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特開2024-102095複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102095
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20240723BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240723BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 413/10 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 417/10 20060101ALI20240723BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240723BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K85/60
C07D209/86 CSP
C07D487/04 137
C07D495/04 103
C07D491/048
C07D405/12
C07D409/12
C07D487/04 150
C07D413/04
C07D417/04
C07D403/04
C07D413/14
C07D403/10
C07D413/10
C07D417/10
C09K11/06 690
C07D417/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064516
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2021500813の分割
【原出願日】2019-06-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0081499
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0055617
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビンナリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チョンウン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョソン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、サンヒ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較してより高い発光効率及び/又はより長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】ホスト材料としては、特定の化合物を含む第1のホスト材料と、異なる特定の化合物を含む第2のホスト材料の組み合わせを含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホスト材料と第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料であって、前記第1のホスト材料は、以下の式1-1~1-7:
【化1】
【化2】
(式中、
Ar及びArは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
但し、L~Lの全ては、単結合であり、及びAr及びArの全ては、水素であることを除く、
Yは、CR、NR、O又はSを表し、
~T13及びX~X12は、それぞれ独立して、N又はCVを表し、
は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又は隣接する2つのVは、互いに結合されて環を形成することができ、
は、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
及びPは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表し、
~R及びP~Pは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又はR~R及びP~Pの隣接するものは、互いに結合されて環を形成することができ、
Arは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表し、
b、c、d、f及びgは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、eは、1又は2の整数を表し、c”及びhは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、及びiは、1~5の整数を表し、b~i及びc”がそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R~R及びP~Pのそれぞれは、同一であり得るか又は異なり得る)
の少なくとも1つによって表される化合物を含み、及び
前記第2のホスト材料は、以下の式2:
【化3】
(式中、
Xは、-N=、-NR15-、-O-又は-S-を表し、
Zは、-N=、-NR16-、-O-又は-S-を表し、但し、Xが-N=を表す場合、Zは、-NR16-、-O-又は-S-を表し、及びXが-NR15-を表す場合、Zは、-N=、-O-又は-S-を表し、
HArは、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
11は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
12~R14は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又はR12~R14の隣接するものは、互いに結合されて環を形成することができ、
15及びR16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、
Lは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
a’は、1の整数を表し、b’及びc’は、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、d’は、1~4の整数を表し、b’、c’及びd’がそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R12~R14のそれぞれは、同一であり得るか又は異なり得る)
によって表される化合物を含む、複数のホスト材料。
【請求項2】
Ar、Ar、L~L、HAr、R11~R16及びLにおける前記置換アルキル、前記置換アルキレン、前記置換アリール、前記置換アリーレン、前記置換ヘテロアリール、前記置換ヘテロアリーレン、前記置換シクロアルキル、前記置換シクロアルキレン、前記置換アルコキシ、前記置換トリアルキルシリル、前記置換ジアルキルアリールシリル、前記置換アルキルジアリールシリル、前記置換トリアリールシリル、前記置換モノ-若しくはジ-アルキルアミノ、前記置換モノ-若しくはジ-アリールアミノ又は前記置換アルキルアリールアミノの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換の又は(C6~C30)アリールで置換された(3~30員)ヘテロアリール、非置換の又は(3~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、非置換の又は(C1~C30)アルキルで置換されたモノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項3】
前記式2は、以下の式2-1~2-6:
【化4】
(式中、HAr、R11~R16、L及びa’~d’は、請求項1で定義されている通りである)
の少なくとも1つによって表される、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項4】
HArは、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換トリアジニル又は置換若しくは非置換ピリミジニルを表す、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項5】
前記式1-1~1-7の少なくとも1つによって表される前記化合物は、以下の化合物:
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項6】
式2によって表される前記化合物は、以下の化合物:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項7】
アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間の少なくとも1つの発光層とを含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記発光層の前記少なくとも1つの層は、請求項1に記載の複数のホスト材料を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定の化合物の組み合わせを含むホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセント(EL)デバイスは、より広い視野角、より大きいコントラスト比及びより速い応答時間を提供するという点で利点を有する自発光デバイスである。1987年に、Eastman Kodakにより、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することにより、最初の有機ELデバイスが開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)は、有機エレクトロルミネセント材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノードと、カソードと、2つの電極間に形成された有機層とを含む。OLEDの有機層は、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などを含み得る。有機層中に使用される材料は、その機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料層(ホスト及びドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類することができる。OLEDでは、電圧の印加により、アノードからの正孔とカソードからの電子とが発光層に注入され、正孔と電子との再結合により、高エネルギーを有する励起子が生成される。有機発光化合物は、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るとき、エネルギーによって励起状態に移行し、エネルギーから光を発する。
【0004】
OLEDにおける発光効率を決定する最も重要な要因は、発光材料である。発光材料は、以下の特徴:高い量子効率、電子及び正孔の高い移動度並びに形成された発光材料層の均一性及び安定性を有することが必要とされる。発光材料は、発光色によって青色、緑色及び赤色発光材料に分類され、黄色又は橙色発光材料を更に含む。更に、発光材料は、機能面でホスト材料とドーパント材料とに分類される。最近では、高い効率及び長い寿命を有するOLEDの開発が緊急の課題である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なEL特性を考慮すると、従来材料よりも非常に優れた発光材料の開発が緊急に必要とされている。このために、好ましくは、固体状態での溶媒及びエネルギー伝達物質として、ホスト材料は、真空下で蒸着されるために高純度及び好適な分子量を有さなければならない。更に、ホスト材料は、熱安定性を達成するための高いガラス転移温度及び熱分解温度、長い寿命を達成するための高い電気化学的安定性、非晶質薄膜の容易な成形性、隣接層との良好な接着性を有すること並びに層間の移動がないことが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、より高い発光効率及び/又はより長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる改良されたホスト材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的が、第1のホスト材料と第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料であって、第1のホスト材料は、以下の式1によって表される化合物を含み、及び第2のホスト材料は、以下の式2によって表される化合物を含む、複数のホスト材料:
【化1】
(式中、
Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
但し、L~Lの全ては、単結合であり、及びAr~Arの全ては、水素であることを除く)、及び
【化2】
(式中、
Xは、-N=、-NR15-、-O-又は-S-を表し、
Zは、-N=、-NR16-、-O-又は-S-を表し、但し、Xが-N=を表す場合、Zは、-NR16-、-O-又は-S-を表し、及びXが-NR15-を表す場合、Zは、-N=、-O-又は-S-を表し、
HArは、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
11は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
12~R14は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又はR12~R14の隣接するものは、互いに結合されて環を形成することができ、
15及びR16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、
Lは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
a’は、1の整数を表し、b’及びc’は、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、d’は、1~4の整数を表し、b’、c’及びd’がそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R~R14のそれぞれは、同一であり得るか又は異なり得る)
によって達成され得ることを見出した。
【0007】
発明の効果
ホスト材料として本開示の化合物の特定の組み合わせを含むことにより、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較してより高い発光効率及び/又はより長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供すること及びそれを使用するディスプレイ装置又は照明装置を製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は、本開示を説明することを意図しており、決して本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0009】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト及びドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等であり得る。
【0010】
本開示における用語「複数の有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の有機層に含まれ得る、少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む有機エレクトロルミネセント材料を意味する。それは、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる前の(例えば、蒸着前の)材料及び有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれた後の(例えば、蒸着後の)材料の両方を意味することができる。例えば、複数の有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1つに含まれ得る少なくとも2つの化合物の組み合わせであり得る。少なくとも2つの化合物は、当技術分野において使用される方法によって同じ層又は異なる層に含まれ得、例えば、それらは、混合蒸発若しくは共蒸発され得るか、又は別々に蒸着され得る。
【0011】
本開示における用語「複数のホスト材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の発光層に含まれ得る、少なくとも2つの化合物の組み合わせを含むホスト材料を意味する。それは、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる前の(例えば、蒸着前の)材料及び有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれた後の(例えば、蒸着後の)材料の両方を意味し得る。例えば、本開示の複数のホスト材料は、2つ以上のホスト材料の組み合わせであり得、有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を任意選択的に更に含み得る。本開示の複数のホスト材料に含まれる2つ以上の化合物は、1つの発光層に含まれ得るか、又は異なる発光層にそれぞれ含まれ得る。例えば、2つ以上のホスト材料は、混合蒸発若しくは共蒸発され得るか、又は別々に蒸着され得る。
【0012】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」という用語は、鎖を構成する1~30の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであることを意味し、その炭素原子数は、好ましくは、1~10、より好ましくは1~6である。上記のアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル等を含み得る。「(C3~C30)シクロアルキル」又は「(C3~C30)シクロアルキレン」という用語は、3~30の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であることを意味し、炭素原子数は、好ましくは、3~20、より好ましくは3~7である。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれ得る。「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、3~7の環骨格原子を有し、B、N、O、S、Si及びPからなる群、好ましくはO、S及びNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキルであることを意味する。上記のヘテロシクロアルキルには、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピラン等が含まれ得る。「(C6~C30)アリール」又は「(C6~C30)アリーレン」という用語は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式又は縮合環ラジカルであることを意味する。上記のアリール又はアリーレンは、部分的に飽和され得、スピロ構造を含み得る。上記のアリールとしては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル等を挙げることができる。「(3~30員)ヘテロアリール」又は「(3~30員)ヘテロアリーレン」という用語は、3~30の環骨格原子を有するアリール又はアリーレンであり、環骨格炭素原子の数は、好ましくは、5~30であり、B、N、O、S、Si及びPからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4つのヘテロ原子を含む。上記のヘテロアリール(レン)は、単環式環又は少なくとも1つのベンゼン環で縮合された縮合環であり得、部分的に飽和し得、単結合を介して少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基をヘテロアリール基に結合することによって形成されるものであり得、スピロ構造を含み得る。上記のヘテロアリールとしては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等などの単環式環型ヘテロアリール並びにベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾナフトチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル等などの縮合環型ヘテロアリールが挙げられ得る。更に、「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0013】
本明細書において、表現「置換又は非置換」における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。本開示において、置換アルキル、置換アリール、置換アリーレン、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリーレン、置換シクロアルキル、置換シクロアルキレン、置換アルコキシ、置換トリアルキルシリル、置換ジアルキルアリールシリル、置換アルキルジアリールシリル、置換トリアリールシリル、置換モノ-若しくはジ-アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-アリールアミノ又は置換アルキルアリールアミノの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換の又は(C6~C30)アリール及び/若しくは(3~30員)ヘテロアリールで置換された(3~30員)ヘテロアリール、非置換の又は(C1~C30)アルキル、(C6~C30)アリール及び(3~30員)ヘテロアリールの少なくとも1つで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、非置換の又は(C1~C30)アルキルで置換されたモノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。本開示の一実施形態によれば、置換基は、それぞれ独立して、(C1~C20)アルキル、非置換の又は(C1~C10)アルキル及び/若しくは(C6~C18)アリールで置換された(C6~C25)アリール、非置換の又は(C6~C18)アリールで置換された(3~25員)ヘテロアリール、ジ(C6~C18)アリールアミノ及び(C1~C6)アルキル(C6~C25)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。例えば、置換基は、それぞれ独立して、メチル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、スピロビフルオレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェニルで置換されたカルバゾリル、フェニルで置換されたベンゾカルバゾリル、ベンゾナフトチオフェニル及びジフェニルアミノの少なくとも1つである。
【0014】
本開示の式では、隣接する置換基の結合によって形成される環は、少なくとも2つの隣接する置換基が互いに結合又は融合されて、置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式(3~30員)脂環式若しくは芳香族環又はこれらの組み合わせ、好ましくは置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式(3~26員)脂環式若しくは芳香族環又はこれらの組み合わせ、より好ましくは非置換の又はアルキルで置換された単環式又は多環式(5~10員)芳香族環、例えばベンゼン環、メチルで置換されたインデン環又はベンゾチオフェン環を形成することを意味する。また、形成された環は、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくはN、O及びSから選択される少なくも1つのヘテロ原子を含み得る。
【0015】
本明細書において、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン及びヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。また、ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、置換又は非置換(5~30員)ヘテロアリール、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C1~C30)アルコキシ、置換又は非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換又は非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換又は非置換モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ及び置換又は非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つに結合され得る。
【0016】
式1では、Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表す。本開示の一実施形態によれば、Ar~Arは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C29)アリール又は置換若しくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、Ar~Arは、それぞれ独立して、非置換の又は(C1~C10)アルキル及び/若しくは(C6~C18)アリールで置換された(C6~C29)アリール或いは非置換の又は(C6~C18)アリールで置換された(5~30員)ヘテロアリールを表す。具体的には、Arは、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、非置換の又はビフェニルで置換されたカルバゾリル、非置換の又はフェニル及び/若しくはビフェニルで置換されたベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル又はN、O及びSの少なくとも1つを含む非置換の又はフェニルで置換された(20~30員)ヘテロアリールを表し得、Ar及びArは、それぞれ独立して、フェニル、ナフタレン、ビフェニル、テルフェニル、フェナントレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、スピロビフルオレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェニルで置換されたカルバゾリル又はフェニルで置換されたベンゾカルバゾリルを表し得る。
【0017】
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表す。本開示の一実施形態によれば、L~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~29員)ヘテロアリーレンを表す。本開示の別の実施形態によれば、L~Lは、それぞれ独立して、単結合、非置換の又は(C1~C6)アルキル、(C6~C18)アリール及びジ(C6~C18)アリールアミノの少なくとも1つで置換された(C6~C18)アリーレン又は非置換窒素含有(5~26員)ヘテロアリーレンを表す。具体的には、L~Lは、それぞれ独立して、単結合、非置換の又はジフェニルアミノで置換されたフェニレン、ナフチレン、フェニルナフチレン、ナフチルフェニレン、ビフェニレン、ジメチルフルオレニレン又は窒素含有(26員)ヘテロアリーレンを表し得る。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、式1は、以下の式1-1~1-14の少なくとも1つによって表され得る。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0019】
式1-1~1-14では、Ar、Ar及びL~Lは、式1で定義されている通りであり、他の置換基の定義は、以下の通りである。
【0020】
Yは、CR、NR、O又はSを表す。
【0021】
~T13及びX~X12は、それぞれ独立して、N又はCVを表し、好ましくはCVを表す。
【0022】
は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又は隣接する2つのV’は、互いに結合されて環を形成することができる。本開示の一実施形態によれば、Vは、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリールを表すか、又は隣接する2つのVは、互いに結合又は融合されて、置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式(3~30員)脂環式若しくは芳香族環又はこれらの組み合わせを形成することができ、形成された環は、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。本開示の別の実施形態によれば、Vは、それぞれ独立して、水素又は非置換(C6~C18)アリールを表すか、又は隣接する2つのVは、互いに結合又は融合されて、非置換の単環式(3~10員)脂環式又は芳香族環を形成することができる。例えば、Vは、それぞれ独立して、水素又はフェニルを表し得るか、又は隣接する2つのVは、互いに結合又は融合されてベンゼン環を形成することができる。
【0023】
は、単結合、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表す。本開示の一実施形態によれば、Lは、単結合又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレンを表す。本開示の別の実施形態によれば、Lは、単結合又は非置換(C6~C18)アリーレンを表す。例えば、Lは、単結合又はフェニレンを表し得る。
【0024】
及びPは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表す。P及びPは、互いに同一であり得るか又は異なり得、好ましくは互いに同一であり得る。本開示の一実施形態によれば、P及びPは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C20)アルキル又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、P及びPは、それぞれ独立して、非置換(C1~C10)アルキル又は非置換(C6~C18)アリールを表す。具体的には、P及びPは、それぞれ独立して、メチル又はフェニルを表し得る。
【0025】
~R及びP~Pは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又はR~R及びP~Pの隣接するものは、互いに結合されて環を形成することができる。R及びRは、互いに同一であり得るか又は異なり得、好ましくは互いに同一であり得る。本開示の一実施形態によれば、R~R及びP~Pは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換(C1~C20)アルキル又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリールを表すか、又はR~R及びP~Pの隣接するものは、互いに結合又は融合されて、置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式(3~30員)脂環式若しくは芳香族環又はこれらの組み合わせを形成することができ、形成された環は、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。本開示の別の実施形態によれば、R~R及びP~Pは、それぞれ独立して、水素、非置換(C1~C10)アルキル又は非置換(C6~C18)アリールを表すか、又はR~R及びP~Pの隣接するものは、互いに結合又は融合されて、非置換の又はアルキルで置換された単環式又は多環式(5~10員)環を形成することができる。例えば、R、R、R及びPは、それぞれ独立して、水素を表し得るか、又はR、R、R及びPの隣接するものは、互いに結合されてベンゼン環を形成することができ、Rは、水素を表し得るか、又は隣接する置換基に結合されて、ベンゼン環、メチルで置換されたインデン環又はベンゾチオフェン環を形成することができ、R、P及びPは、それぞれ独立して、水素を表し得、R及びRは、メチルを表し得、Rは、フェニルを表し得る。
【0026】
Arは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表す。本開示の一実施形態によれば、Arは、置換若しくは非置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(3~25員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、Arは、非置換(C6~C18)アリールを表す。具体的には、Arは、フェニル又はビフェニルを表し得る。
【0027】
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、Ar及びArは、それぞれ独立して、非置換(C6~C18)アリールを表す。例えば、Ar及びArは、それぞれ独立して、フェニルを表し得る。
【0028】
b、c、d、f及びgは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、eは、1又は2の整数を表し、c”及びhは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、及びiは、1~5の整数を表し、b~i及びc”がそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R~R及びP~Pのそれぞれは、同一でありか得る又は異なり得る。
【0029】
式2では、Xは、-N=、-NR15-、-O-又は-S-を表し、Zは、-N=、-NR16-、-O-又は-S-を表し、但し、Xが-N=を表す場合、Zは、-NR16-、-O-又は-S-を表し、及びXが-NR15-を表す場合、Zは、-N=、-O-又は-S-を表す。本開示の一実施形態によれば、Xは、-N=、-NR15-、-O-又は-S-を表し、及びZは、-N=、-NR16-、-O-又は-S-を表し、但し、X及びZのいずれか1つは、-N=を表す。
【0030】
式2では、HArは、置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、HArは、置換又は非置換(3~25員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、HArは、(C6~C30)アリール及び/又は(3~25員)ヘテロアリールで置換された(5~20員)ヘテロアリールを表す。具体的には、HArは、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換トリアジニル又は置換若しくは非置換ピリミジニルを表し得る。例えば、HArは、置換トリアジニル、置換ピリミジニル、置換キノキサリニル又は置換キナゾリニルを表し得、ここで、置換トリアジニル、置換ピリミジニル、置換キノキサリニル及び置換キナゾリニルの置換基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、スピロビフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾナフトチオフェニル、フェニルで置換されたカルバゾリル及びフェニルで置換されたベンゾカルバゾリルの少なくとも1つであり得る。
【0031】
式2では、R11は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、R11は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~25員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、R11は、非置換の又は(C1~C10)アルキル及び/若しくは(C6~C18)アリールで置換された(C6~C29)アリール或いは非置換の又は(C6~C18)アリールで置換された(5~25員)ヘテロアリールを表す。具体的には、R11は、フェニル、ナフチル、フェニルナフチル、ビフェニル、ジメチルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、スピロビフルオレニル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、フェニルで置換されたカルバゾリル、フェニルで置換されたベンゾカルバゾリル、ジベンゾフラニル又はジベンゾチオフェニルを表し得る。
【0032】
式2では、R12~R14は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、又はR12~R14の隣接するものは、互いに結合されて環を形成することができる。例えば、R12~R14は、それぞれ独立して、水素を表し得る。
【0033】
式2では、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表す。本開示の一実施形態によれば、R15及びR16は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(3~25員)ヘテロアリールを表す。本開示の別の実施形態によれば、R15及びR16は、それぞれ独立して、非置換(C6~C18)アリールを表す。例えば、R15は、フェニル又はビフェニルを表し得、R16は、フェニルを表し得る。
【0034】
式2では、Lは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。本開示の一実施形態によれば、Lは、単結合又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレンを表す。本開示の別の実施形態によれば、Lは、単結合又は非置換(C6~C18)アリーレンを表す。具体的には、Lは、単結合、フェニレン又はビフェニレンを表し得る。
【0035】
式2では、a’は、1の整数を表し、b’及びc’は、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、d’は、1~4の整数を表し、b’、c’及びd’がそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R~R14のそれぞれは、同一であり得るか又は異なり得る。
【0036】
本開示の一実施形態によれば、式2は、以下の式2-1~2-6の少なくとも1つによって表され得る。
【化7】
【0037】
式2-1~2-6では、HAr、R11~R16、L及びa’~d’は、式2で定義されている通りである。
【0038】
式1によって表される化合物は、以下の化合物によって具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0039】
式2によって表される化合物は、以下の化合物によって具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0040】
化合物C-1-1~C-1-195の少なくとも1つと、化合物C-2-1~C-2-112の少なくとも1つとの組み合わせを有機エレクトロルミネセントデバイスに使用することができる。
【0041】
本開示による式1及び2によって表される化合物は、当業者に知られている合成方法によって調製することができる。例えば、式1によって表される化合物は、以下の反応スキーム1~3並びに韓国特許出願公開第10-2013-0106255A号明細書(2013年9月27日公開)、韓国特許出願公開第10-2012-0042633A号明細書(2012年5月3日公開)、韓国特許出願公開第10-2018-0099510A号明細書(2018年9月5日公開)及び韓国特許出願公開第10-2015-0066202A号明細書(2015年6月16日公開)を参照することによって調製することができ、式2によって表される化合物は、韓国特許出願公開第10-2017-0051198A号明細書(2017年5月11日公開)を参照することにより調製することができるが、これらに限定されない。
【0042】
[反応スキーム1]
【化20】
[反応スキーム2]
【化21】
[反応スキーム3]
【化22】
【0043】
反応スキーム1~3では、T~T13、X~X12、L~L、Ar及びArは、上記の式1~4及び1~7で定義されている通りである。
【0044】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の少なくとも1つの有機層とを含む。有機層は、式1によって表される化合物が第1の有機エレクトロルミネセント材料として含まれ、式2によって表される化合物が第2の有機エレクトロルミネセント材料として含まれる複数の有機エレクトロルミネセント材料を含み得る。本開示の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の少なくとも1つの発光層とを含み、発光層は、第1のホスト材料としての式1によって表される化合物と、第2のホスト材料としての式2によって表される化合物とを含む複数のホスト材料を含む。
【0045】
発光層は、ホストとドーパントとを含む。ホストは、複数のホスト材料を含む。複数のホスト材料は、第1のホスト材料と第2のホスト材料とを含む。第1のホスト材料は、式1によって表される化合物のみ又は式1によって表される少なくとも1つの化合物からなり得、有機エレクトロルミネセント材料中に含まれる従来の材料を更に含み得る。第2のホスト材料は、式2によって表される化合物のみ又は式2によって表される少なくとも1つの化合物からなり得、有機エレクトロルミネセント材料中に含まれる従来の材料を更に含み得る。第1のホスト化合物の第2のホスト化合物に対する重量比は、約1:99~約99:1、好ましくは約10:90~約90:10、より好ましくは約30:70~約70:30、更により好ましくは約40:60~約60:40、より一層好ましくは約50:50の範囲である。
【0046】
発光層は、発光する層であり、単層又は2つ以上の層が積層されている多層であり得る。本開示による複数のホスト材料において、第1及び第2のホスト材料は、両方とも1つの層に含まれ得るか、又はそれぞれ異なる発光層に含まれ得る。本開示の一実施形態によれば、発光層中のホスト化合物に対するドーパント化合物のドープ濃度は、約20重量%未満である。
【0047】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子注入層、中間層、電子緩衝層、正孔阻止層及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含み得る。本開示の一実施形態によれば、有機エレクトロルミネセントデバイスは、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光材料、発光補助材料及び電子阻止材料の少なくとも1つとして、本開示の複数のホスト材料に加えてアミン系化合物を更に含み得る。また、本開示の一実施形態によれば、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、電子輸送材料、電子注入材料、電子緩衝材料及び正孔阻止材料の少なくとも1つとして、本開示の複数のホスト材料に加えてアジン系化合物を更に含み得る。
【0048】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)の金属化錯体化合物から選択され得、好ましくはイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)のオルト金属化錯体化合物、より好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物から選択され得る。
【0049】
ドーパントは、以下の式101~103の少なくとも1つによって表される化合物を含み得るが、これに限定されない。
【化23】
【0050】
式101~103では、Lは、以下の構造1及び2:
【化24】
から選択される。
【0051】
100は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表し、R101~R109及びR111~R123は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換又は非置換(C6~C30)アリール、シアノ或いは置換又は非置換(C1~C30)アルコキシを表すか、又は隣接するR101~R109及びR111~R123と結合されて環を形成することができる。具体的には、R106~R109は、隣接するR106~R109と結合されて環、例えば非置換若しくはアルキルで置換されたインデン環、非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾチオフェン環又は非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾフラン環を形成することができ、R120~R123は、隣接するR120~R123と結合されて環を形成することができ、例えば、R120及びR121は、互いに結合されて、非置換若しくはアルキル、アリール、アリールアルキル及びアルキルアリールの少なくとも1つで置換されたベンゼン環、非置換若しくはアルキルで置換されたフルオレン環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環を形成することができる。
【0052】
124~R127は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表すか、又は隣接するR124~R127と結合されて環、例えば非置換若しくはアルキルで置換されたインデン環、非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾチオフェン環又は非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾフラン環を形成することができ、R201~R211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換又は非置換(C3~C30)シクロアルキル或いは非置換の又はアルキル及び/又は重水素で置換された(C6~C30)アリールを表すか、又は隣接するR201~R211と結合されて環、例えば非置換若しくはアルキルで置換されたインデン環、非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾチオフェン環又は非置換若しくはアルキルで置換されたベンゾフラン環を形成することができ、rは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し、rがそれぞれ独立して2以上の整数である場合、R100のそれぞれは、同一であり得るか又は異なり得、nは、1~3の整数を表す。
【0053】
ドーパント化合物の具体例は、以下の通りであるが、これらに限定されない。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【0054】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、正孔注入層、正孔輸送層若しくは電子阻止層又はこれらの組み合わせをアノードと発光層との間に使用することができる。正孔注入層は、正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)をアノードから正孔輸送層又は電子阻止層まで下げるために複数層であり得、複数層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用できる。また、正孔輸送層又は電子阻止層は、複数層であり得る。
【0055】
加えて、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層若しくは電子注入層又はこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間に用いることができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために複数層であり得、複数層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用することができる。また、正孔阻止層又は電子輸送層は、複数層であり得、複数層のそれぞれは、複数の化合物を使用することができる。
【0056】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ及びイオンプレーティング方法などの乾式製膜法又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング及びフローコーティング方法などの湿式製膜法を使用することができる。
【0057】
湿式製膜法で溶媒を用いる場合、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の適切な溶媒に溶解又は拡散させることによって薄膜を形成することができる。各層を形成する材料を溶解又は拡散させることができ、製膜能力に問題がない場合、溶媒は、任意の溶媒であり得る。
【0058】
加えて、第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物は、一般的に共蒸プロセス又は混合-蒸発プロセスにより、上記の方法で製膜され得る。共蒸発は、2つ以上の材料をそれぞれの個々のるつぼ源に入れ、同時に両方のセルに電流を流して材料を蒸発させる混合蒸着法である。混合蒸発は、2つ以上の材料を、それらを蒸発させる前に1つのるつぼ源中で混合し、セルに電流を流して材料を蒸発させる混合蒸着法である。また、第1及び第2のホスト化合物が有機エレクトロルミネセントデバイスの同じ層又は異なる層に存在しているとき、2つのホスト化合物は、別々に蒸着され得る。例えば、第1のホスト化合物が蒸着され得、次いで第2のホスト化合物が蒸着され得る。
【0059】
本開示は、式1によって表される化合物と、式2によって表される化合物とを含む複数のホスト材料を使用することによってディスプレイ装置を提供し得る。即ち、本開示の複数のホスト材料を使用することによってディスプレイ装置又は照明装置を製造することができる。具体的には、本開示の複数のホスト材料を使用することにより、ディスプレイ装置、例えばスマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV若しくは車のためのディスプレイ装置又は照明装置、例えば屋外若しくは屋内照明装置を製造することができる。
【0060】
以下では、本開示の化合物の調製方法及び物理的特性並びに本開示によるOLEDの物理的特性について詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、本開示による化合物の調製方法及びOLEDの物理的特性を詳細に示しているに過ぎず、本開示は、以下の実施例に限定されない。
【実施例0061】
実施例1:化合物C-2-95の合成
【化30】
反応容器において、4.0gの化合物A(CAS:2085325-18-2、9.5ミリモル)、2.8gの2-クロロ-3-フェニルキノキサリン(11.4ミリモル)、0.5gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(PPh)(0.5ミリモル)及び2.0gの炭酸カリウム(KCO)(19ミリモル)を30mLのトルエン、7mLのEtOH及び10mLの水に加え、混合物を還流下で1日撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、次いで塩化メチレン(MC)を用いてセライトを通して濾過した。濾液を減圧蒸留し、次いで塩化メチレン/ヘキサン(MC/Hex)を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、2.7gの化合物C-2-95(収率:57%)を得た。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例2:化合物C-2-112の合成
【化31】
23.8gの化合物A(56.6ミリモル)、15.0gの2-クロロ-4-(ナフタレン-1-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(47.2ミリモル)、2.72gのPd(PPh(2.36ミリモル)及び16.3gのKCO(118ミリモル)を240mLのトルエン、60mLのEtOH及び60mLの精製水に加えて、混合物を還流下で2時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、次いでシリカゲルを通して濾過した。有機層を減圧蒸留し、次いでトルエンで再結晶して13.8gの化合物C-2-112を得た(収率:51%)。
【0064】
【表2】
【0065】
実施例3:化合物C-2-105の合成
【化32】
4.0gの化合物A(9.5ミリモル)、3.9gの2-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-4-クロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(11.4ミリモル)、0.5gのPd(PPh(0.5ミリモル)及び2.6gのKCO(19ミリモル)を30mLのトルエン、7mLのEtOH及び10mLの精製水に加え、混合物を還流下で6時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、室温で撹拌し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、次いでMCを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、4.6gの化合物C-2-105(収率:80%)を得た。
【0066】
【表3】
【0067】
実施例4:化合物C-2-93の合成
【化33】
3.0gの化合物A(7.1ミリモル)、3.4gの2-クロロ-4-(ジベンゾ[b、d]フラン-1-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(9.26ミリモル)、0.4gのPd(PPh(0.36ミリモル)及び2.0gのKCO(14ミリモル)を36mLのトルエン、8mLのEtOH及び12mLの精製水に加え、混合物を還流下で6時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、室温で撹拌し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、次いでMCを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、3.3gの化合物C-2-93(収率:75%)を得た。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例5:化合物C-2-94の合成
【化34】
4.0gの化合物A(9.5ミリモル)、3.6gの2-クロロ-4-(ナフタレン-2-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(11.4ミリモル)、0.5gのPd(PPh(0.5ミリモル)及び2.6gのKCO(19ミリモル)を30mLのトルエン、7mLのEtOH 7mL及び10mLの精製水に加え、混合物を還流下で4時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、室温で撹拌し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、次いでMCを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、3.45gの化合物C-2-94(収率:63%)を得た。
【0070】
【表5】
【0071】
実施例6:化合物C-1-138の合成
【化35】
5.0gの化合物B(11.2ミリモル)、3.0gのN-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(12.3ミリモル)、0.5gのPd(dba)(0.56ミリモル)、0.46gのエスホス(1.12ミリモル)及び2.7gのNaOtBu(28ミリモル)を60mLのトルエンに加え、混合物を還流下で6時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、室温で撹拌し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、次いでMC/Hexを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、2.3gの化合物C-1-138を得た(収率:34%)。
【0072】
【表6】
【0073】
実施例7:化合物C-1-159の合成
【化36】
5.0gの化合物C(15.2ミリモル)、5.4gの4-ブロモ-N、N-ジフェニルアニリン(16.7ミリモル)、0.7gのPd(dba)(0.76ミリモル)、0.6gのエスホス(1.52ミリモル)及び2.9gのNaOtBu(30.4ミリモル)を80mLのo-キシレンに加え、混合物を還流下で4時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、室温で撹拌し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、次いでMC/Hexを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、4.0gの化合物C-1-159を得た(収率:46%)。
【0074】
【表7】
【0075】
実施例8:化合物C-1-141の合成
【化37】
1)化合物Eの合成
反応容器において、10.0gの化合物D(34.3ミリモル)、14.6gの1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(51.5ミリモル)、3.28gのCuI(17.2ミリモル)、4.12gのEDA(68.6ミリモル)及び14.6gのKPO(68.6ミリモル)を170mLのトルエンに加え、混合物を145℃において3時間還流下で撹拌した。反応の終了後、反応混合物をMCで抽出し、次いでMgSOで乾燥させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって分離し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、9.0gの化合物E(収率:59%)を得た。
【0076】
2)化合物C-1-141の合成
反応容器において、5.0gの化合物E(11ミリモル)、3.3gのN-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(13ミリモル)、0.513gのPd(dba)(0.56ミリモル)、0.460gのエスホス(1ミリモル)及び2.691gのNaOt-Bu(28ミリモル)を60mLのトルエンに加え、混合物を100℃において0.5時間還流下で撹拌した。反応の終了後、MCで反応混合物を抽出し、次いでMgSOで乾燥した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって分離し、次いでこれにMeOHを加えた。得られた固体を減圧濾過し、1.3gの化合物C-1-141(収率:19%)を得た。
【0077】
【表8】
【0078】
実施例9:化合物C-1-195の合成
【化38】
1)化合物Fの合成
15.0gの化合物D(51.5ミリモル)、29.3gの1-ブロモ-3-ヨードベンゼン(103ミリモル)、4.9gのCuI(25.8ミリモル)、7.0mLのエチレンジアミン(103ミリモル)及び27.5gのKPO(129ミリモル)を250mLのトルエンに加え、混合物を還流下で4時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、次いでシリカゲルを通して濾過した。有機層を濃縮し、次いでEAで再結晶して、14.2gの化合物F(収率:62%)を得た。
【0079】
2)化合物C-1-195の合成
14.0gの化合物F(31.4ミリモル)、7.78gのN-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-3-アミン(31.7ミリモル)、1.44gのPddba(1.57ミリモル)、635mgのt-BuP(3.14ミリモル)及び6.04gのt-BuONa(62.8ミリモル)を160mLのトルエンに加え、混合物を還流下で2時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、次いで蒸留水及びEAで抽出した。有機層を減圧蒸留し、次いでMC/Hexを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離して、14.6gの化合物C-1-195(収率:76%)を得た。
【0080】
【表9】
【0081】
デバイスの実施例1-1~7:本開示によるOLEDの作製
本開示によるOLEDを以下の通り作製した:OLED(ジオマテック株式会社、日本)のためのガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水で超音波洗浄し、その後、次いでイソプロパノール中に保存した。ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバー中の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して、上記で導入された物質を蒸発させて、これによりITO基板に厚さ80nmの第1の正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸着させ、これにより第1の正孔注入層上に厚さ5nmの第2の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させ、これにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させ、これにより第1の正孔輸送層上に厚さ60nmの第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をこれに形成した:表1に示される第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物をホストとして真空蒸着装置の2つのセル内にそれぞれ導入し、ドーパントとして化合物D-71を別のセル内に導入した。2つのホスト材料を1:1の比で蒸発させ、同時にドーパント材料を異なる比で蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に基づいて3重量%のドープ量で蒸着し、40nmの厚さの発光層を第2の正孔輸送層に形成した。次に、化合物ET-1及び化合物EI-1を2つの他のセル内において1:1の比で蒸発させて、35nmの厚さの電子輸送層を発光層に蒸着した。電子輸送層に2nmの厚さを有する電子注入層として化合物EI-1を蒸着した後、別の真空蒸着装置によって電子注入層に80nmの厚さのAlカソードを蒸着した。こうして、OLEDを作製した。
【化39】
【0082】
比較例1~7:本開示によらないOLEDの作製
OLEDは、2つのホストの代わりに、表1に示される第2のホスト化合物のみを使用したことを除いて、デバイスの実施例1-1と同じ方法で作製した。
【0083】
輝度5,000ニットでの発光効率及びデバイスの実施例及び比較例で作製されたOLEDの輝度5,000ニットでの定電流で初期輝度100%から輝度96%に低下するまでの時間(T96)を以下の表1に示す。
【0084】
【表10】
【0085】
【表11】
【0086】
デバイスの実施例8~15:本開示によるOLEDの作製
表2に示される第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物を使用したことを除いて、デバイスの実施例1-1と同じ方法でOLEDを作製した。輝度1,000ニットでの発光効率及びデバイスの実施例で作製されたOLEDの輝度5,000ニットでの定電流で初期輝度100%から輝度95%に低下するまでの時間(T95)を以下の表2に示す。
【0087】
【表12】
【0088】
表1及び2では、第1のホスト及び第2のホストとして使用される化合物は、本明細書の特定の化合物として例示される化合物と同じである。上記のデバイスの実施例及び比較例から、本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較して少なくとも17.5%のより高い発光効率及び少なくとも100時間の改善された寿命を有することが確認された。