表す正面図である。
図7B】(e)他の実施形態に係る管内清掃機器の回転部材に突起部が設けられる場合を示す図である。(f)他の実施形態に係る管内清掃機器の回転部材がスポンジである場合を示す図である。
図8】他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図であり、モータが一つだけの場合であって、回転部材を1つしか回転させられない場合を示す図である。
図9】他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図であり、モータが一つだけの場合であって、回転部材が2つ回転させられる場合を示す図である。
図10】他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図であり、モータが一つだけ、且つ回転部材も一つだけの場合を示す図である。
図11】他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図であり、モータが一つだけ、且つ回転部材も一つだけの場合であって、他の回転部材を本体部の端部に接続する場合を示す図である。
図12】他の実施形態に係る管内清掃機器のA-A線で切った断面図であり、モータを用いない場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
(第1実施形態に係る管内清掃機器100の構成について)
図1乃至図3を参照して本実施形態に係る管内清掃機器100の構成について説明する。
図1は本実施形態に係る管内清掃機器100とウインチ機構200とが接続されていることを示す斜視図であり、図2は本実施形態に係る管内清掃機器100とウインチ機構200との関係を示すブロック図であり、図3(a)は本実施形態に係る管内清掃機器100を示す平面図であり、図3(b)は本実施形態に係る管内清掃機器100のA-A線で切った断面図である。図3(c)は本実施形態に係る管内清掃機器100の回転部材がブラシである場合を示す図であり、図3(d)は本実施形態に係る管内清掃機器100の回転部材がスポンジである場合を示す図である。
【0023】
図1は本実施形態に係る管内清掃機器100とウインチ機構200とが接続されていることを示す斜視図である。ウインチ機構200は、筒状部201と、上面板202と、底面板203と、を含む。上面板202は筒状部201の上面に取り付けられ、底面板203は筒状部201の下面に取り付けられ、筒状部201の下端部を支持する。筒状部201には配線204が巻回され、配線204が管内清掃機器100内に収容されている。二点鎖線で示すように、管内清掃機器100は管内に挿通されて使用される。管は、水道管のような固い管であってもよく、ホースのような柔らかい管であってもよい。つまりこの管内清掃機器100は、使用される管に応じて固いところを直進するものであってもよく柔らかいところを曲進するものであってもよい。また、水が既に溜まっている状態で使用されてもよくこれから水を流す状態で使用されてもよい。
【0024】
図2は本実施形態に係る管内清掃機器100とウインチ機構200との関係を示すブロック図である。ウインチ機構200には電源30が内蔵されており、その電源30がオンされると、管内清掃機器100のバッテリ20から通電され、スイッチ部18の磁気スイッチがオンになり、モータ15及び16を駆動させる。
【0025】
図3(a)は本実施形態に係る清掃機器を示す平面図である。管内清掃機器100は、先端カバー部1、第1回転部材2、第2回転部材3、本体部4を備え、本体部4は第1配線収容部5及び第2配線収容部6を有する。第1回転部材2は第2回転部材3よりも前後方向において前方に位置する。この第1回転部材2及び第2回転部材3は二重反転作用によりカウンタートルクを相殺する。二重反転とは、同軸に設けられた2つのプロペラが互いに左右逆方向に回転することをいう。これにより、1つの回転体が回転することにより受けるカウンタートルクを相殺することができる。また、二重反転によるジャイロ効果により、管内清掃機器100が曲がらずに安定して動作することができる。ジャイロ効果とは、物体が自転運動をすると、自転が高速なほど姿勢を乱されにくくなる現象をいう。
【0026】
第1回転部材2の前方には先端カバー部1があり、第2回転部材3の後方には本体部4が配置される。管内清掃機器100全体の長さはいずれでもよいが、例えば略10cmである。上下左右の幅、つまり先端カバー部1の半径は、例えば約1cm、つまり直径は約2cmである。
【0027】
図3(b)で管内清掃機器100の構成の概略を説明する。管内清掃機器100の先頭には先端カバー部1が取り付けられている。この先端カバー部1は第1軸部7によって第1回転部材2と接続されている。先端カバー部1は第1回転部材2を保護するためのキャップとして機能する。
【0028】
第1回転部材2には第1プロペラ9が取り付けられている。第1プロペラ9の枚数は、例えば4枚である。第1プロペラ9は右方向に回転する。第2回転部材3には第2プロペラ10が取り付けられている。第2プロペラ10の枚数は、例えば4枚である。第2プロペラ10は左方向に回転する。
【0029】
本体部4内には、第1軸部7及び第2軸部8、第1軸歯車11及び第2軸歯車12、第1ピニオン13及び第2ピニオン14、第1モータ15及び第2モータ16、第1配線収容部5及び第2配線収容部6、スイッチ部18が含まれる。これらの部材は従来公知のものが用いられる。第1軸部7の外側に第2軸部8があり、二重管となっている。第2モータ16は第2シャフト22を介して第2ピニオン14と接続され、第1モータ15は第1シャフト21を介して第1ピニオン13と接続される。
【0030】
スイッチ部18の磁気スイッチがオンになると、第1配線収容部5に収容されている配線を通じて磁気の作用により、本体部4内のスイッチが起動してバッテリ20から第1モータ15へ通電され第1モータ15の回転軸及び第1ピニオン13が回転する。そして、第1軸歯車11を介して第1軸部7が回転し、結果、第1プロペラ9は回転する。同様に、スイッチ部18の磁気スイッチがオンになると、第2配線収容部6に収容されている配線を通じて磁気の作用により、本体部4内のスイッチが起動してバッテリ20から第2モータ16へ通電され第2モータ16の回転軸及び第2ピニオン14が回転する。そして、第2軸歯車12を介して第2軸部8が回転し、結果、第2プロペラ10も回転する。これにより、管内は清掃される。
【0031】
第1回転部材2と第2回転部材3との間にはばね19が配置されている。ばねは従来公知のものが用いられる。ばね19は、第1回転部材2と第2回転部材3との間に生じる振動、衝撃を緩和する役割である。管内清掃機器100が第1回転部材2の第1プロペラ9と第2回転部材3の第2プロペラ10の回転により管路内を前進して、管路の内壁面の汚れをかき落とす際、衝撃が加わる。特に第1回転部材2は進行方向の前側となるため、最初に衝撃を受けることから、第2回転部材3の第2軸部8を保護する必要とされるためである。
【0032】
図4(a)は第1回転部材2の内部を示す断面図である。第1回転部材2の断面は円形であり、中心部には第1軸部7が通っている。中心部を囲むように、例えば4枚の第1プロペラ9が取り付けられ、この4枚の第1プロペラ9が右方向に回転することによって第1回転部材2が右方向に回転する。それによって管内の右側を重点的に清掃する。第1回転部材2の半径は、例えば1cm、つまり直径は2cmである。なお、第1回転部材2の周囲には図3(c)(d)に示すようにブラシ、スポンジ等の管に合わせた素材を取り付けることができる。
【0033】
図4(b)は第2回転部材3の内部を示す断面図である。第2回転部材3の断面は円形であり、中心部には第2軸部8が通っている。中心部を囲むように、例えば4枚の第2プロペラ10が取り付けられ、この4枚の第2プロペラ10が左方向に回転することによって第2回転部材3が左方向に回転する。それによって管内の左側を重点的に清掃する。第2回転部材3の半径は、例えば1cm、つまり直径は2cmである。なお、第2回転部材3の周囲には図3(c)(d)に示すようにブラシ、スポンジ等の管に合わせた素材を取り付けることができる。
【0034】
[他の実施形態]
第1実施形態では、第1配線収容部5及び第2配線収容部6、第1軸歯車11及び第2軸歯車12、第1ピニオン13及び第2ピニオン14、第1モータ15及び第2モータ16、スイッチ部18、ばね19、バッテリ20を用いる場合について説明したが、これに限られず、これらを用いなくても、第1回転部材2及び第2回転部材3が左右逆方向に回転するタービンになっているため、水流のみでも二重反転を行うことができ、安定した清掃を行うことができる。
【0035】
第1実施形態では第1プロペラ9が右方向に回転し第2プロペラ10が左方向に回転する構成としたが、これとは逆に、第1プロペラ9が左方向に回転し第2プロペラ10が右方向に回転する構成とすることもできる。
【0036】
上述のように第1回転部材2及び第2回転部材3のみを用いて清掃する場合でも、第1回転部材2及び第2回転部材3間にばね19が挟持されているため、配線204を引く際に強弱をつけることで水流を制御することができる。例えば、配線204を弱く引くとばね19が配置されている部分に水が溜まり、配線204を強く引くと水を横に放出することで水圧により管内を清掃することができる(図5参照)。
【0037】
また、第1実施形態ではバッテリ20を本体内部に内蔵する構成としたが、バッテリ20をワイヤレス充電することも可能である。また、外部電源によって充電することも可能である。また、無線のモジュールを取り付けることでスイッチ部18による磁気スイッチでなくともモータ15及び16の起動及び停止の操作が可能となる。
【0038】
また、用途に合わせて管内清掃機器100中に様々なセンサを配置することも可能である。センサは、例えば、管内の水の濁度を検出する光センサ等である。
【0039】
また、第1実施形態ではウインチ機構200を用いる構成としたが、ウインチ機構200を用いなくとも、手で配線204を引っ張ることにより管内清掃機器100を使用することが可能である。
【0040】
また、複数のレーンで管内清掃機器100を使用する場合には、ウインチ機構200専用のレーンを追加することで、管内清掃機器100が別の流体の邪魔になることを防ぐことができる。例えば図6に示すように、管内清掃機器100が通るレーンと、液体肥料が通るレーンと、水が通るレーンと、の3つのレーンを作り、その3つのレーンが合流するという構成も可能である。このように、水と液体肥料との攪拌混合を管内清掃機器100で行い、それにより適度に水流が発生するので、本体部4の向き及び第1軸部7及び第2軸部8の回転方向を変えると、管内清掃機器100が水流発生器にもなり得る。
【0041】
ウインチ機構200のレーンを追加する際、レーンごと取り外しできるようにすることで別の管に付け替えることができる。また、管内清掃機器100のみを用いる場合、二重反転タービン効果により、配線204を伝って流体を電気に変換して発電することも可能である。また、管の大きさに合わせて管内清掃機器100の大きさを変えることで様々な管に対応できる。
【0042】
本開示は上記した本実施形態に係る管内清掃機器100に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。なお、図7(a)に示すように、図3(a)と同様に、管内清掃機器100は、先端カバー部1、第1回転部材2、第2回転部材3、本体部4を備え、本体部4は第1配線収容部5及び第2配線収容部6を有する。第1回転部材2は第2回転部材3よりも前後方向において前方に位置する。
【0043】
第1実施形態では、第1配線収容部5及び第2配線収容部6、第1軸歯車11及び第2軸歯車12、第1ピニオン13及び第2ピニオン14、第1モータ15及び第2モータ16、スイッチ部18、ばね19、バッテリ20を用いる場合について説明したが、これに加え、図7Aの(b)に示すように、第1ピニオン13と第1モータ15とを接続する第1シャフト21と、第2ピニオン14と第2モータ16とを接続する第2シャフト22と、第1シャフト21に軸着され、本体部4の内周面にその外周面が当接する第1偏心カム23と、第2シャフト22に軸着され、本体部4の内周面にその外周面が当接する第2偏心カム24と、をさらに備えてもよい。
【0044】
図7Aの(c)に示すように、第2偏心カム24は第2シャフト22に軸着される。
【0045】
図7Aの(d)に示すように、第2偏心カム24は第2シャフト22に軸着されているが、第1モータ15の中心と微妙にずれている。このずれによって第2偏心カム24の外周面が本体内部17の内周面に当接することにより、第2偏心カム24が本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。
【0046】
このように偏心カムをシャフトに軸着させることにより偏心カムの外周面が本体部の内周面に当接することにより、偏心カムが本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。
【0047】
図7Bの(e)は、第1回転部材2及び第2回転部材3の外周面26に突起部25が設けられていることを示す。突起部はウレタン製の柔らかい素材で形成され、複数の突起を有し、管内を傷つけないという効果がある。また、突起部25の凹凸により、管内の汚れを削り取る効果が生じる。
【0048】
図7Bの(f)は、第1回転部材2及び第2回転部材3の外周面がスポンジである場合を示す。第1回転部材2及び第2回転部材3の外周面がスポンジであるため、管内を傷つけないという効果がある。
【0049】
第1実施形態では第1モータ15と第2モータ16とを備える構成としたが、図8に示すように第1モータ15のみ、あるいは図9に示すように第2モータ16のみを備えることとしてもよい。これにより1軸がモータで回転し、もう1軸が回転のブレーキとなる。また、回転体を1つとして本体部4の外周面にスポンジを巻回してもよい。
【0050】
図8は、回転軸が第1軸部7と第2軸部8との2つ、回転体が第1回転部材2と第2回転部材3との2つであり、モータが第1モータ15のみで動く場合を示す。この場合、第1モータ15の回転が第1シャフト21を介して第1ピニオン13に伝達され、第1ピニオンと歯合している第1軸歯車11に伝達され、第1軸部7が回転し、第1プロペラ9が回転して第1回転部材2が回転する。これにより管内清掃機器100が前進する。この際に、第1偏心カム23の外周面が本体部4の内周面に当接することにより、第2偏心カム24が本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。
【0051】
図9は、回転軸が第1軸部7と第2軸部8との2つ、回転体が第1回転部材2と第2回転部材3との2つであり、モータが第2モータ16のみで動く場合であって、第2モータ16により第1回転部材2及び第2回転部材3が回転する場合を示す。この場合、第2モータ16の回転が第2シャフト22を介して第2ピニオン14に伝達され、第2ピニオン14と歯合している第2軸歯車12に伝達され、第2軸部8が回転し、第2プロペラ10が回転して第2回転部材3が回転する。さらに、第2シャフト22が第1ピニオン13まで延在することにより、第2モータ16の回転が第1ピニオン13と歯合する第1軸歯車11を介して第1軸部7に伝えられ、これにより第1プロペラが回転して第1回転部材2も回転する。これにより管内清掃機器100が前進する。この際に、第2偏心カム24の外周面が本体部4の内周面に当接することにより、第2偏心カム24が本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。
【0052】
図10は、回転軸が第1軸部7のみ、回転体が第1回転部材2のみであり、モータが第1モータ15のみで動く場合を示す。この場合、第1モータ15の回転が第1シャフト21を介して第1ピニオン13に伝達され、第1ピニオン13と歯合している第1軸歯車11に伝達され、第1軸部7が回転し、第1プロペラ9が回転して第1回転部材2が回転する。この場合、回転軸及び回転体が1つずつしかないため、水圧の力も借りて管内清掃機器100が前進する。この場合、本体部4の外表面に適宜のウレタンシート、スポンジ等が巻き付けられる(図示せず)。そこで、本体部4は水圧の抵抗を受けやすくなる。この際に、第1偏心カム23の外周面が本体部4の内周面に当接することにより、第2偏心カム24が本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。
【0053】
図11は、回転軸が第1軸部7のみ、回転体が第1回転部材2のみであり、モータが第2モータ16のみで動く場合を示す。この場合、第2モータ16の回転が第2シャフト22を介して第2ピニオン14に伝達され、第2ピニオン14と歯合している第2軸歯車12に伝達され、第1軸部7が回転し、第1プロペラ9が回転して第1回転部材2が回転する。この場合、回転軸及び回転体が1つずつしかないため、水圧の力も借りて管内清掃機器100が前進する。この際に、第2偏心カム24の外周面が本体部4の内周面に当接することにより、第2偏心カム24が本体部4に衝突して本体部4に振動を生じる。この振動により、管内を進むときの摩擦が軽減される。この場合、回転しない回転体は、管内清掃機器100を押圧する流水の抵抗を受けるため、管内清掃機器100の進行が補助される。
【0054】
第1実施形態では第1モータ15と第2モータ16とを備える構成としたが、図12に示すように、モータを一つも用いることなく、水圧だけで回転部材が回転することとしてもよい。これは第1回転部材2及び第2回転部材3の両方がスポンジである場合において、後方から水圧を受け、第1回転部材2が正回転し、第2回転部材3が逆回転することにより清掃機器100が管内を走行する。
【符号の説明】
【0055】
1 先端カバー部
2 第1回転部材
3 第2回転部材
4 本体部
5 第1配線収容部
6 第2配線収容部
7 第1軸部
8 第2軸部
9 第1プロペラ
10 第2プロペラ
11 第1軸歯車
12 第2軸歯車
13 第1ピニオン
14 第2ピニオン
15 第1モータ
16 第2モータ
17 本体内部
18 スイッチ部
19 ばね
20 バッテリ
21 第1シャフト
22 第2シャフト
23 第1偏心カム
24 第2偏心カム
25 突起部
26 外周面
30 電源
100 清掃機器
200 ウインチ機構
201 筒状部
202 上面板
203 底面板
204 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12