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特開2024-102075パワードライブユニットと直流モータのコギング効果を用いた車両ドアチェッカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102075
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】パワードライブユニットと直流モータのコギング効果を用いた車両ドアチェッカー
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H02K7/116
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063084
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021577023の分割
【原出願日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/866,086
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514056403
【氏名又は名称】マルチマティック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTIMATIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】クラシェル、 ケルシー デール
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク、 トマシュ タデウシュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】DCモータのドアチェック能力を、そのサイズ、重量及びコストを大幅に増大させることなく向上させる。
【解決手段】自動車ドア用のパワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッカーが、コギングトルクの影響を受ける直流永久磁石電動モータを含む。電動モータ11は中央シャフトを含む。車両ドアチェッカーはまた、モータの外部から中央シャフトに取り付けられるコギングトルク増大装置を含む。コギングトルク増大装置は、モータシャフトの周りのステータとロータのそれぞれに同軸に取り付けられた逆向きに磁化された永久磁石対を含む。ステータの磁石とロータの磁石は、モータが自動車ドアのチェック位置に対応する複数の離散的な安定位置に保持されるように、シャフトが回転すると互いに位置が合ったり位置がずれたりする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドア用のパワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッカーであって、
コギングトルクの影響を受ける直流永久磁石電動モータであって、中央シャフトを含む
電動モータと、
前記モータの外部から前記中央シャフトに取り付けられたコギングトルク増大装置であ
って、前記モータシャフトの周りのステータとロータのそれぞれに同軸に取り付けられた
逆向きに磁化された永久磁石対を含むコギングトルク増大装置と
を含み、
前記ステータの磁石と前記ロータの磁石は、前記モータが自動車ドアのチェック位置に
対応する複数の離散的な安定位置に保持されるように、前記シャフトが回転すると互いに
位置が合ったり位置がずれたりする、パワードライブユニットと一体化された車両ドアチ
ェッカー。
【請求項2】
a.前記中央シャフトによって駆動される歯車装置と、
b.前記歯車装置によって回転される少なくとも1つのレバーアームと、
c.前記レバーアームの制御下で往復運動して車両ドアを開閉するリンクアームと
をさらに含む、請求項1に記載のパワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッ
カー。
【請求項3】
前記逆向きに磁化された磁石対は、固定された多極外側磁石及び回転する多極内側磁石
にそれぞれ配置される、請求項1又は2に記載のパワードライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月25日に出願され、参照により本明細書に含まれる、米国仮
出願第62/866,086号の優先権を主張する。
【0002】
現代の自動車では、自動化、利便性、効率性、軽量化が重視されている。イノベーショ
ンの1つの分野はドアチェッカーを含む。事実上常に、自動車の乗員用ドアを離散位置で
一時的に開いた状態にしておく必要がある。このような位置は、特に、駐車場内の他の車
両又は他の障害物によってドアを開けるスペースが制限される場合に、ドライバー及び乗
員が車両から出入りするのを容易にする。ドアチェッカーはこのために使用される。機械
的摩擦によって、ばね荷重を受ける要素が、ドアの動きと共に移動する他の要素と係合し
、戻り止めで個別のチェック位置を形成する。
【0003】
機械式ドアチェッカーは高機能であり、長年の実績がある。しかしながら、これらは車
両にある程度の重量を加えるので、円滑なドア動作を容易にするために慎重に取り付けな
ければならない。さらに、多くのサイクルを経て、それらは摩耗し、効率が低下する可能
性がある。したがって、機械的摩擦摩耗を低減又は回避するドアチェッカーが有利である
。また、ドアチェッカーの小型化は、このような装置を配置するために必要な実装スペー
スが減少するので、車両設計において利益を提供する。
【0004】
利便性及び自動化によって動機付けられたもう1つのイノベーションの分野は、電動ド
アの開閉を含む。ドアのパワードライブユニットは通常、直流(DC)電動モータを使用
する。永久磁石電動モータは、コギングとして知られる現象の影響を受ける。コギングと
は、シフトする非対称の電場と磁場による、電動モータの各回転中の周期的な減速、躊躇
又は連鎖反応である。コギングは、モータに電力が供給されていないときに最も顕著にな
る。電動モータにおけるコギングは、コギングの影響を受ける電動モータが連続的で滑ら
かな力プロファイル又はトルクを生成しないため、一般に悪影響と見なされる。一部の例
では、原動力がコギング効果によって生じる抵抗に打ち勝つのに不十分な場合、電動モー
タはコギング位置で失速する。コギングはまた、モータ出力に悪影響を与える傾向があり
、振動や騒音につながる可能性がある。コギングは、モータ動作中の力プロファイルを均
一にするために、コイル又は巻線、及び対応する整流子の数を増加させることによって軽
減することができる。不等数の磁石とロータ歯を非整数比(すなわち、1:1、2:1、
3:1などではない)で用いることもコギング問題を効果的に排除する。また、ステータ
磁石及びロータ歯を斜めにすることにより、抵抗コギング力を広げて中和させる傾向があ
ることによって、コギング効果を軽減することができる。したがって、電動モータの効率
を高めるために、コギング効果に関する研究開発の大部分は、コギング効果を軽減するこ
とに重点を置いてきた。
従来のDC電動モータを使用して、機械システムを駆動して車両ドアを開閉することが
できる。適切な電子制御により、このようなモータを離散位置で停止させて、ドアチェッ
ク効果を得ることができる。しかしながら、このようなモータは一般に、そのような停止
位置では、ドアをチェック位置から外すのに必要な力よりも小さい力を受けたときにドア
が揺れるのを防ぐのに十分な抵抗を生じない。このような力に対してより大きな質量及び
抵抗を有するより大きなモータを使用すると、コスト及び重量が増加する。また、このよ
うなモータは、十分な力が加えられると逆駆動される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来のDCモータのドアチェック能力を、そのサイズ、重量及びコストを
大幅に増大させることなく向上させる手段を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
DC永久磁石モータのコギング効果を高めること、又は固有のコギングトルクを有する
そのようなモータを選択することにより、モータは、単により効率的なモータを離散位置
に動かすことによって達成されるドアチェック効果を高めることができる。したがって、
車両ドアは、コギングトルクとして知られるDCモータの抵抗トルクによって適切な位置
に保持され得る。電動モータが歯車装置を駆動して機械的リンクを作動させてドアを動か
すと、歯車列比及び効率によりコギングトルクが増大する。これにより、外部からの大き
な開閉力を受けない場合でも、ドアの位置を維持するのに十分な抵抗が生じる。この抵抗
はバックドライブトルクとして知られている。しかしながら、極端な車両の向き又は突風
などの状況では、モータのコギングトルクは、ドアの位置を保持するのに不十分である。
【0007】
追加のコギング要素、すなわちコギングトルク増大装置を追加することによって、DC
モータのコギング効果を高めることができることが分かった。この装置は、モータシャフ
トと同軸に磁石対を追加することにより、DCモータのコギングトルクを増大させる。モ
ータは、追加のコギングトルクを加えるのに最も望ましい場所である。なぜなら、DCモ
ータ自体のトルクと同様に、トルクに歯車比と歯車列効率が乗算されるからである。好ま
しい実施形態では、逆向きに磁化された永久磁石が、モータのいずれかの端部に電動モー
タシャフトと同軸に取り付けられた外側ステータ及び内側ロータに配置される。逆向きに
磁化された磁石対を位置合わせすると、磁石が互いに引き寄せられ、コギングトルク増大
装置の位置が安定する。トルク増大装置をその安定位置から動かすには力が必要であるた
め、これはドアチェック位置に相当する。コギングトルクは、モータシャフトが回転する
ときに磁石をそれらの位置合わせされた位置から移動させることによって生成される。こ
のような磁石の位置ずれは、トルク増大装置の不安定位置をもたらす。これは、チェック
位置の間のドア位置に相当する。ドアを動かし、次にモータをチェック位置から回転させ
るように作用する力を取り除くと、モータは回転して安定したチェック位置に戻る。外側
磁石をDCモータに位置合わせして、システムのコギングトルクを増大させることができ
る。
【0008】
代替的な構成では、多極磁石をコギングトルク増大装置に使用することができる。これ
らは、固定された多極外側磁石と回転する多極内側磁石とを含むことができる。この場合
も、反対に帯電した磁極がモータシャフトの回転中に位置合わせされて引き合うため、装
置の位置は安定する。反対に帯電した磁極が位置合わせされず、逆に同じ帯電の磁極と位
置合わせされて反発すると、装置の位置は不安定になる。
【0009】
電動モータによって駆動される機械システムに適切な歯車比を選択することによって、
ドアの小さな変位がトルク増大装置の大きな回転をもたらし得る。したがって、可能なド
アチェック位置の間の増分が非常に小さい可能性がある。ユーザの観点からすれば、ドア
チェックは本質的に無限である。実際に、これは、ドアがその所望の可動域内の事実上ど
の位置でもチェックできることを意味する。
【0010】
本発明の主要な態様では、自動車ドア用のパワードライブユニットと一体化された車両
ドアチェッカーが、中央シャフトを含む直流永久磁石電動モータと、モータの外部から中
央シャフトに取り付けられたコギングトルク装置であって、シャフトの周りに同軸に取り
付けられた逆向きに磁化された永久磁石対を含むコギングトルク増大装置とを含み、同軸
の磁石対は、モータが自動車ドアのチェック位置に対応する複数の離散的な安定位置に保
持されるように、シャフトが回転すると互いに位置が合ったり位置がずれたりする。
【0011】
本発明の更なる態様では、一体化されたパワードライブユニットを備えた車両ドアチェ
ッカーは、中央シャフトによって駆動される歯車装置と、歯車装置によって回転される少
なくとも1つのレバーアームと、レバーアームの制御下で往復運動して車両ドアを開閉す
るリンクアームとをさらに含む。
【0012】
本発明の更なる態様では、逆向きに磁化された磁石対は、固定された多極外側磁石及び
回転する多極内側磁石にそれぞれ配置される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、添付の図面に関連して考察すると、以下の詳細な説明を参照することによっ
てさらに理解することができる。
【0014】
図1】ヒンジで結合され、DC電動モータを有するパワードライブユニットを用いて開閉するように構成された自動車のサイドドア及びボディピラーの切り取り概略斜視図である。
【0015】
図2】パワードライブユニットDC電動モータ、歯車アセンブリ、及びリンクロッドの概略斜視図である。
【0016】
図3】歯車列をさらに詳細に示す、パワードライブユニットの部分切り取り概略斜視図である。
【0017】
図4】歯車列と往復リンクロッドを駆動する中間コギング装置を備えたDCモータの部分切り取り概略斜視図である。
【0018】
図5図5A及び図5Bは、DCモータのいずれかの端部に取り付けられたコギング装置を示す概略立面図である。
【0019】
図6】DCモータのロータ、ステータ、磁束線を示すDCモータの斜視図である。
【0020】
図7】DCモータによって生成される最大コギング効果Aと最小コギング効果Bを示す。
【0021】
図8】DCモータに取り付けられたコギング装置の斜視図である。
【0022】
図9】位置合わせされた対向する装置磁石とコギング装置の対向する磁石間の引力を示す部分切り取り概略斜視図である。
【0023】
図10図9のようにコギング装置の対向する磁石が位置合わせされたときに生じる最小トルクを示す。
【0024】
図11】位置合わせされていない対向する装置磁石とコギング装置の対向する磁石間の引力を示す部分切り取り概略斜視図である。
【0025】
図12図11のようにコギング装置の対向する磁石が位置合わせされていないときに生じる最大トルクを示す。
【0026】
図13】ロータ、ステータ及び個々の永久磁石を備えたDCモータの端部に取り付けられたコギング装置の部分分解斜視図である。
【0027】
図14】組み立てられたコギング装置がその端部に取り付けられた状態のDCモータの斜視部分透視図である。
【0028】
図15】DCモータ単独、コギング装置単独、及びこれらの組み合わせによって生じるトルクを示す。
【0029】
図16A】コギング装置の代替的な実施形態における外側及び内側多極磁石の概略図であり、コギング力Bを生じる位置合わせされた対向する逆向きに磁化されたセグメント間の引力を示す。
【0030】
図16B】コギング装置の代替的な実施形態における外側及び内側多極磁石の概略図であり、コギング力Aを生じる位置合わせされていない逆向きに磁化されたセグメント間の引力及び反発力を示す。
【0031】
図16C図16A及び図16Bに示される向きの多極磁石によって生じるトルクを示す。
【0032】
先行する段落、特許請求の範囲、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替
物は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴の何れかを含めて、単独で又はあら
ゆる組合せで採用することができる。1つの実施形態に関連して記載された特徴は、その
ような特徴が相いれない場合を除き、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して説明することができる。
【0034】
図1を参照すると、自動車用のドアシステムは、ヒンジ5を介してボディピラー3に回
転可能に取り付けられたドア1を含む。ドア1は、制御ユニット9の動作下で、パワード
ライブユニット7によって自動的に開閉することができる。DC電動モータ11により駆
動されるパワードライブユニット7は、リンクロッド13に、ドア1を全閉から全開に、
及びそれらの間の様々な位置に移動させる。パワードライブユニット7はまた、ドア1を
それらの様々な向きに維持する。
【0035】
図2図3及び図4を参照すると、リンクロッド13は、レバーアーム10及び歯車列
15を介してリンクロッド13に接続されたDC電動モータ11によって、ドア1の位置
を制御するために前後に駆動される。電動モータ11により駆動されるウォームギア17
は、歯車列15を有利に駆動する。リンクロッド13の往復運動は、図4の符号X及び矢
印で表される。コギング装置19は、図5Aに概略的に示すように電動モータ11と歯車
列15との間に配置されてもよく、代わりに図5Bに示すようにモータ11の遠位端に配
置されてもよい。ドア1は、コギングトルクとして知られるDCモータ11からの抵抗ト
ルクによって適切な位置に保持される。このトルクは、所望の効果を達成するように調整
され得る歯車列15の歯車列比及び効率によって増大され、ドア1の選択された位置を維
持するのに十分な抵抗を生じる。この抵抗は、バックドライブトルク、すなわち電動モー
タ11を逆方向に駆動するのに十分なトルクとして知られている。
【0036】
典型的なDC永久磁石電動モータ11が、安定位置で図6に示されている。ロータ21
は、この構成では4つの永久磁石を含むステータ23によって生じる磁場と位置合わせさ
れる。磁束線Yを概略的に示す。この安定位置からロータ21を回転させるのに必要なト
ルクをコギングトルクと呼ぶ。図7は、安定位置でゼロの想定発生トルクと、ロータ及び
ステータが磁場の最大位置ずれ点にある状態で1.0の想定コギングトルクとを示す。
【0037】
しかしながら、極端な車両の向きなどのいくつかの状況では、モータ11のコギングト
ルクは、ドア1をその選択された位置に保持するのに十分ではない。このような状況では
、より高いコギングトルクが望ましい。
【0038】
図8及び図9を参照すると、典型的なDCモータのコギング効果を高めるために、トル
ク増大コギング装置19をモータ11に取り付けることができる。コギング装置19は、
DCモータ11のコギングトルクを増大させるために永久磁石対27、29を含む。追加
のコギングトルクのための最も望ましい位置は、モータ11に隣接している。なぜならば
、このようなトルクは、ドア保持トルクを提供するために歯車比と歯車列15の効率が乗
算されるからである。外側磁石セット27は、逆向きに分極され又は磁化された内側磁石
セット29と位置合わせされる。逆向きに分極された磁石は引き合うため、コギング装置
19は、磁石対27、29が位置合わせされたときに安定位置にある。磁石対27、29
の間の引力は、図9の符号Z及び矢印で表される。コギングトルクは、磁石をそれらの位
置合わせされた位置から移動させることによって発生する。図10は、先と同様に、磁石
対27、29が360度の回転の間中、位置が合ったり位置がずれたりするときのトルク
の変化を概略的に示す。トルクは、装置磁石27、29が図9のように位置合わせされて
いるとき、点Cで表されるようにゼロである。図10の最大コギング力は、DCモータ1
1のコギング効果にコギング装置19の効果が追加されているため、図7の最大コギング
力よりも大きい。
【0039】
図11は、最大位置ずれでの磁石対27、29を示す。この場合も先と同様に、逆向き
に分極された磁石対の間の引力は、符号Z及び矢印で示される。ポテンシャルエネルギー
は、磁石27、29が最大変位及び位置ずれにあるときに最大となる。最大不安定位置に
おけるコギング力は、図12の符号Dで示されている。
【0040】
図13は、永久磁石27が取り付けられたそれ自体のステータ31と、永久磁石29が
取り付けられたロータ33とを有するコギング装置19の部分分解図である。
【0041】
図14は、システムのコギングトルクを増大させるために外側磁石27がDCモータ1
1に位置合わせされた状態のコギング装置19の最適化された向きを示す。追加のコギン
グトルクは、モータ11の速度に応じて約2%から50%の電流消費の増加をもたらす可
能性がある。しかしながら、パワードア開閉機能のための典型的なモータ動作範囲では、
電流の増加は5%から8%の範囲内になる傾向がある。したがって、コギング装置19の
使用による追加のコギング効果は、DCモータ11の動作に悪影響を及ぼさない。
【0042】
図15は、DC電動モータ11のコギング効果によって生じるモータトルクE、コギン
グ装置19によって生じるコギング装置トルクF、及び電動モータ11とコギング装置1
9を組み合わせたコギング効果によって生じる総コギングトルクGを示す。
【0043】
図16A図16B及び図16Cは、コギング装置19内の装置磁石の代替的な構成を
示す。それぞれが単一の双極性を有する個別の永久磁石27、29を使用する代わりに、
同心円状に配置された円形の多極磁石を使用することができる。図16Aは、交互のN極
性セグメント及びS極性セグメントを含む円形の外側多極磁石35を、同様に交互のN極
性セグメント及びS極性セグメントを含むより小さい直径の内側多極磁石37の周りに同
心に備えた、このような多極磁石のアレイを示す。図16Aでは、それぞれの多極磁石3
5、37の対向するN極性セグメント及びS極性セグメントが位置合わせされており、位
置は安定している。対向する多極アレイの反対の極性部分の間の引力は、先と同様に符号
Zで表される。図16Bでは、それぞれの多極磁石35、37の対向するN極性セグメン
ト及びS極性セグメントが位置合わせされておらず、位置は不安定である。引力Zと反発
力Rとは同軸上に方向づけられていない。図16Aの安定位置Bは、図16Cの最小トル
クの位置に対応する。不安定位置Aは図16Cの最大トルクの位置に対応する。
【0044】
図示の実施形態では特定の構成要素の配置が開示されているが、他の配置が本明細書か
ら利益を得ることも理解されるべきである。特定のステップシーケンスが示され、説明さ
れ、請求されているが、ステップは、他に示されていない限り、任意の順序で行われ、分
離され、又は組み合わされてもよく、それでもなお本発明から利益を得ることが理解され
るべきである。
【0045】
様々な実施例は図に示される特定の構成要素を有するが、本発明の実施形態はこれらの
特定の組み合わせに限定されない。実施例の1つからの構成要素又は特徴の一部を、実施
例の別の1つからの特徴又は構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0046】
例示的な実施形態が開示されているが、当業者であれば、特定の修正が特許請求の範囲
内に入ることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲を検討し、その真の
範囲及び内容を決定すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドア用のパワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッカーであって、
コギングトルクの影響を受ける直流永久磁石電動モータであって、中央シャフトを含む電動モータと、
前記モータの外部から前記中央シャフトに取り付けられたコギングトルク増大装置であって、前記中央シャフトの周りのステータとロータのそれぞれに同軸に取り付けられたステータ磁石とロータ磁石とを含む逆向きに磁化された永久磁石対を含むコギングトルク増大装置と
を含み、
前記ステータ磁石と前記ロータ磁石は、前記モータが自動車ドアのチェック位置に対応する複数の離散的な安定位置に保持されるように、前記中央シャフトが回転すると互いに位置が合ったり位置がずれたりし、
前記ステータ磁石と前記ロータ磁石は、互いに位置合わせされたときに前記中央シャフトに対して径方向に互いに対向するように配置される、パワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッカー。
【請求項2】
a.前記中央シャフトによって駆動される歯車装置と、
b.前記歯車装置によって回転される少なくとも1つのレバーアームと、
c.前記レバーアームの制御下で往復運動して車両ドアを開閉するリンクアームと
をさらに含む、請求項1に記載のパワードライブユニットと一体化された車両ドアチェッカー。
【請求項3】
前記逆向きに磁化された磁石対は、固定された多極外側磁石及び回転する多極内側磁石にそれぞれ配置される、請求項1又は2に記載の車両ドアチェッカー。
【請求項4】
前記コギングトルク増大装置のステータ磁石及びロータ磁石が前記電動モータから分離されている、請求項1に記載の車両ドアチェッカー。
【外国語明細書】