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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102084
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】熱電素子
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20240723BHJP
   H10N 10/852 20230101ALI20240723BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H10N10/17 A
H10N10/852
H02N11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063749
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2021513289の分割
【原出願日】2019-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0108436
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジンギョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多様なサイズ及び多様な形状の熱電素子を具現する電極構造を提供する。
【解決手段】熱電素子100は、第1金属基板170、第1金属基板上に配置される第1樹脂層110、第1樹脂層上に配置された複数の第1電極120、複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグ130、複数の第1電極上に配置された複数のN型熱電レッグ140、複数のP型熱電レッグ及び複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極150、複数の第2電極上に配置される第2樹脂層160及び第2樹脂層上に配置される第2金属基板180を含み、複数の第1電極のうち少なくとも一つは、第1樹脂層と接触する第1面、第1面に対向し一対のP型熱電レッグ及びN型熱電レッグが配置される第2面並びに第2面の縁に沿って配置される第1突出部を含み、隣り合う第1電極の間に配置される第1樹脂層の厚さが第1面の下部に配置される第1樹脂層の厚さより小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属基板、
前記第1金属基板上に配置される第1樹脂層、
前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、
前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ

前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極

前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、そして
前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、
前記複数の第1電極のうち少なくとも一つは、前記第1樹脂層と接触する第1面、前記
第1面に対向し一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置される第2面、そして
前記第2面の縁に沿って配置される第1突出部を含む、熱電素子。
【請求項2】
隣り合う第1電極の間に配置される前記第1樹脂層の厚さは前記隣り合う第1電極に近
づくほど大きくなる、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項3】
前記隣り合う第1電極の間の少なくとも一部の領域には前記第1金属基板が露出する、
請求項1に記載の熱電素子。
【請求項4】
前記第1突出部の幅は前記第1電極の上面の長幅の5~20%である、請求項1に記載
の熱電素子。
【請求項5】
前記第1突出部は炭化物を含み、
前記炭化物の炭素含量は30wt%以上である、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項6】
前記第1突出部は前記第2面の縁に沿って連続的に配置される、請求項1に記載の熱電
素子。
【請求項7】
前記第2面上に配置された第2突出部をさらに含み、
前記第2突出部は前記一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグの間に配置された、
請求項1に記載の熱電素子。
【請求項8】
前記複数の第1電極のうち最外側に配置される一部の側面には前記第1樹脂層が配置さ
れる、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項9】
隣り合う第1電極の間に配置される前記第1樹脂層の厚さは前記複数の第1電極の下面
に配置される第1樹脂層の厚さより低く配置される、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項10】
第1金属基板、
前記第1金属基板上に配置される第1樹脂層、
前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、
前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ

前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極

前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、そして
前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、
隣り合う第1電極の間に配置される前記第1樹脂層の高さは前記複数の第1電極の下面
の高さより低く配置される、熱電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電素子に関し、より詳細には熱電素子の電極に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電現象は材料内部の電子(electron)と正孔(hole)の移動によって発
生する現象であって、熱と電気の間の直接的なエネルギー変換を意味する。
【0003】
熱電素子は熱電現象を利用する素子を総称し、P型熱電材料とN型熱電材料を金属電極
の間に接合させてPN接合対を形成する構造を有する。
【0004】
熱電素子は電気抵抗の温度変化を利用する素子、温度差によって起電力が発生する現象
であるゼーベック効果を利用する素子、電流による吸熱または発熱が発生する現象である
ペルティエ効果を利用する素子などに区分され得る。熱電素子は家電製品、電子部品、通
信用部品などに多様に適用されている。例えば、熱電素子は冷却用装置、温熱用装置、発
電用装置などに適用され得る。これに伴い、熱電素子の熱電性能に対する要求はますます
高まっている。
【0005】
熱電素子は基板、電極および熱電レッグを含み、上部基板と下部基板の間に複数の熱電
レッグがアレイの形態で配置され、複数の熱電レッグと上部基板の間に複数の上部電極が
配置され、複数の熱電レッグとおよび下部基板の間に複数の下部電極が配置される。
【0006】
一般的に、複数の電極は治具上に整列された後、基板上に接合され得る。この時、複数
の電極を治具上に整列した後、基板上に接合するまで所定の時間および工程が要求され得
、シリコンテープの転写および除去工程も要求され、熱電素子のサイズまたはデザイン別
にジグが製作されなければならないため、これは工程費用を増加させる要因となり得る。
また、複数の電極を基板上に接合する時、複数の電極上に加えられる圧力が不均一であり
得、これに伴い、複数の電極と基板の間を接合する物質の一部が複数の電極まで届き得る
。複数の電極の一部にでも異物が存在すると、熱電素子の電気伝導度に影響を及ぼし得る
。また、複数の電極と基板の間の接合強度が不均一であるため、高温部側の基板と電極間
の熱膨張係数の差によって一部の電極が基板から剥離する可能性がある。
【0007】
一方、複数の電極それぞれの上には一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置
され得、このために各電極上にソルダー層を印刷した後、ソルダー層上にP型熱電レッグ
とN型熱電レッグを接合することができる。この時、P型熱電レッグおよびN型熱電レッ
グがソルダー層上で滑ってチルティングされるか互いに接合する場合、ソルダー層が電極
の外に溢れ出る場合などが時々発生し得、これに伴い、ショート不良が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が達成しようとする技術的課題は熱電素子の電極構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例に係る熱電素子は、第1金属基板、前記第1金属基板上に配置される
第1樹脂層、前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、前記複数の第1電極上に配
置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、前記複数のP型熱電レッグ
および複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、前記複数の第2電極上に配
置される第2樹脂層、そして前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、前記複
数の第1電極のうち少なくとも一つは、前記第1樹脂層と接触する第1面、前記第1面に
対向し一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置される第2面、そして前記第2
面の縁に沿って配置される第1突出部を含み、隣り合う第1電極の間に配置される前記第
1樹脂層の厚さは前記第1面の下部に配置される前記第1樹脂層の厚さより小さい。
【0010】
隣り合う第1電極の間に配置される前記第1樹脂層の厚さは前記隣り合う第1電極に近
づくほど大きくなり得る。
【0011】
前記隣り合う第1電極の間の少なくとも一部の領域には前記第1金属基板が露出し得る
【0012】
前記第2面の縁から前記一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置される領域
に近づくほど前記第1突出部の高さは低くなり得る。
【0013】
前記第2面の縁から前記一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置される領域
に近づくほど前記第1突出部は高くなってから低くなり得る。
【0014】
前記第1突出部の幅は前記第1電極の上面の長幅の5~20%であり得る。
【0015】
前記第1突出部は炭化物を含み、前記炭化物の炭素含量は30wt%以上であり得る。
【0016】
前記第1突出部は前記第2面の縁に沿って連続的に配置され得る。
【0017】
前記第2面上に配置された第2突出部をさらに含み、前記第2突出部は前記一対のP型
熱電レッグおよびN型熱電レッグの間に配置され得る。
【0018】
前記第2突出部の最高地点の高さは前記第1突出部の最高地点の高さより低くてもよい
【0019】
前記第2突出部は前記一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグの側面と所定距離で
離隔し得る。
【0020】
前記第2突出部は前記第1突出部と連結され得る。
【0021】
前記第2突出部は前記第1突出部と分離され得る。
【0022】
前記第1突出部は前記第2面をなす物質と同一の物質からなり得る。
【0023】
前記第1突出部は炭素を含むことができる。
【0024】
前記複数の第1電極のうち最外側に配置される一部の側面には前記第1樹脂層が配置さ
れ得る。
【0025】
前記複数の第1電極のうち一部は、前記複数の第1電極のうち外郭に配置される第1電
極であり、前記複数の第1電極のうち一部の側面は、前記複数の第1電極のうち外郭に配
置される第1電極の側面のうち外側を向くように配置された側面であり得る。
【0026】
本発明の他の実施例に係る熱電素子は、第1金属基板、前記第1金属基板上に配置され
る第1樹脂層、前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、前記複数の第1電極上に
配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、前記複数のP型熱電レッ
グおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、前記複数の第2電極上に
配置される第2樹脂層、そして前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、隣り
合う第1電極の間に配置される前記第1樹脂層の高さは前記複数の第1電極の下面の高さ
より低く配置される。
【0027】
本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子は、第1金属基板、前記第1金属基板上に配
置される第1樹脂層、前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、前記複数の第1電
極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、前記複数のP型熱
電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、前記複数の第2電
極上に配置される第2樹脂層、そして前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み
、前記複数の第1電極のうち少なくとも一つは、前記第1樹脂層と接触する第1面、前記
第1面に対向し一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグが配置される第2面、そして
前記第2面に配置される第1突出部を含み、前記第1突出部は炭化物を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例によると、製作工程が簡単で、熱伝導度が優秀であり、信頼性が高い熱
電素子を得ることができる。特に、本発明の実施例によると、電極配置のためのジグが不
要であるため、多様なサイズおよび多様な形状の熱電素子を具現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例に係る熱電素子の断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る熱電素子内の一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグを説明するための図面である。
図3】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示す。
図4】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示す。
図5】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示す。
図6】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示す。
図7】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示す。
図8】本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の断面図である。
図9】本発明の他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の断面図である。
図10】本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の断面図である。
図11】本発明の一実施例に係る電極の上面図および断面図である。
図12】本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層、電極および熱電レッグの断面図である。
図13図12に係る熱電素子の電極の上面図および断面図である。
図14図12に係る熱電素子の電極の上面図および断面図である。
図15】本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の断面図である。
図16】本発明の実施例によりレーザー加工によって電極を形成した後に撮影した写真である。
図17】本発明の実施例によりレーザー加工によって電極を形成した後に撮影した写真である。
図18】本発明の実施例により機械加工によって電極を形成した後に撮影した写真である。
図19】本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器のブロック図である。
図20】本発明の実施例に係る熱電素子が適用された冷蔵庫のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0031】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互い
に異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間にその構
成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0032】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に
定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的
に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語
は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0033】
また、本発明の実施例で使われた用語は、実施例を説明するためのものであり本発明を
制限しようとするものではない。
【0034】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび
(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、C
で組み合わせ得るすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0035】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、
(b)等の用語を使うことができる。
【0036】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用
語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0037】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記
載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される
場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によっ
て「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0038】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記
載される場合、上(うえ)または下(した)は、二つの構成要素が互いに直接接触する場
合だけでなく一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置され
る場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要
素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0039】
図1は本発明の一実施例に係る熱電素子の断面図であり、図2は本発明の一実施例に係
る熱電素子内の一対のP型熱電レッグおよびN型熱電レッグを説明するための図面である
【0040】
図1図2を参照すると、熱電素子100は第1樹脂層110、複数の第1電極120
、複数のP型熱電レッグ130、複数のN型熱電レッグ140、複数の第2電極150お
よび第2樹脂層160を含む。
【0041】
複数の第1電極120は第1樹脂層110と複数のP型熱電レッグ130および複数の
N型熱電レッグ140の下面の間に配置され、複数の第2電極150は第2樹脂層160
と複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140の上面の間に配置され
る。これに伴い、複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140は複数
の第1電極120および複数の第2電極150によって電気的に連結される。第1電極1
20と第2電極150の間に配置され、電気的に連結される一対のP型熱電レッグ130
およびN型熱電レッグ140は単位セルを形成することができる。
【0042】
各第1電極120上には一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140が配
置され得、各第2電極150上には各第1電極120上に配置された一対のP型熱電レッ
グ130およびN型熱電レッグ140のうち一つが重なるように、一対のN型熱電レッグ
140およびP型熱電レッグ130が配置され得る。
【0043】
ここで、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は、ビズマス(Bi)およ
びテルル(Te)を主原料として含むビスマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグで
あり得る。P型熱電レッグ130は全体重量100wt%に対してアンチモン(Sb)、
ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ
素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(I
n)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~
99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッ
グであり得る。例えば、主原料物質がBi-Se-Teであり、BiまたはTeを全体重
量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。N型熱電レッグ140は全体重量
100wt%に対してセレン(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(
Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、
ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルラ
イド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合
物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Sb
-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことがで
きる。
【0044】
P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140はバルク型または積層型で形成され
得る。一般的にバルク型P型熱電レッグ130またはバルク型N型熱電レッグ140は、
熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕し篩分けし
て熱電レッグ用粉末を獲得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じ
て得ることができる。積層型P型熱電レッグ130または積層型N型熱電レッグ140は
、シート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部
材を積層しカッティングする過程を通じて得ることができる。
【0045】
この時、一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は同一形状および体
積を有してもよく、互いに異なる形状および体積を有してもよい。例えば、P型熱電レッ
グ130とN型熱電レッグ140の電気伝導特性が異なるため、N型熱電レッグ140の
高さまたは断面積をP型熱電レッグ130の高さまたは断面積と異なるように形成しても
よい。
【0046】
本発明の一実施例に係る熱電素子の性能は熱電性能指数で表すことができる。熱電性能
指数(ZT)は数学式1のように表すことができる。
【数1】
【0047】
ここで、αはゼーベック係数[V/K]であり、σは電気伝導度[S/m]であり、α
σはパワー因子(Power Factor、[W/mK])である。そして、Tは
温度であり、kは熱伝導度[W/mK]である。kはa・cp・ρで表すことができ、a
は熱拡散度[cm/S]であり、cpは比熱[J/gK]であり、ρは密度[g/cm
]である。
【0048】
熱電素子の熱電性能指数を得るために、Zメーターを利用してZ値(V/K)を測定し
、測定したZ値を利用して熱電性能指数(ZT)を計算することができる。
【0049】
本発明の他の実施例によると、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は図
2(b)で図示する構造を有してもよい。図2(b)を参照すると、熱電レッグ130、
140は熱電素材層132、142、熱電素材層132、142の一面上に積層される第
1メッキ層134-1、144-1、熱電素材層132、142の一面と対向して配置さ
れる他の面に積層される第2メッキ層134-2、144-2、熱電素材層132、14
2と第1メッキ層134-1、144-1の間および熱電素材層132、142と第2メ
ッキ層134-2、144-2の間にそれぞれ配置される第1接合層136-1、146
-1および第2接合層136-2、146-2、そして第1メッキ層134-1、144
-1および第2メッキ層134-2、144-2上にそれぞれ積層される第1金属層13
8-1、148-1および第2金属層138-2、148-2を含む。
【0050】
この時、熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1は互いに直接
接触し、熱電素材層132、142と第2接合層136-2、146-2は互いに直接接
触することができる。そして、第1接合層136-1、146-1と第1メッキ層134
-1、144-1は互いに直接接触し、第2接合層136-2、146-2と第2メッキ
層134-2、144-2は互いに直接接触することができる。そして、第1メッキ層1
34-1、144-1と第1金属層138-1、148-1は互いに直接接触し、第2メ
ッキ層134-2、144-2と第2金属層138-2、148-2は互いに直接接触す
ることができる。
【0051】
ここで、熱電素材層132、142は半導体材料であるビズマス(Bi)およびテルル
(Te)を含むことができる。熱電素材層132、142は図1および図2(a)で図示
したP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140と同一素材または形状を有するこ
とができる。
【0052】
そして、第1金属層138-1、148-1および第2金属層138-2、148-2
は銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)およびアルミニウム合金から選択され得、
0.1~0.5mm、好ましくは0.2~0.3mmの厚さを有することができる。第1
金属層138-1、148-1および第2金属層138-2、148-2の熱膨張係数は
熱電素材層132、142の熱膨張係数と類似するかより大きいので、焼結時に第1金属
層138-1、148-1および第2金属層138-2、148-2と熱電素材層132
、142間の境界面で圧縮応力が加えられるため、亀裂または剥離を防止することができ
る。また、第1金属層138-1、148-1および第2金属層138-2、148-2
と電極120、150間の結合力が高いため、熱電レッグ130、140は電極120、
150と安定的に結合することができる。
【0053】
次に、第1メッキ層134-1、144-1および第2メッキ層134-2、144-
2はそれぞれNi、Sn、Ti、Fe、Sb、CrおよびMoのうち少なくとも一つを含
むことができ、1~20μm、好ましくは1~10μmの厚さを有することができる。第
1メッキ層134-1、144-1および第2メッキ層134-2、144-2は熱電素
材層132、142内の半導体材料であるBiまたはTeと第1金属層138-1、14
8-1および第2金属層138-2、148-2間の反応を防ぐため、熱電素子の性能の
低下を防止できるだけでなく、第1金属層138-1、148-1および第2金属層13
8-2、148-2の酸化を防止することができる。
【0054】
この時、熱電素材層132、142と第1メッキ層134-1、144-1の間および
熱電素材層132、142と第2メッキ層134-2、144-2の間には、第1接合層
136-1、146-1および第2接合層136-2、146-2が配置され得る。この
時、第1接合層136-1、146-1および第2接合層136-2、146-2はTe
を含むことができる。例えば、第1接合層136-1、146-1および第2接合層13
6-2、146-2は、Ni-Te、Sn-Te、Ti-Te、Fe-Te、Sb-Te
、Cr-TeおよびMo-Teのうち少なくとも一つを含むことができる。本発明の実施
例によると、第1接合層136-1、146-1および第2接合層136-2、146-
2それぞれの厚さは0.5~100μm、好ましくは1~50μmであり得る。本発明の
実施例によると、熱電素材層132、142と第1メッキ層134-1、144-1およ
び第2メッキ層134-2、144-2の間にTeを含む第1接合層136-1、146
-1および第2接合層136-2、146-2をあらかじめ配置して、熱電素材層132
、142内のTeが第1メッキ層134-1、144-1および第2メッキ層134-2
、144-2に拡散することを防止することができる。これに伴い、Biリッチ領域の発
生を防止することができる。
【0055】
これによると、熱電素材層132、142の中心部から熱電素材層132、142と第
1接合層136-1、146-1間の境界面までTe含量はBi含量より高く、熱電素材
層132、142の中心部から熱電素材層132、142と第2接合層136-2、14
6-2間の境界面までTe含量はBi含量より高い。熱電素材層132、142の中心部
から熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1間の境界面までのT
e含量または熱電素材層132、142の中心部から熱電素材層132、142と第2接
合層136-2、146-2間の境界面までのTe含量は、熱電素材層132、142の
中心部のTe含量対比0.8~1倍であり得る。例えば、熱電素材層132、142と第
1接合層136-1、146-1間の境界面から熱電素材層132、142の中心部の方
向に100μm厚さ内のTe含量は、熱電素材層132、142の中心部のTe含量対比
0.8倍~1倍であり得る。ここで、熱電素材層132、142と第1接合層136-1
、146-1間の境界面から熱電素材層132、142の中心部の方向に100μm厚さ
内でもTe含量は一定に維持され得、例えば熱電素材層132、142と第1接合層13
6-1、146-1間の境界面から熱電素材層132、142の中心部の方向に100μ
m厚さ内でTe重量比の変化率は0.9~1であり得る。
【0056】
また、第1接合層136-1、146-1または第2接合層136-2、146-2内
のTeの含量は、熱電素材層132、142内のTeの含量と同一または類似し得る。例
えば、第1接合層136-1、146-1または第2接合層136-2、146-2内T
eの含量は、熱電素材層132、142内Teの含量の0.8~1倍、好ましくは0.8
5~1倍、さらに好ましくは0.9~1倍、さらに好ましくは0.95~1倍であり得る
。ここで、含量は重量比であり得る。例えば、熱電素材層132、142内Teの含量が
50wt%で含まれる場合、第1接合層136-1、146-1または第2接合層136
-2、146-2内Teの含量は40~50wt%、好ましくは42.5~50wt%、
さらに好ましくは45~50wt%、さらに好ましくは47.5~50wt%であり得る
。また、第1接合層136-1、146-1または第2接合層136-2、146-2内
Teの含量はNi対比大きくてもよい。第1接合層136-1、146-1または第2接
合層136-2、146-2内でTeの含量は一定に分布する反面、Ni含量は第1接合
層136-1、146-1または第2接合層136-2、146-2内で熱電素材層13
2、142方向に隣接するほど減少し得る。
【0057】
そして、熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1間の境界面ま
たは熱電素材層132、142と第2接合層136-2、146-2間の境界面から第1
メッキ層136-1、146-1と第1接合層136-1、146-1間の境界面または
第2メッキ層134-2、144-2と第2接合層136-2、146-2間の境界面ま
でのTe含量は一定に分布され得る。例えば、熱電素材層132、142と第1接合層1
36-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142と第2接合層136-
2、146-2間の境界面から第1メッキ層136-1、146-1と第1接合層136
-1、146-1間の境界面または第2メッキ層134-2、144-2と第2接合層1
36-2、146-2間の境界面までのTe重量比の変化率は0.8~1であり得る。こ
こで、Te重量比の変化率が1に近いほど熱電素材層132、142と第1接合層136
-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142と第2接合層136-2、
146-2間の境界面から第1メッキ層136-1、146-1と第1接合層136-1
、146-1間の境界面または第2メッキ層134-2、144-2と第2接合層136
-2、146-2間の境界面までのTe含量が一定に分布することを意味し得る。
【0058】
そして、第1接合層136-1、146-1内第1メッキ層134-1、144-1と
接する面、すなわち第1メッキ層136-1、146-1と第1接合層136-1、14
6-1間の境界面または第2接合層136-2、146-2内第2メッキ層134-2、
144-2と接する面、すなわち第2メッキ層134-2、144-2と第2接合層13
6-2、146-2間の境界面でのTeの含量は、熱電素材層132、142内第1接合
層136-1、146-1と接する面、すなわち熱電素材層132、142と第1接合層
136-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142内第2接合層136
-2、146-2と接する面、すなわち熱電素材層132、142と第2接合層136-
2、146-2間の境界面でのTeの含量の0.8~1倍、好ましくは0.85~1倍、
さらに好ましくは0.9~1倍、さらに好ましくは0.95~1倍であり得る。ここで、
含量は重量比であり得る。
【0059】
そして、熱電素材層132、142の中心部のTe含量は、熱電素材層132、142
と第1接合層136-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142と第2
接合層136-2、146-2間の境界面のTe含量と同一または類似して示されること
が分かる。すなわち、熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1間
の境界面または熱電素材層132、142と第2接合層136-2、146-2間の境界
面のTe含量は、熱電素材層132、142の中心部のTe含量の0.8~1倍、好まし
くは0.85~1倍、さらに好ましくは0.9~1倍、さらに好ましくは0.95~1倍
であり得る。ここで、含量は重量比であり得る。ここで、熱電素材層132、142の中
心部は熱電素材層132、142の中心を含む周辺領域を意味し得る。そして、境界面は
境界面自体を意味するか、または境界面と境界面から所定距離内に隣接する境界面周辺領
域を含むものを意味し得る。
【0060】
そして、第1メッキ層136-1、146-1または第2メッキ層134-2、144
-2内Teの含量は、熱電素材層132、142内Teの含量および第1接合層136-
1、146-1または第2接合層136-2、146-2内Teの含量より低く示され得
る。
【0061】
また、熱電素材層132、142の中心部のBi含量は、熱電素材層132、142と
第1接合層136-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142と第2接
合層136-2、146-2間の境界面のBi含量と同一または類似して示されることが
分かる。これに伴い、熱電素材層132、142の中心部から熱電素材層132、142
と第1接合層136-1、146-1間の境界面または熱電素材層132、142と第2
接合層136-2、146-2間の境界面に至るまでTeの含量がBiの含量より高く示
されるため、熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1間の境界面
周辺または熱電素材層132、142と第2接合層136-2、146-2間の境界面周
辺でBi含量がTe含量を逆転する区間が存在しない。例えば、熱電素材層132、14
2の中心部のBi含量は熱電素材層132、142と第1接合層136-1、146-1
間の境界面または熱電素材層132、142と第2接合層136-2、146-2間の境
界面のBi含量の0.8~1倍、好ましくは0.85~1倍、さらに好ましくは0.9~
1倍、さらに好ましくは0.95~1倍であり得る。ここで、含量は重量比であり得る。
【0062】
ここで、第1樹脂層110とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の間に
配置される複数の第1電極120、そして第2樹脂層160とP型熱電レッグ130およ
びN型熱電レッグ140の間に配置される複数の第2電極150は、銅(Cu)、銀(A
g)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0063】
そして、第1樹脂層110と第2樹脂層160の大きさは異なるように形成されてもよ
い。例えば、第1樹脂層110と第2樹脂層160のうち一つの体積、厚さまたは面積は
、他の一つの体積、厚さまたは面積より大きく形成され得る。これに伴い、熱電素子の吸
熱性能または放熱性能を高めることができる。
【0064】
この時、P型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140は円筒状、多角柱状、楕円
柱状などを有することができる。
【0065】
またはP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140は積層型の構造を有してもよ
い。例えば、P型熱電レッグまたはN型熱電レッグは、シート状の基材に半導体物質が塗
布された複数の構造物を積層した後、これを切断する方法で形成され得る。これに伴い、
材料の損失を防止し、電気伝導特性を向上させることができる。
【0066】
またはP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140はゾーンメルティング(zo
ne melting)方式または粉末焼結方式により製作され得る。ゾーンメルティン
グ方式によると、熱電素材を利用してインゴット(ingot)を製造した後、インゴッ
トにゆっくり熱を加えて単一方向に粒子が再配列されるようにリファイニングし、ゆっく
り冷却させる方法で熱電レッグを得る。粉末焼結方式によると、熱電素材を利用してイン
ゴットを製造した後、インゴットを粉砕し篩分けして熱電レッグ用粉末を獲得し、これを
焼結する過程を通じて熱電レッグを得る。
【0067】
本発明の実施例によると、第1金属基板170上に第1樹脂層110が配置され、第2
樹脂層160上に第2金属基板180が配置され得る。
【0068】
第1金属基板170および第2金属基板180はアルミニウム、アルミニウム合金、銅
、銅合金などからなり得る。第1金属基板170および第2金属基板180は第1樹脂層
110、複数の第1電極120、複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッ
グ140、複数の第2電極150、第2樹脂層160等を支持することができ、本発明の
実施例に係る熱電素子100が適用されるアプリケーションに直接付着される領域であり
得る。これに伴い、第1金属基板170および第2金属基板180はそれぞれ第1金属支
持体および第2金属支持体と混用され得る。
【0069】
第1金属基板170の面積は第1樹脂層110の面積より大きくてもよく、第2金属基
板180の面積は第2樹脂層160の面積より大きくてもよい。すなわち、第1樹脂層1
10は第1金属基板170の縁から所定距離だけ離隔した領域内に配置され得、第2樹脂
層160は第2金属基板180の縁から所定距離だけ離隔した領域内に配置され得る。
【0070】
第1樹脂層110および第2樹脂層160はエポキシ樹脂および無機充填材を含むエポ
キシ樹脂組成物からなり得る。ここで、無機充填材はエポキシ樹脂組成物の68~88v
ol%で含まれ得る。無機充填材が68vol%未満で含まれると、熱伝導効果が低くな
り得、無機充填材が88vol%を超過して含まれると樹脂層と金属基板間の接着力が低
くなり得、樹脂層が容易に壊れ得る。
【0071】
第1樹脂層110および第2樹脂層160の厚さは0.02~0.6mm、好ましくは
0.1~0.6mm、さらに好ましくは0.2~0.6mmであり得、熱伝導度は1W/
mK以上、好ましくは10W/mK以上、さらに好ましくは20W/mK以上であり得る
【0072】
エポキシ樹脂はエポキシ化合物および硬化剤を含むことができる。この時、エポキシ化
合物10体積比に対して硬化剤1~10体積比で含まれ得る。ここで、エポキシ化合物は
結晶性エポキシ化合物、非結晶性エポキシ化合物およびシリコンエポキシ化合物のうち少
なくとも一つを含むことができる。結晶性エポキシ化合物はメソゲン(mesogen)
構造を含むことができる。メソゲン(mesogen)は液晶(liquid crys
tal)の基本単位であり、剛性(rigid)構造を含む。そして、非結晶性エポキシ
化合物は分子のうちエポキシ基を2個以上有する通常の非結晶性エポキシ化合物であり得
、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFから誘導されるグリシジルエーテル化
物であり得る。ここで、硬化剤はアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化
剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤お
よびブロックイソシアネート系硬化剤のうち少なくとも一つを含むことができ、2種以上
の硬化剤を混合して使ってもよい。
【0073】
無機充填材は酸化物および窒化物を含むことができ、窒化物は無機充填材の55~95
wt%で含まれ得、より好ましくは60~80wt%であり得る。窒化物がこのような数
値範囲で含まれる場合、熱伝導度および接合強度を高めることができる。ここで、酸化物
は酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛のうち少なくとも一つを含むことができ、窒
化物は、窒化ホウ素および窒化アルミニウムのうち少なくとも一つを含むことができる。
ここで、窒化物が窒化ホウ素を含む場合、窒化ホウ素は板状の窒化ホウ素がかたまった窒
化ホウ素凝集体の形態で適用され得、窒化ホウ素凝集体の表面は下記の単位体1を有する
高分子でコーティングされるか、窒化ホウ素凝集体内の空隙の少なくとも一部は下記の単
位体1を有する高分子によって充填され得る。
【0074】
単位体1は次の通りである。
【単位体1】
【0075】
【0076】
ここで、R、R、RおよびRのうち一つはHであり、残りはC~Cアルキ
ル、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから選択され、
は線状、分枝状または環状の炭素数1~12である2価の有機リンカーであり得る。
【0077】
一実施例として、R、R、RおよびRのうちHを除いた残りのうち一つはC
~Cアルケンから選択され、残りのうち他の一つおよびさらに他の一つはC~C
ルキルから選択され得る。例えば、本発明の実施例に係る高分子は下記の単位体2を含む
ことができる。
【単位体2】
【0078】
【0079】
または前記R、R、RおよびRのうちHを除いた残りは、C~Cアルキル
、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから互いに異なる
ように選択されてもよい。
【0080】
このように、単位体1または単位体2による高分子が板状の窒化ホウ素がかたまった窒
化ホウ素凝集体上にコーティングされ、窒化ホウ素凝集体内の空隙の少なくとも一部を充
填すると、窒化ホウ素凝集体内の空気層が最小化されて窒化ホウ素凝集体の熱伝導性能を
高めることができ、板状の窒化ホウ素間の結合力を高めて窒化ホウ素凝集体が壊れること
を防止することができる。そして、板状の窒化ホウ素がかたまった窒化ホウ素凝集体上に
コーティング層を形成すると、作用基を形成しやすくなり、窒化ホウ素凝集体のコーティ
ング層上に作用基が形成されると、樹脂との親和度が高くなり得る。
【0081】
この時、窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50は250~350μmであり、酸化ア
ルミニウムの粒子の大きさD50は10~30μmであり得る。窒化ホウ素凝集体の粒子
の大きさD50と酸化アルミニウムの粒子の大きさD50がこのような数値範囲を満足す
る場合、窒化ホウ素凝集体と酸化アルミニウムがエポキシ樹脂組成物内に均一に分散され
得、これに伴い、樹脂層全体として均一な熱伝導効果および接着性能を有することができ
る。
【0082】
または第1樹脂層110および第2樹脂層160のうち少なくとも一つはシリコン樹脂
および無機充填材を含むシリコン樹脂組成物であり得、シリコン樹脂は、例えばPDMS
(polydimethtlsiloxane)を含むことができる。
【0083】
図示されてはいないが、第1樹脂層110および第2樹脂層160のうち少なくとも一
つは複数の層からなり得る。この時、複数の層それぞれは同一または互いに異なる樹脂組
成物または無機充填材を含んで形成され得、それぞれの層の厚さは互いに異なり得る。こ
れに伴い、第1樹脂層110および第2樹脂層160のうち少なくとも一つの絶縁性、接
合力および熱伝導性能のうち少なくとも一つの特性をさらに向上させることができる。
【0084】
図3図7は、本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板と樹脂層間の接合構造を示
す。説明の便宜のために第1金属基板170と第1樹脂層110を例にして説明するが、
同一の構造が第2金属基板180と第2樹脂層160間にも適用され得る。
【0085】
図3図5を参照すると、第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110が配置さ
れる面、すなわち第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110と向かい合う面は第
1領域172および第2領域174を含み、第2領域174は第1領域172の内部に配
置され得る。すなわち、第1領域172は第1金属基板170の縁から中心領域に向かっ
て所定距離内に配置され得、第1領域172は第2領域174を囲むことができる。
【0086】
この時、第2領域174の表面粗さは第1領域172の表面粗さより大きく、第1樹脂
層110は第2領域174上に配置され得る。ここで、第1樹脂層110は第1領域17
2と第2領域174の間の境界から所定距離だけ離隔するように配置され得る。すなわち
、第1樹脂層110は第2領域174上に配置されるものの、第1樹脂層110の縁は第
2領域174の内部に位置することができる。これに伴い、第2領域174の表面粗さに
よって形成された溝400の少なくとも一部には第1樹脂層110の一部、すなわち第1
樹脂層110に含まれるエポキシ樹脂600および無機充填材の一部604が浸み込まれ
得、第1樹脂層110と第1金属基板170間の接着力が高くなり得る。
【0087】
ただし、第2領域174の表面粗さは第1樹脂層110に含まれる無機充填材のうち一
部の粒子の大きさD50よりは大きく、他の一部の粒子の大きさD50よりは小さく形成
され得る。ここで、粒子の大きさD50は粒度分布曲線で重量百分率の50%に該当する
粒径、すなわち通過質量百分率が50%となる粒径を意味し、平均粒径と混用され得る。
第1樹脂層110が無機充填材として酸化アルミニウムと窒化ホウ素を含む場合を例に挙
げると、酸化アルミニウムは第1樹脂層110と第1金属基板170間の接着性能に影響
を及ぼさないが、窒化ホウ素は表面がなめらかであるため第1樹脂層110と第1金属基
板170間の接着性能に悪い影響を及ぼし得る。これに伴い、第2領域174の表面粗さ
を第1樹脂層110に含まれる酸化アルミニウムの粒子の大きさD50よりは大きいが、
窒化ホウ素の粒子の大きさD50よりは小さく形成すると、第2領域174の表面粗さに
よって形成された溝内には酸化アルミニウムのみが配置され、窒化ホウ素は配置され得な
いため、第1樹脂層110と第1金属基板170は高い接合強度を維持することができる
【0088】
これに伴い、第2領域174の表面粗さは第1樹脂層110内に含まれた無機充填材の
うち大きさが相対的に小さい無機充填材604、例えば酸化アルミニウムの粒子の大きさ
D50の1.05~1.5倍であり、第1樹脂層110内に含まれた無機充填材のうち大
きさが相対的に大きい無機充填材602、例えば窒化ホウ素の粒子の大きさD50の0.
04~0.15倍であり得る。
【0089】
前述した通り、窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50が250~350μmであり、
酸化アルミニウムの粒子の大きさD50が10~30μmである場合、第2領域174の
表面粗さは1~50μmであり得る。これに伴い、第2領域174の表面粗さによって形
成された溝内には酸化アルミニウムのみが配置され、窒化ホウ素凝集体は配置され得ない
【0090】
これによると、第2領域174の表面粗さによって形成された溝内のエポキシ樹脂およ
び無機充填材の含量は、第1金属基板170と複数の第1電極120の間の中心領域でエ
ポキシ樹脂および無機充填材の含量と異なり得る。
【0091】
このような表面粗さは表面粗さ測定機を利用して測定され得る。表面粗さ測定機は探針
を利用して断面曲線を測定し、断面曲線の山頂線、谷底線、平均線および基準長さを利用
して表面粗さを算出することができる。本明細書で、表面粗さは中心線平均算出法による
算術平均粗さ(Ra)を意味し得る。算術平均粗さ(Ra)は下記の数学式2を通じて得
ることができる。
【数2】
【0092】
すなわち、表面粗さ測定機の探針を得た断面曲線を基準長さLだけ引き出して、平均線
の方向をx軸とし、高さ方向をy軸として関数(f(x))で表現した時、数学式2によ
って求められる値をμmで表すことができる。
【0093】
図6図7を参照すると、第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110が配置さ
れる面、すなわち第1金属基板170の両面のうち第1樹脂層110と向かい合う面は第
1領域172および第1領域172によって囲まれ、第1領域172より表面粗さが大き
く形成された第2領域174を含むものの、第3領域176をさらに含むことができる。
【0094】
ここで、第3領域176は第2領域174の内部に配置され得る。すなわち、第3領域
176は第2領域174によって囲まれるように配置され得る。そして、第2領域174
の表面粗さは第3領域176の表面粗さより大きく形成され得る。
【0095】
この時、第1樹脂層110は第1領域172と第2領域174間の境界から所定距離離
隔するように配置されるものの、第1樹脂層110は第2領域174の一部および第3領
域176をカバーするように配置され得る。
【0096】
第1金属基板170と第1樹脂層110間の接合強度を高めるために、第1金属基板1
70と第1樹脂層110の間には接着層800がさらに配置され得る。
【0097】
接着層800は第1樹脂層110をなすエポキシ樹脂組成物と同一のエポキシ樹脂組成
物であり得る。例えば、第1樹脂層110をなすエポキシ樹脂組成物と同一のエポキシ樹
脂組成物を未硬化状態で第1金属基板170と第1樹脂層110の間に塗布した後、硬化
した状態の第1樹脂層110を積層し、高温で加圧する方式で第1金属基板170と第1
樹脂層110を接合することができる。
【0098】
この時、接着層800の一部、例えば接着層800をなすエポキシ樹脂組成物のエポキ
シ樹脂の一部および無機充填材の一部は第2領域174の表面粗さによる溝の少なくとも
一部に配置され得る。
【0099】
図8は本発明の一実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の断面図であり
図9は本発明の他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の断面図であ
り、図10は本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層および電極の
断面図であり、図11は本発明の一実施例に係る電極の上面図および断面図である。説明
の便宜のために、第1金属基板170、第1樹脂層110および複数の第1電極120側
を例に挙げて説明するが、これに制限されるものではなく、同一の構造が第2金属基板1
80、第2樹脂層160および複数の第2電極150側にも適用され得る。また、複数の
第1電極120のうち一つの第1電極120を例に挙げて説明するが、同一の構造が複数
の第1電極120の全部または一部に適用され得る。
【0100】
図8図11を参照すると、第1電極120は第1樹脂層110と接触する第1面12
1、第1面121に対向し一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140が配
置される第2面122、そして第2面122の縁に沿って配置される第1突出部123を
含む。第1電極120の表面にはメッキ層、例えばNi/Snメッキ層が形成され得る。
第1突出部123は第2面122上で上に突出し得る。この時、図11(a)で図示され
た通り、第1突出部123は第2面122の縁に沿って連続的に配置され得る。例えば、
第1電極120の第2面122が長方形の形状である場合、第1突出部123は長方形の
形状の縁に沿って途切れずに連続的に配置され得る。このように、第1突出部123が第
2面122の縁に沿って配置される場合、ソルダリングを利用して第2面122上に一対
のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140を接合する時にソルダー層が第1電
極120外側に流れ出て電極をショートさせる問題を防止することができる。ソルダー層
が第1突出部123を乗り越えて第1電極120の外側に流れ出る問題を防止するために
、第1突出部123と一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は所定間
隔で離隔するように配置されてもよい。これに伴い、第1突出部123と一対のP型熱電
レッグ130およびN型熱電レッグ140の間にソルダー層が収容されることが可能であ
る。また、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140が第2面122上でチルテ
ィングされるか、第2面122から離脱する問題も防止することができる。
【0101】
この時、図8で図示された通り、第1突出部123は第1電極120をなす物質、すな
わち第2面122をなす物質と同一の物質からなり得る。または図9に図示された通り、
第1突出部123は第2面122をなす物質が炭化した物質、すなわち炭化物を含むこと
ができ、これに伴い、炭素を含んでもよい。この時、第1電極120の側面も炭素を含む
ことができる。ここで、炭化物の炭素含量は30wt%以上、好ましくは50wt%以上
であり得る。
【0102】
この時、第1突出部123の表面は曲面を有することができ、第1突出部123を含む
第1電極120の断面の形状は縁の高さが高く、一対のP型熱電レッグ130およびN型
熱電レッグ140が配置される領域の高さが低いカップの形状であり得る。例えば、図1
1(b)に図示された通り、第2面122の縁から一対のP型熱電レッグ130およびN
型熱電レッグ140が配置される領域に近づくほど第1突出部123の高さは低くなり得
る。または図11(c)に図示された通り、第2面122の縁から一対のP型熱電レッグ
130およびN型熱電レッグ140が配置される領域に近づくほど第1突出部123の高
さは高くなってから低くなり得る。すなわち、第1突出部123の断面は曲線の山の形状
を有し得る。
【0103】
ここで、第1突出部123の断面がゆるやかな曲線の形状を有するものとして図示され
ているが、これに制限されるものではなく、第1突出部123の断面は尖がっている形状
を有したり、ランダムな形状を有してもよい。
【0104】
ここで、第1突出部123の幅W1は第1電極120の幅W2の5~20%であり得る
。ここで、第1電極120の幅W2は第1突出部123を含む電極全体の幅であり得、第
1電極120が長方形の形状である場合、第1電極120の上面の長幅を意味し得る。こ
こで、長幅は長方形の形状で長い辺の幅を意味し得る。ここで、第1突出部123の幅W
1が第1電極120の幅W2の5%未満である場合、第1突出部123がP型熱電レッグ
130およびN型熱電レッグ140の離脱防止機能を十分に遂行できない可能性があり、
第1突出部123が容易に破損しながら熱電素子100に異物として作用し得る。そして
、第1突出部123の幅W1が第1電極120の幅W2の20%を超過する場合、第1電
極120上にP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140を実装するための領域が
減少し得、これに伴い、同一高さの熱電素子を基準として素子の抵抗値が増加することに
なって熱電素子の特性が低下し得る。
【0105】
一方、本発明の実施例によると、隣り合う第1電極120の間に配置される第1樹脂層
110の厚さd1は第1面121の下部に配置される第1樹脂層110の厚さd2より小
さくてもよい。すなわち、第1電極120の側下部に配置される第1樹脂層110の厚さ
は第1面121の下部に配置される第1樹脂層110の厚さより小さくてもよい。
【0106】
例えば、隣り合う第1電極120の間に配置される第1樹脂層110の厚さは隣り合う
第1電極120に近づくほど大きくなり得る。すなわち、隣り合う第1電極120の間に
配置される第1樹脂層110の厚さは各第1電極120の第1面121の縁から遠くなり
、隣り合う第1電極120の間の中間地点に近づくほど小さくなり得る。すなわち、隣り
合う第1電極120の間に配置される第1樹脂層110にはV字またはU字状の溝が形成
され得る。
【0107】
例えば、図10に図示された通り、隣り合う第1電極120の間の少なくとも一部の領
域には第1金属基板170が露出してもよい。
【0108】
これによると、第1電極120と第1金属基板170間の絶縁は維持されるものの、第
1電極120と第1金属基板170間の熱伝導性能が向上し得、第1電極120の上部に
第1樹脂層110が流入する問題がないため、第1電極120の電気電導度も向上し得る
【0109】
この時、第1突出部123の高さH1は第1電極120の高さおよび第1樹脂層110
に形成された溝の高さの和H2、すなわち第1電極120の最上面から実際に加工される
深さの2~35%であり得る。第1突出部123の高さH1が第1電極120の高さおよ
び第1樹脂層110に形成された溝の高さの和H2の2%未満である場合、第1突出部1
23がP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の離脱防止機能を十分に遂行で
きない可能性があり、第1突出部123が容易に破損しながら熱電素子100に異物とし
て作用し得る。そして、第1突出部123の高さH1が第1電極120の高さおよび第1
樹脂層110に形成された溝の高さの和H2の35%を超過する場合、第1電極120上
にP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140を実装するためにソルダー層を印刷
する時、印刷マスクと第1電極120の表面間の高さが過度に高くなるため、ソルダー層
を印刷する工程が円滑に進行されない可能性がある。
【0110】
本発明の実施例によると、第1金属基板170上に未硬化または半硬化状態で塗布され
た第1樹脂層110上に通板の形態の金属層を接合した後、金属層を機械で切断したり、
レーザー加工して複数の第1電極120を形成することができる。金属層を機械で切断す
る場合、図8に図示されたように、第2面122をなす物質と同一の物質からなる突出部
123が第2面122の縁に形成され得る。金属層を機械で切断する場合、金属層の表面
に形成されたメッキ層、例えばNi/Snメッキ層は機械切断時に剥がれ得、これに伴い
、金属層をなす金属、例えば銅が外部に露出し得る。前述した通り、第1電極120上に
P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140を実装するためにソルダー層を印刷す
る場合、銅とソルダー層間の濡れ性が悪いため銅の表面にソルダー層が接着され難く、こ
れに伴いソルダー層が第1電極120の外に溢れる問題を防止することができる。
【0111】
金属層をレーザー加工によって切断する場合、金属層の切断面はレーザーのバーニング
(burning)によって炭化し、これに伴い、図9に図示されたように、第1突出部
123が炭素を含むことができ、レーザー加工によって形成された第1電極120の側面
も炭素を含むことができる。炭素は電気的絶縁特性を示す物質であるため、これによると
、電極間の絶縁効果も期待することができる。
【0112】
一方、第1樹脂層110の硬度は金属層の硬度より低くてもよい。これに伴い、複数の
第1電極120を形成するために金属層を機械で切断したり、レーザー加工する場合、第
1樹脂層110の少なくとも一部も共に削除され得る。この時、レーザー出力などにより
第1樹脂層110が削除される高さが変わり得る。
【0113】
このように、通板の形態の金属層を第1樹脂層110に配置した後、機械で切断したり
レーザー加工して複数の第1電極120を形成する場合、治具上に複数の第1電極120
を整列した後に第1樹脂層110に配置する場合に比べて工程および費用を節減すること
ができ、多様な電極形状、多様な電極配置構造および多様な電極個数を容易に具現するこ
とができる。
【0114】
図12は本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の金属基板、樹脂層、電極および熱
電レッグの断面図であり、図13図14図12に係る熱電素子の電極の上面図および
断面図である。図8~11と同一内容については重複した説明を省略する。
【0115】
図12図14を参照すると、第1電極120上に一対のP型熱電レッグ130とN型
熱電レッグ140が実装され、このために第1電極120および一対のP型熱電レッグ1
30とN型熱電レッグ140を接合するためのソルダー層Sがさらに配置され得る。
【0116】
第1電極120は第2面122上に配置された第2突出部124をさらに含む。
【0117】
第2突出部124は一対のP型熱電レッグとN型熱電レッグが配置される第2電極12
0の第2面122上でP型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140の間に配置され得、
第2突出部124はP型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140の間でP型熱電レッグ
130とN型熱電レッグ140の側面と所定距離で離隔し得る。このように、第2突出部
124が配置されると、P型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140のチルティングま
たは接合を防止することができる。
【0118】
この時、第2突出部124は図13図14に図示された通り、複数個の第2突出部1
24を含むことができ、図13に図示された通り、第1突出部123と連結されたり、図
14に図示された通り、第1突出部123から離隔し得る。
【0119】
ここで、図13図14に図示された通り、第2突出部124には溝Gが形成され得る
。第1突出部123のように第2突出部124も機械切断またはレーザー加工によって形
成される場合、加工時にレーザーが加えられる領域を中心に山の形状の凹部および突出部
が形成され得る。この時、P型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140の間に配置され
る第1電極120は完全に切断され得ないため、第2突出部124を形成するために加え
られるレーザーの出力は第1突出部123を形成するために加えられるレーザーの出力よ
り弱くてもよい。これに伴い、第2突出部124の最高地点の高さは第1突出部123の
最高地点の高さより低くてもよい。
【0120】
一方、図8図10および図12に図示された通り、複数の第1電極120の最外郭に
は熱電レッグが配置されないダミー電極が配置され得、ダミー電極の上面には第1突出部
123が全体的に形成され得る。
【0121】
図15は本発明のさらに他の実施例に係る熱電素子の断面図である。図8図14と同
一内容は重複した説明を省略する。
【0122】
図15を参照すると、複数の第1電極120のうち最外側に配置される一部の側面には
第1樹脂層110が配置され得る。すなわち、図8~14で第1電極120の第1面12
1の側下部に配置される第1樹脂層110の厚さは第1電極120の第1面121の下部
に配置される第1樹脂層110の厚さより小さく、さらには隣り合う第1電極120の間
の第1樹脂層110の一部が削除されるものとして説明したが、複数の第1電極120の
うち一部の側面に配置された第1樹脂層110の厚さd3は第1面121の下部に配置さ
れた第1樹脂層110の厚さd2より厚くてもよい。このように、側面に第1樹脂層11
0が配置される第1電極120は、複数の第1電極120のうち外郭に配置される第1電
極120であり得、第1樹脂層110が配置される側面は複数の第1電極120のうち外
郭に配置される第1電極120の側面のうち熱電素子100の外側に向かうように配置さ
れた側面であり得る。
【0123】
これは、通板の形態の金属層を未硬化または半硬化状態の第1樹脂層110上に配置し
た後に加圧して第1樹脂層110内に金属層の側面の一部を埋め立てた後、電極の形状に
機械切断またはレーザー加工することによって得ることができる。
【0124】
このように、複数の第1電極120のうち一部の側面には第1樹脂層110が配置され
る場合、第1電極120と第1樹脂層110間の接触面積および接合強度を高めることが
でき、これに伴い、複数の第1電極120のうち縁に配置される第1電極120が熱膨張
によって第1樹脂層110から離脱しやすい問題を最小化することができる。
【0125】
図16図17は本発明の実施例によりレーザー加工によって電極を形成した後に撮影
した写真であり、図18は本発明の実施例により機械加工によって電極を形成した後に撮
影した写真である。
【0126】
図16図17を参照すると、レーザー加工によって切断された電極の上面の縁に突出
部が形成され、電極の周辺部が炭化することが分かる。
【0127】
特に、隣り合う両電極の間の底面であるA領域、レーザー加工によって切断された電極
の側面であるB領域、電極の上面の縁に沿って形成された突出部であるC領域および電極
の上面の中心領域であるD領域でそれぞれ元素の含量を測定した結果は表1~4の通りで
ある。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
表1を参照すると、隣り合う両電極の間の底面であるA領域に基板の成分であるAlが
検出されることから、隣り合う両電極の間で金属基板の一部が露出し得ることが分かり、
表1~4を参照すると、電極の切断面および突出部で金属の一部が炭化することが分かる
。特に、表3を参照すると、突出部の炭化物は30wt%以上、好ましくは50wt%以
上の炭素を含むことが分かる。
【0133】
図18を参照すると、機械加工によって切断された電極の上面の縁に突出部が形成され
、電極表面のメッキ層が剥がれて銅が露出することが分かる。
【0134】
図19は、本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器のブロック図である。
【0135】
本発明の実施例に係る熱電素子が適用された浄水器1は原水供給管12a、浄水タンク
流入管12b、浄水タンク12、フィルタアセンブリ13、冷却ファン14、蓄熱槽15
、冷水供給管15a、および熱電装置1000を含む。
【0136】
原水供給管12aは水源から浄水対象である水をフィルタアセンブリ13に流入させる
供給管であり、浄水タンク流入管12bはフィルタアセンブリ13で浄水された水を浄水
タンク12に流入させる流入管であり、冷水供給管15aは浄水タンク12で熱電装置1
000によって所定温度に冷却された冷水が最終的に使用者に供給される供給管である。
【0137】
浄水タンク12はフィルタアセンブリ13を経由しながら浄水され、浄水タンク流入管
12bを通じて流入した水を貯蔵および外部に供給するように浄水された水をしばらく収
容する。
【0138】
フィルタアセンブリ13は沈殿フィルタ13aと、プレカーボンフィルタ13bと、メ
ンブレンフィルタ13cと、ポストカーボンフィルタ13dで構成される。
【0139】
すなわち、原水供給管12aに流入する水はフィルタアセンブリ13を経由しながら浄
水され得る。
【0140】
蓄熱槽15が浄水タンク12と、熱電装置1000の間に配置されて、熱電装置100
0で形成された冷気が貯蔵される。蓄熱槽15に貯蔵された冷気は浄水タンク12に印加
されて浄水タンク120に収容された水を冷却させる。
【0141】
冷気の伝達が円滑に行われ得るように、蓄熱槽15は浄水タンク12と面接触され得る
【0142】
熱電装置1000は前述した通り、吸熱面と発熱面を具備し、P型半導体およびN型半
導体上の電子移動によって、一側は冷却し、他側は加熱する。
【0143】
ここで、一側は浄水タンク12側であり、他側は浄水タンク12の反対側であり得る。
【0144】
また、前述した通り、熱電装置1000は防水および防塵性能が優秀であり、熱流動性
能が改善されて浄水器内で浄水タンク12を効率的に冷却することができる。
【0145】
以下では、図20を参照して本発明の実施例に係る熱電素子が冷蔵庫に適用された例を
説明する。
【0146】
図20は、本発明の実施例に係る熱電素子が適用された冷蔵庫のブロック図である。
【0147】
冷蔵庫は深温蒸発室内に深温蒸発室カバー23、蒸発室区画壁24、メイン蒸発器25
、冷却ファン26および熱電装置1000を含む。
【0148】
冷蔵庫内は深温蒸発室カバー23によって深温貯蔵室と深温蒸発室に区画される。
【0149】
詳細には、前記深温蒸発室カバー23の前方に該当する内部空間が深温貯蔵室と定義さ
れ、深温蒸発室カバー23の後方に該当する内部空間が深温蒸発室と定義され得る。
【0150】
深温蒸発室カバー23の前面には吐出グリル23aと吸込グリル23bがそれぞれ形成
され得る。
【0151】
蒸発室区画壁24はインナーキャビネットの後壁から前方に離隔する地点に設置されて
、深温室貯蔵システムが置かれる空間とメイン蒸発器25が置かれる空間を区画する。
【0152】
メイン蒸発器25によって冷却される冷気は、冷凍室に供給された後再びメイン蒸発器
側に戻る。
【0153】
熱電装置1000は深温蒸発室に収容され、吸熱面が深温貯蔵室の引き出しアセンブリ
側を向き、発熱面が蒸発器側に向かう構造をなす。したがって、熱電装置1000で発生
する吸熱現象を利用して引き出しアセンブリに貯蔵された飲食物を摂氏零下50度以下の
超低温状態に迅速に冷却させるのに使われ得る。
【0154】
また、前述した通り、熱電装置1000は防水および防塵性能が優秀であり、熱流動性
能が改善して、冷蔵庫内で引き出しアセンブリを効率的に冷却することができる。
【0155】
本発明の実施例に係る熱電素子は発電用装置、冷却用装置、温熱用装置などに作用され
得る。具体的には、本発明の実施例に係る熱電素子は、主に光通信モジュール、センサ、
医療機器、測定機器、航空宇宙産業、冷蔵庫、チラー(chiller)、自動車通風シ
ート、カップホルダー、洗濯機、乾燥機、ワインセラー、浄水器、センサ用電源供給装置
、サーモパイル(thermopile)などに適用され得る。
【0156】
ここで、本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される例として、PCR(P
olymerase Chain Reaction)機器がある。PCR機器はDNA
を増幅させてDNAの塩基序列を決定するための装備であり、精密な温度制御が要求され
、熱循環(thermal cycle)が必要な機器である。このために、ペルティエ
基盤の熱電素子が適用され得る。
【0157】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される他の例として、光検出器がある
。ここで、光検出器は赤外線/紫外線検出器、CCD(Charge Coupled
Device)センサ、X-ray検出器、TTRS(Thermoelectric
Thermal Reference Source)などがある。光検出器の冷却(c
ooling)のためにペルティエ基盤の熱電素子が適用され得る。これに伴い、光検出
器の内部の温度上昇による波長の変化、出力の低下および解像力の低下などを防止するこ
とができる。
【0158】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、免疫分析
(immunoassay)分野、インビトロ診断(In vitro Diagnos
tics)分野、温度制御および冷却システム(general temperatur
e control and cooling systems)、物理治療分野、液状
チラーシステム、血液/プラズマ温度制御分野などがある。これに伴い、精密な温度制御
が可能である。
【0159】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、人工心臓
がある。これに伴い、人工心臓に電源を供給することができる。
【0160】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される例として、星追跡システム
、熱イメージングカメラ、赤外線/紫外線検出器、CCDセンサ、ハッブル宇宙望遠鏡、
TTRSなどがある。これに伴い、イメージセンサの温度を維持することができる。
【0161】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される他の例として、冷却装置、
ヒーター、発電装置などがある。
【0162】
この他にも本発明の実施例に係る熱電素子は、その他の産業分野に発電、冷却および温
熱のために適用され得る。
【0163】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業
者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で
本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属基板、
前記第1金属基板上に配置される第1樹脂層、
前記第1樹脂層上に少なくとも一部が埋め立てられた第1電極、
前記第1電極上に配置された半導体構造物、
前記半導体構造物上に配置された第2電極、
前記第2電極上に配置される第2樹脂層、そして
前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、
前記第1樹脂層の上面は前記第1電極が配置された第1面および前記第1面周辺に配置されて前記第1金属基板に向かって凹んでいる第1凹面を含み、
前記第2樹脂層の底面は前記第2電極が配置された第2面および前記第2面周辺に配置されて前記第2金属基板に向かって凹んでいる第2凹面を含み、
前記第1電極の側面に配置された前記第1樹脂層の厚さは前記第1面の下部に配置された前記第1樹脂層の厚さより厚い、熱電素子。
【請求項2】
前記第1凹面は前記第1電極の上面より前記第1金属基板に近く配置され、前記第2凹面は前記第2電極の下面より前記第2金属基板に近く配置された、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項3】
前記第1凹面の一部の領域と前記第2凹面の一部の領域は垂直に重なった、請求項1または請求項2に記載の熱電素子。
【請求項4】
前記第1樹脂層の前記第1面は前記第1電極の底面に対応する平坦面を含み、
前記第2樹脂層の前記第2面は前記第2電極の上面に対応する平坦面を含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項5】
前記第1樹脂層の前記第1面の一部の領域と前記第2樹脂層の前記第2面の一部の領域は垂直に重なった、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項6】
前記第1樹脂層は上面が前記第1面である第1領域、および上面が前記第1凹面である第2領域を含み、
前記第1領域の厚さと前記第2領域の最小厚さは互いに異なる、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項7】
前記第2領域の厚さは前記第1電極に近づくほど大きくなる、請求項6に記載の熱電素子。
【請求項8】
前記第1樹脂層は前記第1領域の外側に配置された第3領域をさらに含む、請求項6に記載の熱電素子。
【請求項9】
前記第3領域の厚さは前記第1領域の厚さより厚い、請求項8に記載の熱電素子。
【請求項10】
前記第2樹脂層は底面が前記第2面である第4領域、および底面が前記第2凹面である第5領域を含み、
前記第4領域の厚さと前記第5領域の最小厚さは互いに異なる、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項11】
前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のうち少なくとも一つの厚さは0.02mm以上である、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項12】
前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のうち少なくとも一つの厚さは0.6mm以下である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項13】
前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のうち少なくとも一つは樹脂および無機充填材を含む、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項14】
前記第1電極の上面は前記半導体構造物が配置された平坦面および前記平坦面周辺に配置された第1突出面を含む、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の熱電素子。
【請求項15】
前記第1突出面は炭化物を含む、請求項14に記載の熱電素子。
【請求項16】
前記第1突出面は前記第1電極の前記平坦面周辺に連続的に配置された、請求項15に記載の熱電素子。