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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102076
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】安全シリンジのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A61M5/28
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063150
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021548246の分割
【原出願日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】62/809,369
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/864,509
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518264424
【氏名又は名称】クリーデンス メドシステムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Credence MedSystems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ティラック,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルザス,アラン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,スティーヴン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スティーズ-ブラッドリー,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マーヒッジ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シャンリー,コナー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ルン,ミナ エム.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法を提供する。
【解決手段】方法は、注入システム本体を提供するステップを含み、注入システム本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定する。方法は、本体内部の遠位端に第1の物質を導入するステップを含む。本方法は、本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップを含み、遠位ストッパ部材および注入システム本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する。方法は、第2の物質を本体内部に導入するステップを含む。方法は、本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含む。方法は、細長い部材を本体内部に少なくとも部分的に挿入するステップを含み、細長い部材が、近位チャンバと遠位チャンバを流体的に結合するための複数の流路を有する。方法は、プランジャ部材を近位ストッパ部材に結合するステップを含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法であって、
注入システム本体を提供するステップであって、前記注入システム本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定する、ステップと、
前記本体内部の遠位端に第1の物質を導入するステップと、
前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記注入システム本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、前記第1の物質が前記遠位チャンバに配置される、ステップと、
前記本体内部に第2の物質を導入するステップと、
前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバに配置される、ステップと、
細長い部材を前記本体内部に少なくとも部分的に挿入するステップであって、前記細長い部材が、前記近位チャンバと前記遠位チャンバを流体的に結合するための複数の流路と、前記遠位ストッパ部材を貫通するように構成された近位端とを有する、ステップと、
前記近位ストッパ部材にプランジャ部材を結合するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記本体内部の遠位端に前記第1の物質を導入することが、前記本体内部の遠位端に液体を導入して、その液体を凍結乾燥させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記本体内部の遠位端に前記第1の物質を導入することが、前記本体内部の遠位端に粉末または固体を導入することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記遠位ストッパ部材を前記本体内部に配置する前に、前記注入システム本体を第1の構成でラックに配置するステップをさらに含み、
前記注入システム本体が前記第1の構成にあるときに、前記注入システム本体の遠位端が下方向に向けられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記開いた遠位端を介して前記遠位チャンバに前記第1の物質を導入する前に、前記ラック内の前記注入システム本体の向きを変えて第2の構成に変換するステップをさらに含み、
前記注入システム本体が前記第1の構成にあるときに、前記注入システム本体の近位端が下方向に向けられることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記本体内部に第2の物質を導入する前に、前記ラック内の前記注入システム本体を前記第1の構成に戻し、前記近位ストッパ部材を本体内に配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記ラックが、注入方法本体を前記ラック内で前記第1の構成および前記第2の構成に保持するための特徴部を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記遠位ストッパ部材が、その中に漏斗を含み、当該方法が、前記漏斗により針近位端を前記遠位ストッパ部材の中心に導くステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記漏斗が、U字形の保持部材/デテントを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記針近位端が、3D矢じり形状を有し、当該方法が、前記3D矢じりが前記U字形の保持部材/デテントと干渉して、前記遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記注入システム本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合する前に、遠位チャンバ内の前記第1の物質を凍結乾燥させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記近位ストッパ部材の近位側と遠位側の圧力差を利用して、前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記近位ストッパ部材を前記本体内部に挿入するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記近位ストッパ部材を前記本体内部に挿入する間に、前記近位チャンバ内の真空を維持するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、
前記近位ストッパ部材を前記本体内部に挿入する前に、前記近位ストッパ部材を前記注入システム本体の開いた近位端の上方に配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記近位ストッパ部材を前記本体内部に挿入する間に、前記近位チャンバが周囲雰囲気に流体結合されるように、前記近位ストッパ部材に隣接して管を配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
当該方法の間に、さらに、前記遠位チャンバ内の真空を維持することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
さらに、当該方法の1または複数のステップを真空中で実行することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
前記注入システム本体にフランジを結合するステップをさらに含み、前記フランジが長手方向軸に沿って移動するのを防止し、かつプランジャが前記フランジに対して長手方向軸上で移動できるようになっていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記長手方向軸に沿った前記近位ストッパ部材の移動を容易にするために、前記プランジャを前記近位ストッパ部材に結合するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、
前記注入システム本体、針ハブアセンブリ、および近位および遠位ストッパ部材が、予め滅菌されていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、
複数のプレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法において、
前記開いた近位端を介して第3の物質を前記本体内部に導入するステップと、
前記注入システム本体の開いた近位端を介して前記本体内部に第2の近位ストッパ部材を配置ステップであって、前記第2の近位ストッパ部材が、第2の近位チャンバの近位端を規定する、ステップとをさらに含み、
前記第3の物質が、前記第2の近位チャンバ内に配置されることを特徴とする方法。
【請求項23】
プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法であって、
針ハブアセンブリを注入システム本体に結合するステップであって、前記針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、前記注入システム本体が、開いた近位端、本体内部、および前記針ハブアセンブリによって閉じられる遠位端を規定する、ステップと、
前記注入システム本体を第1の構成でラックに配置するステップであって、前記注入システム本体が前記第1の構成にあるときに、前記注入システム本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第1の物質を導入するステップと、
前記注入システム本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記注入システム本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、前記針近位端が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、前記第1の物質が前記遠位チャンバに配置される、ステップと、
前記開いた近位端を介して第2の物質をシリンジ内部に導入するステップと、
前記注入システム本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が、近位遠位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバ内に配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法であって、
カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップであって、前記カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定し、前記カートリッジ本体が前記第1の構成にあるときに、前記カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記カートリッジ本体の開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記カートリッジ本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する、ステップと、
前記ラック内の前記カートリッジ本体の向きを変えて、前記カートリッジ本体の近位端が下方向に向けられる第2の構成に変換するステップと、
前記開いた遠位端を介して前記遠位チャンバに第1の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の遠位端にカートリッジキャップを結合するステップと、
前記カートリッジキャップを介して前記カートリッジ本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合するステップであって、前記針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、前記針近位端が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の動きを一時的に阻止する、ステップと、
前記ラック内の前記カートリッジ本体を前記第1の構成に戻すステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第2の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバ内に配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法であって、
カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップであって、前記カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部、および前記カートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する、ステップと、
前記カートリッジキャップを介して前記カートリッジ本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合するステップであって、前記針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含む、ステップと、
前記カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップであって、前記カートリッジ本体が前記第1の構成にあるときに、前記カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第1の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記カートリッジ本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、前記針近位端が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、前記第1の物質が前記遠位チャンバに配置される、ステップと、
前記開いた近位端を介してシリンジ内部に第2の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバに配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法であって、
カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップであって、前記カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部、および前記カートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する、ステップと、
前記カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップであって、前記カートリッジ本体が前記第1の構成にあるときに、前記カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第1の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記カートリッジ本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、前記針近位端が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の動きを一時的に阻止し、前記第1の物質が前記遠位チャンバに配置される、ステップと、
前記カートリッジ本体の遠位端にカートリッジキャップの上から針ハブアセンブリを結合するステップであって、前記針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、前記針近位端が前記カートリッジキャップを貫通する、ステップと
前記開いた近位端を介して第2の物質をシリンジ内部に導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に前記近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバ内に配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法であって、
カートリッジ本体を第1の構成でラック内に配置するステップであって、前記カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部よび開いた遠位端を規定し、前記カートリッジ本体が前記第1の構成にあるときに、前記カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記カートリッジ本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する、ステップと、
前記ラック内の前記カートリッジ本体の向きを変えて、前記カートリッジ本体の近位端が下方向に向けられる第2の構成に変換するステップと、
前記開いた遠位端を介して前記遠位チャンバに第1の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の遠位端にカートリッジキャップを結合するステップであって、前記カートリッジキャップが移送管を含み、前記移送管が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止する、ステップと、
前記ラック内の前記カートリッジ本体を前記第1の構成に戻すステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第2の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置し、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバ内に配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法であって、
カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップであって、前記カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部、および前記カートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する、ステップと、
前記カートリッジキャップに移送管を突き刺すステップと、
前記カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップであって、前記カートリッジ本体が前記第1の構成にあるときに、前記カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる、ステップと、
前記開いた近位端を介して前記本体内部に第1の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップであって、前記遠位ストッパ部材および前記カートリッジ本体が、前記本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、前記移送管が前記遠位ストッパ部材と干渉して前記遠位ストッパ部材の遠位方向の動きを一時的に阻止し、前記第1の物質が前記遠位チャンバに配置される、ステップと、
前記開いた近位端を介してシリンジ内部に第2の物質を導入するステップと、
前記カートリッジ本体の前記開いた近位端を介して前記本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップであって、前記近位ストッパ部材が前記近位チャンバの近位端を規定し、前記第2の物質が前記近位チャンバ内に配置される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
自動注入器システムにおいて、
使い捨ての注入システムであって、
近位端、遠位端およびそれらの間の注入システム本体内部を有する注入システム本体と、
前記注入システム本体内部に配置されたストッパ部材と、
前記ストッパ部材に結合されたプランジャ部材と、
前記注入システム本体の近位端に結合されたフィンガフランジと、
前記注入システム本体の遠位端に結合された針ハブアセンブリと、
前記針ハブアセンブリに結合された剛性針シールドとを備える使い捨ての注入システムと、
再利用可能な駆動システムであって、
駆動システム本体内部を有する駆動システム本体と、
前記注入システムが前記駆動システムに取り付けられた場合に、前記注入システム本体に対して前記プランジャ部材を遠位方向に移動させるプランジャアクチュエータ/プッシャと、
前記注入システムが前記駆動システムに取り付けられた場合に、前記駆動システム本体に対して前記注入システムを遠位方向または近位方向に移動させるフランジホルダ/キャリッジとを備える再利用可能な駆動システムと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、
前記駆動システムがさらに、
前記プランジャアクチュエータ/プッシャを移動させる第1のモータと、
前記フランジホルダ/キャリッジを移動させる第2のモータと、
前記第1および第2のモータに動作可能に結合されたコントローラと、
前記コントローラに動作可能に結合されたディスプレイと、
前記コントローラに動作可能に結合されたセンサとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムにおいて、
前記センサが、加速度計、接触センサ、位置センサ、ジャイロスコープ、温度計および皮膚接触センサからなる群のなかから選択されていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項30に記載のシステムにおいて、
前記駆動システムが、複数のセンサを備えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
自動注入器システムにおいて、
使い捨ての注入システムであって、
近位端、遠位端およびそれらの間の注入システム本体内部を有する注入システム本体と、
前記注入システム本体内部に配置された第1および第2のストッパ部材であって、前記第1のストッパ部材および前記注入システム本体が、第1のチャンバを規定し、前記第1および第2のストッパ部材および前記注入システム本体が、第2のチャンバを規定する、第1および第2のストッパ部材と、
前記第2のストッパ部材に結合されたプランジャ部材と、
前記注入システム本体の近位端に結合されたフィンガフランジと、
前記注入システム本体の遠位端に結合された針ハブアセンブリと、
前記針ハブアセンブリに結合された剛性針シールドとを備える使い捨ての注入システムと、
再利用可能な駆動システムであって、
駆動システム本体内部を有する駆動システム本体と、
前記注入システムが前記駆動システムに取り付けられた場合に、前記注入システム本体に対して前記プランジャ部材を遠位方向に移動させるプランジャアクチュエータ/プッシャと、
前記注入システムが前記駆動システムに取り付けられた場合に、前記駆動システム本体に対して前記注入システムを遠位方向または近位方向に移動させるフランジホルダ/キャリッジとを備える再利用可能な駆動システムと
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項33に記載のシステムにおいて、
前記駆動システムがさらに、
前記プランジャアクチュエータ/プッシャを移動させる第1のモータと、
前記フランジホルダ/キャリッジを移動させる第2のモータと、
前記第1および第2のモータに動作可能に結合されたコントローラと、
前記コントローラに動作可能に結合されたディスプレイと、
前記コントローラに動作可能に結合されたセンサとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムにおいて、
前記センサが、加速度計、接触センサ、位置センサ、ジャイロスコープ、温度計および皮膚接触センサからなる群のなかから選択されていることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項34に記載のシステムにおいて、
前記駆動システムが、複数のセンサを備えることを特徴とするシステム。
【請求項37】
物質を自動的に混合して注入する方法であって、
請求項34に記載の自動注入器システムを提供するステップであって、前記注入システムが前記駆動システムに取り付けられ、前記プランジャアクチュエータ/プッシャおよびフランジホルダ/キャリッジが近位側の第1の位置に配置される、ステップと、
前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対して遠位方向に移動させて、前記第2のチャンバから前記第1のチャンバに流体を移送して、注入可能な薬剤を形成するステップと、
前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させて、前記注入可能な薬剤を前記針ハブアセンブリを通して注入するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、
前記コントローラが、前記第1チャンバ内の粉末と前記流体との混合を促進して前記注入可能な薬剤を形成するためにデバイスを撹拌するようユーザに指示するメッセージを前記ディスプレイに表示させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、
前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させる前に、前記コントローラが、前記自動注入器システムを上向きにして、前記自動注入器システムから前記剛性針シールドを取り外すようにユーザに指示するメッセージを前記ディスプレイに表示させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
前記センサが、前記自動注入器システムが上向きの姿勢にあることを検出するステップと、
前記センサが前記自動注入器システムが上向きの姿勢にあることを検出した場合にのみ、前記コントローラが、前記第2のモータにより、前記フランジホルダ/キャリッジを前記駆動システム本体に対して近位方向に移動させて、前記針ハブアセンブリから前記剛性針シールドを分離させるステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法において、
前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させる前に、前記コントローラが、前記自動注入器システムを患者と接触するように配置することをユーザに指示するメッセージを前記ディスプレイに表示させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、
前記センサが、前記自動注入器システムと患者との間の接触を検出するステップと、
前記センサが前記自動注入器システムと患者との接触を検出した場合にのみ、前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させるステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法において、
前記コントローラが、前記第1のモータにより、前記プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合された前記プランジャ部材および前記第2のストッパ部材とを、前記注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させた後に、前記コントローラが、注入の終了を示すメッセージを前記ディスプレイに表示させ、ユーザに前記注入システムを取り外すように指示するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
マルチチャンバ安全注入システムであって
シリンジ本体内部を規定するシリンジ本体、およびその遠位端の遠位カップリング部材と、
前記シリンジ本体内部に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記シリンジ本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するために手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体内部に配置された混合管と、
前記遠位カップリング部材に少なくとも部分的に配置され、液密シールを形成しながら前記シリンジ本体内部からガスが出ることができるように構成された複数のチャネルを規定するベントプラグとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項45】
注入システムであって、
近位端に近位開口部を規定し、遠位端に遠位針インターフェースを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体内に配置された近位ストッパおよび遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して挿入するために手動で操作されるように構成されたプランジャ部材であって、滑らかな外面を有するプランジャ部材と、
流体移送アセンブリと、
後退防止機構を有するフィンガフランジであって、前記後退防止機構が、
前記プランジャ部材に対抗力を与えて、ブレーキタブに対する前記プランジャ部材の近位方向の移動を防止するように構成されたブレーキタブと、
前記後退防止機構を前記フィンガフランジの凹部に保持するように構成された保持特徴部とを有する、フィンガフランジと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記フィンガフランジが、前記フィンガフランジを前記シリンジ本体のフランジに取り付けるように構成された別の凹部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記後退防止機構が、前記凹部と前記後退防止機構の寸法との間の公差を小さくするように構成された複数のフィットタブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記後退防止機構が、金属クリップであることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記ブレーキタブが、弾性を有する自己作動する爪であることを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項49に記載のシステムにおいて、
前記ブレーキタブが、前記後退防止機構の平面に対して遠位方向に鋭角に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項50に記載のシステムにおいて、
前記ブレーキタブの鋭角性および弾性により、近位方向に後退する際に前記プランジャ部材に対する摩擦力が増加することを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項50に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が近位方向に後退するときに、前記ブレーキタブが、前記ブレーキタブの鋭角性および弾性により、前記後退防止機構を介して前記フィンガフランジの内壁に外向きの力を及ぼすことを特徴とするシステム。
【請求項53】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記フィンガフランジが、前記凹部内の前記後退防止機構と干渉して前記後退防止機構を保持するように構成されたエッジを有する開口部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項54】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記後退防止機構が、「C」字形を有することを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記後退防止機構が、「O」字形を有することを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が前記シリンジ本体内に挿入された後に、前記後退防止機構が、前記シリンジ本体からの前記プランジャ部材の取り外しを防止することを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記対抗力が、摩擦力および反力を含むことを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が前記後退防止機構に対して近位方向に移動するときに、前記ブレーキタブが、前記プランジャ部材の滑らかな外面に入り込むように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して流体注入に対する様々なレベルの制御を容易にするための注入システム、デバイスおよびプロセスに関し、より詳細には、医療環境におけるマルチチャンバの安全シリンジに関連するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1A(2)に示すような数百万ものシリンジが、医療環境で毎日消費されている。典型的なシリンジ(2)は、管状本体(4)、プランジャ(6)および注射針(8)を含む。図1Bに示すように、そのようなシリンジ(2)は、患者に流体を注入するだけでなく、薬瓶、バイアル、バッグまたは他の薬剤封入システム(10)などの容器から流体を引き出すか、またはそれら容器内に流体を排出するために利用することもできる。実際、米国などの一部の国では、無菌状態の維持に関する懸念と、規制上の制約により、特定の患者の環境に示すように、シリンジ(2)と一緒に薬瓶(10)を使用した場合、そのような薬瓶は、単一の患者に対してのみ使用され、その後、処分しなければならず、それにより薬瓶や残りの薬剤の廃棄物から多くの医療廃棄物がもたらされ、特定の重要な薬剤の周期的な不足の原因にもなる。図2Aを参照すると、3本のルアー型シリンジ(12)が示されており、それぞれが、遠位側に配置されたルアー継手形状(14)を有し、それらが、図2Bに示すルアーマニホールドアセンブリ(16)などの同様の継手形状を有する他のデバイスと結合されるようになっている。図2Bのルアーマニホールドアセンブリは、静脈内注入バッグの使用の有無にかかわらず、患者に液体薬剤を静脈内投与するために使用することができる。図2Aのシリンジのルアー継手(14)は、「雄」ルアー継手と呼ばれ、図2Bのルアー継手(18)は、「雌」ルアー継手と呼ばれることもあり、ルアーインターフェースの一方は、ネジ山が形成されて(この場合、その構成を「ルアーロック」構成と称することもある)、両者が相対的な回転により結合され、それが圧縮荷重と組み合わされる場合もある。言い換えれば、ルアーロックの一実施形態では、回転が、おそらく圧縮とともに、雄継手(14)のネジ山を係合させるために利用され、このネジ山は、雌継手(18)上のフランジと係合して、デバイスを流体封入された結合状態とするように構成されている。別の実施形態では、ネジ山または回転を用いることなく、圧縮を使用してルアー係合を提供するために、テーパ状のインターフェース形状が利用されることもある(そのような構成は、「スリップオン」または「円錐」ルアー構成と称することもある)。そのようなルアー結合は、オペレータにとって比較的安全であると認識されているが、ルアー結合の組立中に薬がこぼれたり、漏れたり、部品が破損したりする危険性がある。一方、針注入構成を使用すると、鋭い針が人や望ましくない構造物に接触したり、刺したりする危険性がある。このような理由から、いわゆる「安全シリンジ」が開発されてきた。
【0003】
安全シリンジ(20)の一実施形態が、図3に示されており、この実施形態では、管状のシールド部材(22)が、シリンジ本体(4)に対してロック位置から解放されたときに、針(8)を覆うようにバネ付勢されている。安全シリンジ(24)の別の実施形態が、図4Aおよび図4Bに示されている。この構成では、シリンジ本体(4)に対してプランジャ(6)が完全に挿入された後、図4Bに示すように、引き込み可能な針(26)が、管状本体(4)内の安全位置に引き込まれる(28、26)ように構成されている。それ自体に納めるように構成されたそのような形態は、血液の飛び散り/エアロゾル化の問題や、誤作動して作動が早過ぎる可能性のある予め載荷されたエネルギーの安全な貯蔵、バネ圧縮体積内の残留デッドスペースに起因する全用量注射を与える際の精度の喪失、および/または痛みや患者の不安に関連し得る引き込み速度制御の喪失に関連する可能性がある。
【0004】
図5Aおよび図5Bに示すようなプレフィルドシリンジアセンブリに対する需要の増加により、シリンジ市場がさらに複雑化しており、それらは一般に、シリンジ本体または「薬剤封じ込め送達システム」(34)と、プランジャ先端、プラグまたはストッパ(36)と、ルアー型インターフェースに取り付けられた遠位シールまたはキャップ(35)とを備える(図5Aは定位置にあるキャップ35を示しているが、図5Bはルアー型インターフェース14を例示するために、キャップを取り外してある)。液体薬剤は、遠位シールとプランジャ先端(36)の遠位端(37)との間の容積または薬剤リザーバ(40)内にある。プランジャ先端(36)は、標準的なブチルゴム材料を含むことができ、関連するシリンジ本体構造および材料に対する好ましいシールおよび相対運動特性を容易にするために、生体適合性潤滑性コーティング(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)などでコーティングされている。図5Bのシリンジ本体(34)の近位端は、シリンジ本体(34)の材料と一体的に形成された従来の一体型シリンジフランジ(38)を備える。フランジ(38)は、シリンジ本体(34)から半径方向に延びるように構成されており、シリンジ本体(34)の周囲の全周または円周の一部となるように構成されている。部分的なフランジは、「クリップドフランジ」として知られており、他方のフランジは「フルフランジ」として知られている。フランジは、指でシリンジを把持するために使用され、プランジャを押して注射を行うための支持を提供する。シリンジ本体(34)は、好ましくは、ガラスまたはポリマーのような半透明の材料を含む。チャンバまたはリザーバ(40)内に封じ込められた容積を形成し、針を介した関連流体の排出を補助するために、プランジャ先端(36)をシリンジ本体(34)内に配置することができる。シリンジ本体(34)は、ほぼ円筒形を(すなわち、円形の断面形状を有するプランジャ先端36がシリンジ本体(34)に対してシールを確立するように)規定することができ、または楕円形などの他の断面形状を有するように構成することもできる。
【0005】
このようなアセンブリは、充填、包装および医薬品/薬剤インターフェーシング材料の選択とコンポーネントの使用に関する世界の絶え間なく変化する規制のすべてを満たす余裕のある世界で数少ない製造業者によって標準化され、正確に大量製造される可能性があるため、望ましい。しかしながら、そのような単純な構成では、一般的に、単回使用、安全性、自動無効化および針刺し防止に関する新しい世界基準を満たすことはできない。このため、特定のサプライヤは、1つのソリューションで規格のすべてまたはその少なくとも一部を満たそうとする、より「垂直」ソリューション、例えば、図5Cに示すようなもの(41)に移行してきており、多くの異なるシナリオでそれらの基準を満たそうとした結果、そのような製品には重大な制限があり(図3図4Bを参照して上述したような制限を含む)、在庫および使用費用が比較的高くなる可能性がある。
【0006】
場合によっては、多成分注入システムが、注入前に注入可能な成分(例えば、液体、固体および/または粉末)を混合することができる。
【0007】
さらに、注入する液体(例えば、医薬品)が増加すると、2以上の成分を、好ましくは、互いに短い間隔で(例えば、数秒以内に)連続的に(例えば、患者に)注入するという追加の要件が生じる。複数の成分は、別個の注入デバイス(例えば、予め装填されたシリンジ)を使用して連続的に注入することができ、または同じ注入デバイスを使用して、複数の成分を別個の開封容器から連続的に引き込んで、それらを連続的に注入することができる。しかしながら、そのような別個の注入デバイスを使用する連続注入や、複数の成分を連続的に引き込んで注入することは、必然的に患者に複数の針を挿入することになるのに加えて、不正確であり、成分の損失につながる可能性がある。さらに、別個の注入デバイスを使用した連続注入、または複数の成分をシリンジ内に連続的に引き込んで注入することは、1または複数のキャップされていない針をユーザに不必要に曝す可能性がある。さらに、別個の注入デバイスを使用した連続注入、または複数の成分を連続的に引き込んで注入することは、複数の成分の注入の間に許容できない遅延を生じさせる可能性がある。
【0008】
さらに、注入する可能性のある液体(例えば、医薬品)の増加は、金属(例えば、針のステンレス鋼)にそのような液体が曝される時間を最小にするというさらに別の要件が生じる。さらに別の要件は、患者の自己注入に適したシステムの望ましさである。
【0009】
また、注入システムに針刺し防止技術を組み込むことも望ましい。シリンジの内部に少なくとも部分的に針の鋭利な端部を引き込む能力は、注入を行う人および患者を不注意による針刺し負傷から保護する。
【0010】
現在利用可能な構成の欠点に対処する注入システムが必要とされている。特に、図5Aおよび図5Bを参照して説明したような、従来から提供されるプレフィルドシリンジアセンブリの既存の比較的良好に制御されたサプライチェーンを利用することができる、マルチチャンバの安全注入ソリューションの必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
実施形態は、注入システムに関する。特に、実施形態は、針を保護構成に移行して、ユーザの偶発的な怪我および使用済み針の汚染を最小限に抑えるマルチチャンバの安全な注入システムを対象とする。
【0012】
一実施形態では、プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法が、注入システム本体を提供するステップを含み、注入システム本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定する。本方法は、第1の物質を本体内部の遠位端に導入するステップも含む。本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップをさらに含み、遠位ストッパ部材および注入システム本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、第1の物質が遠位チャンバに配置される。さらに、本方法は、第2の物質を本体内部に導入するステップを含む。さらに、本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含み、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定し、第2の物質が近位チャンバに配置される。また、本方法は、細長い部材を本体内部に少なくとも部分的に挿入するステップも含み、細長い部材が、近位チャンバおよび遠位チャンバを流体的に結合するための複数の流路と、遠位ストッパ部材を貫通するように構成された近位端とを有する。本方法は、プランジャ部材を近位ストッパ部材に結合するステップをさらに含む。
【0013】
1または複数の実施形態では、第1の物質を本体内部の遠位端に導入することが、本体内部の遠位端に液体を導入して、その液体を凍結乾燥させることを含む。第1の物質を本体内部の遠位端に導入することは、粉末または固体を本体内部の遠位端に導入することを含むことができる。本方法は、遠位ストッパ部材を本体内部に配置する前に、注入システム本体を第1の構成でラックに配置するステップをさらに含むことができ、注入システム本体が第1の構成にあるときに、注入システム本体の遠位端が下方向に向けられる。また、本方法は、開いた遠位端を介して遠位チャンバに第1の物質を導入する前に、ラック内の注入システム本体を第2の構成に向きを変えるステップを含むことができ、注入システム本体が第1の構成にあるときに、注入システム本体の近位端が、下方向に向けられる。本方法は、第2の物質を本体内部に導入する前に、ラック内の注入システム本体を第1の構成に戻し、近位ストッパ部材を本体内に配置するステップを含むことができる。
【0014】
1または複数の実施形態では、ラックが、注入方法本体をラック内で第1の構成および第2の構成に保持するための特徴部を含む。遠位ストッパ部材は、その中に漏斗を含むことができ、本方法が、漏斗により針近位端を遠位ストッパ部材の中心に案内するステップをさらに含む。漏斗は、U字形の保持部材/デテントを含むことができる。針近位端は、3D矢じり形状を含むことができ、本方法が、3D矢じりがU字形の保持部材/デテントと干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の動きを一時的に阻止するステップをさらに含む。本方法は、針ハブアセンブリを注入システム本体の遠位端に結合する前に、遠位チャンバ内の第1の物質を凍結乾燥させるステップを含むことができる。
【0015】
1または複数の実施形態では、本方法が、近位ストッパ部材の近位側と遠位側の圧力差を利用して、注入システム本体の開いた近位端を介して近位ストッパ部材を本体内部に挿入するステップを含む。本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して近位ストッパ部材を本体内部に挿入する間に、近位チャンバ内に真空を維持するステップを含むことができる。本方法は、近位ストッパ部材を本体内部に挿入する前に、近位ストッパ部材を注入システム本体の開いた近位端の上方に配置するステップを含むことができる。本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して近位ストッパ部材を本体内部に挿入する間、近位チャンバが周囲雰囲気に流体結合されるように、近位ストッパ部材に隣接して管を配置するステップを含むことができる。本方法は、本方法の間に、遠位チャンバ内に真空を維持することを含むことができる。本方法は、本方法の1または複数のステップを真空中で実行することを含むことができる。
【0016】
1または複数の実施形態では、本方法が、フランジが長手方向軸に沿って移動することを防止し、かつプランジャがフランジに対して長手方向軸上で移動できるように、フランジを注入システム本体に結合するステップを含む。本方法は、長手方向軸に沿った近位ストッパ部材の移動を容易にするために、プランジャを近位ストッパ部材に結合するステップを含むことができる。注入システム本体、針ハブアセンブリ、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材は、予め滅菌されていてもよい。本方法は、複数のプレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備するステップを含むことができる。本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第3の物質を導入するステップと、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に第2の近位ストッパ部材を配置するステップとを含むことができ、第2の近位ストッパ部材が第2の近位チャンバの近位端を規定し、第3の物質が第2の近位チャンバ内に配置されるものであってもよい。
【0017】
一実施形態では、プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法が、注入システム本体(シリンジ/カートリッジ)を第1の構成でラック内に配置するステップを含み、注入システム本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定し、注入システム本体が第1の構成にあるときに、注入システム本体の遠位端が下方向に向けられる。本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップも含み、遠位ストッパ部材および注入システム本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する。この方法はさらに、ラック内の注入システム本体の向きを変えて、注入システム本体の近位端が下方向に向けられる第2の構成に変換するステップを含む。さらに、この方法は、開いた遠位端を介して遠位チャンバに第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、注入システム本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合するステップを含み、針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、針近位端が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止するようになっている。また、本方法は、ラック内の注入システム本体を第1の構成に戻すステップも含む。本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第2の物質を導入するステップをさらに含む。さらに、本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0018】
別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバ注入システムを準備する方法が、針ハブアセンブリを注入システム本体(シリンジ/カートリッジ)に結合するステップを含み、針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、注入システム本体が、開いた近位端、本体内部、および針ハブアセンブリによって閉じられる遠位端を規定する。本方法は、注入システム本体を第1の構成でラックに配置するステップも含み、注入システム本体が第1の構成にあるときに、注入システム本体の遠位端が下方向に向けられる。本方法はさらに、開いた近位端を介して本体内部に第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップを含み、遠位ストッパ部材および注入システム本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、針近位端が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、第1の物質が遠位チャンバに配置される。さらに、本方法は、開いた近位端を介して第2の物質をシリンジ内部に導入するステップを含む。また、本方法は、近位ストッパ部材が近位遠位チャンバの近位端を規定するように、注入システム本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0019】
さらに別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法が、カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップを含み、カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定する。カートリッジ本体が第1の構成にあるときに、カートリッジ本体の遠位端は、下方向に向けられる。本方法は、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップも含み、遠位ストッパ部材およびカートリッジ本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する。本方法はさらに、ラック内のカートリッジ本体の向きを変えて、カートリッジ本体の近位端が下方向に向けられる第2の構成に変換するステップを含む。さらに、本方法は、開いた遠位端を介して遠位チャンバに第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、任意選択的に、カートリッジキャップをカートリッジ本体の遠位端に結合するステップを含む。本方法は、カートリッジキャップを介してカートリッジ本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合するステップも含み、針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、針近位端が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止する。本方法はさらに、ラック内のカートリッジ本体を第1の構成に戻すステップを含む。さらに、本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第2の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0020】
さらに別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法が、任意選択的に、カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップを含み、カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部およびカートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する。本方法は、カートリッジキャップを介してカートリッジ本体の遠位端に針ハブアセンブリを結合するステップも含み、針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含む。本方法は、カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップをさらに含み、カートリッジ本体が第1の構成にあるときに、カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる。さらに、本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップを含み、遠位ストッパ部材およびカートリッジ本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、針近位端が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、第1の物質が遠位チャンバに配置される。本方法は、開いた近位端を介してシリンジ内部に第2の物質を導入するステップも含む。本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップをさらに含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0021】
別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法が、任意選択的に、カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップを含み、カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部、およびカートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する。本方法は、カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップを含み、カートリッジ本体が第1の構成にあるときに、カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる。本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第1の物質を導入するステップをさらに含む。さらに、本方法は、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップを含み、遠位ストッパ部材およびカートリッジ本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、針近位端が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、第1の物質が遠位チャンバに配置される。さらに、本方法は、針ハブアセンブリをカートリッジキャップの上からカートリッジ本体の遠位端に結合するステップを含み、針ハブアセンブリが、針近位端を有する針を含み、針近位端がカートリッジキャップを貫通する。本方法は、開いた近位端を介してシリンジ内部に第2の物質を導入するステップも含む。本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップをさらに含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0022】
さらに別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法が、カートリッジ本体を第1の構成でラック内に配置するステップを含み、カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部および開いた遠位端を規定する。カートリッジ本体が第1の構成にあるときに、カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる。本方法は、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップも含み、遠位ストッパ部材およびカートリッジ本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定する。本方法はさらに、ラック内のカートリッジ本体の向きを変えて、カートリッジ本体の近位端が下方向に向けられる第2の構成に変換するステップを含む。さらに、この方法は、開いた遠位端を介して遠位チャンバに第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、カートリッジキャップをカートリッジ本体の遠位端に結合するステップを含み、カートリッジキャップが移送管を含み、移送管が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止するようになっている。また、本方法は、ラック内のカートリッジ本体を第1の構成に戻すステップを含む。本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第2の物質を導入するステップをさらに含む。さらに、本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップを含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0023】
さらに別の実施形態では、プレフィルドマルチチャンバカートリッジを準備する方法が、任意選択的に、カートリッジキャップをカートリッジ本体に結合するステップを含み、カートリッジ本体が、開いた近位端、本体内部、およびカートリッジキャップによって閉じられる遠位端を規定する。また、本方法は、カートリッジキャップを移送管で貫通させるステップを含む。この方法はさらに、カートリッジ本体を第1の構成でラックに配置するステップを含み、カートリッジ本体が第1の構成にあるときに、カートリッジ本体の遠位端が下方向に向けられる。さらに、本方法は、開いた近位端を介して本体内部に第1の物質を導入するステップを含む。さらに、本方法は、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に遠位ストッパ部材を配置するステップを含み、遠位ストッパ部材およびカートリッジ本体が、本体内部に近位チャンバおよび遠位チャンバを規定し、移送管が遠位ストッパ部材と干渉して遠位ストッパ部材の遠位方向の移動を一時的に阻止し、第1の物質が遠位チャンバに配置される。本方法は、開いた近位端を介してシリンジ内部に第2の物質を導入するステップも含む。本方法は、近位ストッパ部材が近位チャンバの近位端を規定するように、カートリッジ本体の開いた近位端を介して本体内部に近位ストッパ部材を配置するステップをさらに含み、第2の物質が近位チャンバ内に配置される。
【0024】
1または複数の実施形態において、本方法は、フランジが長手方向軸に沿って移動することを防止し、プランジャが長手方向軸上で移動できるように、フランジおよびプランジャ部材を注入システム本体に結合するステップを含む。
【0025】
さらに別の実施形態では、自動注入器システムが、使い捨ての注入システム(シリンジ/カートリッジ)と、再利用可能な駆動システムとを含む。使い捨て注入システムは、注入システム本体を有し、この注入システム本体が、近位端、遠位端およびそれらの間の注入システム本体内部を含む。使い捨て注入システムは、注入システム本体内部に配置されたストッパ部材も含む。使い捨て注入システムは、ストッパ部材に結合されたプランジャ部材をさらに含む。さらに、使い捨て注入システムは、注入システム本体にその近位端で結合されたフィンガフランジを含む。さらに、使い捨て注入システムは、注入システム本体にその遠位端で結合された針ハブアセンブリを含む。また、使い捨て注入システムは、針ハブアセンブリに結合された剛性針シールドを含む。再使用可能な駆動システムは、駆動システム本体内部を有する駆動システム本体を含む。使い捨て注入システムは、注入システムが駆動システムに取り付けられた場合に、注入システム本体に対してプランジャ部材を遠位方向に移動させるプランジャアクチュエータ/プッシャも含む。使い捨て注入システムは、注入システムが駆動システムに取り付けられた場合に、駆動システム本体に対して注入システムを遠位方向および/または近位方向に移動させるためのフランジホルダ/キャリッジをさらに含む。
【0026】
1または複数の実施形態では、駆動システムが、プランジャアクチュエータ/プッシャを移動させる第1のモータと、フランジホルダ/キャリッジを移動させる第2のモータと、第1および第2のモータに動作可能に結合されたコントローラと、コントローラに動作可能に結合されたディスプレイと、コントローラに動作可能に結合されたセンサとを含む。センサは、加速度計、接触センサ、位置センサ、ジャイロスコープ、温度計および皮膚接触センサからなる群のなかから選択することができる。駆動システムは、複数のセンサを含むことができる。
【0027】
さらに別の実施形態では、自動注入器システムが、使い捨ての注入システム(シリンジ/カートリッジ)と、再利用可能な駆動システムとを含む。使い捨て注入システムは、注入システム本体を有し、この注入システム本体が、近位端、遠位端およびそれらの間の注入システム本体内部を含み、使い捨て注入システムは、注入システム本体内部に配置された第1および第2のストッパ部材も含み、第1のストッパ部材および注入システム本体が、第1のチャンバを規定し、第1および第2のストッパ部材および注入システム本体が、第2のチャンバを規定する。使い捨て注入システムは、第2のストッパ部材に結合されたプランジャ部材をさらに含む。さらに、使い捨て注入システムは、注入システム本体の近位端に結合されたフィンガフランジを含む。さらに、使い捨て注入システムは、注入システム本体の遠位端に結合された針ハブアセンブリを含む。また、使い捨て注入システムは、針ハブアセンブリに結合された剛性針シールドを含む。再使用可能な駆動システムは、駆動システム本体内部を有する駆動システム本体を含む。再使用可能な駆動システムは、注入システムが駆動システムに取り付けられた場合に、注入システム本体に対してプランジャ部材を遠位方向に移動させるプランジャアクチュエータ/プッシャも含む。再使用可能な駆動システムは、注入システムが駆動システムに取り付けられた場合に、駆動システム本体に対して注入システムを遠位方向および/または近位方向に移動させるためのフランジホルダ/キャリッジをさらに含む。
【0028】
1または複数の実施形態では、駆動システムが、プランジャアクチュエータ/プッシャを移動させる第1のモータと、フランジホルダ/キャリッジを移動させる第2のモータと、第1および第2のモータに動作可能に結合されたコントローラと、コントローラに動作可能に結合されたディスプレイと、コントローラに動作可能に結合されたセンサとを含む。センサは、加速度計、接触センサ、位置センサ、ジャイロスコープ、温度計および皮膚接触センサからなる群のなかから選択することができる。駆動システムは、複数のセンサを含むことができる。
【0029】
別の実施形態では、物質を自動的に混合して注入する方法が、上述した自動注入器システムを提供するステップを含み、注入システムが駆動システムに取り付けられ、プランジャアクチュエータ/プッシャおよびフランジホルダ/キャリッジが近位側の第1の位置に配置される。本方法は、コントローラが、1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対して遠位方向に移動させて、流体を第2のチャンバから第1のチャンバに移送して、注入可能な薬剤を形成するステップも含む。本方法は、コントローラが、第1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させて、注入可能な薬剤を針ハブアセンブリを通して注入するステップをさらに含む。
【0030】
1または複数の実施形態において、本方法は、コントローラが、第1チャンバ内の粉末と流体との混合を促進して注入可能な薬剤を形成するためにデバイスを撹拌するようユーザに指示するメッセージをディスプレイに表示させるステップをさらに含む。本方法は、コントローラが、第1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させる前に、コントローラが、自動注入器システムを上向きにして、自動注入器システムから剛性針シールドを取り外すようにユーザに指示するメッセージをディスプレイに表示させるステップをさらに含むことができる。本方法は、センサが自動注入器システムが上向きの姿勢にあることを検出するステップと、センサが自動注入器システムが上向きの姿勢にあることを検出した場合にのみ、コントローラが、第2のモータにより、フランジホルダ/キャリッジを駆動システム本体に対して近位方向に移動させて、針ハブアセンブリから剛性針シールドを分離させるステップとをさらに含むことができる。
【0031】
1または複数の実施形態において、本方法は、コントローラが、第1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させる前に、コントローラが、自動注入器システムを患者と接触するように配置することをユーザに指示するメッセージをディスプレイに表示させるステップをさらに含む。本方法は、センサが、自動注入器システムと患者との間の接触を検出するステップと、センサが自動注入器システムと患者との接触を検出した場合にのみ、コントローラが、第1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させるステップとをさらに含むことができる。本方法は、コントローラが、第1のモータにより、プランジャアクチュエータと、それに動作可能に結合されたプランジャ部材および第2のストッパ部材とを、注入システム本体に対してさらに遠位方向に移動させた後に、コントローラが、注入の終了を示すメッセージをディスプレイに表示させ、ユーザに注入システムを取り外すように指示するステップをさらに含むことができる。
【0032】
さらに別の実施形態では、マルチチャンバ安全注入システムが、シリンジ本体内部を規定するシリンジ本体、およびその遠位端の遠位カップリング部材を含む。このシステムは、シリンジ本体内部に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材を含み、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する。また、本システムは、シリンジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入するために手動で操作するように構成されたプランジャ部材を含む。このシステムは、シリンジ本体内部に配置された混合管をさらに含む。さらに、このシステムは、遠位カップリング部材に少なくとも部分的に配置され、液密シールを形成しながらシリンジ本体内部からガスが出ることを可能にするように構成された複数のチャネルを規定するベントプラグを含む。
【0033】
さらに別の実施形態では、注入システムが、近位端に近位開口部を規定し、遠位端に遠位針インターフェースを規定するシリンジ本体を含む。このシステムは、シリンジ本体内に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する。このシステムは、シリンジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入するために手動で操作するように構成されたプランジャ部材をさらに含み、プランジャ部材が滑らかな外面を有している。さらに、本システムは、流体移送アセンブリを含む。さらに、このシステムは、後退防止機構を含むフィンガフランジを備える。後退防止機構は、プランジャ部材に対抗力を与えて、ブレーキタブに対するその近位方向の移動を防止するように構成されたブレーキタブと、後退防止機構をフィンガフランジの凹部に維持するように構成された保持特徴部とを有する。
【0034】
1または複数の実施形態では、フィンガフランジが、フィンガフランジをシリンジ本体のフランジに取り付けるように構成された別の凹部も含む。後退防止機構は、凹部と後退防止機構の寸法との間の公差を小さくするように構成された複数のフィットタブも含むことができる。後退防止機構は、金属クリップであってもよい。
【0035】
1または複数の実施形態では、ブレーキタブが、弾性を有する自己作動する爪である。ブレーキタブは、後退防止機構の平面に対して遠位方向に鋭角に配置することができる。ブレーキタブの鋭角性と弾性は、近位方向への後退時にプランジャ部材に対する摩擦力を増大させることができる。また、ブレーキタブが鋭角であることにより、プランジャ部材の表面に接触するブレーキタブの鋭い湾曲したエッジによって加えられる、プランジャ部材に平行な反力が生じる。この力により、プランジャ部材の近位方向への移動が妨げられる。また、ブレーキタブの鋭角性と弾性により、プランジャ部材が近位方向に後退したときに、ブレーキタブが後退防止機構を介してフィンガフランジの内壁に外向きの力を及ぼすことができる。
【0036】
1または複数の実施形態では、フィンガフランジが、後退防止機構と干渉して後退防止機構を凹部内に保持するように構成されたエッジを有する開口部も含む。後退防止機構は、「C」または「O」の形状を有することができる。後退防止機構は、プランジャ部材がシリンジ本体に挿入された後に、シリンジ本体からのプランジャ部材の取り外しを防止することができる。対抗力は、摩擦力および反力を含むことができる。ブレーキタブは、プランジャ部材が後退防止機構に対して近位方向に移動する際に、プランジャ部材の滑らかな外面に入り込むように構成することができる。
【0037】
本発明の上述した実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
実施形態の上述した態様および他の態様は、添付図面を参照してさらに詳細に説明されており、それら図面においては、様々な図面中の同じ要素が共通の符号によって示されている。
【0039】
図1図1Aおよび図1Bは、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
図2図2Aおよび図2Bは、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
図3図3は、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
図4図4Aおよび図4Bは、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
図5図5A図5Cは、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
図6図6Aおよび図6Bは、いくつかの実施形態に係る、使用後に遠位針の端部/先端が保護構成に引き込まれるシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図7図7A図7Pは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムを使用して混合および注入するための方法のステップ中における、同システムの様々な態様を示している。
図8図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図9図9A図9Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムとともに使用するデテントを持つストッパブッシングを有する遠位ストッパ部材の様々な態様を例示している。
図10図10A図10Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するためのデテントを持つストッパ部材ブッシングの様々な態様を示している。
図11図11A図11Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するストッパ部材ブッシングとともに用いるデテントの様々な態様を示している。
図12図12A図12Cは、いくつかの実施形態に係る、複数の注入システム/シリンジ本体を含み、容器に収納されたラックを示している。
図13図13は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法を示すフローチャートである。
図14図14A図14Jは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法における様々なステップを示している。
図15図15A図15Dは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムで使用するためのストッパ部材ブッシングとともに使用するためのデテントの様々な態様を示している。
図16図16および図16Aは、いくつかの実施形態に係るデテントと針近位端との間の相互作用を示している。
図17図17は、いくつかの実施形態に係る、複数の注入システム/シリンジ本体を含み、容器に収納されたラックを示している。
図18図18は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法を示すフローチャートである。
図19図19A図19Hは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法における様々なステップを示している。
図20図20A図20Dは、いくつかの実施形態に係る、複数のカートリッジ本体を含み、容器に収納されたラックを示している。
図21図21は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法を示すフローチャートである。
図22図22A図22Jは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法における様々なステップを示している。
図23図23Aおよび図23Bは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムとともに使用するためのカートリッジキャップの様々な態様を示している。
図24図24Aおよび図24Bは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムとともに使用するためのカートリッジ本体を示している。
図25図25は、いくつかの実施形態に係る、複数のカートリッジ本体を含み、容器に収納されたラックを示している。
図26図26は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法を示すフローチャートである。
図27図27A図27Gは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法における様々なステップを示している。
図28図28は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法を示すフローチャートである。
図29図29A図29Hは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法における様々なステップを示している。
図30図30は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムとともに使用するためのカートリッジストッパを示している。
図31図31A図31Hは、いくつかの実施形態に係る自動注入器を使用して薬剤を注入する方法の様々なステップを示している。
図32図32A図32Jは、いくつかの実施形態に係る自動注入器を使用して薬剤成分を混合し、混合した薬剤を注入するための方法における様々なステップを示している。
図33図33は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図34図34は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図35図35は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図36図36は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図37図37は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図38図38は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図39図39は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図40図40は、いくつかの実施形態に係るルアーコネクタを有するシリンジを使用して薬剤成分を混合し、混合した薬物を注入する方法における様々なステップを示している。
図41図41は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。図41Aは、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図42図42は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図43図43A図43Dは、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図44図44は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図45図45は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図46図46は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図47図47は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを有するマルチチャンバ安全注入システムの様々な態様を示している。
図48図48は、いくつかの実施形態に係るベントプラグを示している。
図49図49は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図50図50は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図51図51は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図52図52は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図53図53は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図54図54は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図55図55は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
図56図56は、いくつかの実施形態に係る後退防止機構を示している。
【0040】
様々な実施形態の上記および他の利点および目的を得る方法をより良く理解するために、添付の図面を参照しながら、実施形態のより詳細な説明を提供する。なお、図面は一定の縮尺で描かれておらず、同様の構造または機能の要素が、全体を通して同様の符号で示されていることに留意されたい。それらの図面は、特定の例示的な実施形態のみを示しており、よって実施形態の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
例示的なプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム
図6Aおよび図6Bを参照すると、従来の近位および遠位ストッパ部材(32、36)が内部に配置された従来の既製のプレフィルドシリンジ本体(34)を有するプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(100)の斜視図および縦断面図が示されている。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、シリンジ本体(34)とともに、近位および遠位チャンバ(40、42)を規定する。近位および遠位ストッパ部材(36、37)は、近位チャンバ(40)の近位端および遠位端を閉塞する。遠位ストッパ部材(36)は、遠位チャンバ(42)の近位端を閉塞する。いくつかの実施形態では、近位ストッパ部材(32)の遠位端および遠位ストッパ部材(36)の近位端は、潤滑性ポリマーコーティング(例えば、PTFE)でコーティングすることができ、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の第1および第2のポリマーコーティングが、シリンジ本体(34)とともに、近位チャンバ(40)を規定している。潤滑性ポリマーコーティングは、近位および遠位ストッパ部材(32、36)のゴムを第2の液体(254)から隔離する役割を果たす。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、図6Aおよび図6Bに示すように向けることができ、あるいは潤滑性コーティングが遠位チャンバ(42)を向くように遠位ストッパ(36)が反転されて、遠位チャンバ(42)内の第1の液体(252)が保管のために潤滑性コーティングに接触するようにしてもよい。
【0042】
針カップリングアセンブリ(606)は、針カバー部材(63)が保管用に取り付けられた状態で、遠位チャンバ(42)の遠位端に配置されている。デュアルチャンバ安全注入システムは、ユーザが様々な程度でシリンジ本体(34)に対してプランジャアセンブリ(44)を順次挿入することにより、遠位チャンバ(42)からの第1の液体(252)の注入に続いて、近位チャンバからの第2の液体(254)の連続注入を容易にする。プランジャアセンブリ(44)は、近位ストッパ部材(32)、プランジャハウジング部材(69)およびプランジャ操作インターフェース(128)を含む。遠位および近位チャンバ(42、40)内にそれぞれ配置された第1および第2の液体は、水性または油性の薬液などの任意の液体またはゲルであってよい。
【0043】
デュアルチャンバ安全注入システム(100)は、ステイクド針(staked needle)構成を有し、この構成では、ユーザに提供される際に、針スパインアセンブリ(「針」)(76)および針カップリングアセンブリ(606)を含む針アセンブリが、針カバー部材(63)を取り外した後に、注入の準備ができた定位置に取り付けられており、針カバー部材は、その内部表面に、保管中に針遠位端(78)および/または遠位ハウジング部分と接触するエラストマーシール材料を有することができる。代替的には、針カバー部材(63)は、シリンジ本体(34)への汚染の侵入を防ぎながら、液体(252、254)の移動に起因する圧力をシリンジ本体(34)の内部から逃がすことができるベント(図示省略)を含むことができる。ステイクド針は、定位置に取り付けられているように描かれているが、ステイクド針は、ルアースリップまたはルアーロックインターフェース(図示省略)を使用してシリンジ本体(34)に取り外し可能に結合することができ、針部材の近位端(50)は、ルアーインターフェースを通って遠位チャンバ(42)内に延在している。代替的に、針は、シリンジの代わりにカートリッジ本体のフランジに固定的にまたは取り外し可能に取り付けられるものであってもよい。図6Aおよび図6Bに示す実施形態では、安全な針引き込み部材のかなりの部分がプランジャハウジング内に存在する。
【0044】
図7A図7Lを参照すると、マルチパート薬剤の注入およびシリンジ本体への針の引き込みを容易にするように設計された構成の様々な態様が例示されており、ここでは、患者に送達される直前に、2以上の薬剤成分が組み合わされて、注入用の組合せまたは溶液が形成される。一態様では、液体の第1の薬剤成分/希釈剤(252)を、注入の直前に、凍結乾燥された薬物成分などの薬剤の粉末および/または固体(例えば、圧縮粉末)の形態などの実質的に非液体の第2の薬剤成分(254)と組み合わせることができる。第2の薬剤成分(254)は、一般的に固体の形態に形成された粉末薬剤で構成され得る。固体の形態は、粉末を圧縮することによって、かつ/またはバインダ材料を使用することによって作成することができる。この固体薬剤成分は、円筒形、管状、球状、多角形および/またはトロイダル形状に構成することができる。固体薬剤(254)は、凍結乾燥ステップ中かつ/またはその代わりに、遠位薬剤チャンバ(42)内に配置することができる。固体形態の第2の薬剤成分(254)は、液体に接触したときに溶解および/または分散するように構成されている。図7A図7Lを参照して本明細書に記載の構成は、同じシリンジ本体(34)内の2以上のチャンバが注入溶液の移送、混合および注入のために利用される、デュアルチャンバ構成に関するものである。
【0045】
図7Aおよび図7Bを参照すると、シリンジ本体(34)の内部の2部分の間の遠位ストッパ部材(36)によって、近位および遠位薬剤チャンバ(40、42)が形成されており、遠位薬剤チャンバ(42)が、空気またはガスギャップと、非液体薬剤(254)とを含み、遠位ストッパ部材(36)の反対側にある近位薬剤チャンバ(40)が、液体希釈剤(252)を含み、この液体希釈剤が、近位ストッパ部材(32)によって近位側に閉じ込められている。液体希釈剤(252)は、薬剤の第1の成分であり、非液体薬剤(254)は、薬剤の第2の成分である。
【0046】
図7Cと、図7Dの関連する断面図を参照すると、針カップリングアセンブリの様々なコンポーネント(ここでは、いわゆる「ステイクド」針カップリングアセンブリ(606)が例示されているが、ステイクド構成だけでなくルアーカップリング構成を含む、後述するような他の針アセンブリを利用することができる)。ラグ特徴部(258)は、例えば図7Aに示すように、針カップリングアセンブリ(606)を針カバー部材(63)に結合するのを補助するように構成されている。針シャフトの周りのシール部材(260)として小さなOリングを利用することができ、一方、シリンジ本体(34)/針カップリングアセンブリ(606)のインターフェースでシール部材(262)として大きなOリングを利用することができる。代替的には、小さなOリング(260)と大きなOリング(262)を組み合わせて、Oリングのシール機能の両方を果たす単一のシールにすることができる。また、小さなOリング(260)を使用して、針シャフトの周りとシリンジ本体(34)の両方をシールすることもできる。
【0047】
針は、より遠位側に位置する中間開口部/開口(266)から排出される液体希釈剤の流入を可能にするように構成された複数(例えば4つ)の近位開口部/ポート(270)を含み、ルーメンプラグ(268)は、針ルーメンを閉塞して、図7Hを参照して本明細書に記載されるような条件下で、近位開口部(270)から中間開口部(266)への流路を形成する。また、針は、中間開口部(266)とはルーメンプラグ(268)の反対側に遠位開口部(264)を含む。遠位開口部(264)は、患者に液体を注入するために、針を介して針遠位端(48)に流体的に結合されている。
【0048】
図7Eを参照すると、近位銛インターフェース(84)が、近位および遠位ストッパ部材(32、36)を連続的に貫通し、プランジャロッド内のカップリング特徴部(針保持特徴部などが、例えば、図7Nおよび図7Pに例示されている、要素712)と結合するように構成されている。図7Fは、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の両方を連続的に貫通し、注入が患者に与えられた後に、針部材をプランジャロッド内に少なくとも部分的に引き込むためにプランジャロッド内のカップリング特徴部と結合するように構成されたスパイク式の銛カップリングインターフェース(85)を示している。
【0049】
図7A図7B図7G図7Pは、上述したようなデュアルチャンバ安全注入システムを利用する注入手順の一連の動作を示している。図7Aおよび図7Bを参照すると、注入アセンブリが安定した構成にあり、この構成では、出荷または注入患者ケアシナリオに持ち込むことができ、第1の薬剤成分/液体希釈剤(252)が、第2の非液体薬剤成分(254)から分離され、ともにシリンジ本体内にあり、遠位ストッパ部材(36)の互いに反対側に位置する。
【0050】
図7Gおよび図7Hは、遠位(36)および近位(32)ストッパ部材を一緒にシリンジ本体(34)に対して前進させる、プランジャアセンブリ(44)の初期挿入動作を示している。図7Hを参照すると、針アセンブリの近位端(50)を突き刺して遠位ストッパ部材(36)を横切るのに十分な前進により、シリンジ本体(34)の以前に分離された2つのチャンバ(40、42)間に流体経路が形成され、近位薬剤チャンバ(40)内の液体の第1の薬剤成分(252)が、移送管(46)を介して、近位開口部(270)の少なくとも一つに流入し、より遠位側の中間開口部(266)から出て、遠位薬剤チャンバ(42)内の非液体の第2の薬剤成分(254)に到達するようになっている。
【0051】
図7Iおよび図7Jは、ストッパ部材(36、32)が互いに隣接するまでさらに挿入したときに、液体の第1の薬剤成分/希釈剤(252)が遠位薬剤チャンバ(42)内に移動して、非液体の第2の薬剤成分(254)に合流することを示している。図7Kおよび図7Lは、時間とともに、かつ/または手動での撹拌により、液体の第1の薬剤成分/希釈剤(252)および以前は非液体の第2の薬剤成分(254)が混合されて、混合薬剤溶液(272)が形成されることを示している。
【0052】
いくつかの実施形態では、特に凍結乾燥された非液体の第2の薬剤成分を用いて、混合薬剤溶液(272)が、最小限の撹拌または時間経過で、または撹拌または時間経過なしで、形成することができる。別の実施形態では、特に懸濁液中に保持されている薬剤または乳化された薬剤では、混合を促進するために激しい振とうが必要となる場合がある。激しく振る場合、プランジャ操作インターフェース(128)から親指を離すことができると、ユーザにとって便利である。液体の第1の薬剤成分(252)を近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバ(40、42)に移送する間に、圧力が遠位薬剤チャンバ(42)に蓄積することがある。この圧力は、近位および遠位ストッパ部材(32、36)に作用してストッパの動きに抵抗する。また、ユーザが親指でプランジャアセンブリ(44)を拘束していない場合、圧力の蓄積によってストッパ部材(32、36)およびプランジャ操作インタフェース(128)が近位方向に移動する可能性もある。プランジャアセンブリ(44)における混合構成ラッチまたは「混合クリック」(図9Aおよび図9Bに示し、後述する)は、圧力の蓄積によるプランジャ操作インターフェース(128)の動きに抵抗を与えるために利用することができ、薬剤の振とうまたは混合のためにユーザがプランジャ操作インターフェース(128)から親指を離すことを可能にする。また、混合クリックは、液体の第1の薬剤成分(252)の移送が完了したことを可聴式でかつ/または触覚的に示すものであってもよい。また、遠位薬剤チャンバ(42)は、薬剤成分の混合を補助する撹拌デバイスを含むことができる。
【0053】
混合溶液(272)の注入の準備ができたアセンブリでは、図7Mおよび図7Nに示すように、針カバー部材(63)を取り外すことができ、プランジャアセンブリ(44)および関連するストッパ部材(36、32)の押し下げ/挿入により、露出した針遠位端(48)で患者に注入することができる。図7Oおよび図7Pを参照すると、プランジャアセンブリ(44)および関連するストッパ部材(32、36)の完全な押し下げ/挿入により、鋭い針遠位端/先端(48)が、少なくとも部分的に遠位および近位ストッパ部材(36、32)を通って、シリンジ本体(34)、針カップリングアセンブリ(606)、または少なくとも部分的にプランジャアセンブリ(44)内の安全な位置に自動的に後退することができる。
【0054】
デュアルチャンバ安全注入におけるデテントを有する例示的な遠位ブッシングシステム
図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態に係るプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(800)を示している。このシステム(800)は、デテント(812)が内部に配置されたストッパブッシング(810)を含む(図8Bを参照)。デテント(812)は、針スパインアセンブリ(876)の先の尖った近位端(884)、および針近位端(850)と針接合部材(883)との間の接合部にある肩部(816)と相互作用して、針スパインアセンブリ(876)に対する遠位ストッパ部材(836)の遠位方向の移動に対する抵抗を与えるように構成されている(図8Bを参照)。
【0055】
デテント(812)と近位端(884)との間の相互作用は、図8Aおよび図8Bに示す構成など、保管および輸送中に遠位ストッパ部材(836)を使用可能な位置に維持する。この相互作用は、遠位チャンバ(842)内の真空または部分的な真空(例えば、凍結乾燥成分用)があっても、遠位ストッパ部材(836)の位置を維持する。デテント(812)がなく、遠位チャンバ(842)が真空である場合には、遠位ストッパ部材(836)は、最終的には針スパインアセンブリ(876)に対して遠位方向に相対的に移動し、それにより貫通される。その結果、システムが使用できなくなる。
【0056】
デテント(812)と肩部(816)との間の相互作用は、近位チャンバ(840)から遠位チャンバ(842)への液体の移送中に、遠位ストッパ部材(836)を移送位置に維持する。この相互作用により、ユーザは、遠位ストッパ部材(836)の早過ぎる移動の危険性を最小化しながら、液体を移送するためにプランジャ部材により広い範囲の力を加えることができる。
【0057】
図9A図9Cは、図8Aおよび図8Bに示すプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(800)における、デテント(812)と針スパインアセンブリ(876)の先の尖った近位端(884)と針スパインアセンブリ(876)の肩部(816)との間の相互作用を示している。図9Aに示すように、遠位ストッパ部材(836)は、デテント(812)を有し、位置決め漏斗(814)を規定するストッパブッシング(810)を備える。図9Aでは、位置決め漏斗(814)が、針スパインアセンブリ(876)の近位端(884)を、デテント(812)に隣接して配置されるように案内する。
【0058】
図9Bは、システム(800)の保管/輸送構成を示している。この構成では、針スパインアセンブリ(876)の先の尖った近位端(884)は、デテント(812)に隣接して、かつ部分的にデテント内に配置されている。近位端(884)およびデテント(812)の様々な特性(例えば、幾何学的形状、材料など)は、デテント(812)を越えて近位端(884)を押し出すのに必要な力を調節するために変更することができる。それらの特性を以下に詳細に説明する。一実施形態では、デテント(812)を越えて近位端(884)を押し出すのに必要な力は、約2ポンド~約5ポンドである。上述したように、遠位チャンバ(842)内の真空または部分的な真空が遠位ストッパ部材(836)を遠位方向に促す場合であっても、近位端(884)とデテント(812)との間の相互作用は、針スパインアセンブリ(876)に対する遠位ストッパ部材(836)の早過ぎる移動を防止する。これにより、プレフィルドデュアルチャンバシステム(800)は、システム(800)を使用不能にする可能性のある遠位ストッパ部材(836)の早過ぎる移動の危険性を最小化しながら、保管することが可能になる。
【0059】
図9Cは、システム(800)の移送構成を示している。この構成では、遠位ストッパ部材(836)は、プランジャ部材にユーザが与える力によって、針スパインアセンブリ(876)の先の尖った近位端(884)を越えて遠位方向に押されている。近位開口部(885)は、近位チャンバ(840)内に配置されており、それにより近位チャンバ(840)から遠位チャンバ(842)に液体を移動させることが可能になっている。遠位チャンバ(842)内の真空が近位チャンバ(840)から液体を引き抜く一方で、プランジャ部材を介して近位ストッパ部材(832)に加えられるユーザ生成の力が、液体の移動を補助する。この構成では、針スパインアセンブリ(876)の肩部(816)が、デテント(812)に隣接して配置されている。肩部(816)およびデテント(812)の様々な特性(例えば、幾何学的形状、材料など)は、デテント(812)を越えて肩部(816)を押し出すのに必要な力を調節するために変更することができる。それらの特性は以下に詳細に説明する。一実施形態では、デテント(812)を越えて肩部(816)を押し出すのに必要な力は、約2ポンド~約5ポンドである。肩部は、針近位端(850)と針接合部材(883)との間の接合部に形成される。肩部(816)とデテント(812)との間の相互作用により、図9Cに示す移送構成でシステム(800)が保持されている間、プランジャ部材に加えられる圧力は、近位チャンバ(840)から遠位チャンバ(842)への液体の移送を補助することとなる。肩部(816)とデテント(812)との間の干渉に打ち勝つのに必要な力は、ユーザがプランジャ部材を押圧して液体移送を補助するためのより多くの自由度を提供する。これにより、完全な液体移送の可能性が高まる。
【0060】
図10A図10Cは、図8Aおよび図8Bに示すプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(800)とともに使用するためのストッパブッシング(810)を示している。ストッパブッシング(810)は、針スパインアセンブリの長手方向軸に直交する軸に沿ってブッシング(810)のスロット内に挿入されたデテント(812)を有する。図10Cに示すように、デテントは、「U」字形状の曲がったワイヤで作ることができる。
【0061】
図11A図11Cは、いくつかの実施形態に係るプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システムのストッパブッシュとともに使用するためのデテント(1112、1112’)を示している。デテント(1112、1112’)は、金属材料のシートから形成され、そのため、扁平断面を有する。デテント(1112、1112’)は何れも「U」字形状を有しており、針スパインアセンブリの先の尖った近位端および肩部などの丸い形状を受け入れるように構成されたノッチ(1118)を含む。図11Bに示すデテント(1112’)は、上述した保管/輸送構成にあるときに、針スパインアセンブリの先の尖った近位端に隣接する側のデテント(1112’)のノッチ(1118)の外周の周りに面取り/調節された通り抜け面(1120)を含む。面取りされた通り抜け面(1120)は、デテント(1112’)を通り抜けるのに必要な力の量を調節するように変更することができる。
【0062】
図11Cは、保管/輸送構成などにあるときに、デテント(1112)のノッチ(1118)内に配置された針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)を示している。
【0063】
一実施形態では、デテント(1112)が針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)の上をスライドするときにデテントによって提供される抵抗力は変更可能である。デテント(1112)は、保管中(例えば、数年間)、近位端(1184)による通り抜けに抵抗する。ユーザが予め設定された大きさの力を加えることにより、近位端(1184)がデテント(1112)を通ってスライドする。その後、デテント(1112)が肩部(816、図9Cを参照)に到達するまで、デテント(1112)を通る針スパインアセンブリ(1176)移動に対する抵抗力は最小である。デテント(1112)が肩部に当接すると、針(1176)に対するデテント(1112)(および遠位ストッパ部材)の進行を確実に停止させるために抵抗力が増大する。上述した液体移送の後、ユーザは、予め設定された別の大きさの力を加えて、肩部を越えてデテント(1112)を押し出す。肩部がクリアされた後、デテント(1112)と針(1176)との相互作用による摩擦は、最小になって、注入および針の引き込みが容易になる。
【0064】
予め設定された大きさの力は、システムの機能要件とユーザの美的感覚の組合せに対応するように調節することができる。作動力が小さ過ぎると、機能するとしても、力を十分に軽く加えることが困難となり、ユーザが度を越える可能性がある。また、力が大き過ぎると、ユーザは、システムを作動させるのが「難し過ぎる」と感じる可能性がある。幸いなことに、予め設定された大きさの力は、様々な構成要素の特性を変更することによって、範囲を「調整」することができる。
【0065】
上述した実施形態は、デュアルチャンバ安全注入システムを含むが、特許請求の範囲は、他のマルチチャンバ安全注入システムも含む。2以上のチャンバを有するマルチチャンバ安全注入システムでは、2以上のストッパ部材を注入システム本体(例えば、シリンジ本体、カートリッジ本体など)内に挿入して、対応する数のチャンバを規定する。
【0066】
例示的なマルチチャンバ安全注入システムの製造方法
注入システム/シリンジが前方から遠位チャンバを充填
図12Aおよび図12Bは、複数の注入システム/シリンジ本体1410を含み、容器1212に収納されたラック1210を示している。ラック1210および容器1212は、滅菌可能な材料から作られている。容器1212は、シール1214(図12A)で閉鎖可能であり、ラック1210およびその中に含まれる注入システム/シリンジ本体1410の無菌性を維持することができる。
【0067】
図12Cは、容器1212から取り外されたラック1210と、ラック1210から取り外された一つの注入システム/シリンジ本体1410とを示している。ラック1210は、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端が概ね下方向に向けられる第1の構成で、注入システム/シリンジ本体1410を保持するための複数の特徴部(例えば、スリーブおよび/またはフランジ)1216を有する(図14Aを参照)。いくつかの実施形態では、特徴部1216が、注入システム/シリンジ本体1410の近位端が概ね下方向に向けられる第2の構成で、注入システム/シリンジ本体1410を保持するようにも構成されている(図14Cを参照)。
【0068】
図13は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法1300を示している。対応する部分的に組み立てられたコンポーネントは、図14A図14Jに描かれている。
【0069】
1310では、注入システム/シリンジ本体1410が、図14Aに示すように、第1の(下向きの)構成でラック内に配置されている。注入システム/シリンジ本体1410は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によってラック内に配置することができる。
【0070】
1312では、図14Bに示すように、遠位ストッパ部材1414が、注入システム/シリンジ本体1410の内部1412に配置される。遠位ストッパ部材1414は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。遠位ストッパ部材1414および注入システム/シリンジ本体1410は、本体内部1412に近位および遠位チャンバ1416、1418を規定する。遠位ストッパ部材1414は、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端の上に配置することができ、それにより本体内部1412に遠位ストッパ部材1414を容易に挿入することができる。
【0071】
1314では、図14Cに示すように、注入システム/シリンジ本体1410を第2の(上向きの)構成に向きを変える。注入システム/シリンジ本体1410は、第2の構成に向きを変えた後、ラック内に再配置することができる。注入システム/シリンジ本体1410は、ユーザ(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって向きを変え、かつ/または再配置することができる。
【0072】
1316では、第1の物質1420が、図14Cに示すように、注入システム/シリンジ本体1410の開いた遠位端を介して遠位チャンバ1418内に導入される。第1の物質1420は、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端の開口部から直接導入することができる。いくつかの実施形態では、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端の開口部を介してチューブが挿入することができ、そのチューブを介して第1の物質1420を導入することができる。第1の物質1420は、液体、固体(例えば、圧縮された粉末)および/または粉末であってもよい。第1の物質1420が液体であるいくつかの実施形態では、図14Dに示すように、任意のステップで第1の物質1420を凍結乾燥させて、粉末を形成することができる。
【0073】
1318では、図14Eおよび図14Fに示すように、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端に針ハブアセンブリ1422が結合される。針ハブアセンブリ1422は、針近位端1426を有する針1424を含む。針近位端1426は、遠位ストッパ部材1414と干渉して、注入システム/シリンジ本体1410に対する遠位ストッパ部材1414の遠位方向の移動を一時的に阻止する。針ハブアセンブリ1422は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端に結合することができる。代替的には、注入システム/シリンジ本体1410は、図33図40に開示され、かつ後述するように、ルアーキャップで閉じることができる。この場合、デュアルチャンバシステムが、事前に取り付けられた針なしで提供される。移送管コンポーネントは、シリンジ本体に予め挿入することができ、あるいはルアーキャップを配置する際に取り付けることができる。ユーザは、ルアースリップまたはルアーロック接続方法を使用して、使用時に針を取り付けることができる。
【0074】
いくつかの代替的な実施形態では、注入システム/シリンジ本体1410を、それに結合された針ハブアセンブリ1422またはルアーキャップとともに供給することができる。いくつかの実施形態では、結合された注入システム/シリンジ本体1410、針ハブアセンブリ1422および/またはルアーキャップを、予め滅菌することができる。他の実施形態では、予め滅菌されたコンポーネントを供給して、充填時に組み立てることができる。
【0075】
針近位端1426と干渉する遠位ストッパ部材1414のコンポーネントは、図15A図15D図16図16Aに記載されている。図15Aは、U字形の保持部材/デテント1428およびブッシング/漏斗1430を示している。U字形の保持部材/デテント1428をブッシング/漏斗1430に結合した後、ブッシング/漏斗1430がストッパ部材1414にねじ込まれる。図16および図16Aは、1318で識別され、図14Fにも示されている製造プロセスの段階を示している。図16Aに示すように、針近位端1426は、U字形の保持部材/デテント1428と干渉する拡大部分を有する。この干渉は、遠位ストッパ部材1414を越えて針近位端1426を移動させるのに必要な力の量を増加させる。増加した力の量は、マルチチャンバ安全注入システムの保管中に遠位ストッパ部材1414を越える針近位端1426の早過ぎる移動を生じることなく、注入システム/シリンジ本体1410の遠位チャンバ1418内に真空を存在させることを可能にする。ブッシング漏斗1430は、組立中に針近位端1426をU字形の保持部材/デテント1428に案内する。
【0076】
1320では、図14Gに示すように、注入システム/シリンジ本体1410が元の第1の(下向きの)構成に戻される。注入システム/シリンジ本体1410は、元の第1の構成に戻した後、ラック内に再配置することができる。注入システム/シリンジ本体1410は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって向きを変え、かつ/または再配置することができる。
【0077】
1322では、第2の物質1432が、図14Hに示すように、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端を介して近位チャンバ1416内に導入される。第2の物質1432は、注入システム/シリンジ本体1410の近位端の開口部を介して直接導入することができる。第2の物質1432は、液体または別の流体であってもよい。
【0078】
1324では、図14Iに示すように、近位ストッパ部材1434が、注入システム/シリンジ本体1410の内部1412に配置される。近位ストッパ部材1434は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。近位ストッパ部材1434は、注入システム/シリンジ本体1410および遠位ストッパ部材1414によって規定される近位チャンバ1416を閉じる。近位ストッパ部材1434は、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端の上に配置され、それにより近位ストッパ部材1434を本体内部1412に容易に挿入することができる。
【0079】
近位ストッパ部材を本体内部1412に引き込むために、近位ストッパ部材1434の両側の圧力差を利用することができる。例えば、近位ストッパ部材1434の遠位側に真空を形成することができる。いくつかの実施形態では、近位ストッパ部材1434が本体内部1412に挿入されるときに蓄積される圧力を解放するために、近位ストッパ部材1434に隣接して小管が配置される。小管は、組立後に取り外される。
【0080】
図14Jに示す任意のステップでは、フィンガフランジ1336およびプランジャ部材1438が、注入システム/シリンジ本体1410に結合される。フィンガフランジ1436は、本体1410の長手方向軸に沿って移動することが防止されるように(例えば、本体1410の近位端にあるガラスフランジの上にスナップ留めすることによって)、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。プランジャ部材1438は、本体1410の長手方向軸に沿って移動できるように、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。また、プランジャ部材1438の遠位端は、近位ストッパ部材1434にも(例えば、ねじ山を使用して)結合され、注入システム/シリンジ本体1410に対するプランジャ部材1438の移動により、近位ストッパ部材1434が移動するようになっている。フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。
【0081】
図13に示すマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法1300は、完全にまたは部分的に、真空(例えば、真空チャンバまたは真空室)内で行われるものであってもよい。注入システム/シリンジ本体1410、近位および遠位ストッパ部材1414、1434、針ハブアセンブリ1422、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、組立前に事前に滅菌するようにしてもよい。
【0082】
図13図14A図14Jに示す方法1300では、単一のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立が行われているが、同じ方法1300を使用して、複数のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を並列または直列に行うこともできる。図13図14A図14Jに示す方法1300は、2つのストッパ部材1414、1434を有するデュアルチャンバシステムを含むが、いくつかの実施形態では、上述した1322および1324のステップと同様のステップを使用して、第3のストッパ部材をマルチチャンバ安全注入システムに追加して、第3のチャンバを規定することもできる。いくつかの実施形態では、4以上のストッパ部材およびチャンバをマルチチャンバ安全注入システムに形成することができる。
【0083】
注入システム/シリンジが後方から遠位チャンバを充填
図17は、複数の針ハブアセンブリ1422に結合された複数の注入システム/シリンジ本体1410を含み、容器1212に収納されたラック1210を示している。ラック1210および容器1212は、滅菌可能な材料から作られている。容器1212は、シール1214(図12Bを参照)で閉鎖可能であり、ラック1210およびその中に収容された注入システム/シリンジ本体1410および針ハブアセンブリ1422の無菌性を維持することができる。ラック1210は、容器1212から取り外され、針ハブアセンブリ1422に結合された一つの注入システム/シリンジ本体1410が、ラック1210から取り外される。ラック1210は、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端が概ね下方向に向けられた状態で、注入システム/シリンジ本体1410および針ハブアセンブリ1422を保持するための複数の特徴部(例えば、スリーブおよび/またはフランジ)1216を有する(図19Aを参照)。
【0084】
図18は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法1800を示している。対応する部分的に組み立てられたコンポーネントは、図19A図19Hに描かれている。注入システム/シリンジ本体1410、近位および遠位ストッパ部材1414、1434、針ハブアセンブリ1422、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、図14A図16Aに記載され、上述したものと同じシステムコンポーネントであってもよい。
【0085】
1810では、図19Aに示すように、針ハブアセンブリ1422が、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端に結合される。針ハブアセンブリ1422は、針近位端1426を有する針1424を含む。針ハブアセンブリ1422は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、注入システム/シリンジ本体1410の遠位端に結合される。いくつかの代替的な実施形態では、注入システム/シリンジ本体1410を、それに結合された針ハブアセンブリ1422とともに供給することができる。いくつかの実施形態では、結合された注入システム/シリンジ本体1410および針ハブアセンブリ1422を、予め滅菌することができる。他の実施形態では、予め滅菌されたコンポーネントを供給して、充填時に組み立てることができる。
【0086】
1812では、針ハブアセンブリ1422に結合された注入システム/シリンジ本体1410が、図17および図19Aに示すように、注入システム/シリンジ本体1410を下向きにしてラック内に配置される。注入システム/シリンジ本体1410は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によってラック内に配置することができる。代替的には、注入システム/シリンジ本体1410は、図33図40に開示され、かつ後述するように、ルアーキャップで閉じることができる。この場合、デュアルチャンバシステムが、事前に取り付けられた針なしで提供される。移送管コンポーネントは、シリンジ本体に予め挿入することができ、あるいはルアーキャップを配置する際に取り付けることができる。ユーザは、ルアースリップまたはルアーロック接続方法を使用して、使用時に針を取り付けることができる。
【0087】
1814では、図19Bに示すように、第1の物質1420が、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端を介して遠位チャンバ1418に導入される。第1の物質1420は、注入システム/シリンジ本体1410の近位端の開口部から直接導入することができる。第1の物質1420は、液体、固体(例えば、圧縮された粉末)および/または粉末であってもよい。第1の物質1420が液体であるいくつかの実施形態では、図19Cに示すように、任意のステップで第1の物質1420を凍結乾燥させて、粉末を形成することができる。
【0088】
1816では、図19Dおよび図19Eに示すように、遠位ストッパ部材1414が、注入システム/シリンジ本体1410の内部1412に配置される。遠位ストッパ部材1414は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。遠位ストッパ部材1414および注入システム/シリンジ本体1410は、本体内部1412に近位および遠位チャンバ1416、1418を規定する。遠位ストッパ部材1414は、図19Dに示すように、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端の上に配置され、それにより本体内部1412に遠位ストッパ部材1414を容易に挿入することができる。
【0089】
針近位端1426は、遠位ストッパ部材1414と干渉して、注入システム/シリンジ本体1410に対する遠位ストッパ部材1414の遠位方向の移動を一時的に阻止する。針近位端1426と干渉する遠位ストッパ部材1414のコンポーネントは、図15A図15D図16図16Aに記載され、上述されている。
【0090】
1818では、第2の物質1432が、図19Fに示すように、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端を介して近位チャンバ1416に導入される。第2の物質1432は、注入システム/シリンジ本体1410の近位端の開口部から直接導入することができる。第2の物質1432は、液体または別の流体であってもよい。
【0091】
1820では、図19Gに示すように、近位ストッパ部材1434が、注入システム/シリンジ本体1410の内部1412に配置される。近位ストッパ部材1434は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。近位ストッパ部材1434は、注入システム/シリンジ本体1410および遠位ストッパ部材1414によって規定される近位チャンバ1416を閉じる。近位ストッパ部材1434は、注入システム/シリンジ本体1410の開いた近位端の上に配置され、それにより近位ストッパ部材1434を本体内部1412に容易に挿入することができる。近位ストッパ部材1438は、上述したように、圧力差または小管を利用して挿入することができる。
【0092】
図19Hに示す任意のステップでは、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438が、注入システム/シリンジ本体1410に結合される。フィンガフランジ1436は、本体1410の長手方向軸に沿って移動することが防止されるように(例えば、本体1410の近位端のガラスフランジの上にスナップ留めすることによって)、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。プランジャ部材1438は、本体1410の長手方向軸に沿って移動できるように、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。また、プランジャ部材1438の遠位端は、近位ストッパ部材1434に(例えば、ねじ山を使用して)結合され、プランジャ部材1438の注入システム/シリンジ本体1410に対する移動により、近位ストッパ部材1434が移動するようになっている。フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、注入システム/シリンジ本体1410に結合することができる。
【0093】
図18図19A図19Hに示す方法1800では、単一のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立が行われているが、同じ方法1800を使用して、複数のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を並列または直列に行うこともできる。図18図19A図19Hに示す方法1800は、2つのストッパ部材1414、1434を有するデュアルチャンバシステムを含むが、いくつかの実施形態では、上述した1818および1820のステップと同様のステップを使用して、第3のストッパ部材をマルチチャンバ安全注入システムに追加して、第3のチャンバを規定することもできる。いくつかの実施形態では、4以上のストッパ部材およびチャンバをマルチチャンバ安全注入システムに形成することができる。
【0094】
カートリッジが前方から遠位チャンバを充填
図20Aおよび図20Bは、複数のカートリッジ1410’を含み、容器1212に収納されたラック1210’を示している。ラック1210’および容器1212は、滅菌可能な材料から作られている。容器1212は、その中に含まれるラック1210’およびカートリッジ1410’の無菌性を維持するために、シール1214(図20A)で閉鎖可能である。
【0095】
図20Cは、容器1212から取り外されたラック1210’と、ラック1210’から取り外された一つのカートリッジ1410’とを示している。ラック1210’は、カートリッジ1410’の遠位端が概ね下方向に向けられる第1の構成で、カートリッジ1410’を保持するための複数の特徴部(例えば、スリーブおよび/またはフランジ)1216’を有する(図22Aを参照)。いくつかの実施形態では、特徴部1216’が、カートリッジ1410’の近位端が概ね下方向に向けられる第2の構成で、カートリッジ1410’を保持するようにも構成されている(図22Cを参照)。
【0096】
図21は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法2100を示している。対応する部分的に組み立てられたコンポーネントは、図22A図22Jに描かれている。
【0097】
2110では、カートリッジ1410’が、図22Aに示すように、第1の(下向きの)構成でラックに配置されている。カートリッジ1410’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によってラック内に配置することができる。
【0098】
2112では、図22Bに示すように、遠位ストッパ部材1414が、カートリッジ1410’の内部1412に配置される。遠位ストッパ部材1414は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。遠位ストッパ部材1414およびカートリッジ1410’は、本体内部1412に近位および遠位チャンバ1416、1418を規定する。遠位ストッパ部材1414は、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置することができ、それにより本体内部1412に遠位ストッパ部材1414を容易に挿入することができる。
【0099】
2114において、カートリッジ1410’は、図22Cに示すように、第2の(上向きの)構成に向きを変える。カートリッジ1410’は、第2の構成に向きを変えた後、ラック内に再配置することができる。カートリッジ1410’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、向きを変え、かつ/または再配置することができる。
【0100】
2116では、第1の物質1420が、図22Cに示すように、カートリッジ1410’の開いた遠位端を介して遠位チャンバ1418に導入される。第1の物質1420は、カートリッジ1410’の遠位端の開口部を介して直接導入することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ1410’の遠位端の開口部を介してチューブを挿入することができ、そのチューブを介して第1の物質1420を導入することができる。第1の物質1420は、液体、固体(例えば、圧縮された粉末)および/または粉末であってもよい。第1の物質1420が液体であるいくつかの実施形態では、図22Dに示すように、任意のステップで第1の物質1420を凍結乾燥させて、粉末を形成することができる。
【0101】
2118では、図22Eに示すように、カートリッジキャップ1440および針ハブアセンブリ1422’が、カートリッジ1410’の遠位端に結合される。先ず、カートリッジキャップ1440は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’の遠位端に結合することができる。例示的なカートリッジキャップ1440は、図23Aおよび図23Bに示されている。カートリッジキャップ1440は、開口部を有する圧着シール1442と、隔壁1444とを含む。圧着シール1442は、アルミニウムから作ることができ、隔壁1444は、ゴムから作ることができる。カートリッジキャップ1440は、圧着シール1442をその遠位端でカートリッジ1410’の周囲および拡大部分にクリンプすることによって、カートリッジ1410’の遠位端に結合させることができる。
【0102】
次に、図22Gに示すように、針ハブアセンブリ1422’は、カートリッジキャップ1440の上でカートリッジ1410’の遠位端に結合される。図22Fに示すように、針ハブアセンブリ1422’は、針近位端1426を有する針1424を含む。針近位端1426は、遠位ストッパ部材1414と干渉して、カートリッジ1410’に対する遠位ストッパ部材1414の遠位方向の移動を一時的に阻止する。針ハブアセンブリ1422’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’の遠位端に結合される。針近位端1426と干渉する遠位ストッパ部材1414のコンポーネントは、図15A図15D図16図16Aに記載され、上述されている。
【0103】
いくつかの代替的な実施形態では、カートリッジ1410’を、それに結合された針ハブアセンブリ1422’またはルアーキャップとともに供給することができる。いくつかの実施形態では、結合されたカートリッジ1410’、針ハブアセンブリ1422’および/またはルアーキャップを、予め滅菌することができる。他の実施形態では、予め滅菌されたコンポーネントを供給して、充填時に組み立てることができる。
【0104】
図22Eに記載の実施形態にはカートリッジキャップ1440が含まれているが、このカートリッジキャップ1440は任意であり、いくつかの実施形態では、針ハブアセンブリ1422’がカートリッジ1410’の遠位端に直接結合される(図24A(キャップなし)および図24B(キャップあり)を比較されたい)。
【0105】
2120では、図22Gに示すように、カートリッジ1410’が、元の第1の(下向きの)構成に戻される。カートリッジ1410’は、元の第1の構成に戻した後、ラック内に再配置することができる。カートリッジ1410’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって向きを変え、かつ/または再配置することができる。
【0106】
2122では、図22Hに示すように、第2の物質1432が、カートリッジ1410’の開いた近位端を介して近位チャンバ1416内に導入される。第2の物質1432は、カートリッジ1410’の近位端の開口部から直接導入することができる。第2の物質1432は、液体または別の流体であってもよい。
【0107】
2124では、図22Iに示すように、近位ストッパ部材1434がカートリッジ1410’の内部1412に配置される。近位ストッパ部材1434は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’および遠位ストッパ部材1414によって規定される近位チャンバ1416を閉じる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置され、それにより近位ストッパ部材1434を本体内部1412に容易に挿入することができる。近位ストッパ部材1438は、上述したように、圧力差または小管を用いて挿入することができる。
【0108】
図22Jに示す任意のステップでは、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438がカートリッジ1410’に結合される。フィンガフランジ1436は、本体1410の長手方向軸に沿って移動することが防止されるように(例えば、接着剤を用いて)、カートリッジ1410’に結合することができる。プランジャ部材1438は、本体1410の長手方向軸に沿って移動できるように、カートリッジ1410’に結合することができる。また、プランジャ部材1438の遠位端は、近位ストッパ部材1434に(例えば、ねじ山を用いて)結合され、カートリッジ1410’に対するプランジャ部材1438の移動により、近位ストッパ部材1434が移動するようになっている。フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’に結合することができる。
【0109】
図21に示すマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法2100は、完全にまたは部分的に、真空(例えば、真空チャンバまたは真空室)内で行われるものであってもよい。カートリッジ1410’、近位および遠位ストッパ部材1414、1434、針ハブアセンブリ1422’、フィンガフランジ1436、およびプランジャ部材1438は、組立前に事前に滅菌するようにしてもよい。
【0110】
図21図22A図22Jに示す方法2100では、単一のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立が行われているが、同じ方法2100を使用して、複数のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を並列または直列に行うこともできる。図21図22A図22Jに示す方法2100は、2つのストッパ部材1414、1434を有するデュアルチャンバシステムを含むが、いくつかの実施形態では、上述した2122および2124のステップと同様のステップを使用して、第3のストッパ部材をマルチチャンバ安全注入システムに追加して、第3のチャンバを規定することもできる。いくつかの実施形態では、4以上のストッパ部材およびチャンバをマルチチャンバ安全注入システムに形成することができる。
【0111】
カートリッジが後方から遠位チャンバを充填、貫通後に充填
図25は、複数の針ハブアセンブリ1422’に結合された複数のカートリッジ1410’を含み、容器1212に収納されたラック1210’を示している。ラック1210’および容器1212は、滅菌可能な材料から作られている。容器1212は、ラック1210’およびその中に含まれるカートリッジ1410’および針ハブアセンブリ1422’の無菌性を維持するために、シール1214(図12Bを参照)で閉鎖可能である。ラック1210’は、容器1212から取り出され、針ハブアセンブリ1422’に結合された一つのカートリッジ1410’が、ラック1210’から取り出される。ラック1210’は、カートリッジ1410’の遠位端が概ね下方向に向けられた状態で、カートリッジ1410’および針ハブアセンブリ1422’を保持するための複数の特徴部(例えば、スリーブおよび/またはフランジ)1216’を有する(図27Aを参照)。
【0112】
図26は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法2600を示している。対応する部分的に組み立てられたコンポーネントは、図27A図27Gに描かれている。カートリッジ1410’、近位および遠位ストッパ部材1414、1434、針ハブアセンブリ1422’、カートリッジキャップ1440、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、図22A~24Bに記載され、上述したものと同じシステムコンポーネントであってもよい。
【0113】
2610では、図27Aに示すように、カートリッジキャップ1440および針ハブアセンブリ1422’がカートリッジ1410’の遠位端に結合される。先ず、カートリッジキャップ1440は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’の遠位端に結合することができる。例示的なカートリッジキャップ1440は、図23Aおよび図23Bに記載され、上述されている。カートリッジキャップ1440は、圧着シール1442をその遠位端でカートリッジ1410’の周囲および拡大部分に圧着することによって、カートリッジ1410’の遠位端に結合させることができる。このステップは、充填時に実行することができ、あるいは充填前に実行して、予め滅菌された状態で充填機に提供することができる。
【0114】
次に、図27Aに示すように、針ハブアセンブリ1422’は、カートリッジキャップ1440の上でカートリッジ1410’の遠位端に結合される。図22Fに示すように、針ハブアセンブリ1422’は、針近位端1426を有する針1424を含む。図27Aに記載の実施形態にはカートリッジキャップ1440が含まれているが、このカートリッジキャップ1440は任意であり、いくつかの実施形態では、針ハブアセンブリ1422’がカートリッジ1410’の遠位端に直接結合される(図24A(キャップなし)および図24B(キャップあり)を比較されたい)。カートリッジ1410’への針ハブアセンブリ1422’の結合は、充填時に実行することができ、あるいは充填前に結合して、予め滅菌された結合されたシステムを充填機に提供することができる。
【0115】
2612では、針ハブアセンブリ1422’に結合されたカートリッジ1410’が、図25および図27Aに示すように、カートリッジ1410’を下に向けた状態でラックに配置される。カートリッジ1410’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によってラック内に配置することができる。
【0116】
2614では、図27Bに示すように、第1の物質1420が、カートリッジ1410’の開いた近位端を介して遠位チャンバ1418に導入される。第1の物質1420は、カートリッジ1410’の近位端の開口部から直接導入することができる。第1の物質1420は、液体、固体(例えば、圧縮された粉末)および/または粉末であってもよい。第1の物質1420が液体であるいくつかの実施形態では、図27Cに示すように、任意のステップで第1の物質1420を凍結乾燥させて、粉末を形成することができる。
【0117】
2616では、図27Cおよび図27Dに示すように、遠位ストッパ部材1414が、カートリッジ1410’の内部1412に配置される。遠位ストッパ部材1414は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。遠位ストッパ部材1414およびカートリッジ1410’は、本体内部1412に近位および遠位チャンバ1416、1418を規定する。遠位ストッパ部材1414は、図27Cに示すように、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置され、それにより本体内部1412に遠位ストッパ部材1414を容易に挿入することができる。
【0118】
針近位端1426は、遠位ストッパ部材1414と干渉して、カートリッジ1410’に対する遠位ストッパ部材1414の遠位方向の移動を一時的に阻止する。針近位端1426と干渉する遠位ストッパ部材1414のコンポーネントは、図15A図15D図16図16Aに記載され、上述されている。
【0119】
2618では、第2の物質1432が、図27Eに示すように、カートリッジ1410’の開いた近位端を介して近位チャンバ1416に導入される。第2の物質1432は、カートリッジ1410’の近位端の開口部から直接導入することができる。第2の物質1432は、液体または別の流体であってもよい。
【0120】
2620では、図27Fに示すように、近位ストッパ部材1434がカートリッジ1410’の内部1412に配置される。近位ストッパ部材1434は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’および遠位ストッパ部材1414によって規定される近位チャンバ1416を閉じる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置され、それにより本体内部1412に近位ストッパ部材1434を容易に挿入することができる。近位ストッパ部材1438は、上述したように、圧力差または小管を用いて挿入することができる。
【0121】
図27Gに示す任意のステップでは、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438がカートリッジ1410’に結合される。フィンガフランジ1436は、本体1410の長手方向軸に沿って移動することが防止されるように(例えば、本体1410の近位端にあるガラスフランジ上にスナップ留めすることによって)、カートリッジ1410’に結合することができる。プランジャ部材1438は、本体1410の長手方向軸に沿って移動できるように、カートリッジ1410’に結合することができる。また、プランジャ部材1438の遠位端は、近位ストッパ部材1434に(例えば、ねじ山を用いて)結合され、カートリッジ1410’に対するプランジャ部材1438の移動により、近位ストッパ部材1434が移動するようになっている。フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’に結合することができる。
【0122】
図26図27A図27Gに示す方法2600では、単一のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立が行われているが、同じ方法2600を使用して、複数のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を並列または直列に行うこともできる。図26図27A図27Gに示す方法2600は、2つのストッパ部材1414、1434を有するデュアルチャンバシステムを含むが、いくつかの実施形態では、上述した2618および2620のステップと同様のステップを使用して、第3のストッパ部材をマルチチャンバ安全注入システムに追加して、第3のチャンバを規定することもできる。いくつかの実施形態では、4以上のストッパ部材およびチャンバをマルチチャンバ安全注入システムに形成することができる。
【0123】
カートリッジが後方から遠位チャンバを充填、充填後に貫通
図28は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を行う方法2800を示している。対応する部分的に組み立てられたコンポーネントは、図29A図29Gに描かれている。カートリッジ1410’、近位および遠位ストッパ部材1414、1434、針ハブアセンブリ1422’、カートリッジキャップ1440、フィンガフランジ1436およびプランジャ部材1438は、図22A図24Bに記載され、上述したものと同じシステムコンポーネントであってもよい。
【0124】
2810では、図29Aに示すように、カートリッジキャップ1440がカートリッジ1410’の遠位端に結合される。カートリッジキャップ1440は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、カートリッジ1410’の遠位端に結合することができる。例示的なカートリッジキャップ1440は、図23Aおよび図23Bに記載され、上述されている。カートリッジキャップ1440は、圧着シール1442をその遠位端でカートリッジ1410’の周囲および拡大部分に圧着することによって、カートリッジ1410’の遠位端に結合させることができる。いくつかの代替的な実施形態では、カートリッジ1410’を、カートリッジキャップ1440が結合された状態で供給することができ、両方のコンポーネントを予め滅菌することができる。
【0125】
2812では、カートリッジキャップ1440に結合されたカートリッジ1410’が、図20Cおよび図29Aに示すように、カートリッジ1410’が下向きになった状態でラックに配置される。カートリッジ1410’は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって、ラック内に配置することができる。
【0126】
2814では、第1の物質1420が、図29Bに示すように、カートリッジ1410’の開いた近位端を介して遠位チャンバ1418に導入される。第1の物質1420は、カートリッジ1410’の近位端の開口部から直接導入することができる。第1の物質1420は、液体、固体(例えば、圧縮された粉末)および/または粉末であってもよい。第1の物質1420が液体であるいくつかの実施形態では、図29Cに示すように、任意のステップで第1の物質1420を凍結乾燥させて、粉末を形成することができる。
【0127】
2816では、図29Eに示すように、カートリッジキャップ1440の上で、針ハブアセンブリ1422’がカートリッジ1410’の遠位端に結合される。図22Fに示すように、針ハブアセンブリ1422’は、針近位端1426を有する針1424を含む。カートリッジ内部1412への針ハブアセンブリ1422’の挿入中に、針1424および針近位端1426が、カートリッジキャップ1440を貫通する。図23Aおよび図23Bに示すカートリッジキャップ1440の隔壁1444は、針近位端1426によって貫通されるように構成されている。いくつかの代替的な実施形態では、針ハブアセンブリ1422’が結合された状態でカートリッジ1410’を供給することができ、両方のコンポーネントを予め滅菌することができる。
【0128】
2818では、図29Eおよび図29Fに示すように、遠位ストッパ部材1414がカートリッジ1410’の内部1412に配置される。遠位ストッパ部材1414は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。遠位ストッパ部材1414およびカートリッジ1410’は、本体内部1412に近位および遠位チャンバ1416、1418を規定する。遠位ストッパ部材1414は、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置され、それにより本体内部1412に遠位ストッパ部材1414を容易に挿入することができる。遠位ストッパ部材1414は、上述したように、圧力差または小管を用いて挿入することができる。
【0129】
針近位端1426は、遠位ストッパ部材1414と干渉して、カートリッジ1410’に対する遠位ストッパ部材1414の遠位方向の移動を一時的に阻止する。針近位端1426と干渉する遠位ストッパ部材1414のコンポーネントは、図15A図15D図16図16Aに記載され、上述されている。
【0130】
2820では、第2の物質1432が、図29Gに示すように、カートリッジ1410’の開いた近位端を介して近位チャンバ1416に導入される。第2の物質1432は、カートリッジ1410’の近位端の開口部から直接導入することができる。第2の物質1432は、液体または他の流体であってもよい。
【0131】
2822では、図29Hに示すように、近位ストッパ部材1434がカートリッジ1410’の内部1412に配置される。近位ストッパ部材1434は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によって挿入することができる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’および遠位ストッパ部材1414によって規定される近位チャンバ1416を閉じる。近位ストッパ部材1434は、カートリッジ1410’の開いた近位端の上に配置され、それにより本体内部1412に近位ストッパ部材1434を容易に挿入することができる。近位ストッパ部材1438は、上述したように、圧力差または小管を用いて挿入することができる。
【0132】
任意のステップ(図示省略)では、フィンガフランジおよびプランジャ部材がカートリッジ1410’に結合される。フィンガフランジは、本体1410の長手方向軸に沿って移動することが防止されるように(例えば、本体1410の近位端にあるガラスフランジの上にスナップ留めすることによって)、カートリッジ1410’に結合することができる。プランジャ部材は、本体1410の長手方向軸に沿って移動できるように、カートリッジ1410’に結合することができる。また、プランジャ部材の遠位端は、近位ストッパ部材1434に(例えば、ねじ山を用いて)結合され、カートリッジ1410’に対するプランジャ部材の移動により、近位ストッパ部材1434が移動するようになっている。フィンガフランジおよびプランジャ部材は、ユーザによって(例えば、ツールを使用して)、または機械的デバイス(例えば、ロボット)によってカートリッジ1410’に結合することができる。
【0133】
図28図29A図29Gに示す方法2800では、単一のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立が行われているが、同じ方法2800を使用して、複数のマルチチャンバ安全注入システムの製造/組立を並列または直列に行うこともできる。図28図29A図29Gに示す方法2800は、2つのストッパ部材1414、1434を有するデュアルチャンバシステムを含むが、いくつかの実施形態では、上述した2818および2820のステップと同様のステップを使用して、第3のストッパ部材をマルチチャンバ安全注入システムに追加して、第3のチャンバを規定することもできる。いくつかの実施形態では、4以上のストッパ部材およびチャンバをマルチチャンバ安全注入システムに形成することができる。
【0134】
図30は、いくつかの実施形態に係るカートリッジストッパ1446を示している。カートリッジストッパ1446は、針近位端1426によって貫通可能であるように軟質ポリマーから作製することができる。さらに、カートリッジストッパ1446は、カートリッジ内部1412内の液体の凍結乾燥のためのベント1448を含む。
【0135】
自動注入器システム
単一チャンバ
図31A図31Hは、いくつかの実施形態に係る使い捨ての注入システム/シリンジ3110および再利用可能な駆動システム3150を含む自動注入器システム3100を示している。自動注入器システム3100は、サプライチェーンにアイテムを追加することなく、臨床現場で容易に入手可能な注入システム/シリンジ3110の使用を可能にする。また、自動注入器システム3100は、後述するように、鋭利な針の露出を最小限に抑える安全機能を備えている。自動注入器システム3100のそれらの利点および他の利点を以下に述べる。
【0136】
図31Aに示すように、使い捨て注入システム/シリンジ3110は、注入システム/シリンジ本体3112と、ストッパ部材3114と、プランジャ部材3116と、フィンガフランジ3118と、針ハブアセンブリ3120と、剛性針シールド3122と、針ハブアセンブリ3120からの剛性針シールド3122の取り外しを容易にするプルリング3124とを含む。注入システム/シリンジ3110は、針刺しのリスクを最小限に抑えるために、鋭い針を少なくとも注入システム/シリンジ本体3112の中に引き込む安全注入システムであってもよい。再使用可能な駆動システム3150は、駆動システム本体3152、プランジャアクチュエータ/プッシャ3154、フランジホルダ/キャリッジ3156およびカラー3164を含む。
【0137】
図31Bに示すように、注入システム/シリンジ3110が駆動システム3150に取り付けられると、プランジャアクチュエータ/プッシャ3154は、注入システム/シリンジ本体3112に対してプランジャ部材3116を遠位方向に移動させるように構成される。フランジホルダ/キャリッジ3156は、駆動システム本体3152に対して注入システム3110を遠位方向および/または近位方向に移動させるように構成される。プランジャアクチュエータ/プッシャ3154およびフランジホルダ/キャリッジ3156は、図31Aおよび図31Bにおいて、それぞれの完全な近位位置にある。この位置では、駆動システム3150のカラー3164が、注入システム/シリンジ3110の鋭利な針がユーザの皮膚に接触するのを防止する。さらに、図31Bでは、剛性針シールド3122が、針がユーザの皮膚に接触するのを防止している。
【0138】
図31Cは、(図31Aおよび図31Bの開いた構成に対して)閉じた構成の自動注入器システム3100を示している。閉じた構成では、駆動システム3150の様々なユーザインタフェースコンポーネントが見える。駆動システム3150は、ディスプレイ3158と、ボタン3160と、ボタン3160の周りのライトリング3162とを含む。図31Cに示すシステム構成では、ディスプレイ3158が、注入システム/シリンジのサイズの表示(例えば、1.0ml)を与える。ボタン3160は、ユーザが自動注入器システム3100に入力するのを可能にする。ライトリング3162は、注入プロセスの様々なステップを示すために、色を変えることができる。図31Cに示すように、プルリング3124は、カラー3164を超えて遠位方向に延びているため、駆動システム3150の遠位端でアクセス可能である。
【0139】
駆動システム3150の上半分は、駆動システム3150を閉じた構成で注入中の自動注入器システム3100の様々なコンポーネントを可視化するために、図31D図31Gから切り離されている。
【0140】
図31Dでは、剛性針シールド3122が針ハブアセンブリ3120から取り外されている。いくつかの実施形態では、自動注入器システム3100は、プルリング3124を引っ張って剛性針シールド3122を針ハブアセンブリ3120から取り外すように、ユーザに対してディスプレイ3158上に指示を与える。いくつかの実施形態では、自動注入器3100は、フランジホルダ/キャリッジ3156が注入システム/シリンジ3110を(例えば、遠位位置から近位位置まで)移動させて、剛性針シールド3122を針ハブアセンブリ3120から分離する間に、剛性針シールド3122を把持するコンポーネント(例えば、1または複数のアーム)を含む。そのような実施形態では、ユーザは、分離した剛性針シールド3122を自動注入システム3100から取り外すだけでよい。カラー3164は、針3126がユーザに曝されるのを防止する。
【0141】
図31Eでは、フランジホルダ/キャリッジ3156が、注入システム/シリンジ3110を遠位方向に移動させている。同時に、プランジャアクチュエータ/プッシャ3154は、プランジャ部材3116の近位端における親指パッドとの接触を維持するために、遠位方向に同じ距離移動している。注入システム/シリンジ3110を遠位方向に移動させることにより、針3126がカラー3164を超えて遠位方向に延び、それにより針3126が注入のために露出する。フランジホルダ/キャリッジ3156が注入システム/シリンジ3110を遠位方向に移動させる前に、自動注入器システム3100は、自動注入器を注入部位に押し当てるように、ユーザに対してディスプレイ3158上に指示を与えることができる。そのような実施形態では、注入システム/シリンジ3110を遠位方向に移動させると、注入部位に穿刺することができる。
【0142】
図31Fでは、プランジャアクチュエータ/プッシャ3154が、その完全な遠位位置まで移動している。この動きは、プランジャ部材3116およびそれに取り付けられたストッパ部材3114を遠位方向に駆動して、注入システム/シリンジ3110から針3126を介して患者に薬剤を放出する。
【0143】
図31Gでは、プランジャ部材3116およびストッパ部材3114の2つの移動および注入終了位置により、針3126が注入システム/シリンジ本体3112内に引っ込められている。針3126の引き込みは、図31Hに示すように、注入システム/シリンジ3110を駆動システム3150から取り外すのに安全な状態にする。使用済みの注入システム/シリンジ3110が取り外された後、新しい注入システム/シリンジ3110を駆動システム3150に装填して、自動注入器システム3100を別の注入に備えることができる。
【0144】
駆動システム3150は、プランジャアクチュエータ/プッシャ3154を移動させる第1のモータと、フランジホルダ/キャリッジ3156を移動させる第2のモータと、第1および第2のモータに動作可能に結合されたコントローラと、コントローラに動作可能に結合された1または複数のセンサとを含む。センサは、加速度計、接触センサ、位置センサ、ジャイロスコープ、温度計および皮膚接触センサのうちの1または複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサが皮膚接触センサであり、コントローラは、皮膚接触センサが自動注入器システム3100と患者との間の接触を確認した場合にのみ、薬剤を注入する。
【0145】
デュアルチャンバ
図32A図32Jは、マルチチャンバ注入システム3210とともに使用するように構成された自動注入器システム3200を示している。図32A図32Jに示す駆動システム3250は、図31A図31Hに示す駆動システム3150と同様である。実際に、駆動システム3150、3250は、プログラミングが変更された同じ駆動システムであってもよい。
【0146】
図32Aに示すように、使い捨ての注入システム/シリンジ3210は、注入システム/シリンジ本体3212、第1および第2のストッパ部材3228、3214、プランジャ部材3216、フィンガフランジ3218、針ハブアセンブリ3220および剛性針シールド3222を含む。注入システム/シリンジ3210は、針刺しのリスクを最小限に抑えるために、鋭い針を少なくとも注入システム/シリンジ本体3212の中に引き込む安全注入システムであってもよい。再使用可能な駆動システム3250は、駆動システム本体3252、プランジャアクチュエータ/プッシャ3254、フランジホルダ/キャリッジ3256およびカラー3264を含む。
【0147】
図32Bに示すように、注入システム/シリンジ3210が駆動システム3250に取り付けられると、プランジャアクチュエータ/プッシャ3254は、プランジャ部材3216を注入システム/シリンジ本体3212に対して遠位方向に移動させるように構成される。フランジホルダ/キャリッジ3256は、駆動システム本体3252に対して注入システム3210を遠位方向および/または近位方向に移動させるように構成される。プランジャアクチュエータ/プッシャ3254およびフランジホルダ/キャリッジ3256は、図32Aおよび図32Bにおいて、それぞれの完全な近位位置にある。この位置では、駆動システム3250のカラー3264が、注入システム/シリンジ3210の鋭利な針がユーザの皮膚に接触するのを防止する。さらに、図32Bでは、剛性針シールド3222が、針がユーザの皮膚に接触するのを防止している。
【0148】
図32Cは、(図32Aおよび図32Bの開いた構成に対して)閉じた構成の自動注入器システム3200を示している。閉じた構成では、駆動システム3250の様々なユーザインターフェースコンポーネントが見える。駆動システム3250は、ディスプレイ3258と、ボタン3260と、ボタン3260の周りのライトリング3262とを含む。図32Cに示すシステム構成では、ディスプレイ3258が、注入システム/シリンジのサイズの表示(例えば、1.0ml)を与える。ボタン3260は、ユーザが自動注入器システム3200に入力することを可能にする。ライトリング3262は、注入プロセスの様々なステップを示すために、色を変えることができる。図32Cに示すように、剛性針シールド3222は、カラー3264を超えて遠位側に殆ど延びていないため、駆動システム3250の遠位端に容易にアクセスすることができない。
【0149】
図32D図32Jは、いくつかの実施形態に係る自動注入器システム3200を使用して薬剤を混合して注入する方法における様々なステップを示している。図32Dでは、ディスプレイ3258が、ボタン3262を押して薬剤を希釈剤と混合するようにユーザに指示するメッセージを与えている。このメッセージは、ライトリング3262が緑色に変わって進めの合図を伴うことができる。ユーザがボタン3262を押すと、図7G図7Jに示すように、プランジャアクチュエータ/プッシャ3254が遠位方向に移動して、希釈剤を近位チャンバから遠位チャンバに移送する。図32Eでは、ディスプレイ3250が、自動注入器システム3202を振って薬剤を希釈剤と混合するようにユーザに指示するメッセージを与えている。
【0150】
図32Fでは、ディスプレイ3250が、自動注入器システム3200を上方に向けるようにユーザに指示するメッセージを与えており、剛性針シールド3222を移動させることになる。図32Gに示すように、自動注入器システム3200の位置センサが、システム3200が上方に向けられていることを検出すると、フランジホルダ/キャリッジ3256が、注入システム/シリンジ3210を遠位方向に移動させて、取り外しのために剛性針シールド3222を延ばす。システム3200が上方に向けられているときにのみ剛性針シールド3222を取り外すことにより、流体の移送および混合による圧力の上昇に起因する薬剤の偶発的な排出を防ぐことができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、ユーザが、剛性針シールド3222を引っ張って針ハブアセンブリ3220から取り外すことが期待される。いくつかの実施形態では、自動注入器3200が、フランジホルダ/キャリッジ3256が注入システム/シリンジ3210を(例えば、遠位位置から近位位置に)移動させて剛性針シールド3222を針ハブアセンブリ3220から分離する間に、剛性針シールド3222を把持するコンポーネント(例えば、1または複数のアーム)を含む。このような実施形態では、ユーザは、分離した剛性針シールド3222を自動注入システム3200から取り外すだけでよい。カラー3264は、図32Hに示すように、針3226がユーザに曝されるのを防止する。
【0152】
図32Fでは、ディスプレイ3250が、自動注入器システム3200をユーザの大腿部に配置し、ボタン3260を押して注入を行うようにユーザに指示するメッセージを与えている。いくつかの実施形態では、皮膚接触センサが、自動注入器システム3200とユーザとの間の接触が検出されるまで、注入を防止する。接触の検出および注入の準備は、ライトリング3262(例えば、進めの合図のための緑色のリング)を用いて示すことができる。ユーザが注入のためのボタン3260を押すと、図7K図7Pに示すように、フランジホルダ/キャリッジ3256が注入システム/シリンジ3210を遠位方向に移動させて針を患者に挿入し、プランジャアクチュエータ/プッシャ3254が遠位方向に移動して注入を完了する。
【0153】
注入が完了した後、ディスプレイ3250は、ユーザに対して、注入を確認し、使用済みのシリンジを取り外して廃棄するように指示するメッセージを与える。新しい注入システム/シリンジ3210を駆動システム3252に装填することにより、別の注入のために自動注入器システム3200を準備することができる。
【0154】
ルアーコネクタを有するマルチチャンバ安全注入システム
図33図40は、ルアーコネクタ3310を有するマルチチャンバ安全注入システム3300を示している。図33および図34に示すように、ルアーコネクタ3310は、多種多様な針および管を有するシステム3300を使用することを容易にする標準的なコネクタである。システム3300は、送達/注入の前の薬剤成分の混合中にルアーコネクタ3310を密封する標準ルアーキャップ3312を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、薬剤成分が、近位チャンバ内の薬剤溶媒3314と、遠位チャンバ内の薬剤粉末および/または固体(例えば、圧縮された粉末)3316とを含む。薬剤溶媒3314は、様々な開口部を有する移送管3318を介して、薬剤粉末および/または固体3316と混合するために、近位チャンバから遠位チャンバに移送することができる。移送管3318の遠位端は、ルアーコネクタ3310を介して、多種多様な針および管と結合可能である。また、フィンガフランジとプランジャ部材は、混合中のプランジャ部材の動きを遠位方向に制限するためのラチェット/後退防止システム3320を含む。
【0156】
図35は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ安全注入システム3300とともに使用するための移送管3318を示している。移送管3318の近位端は、薬剤希釈剤3314が近位チャンバから遠位チャンバに移送されて薬剤粉末および/または固体3316と混合することを可能にするために、遠位ストッパ部材を貫通するように構成された貫通先端3322を含む。移送管3318に沿って遠位側にある次の特徴部は、薬剤希釈剤3314が近位チャンバから入ることを可能にするように構成された液体入口スロット3324である。次の特徴部は、薬剤希釈剤3314が遠位チャンバに出ることを可能にするように構成された液体出口開口部3326である。液体入口スロット3324および液体出口開口部3326は、液体の移動を最大化するために、遠位ストッパ部材にわたるように構成されている。次の特徴部は、薬剤希釈剤3314が移送管3318の遠位端から出るのを防ぐためのブロッキングロッド3328である。次の特徴部は、貫通先端3322が遠位ストッパ部材を貫通するのを可能にするための反力を提供するように構成されたワッシャ3330である。次の特徴部は、混合薬剤が移送管3318の遠位端に入ることを可能にするように構成された出口スロット3332である。最も遠位の特徴部は、ルアーコネクタ3310を介して様々な針および管と嵌合するように構成された拡張された端部開口部3334である。拡張された端部開口部は、ルアー通路との摩擦を与えて、システム3300の充填中に移送管3318を定位置に保持する。
【0157】
図36は、近位チャンバから遠位チャンバへの薬剤希釈剤3314の移送中の流体経路3336を示している。上述したように、流体経路3336は、液体入口スロット3324を通り、移送管3318の近位部分に沿って移動し、液体出口開口部3326から出る。薬剤希釈剤3314を近位チャンバから遠位チャンバに移送すると、遠位チャンバ内の圧力が上昇する。ラチェット/後退防止システム3320は、遠位チャンバ内の蓄積された圧力に起因するプランジャ部材の望ましくない近位方向の移動を防止する。ラチェット/後退防止システム3320の歯3338は、プランジャ部材の遠位部分にのみ存在し、混合中にフィンガフランジのタブ3340と相互に作用する。移送中にユーザがプランジャ部材への圧力を解放した場合においても、ラチェットシステム/後退防止システム3320はプランジャ部材を定位置に保持する。代替的なラチェットシステム/後退防止システムを以下に述べる。
【0158】
図37は、近位チャンバから遠位チャンバへの薬剤希釈剤3314の移送の終わりの流体経路3336を示している。液体入口スロット3324は、近位ストッパおよび遠位ストッパが互いに接近しても、薬剤希釈剤の移送を継続することを可能にする。
【0159】
図38は、薬剤希釈剤3314の移送が完了した後のマルチチャンバ安全注入システム3300を示している。ラチェットシステム3320は、遠位チャンバ内の加圧空気がプランジャ部材を近位方向に押すことを防止する。ユーザは、システム3300を振って、薬剤希釈剤3314を遠位チャンバ内の薬剤粉末および/または固体3316と混合することができる。
【0160】
図39は、ルアーキャップ3312が取り外された後のマルチチャンバ安全注入システム3300を示しており、当該システム3300が、遠位チャンバ内の圧力によって混合薬剤の何れかが放出されるのを避けるために、上向きの位置にある。代わりに、加圧空気が遠位チャンバからパージされる。対応するルアーコネクタを有する針3342は、システム3300のルアーコネクタ3310に結合され、システム3300が注入のために準備される。
【0161】
図40は、注入中のマルチチャンバ安全注入システム3300を示している。注入中の流体経路3344は、移送管3318の遠位端の外側に沿って延び、針3342を通っている。注入中、ブロッキングロッド3328は、混合された薬剤がプランジャ部材に逆行して移動するのを防止する。また、プランジャ部材は、逆流を防止するためのエラストマーシールを含む。プランジャ部材は、タブからこのゲージのラチェット歯が離れるようにフィンガフランジに対して相対的に移動しているため、プランジャ部材は、注入中に遠位方向と近位方向の両方に移動することができる。
【0162】
ベントプラグ
図41図47は、いくつかの実施形態に係るベントプラグ4154を有するマルチチャンバ注入システム4100を示している。ベントプラグ4154は、液体を実質的に保持しながら、空気をシステム4100から逃がすことができるように構成されている(例えば、サイズ設定され、形作られている)。図41に示すように、システム4100は、その遠位端に針カップリング部材4156を有するシリンジ本体4110を含む。針カップリング部材4156は、雌型ルアーコネクタであってもよい。また、システム4100は、シリンジ本体4110の近位端に結合されたフィンガフランジ4136と、フィンガフランジ4136を介してシリンジ本体4110の内部に挿入されたプランジャ部材4138とを含む。
【0163】
また、シリンジ本体4110の内部には、近位および遠位ストッパ部材4134、4114が配置されている。近位および遠位ストッパ部材4134、4114およびシリンジ本体4110は、近位チャンバ4116を規定する。遠位ストッパ部材4114およびシリンジ本体4110は、遠位チャンバ4118を規定する。図41に示す実施形態では、遠位チャンバ4118がガス4152(例えば、空気)を含み、近位チャンバ4116が液体4132を含む。また、システム4100は、近位および遠位チャンバ4116、4118を流体的に結合するために遠位ストッパ部材4114を貫通するように構成された混合管4124も含む。図41Aは、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ注入システム4100とともに使用するための後退防止機構3321(後述)を示している。
【0164】
システム4100は、使用(例えば、注入)前にシステム4100のコンポーネントを保管するために、針カップリング部材4156に結合されたキャップ4150(例えば、ルアーキャップ)をさらに含む。さらに、システム4100はベントプラグ4154を含み、このベントプラグが、少なくとも部分的に針カップリング部材4156内に、かつ混合管4124の遠位端の周りに配置されている。ベントプラグ4154は、液体を実質的に保持しながら、空気をシステム4100から逃がすことができるように構成されている(例えば、サイズ設定され、形作られている)。
【0165】
図42は、プランジャ部材4138およびそれに結合された近位ストッパ部材4134が、いくつかの実施形態に係るシリンジ本体4110の内部に遠位方向に挿入された後の、図41に記載のシステム4100を示している。混合管4124の近位端が(図41に示すように)遠位ストッパ部材4114を完全に貫通する前に、近位チャンバ4116内の液体4132の非圧縮性が、プランジャ部材4138および近位ストッパ部材4134から遠位ストッパ部材4114に遠位方向に向けられた力を伝達し、遠位ストッパ部材4114を遠位方向に移動させる。遠位ストッパ部材4114の遠位方向の移動により、混合管4124の近位端が遠位ストッパ部材4114を完全に貫通し、近位および遠位チャンバ4116、4118を流体的に結合する。近位および遠位チャンバ4116、4118を流体的に結合することにより、図42に示すように、プランジャ部材4138および近位ストッパ部材4134からの遠位方向に向けられた力によって、近位チャンバ4116から遠位チャンバ4118に液体4132を追いやることができる。
【0166】
また、図42に示すように、近位チャンバ4116がほぼ完全に潰れ、液体4132のほぼすべてが近位チャンバ4116から遠位チャンバ4118に追いやられている。遠位チャンバ4118内に追いやられた液体4132は、遠位チャンバ4118内のガス4152を圧縮し、遠位チャンバ4118内の圧力を増加させる。この増加した圧力が遠位チャンバ4118から放出されない場合、意図せずに遠位チャンバ4118から液体4132の一部が排出される可能性があり、液体4132を無駄にすると同時に、システム4100の精度および正確さを低下させることになる。キャップ4150がシステム4100から取り外される前に、遠位チャンバ4118内の増加した圧力は、混合管4124を介して押し戻される可能性があり、それにより、液体4132の一部が近位チャンバ4116内に戻り、システム4100の精度および正確さが低下する可能性がある。また、背圧は、近位ストッパ部材4134およびプランジャ部材4138を近位方向に移動させる可能性もある。いくつかのマルチチャンバ注入システムは、プランジャ部材の近位方向の移動を防止するためにプランジャ部材にラッチを含む。
【0167】
図43A図43Dは、いくつかの実施形態に係る、注入のために2パートの注入可能な物質(例えば、薬剤)を混合する方法を示している。図43A図43Dに示すマルチチャンバ注入システム4100は、図41および図42に示す上述したマルチチャンバ注入システム4100に類似している。一つの違いは、図43A図43Dに示すシステム4100が、2パートの注入可能な物質のために、液体4132によって可溶化される乾燥成分(例えば、凍結乾燥された粉末および/または固体、例えば、圧縮された粉末)(図示省略)を遠位チャンバ4118に含むことである。図43Aでは、キャップ4150が、針カップリング部材4156から取り外される。図43Bでは、プランジャ部材4138および近位ストッパ部材4134からの遠位方向に向けられた力が、遠位ストッパ部材4114の遠位方向の移動を引き起こし、これにより、混合管4124の近位端が遠位ストッパ部材4114を完全に貫通し、近位チャンバ4116から遠位チャンバ4118に液体4132が追いやられる。図43Cでは、システム4100が振とうされて、遠位チャンバ4118内の液体4132がその中の乾燥成分(図示省略)と混合される。図43Dでは、針カップリング部材4156(例えば、雄ルアーコネクタ)を介して針4166が取り付けられて、システム4100が注入のために準備される。ベント/液体制限コンポーネントがなければ、図43Cの混合中に、遠位チャンバ4118内の増加した圧力が、液体4132(および可溶化された乾燥成分)の一部を排出し、システム4100の精度および正確さを低下させる可能性がある。
【0168】
図44は、いくつかの実施形態に係るベントプラグ4154を含むシリンジ本体4110の遠位端の詳細図であり、ベントプラグが、少なくとも部分的に針カップリング部材4156の中に、かつ混合管4124の遠位端の周りに配置されている。図45は、いくつかの実施形態に係るベントプラグ4154を含む、シリンジ本体4110の遠位端のさらに詳細な図である。図45は、ベントプラグが複数のチャネル4158を含み、それらチャネルは、シリンジ本体4110の内部から液体が逃げるのを防止しつつ、ガス(例えば、空気)がシリンジ本体4110の内部(例えば、遠位チャンバ4118/図44を参照)から逃げることができる(4160)ように構成されている(例えば、サイズ設定され、形作られている)。
【0169】
図46は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ注入システム4100で使用するためのベントプラグ4154の詳細図である。明確にするために、システム4100の多くのコンポーネントが省略されている。ベントプラグ4154は、混合管4124の周りに配置され、複数のチャネル4158を含む。図47は、いくつかの実施形態に係るマルチチャンバ注入システム4100で使用するためのベントプラグ4154の詳細図である。図47は、混合管4124が挿入されるベントプラグ4154の中央開口部4162を示している。また、図47は、ベントプラグ4154の内面に成形される複数のチャネル4158も示している。複数のチャネル4158は、液体がシリンジ本体4110の内部から逃げるのを防止しつつ、シリンジ本体4110の内部からガスを逃がす/ベントすることができるように構成されている(例えば、サイズ設定され、形作られている)。シリンジ本体4110の内部からガスを逃がし、圧力を解放することで、シリンジ本体4110の内部からの意図しない液体の放出を最小限に抑え、システム4100の精度と正確さを高めることができる。また、シリンジ本体4110の内部からガスを逃がし、圧力を解放することで、背圧によるプランジャ部材4138の意図しない近位方向の移動を最小限に抑えることができ、その結果、その近位方向の移動を防止するためにプランジャ部材4138にラッチを設ける必要がなくなる。
【0170】
図48は、ベントチャネル4158がベントプラグ4154の外面に存在する、ベントプラグ4154の代替的な実施形態を示している。ベントプラグ4154は、遠位針インターフェイス4156(図45を参照)に取り付けられるように構成されており、ベントチャネル4158は、遠位針インターフェイス4156の内面に接触し、シリンジ本体4110の外側に開いたベントチャネル4158を維持している。ベントチャネル4184は、直線的なものであってもよいし、あるいは(図48に示すように)ベントプラグ4154の長手方向軸に沿って屈曲や曲がりを有する非直線的なものであってもよい。図48は、非直線的なベントチャネル4184を示しており、ベントプラグ4154の長手方向軸に沿って流体の流れのための曲がりくねった経路を作り出している。流体がベントチャネル4158を通って押し出されるとき、ベントチャネル4158の屈曲または曲がりが、流体の流れに障害/抵抗を与える。それらの障害は、より粘性の高い流体(例えば、液体)がベントチャネル4158を通って流れるために高い圧力を必要とするような流体の摩擦効果を利用するように構成されている。例えば、ガス(例えば、空気)は、シリンジ本体4110内で生成される予め設定された圧力で、それらのベントチャネル4158を通って流れる。液体(例えば、水または液体薬剤)は、ベントチャネル4158を通って流れるために、より高い圧力を必要とする。流体の流れのためのこの圧力差の要件は、シリンジキャップ4150が取り外されたときに、混合中(図43Cを参照)に水または液体薬剤がシリンジ本体4110の端部から意図せずに放出されることを防止するための制限を与える。また、流体の流れのための圧力は、液体の表面上に加えられる揺れによる重力加速度など、混合中にシリンジを振とうすることによって生成されることもある。ベントチャネル4158は、混合中にシリンジを振とうすることによって生じる高い重力加速度が、振とう中に液体を放出するのに十分な大きな力を液体に加えないように構成されている。ベントチャネル4158は、様々な流体に対して流れの制限を調整するために、流体の流れのためのオリフィス、毛細管チャネル、および/または高流体摩擦面を提供するように構成することができる。本実施形態は、混合管4124が挿入されるベントプラグ4154の中央開口部4164も示している。中央開口部4164は、ベントプラグを完全に貫通するように配置することができ、あるいは混合管4124の遠位端を配置するための底部を有する盲穴とすることもできる。
【0171】
代替的なラチェット/後退防止システム
ラチェット/後退防止システムの代替的な実施形態が、図41図41A図49図56に示されている。図41および図49に示すように、このラチェット/後退防止システムは、滑らかな外側を有するプランジャ部材4138、3516とともに使用するように構成されている。後退防止特徴部3321、4090(図41Aおよび図42を参照)は、少なくとも1のブレーキタブ3321-1、4092を含む。ブレーキタブ3321-1、4092は、シートメタルまたはポリマー材料から構成することができる。シートメタルのブレーキタブ3321-1、4092は、プランジャ部材係合面3329に鋭いエッジを有し、それによりブレーキタブ3321-1、4092がプランジャ部材4138、3516の外面を変形させることが可能となっている。後退防止特徴部3321、4090および相互に結合されたブレーキタブ3321-1、4092は、後退防止特徴部3321、4090を介したプランジャ部材4138、3516の挿入時に弾性変形し、ブレーキタブ3321-1、4092を撓ませるように構成することができる。ブレーキタブ3321-1、4092の弾性は、プランジャ部材係合面3329とプランジャ部材4138、3516の外側との間の接触を確保する付勢力を提供する。
【0172】
後退防止特徴部3321、4090は、ブレーキタブ3321-1、4092が遠位方向3325に曲げられた状態で、フィンガフランジ4136、3580の横方向スロット3323、3584に挿入される。ブレーキタブ3321-1、4092を予め曲げておくことにより、フィンガフランジ4136、3580へのプランジャ部材4138、3516の挿入時に、ブレーキタブ3321-1、4092が遠位方向に撓むことができ、一方で、プランジャ部材4138、3516の近位方向への移動を防止することができる。予め曲げる量は、ブレーキタブ3321-1、4092毎に、約10度~約80度、好ましくは45度である。代替的には、ブレーキタブ3321-1、4092は、横方向スロット3323、3584に挿入されるときに平坦であってもよく、フィンガフランジ4136、3580へのプランジャ部材4138、3516の挿入時に曲げられるようにしてもよい。後退防止特徴部3321、4090上のベアリング面/フィットタブ3321-2、3596、4096は、横方向スロット3323、3584を規定するフィンガフランジ4136、3580の内部表面に係合して、プランジャ部材4138、3516の挿入によりブレーキタブ3321-1、4092に加えられる力に反応するように構成されている。後退防止特徴部3321、4090は、フィンガフランジ4136、3580の横方向スロット3323、3584に後退防止特徴部3321、4090を保持するための保持バーブ/タブ3327、3594、4094を有することができる。本明細書のラチェットシステムは、デュアルチャンバシリンジで使用するように記載および説明されているが、このラチェットシステムは、プランジャ部材の近位方向への移動を防止することが望まれる任意のシリンジまたはカートリッジ注入システムで使用することができる。
【0173】
図49図56は、本明細書に記載のデュアルチャンバ注入システムへの一方向ラチェットの追加を示している。一方向ラチェットは、最小の抵抗力でプランジャ部材を遠位方向に移動させることを可能にするとともに、プランジャ部材の外面にラチェット歯が係合することによって、プランジャ部材が近位方向に移動するのを防止することができる。多成分注入調合剤の混合段階では、液体が移送される際に空気圧が遠位チャンバに蓄積される。この圧力が蓄積されることで、親指に近位方向の反力が発生する。歯のないラチェットを追加すると、この反力が打ち消され、プランジャ部材が近位方向に移動するのを防ぐことができる。歯のないラチェットが係合した状態では、ユーザはプランジャ部材の位置を維持するために遠位方向の力を継続的に加える必要がない。プランジャ部材の外面が滑らかであり、かつラチェットアームがプランジャ部材に食い込むように構成されている場合には、ラチェットは、歯のないものであってもよい。この場合、プランジャ部材の位置が無限小の増分で維持される。代替的には、ラチェットは、プランジャ部材の外面に設けられた環状の溝またはねじ山と係合して、漸増の位置停止を提供することができる。環状溝は、ラチェットが係合していることをユーザに示す触覚的および/または聴覚的なクリックまたはフィードバックを提供することができる。
【0174】
図49は、いくつかの実施形態に係る後退防止特徴部3590を有するフィンガフランジ3580を備えたデュアルチャンバ注入システム3500を示している。後退防止特徴部3590は、シリンジ本体3510に対するプランジャ部材3516の近位方向の移動を防止する一方で、遠位方向の移動を可能にする。シリンジ本体3510、プランジャ部材3516、フィンガフランジ3580および後退防止特徴部3590に加えて、デュアルチャンバ注入システム3500は、近位および遠位ストッパ部材3512、3514および針ハブアセンブリ3570も含む。図49に示す注入システム3500は、近位端および遠位端を有する針アセンブリ3530も含むことができる。近位端は、プランジャ部材3516が遠位方向に移動されるときに、近位チャンバ3522から遠位チャンバ3524に流体を移送するための流体通路(図示省略、図35(3324)、図9C(885)および/または図7E(270)を参照)を有するように構成されている。プランジャ部材3516は、シリンジ本体の近位開口部を介して、シリンジ本体3510の内部3518に挿入される。近位および遠位ストッパ部材3512、3514は、シリンジ本体3510とともに、近位薬剤チャンバ3522を規定する。遠位ストッパ部材3514およびシリンジ本体3510は、遠位薬剤チャンバ3524を規定する。プランジャ部材3516を手動で操作して、シリンジ本体3510に対して近位ストッパ部材3512を挿入することができる。非圧縮性流体が近位薬剤チャンバ3522に配置されている場合、近位ストッパ部材3512を挿入すると、遠位ストッパ部材3514もシリンジ本体3510に対して挿入される。
【0175】
図50図53は、フィンガフランジ3580を示しており、このフィンガフランジは、シリンジ本体3510の近位端に形成された小フランジ3511に取り付けられるように構成されている(図53を参照)。図50に示すように、フィンガフランジ3580は、フィンガフランジ3580をシリンジ本体3510に結合するために小フランジ3511を受け入れるように構成された第1の凹部3582を規定する。また、フィンガフランジ3580は、後退防止機構3590を受け入れるように構成された第2の凹部3584を規定する。後退防止機構3590は、遠位方向の移動を許容しつつ、後退防止機構3590に対するプランジャ部材3516の近位方向の移動に対抗力を与えるように構成された一対のブレーキタブ3592を含む。対抗力は、ブレーキタブ3592がプランジャ部材3516の外面3517に接触するときの摩擦力と、ブレーキタブ3592がプランジャ部材3516の外面3517に食い込むときの反力とを含むことができる。ブレーキタブ3592の鋭角により、プランジャ部材3516の表面3517に接触するブレーキタブ3592の各々の鋭い湾曲したエッジによって加えられる、プランジャ部材3516に平行な反力が生じる。この反力は、摩擦力とともに、プランジャ部材3516が近位方向に移動するのを防ぐ。フィンガフランジ3580は、プランジャ部材3516を受け入れるように構成された「C」字形の開口部3586をさらに規定する(図50を参照)。「C」字形の開口部3586により、フィンガフランジ3580は、組立中にプランジャ部材3516が挿入された後で、小フランジ3511の側方から小フランジ3511上にスライドさせることができる。また、図49図53に示す「C」字形のフィンガフランジ3580および後退防止機構3590は、プランジャ部材3516が挿入された後に、シリンジ本体3510の小フランジ3511にスライド/スナップ留めすることができる。近位ストッパ部材3514にねじ込まれたプランジャ部材3516を有するシリンジ本体3510は、輸送のための出荷トレイに、よりしっかりと詰めることができる。後退防止機構3590を有するフィンガフランジ3580は、出荷後にスナップ留め、シリンジ本体3510とプランジャ部材3516の両方の周りにスナップ留めされる。
【0176】
図51に示すように、後退防止機構3590は、概ね「C」字形のクリップである。いくつかの実施形態では、後退防止機構3590は、金属シートから切り取られ又は打ち抜かれ、その後、その特定の部分が最終的な形状に曲げられる。後退防止機構3590は、上述したように、プランジャ部材3516の近位方向の移動に対抗する摩擦力を提供するように構成された一対のブレーキタブ3592を含む。ブレーキタブ3592は、弾性的に変形可能であり、自己作動する。ブレーキタブ3592は、後退防止機構3590の平面に対して遠位方向に鋭角に延びている(すなわち、ブレーキタブ3592は下向きに曲げられている)。ブレーキタブ3592の角度および弾性により、プランジャ部材3516は、ブレーキタブ3592を越えて遠位方向にスライドすることができる。プランジャ部材3516がブレーキタブ3592に対して近位方向に引っ張られると、ブレーキタブ3592は、プランジャ部材3516の外面3517に接触して食い込み、ブレーキタブ3592に対するプランジャ部材3516の近位方向の移動を阻止する。ブレーキタブ3592は自己作動するため、近位方向の移動を試みると、ブレーキタブ3592は、プランジャ部材3516に加わる摩擦力とプランジャ部材3516への食い込み量を増加させることによりプランジャ部材3516と係合し、その近位方向の移動を阻止する。実際に、ブレーキタブ3592は、プランジャ部材3516に係合して、その近位方向の移動を防止するための一対の爪を形成する。いくつかの実施形態では、プランジャ部材(図示省略)には、ブレーキタブ3592のラチェット効果を高めるために、その上に環状溝のねじ山が設けられ、かつ/または形成されている。後退防止機構3590およびブレーキタブ3592は、使用後にプランジャ部材3516をデュアルチャンバ注入システム3500から取り外すことを防止する。
【0177】
また、後退防止機構3590は、フィンガフランジ3580の第2の凹部3584に後退防止機構3590を保持するように構成された一対の保持タブ3594を含む。保持タブ3594は、内側に曲げられ、それによりフィンガフランジ3580の第2の凹部3584の内側を摩擦力および反力で把持して、第2の凹部3584からの後退防止機構3590の取り外しを防止するように構成されている。また、保持タブ3594は、自己作動し、後退防止機構3590が第2の凹部3584から引っ張られるときに、増加する摩擦力および反力を提供する。図52に示す実施形態では、フィンガフランジ3580が、後退防止機構3590から保持タブ3594を受け入れるように構成された一対の開口部3588を含み、摩擦の代わりに干渉によって後退防止機構3590を第2の凹部3584に保持する。
【0178】
また、図51に示すように、後退防止機構3590は、第2の凹部3584と後退防止機構3590との間の公差を小さくするように構成された4つのフィットタブ3596を含み、それにより第2の凹部3584内に後退防止機構3590をよりピッタリと嵌め込むことができる。いくつかの実施形態では、フィンガフランジ3580がポリマーから成形され、よって、その中に正確かつ精密に形成することができる凹部の最小サイズの制限があるため、元の許容公差がより大きくなる。一方、後退防止機構3590は、金属シートから切り出され、よって第2の凹部3584の高さよりも薄いプロファイルを有する。フィットタブ3596は、後退防止機構3590の厚さ/高さを増加させ、それにより第2の凹部3584内でのよりタイトな嵌め込みを与える。また、フィットタブ3596は、後退防止機構3590に剛性も与える。このため、プランジャ部材3516が近位方向に引っ張られると、ブレーキタブ3592は、(その弾性と角度により)後退防止機構3590に外向きの力を及ぼすことになる。この外向きの力は、後退防止機構3590およびフィットタブ3596を介して伝達されて、後退防止機構3590の剛性により、フィンガフランジ3500の第2凹部3584の内側を押す。この外向きの力は、プランジャ部材3516に加わる摩擦力および反力に対する反力であり、その近位方向の移動を防止する。
【0179】
図54図56は、いくつかの実施形態に係る後退防止特徴部4090を有するフィンガフランジ4080を備えたデュアルチャンバ注入システム4000を示している。デュアルチャンバ注入システム4000は、図49図53に記載の上述したデュアルチャンバ注入システム3500と同じコンポーネントを多く有する。それらのコンポーネントは、デュアルチャンバ注入システム3500の対応するコンポーネントと同じ符号を有する。デュアルチャンバ注入システム3500、4000の違いは、フィンガフランジ3590、4090にある。プランジャ部材3516を受け入れるための「C」字形の開口部3586を有する図50および図51に記載のフィンガフランジ3590とは異なり、図55および図56に記載のフィンガフランジ4090は、プランジャ部材3516を受け入れるための「O」字形の開口部4086を有する。「O」字形の開口部4086は、使用後のデュアルチャンバ注入システム4000からのプランジャ部材3516の取り外しを防止するための追加の機構を提供する。
【0180】
図56に示すように、フィンガフランジ4080内の後退防止機構4090は、「O」および/または長方形の形状を有する。後退防止機構4090は、金属シートから切り取ることができる。フィンガフランジ4080の「O」および/または長方形の形状により、フィンガフランジ4080は、組立中に近位方向から小フランジ3511にスナップ留めされる。その後、プランジャ部材3516は、フィンガフランジ4080の「O」字形の開口部4086を介して挿入される。また、フィンガフランジ4080の「O」字形の開口部4086は、プランジャ部材3516をシリンジ本体3510内に位置合わせする。
【0181】
図56に記載の後退防止機構4090のブレーキタブ4092は、上述した図51に記載の後退防止機構3590のブレーキタブ3592と同一である。図56に記載の後退防止機構4090における保持タブ4094は、上述した図51に記載の後退防止機構3590における保持タブ3594と同様である。違いは、後退防止機構4090には単一の保持タブ4094があるのに対して、後退防止機構3590には一対の保持タブ3594があることである。図56に記載の後退防止機構4090のフィットタブ4096は、上述した図51に記載の後退防止機構3590のフィットタブ3596と同様である。違いは、後退防止機構4090には3つのフィットタブ4096があるのに対して、後退防止機構3590には4つのフィットタブ3594があることである。
【0182】
図54図56に記載の後退防止機構4090は対称的であり、手動でも自動でも大量の組立を簡素化する。プランジャ部材(図示省略)が環状の溝および/またはねじ山を有する実施形態では、後退防止機構4090が、デュアルチャンバ注入システム4000からのプランジャ部材3516の取り外しを防止することができる。さらに、「O」字形の後退防止機構4090の一対の長いビームは変形可能であり、後退防止機構4092が外側に曲がることを可能にし、それにより、外側/長いフィットタブ4096を介して第2の凹部4084の内壁に外側の反力を伝達することができる。
【0183】
本明細書に記載および説明されるプレフィルデュアルチャンバ安全注入システムは、ステイクド針を有するシリンジを含むが、本明細書に記載の注入構成およびデテントデュアルチャンバ構成は、カートリッジおよび自動注入器、およびルアーコネクタおよび移送管を有し、針を有しない注入システムとともに使用することが可能である。
【0184】
本発明の様々な例示的な実施形態が本明細書に記載されている。これらの例は、非限定的な意味で参照される。これらは、本発明のより広範に適用可能な態様を例示するために提供されている。本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載の発明に様々な変更を加えることができ、均等物に置き換えることができる。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス行為またはステップを、本発明の目的、趣旨または範囲に適合させるために、多くの変更を加えることができる。さらに、当業者によって理解されるように、本明細書に記載および例示された個々のバリエーションの各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態の何れかの特徴から容易に分離され、またはそれらの特徴と組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。そのような変更はすべて、本開示に関連する特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0185】
対象となる診断処置または介入処置を実行するために説明したデバイスの何れかが、そのような介入を実行する際に使用するためにパッケージ化された組合せで提供されるものであってもよい。それらの供給「キット」は、使用説明書をさらに含み、そのような目的のために一般的に採用されるような無菌トレイまたは容器にパッケージ化されるものであってもよい。
【0186】
本発明は、対象のデバイスを用いて実行され得る方法を含む。その方法は、そのような好適なデバイスを提供する行為を含むことができる。そのような提供は、エンドユーザによって実行されるものであってもよい。すなわち、「提供する」という行為は、エンドユーザが、対象となる方法において、必要なデバイスを提供するために、取得、アクセス、アプローチ、配置、セットアップ、起動、電源投入またはその他の行為を行うことを単に必要とするだけである。本明細書に記載の方法は、論理的に可能な任意の順序で、あるいは記載された事象の順序で、記載された事象を実行することができる。
【0187】
本発明の例示的な態様は、材料の選択および製造に関する詳細とともに、上述されている。本発明の他の詳細に関しては、それらは、先に引用した特許および刊行物に関連して理解され得るだけでなく、当技術分野の当業者には一般的に知られているか、または理解され得るものである。例えば、当技術分野の当業者であれば、1または複数の潤滑性コーティング(例えば、ポリビニルピロリドン系組成物などの親水性ポリマー、テトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、PTFE、親水性ゲルまたはシリコーン)を、必要に応じて、移動可能に結合された部分の比較的大きな境界面など、デバイスの様々な部分に関連して使用することができ、それにより例えば、器具の他の部分または近くの組織構造物に対するそのような対象の低摩擦操作または前進を容易にすることができることを理解するであろう。一般的にまたは論理的に採用される追加の行為に関して、本発明の方法に基づく態様についても同様のことが当てはまるであろう。
【0188】
さらに、本発明は、様々な特徴を任意に組み込んだいくつかの例を参照して説明してきたが、本発明の各バリエーションに関して企図されるように記載または開示されたものに限定されるものではない。本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載の発明に様々な変更を加えることができ、(本明細書に記載されているか、または簡潔にするために含まれていないかにかかわらず)均等物に置き換えることができる。さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のすべての介在値と、記載した範囲内の他の記載した値または介在値が、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。
【0189】
また、記載した本発明のバリエーションの任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のうちの任意の1または複数の特徴と組み合わせて記載および主張され得ることが企図される。単数の項目への言及は、同じ項目が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書およびこれに関連する特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含む。言い換えれば、冠詞の使用は、本開示に関連する特許請求の範囲と同様に、上記説明における主題項目の「少なくとも1つ」を可能にする。そのような請求項は、任意の要素を除外するように起草される場合があることに留意されたい。このため、この記述は、請求項の要素の列挙に関連して、「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する先の記載、または「否定的な」限定を使用するための先の記載として機能することを意図している。
【0190】
そのような排他的な用語を使用することなく、本開示に関連する請求項における「含む」という用語は、所与の数の要素がそのような請求項に列挙されているかどうか、または特徴の追加がそのような請求項に記載された要素の性質を変化させるとみなされるかどうかにかかわらず、任意の追加要素を含むことを可能にするものとする。本明細書で具体的に規定されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、請求項の有効性を維持しつつ、可能な限り広く一般的に理解される意味を与えるものとする。
【0191】
本発明の幅は、提供された実施例および/または主題の明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示に関連する請求項の文言の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
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図6-2】
図7-1】
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【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入システムにおいて、
近位端に近位開口部を規定し、遠位端に遠位針インターフェースを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体内に配置された近位ストッパおよび遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して挿入するために手動で操作されるように構成されたプランジャ部材であって、滑らかな外面を有するプランジャ部材と、
流体移送アセンブリと、
後退防止機構を有するフィンガフランジであって、前記後退防止機構が、
前記プランジャ部材に対抗力を与えて、ブレーキタブに対する前記プランジャ部材の近位方向の移動を防止するように構成されたブレーキタブと、
前記後退防止機構を前記フィンガフランジの凹部に保持するように構成された保持特徴部とを有する、フィンガフランジと、を備え、
前記フィンガフランジが、前記凹部内の前記後退防止機構と干渉して前記後退防止機構を保持するように構成されたエッジを有する開口部をさらに備えることを特徴とする注入システム。
【請求項2】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記フィンガフランジが、前記フィンガフランジを前記シリンジ本体のフランジに取り付けるように構成された別の凹部をさらに備えることを特徴とする注入システム。
【請求項3】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記後退防止機構が、前記凹部と前記後退防止機構の寸法との間の公差を小さくするように構成された複数のフィットタブをさらに備えることを特徴とする注入システム。
【請求項4】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記後退防止機構が、金属クリップであることを特徴とする注入システム。
【請求項5】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記ブレーキタブが、弾性を有する自己作動する爪であることを特徴とする注入システム。
【請求項6】
請求項5に記載の注入システムにおいて、
前記ブレーキタブが、前記後退防止機構の平面に対して遠位方向に鋭角に配置されていることを特徴とする注入システム。
【請求項7】
請求項6に記載の注入システムにおいて、
前記ブレーキタブの鋭角性および弾性により、近位方向に後退する際に前記プランジャ部材に対する摩擦力が増加することを特徴とする注入システム。
【請求項8】
請求項6に記載の注入システムにおいて、
前記プランジャ部材が近位方向に後退するときに、前記ブレーキタブが、前記ブレーキタブの鋭角性および弾性により、前記後退防止機構を介して前記フィンガフランジの内壁に外向きの力を及ぼすことを特徴とする注入システム。
【請求項9】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記後退防止機構が、「C」字形を有することを特徴とする注入システム。
【請求項10】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記後退防止機構が、「O」字形を有することを特徴とする注入システム。
【請求項11】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記プランジャ部材が前記シリンジ本体内に挿入された後に、前記後退防止機構が、前記シリンジ本体からの前記プランジャ部材の取り外しを防止することを特徴とする注入システム。
【請求項12】
請求項1に記載の注入システムにおいて、
前記対抗力が、摩擦力および反力を含むことを特徴とする注入システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が前記後退防止機構に対して近位方向に移動するときに、前記ブレーキタブが、前記プランジャ部材の滑らかな外面に入り込むように構成されていることを特徴とする注入システム。
【外国語明細書】